JP4264250B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばクーロン力を利用した粒子の飛翔移動に伴い、画像を繰り返し表示したり、消去したりすることができる画像表示板を具備した画像表示装置に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来より、液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な画像表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用画像表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”、p.249-252
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0006】
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている。しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、安定性に欠けるという問題もある。
【0007】
本発明は、上述した問題に着目してなされたものであり、乾式で応答性能が速く、単純な構造で、安価かつ安定性に優れる、画像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に色および帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、各基板上にそれぞれ設けた表示電極および対向電極からなる電極対から前記粒子に電界を与えて、前記粒子を前記2枚の基板間で飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備した画像表示装置であって、前記電極対の表示電極および対向電極の少なくとも一方は分割された分割電極から成っており、画像表示の合間に、前記表示電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記表示電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加するか、あるいは、前記対向電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記対向電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加し、電圧値V1および電圧値V2の和を粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定することにより、前記表示電極の分割電極間または前記対向電極の分割電極間で前記粒子を飛翔移動させるようにした後、少なくとも一方が分割された分割電極から成る、前記表示電極および前記対向電極間で前記粒子を飛翔移動させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
上述した構成の本発明の画像表示装置によれば、前記電極対の表示電極および対向電極の少なくとも一方は分割された分割電極から成るため、画像表示の合間に、前記表示電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記表示電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加するか、あるいは、前記対向電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記対向電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加し、電圧値V1および電圧値V2の和を粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定することにより、前記表示電極の分割電極間または前記対向電極の分割電極間で前記粒子を飛翔移動させることができ、この粒子の飛翔移動によって、表示を多数回繰り返した場合であっても、表示に色むらが発生することが抑制されることになり、乾式で応答性能が速く、単純な構造で、安価かつ安定性に優れる、画像表示装置を提供することができる。
【0010】
本発明の画像表示装置における前記粒子としては、平均粒径が0.1〜50μmであることが好ましい。また、前記粒子の表面電荷密度が絶対値で5〜150μC/m2であることが好ましい。
【0011】
また、前記粒子が、その表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きい粒子であることが好ましい。また、前記粒子の色が白色および黒色であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の画像表示装置における画像表示板としては、隔壁により互いに隔離された1つ以上の画像表示素子を有する画像表示板であることが好ましい。さらに、本発明の画像表示装置の前記分割電極間に印加する電圧が、直流電圧、交番電圧、直流電圧に交番電圧が重畳した電圧の何れかであることが好ましい。さらにまた、前記交番電圧が、周波数が掃引された交番電圧であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の画像表示装置を構成する画像表示板の画像表示素子の一例およびその表示駆動原理を説明するための図である。図1(a)〜(c)に示す例において、1は透明基板、2は対向基板、3−1,3−2は表示電極(透明電極)、4−1,4−2は対向電極、5は負帯電性粒子、6は正帯電性粒子、7は隔壁である。
【0014】
図1(a)は対向する基板(透明基板1および対向基板2)の間に負帯電性粒子5および正帯電性粒子6を配置した状態を示す。この状態のものに、表示電極3−1,3−2側が低電位、対向電極4−1,4−2側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(b)に示すように、クーロン力によって、正帯電性粒子6は表示電極3側に飛翔移動し、負帯電性粒子5は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見たときの表示面は、正帯電性粒子6の色に見える。次に、電位を切り換えて、表示電極3−1,3−2側が高電位、対向電極4−1,4−2側が低電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すように、クーロン力によって、負帯電性粒子5は表示電極3側に飛翔移動し、正帯電性粒子6は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見たときの表示面は、負帯電性粒子5の色に見える。
【0015】
図1(b)および図1(c)の間は電源の電位を反転させるだけで繰り返し表示することができ、このように電源の電位を反転させることで可逆的に色を変化させることができる。粒子の色は、随意に選定できる。例えば、負帯電性粒子5を白色とし、正帯電性粒子6を黒色とするか、負帯電性粒子5を黒色とし、正帯電性粒子6を白色とすると、表示は白色および黒色間の可逆表示となる。この方式では、一旦表示を行うと、各粒子は鏡像力により電極に付着した状態になるので、電圧印加を中止した後も表示画像は長期に保持されることになり、メモリ保持性が良い。
【0016】
本発明では、各帯電粒子は気体中を飛翔するため、画像表示の応答速度が速く、応答速度を1msec以下にすることができる。また、液晶表示素子のように配向膜や偏光板等が不要で、構造が単純で、低コストかつ大面積とすることが可能である。温度変化に対しても安定しており、低温から高温まで使用可能である。さらに、視野角がなく、高反射率、反射型で明るいところでも見易く、低消費電力である。メモリ性もあるので、画像保持する場合に電力を消費しない。
【0017】
ところで、図1(b)および図1(c)の間の電極の電位反転を多数回繰り返した場合、表示面に一部の粒子が貼り付いた状態になって、表示に色むらが発生することがある。特に、表示素子の表示面が大きい場合に上記色むらが発生し易くなり、色むらが発生した場合には問題となる。これに対し、本発明では、表示電極および対向電極の少なくとも一方を、2分割された分割電極とし、画像表示の合間に、表示電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに表示電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加するか、あるいは、対向電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに対向電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加し、電圧値V1および電圧値V2の和を粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定することにより、表示電極の分割電極間または対向電極の分割電極間で粒子を飛翔移動させることにより、上記問題を解決するようにしている。
【0018】
本発明では、図1(b)および図1(c)の間のような各基板に対する垂直方向の粒子移動の合間に(すなわち表示駆動の合間に)、図2(a)〜図2(b)、図2(c)〜図2(d)に示すような各基板に対する水平方向の粒子移動を行う。この水平方向の粒子移動により、表示を多数回繰り返した場合であっても、表示に色むらが発生することが抑制される。
【0019】
本発明の画像表示装置の画像表示素子の電極は、透明基板上に設ける表示電極の場合には、透明かつパターン形成可能である導電材料で形成される。このような導電材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属やITO、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは、導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダーに混合して塗布したものが用いられる。
【0020】
上記導電剤としては、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や導電性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。なお、電極の厚みは、導電性が確保でき、光透過性に支障がなければどのような厚みでも良いが、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。なお、対向基板上には、上記表示電極と同様に透明電極材料を使用することもできるが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の非透明電極材料も使用可能である。
【0021】
各電極には、帯電した粒子の電荷を逃がさないように絶縁性のコート層を形成することが好ましい。コート層としては、負帯電性粒子に対しては正帯電性の樹脂を用い、正帯電性粒子に対しては負帯電性の樹脂を用いると、粒子の電荷が逃げないので、特に好ましい。
【0022】
以下、本発明の画像表示装置で用いる基板について説明する。基板の少なくとも一方は装置外側から粒子の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料が好適であり、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器の表示装置等の用途には可撓性のない材料が好適である。
【0023】
基板の材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル等のポリマーシートや、ガラス、石英等の無機シートが挙げられる。対向基板は透明でも不透明でもかまわない。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、特に5〜1000μmが好適である。厚みが薄すぎると、強度および基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚みが厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合にはフレキシビリティー性に欠けることになる。
【0024】
また、図1(a)等に示すように、隔壁7を各表示素子の四周に設けるのが好ましい。隔壁を平行する2方向に設けることもできる。これにより、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリ保持性を介助するとともに、基板間の間隔を均一化および補強し、画像表示板の強度を上げることもできる。隔壁の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スクリーン版を用いて所定の位置にペーストを重ね塗りするスクリーン印刷法や、基板上に所望の厚さの隔壁材をベタ塗りし、隔壁として残したい部分のみレジストパターンを隔壁材上に被覆した後、ブラスト材を噴射して隔壁部以外の隔壁材を切削除去するサンドブラスト法や、基板上に感光性樹脂を用いてレジストパターンを形成し、レジスト凹部へペーストを埋め込んだ後にレジストを除去するリフトオフ法(アディティブ法)や、基板上に隔壁材料を含有した感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像により所望のパターンを得る感光性ペースト法や、基板上に隔壁材料を含有するペーストを塗布した後、凹凸を有する金型等を圧着・加圧成形して隔壁を形成する鋳型成形法等、種々の方法が採用される。さらに、鋳型成形法を応用し、鋳型として感光性樹脂組成物により設けたレリーフパターンを使用する、レリーフ型押し法も採用される。
【0025】
以下、本発明の画像表示装置で用いる粒子について説明する。本発明では、表示のための粒子は負帯電性または正帯電性の着色粒子であり、クーロン力により飛翔移動するものであれば、何れでも良いが、特に、球形で比重の小さい粒子が好適である。粒子の平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと、粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎることになり、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。逆に、粒径がこの範囲より大きいと、追随性は良いが、メモリ性が悪くなる。
【0026】
粒子を負または正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する方法が用いられる。粒子の表面電荷密度は、絶対値で5〜150μC/m2の範囲が好ましい。表面電荷密度がこの範囲より低いと、電界の変化に対する応答速度が遅くなり、メモリ性も低くなる。逆に、表面電荷密度がこの範囲より高いと、電極や基板への鏡像力が強すぎることになり、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。
【0027】
本発明において用いた、表面電荷密度を求めるのに必要な、帯電量の測定および粒子比重の測定は以下によって行った。表面電荷密度は、帯電量および比重に基づき算出した。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粉体とキャリヤの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粉体とキャリヤとを分離し、網の目開きから粉体のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリヤに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量Qは、
Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)
として求められる。
ブローオフ粉体帯電量測定装置としては東芝ケミカル社製のTB-200を用いた。本発明ではキャリヤとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m2)を測定した。すなわち、正帯電性キャリヤ(相手を正に帯電させ自らは負になりやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF963-2535を、負帯電性キャリヤ(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF921-2535を用いた。
<粒子比重測定方法>
粒子比重は、株式会社島津製作所製比重計、マルチボリウム密度計H1305にて測定した。
【0028】
粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗で1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましく、特に1×1012Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましい。また、以下に述べる方法で評価した電荷減衰性の遅い粒子がさらに好ましい。
【0029】
すなわち、粒子を、別途、プレス、加熱溶融、キャスト等により、厚み5〜100μmのフィルム状にする。そして、そのフィルム表面に対し1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させ、その表面電位の変化を測定して判定する。この場合、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きくなり、好ましくは400Vより大きくなるように、粒子構成材料を選択、作成することが肝要である。
【0030】
なお、上記表面電位の測定は、例えば図3に示した装置(QEA社製CRT2000)により行うことができる。この装置の場合は、前述したフィルムを表面に配置したロールのシャフト両端部をチャック21にて保持し、小型のスコロトロン放電器22と表面電位計23とを所定間隔離して併設した計測ユニットを上記フィルムの表面と1mmの間隔を持つように対向配置し、上記フィルムを静止させた状態のまま、上記計測ユニットをフィルムの一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する方法が好適に採用される。なお、測定環境は温度25±3℃、湿度55±5RH%とする。
【0031】
粒子は帯電性能等が満たされれば、何れの材料から構成されても良い。例えば、樹脂、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等から、あるいは、着色剤単独等で形成することができる。
【0032】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0033】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物およびその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等を荷電制御剤として用いることもできる。
【0034】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0035】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等がある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等がある。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等がある。
【0036】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0037】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。これらの着色剤は、単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが好ましく、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0038】
粒子の製造方法については特に限定されないが、例えば、電子写真のトナーを製造する場合に準じた粉砕法および重合法が使用できる。また、無機顔料または有機顔料の粉体の表面に樹脂や荷電制御剤等をコートする方法も用いられる。
【0039】
透明基板および対向基板の間隔は、粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは30〜500μmに調整される。粒子充填量は体積占有率で、基板間の空間体積に対して、10〜80%、好ましくは20〜70%を占める体積になるように充填するのが良い。
【0040】
本発明の画像表示装置に用いる表示板においては、上記表示素子を複数使用してマトリックス状に配置して表示を行う。白黒の場合は、1つの表示素子が1つの画素となる。白黒以外の任意の色表示を行う場合は、粒子の色の組み合わせを適宜選択すればよい。フルカラー表示の場合は、3種の表示素子、すなわち、各々R(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の色の粒子を持ち、かつ、各々黒色の粒子を持つ表示素子を1組とし、それらを複数組配置して表示板とするのが好ましい。
【0041】
本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話等のモバイル機器の画像表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の画像表示部等に用いられる。
【0042】
本発明の一実施形態では、図1(a)に示した表示素子を有する画像表示板のドライブ回路(図示せず)に、周波数が掃引された交番電圧を発生する交番電圧発生回路(図示せず)を接続し、これらドライブ回路および交番電圧発生回路を制御回路(図示せず)により制御して、入力画像データに応じたドライブ回路による画像表示板の表示駆動の合間に、交番電圧発生回路を駆動してその交番電圧をドライブ回路を介して画像像表示板の各表示素子の電極間に印加する。
【0043】
なお、交番電圧は、例えば、画像表示の垂直ブランキング期間に全ての表示素子に同時に印加したり、表示面を複数の領域に分割し、同一領域内の表示素子に対しては同一の垂直ブランキング期間に同時に印加するようにして、順次の垂直ブランキング期間に領域単位で順次に印加したり、あるいは1表示素子毎に任意のタイミングで順次に印加したり、任意の方法で印加する。
【0044】
このように、各表示素子に交番電圧を印加すると、その表示素子内の粒子は、電極間、特に電極近傍で振動運動する。この振動運動は、粒子の振動周波数と電極系の固有振動数とが共振する周波数で最も激しくなり、電極に貼り付いた粒子を引き剥がす剥離効果が最大となるが、上記固有振動数は振動系およびその状態によって変わるので、予め設定した一定の周波数の交番電圧を印加しても効果は小さい。そこで、好ましくは電極系の固有振動数を含むように、低い周波数と高い周波数との間で交番電圧の周波数を掃引すれば、極めて大きな剥離効果を得ることができる。
【0045】
なお、交番電圧の波形は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯波等、いずれでも良い。また、交番電圧の周波数の掃引範囲は、例えば10Hz〜100KHzの範囲内で、好ましくは上述したように電極系の固有振動数を含む範囲に設定し、交番電圧の振幅は、周波数の掃引と相俟って十分な剥離効果が得られるよう、例えば1V〜500Vとする。
【0046】
このように、本実施形態による画像表示装置では、画像表示板を画像データに応じて表示駆動する合間に、画像表示板の各表示素子に周波数が掃引された交番電圧を印加するようにしたので、表示を多数回繰り返しても、表示面に粒子が貼り付いた状態が発生せず、表示の色むらの発生を効果的に抑制することができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
図1(a)に示すような表示板を作製した。すなわち、透明基板1としてガラス基板を用い、対向基板2としてエポキシ板を用い、表示電極3−1,3−2としてITOを用いるとともに、対向電極4−1,4−2として銅電極を用いた。各電極3−1,3−2,4−1,4−2の表面に、付着防止および電荷漏洩防止のために、絶縁性のシリコーン樹脂を約3μmの厚さにコートした。負帯電性粒子5として電子写真用黒色重合トナー(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度−50μC/m2、上記0.3秒後の表面電位450V)を用いた。正帯電性粒子6としては、白色顔料に酸化チタンを用い、荷電制御剤に4級アンモニウム塩系化合物を用いて、スチレンアクリル樹脂の重合粒子を作製した(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度+45μC/m2、上記0.3秒後の表面電位500V)。粒子の帯電は、両粒子を等量混合撹拌して摩擦帯電により行った。表示面の面積を50mm×50mmとして、隔壁7の高さを200μmとして、粒子の充填量は、体積占有率で空間の60%とした。
【0049】
表示電極に−100Vを印加するとともに、対向電極に+100Vの直流電圧を印加すると、正帯電性粒子は表示電極側に飛翔して付着し、負帯電性粒子は対向電極側に飛翔して付着し、表示素子は白色に表示された。次に、印加電圧の極性を逆にすると、負帯電性粒子は表示電極側に飛翔して付着し、正帯電性粒子は対向電極側に飛翔して付着し、表示素子は黒色に表示された。電圧印加に対する表示素子の応答時間を測定したところ、1msecであった。画像表示後に電圧印加を中止して1日間放置したが、表示は保たれていた。
【0050】
図1(a)に示す状態で駆動電圧の電位(極性)を切り換えることにより、図1(b)および図1(c)間の繰り返しである表示サイクルを20回行った後に(言い換えれば画像表示の合間に)、図2(a)および図2(b)の粒子の分割電極間移動2回行うようにして、表示サイクルを合計1万回実施した。この場合、電極に対する粒子の貼り付きは起こらず、表示の色むらの発生は見られなかった。
【0051】
比較のために、上記と同様な表示板を用いた同様な実験を行ったが、その実験では図1(b)および図1(c)間の繰り返しである表示サイクルのみを行い、図2(a)および図2(b)の粒子の分割電極間移動を行わなかった。この場合、表示サイクルを100回実施した時点で、電極に対する粒子の貼り付きが起こり、表示の色むらの発生が見られた。
【0052】
図1(b)および図1(c)間の繰り返しの表示サイクルならびに図2(a),(b)のような粒子の分割電極間移動を行うためには、例えば図4または図5に示すような電圧印加パターンを実施すれば良い。
【0053】
図4は表示電極および対向電極の両方を分割(分極)した場合の電圧印加パターンを示しており、図示上側の電極が表示電極に対応し、図示下側の電極が対向電極に対応する。この場合、電圧値V1および電圧値V2は何れも粒子飛翔しきい電圧値VFより小さく、かつ、それらの和は粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定してある(V1<VF、V2<VF、V1+V2>VF)。
【0054】
図4中、1,2はそれぞれ、図1(c),(b)に対応する表示サイクルであり、3a〜3dは粒子の分割電極間移動サイクルである。3aおよび3bは、表示サイクル2の状態から、分割した表示電極のそれぞれに電圧値V1を有する正電圧および電圧値V2を有する負電圧を印加し、対向電極を接地することにより、負電圧印加側表示電極に白丸で示す正帯電性粒子を集めるものである。3cおよび3dは、表示サイクル2の状態から、分割した対向電極のそれぞれに電圧値V1を有する正電圧および電圧値V2を有する負電圧を印加し、表示電極を接地することにより、正電圧印加側対向電極に黒丸で示す負帯電性粒子を集めるものである。このような表示サイクルおよび粒子の分割電極間移動サイクルを適宜組み合わせることにより、例えば1→2→3a→1→2→3b→1→2→3c→1→2→3d→1→2→・・・という電圧印加パターンが形成される。なお、この電圧印加パターンよりもさらに複雑な電圧印加パターンを用いても良い。
【0055】
図5は表示電極および対向電極の一方(この場合、図示上側の表示電極)のみを分割(分極)した場合の電圧印加パターンを示している。この場合、電圧値V1および電圧値V2は何れも粒子飛翔しきい電圧値VFより小さく、かつ、それらの和は粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定してある(V1<VF、V2<VF、V1+V2>VF)。
【0056】
図5中、1,3はそれぞれ、図1(c),(b)に対応する表示サイクルであり、2a,2b,4a,4bは粒子の分割電極間移動サイクルである。2aおよび2bは、表示サイクル1の状態から、分割した表示電極のそれぞれに電圧値V1を有する正電圧および電圧値V2を有する負電圧を印加し、対向電極を接地することにより、正電圧印加側表示電極に黒丸で示す負帯電性粒子を集めるものである。3cおよび3dは、表示サイクル3の状態から、分割した表示電極のそれぞれに電圧値V1を有する正電圧および電圧値V2を有する負電圧を印加し、対向電極を接地することにより、負電圧印加側表示電極に白丸で示す正帯電性粒子を集めるものである。このような表示サイクルおよび横移動サイクルを適宜組み合わせることにより、上記図4の場合と同様にして、所望の電圧印加パターンを形成することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の画像表示装置によれば、少なくとも一方が透明な2枚の基板上にそれぞれ設けた表示電極および対向電極からなる電極対の、表示電極および対向電極の少なくとも一方は分割された分割電極から成るため、画像表示の合間に、表示電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに表示電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加するか、あるいは、対向電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに対向電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加し、電圧値V1および電圧値V2の和を粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定することにより、前記表示電極の分割電極間または前記対向電極の分割電極間で前記粒子を飛翔移動させることができる。この粒子の飛翔移動によって、表示を多数回繰り返した場合であっても、表示に色むらが発生することが抑制されることになり、乾式で応答性能が速く、単純な構造で、安価かつ安定性に優れる、画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)はそれぞれ、本発明の画像表示装置に用いる画像表示板の表示素子の一例およびその表示駆動原理を説明するための図である。
【図2】 (a)〜(d)はそれぞれ、本発明の画像表示装置に用いる画像表示板の表示素子における粒子の分割電極間移動を説明するための図である。
【図3】 本発明の画像表示装置に用いる粒子の表面電位の測定要領を示す図である。
【図4】 本発明の画像表示装置において粒子を分割電極間移動させる電圧印加パターンの一例を説明するための図である。
【図5】 本発明の画像表示装置において粒子を分割電極間移動させる電圧印加パターンの他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 対向基板
3−1,3−2 表示電極
4−1,4−2 対向電極
5 負帯電性粒子
6 正帯電性粒子
7 隔壁
Claims (8)
- 少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に色および帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、各基板上にそれぞれ設けた表示電極および対向電極からなる電極対から前記粒子に電界を与えて、前記粒子を前記2枚の基板間で飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備した画像表示装置であって、
前記電極対の表示電極および対向電極の少なくとも一方は分割された分割電極から成っており、画像表示の合間に、前記表示電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記表示電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加するか、あるいは、前記対向電極の分割電極の一方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V1を有する正電圧を印加するとともに前記対向電極の分割電極の他方に粒子飛翔しきい電圧値VFより小さい電圧値V2を有する負電圧を印加し、電圧値V1および電圧値V2の和を粒子飛翔しきい電圧値VFより大きく設定することにより、前記表示電極の分割電極間または前記対向電極の分割電極間で前記粒子を飛翔移動させるようにした後、少なくとも一方が分割された分割電極から成る、前記表示電極および前記対向電極間で前記粒子を飛翔移動させるようにしたことを特徴とする画像表示装置。 - 前記粒子の平均粒径が0.1〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記粒子の表面電荷密度が絶対値で5〜150μC/m2であることを特徴とする請求項1または2記載の画像表示装置。
- 前記粒子が、その表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きい粒子であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記粒子の色が白色および黒色であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記画像表示板が、隔壁により互いに隔離された1つ以上の画像表示素子を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記分割電極間に印加する電圧が、直流電圧、交番電圧、直流電圧に交番電圧が重畳した電圧の何れかであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記交番電圧が、周波数が掃引された交番電圧であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の画像表示装置。
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