JP4394629B2 - 乳化重合用乳化剤、ポリマーエマルションの製造方法及びポリマーエマルション - Google Patents

乳化重合用乳化剤、ポリマーエマルションの製造方法及びポリマーエマルション Download PDF

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Description

本発明は乳化重合する際に用いられる乳化重合用乳化剤、該乳化重合用乳化剤を使用したポリマーエマルションの製造方法、及び該製造方法により得られるポリマーエマルションに関する。
従来、ノニオン性の乳化重合用乳化剤としては、ノニルフェノールやオクチルフェノールにアルキレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルや高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが広く用いられてきた。
しかし、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルは、その生分解生成物の生態毒性が問題視されており、自然環境に排出された場合、生態系に悪影響を及ぼすことが問題となっている。よって、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルといったアルキルフェノールを疎水基に含まない乳化剤への代替が進められてきている。
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいても、乳化重合用乳化剤として性能不足である場合や水生生物毒性、皮膚刺激性などのため使用できる範囲が限られることがある。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの問題点として、未反応のエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが製品中に残存すること、副生成物として発がん性や刺激性の高い物質が発生することが挙げられる。例えば、合成時には有害なジオキサンが生成することや、アルキレンオキサイド鎖の酸化分解により有害性のアルデヒド類を生成することが知られており、シックハウス症候群やVOC(揮発性有機化合物)問題が騒がれる近年、アルデヒド等を含む乳化剤をエマルションの製造に用いるのは好ましくない。
これに対し、アルキレンオキサイドから誘導されないノニオン活性剤として、アルキルポリグルコシドを乳化重合用乳化剤として用いた技術が特開昭61−136502号公報(特許文献1)に開示されている。
特開昭61−136502号公報
アルキルポリグルコシドは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのように有害なジオキサンやホルムアルデヒドが発生せず、またアルキレンオキサイドを出発原料としていないため高い安全性を持ち、また生分解性にも優れているため自然環境に排出された際にも自然環境に対する負荷の少ない乳化重合用乳化剤である。
しかし、上記の特許に開示されたアルキルグルコシドを乳化剤として用いた乳化重合では、重合時の安定性、ポリマーエマルションの安定性、ポリマーエマルションから得られたポリマーフィルムの性質は必ずしも充分に満足し得るものではなく、多くの解決すべき問題点が残されている。
本発明は、重合時の乳化安定性、得られたポリマーエマルションの機械安定性や化学安定性が優れると共に、実際に使用した際のフィルム光沢性、接着性、耐熱性等の諸特性が優れたポリマーエマルションが得られる乳化重合用乳化剤を提供することを目的とする。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、特定の疎水基を有するアルキルグルコシドを用いることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の乳化重合用乳化剤は、下記の一般式(1)で表されることを特徴とする。
R−O−(G)n ……(1)
(式中、Rは炭素数10〜13であり、分岐度が0.1〜3.5であるアルキル基、又はスチレン化フェニル基を表す。Gはグルコース、又はマルトースとマルトリオースとの混合物の残基を表す。nは1〜30である。)
また、本発明の乳化重合用乳化剤においては、前記一般式(1)で表されるポリグルコシド化合物と、該ポリグルコシド化合物以外の他のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の群から選ばれた少なくとも1種類の界面活性剤との混合物であってもよい。
さらに、本発明は、モノマーに対して、前記の乳化重合用乳化剤を0.1〜20重量%の量で使用し、水性媒体中で前記モノマーを重合させる、又は前記モノマー重合後のポリマーに添加することを特徴とするポリマーエマルションの製造方法、及びそのポリマーエマルションの製造方法により得られたポリマーエマルションである。
本発明の乳化重合用乳化剤によれば、重合時の乳化安定性が良く、得られたポリマーエマルションの機械安定性や化学安定性が優れ、ポリマーエマルションから得られたポリマーフィルムの接着性、耐熱性等の諸特性向上に優れた効果を発揮する。さらに、ジオキサンやアルデヒド類などの有害物質を大幅に低減したポリマーエマルションを得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態をより詳しく説明する。
本発明の乳化重合用乳化剤は、下記一般式(1)で表されるポリグルコシド化合物を含んでなる。
R−O−(G)n ……(1)
上記一般式(1)のポリグルコシド化合物において、Rは炭素数6〜20で分岐度が0.1〜3.5であるアルキル基、又は炭素数6〜40のアリール基である。Gは単糖類から水基を1つ除去して得られる残基であり、すなわち、本発明の乳化重合用乳化剤はアルキルポリグルコシド、アリールポリグルコシドを含んでなる乳化剤である。ここで、nは1〜30である。
上記アルキル基としては、通常、アルコールから水酸基を除いた残基である。これらのアルコールは分岐度が0.1〜3.5、好ましくは0.5〜3.5、より好ましくは0.8〜3.5である。分岐度が0.1未満であると、泡立ちが多くなり、3.5を超えるとポリマーエマルションの粒子径分布が粗くなり、実際に使用した際のフィルムの光沢性や接着性が不良となる。
このようなアルコールとしては工業的に製造されたものがある。例えば、プロピレン或いはブテン又はその混合物から誘導される高級オレフィンを経て、オキソ法により製造される分岐型飽和一級アルコールとして、イソヘプタノール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、ペンタデカノール等があり、市販品ではエクソン・モービル社製のExxalシリーズが使用できる。
また、n−パラフィンやエチレンオリゴマーから誘導されるオレフィンを経て、オキソ法により製造される直鎖型と分岐型のアルコールの混合物として、Shell社製のネオドール(Neodol)シリーズ、三菱化学社製のダイヤドール(Diadol)シリーズ、Sasol社製のサフォール(Safol)シリーズやリアル(Lial)シリーズが挙げられる。
さらに、ゲルベ反応によるアルコールの2量化によって得られるゲルベアルコールには2−エチル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−プロピル−1−オクタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、4−メチル−2−プロピル−1−ヘキサノール、2−プロピル−5−メチル−1−ヘキサノールなどがあり、又はパラフィンを空気酸化して製造され、水酸基が炭素鎖の末端以外にランダムに結合しているセカンダリーアルコールなどがある。
アリール基としては、例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、スチレン化フェニル、クミルフェニル、スチレン化クレシル、ベンジルキシリル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
本発明では、上記に記載の炭化水素基を2種類以上配合して使用することも可能である。
また、一般式(1)において、Gは単糖類の残基を表す。nは1〜30で、好ましくは1〜10である。
[合成方法]
本発明の乳化重合用乳化剤を得るための反応条件は特に限定されるものではなく、アルキルポリグルコシドの公知の製造方法を適用することにより可能である。アルキルポリグルコシドの製造方法は、例えば、特開2001−278891、特開平11−209391、特開平8−269103、特開昭64−47796、特開昭62−292789等において開示されている。
一般的に用いられるアルキルポリグルコシドの製造方法としては、糖と脂肪アルコールを酸触媒下で反応させアルキルポリグルコシドを得る方法、又は糖とブタノールを酸触媒下で反応させブチルポリグルコシドにした後、脂肪アルコールと交換反応させて二段階でアルキルポリグルコシドを得る方法がある。また、必要に応じ精製を行ってもよい。
アルキルポリグルコシドの製造に使用される糖としては、単糖、単糖誘導体、またはオリゴ糖がある。単糖では、ヘキソース類として、グルコース、マンノース、アロース、アルトロース、ガラクトース、タロース、グロース、イドース、フルクトース、プシコース、タガトース、ソルボース等がある。ペントース類として、リボース、アラビノース、キシルロース、リキソース、リブロース等がある。
単糖誘導体では、デオキシ糖として、ラムノース、フコース等がある。ウロン糖として、グルクロン酸、ガラクチュロン酸、マンヌロン酸等がある。また、アミノ糖として、グルコサミン、コンドロサミン等がある。
オリゴ糖としては、重合度が2〜10のマルトオリゴ糖、セロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。
また、上記に記載の単糖、単糖誘導体またはオリゴ糖を2種類以上配合して使用することもできる。
[乳化重合用モノマー]
本発明の乳化重合用乳化剤を用いた乳化重合に適用されうるモノマーとしては各種のものを挙げることができ、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエステル等のアクリル系モノマー、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィンモノマー、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役系ジオレフィン系モノマー等の他、エチレン、無水マレイン酸、マレイン酸メチル等がある。本発明の乳化剤は、上記モノマーの1種又は2種以上の乳化重合又は懸濁重合に利用できる。
[重合条件]
本発明の乳化重合用乳化剤を使用した乳化重合反応に使用される重合開始剤は従来公知のものでよく、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等が利用できる。重合促進剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第1鉄アンモニウム等が使用できる。また、連鎖移動剤として、α−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素などを用いてもよい。
本発明の乳化重合用乳化剤の使用量は、通常、全モノマーに対して0.1〜20.0%が適当である。なお、より好ましくは、0.2〜10.0%が適当である。
本発明の乳化重合用乳化剤は、それ単独でも乳化重合は良好に完結しうるが、さらにアニオン活性剤又はカチオン活性剤又は/及び他のノニオン活性剤を併用してもよく、これにより乳化重合時の重合安定性が向上し、また後工程における処理特性を向上させることができる。かかるアニオン活性剤、カチオン活性剤及びノニオン活性剤としては特に限定されないが、例えば、アニオン活性剤としては、脂肪酸セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリール硫酸塩などが挙げられ、カチオン活性剤としてはステアリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、などが挙げられ、ノニオン活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。使用量としては、本発明の乳化重合用乳化剤100重量部に対して、0.5〜100重量部含まれることが好ましく、より好ましくは5〜60重量部である。さらに好ましくは10〜30重量部である。
また、乳化重合時の重合安定性を向上させる目的で公知の保護コロイド剤を併用することができる。併用できる保護コロイド剤としては、完全けん化ポリビニルアルコール(PVA)、部分けん化PVA、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、アラビアゴムなどがある。
本発明の乳化重合用乳化剤の他の使用方法としては、ポリマーエマルションの安定性
を改善するために、重合終了後のポリマーに添加することができる。
[作用]
本発明の乳化重合用乳化剤を用いた乳化重合では、重合時の乳化安定性、得られたポリマーエマルションの機械安定性や化学安定性が優れると共に、実際に使用したフィルムの接着性、耐熱性等の諸特性向上に極めて優れた効果を発揮する。さらに、ジオキサンやアルデヒド類などの有害物質を大幅に低減したポリマーエマルションを得ることができる。
〈製造例〉
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、例示は単に説明用のものであって、発明思想の限定又は制限を意図したものではない。なお、文中「部」は特に記載がない限り重量基準である。
〈製造例1〉
撹拌機、窒素導入管、蒸留装置、及び温度計を備えた反応器にイソトリデシルアルコール(分岐度2.8)を200部とブチルグルコシドを60部、そして触媒としてp−トルエンスルホン酸を加え、130℃に昇温して3時間反応を行った。そのとき、反応器内を10ミリバールに減圧して副生物であるブタノールを留去した。
最後に、水酸化ナトリウムを用いて中和を行った後、過剰のイソデシルアルコールを除去して本発明品の乳化重合用乳化剤Aを得た。
〈製造例2〉
製造例1の方法に準じて、イソトリデシルアルコール(分岐度2.2)を200部、またブチルグルコシドを75部とした以外は同様の条件で反応、精製して本発明品の乳化重合用乳化剤Bを得た。
〈製造例3〉
撹拌機、窒素導入管、蒸留装置、及び温度計を備えた反応器にLIAL123(分岐度0.5)を194部にグルコースを40部と触媒としてアルキルベンゼンスルホン酸を加えて撹拌した後、110℃に昇温して5時間反応を行った。そのとき、反応器内を10ミリバールに減圧して副生物である水を留去した。
最後に、水酸化ナトリウムを用いて中和を行った後、過剰のLIAL123を除去して本発明品の乳化重合用乳化剤Cを得た。
〈製造例4〉
製造例1の方法に準じて、ネオドール23(分岐度0.2)を192部、またブチルグルコシドを75部とした以外は同様の条件で反応、中和、精製して本発明品の乳化重合用乳化剤Dを得た。
〈製造例5〉
製造例3の方法に準じて、2−プロピル−1−ヘプタノールを158部、またグルコースを35部とした以外は同様の条件で反応して本発明品の乳化重合用乳化剤Eを得た。
〈製造例6〉
製造例1の方法に準じて、イソデシルアルコール(分岐度2.1)を158部、またブチルグルコシドを90部とした以外は同様の条件で反応、精製して本発明品の乳化重合用乳化剤Fを得た。
〈製造例7〉
製造例1の方法に準じて、スチレン化フェノール(モノ体、ジ体、トリ体混合物)305部、またブチルグルコシドを85部とした以外は同様の条件で反応、中和、精製して本発明品の乳化重合用乳化剤Gを得た。
〈製造例8〉
製造例3の方法に準じて、Exxal ll(分岐度2.2)を172部、またグルコースの代わりにマルトースとマルトトリオースの混合物を100部とした以外は同様の条件で反応して本発明品の乳化重合用乳化剤Hを得た。
〈実施例及び比較例〉
実施例及び比較例に用いた乳化重合用乳化剤は表1の通りである。
比較品A〜Eは、化学式(2)で表されるエチレンオキサイドを付加した従来の乳化重合用乳化剤である。
R’−(EO)m−H ……(2)
(ここでの、R’は疎水基、EOはエチレンオキサイド、mはその付加モル数を表す)。
Figure 0004394629
〈使用例1〉
アクリル酸ブチル100部、スチレン100部、イオン交換水290部および乳化剤10部を混合して混合モノマー乳濁液を調製し、窒素ガスにて溶存酸素を除去した。次に攪拌機、還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、上記混合モノマー乳濁液を100部仕込み、80℃に昇温し、過硫酸カリウム0.5部を加えて先行重合させた。次いで、重合開始10分後より3時間かけて、残りの混合モノマー乳濁液400部を滴下して重合させた。さらに、続けて重合温度にて2時間熟成した後、冷却してポリマーエマルションを得た。
使用した乳化重合用乳化剤は表2に示す通りである。また、乳化重合用乳化剤の内10重量%を併用アニオン性乳化剤としてラウリル硫酸エステルナトリウム塩を用いた。
使用した乳化重合用乳化剤のジオキサン及びホルムアルデヒドの含有量及び、得られたポリマーエマルションについて、重合安定性、機械安定性、粒子径、フィルムの光沢性をそれぞれ評価した。評価方法は以下の通りである。結果は表2に示す。
[ジオキサン及びホルムアルデヒドの含有量]
乳化重合用乳化剤に含まれるジオキサンをGC、ホルムアルデヒドをアセチルアセトン法を用い吸光光度法で定量を行った。その結果、ジオキサン量が、1ppm未満:○、1〜10ppm:△、10ppm以上:×、ホルムアルデヒド量が、1ppm未満:○、1〜10ppm:△、10ppm以上:×、とし示した。
[重合安定性]
重合後のポリマーエマルションを80メッシュのろ布を用いてろ過し、ろ布上の残渣を水洗後、乾燥し、その重量をエマルションの固形分に対し%で表示した。
[機械安定性]
ポリマーエマルション50gをマーロン型試験器にて荷重10kg、回転数1000rpmで5分間撹拌し、生成した凝集物を80メッシュの金網でろ過し、残渣を水洗後、乾燥し、その重量をエマルションの固形分に対し%で表示した。
[粒子径]
動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装製 MICROTRAC UPA 9340)にて測定し、μmで表示した。
[フィルムの光沢性]
ガラスプレート上に0.5mm(wet)のエマルション膜を作り、室温で24時間放置してフィルムを作成した。このフィルムの光沢性を目視にて観察し、3段階で評価した。結果、優れる:○、可である:△、不可である:×、とし示した。
Figure 0004394629
〈使用例2〉
攪拌機、還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、イオン交換水135部、緩衝剤として炭酸水素ナトリウム0.5部を仕込み、80℃まで昇温させ、窒素ガスにて水中の溶存酸素を除去した。これとは別にメタクリル酸メチル75部、アクリル酸エチル171部、アクリル酸4部、乳化重合用乳化剤8部、イオン交換水110部とを混合して、モノマーエマルションを調製した。次に、上記で調製したモノマーエマルション40部を一括して上記反応容器に添加し、10分間撹拌後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.5部を加え、10分間撹拌した。次に残りのモノマーエマルションを3時間かけて滴下して重合反応を行い、40℃まで冷却後、アンモニア水でpH8〜9に調整してポリマーエマルションを得た。
使用した乳化重合用乳化剤は表3に示す通りである。また、乳化重合用乳化剤の内10重量%を併用アニオン性乳化剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いた。
得られたポリマーエマルションについて、重合安定性、粒子径、VOC量、化学安定性をそれぞれ評価した。重合安定性、粒子径の評価方法は上記と同様である。VOC量、化学安定性の評価方法は以下の通りである。結果は表3に示す。
[VOC量]
ポリマーエマルションに含まれるVOC量をヘッドスペースGCにより測定を行った。その結果、10ppm未満:○、10〜50ppm:△、50ppm以上:×、とし示した。
[化学安定性]
ポリマーエマルション10gに6モル/L水酸化カルシウム水溶液10mlを撹拌しつつ加え、5分間撹拌後に80メッシュの濾布を用いてろ過し、濾布を通過しない凝集ポリマーの乾燥重量を測定して、仕込みモノマー重量に対する重量比率(%)で表示した。
Figure 0004394629
〈使用例3〉
攪拌機、還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、イオン交換水250部を仕込み、80℃まで昇温させ、窒素ガスにて水中の溶存酸素を除去した。次にアクリル酸ブチル125部とアクリル酸2−エチルヘキシル125部に乳化剤5部を溶解させた混合モノマー液のうち50部を反応器に仕込み、次いで過硫酸アンモニウム0.5部を加えて先行重合させ、重合開始10分後より3時間かけて残りの混合モノマー液205部を滴下して重合させた。続けて重合温度にてさらに2時間熟成した後、40℃まで冷却後、アンモニア水でpH8〜9に調整してポリマーエマルションを得た。
使用した乳化重合用乳化剤は表4に示す通りである。また、乳化重合用乳化剤の内10重量%を併用アニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル(EO8モル付加体)を用いた。
得られたポリマーエマルションについて、重合安定性、機械安定性、耐熱着色性、接着性をそれぞれ評価した。重合安定性、機械安定性の評価方法は上記と同様である。耐熱着色性、接着性の評価方法は以下の通りである。結果は表4に示す。
[耐熱着色性]
ガラス板上に0.5mm厚のポリマーフィルムを作製し、200℃に調整した熱風乾燥器内で30分間熱処理して、ポリマーフィルムの着色を目視で調べた。結果、全く着色が認められない:○、淡い黄色に着色している:△、濃い褐色に着色している:×、とし示した。
[接着性]
5cm幅に切ったPETフィルム上にエマルションを25μm(dry)の厚さに塗工し、熱処理した後SUS板に貼り付け、ローラ圧着する。接着面が5cm×5cmとなるようにフィルムを剥がし、フィルムの端に200gの重りを吊り下げて剥がれるまでの時間(秒)を測定した。
Figure 0004394629
〈使用例4〉
攪拌機、還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、イオン交換水131部、緩衝剤として炭酸水素ナトリウム0.5部を仕込み、70℃まで昇温させ、窒素ガスにて水中の溶存酸素を除去した。これとは別に酢酸ビニル250部、乳化重合用乳化剤8部、イオン交換水110部とを混合して、モノマーエマルションを調製した。次に、上記で調製したモノマーエマルション40部を一括して上記反応容器に添加し、10分間撹拌後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.5部を加え、10分間撹拌した。次に残りのモノマーエマルションを3時間かけて滴下して重合反応を行い、40℃まで冷却後、アンモニア水でpH8〜9に調整してポリマーエマルションを得た。
使用した乳化重合用乳化剤は表5に示す通りである。
得られたポリマーエマルションについて、重合安定性、粒子径、接着性をそれぞれ評価した。重合安定性、粒子径の評価方法は上記の評価方法と同様である。接着性の評価方法は以下の通りである。結果を表5に示す。
[接着性]
5cm幅に切った合板上にエマルションを25μm(dry)の厚さに塗工し、熱処理した後5cm幅の綿製の布を貼り付け、ローラ圧着する。接着面が5cm×5cmとなるように布を剥がし、はがした布の端に1Kgの重りを吊り下げて剥がれるまでの時間(秒)を測定した。
Figure 0004394629
表2〜表5の結果から、本発明にかかる乳化重合用乳化剤は、乳化剤に含まれるアルデヒドやジオキサン量が極めて少量であり、エマルションの重合安定性、機械安定性、化学安定性が良好であり、VOCなど有害な副生成物の発生を低減することができる。また、得られたポリマーエマルションのフィルム光沢性や接着性、耐熱性などの諸特性が従来のノニオン界面活性剤からなる比較品の乳化剤を用いたものより優れることが分かる。
本発明の乳化重合用乳化剤を添加して得られるポリマーエマルションは、例えば接着剤、被覆剤、含浸補強剤等として、木材、金属、紙、布、その他コンクリートなどに適用することができる。また、エマルションあるいはラテックスから取り出したポリマーは樹脂、ゴム、ポリマー改質剤等に使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)で表されることを特徴とする乳化重合用乳化剤。
    R−O−(G)n ……(1)
    (式中、Rは炭素数10〜13であり、分岐度が0.1〜3.5であるアルキル基、又はスチレン化フェニル基を表す。Gはグルコース、又はマルトースとマルトリオースとの混合物の残基を表す。nは1〜30である。)
  2. 前記一般式(1)で表されるポリグルコシド化合物と、該ポリグルコシド化合物以外の他のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の群から選ばれた少なくとも1種類の界面活性剤との混合物であることを特徴とする請求項に記載の乳化重合用乳化剤。
  3. モノマーに対して、請求項1又は2に記載の乳化重合用乳化剤を0.1〜20重量%の量で使用し、水性媒体中で前記モノマーを重合させる、又は前記モノマー重合後のポリマーに添加することを特徴とするポリマーエマルションの製造方法。
  4. 請求項に記載のポリマーエマルションの製造方法により得られたことを特徴とするポリマーエマルション。
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