JP4393754B2 - 画像表示用粒子および装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、粒子の飛翔移動に伴い画像を繰り返し画像表示、消去できる画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた静電画像表示装置(ディスプレイ)が提案されている。
これらの画像表示装置は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットから、次世代の安価な表示装置として考えられ、携帯端末用表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。
【0003】
最近、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置する電気泳動方式が提案されている。しかしながら、電気泳動方式では、液中に粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅いという問題がある。また、低比重の溶液中に酸化チタンなどの高比重の粒子を分散させているために、沈降しやすく、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、このような欠点が現れ難くしているだけで、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0004】
以上のような溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、最近では溶液を使わず、色と帯電極性が異なる2種類の粒子を2枚の基板間において、電界をかけて互いに異なる方向の基板に飛翔付着させて表示装置も提案されている。
このような静電気を活用した画像表示装置においては、対向する基板間に粒子を封入した表示装置に何らかの手段で基板表面に電荷が付与される。正に帯電した基板部位に向かっては負に帯電した粒子がクーロン力により引き寄せられ、また、負に帯電した基板部位に向かっては正に帯電した粒子がクーロン力により引き寄せられ、それら粒子が対向する基板間を往復移動することにより、画像表示がなされる。
【0005】
この画像表示用粒子は、小粒径なので凝集性が強く流動性が悪い。従って、飛翔させるためには大きな力(電圧)が必要である。このため、消費電力が大きくなり装置の大型化や特別な回路が必要となるので、小型化のためには流動性を改善し、駆動電圧を低下させることが必須である。
流動性を改善する方法として例えば、シリコーンオイルや、シランカップリング剤で粒子表面を処理する方法が用いられるが、シランカップリング剤で処理すると、シランカップリング剤自身の官能基によって、処理された粒子の帯電性が変化する。例えば、アミノ系のシランカップリング剤を用いると正帯電性になる傾向があり、メルカプト系のシランカップリング剤を用いると負帯電性になる傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みて鋭意検討されたものであり、粒子を飛翔させるタイプの乾式画像表示装置において、粒子の凝集を防止し、低い駆動電圧で、安定性に優れる静電画像を容易に得られる画像表示用粒子および表示装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討重ねた結果、粒子表面をヘキサメチルジシラザンで処理して疎水化することにより、帯電性を変化させることなく、凝集し難く十分な流動性をもった粒子を作成でき、低い駆動電圧で、安定性に優れる静電画像が、容易に得られるようになることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の画像表示装置を提供するものである。
1.少なくとも一方が透明な対向する基板間に1種以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から該粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置において使用される粒子であって、該粒子が、
(1)樹脂粒子をヘキサメチルジシラザンの溶液中で含浸処理した後、該粒子を分離して加熱乾燥することにより得られた粒子、又は
(2)乾燥状態の樹脂粒子にヘキサメチルジシラザンもしくはその溶液を滴下した後、加熱乾燥することにより得られた粒子
であることを特徴とする画像表示用粒子。
2.次式で示す粒子の圧縮度Cが30%以下である上記1の画像表示用粒子。
C=(ρP − ρA )/ρP ×100(%)
(ρA は篩に粒子を入れて振動させることにより、粒子を落下させた時のゆるみ見掛け密度であり、ρP はストローク10mmでタッピングした時の充填固め見掛け密度である。)
3.粒子の帯電量が絶対値で10μC/g以上である上記1または2の画像表示用粒子。
4.少なくとも一方が透明な対向する基板間に、1種以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から該粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示する静電表示装置において、該粒子として、上記1〜3いずれかの画像表示用粒子を用いることを特徴とする画像表示装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な対向する基板間に粒子を封入し、クーロン力により粒子を移動させ画像を表示する静電表示装置である。
この画像表示は、図1に示すように2種以上の色の異なる粒子を基板と垂直方向に移動させることによる表示方式と、図2に示すように1種の色の粒子を基板と平行方向に移動させることによる表示方式があり、そのいずれへも適用できるが、安定性の上から、前者の方式に適用するのが好ましい。
図3は画像表示装置の構造を示す説明図であり、対向する基板1、基板2及び粒子3により形成され、必要に応じて隔壁4が設けられる。
【0010】
基板に関しては、基板1、基板2の少なくとも一方は装置外側から粒子の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。
画像表示装置としての可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可撓性のない材料が用いられる。
【0011】
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。
基板厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ち難くなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可撓性に欠ける。
【0012】
本発明の画像表示装置では、基板に電極を設けない場合と、電極を設ける場合がある。
電極を設けない場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の極性に帯電した色のついた粒子を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を本発明の静電画像表示装置の基板上に転写形成する方法や、イオンフローにより静電潜像を基板上に直接形成する等の方法がある。
【0013】
電極を設ける場合は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の極性に帯電した色の粒子が引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。
電極は透明基板上に透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属やITO、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したものや、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダに混合して塗布したものが用いられる。
【0014】
導電剤としてはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や導電性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。対向基板上には透明電極材料を使用することもできるが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の非透明電極材料も使用できる。
この場合の外部電圧印加は、直流あるいはそれに交流を重畳しても良い。
各電極は帯電した粒子の電荷が逃げないように絶縁性のコート層を形成することが好ましい。このコート層は、負帯電粒子に対しては正帯電性の樹脂を、正帯電粒子に対しては負帯電性の樹脂を用いると粒子の電荷が逃げ難いので特に好ましい。
【0015】
隔壁は各表示素子の四周に設けるのが好ましい。隔壁を平行する二方向に設けることもできる。これにより、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリー保持性を介助すると共に、基板間の間隔を均一にかつ補強し画像表示板の強度を上げることもできる。
隔壁の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スクリーン版を用いて所定の位置にペーストを重ね塗りするスクリーン印刷法や、基板上に所望の厚さの隔壁材をベタ塗りし、隔壁として残したい部分のみレジストパターンを隔壁材上に被覆した後、ブラスト材を噴射して隔壁部以外の隔壁材を切削除去するサンドブラスト法や、該基板上に感光性樹脂を用いてレジストパターンを形成し、レジスト凹部へペーストを埋込んだ後レジスト除去するリフトオフ法(アディティブ法)や、該基板上に、隔壁材料を含有した感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像により所望のパターンを得る感光性ペースト法や、該基板上に隔壁材料を含有するペーストを塗布した後、凹凸を有する金型等を圧着・加圧成形して隔壁形成する鋳型成形法等、種々の方法が採用される。さらに鋳型成形法を応用し、鋳型として感光性樹脂組成物により設けたレリーフパターンを使用するレリーフ型押し法も採用される。
【0016】
本発明の画像表示装置で表示するのための粒子は、負又は正帯電性の着色粒子で、クーロン力などによって飛翔するものであり、該粒子として、樹脂からなる粒子表面をヘキサメチルジシラザンで処理した粒子を用いる。
このように粒子表面をヘキサメチルジシラザンで処理することにより、帯電性を変化させることなく、凝集し難く十分な流動性をもった粒子を作成できる。
本発明において、樹脂からなる粒子表面は、水酸基、カルボキシル基のような官能基を持っている方が、ヘキサメチルジシラザンが化学的に結合するので好ましい。例えば粒子表面に水酸基を有する場合には、以下のような化学結合が行なわれる。
2ROH+Me3 SiNHSiMe3 →2ROSiMe3 +NH3
【0017】
ヘキサメチルジシラザンによる処理方法は、ヘキサメチルジシラザンの溶液中に粒子を含浸処理した後、遠心分離等の手段により分離し、加熱乾燥する湿式法や、乾燥状態の粒子にヘキサメチルジシラザンもしくはその溶液を滴下、スプレー等により導入処理し、加熱乾燥する乾式法が用いられる。
ヘキサメチルジシラザンの粒子に対する添加量は、この発明では特に制限されないが、通常は粒子100重量部に対して0.1〜10重量部で十分な効果が得られる。
【0018】
粒子の流動性を表わす特性値としては、安息角や圧縮度、凝集度等があるが、本発明では圧縮度Cにより評価を行う。圧縮度Cとは、一定容積の容器に粒子を充填させた時のゆるみ見掛け密度ρA と、この粒子をタッピングした時の固め見掛け密度ρP をから算出される。
C=(ρP −ρA )/ρP ×100(%)
(ρA は篩に粒子を入れて振動させることにより、粒子を落下させた時のゆるみ見掛け密度であり、ρP はストローク10mmでタッピングした時の充填固め見掛け密度である。)
流動性が良い粒子は、ρP とρA の差が小さくなるため、この圧縮度が小さくなる。本発明における画像表示装置に用いる粒子の圧縮度としては、30%以下にするのが好ましい。
【0019】
ヘキサメチルジシラザンによる処理は、樹脂粒子に対して行なわれ、粒子を形成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフイン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
【0020】
また、粒子の帯電性や色特性等を補助するために必要に応じて、樹脂に荷電制御剤、着色剤、滑剤等を添加しても良い。
荷電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0021】
粒子の着色剤としては、以下に例示すような、有機又は無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
【0022】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレツド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
【0023】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。
更に、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。これらの着色剤は、単独で或いは複数組合せて用いることができる。
【0024】
粒子の平均粒径は、50μm以下が好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリー性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。反対に粒子径がこの範囲より大きいと、追随性は良いが、メモリー性が悪くなる。
なお、本発明において平均粒子径(μm)は、Mastersizer2000(Malvern instruments Ltd.) 測定機に各粒子を投入し、付属のソフト(体積基準分布を基に粒子径分布、粒子径を算出するソフト)を用いて、粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径をμmで表した数値である。
【0025】
粒子を負又は正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する方法が用いられる。
該粒子の帯電量は絶対値で10〜100μC/gの範囲が好ましく、特に20〜60μC/gが好ましい。帯電量の絶対値がこの範囲より小さいと電界の変化に対する応答速度が遅くなり、メモリー性も低くなる。帯電量の絶対値がこの範囲より大きいと電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリー性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。
該粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、1010Ω・cm以上の絶縁粒子が好ましく、特に1012Ω・cm以上の絶縁粒子が好ましい。
【0026】
本発明の画像表示装置における透明基板と対向基板の間隔は、粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは30〜500μmに調整される。
粒子充填量は、基板間の空間体積に対して、10〜80%、好ましくは20〜70%を占める体積になるように充填するのが良い。
【0027】
本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の画像表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の画像表示部、ポイントカードなどのカード画像表示部などに用いられる。
【0028】
【実施例】
次に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
なお、各実施例および比較例において、粒子特性および表示装置の最少駆動電圧の測定を次のように行なった。
【0029】
(1)圧縮度
各粒子の圧縮度はパウダーテスター(ホソカワミクロン製)を用いて、以下のように測定した。
目開き710μmの篩に粒子を入れて振動させることにより、粒子を落下させて容積100mlの円筒容器に充填し、ゆるみ見掛け密度ρA を測定した。次に、この円筒容器をストローク10mmでタッピングして充填し、固め見掛け密度ρP を測定した。このゆるみ見掛け密度と固め見掛け密度から圧縮度Cを次式で計算した。
C=(ρP −ρA )/ρP ×100(%)
【0030】
(2)平均粒子径
粒径分布測定機(マスターサイザー2000、Malvern Instruments Ltd.製)に各粒子を投入し、粒径分布を測定した。付属のソフトにより粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒径を平均粒子径とした。
【0031】
(3)帯電量
各粒子と鉄粉キャリアを粒子の重量が5重量%となるように混合し、振とう機にて15分間振とうした後、ブローオフ測定機(東芝ケミカル製)を用いて帯電量を測定した。
【0032】
(4)最小駆動電圧
作成した表示装置に、極性を反転させながら、電圧を印可した。反射画像濃度計(RD918、Macbeth社製)を用いて反射濃度を測定し、白色表示時の反射濃度と黒色表示時の反射濃度の差が1.0以上になる電圧を最小駆動電圧とした。
【0033】
実施例1
白色粒子Aは、粒子として表面に水酸基を持つ球状ポリメチルメタクリレート粒子(テクポリマーXX01AS、積水化成品工業(株)製、平均粒子径6.3μm)100gを攪拌しながらヘキサメチルジシラザン2gを滴下した後、乾燥することによって表面処理を行った粒子を作成した。
黒色粒子Bは、スチレン樹脂(トーヨースチロールMW−1、東洋スチレン(株)製)に対して、負帯電性荷電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学(株)製)5重量部とカーボンブラック(#85、デグッサ・ジャパン(株)製)7重量部を混練した後、粉砕・分級して作成した。
表示装置は以下のように作成した。酸化インジウム電極(厚さ50nm)を設けた一対のガラス基板を、間隔100μmになるようにスペーサーで調整し、ガラス基板間に前述粒子A,Bを封入し、ガラス基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着して表示装置とした。なお、粒子A,Bの混合率は同重量づつとし、それら粒子のガラス基板間への充填率は50容量%となるように調整した。粒子の特性及び表示装置の最小駆動電圧を第1表に示す。
【0034】
実施例2
実施例1において、表面に水酸基を持つ球状ポリメチルメタクリレート粒子の代わりに、表面に官能基をもたない球状ポリメチルメタクリレート粒子(MBX−5W、積水化成品工業(株)製、平均粒子径4.3μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を作製した。粒子の特性及び表示装置の最小駆動電圧を第1表に示す。
【0035】
比較例1
実施例1において、ヘキサメチルジシラザンの代わりに、アミノ系シランカップリング剤(A−1120、日本ユニカー(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を作製した。粒子の特性及び表示装置の最小駆動電圧を第1表に示す。
【0036】
比較例2
実施例1において、ヘキサメチルジシラザンの代わりに、メルカプト系シランカップリング剤(KBM803、信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を作製した。粒子の特性及び表示装置の最小駆動電圧を第1表に示す。
【0037】
比較例3
実施例1において、表面に水酸基を持つ球状ポリメチルメタクリレート粒子(テクポリマーXX01AS、積水化成品工業(株)製、平均粒子径6.3μm)を処理せずにそのまま用いた以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を作製した。粒子の特性及び表示装置の最小駆動電圧を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明の画像表示装置においては、該粒子に、樹脂からなる粒子表面をヘキサメチルジシラザンで処理した粒子を用いることにより、帯電性を変化させることなく、凝集し難く十分な流動性をもった粒子を作成でき、低い駆動電圧で、安定性に優れる静電画像が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示装置における表示方式を示す説明図である。
【図2】本発明の画像表示装置における表示方式を示す説明図である。
【図3】本発明の画像表示装置の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1、2:基板
3:粒子
4:隔壁
Claims (4)
- 少なくとも一方が透明な対向する基板間に1種以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から該粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置において使用される粒子であって、該粒子が、
(1)樹脂粒子をヘキサメチルジシラザンの溶液中で含浸処理した後、該粒子を分離して加熱乾燥することにより得られた粒子、又は
(2)乾燥状態の樹脂粒子にヘキサメチルジシラザンもしくはその溶液を滴下した後、加熱乾燥することにより得られた粒子
であることを特徴とする画像表示用粒子。 - 次式で示す粒子の圧縮度Cが30%以下である請求項1に記載の画像表示用粒子。
C=(ρP −ρA )/ρP ×100(%)
(ρA は篩に粒子を入れて振動させることにより、粒子を落下させた時のゆるみ見掛け密度であり、ρP はストローク10mmでタッピングした時の充填固め見掛け密度である。) - 粒子の帯電量が絶対値で10μC/g以上である請求項1または請求項2に記載の画像表示用粒子。
- 少なくとも一方が透明な対向する基板間に、1種以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から該粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示する静電表示装置において、該粒子として、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示用粒子を用いることを特徴とする画像表示装置。
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