この発明による弁装置の一つの実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。この実施形態の弁装置はアンモニア冷媒用の温度式膨張弁である。
温度式膨張弁は、図1に示されているように、ステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属により構成された弁ハウジング11を有する。弁ハウジング11には、弁室12、入口ポート13、出口ポート14が形成されている。弁ハウジング11には、プラグ部材15、フランジ継手部材16、17等が取り付けられている。
弁ハウジング11には、弁室12の天井部に対応する部位に、セラミックス製の弁座部材21がかしめによって固定されている。なお、この弁座部材21のかしめ構造については、全体構成の説明後に、図2〜図4を参照して詳細に説明する。
弁座部材21は、円筒形状であり、弁ポート22を画定している。弁ポート22は、一方において、弁ハウジング11に形成された内部通路18、19によって入口ポート13に連通している。また、弁ポート22は、他方において、弁室12に開放され、弁室12を経て出口ポート14に連通している。
弁室12には、こま形状のセラミックス製の弁体25が配置されている。弁体25はセラミックスの焼成部品であり、弁体25を構成するセラミックスとしては、セラミックスのなかでも靱性が高く、高強度で、割れ難い部分安定化ジルコニアが好適である。
弁室12には、弁体25に係合したばねリテーナ26と、プラグ部材15にねじ部27によってねじ係合したアジャストねじ部材28との間に挟まれた態様で、圧縮コイルばね(弁閉ばね)29が設けられている。
弁ハウジング11には感温ダイヤフラム装置31が取り付けられている。感温ダイヤフラム装置31は、ダイヤフラム32によって区切られた上側ダイヤフラム室33Aと下側ダイヤフラム室33Bを有する。弁ハウジング11には、ダイヤフラム32の変位を弁体25に伝達する連結棒35が取り付けられている。
上側ダイヤフラム室33Aは、感温筒34と接続され、感温筒34による感知温度によって内圧を変化する。下側ダイヤフラム室33Bは、弁ハウジング11に形成された均圧通路36によって弁室12に連通し、弁室12の内圧に均圧され、出口ポート14の側の圧力(2次側圧力)を及ぼされる。
これにより、弁体25は、ダイヤフラム32の下側が受ける2次側圧力による弁閉方向の力および圧縮コイルばね29による弁閉方向の力の合力と、感温筒34による感知温度に応じて変位するダイヤフラム32による弁開方向の力との平衡関係により、図1で見て上下方向に移動し、弁ポート22の開閉ならびに実効開口面積を増減する。
つぎに、弁座部材21のかしめ構造を、図2〜図4を参照して詳細に説明する。
弁ハウジング11には、図2に示されているように、弁座部材21を受け入れる有底構造の円形横断面の弁座部材受入孔41が形成されている。弁座部材受入孔41は、底部42の側で内部通路18に連通し、底部42とは反対の側で弁室12に開口し、その開口縁部に円環リップ状のかしめ片43が設けられている。このかしめ片43は、弁ハウジング11の一部であり、弁ハウジング11と一体形成されている。
弁座部材21は、弁座部材受入孔41の内径より少し小さい外径で、先端がテーパ状外径部21Aになっている大径部21Bと、大径部21Bより少し小径の小径部21Cを有し、全体をセラミックスの焼成部品として構成されている。弁座部材21を構成するセラミックスとしては、弁体25と同様に、セラミックスのなかでも靱性が高く、高強度で、割れ難い部分安定化ジルコニアが好適である。
弁座部材21は、テーパ状外径部21Aの側を先にして、テーパ状外径部21Aと弁座部材受入孔41の底部42との間に、気密シール部材として弾性シール部材であるゴム状弾性材製のOリング44を挟み、小径部21Cの外周に円筒状の塑性変形リング(スリーブ)部材45を装着された状態で、弁座部材受入孔41内に挿入されている。
塑性変形リング部材45は、弁ハウジング11を構成する材料の硬度より低硬度の塑性(Plasticity)材料によって構成されている。この塑性変形リング部材45を構成する塑性材料としては、軟質の金属材料、発泡金属等の多孔質金属、金網積層材、その他、塑性樹脂材が挙げられる。
弁ハウジング11がステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属製である場合、塑性変形リング部材45は、弾性限度が鉄系金属の約1/10程度である純アルミニウム材あるいはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属であることが好ましい。
かしめ片43を、図3(a)および図4(a)に示されている初期状態より、図3(b)および図4(b)に示されているように、内径側にかしめ変形させることにより、弁座部材21が塑性変形リング部材45を介して弁ハウジング11に対してかしめ結合される。なお、図2においては、かしめ片43は、左側はかしめ前の初期状態を、右側はかしめ後の状態を各々示している。
このかしめは、図4(b)に示されているような全周かしめ、図5に示されているような部分かしめの何れでもよい。
このかしめ結合状態では、図2に示されているように、弁座部材21のテーパ状外径部21Aの先端面が弁座部材受入孔41の底部42に突き当たり接触し、Oリング44は、押しつぶされた弾性変形状態で、弁座部材21のテーパ状外径部21Aと弁座部材受入孔41の底部42と弁座部材受入孔41の内周面との間に挟まれ、弁ハウジング11と弁座部材21との間の気密シールを行う。
塑性変形リング部材45は、弁座部材21の大径部21Bと小径部21Cとの間の段差端面21Dとかしめ変形したかしめ片43との間に挟まれ、かしめ荷重を軸力荷重として受け止める。これにより、かしめ荷重は、この塑性変形リング部材45を介して弁座部材21に作用する。
上述したように、弁座部材21と弁ハウジング11のかしめ片43との間に、これらより軟らかい塑性変形リング部材45を挟み込んでかしめるため、塑性変形リング部材45の弾性限度以上のかしめ荷重は、塑性変形リング部材45の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材45の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁座部材21に作用することが未然に回避される。これにより、弁座部材21に割れが生じることなく、弁座部材21を弁ハウジング11に確実にかしめ装着することができる。
また、かしめ前は、弁座部材21の段差端面21Dの平滑度が悪く、2点位でしか弁座部材21と塑性変形リング部材45とが当たっていなくても、かしめることにより、弁ハウジング11や弁座部材21より軟らかい塑性変形リング部材45がかしめ荷重によって塑性変形し、弁座部材21と塑性変形リング部材45とが全周均一当接関係で、その全周に均一にかしめ荷重が掛かった状態で固定できる。
このことにより、弁座部材21をセラミックスの焼成のままの状態で、塑性変形リング部材45が当接する段差端面21Dが多少歪んでいる状態でも使用できるようになり、セラミックス製の弁座部材21の焼成後の2次研磨加工が不要となり、部品コストを大幅削減できる。
また、セラミックス製の弁座部材21を弁ハウジング11に全周均一に荷重が掛かった状態で固定できるため、弁座部材21の装着時および使用時に、弁座部材21に応力集中が起きず、過大な荷重がかからないため、弁座部材21に割れ、クラックが生じることがなく、取付構造の信頼性も向上する。
具体的には、塑性変形リング部材45を用いずに、直接、鉄鋼製のかしめ片43をかしめると、かしめ荷重のすべてが弁座部材21に加わることとなり、弁座部材21を部分的にしか押さえられないため、応力集中により、セラミックスが割れ易くなる。これに対し、弁ハウジング11が鉄鋼材料で、塑性変形リング部材45が純アルミニウム材の場合、純アルミニウムの弾性限度は、鉄鋼材料の弾性限度の約1/10であり、純アルミニウム製の塑性変形リング部材45を挟み込んで、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重でかしめると、塑性変形リング部材45が塑性変形し、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重が弁座部材21に作用することがない。これにより、弁座部材21に割れが生じることなく、弁座部材21を弁ハウジング11に確実にかしめ装着することができる。
セラミックス製の弁座部材21の固定にかしめを採用したことで、繰返し温度サイクルを受けても、かしめ締結部が、ねじ結合部のように緩むことがなく、信頼性、耐久性がよい確実な組み付け状態を、ねじ込みトルクの厳重な管理等を必要とすることなく、容易に得ることができる。
しかも、塑性変形リング部材45は、弾性変形部材とは異なり、純アルミニウム等による塑性変形部材であるなら、繰返し衝撃、経時変化、繰返し温度サイクルを受けてもへたるような経時劣化を生じることがなく、長期間に亘って安定した性能を得ることができる。
この固定方法で、がた付きができる要因として、弁座部材21と弁ハウジング11と塑性変形リング部材45の温度変化による熱膨張率の差があげられる。アンモニア冷媒を用いた冷凍サイクル装置の温度式膨張弁としての使用では、実使用温度差は、100℃以下で、十分小さい温度差であり、がた付きとしては、ほとんどゼロに近い所であるから、問題を生じることがない。また、実使用温度差が100℃以下と小さいため、温度差がついても、熱膨張率差による発生応力は微小であり、弁座部材21に割れ、クラックが生じることはない。
熱膨張率は、具体的には、軟鋼製の弁ハウジング11と部分安定化ジルコニアセラミックス製の弁座部材21とで、ほぼ同等の熱膨張率で、純アルミニウム製の塑性変形リング部材45が部分安定化ジルコニアセラミックスのほぼ2倍の熱膨張率である。
従って、温度差により、軟鋼製の弁ハウジング11と部分安定化ジルコニアセラミックス製の弁座部材21とに挟まれた純アルミニウム製の塑性変形リング部材45によって、低温時には、がた付きになり、高温時には応力が発生する。
しかし、純アルミニウムは、軟鋼やセラミックスよりも、約1/10柔らかいため、高温時の熱応力は純アルミニウムをさらに変形させることになる。そして、実際には、実使用温度差が100℃以下の温度差であるから、がた付きや変形量は数ミクロン程度であり、ほとんど性能に影響しないレベルである。
また、がた付きができたとしても、弾性材の0リング44が挟まれているから、弁座部材21のがた付きやシール性の劣化はない。
弁ハウジング11をステンレス鋼製にした場合、ステンレス鋼の熱膨張率は部分安定化ジルコニアセラミックスと純アルミニウムとのほぼ中間の値のため、弁ハウジング11が軟鋼製である場合と逆に、温度差により、低温時には応力が発生し、高温時にはがた付きとなる。
しかし、この場合も、純アルミニウムは、軟鋼やセラミックスよりも、約1/10柔らかいため、高温時の熱応力は純アルミニウムをさらに変形させることになる。そして、実際には、実使用温度差が100℃以下の温度差であるから、がた付きや変形量は数ミクロン程度であり、ほとんど性能に影響しないレベルである。
また、この場合も、がた付きができたとしても、弾性材の0リング44が挟まれているから、弁座部材21のがた付きやシール性の劣化はない。
このような熱膨張差によるがた付き、応力発生は、弁ハウジング11がステンレス鋼製である場合には、図1〜図5に示されているように、塑性変形リング部材45の軸長が長いほうが少なくなる。これに対し、弁ハウジング11が軟鋼製であれば、図6、図7(a)、(b)に示されているように、塑性変形リング部材45の軸長が短いほうが、熱膨張差によるがた付き、応力発生が少なくなる。
なお、図6においても、かしめ片43は、左側はかしめ前の初期状態を、右側はかしめ後の状態を各々示している。また、図7(a)は、かしめ片43のかしめ前の初期状態を、図7(b)は、かしめ後の状態を各々示している。
また、図8、図9(a)、(b)に示されているように、弁座部材21の塑性変形リング部材45との当接面を、段差端面21Dに代えてテーパ面21Eとすることができる。この場合、かしめ時に塑性変形リング部材45が弁座部材21の小外径を内側へ圧縮する荷重が減り、より一層、弁座部材21が割れにくくなる。
なお、図8においても、かしめ片43は、左側はかしめ前の初期状態を、右側はかしめ後の状態を各々示している。また、図9(a)は、かしめ片43のかしめ前の初期状態を、図9(b)は、かしめ後の状態を各々示している。
弁ハウジング11と弁座部材21との間の気密シールは、図10に示されているように、Oリング44に代えて、弁座部材21の大径部21Bの外周面と弁座部材受入孔41の内周面との間に層状に塗布された耐冷媒性金属用接着剤等の接着剤46により行うこともできる。
つぎに、この発明による弁装置をアンモニア冷媒用の電動式膨張弁として適用した一つの実施形態を、図11、図12を参照して説明する。
電動式膨張弁は、図11に示されているように、外側弁ハウジング51と、外側弁ハウジング51内に設けられた内側弁ハウジング52とを有する。外側弁ハウジング51と内側弁ハウジング52は、ともに、ステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属により構成されている。外側弁ハウジング51には、入口ポート53、出口ポート54が形成されている。内側弁ハウジング52には弁室56が形成されている。
内側弁ハウジング52には、弁室56の底部に対応する部位に、セラミックス製の弁座部材57がかしめによって固定されている。なお、この弁座部材57のかしめ構造については、全体構成の説明後に、図12を参照して詳細に説明する。
弁座部材57は、円筒形状であり、弁ポート58を画定している。弁ポート58は、一方において、弁室56、外側弁ハウジング51と内側弁ハウジング52との間の環状空間59、外側弁ハウジング51に形成された連通孔60を経て入口ポート53に連通している。また、弁ポート58は、他方において、内側弁ハウジング52に形成された孔62、63、64を経て出口ポート54に連通している。
外側弁ハウジング51の上部にはプラグ部材65がねじ止め固定されている。プラグ部材65はガイド孔66によって金属製の弁棒部材67の上部軸部67Aを軸線方向に移動可能に支持している。
弁棒部材67の下部はばね収容部を兼ねて大径部67Bになっている。大径部67Bの外周部には、内側にセラミックス製の弁体68を収容した金属製の弁体装着用筒体69が圧入され、溶接によって固着されている。この溶接部は、図12に符号70によって示されている。
弁体68を構成するセラミックスとしては、この実施形態でも、セラミックスのなかでも靱性が高く、高強度で、割れ難い部分安定化ジルコニアが好適である。弁体68は、弁体装着用筒体69内において、弁体装着用筒体69の下端部に形成されているリップ片69Aと肩部68Aにて対向し、上端部68Bにて弁棒部材67の下端部67Cと対向している。
弁棒部材67の大径部67Bと弁体68には、ばね収容孔67D、68Cが形成されている。ばね収容孔67D、68Cには圧縮コイルばね71が所定の予荷重を与えられた状態で設けられており、圧縮コイルばね71は、弁体68を下方へ付勢している。これにより、定常状態では、弁体68の肩部68Aがリップ片69Aに当接し、弁体68の上端部68Bと弁棒部材67の下端部67Cとの間に間隙72(図12参照)が生じる。
プラグ部材65にはステッピングモータ75が取り付けられている。ステッピングモータ75は、プラグ部材65に溶接等によって固定されて内側に密閉構造のロータ室76を画定するキャン形状のロータケース77と、ロータ室76内に回転且つ軸線方向に移動可能に設けられ、外周部に多極着磁のマグネット78を取り付けられたロータ79と、ロータケース77の外周部に装着されたステータコイル組立体80とを有する。
ステータコイル組立体80は、上下2段のステータコイル81、複数個の磁極歯82、電気コネクタ部83等を有し、封止樹脂84によって液密封止されている。ステッピングモータ75は、ステータコイル81に対する通電制御(パルス制御)により、ロータ79を分割回転駆動する。
プラグ部材65には円筒状の雄ねじ部材86が固定されている。ロータ79には雄ねじ部材86とねじ係合している円筒状の雌ねじ部材85が固定されている。ロータ79には圧縮コイルばね87によって連結金具89が係合しており、連結金具89には弁棒部材67の上端部67Eに固定された連結金具90が係合している。
この構造により、ロータ79は、回転に伴い軸線方向に移動し、軸線方向移動が弁棒部材67に伝達され、弁体68が軸線方向(上下方向)移動する。これにより、弁体68は、図11で見て上下方向に移動し、弁ポート58の開閉ならびに実効開口面積を増減する。
また、内側弁ハウジング52の孔63には、ボール弁73、圧縮コイルばね74によるリリーフ弁が組み込まれている。
つぎに、弁座部材57のかしめ構造を、図12を参照して詳細に説明する。
内側弁ハウジング52には、図12に示されているように、弁座部材57を受け入れる有底構造の円形横断面の弁座部材受入孔91が形成されている。弁座部材受入孔91は、底部92の側で、内側弁ハウジング52に形成された孔62に連通し、底部92とは反対の側で弁室56に開口し、その開口縁部に円環リップ状のかしめ片93が設けられている。このかしめ片93は、内側弁ハウジング52の一部であり、内側弁ハウジング52と一体形成されている。
弁座部材57は、弁座部材受入孔91の内径より少し小さい外径で、先端がテーパ状外径部57Aになっている大径部57Bと、大径部57Bより少し小径の小径部57Cを有し、全体をセラミックスの焼成部品として構成されている。弁座部材57を構成するセラミックスとしては、弁体68と同様に、セラミックスのなかでも靱性が高く、高強度で、割れ難い部分安定化ジルコニアが好適である。
弁座部材57は、テーパ状外径部57Aの側を先にして、テーパ状外径部57Aと弁座部材受入孔91の底部92との間に、気密シール部材として弾性シール部材であるゴム状弾性材製のOリング94を挟み、小径部57Cの外周に円筒状の塑性変形リング部材95を装着された状態で、弁座部材受入孔91内に挿入されている。
塑性変形リング部材95は、内側弁ハウジング52を構成する材料の硬度より低硬度の塑性材料によって構成されている。この塑性変形リング部材95を構成する塑性材料としては、軟質の金属材料、発泡金属等の多孔質金属、金網積層材、その他、塑性樹脂材が挙げられる。
内側弁ハウジング52がステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属製である場合、塑性変形リング部材95は、弾性限度が鉄系金属の約1/10程度である純アルミニウム材あるいはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属であることが好ましい。
かしめ片93を、図12の右側に示されている初期状態より、図12の左側に示されているように、内径側にかしめ変形させることにより、弁座部材57が塑性変形リング部材95を介して内側弁ハウジング52に対してかしめ結合される。
このかしめ結合状態では、弁座部材57のテーパ状外径部57Aの先端面が弁座部材受入孔91の底部92に突き当たり接触し、Oリング94は、押しつぶされた弾性変形状態で、弁座部材57のテーパ状外径部57Aと弁座部材受入孔91の底部92と弁座部材受入孔91の内周面との間に挟まれ、内側弁ハウジング52と弁座部材57との間の気密シールを行う。
塑性変形リング部材95は、弁座部材57の大径部57Bと小径部57Cとの間の段差端面57Dとかしめ変形したかしめ片93との間に挟まれ、かしめ荷重を軸力荷重として受け止める。これにより、かしめ荷重は、この塑性変形リング部材95を介して弁座部材57に作用する。
上述したように、弁座部材57と内側弁ハウジング52のかしめ片93との間に、これらより軟らかい塑性変形リング部材95を挟み込んでかしめるため、塑性変形リング部材95の弾性限度以上のかしめ荷重は、塑性変形リング部材95の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材95の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁座部材57に作用することが未然に回避される。これにより、弁座部材57に割れが生じることなく、弁座部材57を内側弁ハウジング52に確実にかしめ装着することができる。
また、かしめ前は、弁座部材57の段差端面57Dの平滑度が悪く、2点位でしか弁座部材57と塑性変形リング部材95とが当たっていなくても、かしめることにより、内側弁ハウジング52や弁座部材57より軟らかい塑性変形リング部材95がかしめ荷重によって塑性変形し、弁座部材57と塑性変形リング部材95とが全周均一当接関係で、その全周に均一にかしめ荷重が掛かった状態で固定できる。
このことにより、弁座部材57をセラミックスの焼成のままの状態で、塑性変形リング部材95が当接する段差端面57Dが多少歪んでいる状態でも使用できるようになり、セラミックス製の弁座部材57の焼成後の2次研磨加工が不要となり、部品コストを大幅削減できる。
また、セラミックス製の弁座部材57を内側弁ハウジング52に全周均一に荷重が掛かった状態で固定できるため、弁座部材57の装着時および使用時に、弁座部材57に応力集中が起きず、過大な荷重がかからないため、弁座部材57に割れ、クラックが生じることがなく、取付構造の信頼性も向上する。
具体的には、塑性変形リング部材95を用いずに、直接、鉄鋼製のかしめ片93をかしめると、かしめ荷重のすべてが弁座部材57に加わることとなり、弁座部材57を部分的にしか押さえられないため、応力集中により、セラミックスが割れ易くなる。これに対し、内側弁ハウジング52が鉄鋼材料で、塑性変形リング部材95が純アルミニウム材の場合、純アルミニウムの弾性限度は、鉄鋼材料の弾性限度の約1/10であり、純アルミニウム製の塑性変形リング部材95を挟み込んで、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重でかしめると、塑性変形リング部材95が塑性変形し、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重が弁座部材57に作用することがない。これにより、弁座部材57に割れが生じることなく、弁座部材57を内側弁ハウジング52に確実にかしめ装着することができる。
セラミックス製の弁座部材57の固定にかしめを採用したことで、繰返し温度サイクルを受けても、かしめ締結部が、ねじ結合部のように緩むことがなく、信頼性、耐久性がよい確実な組み付け状態を、ねじ込みトルクの厳重な管理等を必要とすることなく、容易に得ることができる。
しかも、塑性変形リング部材95は、弾性変形部材とは異なり、純アルミニウム等による塑性変形部材であるなら、繰返し衝撃、経時変化、繰返し温度サイクルを受けてもへたるような経時劣化を生じることがなく、長期間に亘って安定した性能を得ることができる。
この実施形態でも、がた付きができる要因として、内側弁ハウジング52と弁座部材57と塑性変形リング部材95の温度変化による熱膨張率の差があげられる。しかし、アンモニア冷媒を用いた冷凍サイクル装置の電動式膨張弁としての使用では、実使用温度差は、100℃以下で、十分小さい温度差であるから、問題を生じることがない。また、実使用温度差が100℃以下と小さいため、温度差がついても、熱膨張率差による発生応力は微小であり、弁座部材57に、割れ、クラックが生じることはない。
つぎに、この発明による弁装置をアンモニア冷媒用の電動式膨張弁として適用した他の実施形態を、図13を参照して説明する。なお、図13において、図11に対応する部分は、図11に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
この実施形態でも、セラミックス製の弁座部材57と金属製の弁ハウジング51のかしめ片93との間に、これらより軟らかい塑性変形リング部材95を挟み込んでかしめられている。これにより、塑性変形リング部材95の弾性限度以上のかしめ荷重は、塑性変形リング部材95の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材95の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁座部材57に作用することが未然に回避される。
したがって、この実施形態でも、弁座部材57に割れが生じることなく、弁座部材57を外側弁ハウジング51に確実にかしめ装着することができ、前述の実施形態と同等の効果を得ることができる。
つぎに、この発明による弁装置をアンモニア冷媒用の電動式膨張弁として適用したもう一つの他の実施形態を、図14〜図16を参照して説明する。なお、図14〜図16において、図11に対応する部分は、図11に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
この実施形態では、弁棒部材67が、ステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属により構成され、図14に示されているように、下部に弁ホルダ部67Fを一体に形成されている。弁ホルダ部67Fには弁体を受け入れる有底構造の弁体受入孔96が形成されている。
図15によく示されているように、弁体受入孔96の底部97とは反対の側の開口縁部には、円環リップ状のかしめ片98が設けられている。このかしめ片98は、弁棒部材67の一部であり、弁棒部材67と一体形成されている。
弁体68は、上端部68Bの側を先にして、肩部68Aに円筒状の塑性変形リング部材99を装着された状態で、弁体受入孔96内に挿入されている。
塑性変形リング部材99は、弁棒部材67を構成する材料の硬度より低硬度の塑性材料によって構成されている。この塑性変形リング部材99を構成する塑性材料としては、軟質の金属材料、発泡金属等の多孔質金属、金網積層材、その他、塑性樹脂材が挙げられる。
弁棒部材67がステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属製である場合、塑性変形リング部材99は、弾性限度が鉄系金属の約1/10程度である純アルミニウム材あるいはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属であることが好ましい。
かしめ片98を、図16に示されているように、内径側にかしめ変形させることにより、弁体68が塑性変形リング部材99を介して弁棒部材67に対してかしめ結合される。
このかしめ結合状態では、弁体68の上端部68Bが弁体受入孔96の底部97に突き当たり接触し、塑性変形リング部材99は、弁体68の肩部68Aとかしめ変形したかしめ片98との間に挟まれ、かしめ荷重を軸力荷重として受け止める。これにより、かしめ荷重は、この塑性変形リング部材99を介して弁体68に作用する。
上述したように、弁体68と弁棒部材67のかしめ片98との間に、これらより軟らかい塑性変形リング部材99を挟み込んでかしめるため、塑性変形リング部材99の弾性限度以上のかしめ荷重は、塑性変形リング部材99の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材99の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁体68に作用することが未然に回避される。これにより、弁体68に割れが生じることなく、弁体68を弁棒部材67に確実にかしめ装着することができる。
また、かしめ前は、弁体68の肩部68Aの平滑度が悪く、2点位でしか弁体68と塑性変形リング部材99とが当たっていなくても、かしめることにより、弁棒部材67や弁体68より軟らかい塑性変形リング部材99がかしめ荷重によって塑性変形し、弁体68と塑性変形リング部材99とが全周均一当接関係で、その全周に均一にかしめ荷重が掛かった状態で固定できる。
このことにより、弁体68をセラミックスの焼成のままの状態で、塑性変形リング部材99が当接する肩部68Aが多少歪んでいる状態でも使用できるようになり、セラミックス製の弁体68の焼成後の2次研磨加工が不要となり、部品コストを大幅削減できる。
また、セラミックス製の弁体68を弁棒部材67に全周均一に荷重が掛かった状態で固定できるため、弁体68の装着時および使用時に、弁体68に応力集中が起きず、過大な荷重がかからないため、弁体68に割れ、クラックが生じることがなく、取付構造の信頼性も向上する。
具体的には、塑性変形リング部材99を用いずに、直接、鉄鋼製のかしめ片98をかしめると、かしめ荷重のすべてが弁体68に加わることとなり、弁体68を部分的にしか押さえられないため、応力集中により、セラミックスが割れ易くなる。これに対し、弁棒部材67が鉄鋼材料で、塑性変形リング部材99が純アルミニウム材の場合、純アルミニウムの弾性限度は、鉄鋼材料の弾性限度の約1/10であり、純アルミニウム製の塑性変形リング部材99を挟み込んで、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重でかしめると、塑性変形リング部材99が塑性変形し、純アルミニウムの弾性限度以上の荷重が弁体68に作用することがない。これにより、弁体68に割れが生じることなく、弁体68を弁棒部材67に確実にかしめ装着することができる。
セラミックス製の弁体68の固定にかしめを採用したことで、繰返し温度サイクルを受けても、かしめ締結部が、ねじ結合部のように緩むことがなく、信頼性、耐久性がよい確実な組み付け状態を、ねじ込みトルクの厳重な管理等を必要とすることなく、容易に得ることができる。
しかも、塑性変形リング部材99は、弾性変形部材とは異なり、純アルミニウム等による塑性変形部材であるなら、繰返し衝撃、経時変化、繰返し温度サイクルを受けてもへたるような経時劣化を生じることがなく、長期間に亘って安定した性能を得ることができる。
この実施形態でも、がた付きができる要因として、温度変化による熱膨張率の差があげられる。しかし、アンモニア冷媒を用いた冷凍サイクル装置の電動式膨張弁としての使用では、実使用温度差は、100℃以下で、十分小さい温度差であり、がた付きとしては、ほとんどゼロに近い所であり問題ない。また、実使用温度差が100℃以下と小さいため、温度差がついても、熱膨張率差による発生応力は微小であり、弁体68に割れ、クラックを生じさせることはない。
また、この実施形態でも、セラミックス製の弁座部材57と金属製の内側弁ハウジング52のかしめ片93との間に、これらより軟らかい塑性変形リング部材95を挟み込んでかしめられている。これにより、塑性変形リング部材95の弾性限度以上のかしめ荷重は、塑性変形リング部材95の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材95の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁座部材57に作用することが未然に回避される。
したがって、この実施形態でも、弁座部材57に割れが生じることなく、弁座部材57を内側弁ハウジング52に確実にかしめ装着することができ、前述の実施形態と同等の効果を得ることができる。
つぎに、この発明による弁装置をアンモニア冷媒用の電動式膨張弁として適用したさらに他の実施形態を、図17〜図19を参照して説明する。なお、図17〜図19において、図11、図12に対応する部分は、図11、図12に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
この実施形態では、図11、図12に示されている実施形態と同様に、弁棒部材67の大径部67Bの外周部に、内側にセラミックス製の弁体68を収容した金属製の弁体装着用筒体69が圧入され、弁体装着用筒体69が溶接部70による溶接によって固着されている。
弁体68の上端部68Bと弁棒部材67の下端部67Cとの間の間隙72(図12参照)に相当する部分に、図18に示されているように、塑性変形リング部材101が挟まれている。
塑性変形リング部材101は、弁棒部材67を構成する材料の硬度より低硬度の塑性材料によって構成されている。この塑性変形リング部材101を構成する塑性材料としては、軟質の金属材料、発泡金属等の多孔質金属、金網積層材、その他、塑性樹脂材が挙げられる。
弁棒部材67がステンレス鋼、軟鋼等の鉄系金属製である場合、塑性変形リング部材101は、弾性限度が鉄系金属の約1/10程度である純アルミニウム材あるいはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属であることが好ましい。
これにより、塑性変形リング部材101の弾性限度以上の圧入荷重は、塑性変形リング部材101の塑性変形により吸収され、塑性変形リング部材101の弾性限度以上の荷重がセラミックス製の弁体68に作用することが未然に回避される。
したがって、弁体68に割れが生じることなく、弁体68を弁棒部材67に確実にかしめ装着することができる。
この固定方法でがた付きができる要因として、温度変化による熱膨張率の差があげられる。しかし、アンモニア冷媒を用いた冷凍サイクル装置の電動式膨張弁としての使用では、実使用温度差は、100℃以下で、十分小さい温度差であり、がた付きとしては、ほとんどゼロに近い所であり問題ない。また、実使用温度差が100℃以下と小さいため、温度差がついても、熱膨張率差による発生応力は微小であり、弁体68に割れ、クラックを生じさせることはない。また、がた付きができたとしても、圧縮コイルばね71が挟まれているから、弁体68ががた付くことがない。
この実施形態による弁体68および弁座部材57の取付構造は、図20に示されているように、フランジ継手部材102、103を有する型式の電動式膨張弁にも、同様に適用可能である。
つぎに、弁ハウジング11、51、内側弁ハウジング52と、弁座部材21、57と、塑性変形リング部材45、99の熱膨張率差によるかしめ部のがた付き、応力発生について、考察する。弁ハウジング11、51、内側弁ハウジング52と、弁座部材21、57と、塑性変形リング部材45、99の各部品に材料の違いによる熱膨張率に差があるため、実使用時に温度変化した場合、隙間の発生によるがた付きが発生する場合と、各部品に応力(熱応力)が発生する場合とがある。
これは、弁座固定部の3部品の熱膨張率差および3部品の縦方向の寸法比率により、温度上昇時には熱応力、温度下降時にはがた付きとなる場合と、逆に温度上昇時にはがた付き、温度下降時には熱応力となる場合とが出てくる。また、その熱応力値、がた付きの量も、3部品の熱膨張率差、部品の縦方向の寸法比率および温度変化量により変わってくる。
図1、図2に示されているような弁座部材固定部について説明すると、温度変化による弁座部材21のかしめ固定部縦方向の寸法変化量の計算式は、弁ハウジング11に形成されている弁座部材受入孔41の長さ寸法変化量αから、塑性変形リング部材45の長さと弁座部材21の固定部長さの2部品長さの温度変化による寸法変化量の総和(β+γ)を引いた値δが、マイナスであると熱応力となり、プラスであると隙間の発生によるがた付きとなる。
各部品の寸法変化量は、(各部品の固定部長さ)×(各部品の熱膨張率)×(温度変化量)で計算できる。したがって、
α=(弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の長さ)×(弁ハウジング11の熱膨張率)×(温度変化量)
β=(塑性変形リング部材45の長さ)×(塑性変形リング部材45の熱膨張率)×温度変化量)
γ=(弁座部材21の固定部長さ)×(弁座部材21の熱膨張率)×(温度変化量)
となる。なお、熱膨張率は、各材料固有の値である。
差値δは、各部品が上下方向に拘束されていない場合の計算であり、実際は、上下方向に拘束されているため、差値δがマイナスの場合、αより(β+γ)の方が大きくなるということは、弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の長さ部は、上下への引張応力となり、塑性変形リング部材45と弁座部材21の2部品には上下方向の圧縮応力が発生することとなる。
差値δがプラスの場合、αより(β+γ)の方が小さくなるということは、弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の長さ部と塑性変形リング部材45と弁座部材21の部品間に、上下方向の隙間が発生することとなり、がた付きとなる。
弁座部材21と塑性変形リング部材45は、弁ハウジング11に上下方向(縦方向)で挟まれているため、挟まれている塑性変形リング部材45の長さと弁座部材21の固定部長さの2部品長さの温度変化による寸法変化量の総和(β+γ)が、弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の長さの寸法変化量αと近くなる様に、3部品の縦方向の寸法比率を変えて構成することにより、3部品の材質が異なっていることで熱膨張率が異なっていても、温度変化による熱応力、がた付きの発生を最小限に小さく設定でき、より信頼性のある固定方法となる。
例えば、図2〜図6に示されているように、弁座部材21と塑性変形リング部材45の寸法比率を変えること(弁座部材受入孔41の長さを変えずに、弁座部材21の固定部長さを長くし、塑性変形リング部材45の長さを短くする)で、応力値、隙間は軽減される。また、図6の状態から塑性変形リング部材45の長さを変えずに、弁座部材受入孔41の長さと弁座部材21の固定部長さをもっと長くすることで、更に応力値、隙間は軽減されることになる。
弁ハウジング11を軟鋼材料、弁座部材21を部分安定化ジルコニアセラミックス、塑性変形リング部材45を純アルミニウムとすると、熱膨張率は、ほぼ軟鋼材料熱膨張率=部分安定化ジルコニア熱膨張率=純アルミニウム熱膨張率/2.3の関係にあるため、純アルミニウムの長さを短くするほど、また鉄鋼材料と部分安定化ジルコニア材料の長さを長くするほど、応力値、隙間は軽減される方向となる。
また、弁ハウジング11をステンレス鋼材、弁座部材21を部分安定化ジルコニアセラミックス、塑性変形リング部材45を純アルミニウムとした場合、熱膨張率は、ほぼステルス鋼材熱膨張率/1.7=部分安定化ジルコニア熱膨張率=純アルミニウム熱膨張率/2.3の関係にあるため、差値δが0に近くなるような3部品の寸法の関係にもっていくことで、応力値、隙間は軽減される方向となる。
弁座部材受入孔41の長さをLa、塑性変形リング部材45の長さをLbとすると、弁座部材21の固定部長さはLa一Lbとなり、温度差一定で、αと(β+γ)の差値δを0にするためには、2.3×Lb+(La一Lb)=1.7×La、Lb(2.3−1)=La(1.7−1)より、Lb/La=0.7/1.3の関係となるLa、Lbとすると、応力値、隙間はゼロとなる。
なお、弁座部材21の固定部長さとは、弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の底部42から弁座部材21の段差端面21Dまでの弁座部材21の長さのことである。
また、弁ハウジング11の弁座部材受入孔41の長さとは、弁座部材受入孔41の底部42から、かしめ片43をかしめて塑性変形リング部材45に当接した部分までの弁ハウジング11の長さのことである。
上述したかしめ部のがた付き、応力発生は、同機に、電動弁の弁体56のかしめ固定部でも、同じことが言える。
次に、この発明による冷凍サイクル装置の一つの実施形態を、図21を参照して説明する。
この実施形態による冷凍サイクル装置は、圧縮機201と、凝縮器(室外熱交換器)202と、膨張弁203と、蒸発器(室内熱交換器)204と、これらをループ接続する冷媒通路205〜208とを有する。
この冷凍サイクル装置では、アンモニア冷媒が用いられ、空気調和装置(冷房)や冷凍・冷蔵庫等を構成する。
膨張弁203としては、上述したこの発明による温度式膨張弁あるいは電動式膨張弁が用いられる。
なお、上述したこの発明による温度式膨張弁あるいは電動式膨張弁が適用される冷凍サイクル装置は、図21に示されているような冷凍サイクル装置に限られることはなく、室内機に二つの熱交換器が直列接続され、その二つの熱交換器間に追加の膨張弁を有する空気調和装置等の冷凍サイクル装置にも適用可能である。