JP3868834B2 - 乳化重合用反応性界面活性剤組成物 - Google Patents

乳化重合用反応性界面活性剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合安定性、機械的安定性及び化学的安定性が良好で、ポリマー塗膜の耐水性の良好なポリマーエマルジョンを与える乳化重合用反応性界面活性剤組成物、それを用いるポリマーエマルジョンの製造法、この製造法により製造されたポリマーエマルジョン及びこのポリマーエマルジョンを用いて調製されたポリマー塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のビニル系モノマーの乳化重合によって得られるポリマーエマルジョンは、そのまま塗料、粘・接着剤、紙加工、繊維加工等の分野に、あるいは重合体が分離されてプラスチック、ゴムとして広く工業的に使用されている。乳化重合用乳化剤としては、種々の界面活性剤が使用されるが、特にポリマー塗膜の耐水性や接着性を向上させるため、一般に反応性界面活性剤といわれる、分子中にラジカル重合性の不飽和結合を有する界面活性剤が提案されている。
【0003】
反応性界面活性剤には、陰イオン性及び非イオン性界面活性剤があり、非反応性の界面活性剤と同様に、陰イオン性の反応性界面活性剤の方が非イオン性の反応性界面活性剤よりも重合安定性が良好であり、塗膜の耐水性を必要とする分野で広く使用されている。塗料用途では、無機顔料を大量に添加するため、エマルジョンの安定性を保持するためには、非イオン性の反応性界面活性剤を使用する必要があり、非イオン性の反応性界面活性剤単独、もしくは陰イオン界面活性剤と非イオン性の反応性界面活性剤との混合系が使用されてきた。
【0004】
従来の非イオン性の反応性界面活性剤としては、特開昭59−42035号、特開昭59−81302号に、アリルアルコールのブチレンオキサイド及びエチレンオキサイド付加物、ウンデセン酸のエチレンオキサイド付加物等が開示されている。また特開昭62−104802号には、ノニルフェノ−ルとアリルグリシジルエーテルの反応物のエチレンオキサイド付加物が開示されている。しかしこれら従来の非イオン性の反応性界面活性剤では、重合安定性が不十分であり、満足できるものではなかった。
【0005】
これら反応性界面活性剤に要求される性能は、重合安定性、生成したポリマーエマルジョンの機械的安定性、化学的安定性が良好で、モノマーとの共重合性が良好で、ポリマー塗膜の耐水性に優れることである。またエマルジョンの粒径が小さく、粘度が低いこと、さらには環境問題が発生しないこと等が要求される。またモノマー、水、乳化剤をあらかじめ乳化してモノマーエマルジョンとして滴下する重合方法(プレエマルジョン法)においては、モノマーエマルジョンの安定性が良好であることも要求される。これらの性能をすべて満足する反応性界面活性剤は得られていない。
【0006】
本発明の課題は、上記性能を全て満足する乳化重合用反応性界面活性剤組成物、及びそれを用いるポリマーエマルジョンの製造法、並びにこれにより得られる機械的安定性、化学的安定性が良好なポリマーエマルジョン、さらには、塗料分野、粘着製品等の分野において優れた耐水性を発揮するポリマー塗膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式(I)又は式(II)で表される不飽和化合物(以下、不飽和化合物(I)又は(II)という)の少なくとも1種を含有する乳化重合用反応性界面活性剤組成物、更に陰イオン界面活性剤を含有する乳化重合用反応性界面活性剤組成物、その反応性界面活性剤組成物を用いて乳化重合を行うポリマーエマルジョンの製造法、その反応性界面活性剤を用いて製造されたポリマーエマルジョン、及びそのポリマーエマルジョンを用いて調製されたポリマー塗膜を提供する。
【0008】
【化2】
Figure 0003868834
【0009】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数2〜17の脂肪族炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜9の整数、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す5〜200の数であり、n個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
式(I)及び(II)において、R1は水素原子又はメチル基を示す。pは重合安定性から2〜9であり、好ましくは2〜6である。特にR1がメチル基で、pが2であるものが好ましい。R2は好ましくは炭素数4〜18のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数8〜14のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数8〜12のアルキル基である。R3は好ましくは炭素数2〜17のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数7〜13のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数7〜11のアルキル基である。
【0011】
また、AOで示される炭素数2〜4オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、オキシエチレン基が好ましい。n個のAOは同一でも異なっていてもよく、異なる場合の付加形態、付加順序は特に限定されない。オキシアルキレン基の平均付加モル数を示すnは、重合安定性及び得られたポリマーエマルジョンの顔料混和性から、5〜200であり、好ましくは10〜60、特に好ましくは10〜40である。
【0012】
不飽和化合物(I)又は(II)は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、末端不飽和基を有する炭素数4〜12の不飽和アルコールに、公知の方法で炭素数4〜18のアルキル基を有するアルキルグリシジルエーテル、又は炭素数5〜20のα−オレフィンエポキサイドを反応させ、さらに公知の方法で炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加することにより得ることができる。
【0013】
末端不飽和基を有する炭素数4〜12の不飽和アルコールとしては、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−メチル−5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール等が挙げられる。
【0014】
本発明の反応性界面活性剤組成物中の不飽和化合物(I)又は(II)の少なくとも1種の含有量は、20〜100重量%が好ましく、50〜100重量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明の反応性界面活性剤組成物は、重合安定性の観点から陰イオン界面活性剤を含有するのが好ましい。本発明で用いられる陰イオン界面活性剤は、ラジカル重合性の不飽和結合を有する反応性の陰イオン界面活性剤が好ましい。例えば、特開昭58−203960号、特公昭49−46291号に記載のスルホコハク酸塩型反応性界面活性剤、さらに特開昭62−104802号、特開平4−53802号に記載の硫酸エステル塩型反応性界面活性剤等を使用できる。
【0016】
またエマルジョンから製造された塗膜の耐水性を損なわない範囲内で、非反応性の陰イオン界面活性剤も使用することができ、例えば、直鎖アルキル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0017】
不飽和化合物(I)又は(II)の少なくとも1種と陰イオン界面活性剤を併用する場合、その混合比率は重合安定性及び化学的安定性の観点から、不飽和化合物(I)又は(II)の少なくとも1種/陰イオン界面活性剤(重量比)で85/15〜30/70が好ましく、80/20〜50/50が更に好ましい。
【0018】
本発明の反応性界面活性剤組成物を用いて乳化重合を行いうるモノマーの具体例を挙げれば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類等である。これらのモノマーは単独で重合させても、2種以上を併用して共重合させてもよい。モノマーの使用量は、全系に対して40〜60重量%が好ましい。
【0019】
本発明の反応性界面活性剤組成物はモノマー100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、特に0.5〜5重量部の範囲で用いるのが好ましい。
【0020】
本発明の乳化重合に用いるラジカル重合開始剤は、通常の乳化重合に用いられるものであればいずれも使用でき、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスジイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ系開始剤等が挙げられるが、過硫酸塩が好ましい。さらに過酸化化合物に亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせたレドックス系の開始剤も使用できる。
【0021】
モノマーの添加方法は、モノマー滴下法、あるいはプレエマルジョン法を用いることができるが、重合安定性からプレエマルジョン法が好ましい。滴下時間は1〜8時間、熟成時間は1〜5時間が好ましい。重合温度は、開始剤の分解温度により調整されるが、50〜90℃が好ましく、特に過硫酸塩の場合は70〜85℃が好ましい。
【0022】
上記のような方法で得られた本発明のポリマーエマルジョンの平均粒径は用途によって異なるが、30〜500nmが好ましく、80〜300nmが更に好ましい。また、粘度は、50000〜10mPa・sが好ましく、10000〜50mPa・sが更に好ましい。ここで、ポリマーエマルジョンの平均粒径及び粘度は、下記の実施例に示す方法で測定した値である。
【0023】
本発明のポリマーエマルジョンから調製されたポリマー塗膜は耐水性に優れ、塗料、特に水性塗料分野や、粘着製品分野に好ましく用いることができる。
【0024】
本発明のポリマー塗膜の調製方法は用途により異なる。例えば、粘着用途では、本発明の反応性界面活性剤を用いた乳化重合によって、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル等のポリマーTgの低い本発明のポリマーエマルジョンを製造する。この本発明のポリマーエマルジョンに必要に応じて増粘剤、粘着付与剤等を配合したものを紙やフィルム等の基材に塗工し、熱風乾燥して厚さ20μm程度のポリマー塗膜を形成させると耐水性、及び粘着性能に優れた粘着製品を得ることができる。
【0025】
また、塗料用途では、本発明の反応性活性剤を用いた乳化重合によって、アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸メチル共重合体等の本発明のポリマーエマルジョンを製造する。この本発明のポリマーエマルジョンに必要に応じて成膜助剤、顔料等を配合したものを建築壁材等に乾燥膜厚が100μm程度になるように塗工し、これを自然乾燥、又は熱風乾燥することにより、耐水性、耐候性に優れた塗膜を得ることができる。
【0026】
【実施例】
例中の%は、特記しない限り重量%である。
【0027】
合成例1
攪拌機、温度計、滴下漏斗、還流管を備えた反応容器に3−メチル−3−ブテン−1−オール2583g(30モル)、粉末ナトリウムメトキサイド10.8g(0.2モル)を仕込み、窒素雰囲気下85℃でn−ブチルグリシジルエーテル390g(3モル)を2時間かけて滴下し、この温度で8時間熟成した。この反応物にリン酸を加えてナトリウムメトキサイドを中和した後、減圧下で未反応の3−メチル−3−ブテン−1−オールを除去し、反応物中に含まれるリン酸ナトリウム塩を濾過により除去した。この反応物を減圧蒸留精製して1−O−n−ブチル−3−O−イソプロペニルグリセリン460gを得た。この蒸留精製品432.2g(2モル)とKOH3.4gをオートクレーブに仕込み、120℃、0.3MPaの条件でエチレンオキサイド1762g(40モル)を付加し、下記式で表される不飽和化合物(a−1)を得た。
【0028】
【化3】
Figure 0003868834
【0029】
合成例2
n−ブチルグリシジルエーテルの代わりに、n−デシルグリシジルエーテルを用い、合成例1と同様の方法で、3−メチル−3−ブテン−1−オールとn−デシルグリシジルエーテルを反応させ、この蒸留精製品にエチレンオキサイドを付加して、下記式で表される不飽和化合物(a−2)を得た。
【0030】
【化4】
Figure 0003868834
【0031】
合成例3
n−ブチルグリシジルエーテルの代わりに、n−ドデシルグリシジルエーテルを用い、合成例1と同様の方法で、3−メチル−3−ブテン−1−オールとn−ドデシルグリシジルエーテルを反応させ、この蒸留精製品にエチレンオキサイドを付加して、下記式で表される不飽和化合物(a−3)を得た。
【0032】
【化5】
Figure 0003868834
【0033】
合成例4
3−メチル−3−ブテン−1−オールの代わりに5−ヘキセン−1−オールを用い、n−ブチルグリシジルエーテルの代わりに、n−オクチルグリシジルエーテルを用いて、合成例1と同様の方法で、5−ヘキセン−1−オールとn−オクチルグリシジルエーテルを反応させ、この蒸留精製品にエチレンオキサイドを付加して、下記式で表される不飽和化合物(a−4)を得た。
【0034】
【化6】
Figure 0003868834
【0035】
合成例5
3−メチル−3−ブテン−1−オールの代わりに10−ウンデセン−1−オールを用い、合成例1と同様の方法で、10−ウンデセン−1−オールとn−ブチルグリシジルエーテルを反応させ、この蒸留精製品にエチレンオキサイドを付加して、下記式で表される不飽和化合物(a−5)を得た
【0036】
【化7】
Figure 0003868834
【0037】
合成例6
攪拌機、温度計、滴下漏斗、還流管を備えた反応容器に3−メチル−3−ブテン−1−オール861g(10モル)、粉末ナトリウムメトキサイド3.11g(0.0576モル)を仕込み、窒素雰囲気下130℃で炭素数12、14のα―オレフィンエポキサイド(AOE X24、ダイセル化学工業(株)製)236.7g(1.15モル)を4時間かけて滴下し、この温度で12時間熟成した。この反応物にリン酸を加えてナトリウムメトキサイドを中和した後、減圧下で未反応の3−メチル−3−ブテン−1−オールを除去し、反応物中に含まれるリン酸ナトリウム塩を濾過により除去した。この反応物を減圧蒸留精製し、下記式で表されるオレフィンエポキサイドの3−メチル−3−ブテン−1−オール付加体265gを得た。
【0038】
【化8】
Figure 0003868834
【0039】
得られたオレフィンエポキサイドの3−メチル−3−ブテン−1−オール付加体250g(0.856モル)、KOH1.44gをオートクレーブに仕込み、130℃、0.3MPaの条件でエチレンオキサイド1131.2g(25.68モル)を付加し、下記式で表される不飽和化合物(a−6)を得た。
【0040】
【化9】
Figure 0003868834
【0041】
実施例1〜10及び比較例1〜8
合成例1〜6で得られた本発明の不飽和化合物(a−1)〜(a−6)、比較の反応性非イオン界面活性剤として以下の(b−1)〜(b−5)、陰イオン界面活性剤として以下の(c−1)〜(c−2)を用い、表1に示す割合で配合して本発明及び比較の反応性界面活性剤組成物を調製した。この反応性界面活性剤組成物を用い、下記に示す方法で乳化重合を行い、下記に示す方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
<比較の反応性非イオン界面活性剤>
【0043】
【化10】
Figure 0003868834
【0044】
<陰イオン界面活性剤>
【0045】
【化11】
Figure 0003868834
【0046】
<乳化重合法>
ビーカーに秤取ったイオン交換水104.1gに、反応性界面活性剤組成物5.83g、過硫酸カリウム0.39gを溶解し、アクリル酸2.4g、アクリル酸ブチル120.3g及びメタクリル酸メチル120.3gを加え、ホモミキサーにて5000r/min×10分間乳化し、モノマー乳化物を得た。セパラブルフラスコにイオン交換水178.6g、反応性界面活性剤組成物1.35g、過硫酸カリウム0.09g、及び上記モノマー乳化物16.4gを仕込み、窒素気流中で15分間撹拌した。次に、窒素気流中で撹拌しながら、水浴でフラスコの内温が、80℃になるまで昇温し、30分間重合反応した後、上記モノマー乳化物310.8gを滴下漏斗から3時間かけて滴下し、1時間熟成後、室温まで冷却してポリマーエマルジョンを得た。滴下及び熟成の間、フラスコ内の温度は80±2℃に保った。また、滴下するモノマー乳化物が滴下漏斗内で分離する場合には、小型の攪拌機を滴下漏斗内に挿入し均一性を維持した。
【0047】
<性能評価法>
(1)重合安定性
ポリマーエマルジョンを200メッシュのステンレス製金網でろ過し、重合後の反応器壁や攪拌羽根等に付着した凝集物も集めて同様にろ過し、水洗後26.6kPa、105℃で2時間乾燥・秤量して、凝集物量を求めた。使用したモノマーの総量に対する凝集物の重量%で、重合安定性を表した。重合安定性は数値が小さいほど好ましく、0.12%以下が好ましく、0.10%以下が特に好ましい。
【0048】
(2)機械的安定性
25%アンモニア水で中和したポリマーエマルジョン50gをマロン安定試験機にて10kgf、1000r/minの条件で5分間回転させ、生成した凝集物を200メッシュのステンレス製金網でろ過し、ろ過残渣を水洗後に26.6kPa、105℃で2時間乾燥・秤量して、ポリマーに対する凝集物の重量%で表示した。機械的安定性は数値が小さいほど好ましく、0.10%以下が好ましい。
【0049】
(3)平均粒径
コールター社製の動的光散乱法粒径測定装置N4 Plusを使用して、中和後のポリマーエマルジョン粒子の平均粒径を測定した。平均粒径は100〜300nmが好ましい。
【0050】
(4)粘度
B型粘度計を使用して、中和後のポリマーエマルジョンの粘度を温度25℃、回転数12r/minで測定した。エマルジョン粘度は粒径に依存するが、50〜2000mPa・sが好ましい。
【0051】
(5)化学的安定性
中和後のポリマーエマルジョンを、イオン交換水でポリマー濃度3%に希釈し、1molL-1塩化カルシウム水溶液を用いて滴定することにより、凝集物が生じる濃度を測定した。化学的安定性は1000mmolL-1以上が好ましい。
【0052】
(6)ポリマー塗膜の耐水性
25%アンモニア水で中和したポリマーエマルジョンを、透明アクリル板上にアプリケーターを使用して、乾燥膜厚が150μmとなるよう塗工し、熱風乾燥機で100℃、10分間乾燥した。このアクリル板を60℃の温水に16時間浸漬した後、ヘイズメーターを使用して、ポリマー塗膜のヘイズ値を測定した。ヘイズ値が小さいほど、耐水性が良好であることを示し、ヘイズ値で10%以下が好ましい。
【0053】
【表1】
Figure 0003868834
【0054】
【発明の効果】
本発明の反応性界面活性剤組成物を乳化重合に用いると、重合安定性、機械的安定性及び化学的安定性が良好で、ポリマー塗膜の耐水性が良好なポリマーエマルジョンが得られる。

Claims (6)

  1. 式(I)又は式(II)で表される不飽和化合物の少なくとも1種を含有する、乳化重合用反応性界面活性剤組成物。
    Figure 0003868834
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数2〜17の脂肪族炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜9の整数、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す5〜200の数であり、n個のAOは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 1がメチル基で、p=2である、請求項1記載の乳化重合用反応性界面活性剤組成物。
  3. 更に陰イオン界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の乳化重合用反応性界面活性剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の反応性界面活性剤組成物を用い、ビニル系モノマーの乳化重合を行うポリマーエマルジョンの製造法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の反応性界面活性剤を用い、ビニル系モノマーの乳化重合により製造されたポリマーエマルジョン。
  6. 請求項5記載のポリマーエマルジョンを用いて調製されたポリマー塗膜。
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