しかしながら、上述したマンホール内副管装置では、施工こそ容易であるが、このマンホール内副管装置がマンホールの内側面より内側に突出しているため、このマンホール内での維持管理の邪魔になってしまうおそれがある。
特に、このマンホールの内径寸法が比較的小さい場合には、このマンホール内での作業が容易ではない。また、このマンホール内に取り付けられたポンプのバッフル装置の場合には、比較的小型であるが、このバッフル装置の施工性が余り良くない。
さらに、このポンプに施工の容易なマンホール内副管装置を用いた場合には、このマンホールポンプに接続される流出管をマンホール内に配管しなければならないから、さらにマンホール内が狭くなり、このマンホールポンプの維持管理がほとんどできなくなってしまうという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、施工性が良く、小型で、マンホール内での作業の邪魔になりにくい排水装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の排水装置は、略筒状のマンホール本体と、このマンホール本体の側面部に設けられ前記マンホール本体内へと排水を流入させる流入管とを具備したマンホール内に取り付けられる排水装置であって、前記マンホールのマンホール本体の周方向に長径方向を沿わせた状態で、このマンホール本体の内側面に取り付けられる断面略扁平円形状の本体部と、この本体部に設けられ前記流入管に連通して取り付けられる流入口と、この流入口に連通しつつ前記マンホールのマンホール本体の下端側に向けて開口し前記本体部の長径方向に沿った長径方向を有する断面略扁平円形状の接続口と、この接続口に上端部が取り付けられこの接続口に略等しい断面略扁平円形筒状の接続管とを具備したものである。
そして、断面略扁平円形状の本体部に設けた流入口を、マンホールのマンホール本体の側面部に設けた流入管に連通させるとともに、この本体部の長径方向に沿った長径方向を有する断面略扁平円形状の接続口を、マンホール本体の下端側に向けて開口させる。この状態で、マンホール本体の周方向に本体部の長径方向を沿わせた状態で、この本体部をマンホール本体の内側面に取り付けてから、接続口に略等しい断面略扁平円形筒状の接続管の上端部を接続口に取り付ける。このとき、断面略扁平円形状の本体部の長径方向がマンホール本体の周方向に沿っており、接続口が本体部の長径方向に沿った長径方向を有する断面略扁平円形状であり、接続管が接続口に略等しい断面略扁平円形状である。したがって、これら本体部、接続口および接続管それぞれのマンホール本体の内側面からの突出方向が、これら本体部、接続口および接続管それぞれの短径方向となる。よって、これら本体部、接続口および接続管が断面円状の場合に比べ、排水能力を維持しつつ、これら本体部、接続口および接続管のそれぞれがマンホール本体の内側面から余り突出しなくなる。この結果、これら本体部および接続管の施工性が良く小型になるから、これら本体部および接続管がマンホール内での作業の邪魔になりにくい。
請求項2記載の排水装置は、請求項1記載の排水装置において、接続管の下端部は、この接続管の上端部に対して湾曲しているものである。
そして、接続管の下端部が、この接続管の上端部に対して湾曲していることにより、マンホールの流入管から流れ込む排水の勢いを、接続管の下端部の湾曲した部分で抑制できる。このため、このマンホールの流入管から流れ込む排水がマンホール本体の底部に勢い良く当たらなくなるので、このマンホールの底部の侵食などを抑制できる。
請求項3記載の排水装置は、請求項1記載の排水装置において、接続管の下端部に取り付けられ、この接続管の下端部を湾曲させる湾曲継手を具備したものである。
そして、接続管の下端部に、この接続管の下端部を湾曲させる湾曲継手を取り付けることにより、マンホールの流入管から流れ込む排水の勢いを湾曲継手で抑制できる。このため、このマンホールの流入管から流れ込む排水がマンホール本体の底部に勢い良く当たらなくなるので、このマンホールの底部の侵食などを抑制できる。
請求項4記載の排水装置は、請求項1ないし3いずれか記載の排水装置において、本体部の軸方向に対して垂直な断面積は、流入管の軸方向に対して垂直な断面積に略等しいものである。
そして、本体部の軸方向に対して垂直な断面積を流入管の軸方向に対して垂直な断面積と略等しくすることにより、これら本体部および流入管の排水能力が略同じになるから、この流入管の排水能力を本体部にて維持できる。
請求項5記載の排水装置は、請求項1ないし3いずれか記載の排水装置において、本体部の軸方向に対して垂直な断面積は、流入管の軸方向に対して垂直な断面積より小さいものである。
そして、本体部の軸方向に対して垂直な断面積を流入管の軸方向に対して垂直な断面積より小さくすることにより、この本体部をより小型にできる。
請求項6記載の排水装置は、請求項1ないし5いずれか記載の排水装置において、接続管は、合成樹脂製で、ブロー成形にて成形されているものである。
そして、接続管を合成樹脂製としてブロー成形にて成形することにより、合成樹脂製の断面円形の筒体から接続管を容易に製造できるから、この接続管の製造を容易にできる。
請求項7記載の排水装置は、請求項1ないし5いずれか記載の排水装置において、接続管は、合成樹脂製で、押し出し成形にて成形されているものである。
そして、接続管を合成樹脂製として押し出し成形にて成形することにより、合成樹脂製の断面円形の筒体から接続管を容易に製造できるから、この接続管の製造を容易にできる。
請求項1記載の排水装置によれば、断面略扁平円形状の本体部の長径方向をマンホールのマンホール本体の周方向に沿わせ、接続口を本体部の長径方向に沿った長径方向を有する断面略扁平円形状とし、接続管を接続口に略等しい断面略扁平円形状としたことにより、これら本体部、接続口および接続管それぞれのマンホール本体の内側面からの突出方向が、これら本体部、接続口および接続管それぞれの短径方向となるから、排水能力を維持しつつ、これら本体部、接続口および接続管のそれぞれがマンホール本体の内側面から余り突出しなくなるため、これら本体部および接続管の施工性が良く小型になり、これら本体部および接続管がマンホール内での作業の邪魔になりにくくできる。
請求項2記載の排水装置によれば、マンホールの流入管から流れ込む排水の勢いを、接続管の下端部の湾曲した部分で抑制できるため、このマンホールの流入管から流れ込む排水がマンホール本体の底部に勢い良く当たらなくなるので、このマンホールの底部の侵食などを抑制できる。
請求項3記載の排水装置によれば、マンホールの流入管から流れ込む排水の勢いを湾曲継手にて抑制できるため、このマンホールの流入管から流れ込む排水がマンホール本体の底部に勢い良く当たらなくなるので、このマンホールの底部の侵食などを抑制できる。
請求項4記載の排水装置によれば、本体部の軸方向に対して垂直な断面積を流入管の軸方向に対して垂直な断面積と略等しくすることにより、本体部および流入管の排水能力が略同じになるから、この流入管の排水能力を本体部にて維持できる。
請求項5記載の排水装置によれば、本体部の軸方向に対して垂直な断面積を流入管の軸方向に対して垂直な断面積より小さくすることにより、この本体部をより小型にできる。
請求項6記載の排水装置によれば、接続管を合成樹脂製としてブロー成形にて成形することにより、合成樹脂製の断面円形の筒体から接続管を容易に製造できるから、この接続管の製造を容易にできる。
請求項7記載の排水装置によれば、接続管を合成樹脂製として押し出し成形にて成形することにより、合成樹脂製の断面円形の筒体から接続管を容易に製造できるので、この接続管の製造を容易にできる。
本発明の第1の実施の形態の排水装置の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
図1ないし図5において、1は排水装置としてのバッフル装置で、このバッフル装置1は、下水道の中継施設で、地表面GL下に埋設されたマンホール2内に設置されて取り付けられるマンホール内排水装置である。すなわち、このバッフル装置1は、マンホール2内に流入する排水としての下水の飛散や侵食、騒音などを防止するものであり、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂にて成形されている。
ここで、このマンホール2は、コンクリート製で、例えば2号マンホールである。そして、このマンホール2は、図1および図6に示すように、細長略円筒状のマンホール本体3を備えている。このマンホール本体3は、軸方向を上下方向である鉛直方向に沿わせた状態で、地表面GL下である地中に埋設されている。また、このマンホール本体3の軸方向の一端側である上端側には、このマンホール本体3の上端側を縮径させる円錐面状の縮径部4が設けられている。この縮径部4は、マンホール本体3の上端側に向けて内径寸法および外径寸法のそれぞれを徐々に縮径させたテーパ状に形成されている。
また、この縮径部4の上端側には、マンホール本体3の上側を開口させる挿通開口5が設けられている。この挿通開口5は、マンホール本体3に開口されており、地表面GLに沿っている。また、この挿通開口5には、この挿通開口5を開閉可能にする円盤状の蓋体6が取り外し可能に取り付けられている。この蓋体6は、この蓋体6の表面側である上側面を地表面GLに沿わせた状態で、挿通開口5に嵌脱可能に嵌合されている。
また、マンホール本体3の側面部を構成する円筒状の壁面部7には、このマンホール本体3の厚さ方向である径方向に貫通した流入開口8が開口形成されている。この流入開口8は、マンホール本体3内へと下水を流入させる開口部であり、マンホール本体3の上下方向である高さ方向の中央部に設けられている。そして、この流入開口8には、細長円筒状の流入管9が取り付けられている。したがって、この流入管9は、流入開口8からマンホール本体3内に下水を流入させる流入管路として機能する。ここで、この流入管9は、合成樹脂製であり、円形状の断面を有する細長円筒状の管体である。
さらに、この流入管9とマンホール2の流入開口8との間には、この流入管9の一端である下流側をマンホール2の流入開口8に同心状に取り付けさせる取付部材としての円筒状のマンホール継手11が取り付けられている。このマンホール継手11は、マンホール2の流入開口8内に挿入されており、このマンホール継手11内に流入管9の下端側が嵌合されている。すなわち、この流入管9の下流側は、マンホール継手11にて支持されてマンホール本体3の壁面部7の内側面に対して略面一となるように取り付けられている。
また、マンホール本体3の軸方向の他端側である下端側には、このマンホール本体3の下端側を閉塞する底面部12が設けられている。そして、この底面部12上には、この底面部12上であるマンホール本体3内に貯留される下水が流れる流路を形成する流路形成体13がコンクリートにて打設されている。この流路形成体13は、マンホール2の流入開口8から流入される下水を、このマンホール2の底面部12上の中央部へと導く。すなわち、この流路形成体13の中央部には、上面視円形状の流路凹部14が設けられている。
そして、この流路形成体13の流路凹部14には、マンホール2内に貯留された下水を汲み上げて外部へと排出させる装置であるポンプ15が取り付けられている。このポンプ15には、細長円筒状の流出管16の一端である上流端が接続されている。この流出管16は、マンホール2の壁面部7に沿って、このマンホール2の上方へと配管されており、このマンホール2の壁面部7の上方において、この壁面部7を貫通して外部へと下流端を突出させている。さらに、このマンホール2内に配管されている流出管16の上流側には、この流出管16が開閉可能な弁装置としての止水弁17が取り付けられている。
一方、バッフル装置1は、マンホール2の壁面部7の内側から、このマンホール2の流入開口8に取り付けられている。そして、このバッフル装置1は、本体としての本体部であるバッフル本体21を備えている。このバッフル本体21は、軸方向に対して垂直な断面である水平断面が略扁平円形状である。また、このバッフル本体21は、流入管9の軸方向に対して垂直な断面の断面積に略等しい断面積を有する略扁平円筒形状としての断面楕円状に形成されている。具体的に、このバッフル本体21は、このバッフル本体21の排水能力を維持しつつ、このバッフル本体21を小型化するために、このバッフル本体21の水平断面の長軸と短軸との比が、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは2.0の楕円形とされている。
ここで、図5に示すように、このバッフル本体21の断面積を、例えば塩化ビニル管としてのVU管であるVU150(内径154mm,断面積5929π)に略等しくする場合には、このバッフル本体21の長軸と短軸との比を1.5とすると、このバッフル本体21の長軸が189mm程度となり短軸が126mm程度となる。また、このバッフル本体21の長軸と短軸との比2.0とした場合には、このバッフル本体21の長軸が220mm程度となり短軸が110mm程度となって、このバッフル本体21の断面積が6050πとなる。さらに、このバッフル本体21の長軸と短軸との比を2.5とした場合には、このバッフル本体21の長軸が245mm程度となり、短軸が98mm程度となる。
さらに、このバッフル本体21は、このバッフル本体21の長手方向である長径方向をマンホール2の壁面部7の周方向に沿わせた状態で、この壁面部7の内側面に取り付けられている。そして、このバッフル本体21の短径方向の一側面には、マンホール2の流入管9の下流端に連通される流入口としての円形状の排水流入口22が開口形成されている。この排水流入口22は、バッフル本体21の軸方向および長径方向それぞれに直交する方向である、このバッフル本体21の短径方向に向けて開口している。
また、この排水流入口22は、マンホール2の流入管9の下流端が嵌合される程度の内径寸法、すなわちこの流入管9の外径寸法より若干大きな内径寸法を有している。言い換えると、この排水流入口22は、流入管9の呼び径寸法に略同等の呼び径寸法を有している。さらに、この排水流入口22の開口外縁には、この排水流入口22をマンホール2の流入管9に連通させた状態で、このマンホール2の壁面部7の内側面にバッフル本体21を取り付けさせて固定させるフランジ部としての環状のサドル部23が設けられている。
このサドル部23は、排水流入口22の周方向に沿った全周に亘って設けられている。また、このサドル部23は、バッフル本体21の軸方向をマンホール2の上下方向に沿わせた状態で、このバッフル本体21をマンホール2の壁面部7の内側面に取り付けさせる。すなわち、このサドル部23は、上面視でマンホール2の壁面部7の内側面の周方向に沿って湾曲した円弧状に形成されている。言い換えると、このサドル部23は、マンホール2の壁面部7の内側面に沿った湾曲面形状に形成されている。
さらに、このサドル部23は、正面視略矩形状に形成されている。そして、このサドル部23の各角部には、このサドル部23をマンホール2の壁面部7に取り付けさせる取付孔24が穿設されている。これら取付孔24のそれぞれには、固定用のボルトなどの固定手段としての図示しないコンクリート釘などが挿入されてマンホール2の壁面部7に打ち込まれて、この壁面部7にサドル部23を取り付けさせて固定させる。
そして、このサドル部23の排水流入口22の開口方向に向いた一側面には、この排水流入口22の周方向に沿った保持部としての円環状の保持凹部25が設けられている。この保持凹部25には、水密保持部材としての円環状のパッキン26が取り付けられている。このパッキン26は、バッフル本体21の排水流入口22をマンホール2の流入開口8に水密に接続させる。すなわち、このパッキン26は、バッフル本体21の排水流入口22を流入管9の下流端に水密に接続させる。
また、このバッフル本体21の軸方向の一端である上端側には、このバッフル本体21内を開口させて掃除可能にする掃除口27が設けられている。この掃除口27は、バッフル本体21内へと下水を流入させる際の空気抜き用の孔でもある。そして、この掃除口27は、バッフル本体21の短径寸法よりも若干小さな内径寸法を有する断面円形の円筒状に形成されている。また、この掃除口27は、バッフル本体21の上端側に向けて突出しており、このバッフル本体21の長手方向である長径方向の中央部に設けられている。さらに、この掃除口27は、図3に示すように、バッフル本体21の上端側を徐々に円弧状に縮径させた部分の上端部に設けられている。そして、この掃除口27には、この掃除口27を開閉可能にする図示しない蓋体が必要に応じて着脱可能に外嵌合されて取り付けられる。
さらに、この掃除口27の反対側に位置するバッフル本体21の軸方向の他端である下端側には、このバッフル本体21の断面に略等しい接続口としての断面楕円状の縦管接続口28が設けられている。この縦管接続口28は、バッフル本体21の外寸法に等しい内寸法を有する断面楕円状に形成されており、このバッフル本体21の長径寸法に沿った長径寸法を有している。そして、この縦管接続口28は、サドル部23よりもバッフル本体21の外側面側に向けて離間された位置に設けられている。
また、この縦管接続口28は、バッフル本体21の下端側に向けて突出して開口した楕円筒状に形成されており、このバッフル本体21を介して排水流入口22に連通している。すなわち、この縦管接続口28は、バッフル本体21の軸方向に沿って開口しているとともに、このバッフル本体21の短径方向および長径方向のそれぞれに直交する方向に開口している。言い換えると、この縦管接続口28は、排水流入口22の開口方向に直交する方向に向けて開口している。
このとき、この縦管接続口28をマンホール2の底面部12側に向けた状態で、このマンホール2の壁面部7の内側面にバッフル本体21が取り付けられている。そして、この縦管接続口28には、細長筒状の接続管としての縦管である扁平円筒管31の軸方向の一端部が内嵌合されて接着固定されて取り付けられている。この扁平円筒管31は、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂製であって、ブロー成形あるいは押し出し成形にて成形されている。また、この扁平円筒管31は、バッフル本体21の断面形状に略等しい上面視断面楕円状を有する細長筒体である。
そして、この扁平円筒管31は、この扁平円筒管31の一端である上流側をバッフル本体21の縦管接続口28に内嵌合させて取り付けられた状態で、この扁平円筒管31の他端である下流側をマンホール2の流路形成体13の表面に近接した位置まで突出させて延出させる。すなわち、この扁平円筒管31は、この扁平円筒管31の上流側をバッフル本体21の縦管接続口28に嵌合させた状態で、マンホール2の壁面部7の軸方向に沿って、このマンホール2の底面部12側に扁平円筒管31を延出させて、この扁平円筒管31から流入される下水のマンホール2内での飛散や、マンホール2の底面部12の侵食、騒音などを防止させる。
次に、上記第1の実施の形態の排水装置の作用について説明する。
まず、流入管9からマンホール2内へと流入してくる下水は、この流入管9からバッフル装置1の排水流入口22から、このバッフル装置1のバッフル本体21内へと流れていく。
そして、このバッフル本体21内へと流れ込んだ下水は、この下水自体に作用する自重、あるいはバッフル本体21の排水流入口22の反対側の内側面などに衝突して、このバッフル装置1の縦管接続口28を介して扁平円筒管31内へと流れ込む。
さらに、この扁平円筒管31内へと流れ込んだ下水は、この扁平円筒管31の下端部から排出されてマンホール2内に貯留される。このため、流入管9からマンホール2内へと下水が流入する際に生じ得る、この下水の飛散や、マンホール2の底面部12および流路形成体13の侵食、騒音などがバッフル装置1にて防止される。
そして、このマンホール2内に貯留されている下水は、ポンプ15にて汲み上げられて流入管9を介してマンホール2の外部へと排出される。
また、バッフル装置1内を点検あるいは掃除などする場合には、まずマンホール2の挿通開口5から蓋体6を取り外して、この挿通開口5を開口させる。
次いで、この挿通開口5からマンホール2内へと入る。このとき、このマンホール2内のバッフル装置1の掃除口27に蓋体が取り付けられている場合には、この掃除口27から蓋体を取り外して、この掃除口27を開口させて、バッフル装置1のバッフル本体21内を点検あるいは掃除可能とする。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、マンホール2の流入開口8に取り付けられるバッフル装置1のバッフル本体21の水平断面を、マンホール2の流入管9の断面積に略等しい断面積を有する略扁平円形状とした。さらに、このバッフル装置1の縦管接続口28と、この縦管接続口28に接続される扁平円筒管31とのそれぞれの水平断面をも、バッフル本体21の水平断面に等しい形状の略扁平円形状とした。このとき、これらバッフル装置1および扁平円筒管31それぞれの断面積を流入管9の断面積と略等しくすることにより、これらバッフル装置1および扁平円筒管31と流入管9の排水能力とが略同じになる。
したがって、このバッフル装置1のバッフル本体21の長手方向をマンホール2の壁面部7の周方向に沿わせつつ、このバッフル装置1の縦管接続口28を下方に向けた状態で、このバッフル装置1の排水流入口22をマンホール2の流入管9に連通させて取り付けるとともに、このバッフル装置1の縦管接続口28に扁平円筒管31の一端部である上端側を接続させる。
この結果、このバッフル装置1のバッフル本体21、縦管接続口28および扁平円筒管31それぞれのマンホール本体3の壁面部7の内側面からの径方向に沿った突出方向が、これらバッフル本体21、縦管接続口28および扁平円筒管31それぞれの短径方向となる。このため、このバッフル装置1のバッフル本体21、縦管接続口28および扁平円筒管31それぞれの軸方向に対して垂直な水平断面が円状の場合に比べ、これらバッフル装置1および扁平円筒管31による排水能力を維持しつつ、これらバッフル装置1および扁平円筒管31のそれぞれがマンホール2の壁面部7の内側面から余り突出しなくなる。
よって、これらバッフル装置1および扁平円筒管31がより小型になってコンパクトになるから、これらバッフル装置1および扁平円筒管31を取り付ける際や点検あるいは掃除時などの施工性を向上できる。さらに、これらバッフル装置1および扁平円筒管31がマンホール2内に余り突出しなくなるので、このマンホール2内に作業者が入って作業する際に、これらバッフル装置1や扁平円筒管31が邪魔になりにくくなるから、このマンホール2の維持管理を容易にできる。
また、軸方向に垂直な水平断面が略扁平円形状の扁平円筒管31を合成樹脂製とし、この扁平円筒管31はブロー成形あるいは押し出し成形にて成形される構成とした。この結果、水平断面が略扁平円形状の扁平円筒管31であっても、既存の規格の断面円形状の管をブロー成形するだけで扁平円筒管31を製造でき、あるいは既存の図示しない押出成形装置にてサイジングダイを使用するだけで扁平円筒管31を製造できるから、この扁平円筒管31の製造を容易にできる。
さらに、バッフル装置1および扁平円筒管31の水平断面を、長軸と短軸との比が1.5以上2.5以下の楕円形状とすることにより、これらバッフル装置1および扁平円筒管31の排水能力を維持しつつ、これらバッフル装置1および扁平円筒管31のそれぞれをコンパクトにするのに適した形状となる。
なお、上記第1の実施の形態では、これらバッフル装置1および扁平円筒管31の断面積をマンホール2の流入管9の断面積と略等しくしたが、これらバッフル装置1および扁平円筒管31の断面積をマンホール2の流入管9の断面積より小さくすることもできる。この結果、これらバッフル装置1および扁平円筒管31をより小型としながら、これらバッフル装置1および扁平円筒管31の排水能力を実用上問題ない水準にできる。
さらに、上記第1の実施の形態では、扁平円筒管31の下端側をマンホール2の底面部12に対向するように直線的に突出させた構成について説明したが、図7に示す第2の実施の形態のように、扁平円筒管31の下端側を屈曲させた構成とすることもできる。この場合、この扁平円筒管31のバッフル装置1の縦管接続口28に接続される上端側の反対側に位置する下端側は、この扁平円筒管31の軸方向に対して略直角、例えば50゜以上85゜以下の角度に湾曲されている。すなわち、この扁平円筒管31の下端側は、この扁平円筒管31の上端側の軸方向に略直交する軸方向を有している。
このとき、マンホール2の壁面部7には、このマンホール2の流入開口8から流入される下水を排出させる流出開口41が設けられている。この流出開口41は、流入開口8に対向する位置であるとともに壁面部7の下端側に設けられている。また、この流出開口41は、マンホール2の壁面部7の厚さ方向に向けて貫通している。さらに、この流出開口41には、マンホール2内に貯留された下水を外部へと流出さえる細長円筒状の流出管42が取り付けられている。この流出管42は、この流出管42の下流側をマンホール2の壁面部7の外周面よりも外側に向けて突出させている。
さらに、マンホール2の底面部12上には、このマンホール2の流入開口8から流出開口41に向けて下方に傾斜したインバート部43が形成されている。このインバート部43は、流入開口8から流入される下水を流出開口41へと排出させる排水勾配を、マンホール2の底面部12上に形成させる。この結果、マンホール2の流入開口8から流入される下水の飛散などを防止するバッフル装置1の水平断面が略扁平円形状であるので、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、このバッフル装置1に接続される扁平円筒管31の下端側をマンホール2の流出開口41側に向けて屈曲させたことにより、マンホール2の流入開口8から流入される下水が効率良くマンホール2のインバート部43を介して流出開口41へと導かれて流出される。したがって、このマンホール2の流入管9から流れ込む下水の勢いを、扁平円筒管31の下端側の屈曲させた部分で抑制できる。したがって、このマンホール2の流入管9から流れ込む下水が、このマンホール2のインバート部43上に勢い良く当たらなくなるので、このインバート部43の侵食などを抑制できる。
ここで、図6に示すように、このマンホール2内にポンプ15が取り付けられている場合には、このポンプ15にてマンホール2内の下水を汲み上げるため、このポンプ15の下限スイッチレベルまでの所定量の下水をマンホール2内に貯留させておかなければならない。したがって、この場合には、扁平円筒管31の下端側を屈曲させる必要がない。これに対して、図7に示すように、バッフル装置1をマンホール内副管装置として利用する場合には、このマンホール2の底面部12上に勢い良く下水が直撃してしまうので、扁平円筒管31の下端側を屈曲させる必要がある。
なお、上記第2の実施の形態では、扁平円筒管31の下端側自体を屈曲させた構成について説明したが、この扁平円筒管31の下流側自体を屈曲させずに、側面視L字状に予め屈曲した屈曲継手としての図示しないエルボ体を、扁平円筒管31の下端部に取り付けて、この扁平円筒管31の下端側を屈曲させる構成としても、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、バッフル装置1の掃除口27は、蓋体を取り付けて閉塞しても、この掃除口27に蓋体を取り付けずに開口させておいてもよい。さらに、このバッフル装置1および扁平円筒管31の水平断面を楕円形状にしたが、これらバッフル装置1および扁平円筒管31の水平断面を、長方形の各角部を円弧状にして構成される扁平円形状としてもよい。
さらに、バッフル装置1を、作業者が内部に入ることができる程度の大きさの2号マンホール2に取り付けたが、内部に作業者が入ることができない大きさのマンホール、いわゆる小型マンホールであっても、バッフル装置1を取り付けることによって、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。