JP2020075957A - ポリマーエマルションの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの界面活性剤を用いたポリマーエマルションを含有する塗料や接着剤等では、ポリマーエマルションの乾燥によりポリマー塗膜が形成されるが、ポリマー塗膜中に乳化剤が残るため、耐水性、接着性、耐候性、耐熱性等を低下させる原因となることが知られている。また、ポリマーエマルションを含有する塗料や接着剤を塗工する際に泡立ち易いと、塗工後に泡が消えた部分がムラとなり、塗膜に欠陥を生じてしまう。
そこで、ポリマーエマルションの製造時に、得られるポリマーエマルションの用途に適した乳化剤を使用するものとして、種々の乳化重合用界面活性剤、及びポリマーエマルションの製造方法が提案されている。
特許文献1には、特定の構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩の存在下、ラジカル重合可能なモノマーを乳化重合する、耐水塗膜用ポリマーエマルションの製造方法が開示されている。
[1]下記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合する、ポリマーエマルションの製造方法。
[3]上記[2]に記載のポリマーエマルションを含有する、塗料組成物。
[4]下記工程1及び2を有する、ポリマー塗膜の製造方法。
工程1:前記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合し、平均粒径30nm以上300nm以下のポリマーエマルションを得る工程
工程2:工程1で得られたポリマーエマルションを、基板に塗布し、乾燥する工程
本発明のポリマーエマルションの製造方法は、下記式(1)で表される化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」ともいう)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)(以下、単に「モノマー(B)」ともいう)を乳化重合する方法である。
なお、本明細書において、「塗膜」とは、ポリマーエマルションを基板に塗布した後、乾燥させて硬化させた状態にある膜を意味し、「耐水塗膜」とは、耐水性を有する塗膜を意味する。
また、「耐水性を有する」とは、単に塗膜を水中に浸漬した状態での膨れや剥離の有無で評価するものではなく、実施例に記載のように、塗膜を水中に14日間静置浸漬した後に、ヘーズ値を測定し、ヘーズ値が10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下であることを意味する。
本発明の方法で得られるポリマーエマルションは、該ポリマーエマルションを含有する塗料や接着剤を塗工する際に泡立ちが抑制され、ムラ等の塗膜欠陥を生じず、また、得られるポリマー塗膜も十分な耐水性を有するため、塗料、特に水性塗料分野や、粘着剤分野に好ましく用いることができ、その用途が一層広がることが期待される。
すなわち、本発明のポリマーエマルションの製造方法においては、前記式(1)で表される化合物(A)の存在下で乳化重合するが、化合物(A)は界面活性能が高いことから、乳化重合において、ポリマーエマルションを小粒径化することが可能であり、このポリマーエマルションを用いて調製した塗料組成物及びポリマー塗膜は緻密な膜となるため、耐水性が優れたものになると考えられる。
また、一般的な乳化剤は、クラフト点が低く、ポリマー塗膜中で移動しやすく、経時的に塗膜表面へブリードし、水を塗膜中へ引き込み易いが、化合物(A)はクラフト点が20℃以上と高いことから、ポリマー塗膜中で移動しにくく、長期間放置されても塗膜表面へブリードしないので、水に曝される環境下に置かれても、ポリマー塗膜中に水を引き込みにくいことから、耐水性が優れたものになると考えられる。
また一般的に、ポリマーエマルションを塗工する際に泡立ちが起こると塗膜形成途中に泡が消え、その泡が消えた部分が濡れムラとなり製品欠陥となる。その対策として消泡剤を利用する方法があるが、消泡剤が存在すると塗工時に塗工面にハジキが生じて問題となる。これに対して、本発明のポリマーエマルションは抑泡性が高く、起泡を抑えられることから、消泡剤を使用することなく、濡れムラがなく、耐水性の優れた均一な塗膜を形成できると考えられる。
化合物(A)は、下記式(1)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩である。
なお、化合物(A)は、式(1)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩のいずれか1種を含有していればよく、2種以上を含有していてもよい。
アルキル基の炭素数は、上記と同様の観点から、16以上であり、好ましくは18以上であり、そして、22以下であり、好ましくは20以下である。すなわち、アルキル基の炭素数は、好ましくは16以上22以下、より好ましくは18以上22以下、更に好ましくは18以上20以下である。
R1の具体例としては、パルミチル基、マルガリル基、イソステアリル基、2−ヘプチルウンデシル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基等のアルキル基が挙げられ、上記と同様の観点から、パルミチル基、ステアリル基、及びベヘニル基から選ばれる1種以上が好ましく、ステアリル基及びベヘニル基から選ばれる1種以上がより好ましく、ステアリル基が更に好ましい。
mは分布を有する場合があり、化合物(A)として、(CH2CH2O)の平均付加モル数mが異なる複数の化合物を含有することができる。
なお、平均付加モル数mは、実施例に記載の方法により算出することができる。
Mが陽イオンである場合、式(1)で表される化合物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩となる。この場合、式(1)で表される化合物は、厳密には以下の式(1−1)で表される。
化合物(A)は、ポリマーエマルション製造時の作業性向上の観点から、水に溶解又は分散させた液体として使用することが好ましく、この状態における均一性及び安定性向上の観点から、Mは、好ましくはアンモニウムイオン、及びトリエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオンから選ばれる1種以上、より好ましくはアンモニウムイオン(NH4 +)である。
なお、Mが二価以上の陽イオンの場合には、−SO3 −の陰イオンと対イオンとなるように存在すればよく、例えば、二価の陽イオンであれば、−SO3 −の量に対して、1/2量が存在すればよい。
なお、化合物(A)として、2種以上の化合物を用いる場合は、クラフト点の異なる複数の化合物の含有量(質量%)で重み付けした加重平均値で上記の範囲とすることが好ましい。
ここで、クラフト点とは、界面活性剤の水への溶解度を、温度を変えて測定するときに、界面活性剤に固有のある温度において、溶解度が急激に増大するそのときの温度をいう。クラフト点の詳細については、日本化学会編、「界面活性の化学と応用」(大日本図書株式会社、1995年1月発行、第3章)に記載されている。
クラフト点の測定は、示差走査熱量計を用いて、化合物(A)を含む水溶液の急激な溶解度変化における熱量変化を測定することで行うことができ、具体的には、実施例に記載の方法により行うことができる。
また、日本化学会編、「化学便覧基礎編I」(4・6 界面活性剤)、及び工学図書株式会社、「界面活性剤ハンドブック」(1996年、新版)に記載されているデータを利用することもできる。
また、R1が、直鎖の炭素数18以上22以下のアルキル基であり、mが3以上7以下であり、Mがナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンである化合物(A)を用いることがより好ましく、R1が、直鎖の炭素数18以上22以下のアルキル基であり、mが4以上7以下であり、Mがナトリウムイオン又はアンモニウムイオンである化合物(A)を用いることが更に好ましい。
化合物(A)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
硫酸化反応は、温度60℃以上140℃以下で行うことができる。
本発明に用いるラジカル重合可能なモノマー(B)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の好ましくは炭素数1以上22以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上8以下のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのモノマー(B)は単独重合、又は2種以上を併用して共重合させてもよい。
なお、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれる1種又は2種を意味し、(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種を意味する。以下においても同様である。
ラジカル重合可能なモノマー(B)中の炭素数1以上22以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、ポリマーエマルション及び塗料組成物の抑泡性とポリマー塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。
本発明のポリマーエマルションの製造方法は、前記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合する方法である。
本発明の方法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、化合物(A)以外のその他の乳化剤を併用することができる。その他の乳化剤としては、例えば、アルコールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボキシレート等のアニオン性界面活性剤、更に水溶性保護コロイド等が挙げられる。
本発明におけるラジカル重合可能なモノマー(B)の使用量は、エマルションの平均粒径を小さくし、重合安定性、ポリマーエマルション及び塗料組成物の抑泡性、ポリマー塗膜の耐水性を向上させる観点から、全系に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
化合物(A)の使用量は、上記と同様の観点から、乳化剤総量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
また、化合物(A)の使用量は、モノマー(B)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
乳化重合において、モノマー(B)を添加する場合、モノマー滴下法、モノマー一括仕込み法、プレエマルション法等のいずれの方法も用いることができるが、重合安定性の観点から、プレエマルション法が好ましい。
プレエマルションの滴下時間は、1時間以上8時間以下、熟成時間は1時間以上5時間以下が好ましい。重合温度は、重合開始剤の分解温度により調整されるが、50℃以上90℃以下が好ましく、特に過硫酸塩の場合は70℃以上85℃以下が好ましい。
本発明のポリマーエマルションは、本発明の方法により得られる。
本発明の方法により得られるポリマーエマルションの平均粒径は、ポリマーエマルション及び塗料組成物の抑泡性とポリマー塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、更に好ましくは200nm以下、より更に好ましくは160nm以下であり、そして、重合安定性の観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは80nm以上である。
ポリマーエマルションの平均粒径の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
また、ポリマーエマルションの粘度は、作業性の観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上であり、そして、好ましくは50,000mPa・s以下、より好ましくは10,000mPa・s以下、更に好ましくは5,000mPa・s以下である。ポリマーエマルションの粘度の測定は、ブルックフィールド型粘度計を用いる回転粘度計法等の一般に用いられる測定方法により行うことができる。
本発明の塗料組成物は、前記ポリマーエマルションを含有し、前記ポリマーエマルションを含有することにより、得られる塗膜の耐水性が向上する。
塗料組成物には、顔料や、必要に応じて、水、粘性制御剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を更に含有することができる。
顔料としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料;ベンガラ、カーボンブラック、群青、黄酸化鉄等の着色顔料;二酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール系顔料等の無機系顔料;有機合成色素としての染料、有機顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
PWC=(塗料組成物中の顔料固形分÷塗料組成物中の全固形分)×100
本発明のポリマー塗膜(以下、単に「塗膜」ともいう)の製造方法は、下記工程1及び2を有する。
工程1:前記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合し、平均粒径30nm以上300nm以下のポリマーエマルションを得る工程
工程2:工程1で得られたポリマーエマルションを、基板に塗布し、乾燥する工程
工程1において、前記化合物(A)の添加量(含有量)は、ポリマーエマルション中、モノマー(B)100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、10質量部以下であり、好ましくは8質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
こうして、平均粒径が30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは80nm以上であり、そして、平均粒径が300nm以下、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは160nm以下であるポリマーエマルションを得る。
用いる基板に特に制限はなく、ガラス、金属(アルミニウム、ステンレス等)、セラミックス(碍子、タイル等)、耐熱性高分子材料等からなる基板が挙げられる。
工程1で得られたポリマーエマルションを基板に塗布する方法に特に制限はなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の従来公知のコーティング装置を用いることができる。
乾燥時の加熱温度は、生産性及び塗膜の均一性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。
乾燥時の加熱時間は、生産性及び塗膜の均一性の観点から、好ましくは10秒間以上、より好ましくは30秒間以上、より好ましくは1分間以上であり、そして、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分間以下である。
塗膜の厚さは、用途等により異なるが、生産性、及びポリマー塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下であり、そして、硬度を高める観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
例えば、粘着剤用途では、化合物(A)を用いた乳化重合によって、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル等のポリマーガラス転移温度(Tg)の低いポリマーエマルションを製造した後、得られたポリマーエマルションに、必要に応じて、増粘剤、粘着付与剤等を配合したものを紙やフィルム等の基材に塗工し、熱風乾燥して厚さ10〜40μm程度のポリマー塗膜を形成させると、耐水性、及び粘着性能に優れた粘着製品を得ることができる。
また、塗料用途では、化合物(A)を用いた乳化重合によって、アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸メチル共重合体等のポリマーエマルションを製造した後、得られたポリマーエマルションに、必要に応じて、成膜助剤、顔料等を配合したものを建築壁材等に乾燥膜厚が1〜500μm程度、好ましくは10〜300μm程度になるように塗工し、これを自然乾燥、又は熱風乾燥することにより、耐水性に優れ塗工ムラのない塗膜を得ることができる。
本発明の方法で得られるポリマー塗膜は耐水性に優れ、塗料、特に水性塗料分野や、粘着製品分野に好ましく用いることができる。
ステアリルアルコール(花王株式会社製、商品名:カルコール8098)のエトキシレート(エチレンオキシド平均付加モル数4.0)を250℃、133.3Paで減圧蒸留して未反応アルコールを除去し、反応温度110℃でスルファミン酸(スルファミン酸/エトキシレートのモル比:1.10)で硫酸化反応を行った。
得られたポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸化物を48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和後、窒素流入下80℃で加熱し、脱アンモニアを行い、水でポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム塩濃度が13質量%になるように調整し、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム塩(C18H37O−(CH2CH2O)4−SO3Na:化合物1)を合成した。
中和を48質量%水酸化ナトリウム水溶液に代えてアンモニア水で行い濃度を調整する以外は合成例1と同様にして、表1に示す化合物2を合成した 。また、合成例1と同様にして、表1に示す化合物3〜5を合成した 。
化合物6
化合物6として、オクタデシル硫酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)を準備した。
スチレン化フェノール(四日市合成株式会社製、スチレンを1〜3モル付加した平均2モル付加物)のエトキシレート(エチレンオキシド平均付加モル数13)を250℃、133.3Paで減圧蒸留して未反応スチレン化フェノールを除去し、反応温度110℃でスルファミン酸(スルファミン酸/エトキシレートのモル比:1.10)で硫酸化反応を行った。得られたポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸化物をアンモニアで中和し、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩(化合物7)を合成した。
撹拌機、温度計、滴下漏斗を備えた1L四つ口フラスコに3−メチル−3−ブテン−1−オール120.0g(1.39モル)を仕込み、窒素雰囲気下10℃に冷却し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(富士フィルム和光純薬株式会社製)3.96g(0.028モル)を添加し、ブチレンオキシド602g(8.36モル)を7〜10℃で滴下し、滴下後、10℃で、1時間熟成した。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体除去のため吸着剤「キョーワード500SH」(協和化学工業株式会社製)12.4gを添加し、室温で1時間撹拌した後、減圧濾過しポリオキシブチレンアルケニルエーテルを得た。
このポリオキシブチレンアルケニルエーテル518g(1モル)と水酸化カリウム15.5gをオートクレーブ2Lに仕込み、125℃、0.3MPaの条件でエチレンオキシド660g(15モル)を付加した。反応系を酢酸で中和した。次に、得られた化合物(ポリオキシブチレン・ポリオキシエチレンアルケニルエーテル)1,178g(1モル)、アミド硫酸97g(1モル)、尿素3gを撹拌機、温度計を備えた2L四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下125℃で4時間反応させて硫酸化を行った後、未反応のアミド硫酸を加圧濾過により除去し、アンモニアで中和を行い、下記式で表される化合物8を得た。なお、式中、p及びqは平均付加モル数を表す。
(式中、BOはブチレンオキシ基を表す。)
「JIS K 0070−1992 7.1 中和滴定法」に記載の方法により、水酸基価を求め、下記式により、化合物1〜8のエチレンオキシド平均付加モル数mを算出した。結果を表1に示す。
平均付加モル数m=(Ma÷OHV−Mb)÷Mc×1000
OHV:前記式(2)で表されるエチレンオキシド化合物の水酸基価(mgKOH/g)
Ma:水酸化カリウムの分子量(56.1)
Mb:式(2)で表されるエチレンオキシド化合物の分子量
Mc:エチレンオキシドの分子量
なお、OHV(水酸基価)の算出に用いる酸価は、「JIS K 0070−1992 3.1 中和滴定法」に記載の方法により求めた。
対象の各化合物を水に溶解し、10質量%水溶液を調製した。示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、高感度型示差走査熱量計「DSC7000X」)を用いて、昇温(10℃/分)→80℃(10分間維持)→冷却(−10℃/分)→−20℃(10分間維持)→昇温(1℃/分)→80℃の測定手順で調製した水溶液の熱量変化を測定した。得られたチャートの吸熱ピークをクラフト点(℃)とし、表1及び表2に示す。
(1)プレエマルションの製造
滴下ロート及びポリテトラフルオロエチレン製の撹拌羽根(羽根径:8cm)付き硼珪酸ガラス棒を取り付けた撹拌機を備えた1Lの四つ口フラスコに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.36g、合成例等で得られた化合物1〜8を表2に示す量(添加量:P)で添加し、更に水の合計が112.5g(モノマー合計100部に対して50部)になるようにイオン交換水を添加した。得られた溶液を500r/minで撹拌しながら、室温でアクリル酸ブチル109.7g、メタクリル酸メチル109.7g及びアクリル酸5.6gのモノマー混合物を約5分間かけて滴下ロートから滴下し、滴下後30分間撹拌を続けて、滴下用乳化物(以下、「プレエマルション」という)を得た。
(2)ポリマーエマルションの製造
次に、滴下ロート、還流冷却器及び硼珪酸ガラス製錨型撹拌棒(羽根径:7cm)を取り付けた撹拌機を備えた1Lの四つ口丸型セパラブルフラスコ内に、重合開始剤として過硫酸カリウム0.09g、合成例等で得られた化合物1〜8を表2に示す量(添加量:R)で添加し、更に水の合計が162.5g(仕込み終了時の(全モノマー/水)の質量比=45/55)になるようにイオン交換水を添加し、500r/minで撹拌しながら、前記プレエマルションの5%を仕込み、80℃に昇温し、30分間1段目重合を行った。その後、80℃に維持したまま残りのプレエマルションを3時間かけて滴下ロートから滴下し、滴下終了後、更に1時間熟成し、ポリマーエマルションを得た。
得られたポリマーエマルションを30℃以下に冷却し、200メッシュステンレス金網でろ過し、ポリマーエマルション中の凝集物を回収した。更に、フラスコ内、及び撹拌羽根に付着した凝集物も回収した。
得られたポリマーエマルションの重合安定性、平均粒径及び抑泡性を以下の方法で評価した。また、ポリマーエマルションを用いて得た塗料組成物を基材上に塗布して形成したポリマー塗膜の耐水性を 下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
前記ポリマーエマルションの製造で回収した凝集物を水洗後、26.6kPa、105℃で2時間乾燥し、質量を測定して、凝集物量を求めた。使用したモノマーの総量に対する凝集物の質量%で重合安定性を表す。
なお、この値が小さいほど、重合安定性に優れていることを示し、0.07%以下であることが実用上有利である。
前記ポリマーエマルションの製造で得られたエマルションを25質量%アンモニア水で中和し、サブミクロン粒度分布測定装置「ELSZ−1000」(大塚電子株式会社製)を使用して、中和後のポリマーエマルションを蒸留水で約3万倍に希釈し、粒子の平均粒径を測定した。測定解析法は、70回積算測定したキュムラント平均粒径を採用した。
平均粒径は165nm以下であることが実用上有利である。
50mL共栓付きガラス製メスシリンダーに上記エマルションを10g採取し、共栓をして、上下に50回振とうし、振とう直後と静置5分後の液面からの泡高さ(mm)を測定した。評価時の温度は20℃である。
25質量%アンモニア水で中和し、45℃に加温したポリマーエマルション を、透明アクリル板上にベーカー式フィルムアプリケーターNo.510(0〜50mil)(株式会社安田精機製作所製)を使用して、乾燥膜厚が50μmとなるよう塗工し、熱風乾燥機(エスペック株式会社製、商品名:SPS−222)で100℃、10分間乾燥した。
このアクリル板を23℃で14日間水に浸漬した後、ヘーズ・透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名:HM−150)を使用して、ポリマー塗膜のヘーズ値を測定した。耐水性はヘーズ値が小さいほど良く、ヘーズ値が5%以下であれば実用上問題ないと判断される。
その結果、実施例1〜7のエマルション、特に実施例1〜3のエマルションは、比較例2、3のポリマーエマルションに比べて、抑泡性が優れていることが分かる。
また、実施例1〜7のポリマー塗膜の耐水性は、実用上問題ないことが分かる。
Claims (6)
- 下記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合する、ポリマーエマルションの製造方法。
[式中、R1は炭素数16以上22以下のアルキル基を示し、mは(CH2CH2O)の平均付加モル数を示し、3以上8以下であり、Mは陽イオン又は水素原子を示す。] - ラジカル重合可能なモノマー(B)中の炭素数1以上22以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量が50質量%以上である、請求項1に記載のポリマーエマルションの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法により得られる、ポリマーエマルション。
- 請求項3に記載のポリマーエマルションを含有する、塗料組成物。
- 下記工程1及び2を有する、ポリマー塗膜の製造方法。
工程1:下記式(1)で表される化合物(A)の存在下、ラジカル重合可能なモノマー(B)を乳化重合し、平均粒径30nm以上300nm以下のポリマーエマルションを得る工程
[式中、R1は炭素数16以上22以下のアルキル基を示し、mは(CH2CH2O)の平均付加モル数を示し、3以上8以下であり、Mは陽イオン又は水素原子を示す。]
工程2:工程1で得られたポリマーエマルションを、基板に塗布し、乾燥する工程 - ポリマーエマルション中の前記化合物(A)の含有量が、ラジカル重合可能なモノマー(B)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、請求項5に記載のポリマー塗膜の製造方法。
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