JP4394873B2 - 酸素に不安定な化合物を含有する固形組成物およびその安定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素に不安定な化合物を含有する固形組成物およびその安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
含窒素縮合複素環化合物は種々の医薬として用いられており、最近、ベンゼン環と4〜7員含窒素飽和複素環とが縮合した含窒素縮合複素環化合物、特に、ベンゾフラン環を窒素原子の置換基として有するイソインドリン化合物が神経再生促進薬および/または神経幹細胞等の分化促進薬等として研究されている。該化合物は、アルツハイマー病等の治療薬として注目をあびている。このような神経再生促進作用を有する含窒素縮合複素環化合物としては、例えば、WO00/34262などに記載された化合物が知られている。しかしながら、含窒素縮合複素環化合物、特に、イソインドリン化合物を含め、ベンゼン環と含窒素7員環以下の環が縮合した化合物は、ベンゼン環と含窒素8員環以上の環が縮合した化合物と比較して歪が大きく不安定である。例えば、製薬工程や製剤工程での粉砕などの過程では、表面積が大きくなり、酸素との接触面積が大きくなる。これにより、化合物中の飽和環が酸化され水素を放出して芳香環に変化するなどの現象が生じる。このように、これらの化合物は、固体状態では酸素に対して不安定であり、また光に対しても不安定である。
一方、一般的には、製剤(例、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤)では、製剤処方中の他成分との強い相互作用により、化合物単独以上に化合物の安定性が低くなる。このため、製造時および経日的な含量低下、着色変化が著しくなることが通常である。これらの不安定性を解消するために、製剤化検討において配合性試験等を行い、より適合性の良好な賦形薬が選択して、適切な安定化が図られる。しかしながら、これらの手法は一般的であるものの、適切な賦形薬の組み合わせによる処方および安定化策は、化合物特有の物性に支配されるため、特異的に検討を実施し取捨選択する必要があり、当業者といえども容易に得られるものではない。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第00/34262号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸素に不安定な化合物を含有する固形組成物を安定化することを目的とする。特に、本発明は、酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物を含有する固形組成物を安定化し、安定な製剤を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような事情に鑑み、酸素に対して不安定な含窒素縮合複素環化合物の安定化について検討した結果、該含窒素縮合複素環化合物のバルクが製剤化により安定化することを見出した。また、該含窒素縮合複素環化合物を含有する医薬組成物に遮光コーティングを施し、組成物の平衡水分をコントロールすることによって安定化が達成され、さらに、必要に応じて、▲1▼アスコルビン酸もしくはその塩を配合すること、および/または▲2▼いわゆるアンカーコーティングとして遮光剤を含まないフィルムを予め施すことにより安定化できることを見出した。さらに、これらの安定化法と包装形態での安定化と組み合わせることも有効であることを見出し、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) 酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物を含有する固形組成物であって、[1]平衡水分量が10%以上に保持すること、および/または[2]アスコルビン酸もしくはその塩を配合することにより安定化された固形組成物、
(2) 含窒素縮合複素環化合物が、式
【化4】
〔式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環はD以外に、ハロゲン、置換されていてもよい複素環または置換されていてもよい炭化水素基で置換されていてもよい4〜7員含窒素複素環を示し、Dは水素原子、置換されていてもよく、かつ縮合環を有していてもよい複素環基または置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩(以下、化合物(I)と称する場合がある)である上記(1)記載の固形組成物、
(3) 含窒素縮合複素環化合物がイソインドリン化合物である上記(1)記載の固形組成物、
(4) 含窒素縮合複素環化合物が(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン(以下、化合物Aと称する場合がある)、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(1−メチルエチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン(以下、化合物Bと称する場合がある)、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−ブロモフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン(以下、化合物Cと称する場合がある)またはその塩である上記(3)記載の固形組成物、
(5) 遮光フィルムコーティングされている上記(2)記載の固形組成物、
(6) 遮光剤を含まないフィルムコーティングを予め施されている上記(5)記載の固形組成物、
(7) 上記(1)〜(6)いずれか1項記載の固形組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1または2以上の包装形態で包装してなる包装製品、
(8) 式
【化5】
〔式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環はD以外に、ハロゲン、置換されていてもよい複素環または置換されていてもよい炭化水素基で置換されていてもよい4〜7員含窒素複素環を示し、Dは水素原子、置換されていてもよく、かつ縮合環を有していてもよい複素環基または置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩、およびアスコルビン酸またはその塩を含有し、フィルムコーティングを予め施すことなしに遮光フィルムコーティングされてあり、平衡水分量が10%以上である固形組成物が、窒素置換包装されてなる包装製品、
(9) 酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物を含む固形組成物の安定化方法であって、
[1]該固形組成物の平衡水分量を10%以上に保持すること、
[2]該固形組成物にアスコルビン酸もしくはその塩を配合すること、および/または
[3]該固形組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1もしくは2以上の包装形態で包装することを含む方法、
(10) 含窒素縮合複素環化合物が、式
【化6】
〔式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、B環はD以外に、ハロゲン、置換されていてもよい複素環または置換されていてもよい炭化水素基で置換されていてもよい4〜7員含窒素複素環を示し、Dは水素原子、置換されていてもよく、かつ縮合環を有していてもよい複素環基または置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕で表される化合物またはその塩である上記(9)記載の方法、
(11) 含窒素縮合複素環化合物がイソインドリン化合物である上記(9)記載の方法、
(12) 含窒素縮合複素環化合物が(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(1−メチルエチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−ブロモフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンまたはその塩である上記(9)記載の安定化方法、
(13) [1]酸素に不安定な化合物、および[2]該化合物よりも酸化され難い酸化防止剤を含有し、平衡水分量が10%以上に保持されている、安定化された固形組成物、
(14) 上記(13)記載の組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1もしくは2以上の包装形態で包装してなる包装製品、および
(15) 酸素に不安定な化合物を含有する固形組成物の安定化方法であって、
[1]該組成物の平衡水分量を10%以上に保持すること、
[2]該組成物に該化合物よりも酸化され難い酸化防止剤を配合することし、および/または
[3]該固形組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1もしくは2以上の包装形態で包装することを含む方法を提供する。
【0007】
さらに本発明は、
(16)B環が4〜5員含窒素複素環である上記(2)記載の医薬固形組成物、
(17)含窒素縮合複素環化合物が、式
【化7】
〔式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を、R1およびR2はそれぞれ水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3は置換基を有していてもよい芳香族基を、B’環はハロゲンまたは置換基を有していてもよい炭化水素基で置換されていてもよい4〜7員含窒素複素環を、C環はさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。〕で表される化合物またはその塩(以下、化合物(II)と称する場合がある)である上記(1)記載の医薬固形組成物、
(18)B環が4〜5員含窒素複素環である上記(9)記載の方法、および
(19)含窒素縮合複素環化合物が化合物(II)である上記(9)記載の方法も提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書における酸素に不安定な化合物には、酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物が包含される。かかる化合物としては、例えば、上記した化合物(I)、とりわけ、化合物(II)が挙げられる。これらの化合物は、光にも不安定である。化合物(II)は神経再生促進作用および/または神経幹細胞作用等を有する。
【0009】
化合物(I)におけるA環は「置換基を有していてもよいベンゼン環」であり、その「置換基」としては、例えば(1)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、(2)C1−3アルキレンジオキシ(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等)、(3)ニトロ、(4)シアノ、(5)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル、(6)ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル、(7)ハロゲン化されていてもよいC2−6アルキニル、(8)ハロゲン化されていてもよいC3−6シクロアルキル、(9)C6−14アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等)、(10)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ、(11)ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオまたはメルカプト、(12)ヒドロキシ、(13)アミノ、(14)モノ−C1−6アルキルアミノ(例、メチルアミノ、エチルアミノ等)、(15)モノ−C6−14アリールアミノ(例、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、(16)ジ−C1−6アルキルアミノ(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、(17)ジ−C6−14アリールアミノ(例、ジフェニルアミノ等)、(18)アシル、(19)アシルアミノ、(20)アシルオキシ、(21)置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ、(22)5ないし10員芳香族複素環基(例、2−または3−チエニル、2−,3−または4−ピリジル、2−,3−,4−,5−または8−キノリル、1−,3−,4−または5−イソキノリル、1−,2−または3−インドリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フラニル等)、(23)スルホ、(24)C6−14アリールオキシ(例、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等)等が挙げられる。A環は、これらの置換基を置換可能な位置に1ないし4個(好ましくは1または2個)有していてもよく、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
上記「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等)等が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル等が挙げられる。
【0010】
上記「ハロゲン化されていてもよいC2−6アルケニル」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC2−6アルケニル(例、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル等)等が挙げられる。具体例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル、4,4,4−トリフルオロ−1−ブテニル等が挙げられる。
上記「ハロゲン化されていてもよいC2−6アルキニル」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC2−6アルキニル(例、エチニル、プロパルギル、ブチニル、1−ヘキシニル等)等が挙げられる。具体例としては、エチニル、プロパルギル、ブチニル、1−ヘキシニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル、4,4,4−トリフルオロ−1−ブチニル等が挙げられる。
上記「ハロゲン化されていてもよいC3−6シクロアルキル」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)等が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4,4−ジクロロシクロヘキシル、2,2,3,3−テトラフルオロシクロペンチル、4−クロロシクロヘキシル等が挙げられる。
上記「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等)等が挙げられる。具体例としては、例えばメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0011】
上記「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルチオ」としては、例えば1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を有していてもよいC1−6アルキルチオ(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ等)等が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等が挙げられる。
上記「アシル」としては、例えばホルミル、カルボキシ、カルバモイル、C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニル等)、C3−6シクロアルキル−カルボニル(例、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等)、C6−14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、C7−16アラルキル−カルボニル(例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル等)、C6−14アリールオキシ−カルボニル(例、フェノキシカルボニル等)、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等)、5または6員複素環カルボニル(例、ニコチノイル、イソニコチノイル、2−テノイル、3−テノイル、2−フロイル、3−フロイル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、ピペリジノカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル等)、モノ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル等)、ジ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル等)、C6−14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル等)、チオカルバモイル、5または6員複素環カルバモイル(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイル等)、C1−6アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、C6−14アリールスルホニル(例、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等)、C1−6アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等)、C6−14アリールスルフィニル(例、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
上記「アシルアミノ」としては、例えばホルミルアミノ、C1−6アルキル−カルボニルアミノ(例、アセチルアミノ等)、C6−14アリール−カルボニルアミノ(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ等)、C1−6アルコキシ−カルボキニルアミノ(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ等)、C1−6アルキルスルホニルアミノ(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ等)、C6−14アリールスルホニルアミノ(例、フェニルスルホニルアミノ、2−ナフチルスルホニルアミノ、1−ナフチルスルホニルアミノ等)等が挙げられる。
【0012】
上記「アシルオキシ」としては、例えばC1−6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ等)、C6−14アリール−カルボニルオキシ(例、ベンゾイルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ等)、モノ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ等)、ジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ(例、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ等)、C6−14アリール−カルバモイルオキシ(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ等)、ニコチノイルオキシ等が挙げられる。
上記「置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ」の「5ないし7員飽和環状アミノ」としては、例えばモルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジン−1−イル、ピペリジノ、ピロリジン−1−イル等が挙げられる。該「置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ」の「置換基」としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等)、C6−14アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等)、5ないし10員芳香族複素環基(例、2−または3−チエニル、2−,3−または4−ピリジル、2−,3−,4−,5−または8−キノリル、1−,3−,4−または5−イソキノリル、1−,2−または3−インドリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フラニル等)等が1ないし3個挙げられる。
【0013】
化合物(I)のB環は「4〜7員含窒素複素環」であり、例えば、アゼチジン、アゼチジノン、ピロール(例、1H−ピロール等)、ジヒドロピロール(例、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール等)、ジヒドロピリジン(例、1,2−ジヒドロピリジン等)、テトラヒドロピリジン(例、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン等)、アゼピン(例、1H−アゼピン等)、ジヒドロアゼピン(例、2,3−ジヒドロ−1H−アゼピン、2,5−ジヒドロ−1H−アゼピン、2,7−ジヒドロ−1H−アゼピン等)、テトラヒドロアゼピン(例、2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン等)等の4〜7員含窒素複素環等が挙げられる。
B環は、D以外に「ハロゲン」、「置換されていてもよい複素環」または「置換されていてもよい炭化水素基」で置換されていてもよい。
該「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、炭素原子以外に窒素原子,硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含む5ないし14員複素環基(芳香族複素環基、飽和または不飽和の非芳香族複素環基)等が挙げられる。
該「芳香族複素環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば1ないし4個)を含む5ないし14員、好ましくは5ないし10員の芳香族複素環基等が挙げられる。具体的には、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ナフト[2,3−b]チオフェン、フラン、イソインドリジン、キサントレン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン等の芳香族複素環、またはこれらの環(好ましくは単環)が1ないし複数個(好ましくは1または2個)の芳香環(例、ベンゼン環等)と縮合して形成された環から任意の水素原子を除いてできる1価基等が挙げられる。
【0014】
「芳香族複素環基」の好ましい例としては、1個のベンゼン環と縮合していてもよい5または6員芳香族複素環基等が挙げられる。具体例としては、2−,3−または4−ピリジル、2−,3−,4−,5−または8−キノリル、1−,3−,4−または5−イソキノリル、1−,2−または3−インドリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フラニル、2−または3−チエニル等が挙げられる。さらに好ましくは、2−または3−チエニル、2−,3−または4−ピリジル、2−または3−キノリル、1−イソキノリル、1−または2−インドリル、2−ベンゾチアゾリル等である。
「非芳香族複素環基」としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等の3ないし8員(好ましくは5または6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等が挙げられる。
該「置換されていてもよい複素環基」の「置換基」としては、上記A環の「置換基」と同様のものが置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個用いられ、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、鎖状または環状炭化水素基(例、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール等)等が挙げられる。このうち、炭素数1ないし16個の鎖状または環状炭化水素基等が好ましい。
「アルキル」としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等)等が好ましい。
「アルケニル」としては、例えばC2−6アルケニル(例、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル等)等が好ましい。
「アルキニル」としては、例えばC2−6アルキニル(例、エチニル、プロパルギル、ブチニル、1−ヘキシニル等)等が好ましい。
「シクロアルキル」としては、例えばC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)等が好ましい。
「アリール」としては、例えばC6−14アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等)等が好ましい。
「置換されていてもよい炭化水素基」の「置換基」としては上記A環の置換基と同様なものを用いることができる。例えば、該「炭化水素基」は上記置換基を、置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0015】
式:
【化8】
〔式中、各記号は上記と同意義を示す。〕で表される基としては、より具体的には式:
【化9】
〔式中、R4およびR5は、同一または異なって、水素原子、ハロゲンまたは置換基されていてもよい炭化水素基を、A環は上記と同意義を示す。〕で表される基等が挙げられ、好ましくは式:
【化10】
〔式中、各記号は上記と同意義を示す。〕で表される基等、さらに好ましくは式:
【化11】
〔式中、各記号は上記と同意義を示す。〕で表される基等であり、中でも式:
【化12】
〔式中、各記号は上記と同意義を示す。〕で表される基等が特に好ましい。
イソインドリル化合物、すなわち、イソインドリンを部分構造としてい有する化合物が本発明に適用される代表的な化合物として挙げられる。
R4およびR5で示される「ハロゲン」または「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記B環の「置換基」としての「ハロゲン」または「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが用いられる。
【0016】
化合物(I)におけるDは、「水素原子」、「置換されていてもよく、かつ縮合環を有していてもよい複素環基」または「置換されていてもよい炭化水素基」である。
「置換されていてもよく、かつ縮合環を有していてもよい複素環基」の「置換基」および「複素環基」としては、上記B環に関して例示したと同様な基が使用でき、「縮合環」としては、例えば、芳香族複素環が1ないし複数個(好ましくは1または2個)の芳香環(例、ベンゼン環等)と縮合して形成された環から任意の水素原子を除いてできる1価基等が挙げられる。具体例としては、2−、3−、4−、5−または8−キノリル、1−、3−、4−または5−イソキノリル、1−、2−または3−インドリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フラニル等が挙げられる。
また、Dで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記B環の「置換基」としての「置換されていてもよい炭化水素基」と同様なものが挙げられる。
【0017】
化合物(II)におけるA環としては、化合物(I)におけるA環と同様なものが挙げられる。
化合物(II)におけるR1またはR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、化合物(I)におけるB環の「置換されていてもよい炭化水素基」と同様なものが挙げられる。
R3で示される「置換基を有していてもよい芳香族基」としては、例えば、「置換基を有していてもよいC6−14アリール」が挙げられ、「C6−14アリール」としては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、アンスリル等のC6−14アリール基等が挙げられる。該「置換基を有していてもよいC6−14アリール」の「置換基」としては、上記した化合物(I)におけるB環の「置換されていてもよい炭化水素基」の「置換基」と同様のものが同個数用いられる。
化合物(II)におけるB’環としては、上記化合物(I)におけるB環と同様なものが挙げられる。
化合物(II)におけるC環は、B’環以外に置換基を有していてもよいベンゼン環であり、該「置換基」としては、上記化合物(I)のA環における置換基と同様なものが挙げられる。
【0018】
特に、本発明は、イソインドリン化合物に対して好適であり、例えば、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン((R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)ベンゾフラン−5−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール)、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(1−メチルエチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン、(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−ブロモフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンまたはその塩に好適である。
【0019】
上記化合物(I)および(II)の塩としては、−COOH等の酸性基を有する場合には例えば金属塩、アンモニウム塩、有機塩基等との塩、−NH2等の塩基性基を有する場合には例えば無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸等との塩等の他分子内塩であってもよい。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
このうち、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩,カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩,マグネシウム塩,バリウム塩等)との塩等の無機塩、アンモニウム塩等、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸酸塩等の無機塩または、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等の有機塩が挙げられる。
化合物(I)および化合物(II)は、自体公知の方法、例えば、WO 98/55454、WO 00/36262、WO 95/29907、特開平5−194466号公報、USP 4,881,967、USP 4,212,865およびテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、37巻、51号、9183-9186頁、1996年等に記載の方法、またはこれらに準じた方法により製造することができる。
【0020】
本明細書における固形組成物としては、例えば、上記のような酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物を有効成分として含有する、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤等のような製剤が挙げられる。
包装製品としては、例えば、これらの製剤を所定の包装形態で包装した製品が挙げられる。
以下、本発明の固形組成物、包装製品および安定化方法を説明する。
【0021】
本発明の安定化方法の1つは、固形組成物の示す平衡水分量(ERH)を所定の値に保持することである。通常、固形組成物の水分値が高くなると成分が不安定になるため、低水分化による安定化を図ることが常である。ところが、予想外にも、本発明者の研究により、固形組成物の示すERHが低くならないようにコントロールすることで、酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物の酸化を抑制することが可能であり、安定化できることが見出された。固形組成物のERHをコントロールする方法は特に限定されるものではなく、いかなる方法をもってしてもかまわず、最終的に得られる固形組成物の示すERHが、例えば、ロトロニック社のRotronic HygrpskopDTを用いて下記実験例3に示す条件で測定したとき、10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上であればよい。ERHのコントロールは、例えば、固形組成物を製するときのプロセスコントロールで行ってもよいし、製造後に加湿等の工程を加え水分をコントロールしてもよい。また、固形組成物を包装し、包装形態中で加湿させて、所定のERHに到達させてもよい。「ERHを保持する」とは、必ずしも積極的に加湿することのみを意味するものではない。例えば、ERHが所望の値以上であれば、加湿操作を行う必要はない。
【0022】
本発明の安定化方法のもう1つは、「酸に不安定な化合物」よりも酸化され難い酸化防止剤を固形組成物に配合し、かつERHを所定の値以上に保持することである。通常、酸化防止剤としては、酸化を防止しようとする化合物よりも酸化され易い化合物が用いられる。これは、酸化防止剤に優先的に酸素を消費させるためである。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、酸化を防止しようとする化合物よりも酸化され易い化合物を配合し、かつERHを所定の値以上に保持することにより、「酸に不安定な化合物」の酸化が防止されることを見出した。
「より酸化され難い」とは、通常の研究室の環境下(例、大気下、温度25℃、湿度50%)において、その物質の重量の低下速度がより低いことをいう。この速度は、通常の研究室の環境下で、1週間放置した場合にその物質の重量が減少したパーセンテージによって表すことができる。
ERHは上記の方法と同様の方法により、上記と同様の値以上に保持すればよい。
このような酸化防止剤としては、酸化を防止しようとする「酸素に不安定な化合物」よりも酸化され難い酸化防止剤であれば、特に限定されず、汎用の酸化防止剤を用いることができる。このような酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸もしくはその塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、塩基性アミノ酸塩、メグルミン塩等)、亜硝酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、酢酸トコフェロール、システイン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、トコフェロール(ビタミンE)、d−δ−トコフェロール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、パルミチン酸アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、1,3-ブチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、没食子酸プロピル、2-メルカプトベンズイミダゾールが挙げられる。
本発明で用いられる酸化防止剤は、上記から明らかなように、酸化を防止しようとする「酸素に不安定な化合物」に応じて、選択することができる。
該「酸素に不安定な化合物」が含窒素縮合複素環化合物、なかでも化合物(I)または化合物(II)である場合、酸化防止剤として、より好ましくは、アスコルビン酸もしくはその塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、塩基性アミノ酸塩、メグルミン塩等)、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、システイン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ピロ亜硫酸ナトリウム、1,3-ブチレングリコールであり、特に好ましくはアスコルビン酸もしくはその塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、塩基性アミノ酸塩、メグルミン塩等)である。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの酸化防止剤は、製剤の適当な工程において、自体公知の方法により固形組成物の配合成分と混和すればよい。その配合量は、特に限定されないが、固形組成物全重量の0.01%以上、好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは1.0%以上、より好ましくは5.0%以上である。また、酸化防止剤は固形組成物中に配合されていればよく、その存在形態等は如何ようであってもよい。
【0023】
「酸素に不安定な化合物」が含窒素縮合複素環化合物、なかでも化合物(I)または化合物(II)である場合、自体公知の方法で、遮光コーティングを施すことが好ましい。遮光コーティングのコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)、セタノール、ポリビニルアルコール、ゼインが用いられる。遮光コーティングの遮光剤としては、酸化チタン、タルクが挙げられる。コーティングに用いられる他の素材としては、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、ポリエチレングリコール、リボフラビン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ゼラチン、マルチトール、セラックが挙げられる。なお、タルクは遮光剤として作用する他、可塑剤等の用途でも用いられる。
さらに、それに先立って遮光剤を含まないフィルムコーティングを予め施す、いわゆるアンカーコートを施すことで酸素と光に対してさらに良好な安定性を確保することができる。このようなアンカーコートには、上記したフィルムコーティングのフィルム基剤として挙げたものを用いることができる。例えば、錠剤の場合、錠剤表面に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いて0.1〜30mg/cm2、好ましくは1〜20mg/cm2、より好ましくは3〜10mg/cm2のコーティングを予め施し、次いで、その上にヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール6000、酸化チタン、色素等からなるフィルムコーティング液を約3〜10mg/cm2程度用いてフィルムコーティングする。このようにして得られた製剤は、長期間保存しても、外観変化は少なく、有効成分の含量の低下もほとんどない優れた安定性を示す。
【0024】
フィルムコーティングは、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的もまた有していてもよい。
【0025】
一般に、酸素に対して不安定な含窒素縮合複素環化合物は、単独でも、酸素存在下において速やかに酸化されてしまう。また、上記したように、通常、固形組成物での化合物の安定性は、化合物単独の場合の安定性よりも低くなる。ところが予想外にも、本発明者らの研究により、ここのような化合物の酸化が、常法による製剤化によって抑制できることが見出された。
【0026】
本発明の固形組成物の製造には、自体公知の製剤化方法(例えば、第10改正日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)を用いることができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤などの経口投与に適した剤形に製剤化することができる。例えば、錠剤の場合は、酸素に不安定な化合物と賦形剤、崩壊剤を加え、混合し、結合剤を加えて顆粒とし、これに滑沢剤を加えて打錠して錠剤とする。また、顆粒剤においても錠剤とほぼ同様な方法の押出造粒を行なうか、流動層造粒を行うか、あるいはノンパレル(白糖75%(W/W)およびコーンスターチ25%(W/W)を含む)に、水または、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤溶液(濃度:約0.5〜70%(W/V)を噴霧しながら酸素に不安定な化合物、および添加剤(例、白糖、コーンスターチ、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)を含有してなる粉状散布剤をコーティングすることにより得られる。カプセル剤の場合は単に混合して充填すればよい。
【0027】
本発明の固形組成物には、上記の酸化防止の他に、薬理学的に許容される担体または添加剤を用いてもよい。本発明の固形組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体または添加剤としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を用いることもできる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0028】
本発明の安定化方法のもう一つは、酸素透過を抑制する包装形態や、酸素以外の気体(例、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素)で置換する方法(ガス置換包装)、真空包装、脱酸素剤封入包装などの包装形態にすることである。これにより、固形組成物に直接接触する酸素量が低減され、安定化が図れる。脱酸素剤を封入する場合は、酸素が透過する材料で固形組成物を包装したのち、その包装品とともに新たな包装を施すことでもよい。可能な限りにおいて、上記の包装形態は、併用することができる。例えば、酸素透過を抑制する包装形態と、ガス置換包装と、脱酸素剤封入包装とは、併用することができる。
【0029】
上記した安定化方法を組み合わせることにより、さらなる安定化が可能になる。
ただし、「酸素に不安定な化合物」が化合物(I)または化合物(II)である場合、窒素ガス置換包装を採用すると、アンカーコート無しでも、アンカーコート有りの場合と同等の安定性が得られた。
【0030】
本発明で用いる含窒素縮合複素環化合物のうち、例えば、化合物(II)は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して、幹細胞(例、胚性幹細胞、神経幹細胞等)増殖促進物質、神経前駆細細胞分化促進物質として、または神経栄養因子様物質、神経栄養因子活性増強物質、神経変性抑制物質として、神経細胞死を抑制し、神経新生および神経軸索進展により神経組織・機能の再生を促進する。さらに移殖治療に用いられる、神経幹細胞・神経細胞(神経前駆細胞を含む)の胎児脳・患者脳組織および胚性幹細胞からの調製にも有用であると同時に、移殖後の神経幹細胞・神経細胞の生着・分化および機能発現を促進する。
したがって、化合物(II)を含有してなる幹細胞および/または神経前駆細胞の増殖および/または分化促進剤は、例えば、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、脊髄小脳変性症等)、精神神経疾患(例、精神分裂症等)、頭部外傷、脊髄損傷、脳血管障害、脳血管性痴呆、等に対して有効であり、これらの中枢神経系疾患の予防・治療剤として用いられる。
化合物(II)は、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の手段に従って、薬理学的に許容される担体を混合して上記の固形組成物として経口的に安全に投与することができる。
化合物(II)の本発明製剤中の含有量は、製剤全体の約0.01〜約100重量%である。
該投与量は、投与対象、疾患等によっても異なるが、例えばアルツハイマー病治療剤として、成人に対し、経口剤として投与する場合、化合物(II)を有効成分として約0.1〜約20mg/kg体重、好ましくは約0.2〜約10mg/kg体重、さらに好ましくは約0.5〜約10mg/kg体重であって、1日1ないし数回に分けて投与することができる。
【0031】
【実施例】
以下に参考例、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0032】
参考例1(化合物A)
(R)‐(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン
アルゴン雰囲気下で、(+)−2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−アミン(6.00g,20.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に4,5−ジメトキシフタル酸無水物(4.43g,21.3mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)塩酸塩(4.67g,24.4mmol)と1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBt)一水和物(3.74g,24.4mmol)を加えた。混合物を14時間加熱還流した後、室温まで冷却した。反応混合物に水、8規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、生成物を酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、減圧濃縮して、(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの粗生成物8.40gを得た。塩化アルミニウム(13.6g,102mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に水素化アルミニウムリチウム(3.87g,102mmol)を加え、10分間撹拌した。これに前述の粗生成物のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を加え、混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、水を加え、生成物を酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を1規定水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 8:1)に供し目的物 6.23g(収率 68%)を得た。融点 157−159℃。[α]D=+62.3°(c=0.488,メタノール)
1H-NMR (CDCl3) δ : 1.02 (3H, s), 1.51 (3H, s), 1.76 (3H, s), 2.17 (3H, s), 2.18 (3H, s), 2.31 (3H, s), 3.87 (6H, s), 4.10 (1H, s), 4.45 (4H, s), 6.70-7.15 (6H, m)。
【0033】
実験例1
化合物A原末およびアスコルビン酸ナトリウムをそれぞれ40℃、75%RH、大気下で1ヶ月間放置した後、それらの残存率を測定した。その結果、化合物Aの残存率は89.7%(W/W)、アスコルビン酸ナトリウムの残存率は99.0%(W/W)であった。
化合物Aの定量は、下記の条件により、HPLC法によって行った。
溶媒:アセトニトリル
測定波長:287nm
カラム:CHIRALCEL OJ−R 4.6x150mm(ダイセル社製)
移動相:アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液混液(16:9)
オーブン温度:25℃付近
アスコルビン酸ナトリウムの定量はヨウ素滴定法によって行った(溶媒:メタリン酸溶液(1→50)、指示薬:デンプン試液)。
【0034】
実施例1
化合物A原末1.8g、D−マンニット44.64gおよびクロスカルメロースナトリウム2.7gを乳鉢に入れ、ヒドロキシプロピルセルロース1.62gを溶解した溶液4.32gを投入し、乳棒を用いて、湿練合物を得た。得られた練合物の全量を真空乾燥機(入江製作所製)で乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末45.12gを乳鉢、乳棒で粉砕し、20号篩を通して整粒末を得た。得られた整粒末42.3gとクロスカルメロースナトリウム2.25gおよびステアリン酸マグネシウム0.45gをポリエチレン袋内で混合し、混合末とした。この混合末を万能試験機(島津製作所製)を用い打錠し、素錠を得た。
【0035】
実施例2
実施例1と同様にして、化合物B原末1.8g、D−マンニット44.64gおよびクロスカルメロースナトリウム2.7gを乳鉢に入れ、ヒドロキシプロピルセルロース1.62gを溶解した溶液4.32gを投入し、乳棒を用いて、湿練合物を得た。得られた練合物の全量を真空乾燥機(入江製作所製)で乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末45.12gを乳鉢、乳棒で粉砕し、20号篩を通して整粒末を得た。得られた整粒末42.3gとクロスカルメロースナトリウム2.25gおよびステアリン酸マグネシウム0.45gをポリエチレン袋内で混合し、混合末とした。この混合末を万能試験機(島津製作所製)を用い打錠し、素錠を得た。
【0036】
実施例3
実施例1と同様にして、化合物C原末1.8g、D−マンニット44.64gおよびクロスカルメロースナトリウム2.7gを乳鉢に入れ、ヒドロキシプロピルセルロース1.62gを溶解した溶液4.32gを投入し、乳棒を用いて、湿練合物を得た。得られた練合物の全量を真空乾燥機(入江製作所製)で乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末45.12gを乳鉢、乳棒で粉砕し、20号篩を通して整粒末を得た。得られた整粒末42.3gとクロスカルメロースナトリウム2.25gおよびステアリン酸マグネシウム0.45gをポリエチレン袋内で混合し、混合末とした。この混合末を万能試験機(島津製作所製)を用い打錠し、素錠を得た。
【0037】
参考例2
精製水1800gに酸化チタン90g、黄色三二酸化鉄3.6gおよび三二酸化鉄3.6gを分散させ、精製水3600gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)412.8gおよびマクロゴール6000 90gを溶解し、それらを混合して、被覆剤を製した。
【0038】
参考例3
精製水5400gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)600gを溶解し、下掛けの被覆剤を製した。
【0039】
実施例4
化合物A原末3.5g、D−マンニット970.2g、クロスカルメロースナトリウム52.5gおよび軽質無水ケイ酸9.8gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース49gを溶解した溶液816.7gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末930gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末899gとクロスカルメロースナトリウム48.43gおよびステアリン酸マグネシウム9.57gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末924gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0040】
実施例5
実施例4で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例3で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例2で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0041】
実施例6
化合物A原末3.5g、D−マンニット935.2g、クロスカルメロースナトリウム52.5g、軽質無水ケイ酸9.8gおよびアスコルビン酸ナトリウム35gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース49gを溶解した溶液816.7gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末930gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末899gとクロスカルメロースナトリウム48.43gおよびステアリン酸マグネシウム9.57gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末924gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0042】
実施例7
実施例6で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例3で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例2で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0043】
実施例8
化合物A原末350g、D−マンニット588.7g、クロスカルメロースナトリウム52.5g、軽質無水ケイ酸9.8gおよびアスコルビン酸ナトリウム35gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース49gを溶解した溶液816.7gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末930gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末899gとクロスカルメロースナトリウム48.43gおよびステアリン酸マグネシウム9.57gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末924gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0044】
実施例9
実施例8で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例3で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例2で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0045】
実施例10
化合物A原末350g、D−マンニット623.7g、クロスカルメロースナトリウム52.5gおよび軽質無水ケイ酸9.8gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース49gを溶解した溶液816.7gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末930gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末899gとクロスカルメロースナトリウム48.43gおよびステアリン酸マグネシウム9.57gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末924gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0046】
実施例11
実施例10で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例3で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例2で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0047】
参考例4
精製水1440gに酸化チタン48g、黄色三二酸化鉄1.44gを分散させ、精製水2880gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)358.56gおよびマクロゴール6000 72gを溶解し、それらを混合して、被覆剤を製した。
【0048】
参考例5
精製水5400gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)600gを溶解し、下掛けの被覆剤を製した。
【0049】
実施例12
化合物A原末3.5g、D−マンニット847g、クロスカルメロースナトリウム 52.5gおよびアスコルビン酸ナトリウム52.5gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース31.5gを溶解した溶液525gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末846gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末817.8gとトウモロコシデンプン121.8gおよびステアリン酸マグネシウム17.4gを(ポリエチレン袋)タンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末924gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0050】
実施例13
実施例12で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例5で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例4で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり12mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0051】
実施例14
実施例12で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例4で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり12mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0052】
実験例2
実施例1で製造した製剤をガラス瓶に入れキャップをした密栓状態で60℃に2週間保存した後に、化合物Aの含量および類縁物質量を測定した。同時に実施例1で製造した製剤に使用した原薬も同様の形態および保存条件で保存した後に、含量および類縁物質量を測定し、製剤との安定性の比較をおこなった。
化合物Aの含量および類縁物質の測定は、下記の条件で、HPLC法によって行った。
溶媒:水/アセトニトリル混液(4:6)
測定波長:287nm
カラム:XTerra MS C18 3.5μm 4.6mm x 150mm(Waters社製)
移動相:10mM酢酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混液(4:3)及びアセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム溶液混液(9:1)によるグラジェント
オーブン温度:40℃付近
その結果、表1に示すように、製剤化することにより、含量変化には大きな差は認められないが、類縁物質の増加が顕著に抑制され、安定性が向上することが確認された。
【表1】
【0053】
実験例3
実施例5で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有しない1mg製剤および実施例7で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有する1mg製剤を真空乾燥し、炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を以下の方法で測定した。その結果は、それぞれ3.0%、3.4%であった。
(製剤平衡水分の測定方法)
5錠〜30錠の素錠またはフィルムコーティング錠を使い、20〜25℃の環境下でRotronic Hygroskop DT(ロトロニック社製)を用いて測定した。
これらの製剤をガラス瓶に入れ、キャップをし、密栓状態で40℃に1ヶ月間保存した後に、含量および類縁物質量を測定した。化合物Aの含量の測定は、溶媒に水/アセトニトリル混液(4:6)を用いたことを除き、実験例2における測定方法と同じ方法で行った。また、類縁物質の測定は、実験例3における測定方法と同じ方法で行った。
なお類縁物質Aについては、測定上アスコルビン酸ナトリウムと分離できなかったため、評価しなかった。その結果、表2に示すように、アスコルビン酸ナトリウムを配合した製剤は、含量の低下もなく、また類縁物質の増加も認められなかった。さらに、両製剤は同一の原薬を使用しており、製造直後の類縁物質量の比較から、製剤製造中の主薬の分解もアスコルビン酸ナトリウムを配合することで低減し、安定化が図られていることが確認された。
【表2】
使用した原薬の類縁物質AからFの量は、下記のとおりであった。
類縁物質A:0.31%、類縁物質B:0.08%、類縁物質C:0.40%、
類縁物質D:0.43%、類縁物質E:0.08%、類縁物質F:2.69%
【0054】
実験例4
実施例5で製造した1mg製剤を真空乾燥した。その一部は炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、真空乾燥品は3.0%、調湿品は46.6%であった。このものをそれぞれガラス瓶に入れ、キャップをし、密栓状態で40℃に1ヶ月保存した後に含量および類縁物質を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。なおその結果、表3に示すようにERH10%以下の製剤に比較してERH10%以上の製剤では、含量の低下が少なく、類縁物質の増加も少なかった。
【表3】
【0055】
実験例5
実施例13で製造したアンカーコートを施した後に通常のフィルムコーティングをしたフィルムコーティング錠および実施例14で製造した通常のフィルムコーティングしたフィルムコーティング錠をガラス瓶に入れ、開栓状態で40℃/75%RH、3ヵ月間保存した後、含量および類縁物質量を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。なおなお、類縁物質Aについては、測定上アスコルビン酸ナトリウムと分離できなかったため、評価しなかった。その結果、表4に示すように、アンカーコートを施すことによって、含量の低下が少なく、類縁物質の増加も少なくなった。
【表4】
【0056】
実験例6
実施例5で製造した製剤を真空乾燥した。その製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、3.0%であった。真空乾燥した製剤をガラス瓶に入れ、一種はそのままキャップをし、もう一種はさらに容器内を窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態でそれぞれ40℃、1ヵ月間保存した後に、含量および類縁物質量を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。なおその結果、表5に示すように、窒素置換したものは有意に含量の低下はなく、また類縁物質量の増加は認められなかった。
【表5】
【0057】
実験例7
実施例5で製造した製剤を真空乾燥した。その製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、3.0%であった。真空乾燥した製剤をガラス瓶に入れ、一種はそのままキャップをし、もう一種はさらに脱酸素剤(エージレス(Z−20PT):三菱ガス化学社製)を入れ、キャップをし、密栓状態でそれぞれ40℃、1ヵ月間保存した後に、含量および類縁物質を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。なおその結果、表6に示すように、脱酸素剤エージレス(Z−20PT)を同封した保存形態では含量の低下を認めず、顕著な類縁物質の増加も認めなかった。
【表6】
【0058】
実験例8
実施例12で製造した素錠および実施例13で製造したアンカーコートを施した後に通常のフィルムコーティングをしたフィルムコーティング錠ならびにアルミ箔で覆い遮光した両製剤を、耐光試験機(スガ試験機社製)を用い、キセノンランプ10万ルクスの照度で12時間光を照射(積算で120万ルックス・時間)した後、含量および類縁物質量を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例2と同じ方法で行った。なお類縁物質Aについては、測定上アスコルビン酸ナトリウムと分離できなかったため、評価しなかった。その結果、表7に示すようにフィルム錠とすることで,含量の低下および類縁物質量の増加が抑制された。
【表7】
【0059】
実験例9
実施例7で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有する1mg製剤および実施例9で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有する100mg製剤を真空乾燥し、炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、それぞれ46.2%、44.5%であった。それらの製剤をそれぞれガラス瓶に入れさらに脱酸素剤(エージレス(Z−20PT):三菱ガス化学社製)を入れ、キャップをし、密栓状態で、40℃、1ヶ月間保存した後に、含量および類縁物質量を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。保存後の平衡水分値(ERH)はそれぞれ65.3%、65.1%であった。その結果、表8に示すように含量の低下および類縁物質量の増加はほとんど認められず安定であった。また、それぞれの製剤を、ガラス瓶に入れ、キャップをし、密栓状態とし、室温で保管(23〜28℃)し、毎日開栓し、1錠ずつ取り出し、再度キャップを施こす操作を21日間おこなった。21日目に取り出した製剤の含量および類縁物質量を測定した。このときの平衡水分値(ERH)はそれぞれ42.0%、38.3%であった。その結果、表9に示すように、含量の低下および類縁物質量の増加はわずかであり、開栓後も安定な製剤であることが確認された。なお、これら評価では顕著な変化を示す類縁物質C、D、Fについて評価した。
【表8】
【表9】
【0060】
実験例10
実施例7で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有する1mg製剤および実施例9で製造したアスコルビン酸ナトリウムを含有する100mg製剤を真空乾燥し、炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、それぞれ46.2%、44.5%であった。それらの製剤をそれぞれガラス瓶に入れさらに容器内を窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態でそれぞれ40℃、1ヶ月保存した後に、含量および類縁物質を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。その結果、表10に示すように保存後の含量および類縁物質の変化はほとんどなく安定であることが確認された。なお、この評価では顕著な変化を示す類縁物質C、D、Fについて評価した。
【表10】
【0061】
実験例11
実施例5で製造したアスコルビン酸ナトリウム無添加の1mg製剤および実施例11で製造したアスコルビン酸ナトリウム無添加の100mg製剤を真空乾燥し、炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、それぞれ46.6%、37.4%であった。それらの製剤をそれぞれガラス瓶に入れ、さらに脱酸素剤(エージレスZ−20PT:三菱ガス化学社製)を入れ、キャップをし、密栓状態で、40℃、1ヶ月保存した後に、含量および類縁物質を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。保存後の平衡水分値(ERH)はそれぞれ65.2%、66.9%であった。その結果、表11に示すように保存後の含量および類縁物質の変化はほとんどなく安定であることが確認された。なお、この評価では顕著な変化を示す類縁物質C、D、Fについて評価した。
【表11】
【0062】
実験例12
実施例5で製造したアスコルビン酸ナトリウム無添加の1mg製剤および実施例11で製造したアスコルビン酸ナトリウム無添加の100mg製剤を真空乾燥し、炭酸カリウム飽和塩溶液を含んだデシケータ内で3日間調湿した。それぞれの製剤の平衡水分値(ERH)を上記の方法で測定した。その結果は、それぞれ46.6%、37.4%であった。それらの製剤をそれぞれガラス瓶に入れさらに容器内を窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態でそれぞれ40℃、1ヶ月保存した後に、含量および類縁物質を測定した。化合物Aの含量および類縁物質の測定は、実験例3と同じ方法で行った。その結果、表12に示すように保存後の含量および類縁物質の変化はほとんどなく安定であることが確認された。なお、この評価では顕著な変化を示す類縁物質C,D,Fについて評価した。
【表12】
【0063】
参考例6
精製水800gに酸化チタン45.0g、黄色三二酸化鉄1.80gおよび三二酸化鉄1.80gを分散させ、精製水1700gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)206.4gおよびマクロゴール6000 45.0gを溶解し、それらと精製水200gを混合して、被覆剤を製した。
【0064】
参考例7
精製水1350gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)150gを溶解し、下掛けの被覆剤を製した。
【0065】
実施例15
化合物A原末82.6g、D−マンニット4208.6g、クロスカルメロースナトリウム240.0g、軽質無水ケイ酸44.8gおよびアスコルビン酸ナトリウム160.0gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース224.0gを溶解した溶液3733.3gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末4495gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末4185gとクロスカルメロースナトリウム225.5gおよびステアリン酸マグネシウム44.6gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末4207.5gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0066】
実施例16
実施例15で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例7で得られた下掛け被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、参考例6で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0067】
実施例17
実施例15で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例6で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0068】
実験例13
実施例16で製造したアンカーコートを施した後に通常のフィルムコーティングをしたフィルムコーティング錠および実施例17で製造した通常のフィルムコーティングしたフィルムコーティング錠をガラス瓶に入れ、そのガラス瓶内に臭化ナトリウム飽和塩溶液を含んだ小型ガラス瓶を入れ、容器内を窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態で40℃に2ヶ月間保存した後に、化合物Aの含量および類縁物質量をHPLC法で測定した。
化合物A及び類縁物質B〜Fの測定には、カラム:XTerra MS C18 3.5μm 4.6mm x 150mm(Waters社製)、移動相:10mM酢酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混液(4:3)及びアセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム溶液混液(9:1)によるグラジェントを用いた。
類縁物質G及びHの測定には、カラム:CAPCELL PAK C18 MG 5μm 4.6mm x 150mm(資生堂製)、移動相:10mM酢酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混液(50:1)及びアセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム溶液混液(9:1)によるグラジェントを用いた。
いずれも、測定波長:287nm、オーブン温度:25℃付近、溶媒はアセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム溶液混液(7:3)を用いて行った。
類縁物質Aについては、新試験法により類縁物質Gと類縁物質Hに分離できることが判った。
製剤の平衡水分値(ERH)を以下の方法で測定した。その結果は、実施例16で製造した製剤がinitial23.3%、保存後53.9%、実施例17で製造した製剤がinitial25.0%、保存後51.7%であった。
(製剤平衡水分の測定方法)
5錠〜30錠の素錠またはフィルムコーティング錠を使い、20〜25℃の環境下でRotronic Hygroskop DT(ロトロニック社製)を用いて測定した。
その結果、表13に示すように、アンカーコートの有無による残存率、類縁物質増減の差は認められなかった。
【表13】
【0069】
実施例18
化合物A原末1315g、D−マンニット2297g、クロスカルメロースナトリウム195gおよびアスコルビン酸ナトリウム130gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース130gを溶解した溶液2600gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末をパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。得られた整粒末930gとクロスカルメロースナトリウム50.1gおよびステアリン酸マグネシウム9.9gを混合し、この混合末全量を打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0070】
実施例19
実施例18で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例6で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0071】
実験例14
実施例19で製造した製剤をガラス瓶に入れ、そのガラス瓶内に酢酸カリウム飽和塩溶液を含んだ小型ガラス瓶を入れ、容器内を窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態で40℃に2ヶ月間保存した後に、含量および類縁物質量を測定した。含量および類縁物質の測定は、実験例12と同じ方法で行った。類縁物質Aについては、新試験法により類縁物質Gと類縁物質Hに分離できることが判った。
製剤の平衡水分値(ERH)を以下の方法で測定した。その結果は、initial17.3%、保存後19.5%であった。
(製剤平衡水分の測定方法)
5錠〜30錠の素錠またはフィルムコーティング錠を使い、20〜25℃の環境下でRotronic Hygroskop DT(ロトロニック社製)を用いて測定した。
その結果、表14に示すように、含量の低下、類縁物質の増加は、認められなかった。
【表14】
【0072】
参考例8
精製水1600gに酸化チタン90.0g、黄色三二酸化鉄3.60gおよび三二酸化鉄3.60gを分散させ、精製水3400gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)412.8gおよびマクロゴール6000 90.0gを溶解し、それらと精製水400gを混合して、被覆剤を製した。
【0073】
実施例20
化合物A原末407g、D−マンニット3994g、クロスカルメロースナトリウム240gおよびアスコルビン酸ナトリウム160gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース160gを溶解した溶液3200gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末4588gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。以上の操作を2バッチ実施し、得られた整粒末8742gとクロスカルメロースナトリウム471gおよびステアリン酸マグネシウム93.1gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末8976gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0074】
実施例21
実施例20で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例8で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0075】
実施例22
化合物A原末1626g、D−マンニット2774g、クロスカルメロースナトリウム240gおよびアスコルビン酸ナトリウム160gを流動造粒乾燥機(パウレック社製)に入れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース160gを溶解した溶液3200gをスプレーして、造粒末を得た。得られた造粒末4588gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を用いて整粒末とした。以上の操作を2バッチ実施し、得られた整粒末8742gとクロスカルメロースナトリウム471gおよびステアリン酸マグネシウム93.1gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)を用いて混合末とし、この混合末8976gを打錠機(菊水製作所製)により打錠し、素錠を得た。
【0076】
実施例23
実施例22で得られた素錠に、フィルムコーティング機(フロイント社製)中で、参考例8で得られた被覆剤を噴霧し、1錠当たり15mgの被覆を行い、フィルムコーティング錠を得た。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素に不安定な含窒素縮合複素環化合物、特に上記の化合物(I)または(II)を安定化した安定な製剤を得ることができる。
Claims (6)
- (R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンまたはその塩を含有する固形医薬組成物であって、[1]平衡水分量が10%以上に保持すること、および[2]アスコルビン酸もしくはその塩を配合することにより安定化された固形医薬組成物。
- 遮光フィルムコーティングされている請求項1記載の固形医薬組成物。
- 遮光剤を含まないフィルムコーティングを予め施されている請求項2記載の固形医薬組成物。
- 請求項1〜3いずれか1項記載の固形医薬組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1または2以上の包装形態で包装してなる包装製品。
- (R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンまたはその塩、およびアスコルビン酸またはその塩を含有し、フィルムコーティングを予め施すことなしに遮光フィルムコーティングされてあり、平衡水分量が10%以上である固形医薬組成物が、窒素置換包装されてなる包装製品。
- (R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンまたはその塩を含む固形医薬組成物の安定化方法であって、
[1]該固形医薬組成物の平衡水分量を10%以上に保持すること、
[2]該固形医薬組成物にアスコルビン酸もしくはその塩を配合すること、および
[3]該固形医薬組成物を、酸素透過を抑制した包装、ガス置換包装、真空包装および脱酸素剤封入包装から選択される1もしくは2以上の包装形態で包装することを含む方法。
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