JP4394260B2 - 部品実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板などの回路形成体上に電子部品などの部品を実装する部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路基板などの回路形成体上に電子部品などの部品を実装する部品実装技術分野においては、近年の生産性向上要求に対応して部品一点当たりの実装時間の短縮化が望まれており、部品の取り出しから実装を行なう実装ヘッドの移動速度が飛躍的に高速化されつつある。一方、市場の要求からは、移動体通信機器やパーソナルコンピュータなどの更なる小型・軽量化に伴って回路形成体上での部品実装密度が高まり、回路形成体に実装される部品同士の隣接間隔を一段と小さくすることが要望されている。これらを背景として、より高速に、より精度高く部品実装を実施できる部品実装方法並びに部品実装装置の開発が、本技術分野において重要な課題となっている。
【0003】
従来の技術において、部品供給部から取り出した部品を回路形成体の所定位置に正確に実装するため、当該部品の保持状態を認識し、認識された情報に基づいて当該保持された部品の保持角度を補正した後に実装している。例えば前記実装ヘッドが円周上に複数基配備され、この円周上を間欠回転運動する間に部品の取り出しから実装までを順次行なうインデックス型部品実装装置において、実装ヘッドは外部の動力源から動力伝達を受けて、実装ヘッドに保持された部品を実装可能な所定姿勢に角度補正している。この際、外部の動力源は、実装ヘッドに係合して動力伝達を行なうことから、前記角度補正を行なうタイミングは、係合が可能な実装ヘッドの間欠回転運動の停止時間中のみに制限されていた。これに対して上述のような市場の高速化、高精度化の要求に対応するため、近年では前記角度補正に上述のような外部動力を用いず、実装ヘッドが個々に回転動力源を備え、実装ヘッドの移動中であっても補正動作を可能にするよう提案されている。これによって、実装ヘッドに保持状態にある部品を認識した後、実装までの移動時間を、角度補正の時間として有効使用することができ、高速化、高精度化要求に対応するものとしている。
【0004】
上述のような個々の実装ヘッドに配備される角度補正のための回転動力源として、精度向上の観点から云えば一般には制御の容易なサーボモータを用いることが良策である。しかしながら、実装ヘッドの部品保持部は、部品の取り出し・実装の際に上下振動し、この振動がサーボモータに直接伝わるのを回避するため、例えばサーボモータの回転軸にベルトをかけて駆動力を上下可動部材に伝達させるなどの方式が見られる。この方法は構造が複雑となることから、更なる対応策として、振動に強いパルスモータと減速機を組み合わせて使用する方式が提案されている。パルスモータを使用した場合、電気的にその分解能を向上させる新しい技術であるマイクロステップ技術が導入されることなどにより、更なる精度向上の可能性をもたらす。
【0005】
以下、図面を参照しながら、従来技術による部品実装方法、並びにその部品実装方法を実施する部品実装装置の一例を説明する。図9は、従来技術にかかる部品実装装置の主要構成要素を示すもので、間欠回転運動をするインデックスユニット51には複数の実装ヘッド52が円周状に配備され、各実装ヘッド52には部品の吸着・実装を行なう部品保持部である吸着ノズル53が取り付けられている。本実装ヘッド52は、吸着保持された部品を所定姿勢に改めるために吸着ノズル53の回転角度補正をする動力源を個々に備えている。部品供給装置54へは実装されるべき部品が供給され、当該部品は吸着ノズル53によって順次取り出される。部品認識装置55は、部品の吸着状態を認識し、この認識情報は前記の吸着ノズル53の回転角度補正の基礎とされる。XYステージ56は、部品を実装すべき電子回路基板などの回路形成体を図に示すXY方向に位置決めし、これを規正している。そして、制御装置57は、前記認識情報に基づく必要な補正量の演算と各可動要素の制御とを行なう。
【0006】
図10は、図9に示す構成にかかる部品実装装置の主要構成要素の一部を、図9のZ方向から見た状態を示す模式図であり、図9と同一の要素には同一符号を付してある。本図においては、インデックスユニット51に12基の実装ヘッド52が円周状に取り付けられた例を示しており、インデックスユニット51の間欠回転運動により、個々の実装ヘッド52は、矢印58の方向へ順次間欠回転運動を行なう。この間に停止する個々のステーション(以下、各個別のステーションでは「ST」と略す。)における実装ヘッド52の主な動作は、図10において、ST11で実装ヘッド52の吸着ノズル53(図7参照)を選択してこれを装着し、ST12で部品供給装置54から前記選択した吸着ノズル53により部品を吸着してこれを取り出す。次に、ST13では部品認識装置55によって吸着ノズル53に保持された部品の吸着姿勢を認識し、その認識の結果によって得られた補正回転角に応じて、ST13からST14における部品実装までの間に前記吸着ノズル53の角度補正を行う。その後、ST14において、この位置でXYステージ56に規正された回路形成体に実装ヘッド52が対向し、前記角度補正により所定角度に位置合わせされた部品を前記回路形成体上に実装する。
【0007】
図11は、サーボモータを用いた実装ヘッド52aの構成例を示している。図において、サーボモータ61の回転は、その回転駆動軸に取り付けられた駆動側プーリ62からベルト63を介して被駆動側プーリ64に伝えられ、更にその回転は、被駆動側プーリ64の回転軸に嵌装されて軸方向上下運動と回転伝達とが可能なスプラインシャフト65を介して吸着ノズル53aに伝達される。なお、部品の吸着及び実装時における吸着ノズル53aおよびスプラインシャフト65の上下運動は、図示しないボイスコイルモータなどの動力源により駆動される。このように、サーボモータ61を用いた場合には、サーボモータ61にかかる振動を避けるためにベルト63などの伝達部品を用いる必要があり、サーボモータ61自身の遅れに加えてベルト63の伸びによる伝達精度誤差が含まれ、部品の位置決め精度が悪くなるという問題点を有していた。
【0008】
図12は、パルスモータを用いた実装ヘッド52bの構成例を示している。図において、パルスモータ71の出力軸は減速機72に直結され、減速機72の出力軸側に吸着ノズル53bが取り付けられている。部品の認識結果に基づく角度補正は、制御装置57(図7参照)の指令に基づいてパルスモータ71が必要量回転し、その回転が減速機72を介して吸着ノズル53bに伝達されることにより実行される。なお、部品の吸着及び実装時における吸着ノズル53bの上下運動時には、図示しないボイスコイルモータなどの動力源によりパルスモータ71及び減速機72と共に駆動される。このように、パルスモータ71を用いる実装ヘッド52bにおいては、図11に示すサーボモータ61におけるベルト63などの伝達部材が不用となり、したがってその伝達精度誤差から位置決め精度が悪くなるという問題点を回避できる。しかしながらパルスモータ71を用いる場合には、その宿命とも言える脱調を起こす危険性をはらんでおり、このために誤実装を起こす可能性を払拭できないという新たな問題点を生じさせている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、パルスモータを使用する場合の前記脱調にかかわる問題点を解消し、パルスモータを備えた実装ヘッドを使用しながら、その脱調を事前に検出し、安定した部品実装を実現することができる部品実装方法、並びに当該部品実装方法を実施する部品実装装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、部品実装のサイクルの間にパルスモータの予め定められた原点を一旦予め定められた原点位置に復帰させてこれを確認することにより、パルスモータの脱調を検出しようとするもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、請求項1に記載の本発明は、部品供給装置から部品を取り出して保持し、当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により当該部品に必要な角度補正を与え、回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法であって、1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、前記パルスモータの回転と共に回転して前記パルスモータが原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位を前記パルスモータの回転で、一旦予め定められた原点位置に復帰させ、当該原点表示部位が前記原点位置にあるか否かを検出し、加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めし、当該位置決めされたことを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法に関する。部品実装サイクルの間にパルスモータを1度原点位置に戻し、かつ原点位置からずれた位置に位置決めし、これらを確認することによってパルスモータの脱調を検出するものである。部品実装時にはパルスモータは分解能の確立で原点以外の位置にあることから、前記原点位置復帰の確認により、パルスモータの脱調が確認できる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、部品供給装置から部品を取り出して保持し、当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により当該部品に必要な角度補正を与え、回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法であって、1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、部品を取り出して保持する部品保持部の回転に応じて回転して前記部品保持部が原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位を前記部品保持部の回転で、一旦予め定められた原点位置に復帰させ、当該原点表示部位が前記原点位置にあるか否かを検出し、加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めし、当該位置決めされたことを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法に関する。部品実装サイクルの間に部品保持部を1度原点位置に戻し、かつ原点位置からずれた位置に位置決めし、これらを確認することによってパルスモータの脱調を検出するものである。パルスモータと部品保持部との間に介在する減速機による減速のため、部品実装時には部品保持部はパルスモータ分解能の減速比倍の確立で原点位置以外にあることから、前記原点位置復帰の確認により、パルスモータの脱調が確認できる。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、部品供給装置から部品保持部により部品を取り出して保持し、当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により前記部品保持部に保持された当該部品に必要な角度補正を与え、回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法であって、1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、前記パルスモータの回転と共に回転して前記パルスモータが原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位と、部品を取り出して保持する部品保持部の回転に応じて回転して前記部品保持部が原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位とを、前記パルスモータの回転で、それぞれ一旦予め定められた原点位置に復帰させ、前記パルスモータの前記原点表示部位と前記部品保持部の前記原点表示部位がそれぞれの原点位置にあるか否かを検出し、加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めして当該位置決めされたこと、または前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めして当該位置決めされたことのいずれかを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法に関する。部品実装サイクルの間に、パルスモータと部品保持部の原点表示部位を1度それぞれ原点位置に戻し、かつ原点位置からずれた位置に位置決めし、これらを確認することによってパルスモータの脱調を検出するものである。パルスモータと部品保持部との間に介在する減速機による減速のため、部品実装時には部品保持部は、パルスモータ分解能の減速比倍の確立で原点位置以外にあることから、パルスモータと部品保持部との両者原点位置復帰の確認により、パルスモータの脱調がより確実に確認できる。
【0013】
請求項4に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記原点位置復帰を検出するタイミングが、1つの部品を実装した後、次の部品を取り出すまでのいずれかのタイミングであることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品の取り出しから実装までを行なう実装ヘッドが円周状に複数基配備され、当該複数の実装ヘッドが前記円周を間欠回転運動しながら順次部品の取り出しから実装までを行なうことを特徴としている。本発明にかかるパルスモータの脱調の検出をインデックス型部品実装装置による部品実装に適用するものである。
【0019】
請求項6に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めする際の当該所定角度が、前記パルスモータの同一励磁相角度をαとした場合、
α×(n+0.5) (但し、nは整数)
を満たす角度であることを特徴としている。パルスモータが原点位置からずれている状態の検出を容易にするものである。
【0020】
請求項7に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めする際の当該所定角度は、前記パルスモータの同一励磁相角度をαとした場合、前記パルスモータの原点が前記原点位置からずれる角度が
α×(n+0.5) (但し、nは整数)
となることに相当する角度であることを特徴としている。パルスモータの脱調の検出を容易にするものである。
【0021】
請求項8に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、部品を実装した後であって前記原点位置復帰を検出するより前のいずれかのタイミングであることを特徴としている。
【0022】
請求項9に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、部品を取り出した後であって当該部品の保持状態を認識するまでのいずれかのタイミングであることを特徴としている。
【0023】
請求項10に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、前記原点位置復帰を検出するより後であって次の部品を取り出すより前のいずれかのタイミングであることを特徴としている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施の形態にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置につき、図面を参照して説明する。なお、本発明は、実装ヘッドの部品保持角度補正の動力源としてパルスモータを使用する部品実装方法、並びに実装装置を対象としており、以下の各実施の形態における説明で使用するパルスモータは、一例として5相パルスモータで、その分解能は1,000パルス(ハーフステップ)とし、したがって同一励磁相が7.2°おきに発生するものとしている。但し、本発明の適用はこのパルスモータの例に限定されるものではなく、例えば2相パルスモータなどの他のオープンループ制御のアクチュエータであってもよく、また分解能に関してもマイクロステップ駆動のように50,000パルスの高分解能を有するものであってもよい。
【0033】
図2は、本発明にかかる部品実装方法を実施する、パルスモータを駆動源とした実装ヘッドの例を示したもので、以下に記す各実施の形態では、本図に示す実装ヘッド1を使用した例を示している。図において、パルスモータ2の出力軸は減速機3に直結され、この減速機3の出力軸側に部品保持部である吸着ノズル4が取り付けられている。ここまでの基本構成は、図12を参照して説明した従来技術による実装ヘッド52bと同様である。また以下に示す各実施の形態に示す部品実装方法では、実装ヘッド1が図9に示すようなインデックスユニット51に円周状に複数基配備され、間欠回転運動をすることによって順次部品を取り出し、回路形成体上の所定位置に実装する形式の部品実装装置を用いるものとする。
【0034】
図において、実装ヘッド1は、前記従来技術にかかる構成に加えて、パルスモータ2には原点ドグ6が、また部品保持部である吸着ノズル4には原点スリット7がそれぞれ設けられている。原点ドグ6は、突起状の原点表示部位であり、パルスモータ2の回転側部材に取り付けられてパルスモータ2の回転と共に回転する。この原点ドグ6の位置を検出することにより、パルスモータ2が原点位置にあるか否かを知ることができる。ここでパルスモータ2の原点位置とは、パルスモータ2の初期励磁状態(ドライバ原点)で、後に述べるモータ原点センサと対向する位置に定められた点の位置を云う。同様に、原点スリット7は溝状の原点表示部位であり、吸着ノズル4の外周部に刻まれて吸着ノズル4の回転に応じて回転し、この原点スリット7の位置を検出することにより、吸着ノズル4が原点位置にあるか否かを知るものである。ここで吸着ノズル4の原点位置とは、前記パルスモータ2を前記原点位置に位置決めした際、後に述べるノズル原点センサと対向する位置となる吸着ノズル4に定められた点の位置を云う。
【0035】
なお、以下に示す各実施の形態では、部品の取り出しから実装まで行なう実装ヘッド1の部品保持部を、図2に示すような真空を利用して部品を吸着する吸着ノズル4としているが、これはメカ式に部品を掴んで、取り出しから実装までの間に当該部品を保持するチャック式の実装ヘッドを用いることであってもよい。この際には前記原点スリット7は、前記チャックの原点センサに対向する位置に定められる点となる。
【0036】
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる部品実装方法及び部品実装装置につき、図面を参照して説明する。図1は、本発明にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置に配備された実装ヘッド1の各ステーションにおける工程を示した模式図である。図に示すように、本部品実装装置においては、従来技術にかかる部品実装装置(図10参照)に対して、モータ原点センサ11が追加されている。このモータ原点センサ11は、上述のパルスモータ2に設けられた原点ドグ6を検出するために使用される。
【0037】
次に、図1に示す部品実装装置の動作を説明する。本部品実装装置には、図2に示す実装ヘッド1が円周状に12基配備された例を示しており、各実装ヘッド1は矢印12の方向に間欠回転運動をして順次部品を実装する。まずST1において、実装ヘッド1が吸着ノズル3(図2参照)により部品供給装置14から部品を吸着して取り出す。その後、実装ヘッド1はST2まで順次移動し、ST2において部品認識装置15により部品の吸着状態が認識される。その認識結果によって保持された部品の必要な補正角度が検出される。次に実装ヘッド1がST3に移動するまでの間に、制御装置からの指令により実装ヘッド1のパルスモータ2(図2参照)が、前記補正角度に相当する量の回転を行なうことにより、吸着ノズル3の必要な角度補正を行う。そして、ST3に移動した後、実装ヘッド1がXYステージ16に規正された回路形成体上の所定位置に当該部品を実装する。
【0038】
ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST5に至るまでの間に、パルスモータ2を最低でも1パルス以上回転動作させ、最短回転角度によってパルスモータ2を所定の原点位置に復帰させる。この原点位置に復帰された状態においては、パルスモータ2に取り付けられた原点ドグ6がST5においてモータ原点センサ11と対向する向きにある。この場合、ST3においてパルスモータ2が既に前記原点位置に位置決めされている確率は0.1%あるが、そのように既に原点位置にある場合においてもパルスモータ2を1回転(1,000パルス)移動をさせて再度原点位置復帰を行なうものとし、万一の脱調検出洩れを回避するものとしている。パルスモータ2の原点位置復帰を終えた後、実装ヘッド1はST5に進み、ここでモータ原点センサ11を使用して確かにパルスモータ2が原点位置に復帰していることを、原点ドグ6を検出することにより確認する。もしこの時点でパルスモータ2に脱調が発生していた場合には、最低でも原点ドグ6の位置に7.2°のずれを生じているため、このずれはモータ原点センサ11によって十分に確認することができ、パルスモータ2の脱調が検出できる。
【0039】
このように、本実施の形態にかかる部品実装方法によれば、実装ヘッド1にパルスモータ2を駆動源として使用していても、一連の実装工程を大きく変更することなく、また特別な機構を用いることなくパルスモータ2の脱調を検出することができ、安定した部品実装の実施が可能となる。
【0040】
なお、図1においては実装ヘッド1が12基配備された部品実装装置の例を示しているが、この構成の場合には実装ヘッド1の間欠回転運動によって実装ヘッドには12箇所の停止位置がある。本実施の形態にかかる原点位置復帰の検出を図1ではST5で行なうものとしているが、これに限定されるものではなく、部品実装動作に支障がない限りどのステーションで原点位置復帰の検出を行なってもよい。但し、ST2の部品認識からST3の部品実装までの間では、吸着ノズル4の角度補正が行なわれることから、この間における検出は避け、ST3の部品実装の後、ST2の次の部品の認識がされるまでのいずれかのタイミングで前記原点位置復帰の検出を行なうことが好ましい。更には、脱調したパルスモータ2を有する実装ヘッド1によるST1での部品取り出しを回避するため、前記原点位置復帰の検出を、ST3の部品実装の後、ST1の部品取り出しまでの間に行なうことがより好ましい。
【0041】
なお、本実施の形態においてはパルスモータ2の原点位置復帰のみを検出するものとしているため、図2に示す吸着ノズル4に設けられた原点スリット7は本実施の形態に関しては不要である。但し、パルスモータ2がマイクロステップ駆動の50,000パルスほどの高分解能を有したものであって、減速機3を用いることなくパルスモータ2と吸着ノズル6とが直結されている場合においては、吸着ノズル4にある原点スリット7を用いてパルスモータ2の原点位置を検出することとしてもよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる部品実装方法及び部品実装装置につき、図面を参照して説明する。図3は、本実施の形態にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置に配備された実装ヘッド1の各ステーションにおける工程を示している。本図においては、図1に示す第1の実施の形態にかかる部品実装方法に対して、ST5におけるモータ原点センサ11の代わりにノズル原点センサ17が用いられる点が相違し、その他の要素は図1に示すものと同様である。このノズル原点センサ17は、吸着ノズル4に設けられた原点スリット7を検出するために使用される。
【0043】
本実施の形態にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置の動作は、図1を参照して説明した第1の実施の形態と同様である。図3において、ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1の吸着ノズル4は、ST5に至るまでの間に、パルスモータ2の回転により、吸着ノズル4の原点を最短回転角度によって所定の原点位置に復帰させる。この原点位置復帰状態においては、吸着ノズル4に設けられた原点スリット7がST5においてノズル原点センサ17と対向する向きにある。この場合、ST3において吸着ノズル4が既に前記原点位置に位置決めされている確率は、減速機3の減速比を1/30とすれば0.002%と極めて低いが、そのように既に原点位置にある場合においてもパルスモータ2を回転(30回転:30,000パルス)させて再度吸着ノズル4の原点位置復帰を行なうものとし、万一のパルスモータ2の脱調検出洩れを回避する。吸着ノズル4の原点位置復帰を終えた後、実装ヘッド1はST5に進む。ここで、ノズル原点センサ17を使用して吸着ノズル4の原点スリット7を検出することにより、吸着ノズル4が確かに原点位置に復帰していることを確認する。もしこの時点でパルスモータ2に脱調が発生していた場合には、原点スリット7の位置に最低0.24°のずれを生じており、このずれをノズル原点センサ17で検出することにより、パルスモータ2の脱調を検出できる。
【0044】
このように、第1の実施の形態に比べ、減速機3を介するためにノズル原点センサ17ではより精度の高い検出が必要となるが、第1の実施の形態では検出不可能であったパルスモータ2の原点位置における脱調であっても、本実施の形態によればパルスモータ2と吸着ノズル4とが共に原点位置で脱調した場合を除いて検出が可能となり、より高い確率でパルスモータ2の脱調を検出することができる。
【0045】
上述の吸着ノズル4の原点位置復帰の検出を行なうステーションの位置は、図3に示すST5に限定されるものではなく、どのステーションで行なうものであってよいが、ST3の部品実装の後、ST2の次の部品の認識までのいずれかのタイミングで行なうことが好ましく、更には、ST3の部品実装の後、ST1の次の部品取り出しまでの間に行なうことがより好ましいことは、第1の実施の形態と同様である。なお、本実施の形態においては、吸着ノズル4の原点位置のみを検出するものとしているため、図2に示すパルスモータ2に設けられた原点ドグ6は不要である。
【0046】
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる部品実装方法及び部品実装装置につき、図面を参照して説明する。図4は、本実施の形態にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置に配備された実装ヘッド1の各ステーションにおける工程を示している。図において、第1の実施の形態と同一機能を果たす要素に関しては、同一符号を付している。本実施の形態においては、第1の実施の形態に対して、吸着ノズル4の原点スリット7(図2参照)を検出するためのノズル原点センサ17がST5に追加されている。
【0047】
図4に示す部品実装装置における部品の取り出しから実装に至るまでの間の実装動作は、第1の実施の形態と同様である。図4において、ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST5に至るまでの間に吸着ノズル4を所定の原点位置に復帰させる。このためには、パルスモータ2の原点ドグ6の位置をST5でモータ原点センサ11と対向する位置に位置決めし、かつ吸着ノズル4の原点スリット7の位置をST5でノズル原点センサ17と対向する位置に位置決めをする。ST3においてパルスモータ2と吸着ノズル4とが共に既に原点位置に位置決めされている確率は、実装ヘッド1の減速機3の減速比を1/30とすれば0.002%と極めて低いが、もしパルスモータ2と吸着ノズル4とが共に原点位置に既にある場合は、吸着ノズル4を1回転(パルスモータ2を30回転:30,000パルス)移動をさせて再度原点位置へ復帰させるものとし、万一のパルスモータ2の脱調検出洩れを回避するものとする。
【0048】
その後、実装ヘッド1がST5に移動し、パルスモータ2の原点と吸着ノズル4の原点とが正しく各所定の原点位置に復帰されているか否かを、原点ドグ6をモータ原点センサ11により、原点スリット7をノズル原点センサ17によりそれぞれ検出することによって確認する。この時点でパルスモータ2に脱調が生じていると、最低でもパルスモータ2の原点位置を表示する原点ドグ6は7.2°のずれを生じており、このずれはモータ原点センサ11によって十分確認することが出来る。しかしながら、パルスモータ2が、例えばちょうどパルスモータ2の1回転ずれた状態で脱調しているとすれば、モータ原点センサ11によってはその脱調を検出することができない。本実施の形態によれば、パルスモータ2の1回転のずれによって吸着ノズル4が12°のずれを生じているため、そのような状態であってもノズル原点センサ17よって原点スリット7のずれを検出することができ、これによってパルスモータ1の脱調の検出が可能となる。実装ヘッド1の減速機3の減速比が異なる場合には、パルスモータ2の脱調時における吸着ノズル4のずれ量が変化し、ST5において吸着ノズル4が原点にいる確率は異なるが、脱調の検出は同様に可能である。
【0049】
以上より、本実施の形態によれば、パルスモータ2が原点位置にて脱調して固定してしまった場合においても、吸着ノズル4の原点位置復帰の検出によりパルスモータ2の脱調を検出することができ、安定した部品実装を実現することができる。
【0050】
次に、本発明の第4の実施の形態にかかる部品実装方法につき、図面を参照して説明する。図5は、本実施の形態にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置に配備された実装ヘッドの各ステーションにおける工程を示した模式図である。図において、図4に示す第3の実施の形態の要素と同一要素については、同一の符号を付している。本実施の形態では、図4に示す第3の実施の形態に対して、パルスモータ2の原点ドグ6を検出する第2のモータ原点センサ18がST4に追加されている。
【0051】
図5に示す部品実装装置における部品の取り出しから実装に至るまでの間の実装動作は、第3の実施の形態と同様である。図5において、ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST4に至るまでの間に、吸着ノズル4の原点位置を、ST5において位置決めすべき所定の原点位置(すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6がモータ原点センサ11に対向し、吸着ノズル4の原点スリット7がノズル原点センサ17対向する位置)からパルスモータ2が30パルスずれている角度に相当する位置に位置決めする。この30パルスのずれ角は、パルスモータ2の同一励磁相の角度を1.5倍した角度に相当し、本実施の形態に示す例においてはパルスモータ2の10.8°のずれ角に相当する。
【0052】
ST4では、この所定角度ずれた位置にある原点ドグ6を検出できるよう第2のモータ原点センサ18を位置決めする。この第2のモータ原点センサ18を使用してST4において所定角度ずれた位置にある原点ドグ6の検出を行い、もしここで原点ドグ6を前記所定位置で検出できない場合には、この時点でパルスモータ2が脱調していると判断することができる。実装ヘッド1は、その後、ST5への移動中に、吸着ノズル4を所定の原点位置に復帰させる。すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6の位置をST5でモータ原点センサ11と対向する位置に、吸着ノズル4の原点スリット7の位置をST5でノズル原点センサ17と対向する位置に、それぞれ位置決めをする。
【0053】
ST5における原点位置復帰の検出は、先の第3の実施の形態と同様である。すなわち、モータ原点センサ11とノズル原点センサ17とより、それぞれ原点ドグ6と原点スリット7とを検出することにより、パルスモータ2と吸着ノズル4とが共に所定の原点位置に復帰していることを検出する。この時点でパルスモータ2に脱調が発生していると、最低でも原点ドグ6の位置は7.2°のずれを生じており、モータ原点センサ11によってその脱調状態を十分確認することが出来る。また、脱調がちょうどパルスモータ2の原点位置から1回転ずれた状態であれば、モータ原点センサ11によるその脱調の検出はできないものの、例えば減速機が1/30とすれば吸着ノズル4が12°のずれを生じているため、ノズル原点センサ17によってそのずれの検出が十分に可能であり、これによってパルスモータ1の脱調が検出される。
【0054】
しかしながら、万一パルスモータ2と吸着ノズル4とが共に原点位置にある状態でパルスモータ2が脱調して固定してしまった場合には、上述のST5における検出だけではその脱調を確認することができない。本実施の形態に示す方法によれば、ST4における原点位置から所定角度ずれた位置での検出を追加して行なっているため、上述のST5における検出のみでは発見できないパルスモータ2の脱調の検出が可能となり、パルスモータ2を使用した実装ヘッド1であっても、安定した部品実装を実現することが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、ST4にてパルスモータ2を原点位置から30パルス(パルスモータ2の同一励磁相角度の1.5倍)ずれた位置に位置決めするとしているが、第2のモータ原点センサ18の位置決めが可能であり、又ST5に移動するまでの間に吸着ノズル4の所定の原点位置への復帰ができる移動量に納まるならば、パルスモータ2の同一励磁相角度とならない限り、前記ずれ量はいかなる角度であってもよい。但し、パルスモータ2の同一励磁相角度の(n+0.5)倍の角度に相当するパルス量のずれに位置決めすることが、パルスモータ2が原点からどちら側に振れても検出し易いずれ量となるため好ましい。ここで、nは任意の整数であるが、例えば本実施の形態に示す例においては5相パルスモータで分解能を1000パルスとしており、その同一励磁相角度は7.2°となるため、上記nは実質上0から49までの整数となる(n=50で元の位置に戻る)。また、減速機3の減速比は、他の減速比であってもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態にかかかる原点位置から所定角度ずれた位置の位置決め検出を行なうステーションの位置は、図5に示す実装ヘッド1を12基を備えた部品実装装置においてST4で行なうものとしているが、これに限定されるものではない。前記の原点位置復帰を検出する位置(図ではST5)とは異なる位置であって、部品の実装動作に支障のない位置であればいずれであってもよい。但し、ST2の部品認識からST3の部品実装までの間では、吸着ノズル4の角度補正が行なわれることから、この間における検出は避け、ST3の部品実装の後、ST2の次の部品認識までのいずれかのタイミングで前記原点位置からずれた位置の位置決め検出を行なうことが好ましい。
【0057】
図6には、本実施の形態にかかるパルスモータ2の所定の原点位置からずれた位置の位置決め検出を、ST2において行なう例を示している。すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6を検出する第2のモータ原点センサ18が、ST4ではなくST2に追加されている。この場合においては、ST1において部品供給装置14から部品を取り出した実装ヘッド1が、ST2において部品認識による補正角度検出を行う際に、パルスモータ2をその原点位置から同一励磁相角度の1.5倍(本実施の形態にかかる例では10.8°)に相当する30パルス回転した位置に位置決めする。
【0058】
パルスモータ2が30パルスずれることによる吸着ノズル4のずれ角は、減速機3の減速比を1/30とすれば0.36°程度と僅かであり、ST2における吸着ノズル4に吸着された部品の認識に対する影響は無いと見てよい。ST2では、このずれた位置にあるパルスモータ2の原点ドグ6を検出できるように第2のモータ原点センサ18を位置決めする。ST2において第2のモータ原点センサ18によって原点ドグ6が原点位置から所定量ずれているかを検出確認し、ここの所定量ずれた位置に原点ドグ6が検出できない場合には、この時点でパルスモータ2は脱調しているものと判断する。
【0059】
ST2における検出において、パルスモータ2に脱調が発生していると、原点ドグ6は所定位置より少なくとも7.2°のずれを生じているため、第2のモータ原点センサ18によってそのずれを十分確認することができ、脱調を検出することができる。脱調が検出されない場合には、その実装ヘッド1はST3に移動するまでの間に前記補正角度分のパルスモータ2の回転による角度補正を行い、ST3において部品を実装する。ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST5に至るまでの間に、吸着ノズル4の原点スリット7の位置を原点位置に位置決めする。ST5における原点位置復帰の検出は、上述と同様である。
【0060】
本実施の形態にかかるパルスモータ2の原点位置からずれた位置の位置決め検出をST2において実施することにより、部品実装前にパルスモータ2の脱調が検出できることから、当該脱調が検出された実装ヘッド1では部品実装を中止して誤実装を回避することができ、パルスモータ2を使用した実装ヘッド1を用いながら、安定した部品実装を実現することが可能となる。なお、図6に示す実装ヘッド1を12基を備えた部品実装機においてはST2で上述の検出を行なうものとしているが、この位置は、部品取り出し以降であって部品実装以前の間にある任意の停止位置であってよい。但し、部品認識の後、部品実装に至る間に、部品保持の角度補正が行なわれることから、この間における上述の検出は避けるものとし、部品取り出し以降であって部品認識をするまでのいずれかのタイミングに行なうことがより好ましい。
【0061】
更に図7は、本実施の形態にかかるパルスモータ2の原点位置からずれた位置の位置決め検出を、ST1において行なう場合を示している。すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6を検出する第2のモータ原点センサ18が、ST4、ST2ではなく、ST1に追加されている。この場合においては、ST5において原点位置検出のため原点復帰したパルスモータ2は、その後、ST1に至るまでの間に、原点位置から同一励磁相角度の1.5倍(本実施の形態にかかる例では10.8°)に相当する30パルス回転した位置に位置決めされる。
【0062】
ST1では、このずれた位置にあるパルスモータ2の原点ドグ6を検出できるように第2のモータ原点センサ18を位置決めする。ST1において第2のモータ原点センサ18による原点ドグ6の所定量のずれの検出確認を行い、ここで原点ドグ6が所定量ずれた位置に検出できない場合には、この時点でパルスモータ2は脱調しているものと判断し、当該実装ヘッド1による部品の吸着は中止する。
【0063】
パルスモータ2の脱調が検出されない場合には、ST1で通常通り部品の取り出しを行ない、ST2で部品認識の後、ST3に移動するまでの間に補正角度量のパルスモータ2の回転による角度補正を行い、ST3において部品を実装する。ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST5に至るまでの間に、吸着ノズル4の原点スリット7の位置を所定の原点位置に位置決めする。ST5における検出は、上述と同様である。
【0064】
本実施の形態にかかるパルスモータ2の原点位置からずれた位置の位置決め検出をST1において実施することにより、部品取り出し前にパルスモータ2の脱調が検出できることから、当該脱調が検出された実装ヘッド1での部品取り出しを中止して部品の無駄な使用を回避することができ、パルスモータ2を使用した実装ヘッド1を用いながら、安定した部品実装を実現することが可能となる。なお、図7に示す実装ヘッド1を12基を備えた部品実装機においてST1で上述の検出を行なうものとしているが、この位置は、部品実装の後であって次の部品の取り出し前までの任意の停止位置であってよい。
【0065】
以上、図5から図7を参照して説明した本実施の形態においては、ST5において、モータ原点センサ11とノズル原点センサ17との双方を使用してパルスモータ2と吸着ノズル4との原点位置復帰をそれぞれ検出する場合を示している。本実施の形態の適用はこれに限定するものではなく、図1を参照して説明した第1の実施の形態のように、ST5(もしくは他のステーションであってもよい)においてモータ原点センサ11を用いてパルスモータ2のみの原点位置復帰の検出を行なう場合に対して、本実施の形態にかかるパルスモータ2の原点から所定角度ずれた位置の位置決めを検出するステップを加えることであってもよい。このような構成とすることにより、第1の実施の形態では検出できなかったパレスモータ2の原点位置における脱調をも検出することが可能となる。
【0066】
次に、本発明の第5の実施の形態にかかる部品実装方法及び部品実装装置につき、図面を参照して説明する。図8は、本実施の形態にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置に配備される実装ヘッド1の各ステーションにおける工程を示した模式図である。本図においては、図5に示す第4の実施の形態の部品実装方法に対して、ST4における第2のモータ原点センサ18の代わりに、第2のノズル原点センサ19が用いられる点が相違し、その他の要素は図5に示すものと同様である。この第2のノズル原点センサ19は、吸着ノズル4に設けられた原点スリット7を検出するために使用される。
【0067】
図8に示す部品実装装置における部品の取り出しから実装に至るまでの間の実装動作は、第4の実施の形態と同様である。図8において、ST3で部品実装を終えた実装ヘッド1は、ST4に至るまでの間に、吸着ノズル4の原点位置を、ST5において位置決めすべき所定の原点位置(すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6がモータ原点センサ11に対向し、吸着ノズル4の原点スリット7がノズル原点センサ17対向する位置)から30パルス回転した位置に位置決めする。この30パルスのずれ量は、パルスモータ2の同一励磁相の角度を1.5倍した角度に相当し、本実施の形態に示す例においてはパルスモータ2で10.8°のずれ、すなわち吸着ノズル4では0.36°のずれに相当する。
【0068】
ST4では、このずれた位置にある吸着ノズル4の原点スリット7を検出できるよう第2のノズル原点センサ19を位置決めする。この第2のノズル原点センサ19を使用してST4において原点スリット7の検出確認を行い、もしここで吸着ノズル4の原点スリット7が所定量ずれた位置で検出できない場合には、この時点でパルスモータ2が脱調していると判断することができる。実装ヘッド1は、その後、ST5への移動中に、吸着ノズル4を所定の原点位置に復帰させる。すなわち、パルスモータ2の原点ドグ6の位置をST5でモータ原点センサ11と対向する位置に、吸着ノズル4の原点スリット7の位置をST5でノズル原点センサ17と対向する位置に、それぞれ位置決めをする。
【0069】
ST5における原点位置復帰の検出は、第4の実施の形態と同様である。万一パルスモータ2と吸着ノズル4とが共に原点位置にある状態でパルスモータ2が脱調して固定してしまった場合には、このST5における検出だけではその脱調を確認することができない。本実施の形態に示す方法においては、ST4における原点位置から所定角度ずれた位置での原点スリット7の検出を追加して行なっており、上述のST5における検出のみでは発見できないパルスモータ2の脱調の検出が可能となり、パルスモータ2を使用した実装ヘッド1であっても、安定した部品実装を実現することが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態において、前記吸着ノズル4の原点位置からずれた位置のずれ量は、パルスモータ2を原点位置から同一励磁相角度の(n+0.5)倍の角度ずれた位置に位置決めすることに相当するずれ量とすることが好ましいが、これに限定されるものではなく、第2のノズル原点センサ19の位置決めが可能であり、又ST5に移動するまでの間に吸着ノズル4の原点位置復帰ができる移動量に納まるならば、パルスモータ2の同一励磁相角度とならないずれ量である限り、いかなる角度であってもよいことは、第4の実施の形態と同様である。ここでnは、本実施の形態で示す例においては、第4の実施の形態と同様に0から49の任意の整数となる。また、減速機3の減速比は、他の減速比であってもよい。
【0071】
さらに、本実施の形態にかかかる吸着ノズル4の原点位置から所定角度ずれた位置の位置決め検出を行なうステーションの位置は、ST4に限定されるものではない。前記原点位置復帰を検出する位置(図8においてはST5)とは異なる位置であって、部品の実装動作に支障のない位置であればいずれであってもよいが、ST3の部品実装の後、ST2の次の部品認識までのいずれかのタイミングで前記原点位置からずれた位置の位置決め検出を行なうことが好ましいことは、第4の実施の形態と同様である。
【0072】
そして、図6及び図7を参照して説明した第4の実施の形態にかかる部品実装方法と同様に、本実施の形態においても、吸着ノズル4の原点位置から所定角度ずれた位置の検出を、ST4ではなくST2の部品認識時に行なうことによれば、パルスモータ2の脱調を部品実装する前に検知して部品の誤実装を回避することができ、又、ST4、ST2ではなく、ST1の部品取り出し前に行うことによれば、脱調したパルスモータ2を有する実装ヘッド1での部品取り出しを事前に回避することができ、部品の無駄を無くすことができる点で有利となる。
【0073】
なお、本実施の形態において、図8に示すように、ST5においてはモータ原点センサ11とノズル原点センサ17との双方を使用してパルスモータ2と吸着ノズル4との所定の原点位置への復帰をそれぞれ検出する場合を示しているが、本実施の形態の適用はこれに限定するものではない。図3を参照して説明した第2の実施の形態のように、ST5(もしくは他のステーションであってもよい)においてノズル原点センサ17を用いて吸着ノズル4のみの原点位置復帰の検出を行なう場合に対して、本実施の形態にかかる吸着ノズル4の原点から所定角度ずれた位置の位置決めを検出するステップを加えることであってもよい。このような構成とすることにより、第2の実施の形態では検出できなかった吸着ノズル4が原点位置にある場合のパルスモータ2の脱調をも検出することが可能となる。
【0074】
なお、以上説明した各実施の形態において、それぞれ説明で参照した各図面における原点位置復帰の検出位置と、原点位置から所定角度ずれた位置の位置決めを検出する位置との関係は、それぞれ逆になっていることであってもよい。例えば、第4の実施の形態における図6を例にとれば、ST2でパルスモータ2と吸着ノズル4の各原点位置復帰の検出を行ない、ST5で原点からずれた位置の検出を行なうことであってもよい。他の図面、及び他の実施の形態においても同様である。
【0075】
また、以上の各実施の形態においては、複数の実装ヘッド1を円周状に配備して間欠回転運動させるインデックス式の部品実装装置を例にしていた。部品実装装置には他に実装ヘッド1をXYロボットにより平面状に駆動制御して部品の取り出しから実装を行なうXY形式のものがあり、本発明にかかる部品実装方法はこのようなXY形式の部品実装装置に対しても適用が可能である。すなわち、部品保持状態の角度補正の動力源としてパルスモータを利用する実装ヘッド1を、部品取り出し、部品認識、部品実装の各動作サイクル内のいずれかのタイミングにおいてセンサに対向させて前記パルスモータの原点位置及び/又は吸着ノズルなどの部品保持部の原点位置を検出し、好ましくはこれに加えて別のタイミングにおいてパルスモータ及び/又は部品保持部が原点から所定角度ずれた位置にあることを検出することによって、当該パルスモータの脱調の有無を確認することが可能である。
【0076】
また、上述の説明においては、パルスモータ2の原点位置検出に原点ドグ6を使用し、吸着ノズル4の原点位置検出に原点スリット7を使用するものとしているが、この組み合わせは任意であり、この逆であっても、あるいは両者同一のものであっても、センサとの関係でそれらの位置の検出が可能なものであればよい。更にドグやスリット以外にも、マグネット、光など、回転する部材の特定位置を検出できる他の手段を備えることであってもよい。
【0077】
【発明の効果】
本発明にかかる部品実装方法によれば、実装ヘッドに保持された部品の保持状態の角度補正にパルスモータを動力源として使用しても、パルスモータが脱調した際にその脱調を従来の部品実装タクトタイムの中で容易に検出することができ、当該実装ヘッドによる実装動作を中止するなどの対応によって誤実装を防止し、実装品質を向上させることができる。
【0078】
また、本発明にかかる部品実装方法によれば、パルスモータの脱調を部品実装システムの中で検出することができるため、例えば脱調が検出された実装ヘッド1を使用禁止にして残りの実装ヘッドによる部品実装を継続したり、あるいは脱調が検出された段階で部品実装を一旦停止し、不良実装ヘッドを特定して作業者に警告を発したりするなど、各種システムを選択して適用することが可能である。
【0079】
そして、本発明にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置によれば、従来の構成要素に対して僅かな要素を追加するだけで、実装ヘッドに使用されるパルスモータの脱調を、タクトタイムを増加することなく容易に検出することができ、誤実装のない品質に優れた回路形成体の生産を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態にかかる部品実装工程を示した模式図である。
【図2】 本発明の各実施の形態で使用する実装ヘッドの構成を示す模式図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態にかかる部品実装工程を示した模式図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態にかかる部品実装工程を示した模式図である。
【図5】 本発明の第4の実施の形態にかかる部品実装工程を示した模式図である。
【図6】 本発明の第4の実施の形態にかかる他の部品実装工程を示した模式図である。
【図7】 本発明の第4の実施の形態にかかる更に他の部品実装工程を示した模式図である。
【図8】 本発明の第5の実施の形態にかかる部品実装工程を示した模式図である。
【図9】 従来技術による部品実装装置の模式図である。
【図10】 従来技術による部品実装装置の実装ヘッド回りの動作を示す模式図である。
【図11】 従来技術による実装ヘッドの構成例を示した模式図である。
【図12】 従来技術による実装ヘッドの他の構成例を示した模式図である。
【符号の説明】
1.実装ヘッド、 2.パルスモータ、 3.減速機、 4.吸着ノズル、 6.原点ドグ、 7.原点スリット、 11.モータ原点センサ、 14.部品供給部、 15.部品認識装置、 16.XYステージ、 17.ノズル原点センサ、 18.第2のモータ原点センサ、 19.第2のノズル原点センサ。
Claims (10)
- 部品供給装置から部品を取り出して保持し、
当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、
前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により当該部品に必要な角度補正を与え、
回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法において、
1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、前記パルスモータの回転と共に回転して前記パルスモータが原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位を前記パルスモータの回転で、一旦予め定められた原点位置に復帰させ、当該原点表示部位が前記原点位置にあるか否かを検出し、
加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めし、当該位置決めされたことを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法。 - 部品供給装置から部品を取り出して保持し、
当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、
前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により当該部品に必要な角度補正を与え、
回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法において、
1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、部品を取り出して保持する部品保持部の回転に応じて回転して前記部品保持部が原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位を前記部品保持部の回転で、一旦予め定められた原点位置に復帰させ、当該原点表示部位が前記原点位置にあるか否かを検出し、
加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めし、当該位置決めされたことを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法。 - 部品供給装置から部品保持部により部品を取り出して保持し、
当該部品の保持状態を認識して保持角度の補正量を検出し、
前記検出の結果に応じてパルスモータの回転駆動により前記部品保持部に保持された当該部品に必要な角度補正を与え、
回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装方法において、
1つの部品の取り出しから次の部品の取り出しまでの部品実装サイクル内のいずれかのタイミングにおいて、前記パルスモータの回転と共に回転して前記パルスモータが原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位と、部品を取り出して保持する部品保持部の回転に応じて回転して前記部品保持部が原点位置にあるか否かを表示する原点表示部位とを、前記パルスモータの回転で、それぞれ一旦予め定められた原点位置に復帰させ、前記パルスモータの前記原点表示部位と前記部品保持部の前記原点表示部位がそれぞれの原点位置にあるか否かを検出し、
加えて、前記原点位置復帰を検出する前記タイミングとは異なるタイミングにおいて、前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めして当該位置決めされたこと、または前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めして当該位置決めされたことのいずれかを検出することにより、前記パルスモータの脱調の有無を検出することを特徴とする部品実装方法。 - 前記原点位置復帰を検出するタイミングが、1つの部品を実装した後、次の部品を取り出すまでのいずれかのタイミングであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の部品実装方法。
- 前記部品の取り出しから実装までを行なう実装ヘッドが円周状に複数基配備され、当該複数の実装ヘッドが前記円周を間欠回転運動しながら順次部品の取り出しから実装までを行なうことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一に記載の部品実装方法。
- 前記パルスモータの原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めする際の当該所定角度が、前記パルスモータの同一励磁相角度をαとした場合、
α×(n+0.5) (但し、nは整数)
を満たす角度であることを特徴とする、請求項1または請求項3に記載の部品実装方法。 - 前記部品保持部の原点を前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めする際の当該所定角度は、前記パルスモータの同一励磁相角度をαとした場合、前記パルスモータの原点が前記原点位置からずれる角度が
α×(n+0.5) (但し、nは整数)
となることに相当する角度であることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の部品実装方法。 - 前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、部品を実装した後であって前記原点位置復帰を検出するより前のいずれかのタイミングであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の部品実装方法。
- 前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、部品を取り出した後であって当該部品の保持状態を認識するまでのいずれかのタイミングであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の部品実装方法。
- 前記原点位置から所定角度ずれた位置に位置決めされたことを検出する前記タイミングが、前記原点位置復帰を検出するより後であって次の部品を取り出すより前のいずれかのタイミングであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の部品実装方法。
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