JP4396119B2 - 表面波装置の周波数調整方法 - Google Patents

表面波装置の周波数調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンビームエッチングにより表面波装置の周波数を調整する方法に関し、より詳細には、ZnO膜などの圧電膜がIDT(インターデジタルトランスデューサ)電極に接するように配置されている表面波装置の周波数調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、イオンビームエッチングにより表面波装置の周波数を調整する方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、水晶基板上にIDT電極が形成されている表面波装置の電極形成面をArのような不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスによりイオンビームエッチングする方法が開示されている。ここでは、ガスボンベからイオンソースに不活性ガスが供給され、別のガスボンベから真空チャンバ内に酸素ガスが供給され、不活性ガス及び酸素ガスの混合ガスがプラズマ放電によりイオン化されている。この方法では、不活性ガスと酸素ガスの混合ガスをプラズマ放電によりイオン化することにより、水晶基板のエッチング量と、電極のエッチング量との比であるエッチング選択比が高められる。
【0004】
また、下記の特許文献2には、水晶、LiTaO3またはLiNbO3などの圧電基板上に、圧電基板よりも密度の大きい金属、例えばWなどからなる電極が形成された構造を有する表面波装置を、Ar、CF4、C26、CCl4、N2、N2を含む混合ガスなどを用いてイオンビームエッチングする方法が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献3には、SiO2単結晶からなる圧電性基板上に、Alなどからなる電極が形成されている表面波装置を、該表面波装置の電極をマスクとしてスパッタリングによりエッチングする方法が開示されている。ここでは、スパッタリングに用いられるガスとして、Ar、N2またはHeなどの不活性ガスが用いられ、Arガスを用いる場合には、スパッタリングを抑制するために酸素ガスも共に真空チャンバ内に導入することが好ましい旨が示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−244769号公報
【特許文献2】
特開2000−315928号公報
【特許文献3】
特開平1−231412号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜3には、いずれも、水晶基板やLiTaO3、LiTaO3またはSiO2などの圧電単結晶基板上に電極が形成されている表面波装置において、該圧電性基板及び/または電極をイオンビームエッチングまたはスパッタによりエッチングすることにより周波数を調整する方法が開示されている。そして、イオンビームエッチングを用いる方法では、Arなどの不活性ガスと酸素との混合ガスを用いる方法(特許文献1に記載の方法)、あるいはArなどの不活性ガスを用いる方法、Arに代えて、フッ化炭素ガス、塩素系ガスまたはN2ガスあるいはN2ガスとこれらのフッ化炭素ガスや塩素系ガスとの混合ガスを用いる方法が示されている。
【0008】
他方、従来、表面波装置として、圧電性基板上にIDT電極が形成されている構造の他に、基板上にIDT電極が形成されており、該IDT電極の上面及び/または下面にZnOやTa25などの圧電膜が形成されている表面波装置も知られている。圧電膜が形成されている表面波装置では、例えばイオンビームエッチングにより周波数調整を行う場合、圧電膜、あるいは圧電膜とIDT電極のエッチング量を高精度に制御する必要がある。しかしながら、従来、圧電膜が設けられた表面波装置のイオンビームエッチングによる周波数調整方法については十分に検討されていなかった。
【0009】
他方、表面波装置をイオンビームエッチングにより周波数調整を行うに際しては、真空チャンバに取り付けられたイオンガンにより放電を引き起こすために、放電用ガスが用いられる。また、効果的にエッチングを果たすために、表面波装置と反応する反応用のガスが用いられることもある。従来、放電用ガスと反応用ガスとは区別して考えられておらず、例えば特許文献1では、イオンソースにArのような不活性ガスが供給され、真空チャンバには酸素ガスが供給されているものの、特許文献1に記載の方法においても、あくまでも不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスがプラズマ化され、イオンビームエッチングが行われている。
【0010】
他方、フィラメントを用いたイオンガンや、イオンを中和するニュートラライザとしてフィラメントを有するものが用いられているイオンビーム装置では、放電用ガスとして酸素などの反応性の高いガスや窒素ガスなどが用いられた場合、フィラメントの焼損やフィラメントの変質などが生じることがあった。従って、従来のイオンビームによる周波数調整方法では、イオンガンの種類によっては、使用されるガスに制約があり、イオンガンなどの劣化や焼損を引き起こさないガスを真空チャンバ内に供給しなければならなかった。
【0011】
本発明の主たる目的は、IDT電極の上面または下面に圧電膜が形成されている構造を備えた表面波装置の周波数を高精度に調整することを可能とする表面波装置の周波数調整方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、イオンガンの種類に関わらず、表面波装置に最適な反応性ガスを用いて周波数調整を行うことを可能とする表面波装置の周波数調整方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る周波数調整方法は、基板と、基板上に形成されたIDT電極と、前記IDT電極の上面及び/または下面に形成された圧電膜とを有する表面波装置を用意する工程と、前記表面波装置を真空チャンバ内に配置し、放電用ガスをイオンガンに供給し、イオンビームエッチングする工程とを備え、前記真空チャンバが不活性ガスを供給するためのポートをさらに備えると共に、前記放電用ガスが、酸素、または不活性ガスと酸素との混合ガスであり、前記ポートが表面波装置の近傍に設けられており、該ポートから不活性ガスが供給されることを特徴とする
【0017】
本発明のある特定の局面では、上記不活性ガスとしてArが用いられる。
【0018】
本発明の周波数調整方法では、様々な圧電膜を有する表面波装置の周波数が調整されるが、本発明のある特定の局面では上記圧電膜としてZnOが用いられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0020】
図1は、本実施形態で用いられるイオンビームエッチング装置を示す概略構成図である。イオンビームエッチング装置1は、真空チャンバ2を有する。真空チャンバ2は、図示しない真空ポンプなどの真空源に接続される。
【0021】
真空チャンバ2には、イオンガン3が取り付けられている。イオンガン3は、電源4に電気的に接続されている。また、イオンガン3には、第1,第2の放電用ガス源5,7が、それぞれ、質量流量計6,8を介して接続されている。第1,第2の放電用ガス源5,7は、ガスボンベなどの放電用ガスを収納した容器により構成される。
【0022】
他方、真空チャンバ2内には、イオンガン3と対向するようにイオンガン3と隔てられて表面波装置9が配置されている。ここでは、真空チャンバ2の一方端部側にイオンガン3が、反対側の端部側に表面波装置9が配置されている。
【0023】
図2に正面断面図で示すように、表面波装置9は、基板10を有する。基板10の上面にIDT電極11が形成されている。そして、IDT電極11を覆うようにZnO膜12が圧電膜として形成されている。すなわち、本実施形態では、圧電膜としてのZnO膜12がIDT電極11の上面に形成されている。もっとも、本発明においては、IDT電極11の上面及び/または下面に圧電膜が形成されている限り、表面波装置の構造は限定されない。
【0024】
図1に戻り、表面波装置9は、上記ZnO膜12が形成されている面がイオンガン3と対向するように真空チャンバ2内に配置されている。
【0025】
本実施形態では、基板10は、水晶により構成されている。もっとも、基板10は、LiTaO3などの他の圧電単結晶もしくは圧電セラミックス、あるいは絶縁性材料により構成されていてもよい。また、IDT電極11は、本実施形態では、Alで構成されている。もっとも、IDT電極11は、Cu、Al−Cuなどの様々な金属もしくは合金により構成され得る。
【0026】
本実施形態の特徴は、上記イオンガン3内に供給されるガスの選択により、上記ZnO膜12のエッチング量を高精度に制御し得ることにある。それを具体的な実験例に基づき説明する。
【0027】
上記表面波装置9として、IDT電極11の厚みが約0.4μm、ZnO膜12の厚みが約4μmであり、中心周波数が約180MHzであるトランスバーサル型の表面波フィルタを用意した。このようにして構成された表面波装置9を真空チャンバ2内に配置し、第1の放電用ガス供給源5からArガスを約10sccmの流量で供給し、第2の放電用ガス供給源7から酸素を約10sccmの流量で供給し、中心周波数が0.1MHzだけ高くなるように、周波数調整を行った。周波数調整後の挿入損失劣化量を測定したところ、図3の(c)に示すように、挿入損失劣化量は0.4dB以下であった。
【0028】
比較のために、第2の放電用ガス供給源7からの酸素の供給を停止し、第1の放電用ガス供給源5からArガスのみを供給することにより、周波数調整を行った。すなわち、イオンガン3にArガスのみを供給する従来法に従って、表面波装置9の中心周波数面が0.1MHzだけ高くなるように周波数調整を行った。その結果、周波数調整後の挿入損失劣化量は、図3(a)に示すように約5dBと非常に大きかった。なお、Arガスの流量は、約10sccmとした。
【0029】
上記のように、Arガスに加えて酸素ガスをイオンガン3に供給することにより、ZnO膜12の周波数調整に伴う特性の劣化を抑制し、周波数調整を高精度に行い得ることがわかる。
【0030】
本願発明者は、さらに、様々なガスについても同様に検討した。結果を図3(b)、(d)及び(e)に示す。
図3(b)は、酸素ガスのみをイオンガン3に供給した場合の結果を示す。ここでは、上記第1の放電用ガス供給源5からのArの供給が停止され、第2の放電用ガス供給源7から酸素を供給し、上記実施形態と同様にして周波数調整を行った場合の挿入損失劣化量が示されている。図3(b)から示すように、酸素ガスのみをイオンガン3に供給した場合においても、挿入損失の劣化は0.4dB以下と著しく小さいことがわかる。
【0031】
図3(d)は、酸素ガスに代えて、窒素ガスのみをイオンガン3に供給した場合の結果を示す。窒素ガスのみをイオンガン3に供給した場合においても、図3(d)から明らかなように、挿入損失劣化量は約0.5dB以下と著しく低いことがわかる。また、図3(e)は、Arと窒素ガスとを流量比1:1で供給した場合、すなわち、上記実施形態の酸素ガスに代えて窒素ガスを用いた場合の結果を示す。図3(e)から明らかなように、Arと窒素ガスとの混合ガスを用いた場合においても、挿入損失劣化量は約0.3dB以下と著しく低いことがわかる。
【0032】
加えて、窒素のみ、または窒素と不活性ガスとの混合ガスを用いた場合には、イオンガン3がフィラメントを有する場合、フィラメントの焼損や変質も生じ難い。従って、イオンガン3の制約が少なくなり、コストダウンを図り得る。
【0033】
前述のように、イオンガン3に供給される放電用ガスとして、Arのみを用いた場合に挿入損失劣化量が大きくなるのは、単原子分子であり、イオン径の小さなArの入射により、ZnO膜12の表面付近の結晶性が崩れ、酸素欠陥が生じたりすることなどにより、ZnO膜12が変質するためと考えられる。このような変質により、ZnO膜12の表面抵抗が低下したりすることにより、特性が劣化していると考えられる。
【0034】
これに対して、イオンガン3に供給されるガスとして、酸素や窒素などの多原子分子を用いた場合には、イオン径が大きいため、ZnO膜12に入り込み難く、従って、ZnO膜12が変質し難いと考えられる。特に、放電用ガスとして、酸素ガスを用いた場合、ZnO膜12に酸素欠陥が生じた場合でも酸素欠陥が修復され、それによって特性の劣化が生じ難いと考えられる。
【0035】
従って、図3(b)〜(e)の結果から明らかなように、イオンガン3に供給される放電用ガスとして、O2、N2、ArとO2との混合ガスまたはArとN2との混合ガスを用いれば、特性の劣化を抑制しつつ、表面波装置の周波数を調整し得ることがわかる。
【0036】
不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスあるいは、不活性ガスと窒素との混合ガスを用いる場合、その混合比は、図3(b)及び(e)に示したように1:1(体積比)に限定されるものではない。これを、図4を参照して説明する。図4は、Arと酸素との混合割合を種々変化させて、上記実施形態と同様にして周波数調整を行った場合の挿入損失劣化量の変化を示す図である。図4の横軸は混合ガス中の酸素ガスの割合(体積%)を示す。図4から明らかなように、Arガスと、酸素ガスとの混合ガス中における酸素ガスの割合が混合ガス中15体積%以上であれば、周波数調整に伴う挿入損失の劣化が著しく小さくなることがわかる。よって、好ましくは、酸素ガスの添加割合は、混合ガス中15体積%以上とされる。窒素ガスの場合においても、同様に、不活性ガスと窒素ガスとの混合ガス中15体積%以上程度とすれば、同様に周波数調整に伴う挿入損失の劣化を著しく小さくし得ることが確かめられている。
【0037】
図5は、本発明の第2の実施形態で用いられるイオンビームエッチング装置21を示す概略構成図である。イオンビームエッチング装置21では、図1に示したイオンビームエッチング装置1に比べて、以下の点において異なっている。すなわち、図5に示したイオンビームエッチング装置21では、第2の放電ガス供給源7及び質量流量計8が除去されている。その代わりに、真空チャンバ2にガスを供給するためのポート22が取付けられている。ポート22には、ガス供給源23が質量流量計24を介して接続されている。また、真空チャンバ2内においては、イオンビームエッチング装置1を用いた場合と同様に、イオンガン3と隔てられて、イオンガン3と対向するように表面波装置9が配置されている。
【0038】
第2の実施形態では、放電ガス供給源5から酸素ガスが質量流量計6を介してイオンガン3に供給される。他方、ガス供給源23から質量流量計24を介して不活性ガスとしてArガスが供給される。
【0039】
第2の実施形態では、イオンガン3には酸素ガスのみが供給され、表面波装置9側では、酸素ガスとArガスとの混合ガス雰囲気が構成される。従って、第1の実施形態と同様に、周波数調整に伴う挿入損失の劣化を著しく低減することができる。
【0040】
加えて、Arガスは真空チャンバ2内に直接供給される。従って、真空チャンバ2の全体が比較的不活性な雰囲気となり、放電用ガスに用いた反応性高い酸素ガスによる真空チャンバ2内の腐食性部材や真空チャンバ2の内壁の損傷を制御することができる。なお、放電用ガスとして酸素と不活性ガスとの混合ガスを用いてもよい。
【0041】
図6は、本発明の第3の実施形態に用いられるイオンビームエッチング装置を示す概略構成図である。イオンビームエッチング装置31は、構造的には、イオンビームエッチング装置21と同様に構成されている。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0042】
もっとも、第3の実施形態では、放電用ガス供給源5からArガスがイオンガン3に供給される。他方、ポート22からは、ガス供給源23に収納されていた酸素ガスが供給される。
【0043】
第1の実施形態から明らかなように、イオンガン3に供給される放電用ガスとしてArを用いた場合、イオンビームエッチング後の挿入損失が悪化するという問題があった。しかしながら、イオンガン3がフィラメントを有する構造のイオンガンである場合には、放電用ガスとして酸素を用いた場合、フィラメントの焼損や変質が生じる。そこで、本実施形態では、放電用ガス供給源5からArガスがイオンガン3に供給される。従って、イオンガン3がフィラメントを有する構造であっても、フィラメントの焼損や変質は生じ難い。
【0044】
他方、本実施形態では、真空チャンバ2内において、ポート22のガス供給孔が、表面波装置9の近傍に配置されている。そして、ガス供給源23から酸素ガスがポート22を介して真空チャンバ2内に供給される。
【0045】
上記のように、ポート22のガス供給孔表面波装置9の近くに配置し、酸素ガスを供給することにより、イオンビームエッチングによる周波数調整後の挿入損失の劣化などの特性の劣化を防止することができる。これを、具体的な実験例に基づき説明する。
【0046】
第1の実施形態の実験例の場合と同様の表面波装置9を真空チャンバ2内に配置し、イオンビームエッチング装置31において、Arガスを約10sccmの流量でイオンガン3に供給し、O2ガスをポート22から約10sccmの流量で供給し、イオンビームエッチングを行ない、周波数調整を行った。この場合の挿入損失劣化量を図7(c)に示す。
【0047】
比較のために、第1の実施形態での従来法による結果を図7(a)に示す。すなわち図7(a)に示す結果は、図3(a)に示す結果と同一であり、イオンガン3にArガスのみを供給し、真空チャンバ2内をArガス雰囲気としてイオンビームエッチングを行った場合の結果である。
【0048】
また、図7(b)に、第1の実施形態において酸素とArとをイオンガン3に供給した場合の結果を示す。図7(a)〜(c)の比較から明らかなように、本実施形態においては、Arガスのみを供給してイオンビームエッチングを行った従来例に比べて、挿入損失劣化量が著しく小さくなり、かつ第1の実施形態に従ってイオンガンに酸素ガス及びArの双方を供給した場合と同様に挿入損失劣化量を著しく小さくし得ることがわかる。
【0049】
なお、図7(c)では、ポート22のガス供給孔が表面波装置9の近傍に配置されていたが、ポート22のガス供給孔、すなわち真空チャンバ2にガスが供給される位置を、表面波装置9から約200mmの位置に遠ざけた場合の結果を図7(d)に示す。図7(d)から明らかなように、ポート22のガス供給孔表面波装置9から遠ざけた場合には、挿入損失劣化量は、図7(c)の場合に比べて大きくなることがわかる。これは、酸素によるZnO膜の酸素欠陥の修復などの膜質劣化抑制効果がポート22を表面波装置9の近傍に配置した場合に比べて低下するためと考えられる。もっとも、図7(d)に示した結果においても、挿入損失劣化量は1.3dB以下と、従来法に比べて著しく低いことに変わりはなく、従って、本発明に従って挿入損失の劣化などの特性の劣化を抑制しつつ、周波数調整を高精度に行い得ることがわかる。
【0050】
また、イオンビームエッチング装置31において、放電用ガス供給源5からArガスを供給し、ポート22から窒素ガスを供給した場合の結果を図7(e)に示す。ここでは、ArガスとN2ガスの流量比は体積比で1:1とした。
【0051】
図7(e)から明らかなように、イオンビームエッチング装置31において、ポート22から酸素に代えて窒素を供給した場合においても、図7(a)に示した従来法に比べてイオンビームエッチング後の挿入損失劣化量は約3dB以下と小さくなることがわかる。もっとも、ポート22から酸素を供給した場合に比べて、窒素を供給した場合では、挿入損失劣化量は大きくなることがわかる。これは、前述したように、酸素ガスを用いた場合には、ZnO膜12表面に酸素欠陥が生じた場合でも、その修復が行われるため、酸素ガスとArガスとを用いた場合の方が挿入損失劣化量が小さくなっているのに対して、窒素では、酸素欠陥の修復効果がないことによると考えられる。
【0052】
上記のように第3の実施形態では、イオンガン3にはArガスのみが供給されるため、フィラメントを有する構造のイオンガン3やニュートラライザを用いることもでき、装置の選択幅が広がり、それによってコストダウンを計ることができる。加えて、上記のように、酸素ガスを真空チャンバ2に直接供給することにより、ZnO膜12の膜質の劣化を抑制し、挿入損失の劣化と特性の劣化を効果的に抑制しつつ、周波数調整を行い得ることがわかる。
【0053】
なお、上述してきた各実施形態では、不活性ガスとしてArガスを用いたが、本発明においては、不活性ガスとして、Arに代えてNe、Xe、Krなどを用いてもよい。もっとも、Neは質量が小さく、加工速度が低いため、Arを用いることが望ましい。また、XeやKrは高価であるため、安価に周波数調整を行うには、Arを用いることが望ましい。また、圧電膜としてのZnO膜に変えて、Ta25からなる膜を用いてもよい。
【0054】
発明に係る表面波装置の周波数調整方法では、イオンビームエッチングにより圧電膜の膜厚が薄くなるように周波数調整が行われる。この場合、上記ガスを放電用ガスとして用いているため、周波数調整に伴う圧電膜の劣化や損傷が生じ難く、従って挿入損失等の特性の劣化を抑制しつつ、周波数を高精度に調整することが可能となる。
【0056】
本発明においては、真空チャンバが不活性ガスを供給するためのポートをさらに備えており、放電用ガスとして、酸素、または不活性ガスと酸素との混合ガスが用いられるので、圧電膜の劣化や損傷が生じ難く、挿入損失などの特性の劣化を抑制しつつ、周波数を高精度に調整することができ、さらに真空チャンバ内が比較的に不活性な雰囲気とされるため、真空チャンバの損傷も生じ難い。
【0058】
発明において、不活性ガスとしてArを用いた場合には、比較的速やかに、かつ安価に周波数調整を行うことができる。
本発明においては、圧電膜としては、ZnO膜以外の様々な圧電膜を用いることができるが、ZnOはイオンによる膜質劣化を生じ易いため、本発明に従って周波数調整を行うことにより、ZnO膜のイオンビームエッチングに伴う膜質の劣化を効果的に抑制することができる。すなわち、本発明は、ZnO膜を圧電膜として用いた表面波装置の周波数調整に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数調整方法において用いられるイオンビームエッチング装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の一実施形態で加工される表面波装置の構造を示す略図的部分切欠正面断面図。
【図3】図1に示したイオンビームエッチング装置に供給されるガスを種々異ならせてイオンビームエッチングにより周波数調整を行った場合の挿入損失劣化量を示す図。
【図4】Arガスと酸素ガスとの混合ガスを用いた場合の酸素ガスの添加割合と、挿入損失劣化量との関係を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態の周波数調整方法で用いられるイオンビームエッチング装置を示す概略構成図。
【図6】本発明の第3の実施形態の周波数調整方法で用いられるイオンビームエッチング装置を示す概略構成図。
【図7】図6に示したイオンビームエッチング装置を用いて様々なガスを用いてイオンビームエッチングによる周波数調整を行った場合の挿入損失劣化量を示す図。
【符号の説明】
1…イオンビームエッチング装置
2…真空チャンバ
3…イオンガン
4…電源
5,7…放電用ガス源
6,8…流量計
9…表面波装置
10…基板
11…IDT電極
12…ZnO膜
21…イオンビームエッチング装置
22…ポート
23…放電用ガス源
24…流量計
31…イオンビームエッチング装置

Claims (3)

  1. 基板と、基板上に形成されたIDT電極と、前記IDT電極の上面及び/または下面に形成された圧電膜とを有する表面波装置を用意する工程と、
    前記表面波装置を真空チャンバ内に配置し、放電ガスをイオンガンに供給し、イオンビームエッチングする工程とを備え、
    真空チャンバが不活性ガスを供給するためのポートをさらに備えると共に、前記放電用ガスが、酸素、または不活性ガスと酸素との混合ガスであり、
    前記ポートが表面波装置の近傍に設けられており、該ポートから不活性ガスが供給されることを特徴とする、表面波装置の周波数調整方法。
  2. 前記不活性ガスとして、Arを用いることを特徴とする、請求項に記載の表面波装置の周波数調整方法。
  3. 前記圧電膜がZnO膜である、請求項1または2に記載の表面波装置の周波数調整方法。
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