JP4458743B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばクーロン力を利用した粒子の飛翔移動に伴い、画像を繰り返し表示、消去できる画像表示板を具備する画像表示装置に関する。
【0002】
従来より、液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来の技術は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットから、次世代の安価な画像表示装置に使用できる技術として考えられ、携帯端末用画像表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置する電気泳動方式が提案され期待が寄せられている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”、p.249-252
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅いという問題がある。更に、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているために沈降しやすく、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0006】
一方、溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層を基板の一部に組み入れた方式も提案され始めている。しかし、電荷輸送層、更には電荷発生層を配置するために構造が複雑になると共に、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しく、安定性に欠けるという問題もある。
【0007】
本発明の目的は上述した課題を解消して、乾式で応答性能が速く、単純な構造で安価かつ、安定性に優れる画像表示装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に、色及び帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、基板上に各別に設けた電極からなる電極対から粒子に静電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示させる画像表示板を具備した画像表示装置であって、表示板が、電極対をマトリックス状に配置したマトリックス電極を備え、マトリックス電極を構成する各電極に高電位VH又は低電位VLを印加することにより表示駆動が行われ、各電極に一度高電位V H 又はV L を印加した後に、次の電圧印加までの間、各電極は、VHとVLとの間にある中間電位V0に10MΩ以下の低インピーダンスで接続されていることを特徴とするものである。
【0009】
上述した構成の本発明の画像表示装置では、粒子に直接的に静電界を与えてクーロン力により粒子を飛翔移動させることができる画像表示素子をマトリックス状に配置させて新規な画像表示装置を構成することで、応答速度が速く、単純な構造で安価かつ、安定性に優れる画像表示装置を提供することができる。
【0010】
本発明の画像表示装置において、中間電位V0はグラウンド電位であると好ましい。また、マトリックス電極はマトリックスドライブ回路部に接続されており、マトリックスドライブ回路部は画像データにより、マトリックス電極を構成する各電極に高電位VH、低電位VL及び中間電位V0を与えるよう構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の画像表示装置における粒子としては、粒子の平均粒径が0.1〜50μmであることが好ましい。また、粒子の表面電荷密度が絶対値で5〜150μC/m2であることが好ましい。さらに、粒子が、その表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きい粒子であることが好ましい。さらにまた、粒子の色が白色及び黒色であることが好ましい。
【0012】
本発明の画像表示装置における画像表示板としては、画像表示板が、マトリックス電極の各電極対を隔壁によりお互いに隔離した1つ以上の画像表示素子を有する構成とすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の画像表示装置を構成する画像表示板の画像表示素子の一例とその表示駆動原理を示す図である。図1(a)〜(c)に示す例において、1は透明基板、2は対向基板、3は表示電極(透明電極)、4は対向電極、5は負帯電性粒子、6は正帯電性粒子、7は隔壁である。
【0014】
図1(a)は対向する基板(透明基板1と対向基板2)の間に負帯電性粒子5及び正帯電性粒子6を配置した状態を示す。この状態のものに、表示電極3側が低電位、対向電極4側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(b)に示すように、クーロン力によって、正帯電性粒子6は表示電極3側飛翔移動し、負帯電性粒子5は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は正帯電性粒子6の色に見える。次に、極性を切り換えて、表示電極3側が高電位、対向電極4側が低電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すように、クーロン力によって、負帯電性粒子5は表示電極3側に飛翔移動し、正帯電性粒子6は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は負帯電性粒子6の色に見える。
【0015】
図1(b)と図1(c)の間は電源の極性を反転するだけで繰り返し表示することができ、このように電源の極性を反転することで可逆的に色を変化させることができる。粒子の色は、随意に選定できる。例えば、負帯電性粒子5を白色とし、正帯電性粒子6を黒色とするか、負帯電性粒子5を黒色とし、正帯電性粒子6を白色とすると、表示は白色と黒色間の可逆表示となる。この方式では、各粒子は一度電極に鏡像力により付着した状態にあるので、電圧を切った後も表示画像は長期に保持され、メモリ保持性が良い。
【0016】
本発明では、各帯電性粒子は気体中を飛翔するため、画像表示の応答速度が速く、応答速度を1msec以下にすることができる。また、液晶表示素子のように配向膜や偏光板等が不要で、構造が単純で、低コストかつ大面積が可能である。温度変化に対しても安定で、低温から高温まで使用可能である。さらに、視野角がなく、高反射率、反射型で明るいところでも見易く、低消費電力である。メモリ性もあり、画像保持する場合に電力を消費しない。
【0017】
本発明の画像表示装置は、上記画像表示素子がマトリックス状に配置された画像表示板から構成される。図2(a)、(b)にその模式図の一例を示す。この例では説明の都合上3×3のマトリックスを示す。各電極の数をn個とすることで、任意のn×nのマトリックスを構成することができる。
【0018】
図2(a)、(b)に示す例において、ほぼ平行に配置した表示電極3−1〜3−3と同じくほぼ平行に配置した対向電極4−1〜4−3とは、互いにほぼ直交した状態で、透明基板1上及び対向基板2上に設けられている。表示電極3−1〜3−3には、それぞれ連続して2個設けられたSW3−1−1とSW3−1−2;SW3−2−1とSW3−2−2;SW3−3−1とSW3−3−2;が各別に接続されている。同様に、対向電極4−1〜4−3には、それぞれ連続して2個設けられたSW4−1−1とSW4−1−2;SW4−2−1とSW4−2−2;SW4−3−1とSW4−3−2;が各別に接続されている。
【0019】
SW3−n−1(n=1〜3)とSW4−n−1(n=1〜3)とは、グラウンドへの接続と次段のSWへの接続とを切り換える役目を果たす。SW3−n−2(n=1〜3)とSW4−n−2(n=1〜3)とは、高電圧発生回路8への接続と低電圧発生回路9への接続とを切り換える役目を果たす。これらSWの全体がマトリックスドライブ回路10を構成する。また、本例では、隔壁7によりお互いを隔離して3×3個の画像表示素子を構成しているが、この隔壁7は必須ではなく、省くこともできる。
【0020】
上述した表示電極3−1〜3−3と対向電極4−1〜4−3とからなるマトリックス電極の動作は、表示したい画像に応じて、図示しないシーケンサの制御により各SWの開閉を制御して、3×3個の画像表示素子を順に表示させることが行われる。この動作は従来から知られているものと同じである。
【0021】
上述した構成の画像表示装置において、マトリックスドライブ回路10は、画像データにより、マトリックス電極の各電極に、高電位VH、低電位VL及び中間電位V0を随時付与する。高電位VHと低電位VLとの差は200V以下の電圧でよい。中間電位V0はそれらの中間に設定され、通常はグラウンド電位であることが好ましいが、その近辺の一定電位でも、VHとVLとの平均電位(VH+VL)/2、あるいは高電位VH、低電位VLと同調して変化する電位であってもよい。高電位及び低電位の印加は、直流あるいはそれに交流を重畳しても良い。
【0022】
なお、図2においては、非駆動時の各電極を、メカニカルリレーからなるSWで切り換えてグラウンド電位に接続している場合を例示しているが、半導体素子を用いたSWによる切り換えでもよいし、あるいは、固定抵抗体を介してグラウンド電位に接続してもよい。
【0023】
本発明の画像表示装置に用いる画像表示素子では、表示素子に対して、一方の電極に高電位を付与し、他方の電極に低電位を付与する場合と、その逆に、一方の電極に低電位を付与し、他方の電極に高電位を付与する場合の選択で画像表示を行う。ここで、マトリックス電極駆動においては、各電極に一度高電位又は低電位を印加した後に、次の電圧印加まで各電極をフロート状態にしておくと、他の電極からの電界の影響により、電位が変動してしまい、画像表示が乱れる。そこで、本発明では、各電極に駆動電圧(高電位又は低電位)が印加されていない場合には、各電極は10MΩ以下、好ましくは1MΩ以下の低インピーダンスでグラウンド等の中間電位V0に接続されるようにマトリックスドライブ回路10を設計している。抵抗が大きすぎると、画像表示が乱れるので好ましくない。
【0024】
マトリックス電極を構成する各電極は、透明基板上に設ける表示電極の場合には、透明かつパターン形成可能である導電材料で形成される。このような導電材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属やITO、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは、導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダーに混合して塗布したものが用いられる。
【0025】
導電剤としてはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や導電性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければどのような厚さでも良いが、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。対向基板上には、上記表示電極と同様に透明電極材料を使用することもできるが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の非透明電極材料も使用できる。
【0026】
各電極には、帯電した粒子の電荷が逃げないように絶縁性のコート層を形成することが好ましい。
【0027】
以下、本発明の画像表示装置で用いる基板について述べる。基板の少なくとも一方は装置外側から粒子の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器の表示装置等の用途には可撓性のない材料が好適である。
【0028】
基板の材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル等のポリマーシートや、ガラス、石英等の無機シートが挙げられる。対向基板は透明でも不透明でもかまわない。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、特に5〜1000μmが好適である。厚みが薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚みが厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合にはフレキシビリティー性に欠ける。
【0029】
また、図1に示すように、隔壁7を各表示素子の四周に設けるのが好ましい。隔壁を平行する2方向に設けることもできる。これにより、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリ保持性を介助すると共に、基板間の間隔を均一にかつ補強し画像表示板の強度を上げることもできる。隔壁の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スクリーン版を用いて所定の位置にペーストを重ね塗りするスクリーン印刷法や、基板上に所望の厚さの隔壁材をベタ塗りし、隔壁として残したい部分のみレジストパターンを隔壁材上に被覆した後、ブラスト材を噴射して隔壁部以外の隔壁材を切削除去するサンドブラスト法や、基板上に感光性樹脂を用いてレジストパターンを形成し、レジスト凹部へペーストを埋め込んだ後レジストを除去するリフトオフ法(アディティブ法)や、基板上に隔壁材料を含有した感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像により所望のパターンを得る感光性ペースト法や、基板上に隔壁材料を含有するペーストを塗布した後、凹凸を有する金型等を圧着・加圧成形して隔壁形成する鋳型成形法等、種々の方法が採用される。さらに、鋳型成形法を応用し、鋳型として感光性樹脂組成物により設けたレリーフパターンを使用する、レリーフ型押し法も採用される。
【0030】
以下、本発明の画像表示装置で用いる粒子について述べる。本発明では、表示のための粒子は負又は正帯電性の着色粒子で、クーロン力により飛翔移動するものであればいずれでも良いが、特に、球形で比重の小さい粒子が好適である。粒子の平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと、粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。反対に粒径がこの範囲より大きいと、追随性は良いが、メモリ性が悪くなる。
【0031】
粒子を負又は正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する方法が用いられる。粒子の表面電荷密度は絶対値で5〜150μC/m2の範囲が好ましい。表面電荷密度がこの範囲より低いと、電界の変化に対する応答速度が遅くなり、メモリ性も低くなる。表面電荷密度がこの範囲より高いと、電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。
【0032】
本発明において用いた、表面電荷密度を求めるのに必要な、帯電量の測定および粒子比重の測定は以下によって行った。表面電荷密度は、帯電量および比重に基づき算出した。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粉体とキャリヤの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粉体とキャリヤとを分離し、網の目開きから粉体のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリヤに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量Qは、
Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)
として求められる。
ブローオフ粉体帯電量測定装置としては東芝ケミカル社製のTB-200を用いた。本発明ではキャリヤとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m2)を測定した。すなわち、正帯電性キャリヤ(相手を正に帯電させ自らは負になりやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF963-2535を、負帯電性キャリヤ(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF921-2535を用いた。
<粒子比重測定方法>
粒子比重は、株式会社島津製作所製比重計、マルチボリウム密度計H1305にて測定した。
【0033】
粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗で1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましく、特に1×1012Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましい。また、以下に述べる方法で評価した電荷減衰性の遅い粒子が更に好ましい。
【0034】
即ち、粒子を、別途、プレス、加熱溶融、キャスト等により、厚み5〜100μmのフィルム状にする。そして、そのフィルム表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させ、その表面電位の変化を測定し判定する。この場合、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きく、好ましくは400Vより大きくなるように、粒子構成材料を選択、作成することが肝要である。
【0035】
なお、上記表面電位の測定は、例えば図3に示した装置(QEA社製CRT2000)により行うことが出来る。この装置の場合は、前述したフィルムを表面に配置したロールのシャフト両端部をチャック21にて保持し、小型のスコロトロン放電器22と表面電位計23とを所定間隔離して併設した計測ユニットを上記フィルムの表面と1mmの間隔を持って対向配置し、上記フィルムを静止した状態のまま、上記計測ユニットをフィルムの一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する方法が好適に採用される。なお、測定環境は温度25±3℃、湿度55±5RH%とする。
【0036】
粒子は帯電性能等が満たされれば、いずれの材料から構成されても良い。例えば、樹脂、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等から、あるいは、着色剤単独等で形成することができる。
【0037】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0038】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0039】
着色剤としては、以下に例示するような、有機又は無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0040】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等がある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等がある。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等がある。
【0041】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0042】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。これらの着色剤は、単独或いは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0043】
粒子の製造方法については特に限定されないが、例えば、電子写真のトナーを製造する場合に準じた粉砕法および重合法が使用出来る。また、無機または有機顔料の粉体の表面に樹脂や荷電制御剤等をコートする方法も用いられる。
【0044】
透明基板と対向基板の間隔は、粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは30〜500μmに調整される。粒子充填量は体積占有率で、基板間の空間体積に対して、10〜80%、好ましくは20〜70%を占める体積になるように充填するのが良い。
【0045】
本発明の画像表示装置に用いる表示板においては、上記の表示素子を複数使用してマトリックス状に配置して表示を行う。白黒の場合は、一つの表示素子が一つの画素となる。白黒以外の任意の色表示をする場合は、粒子の色の組み合わせを適宜行えばよい。フルカラーの場合は、3種の表示素子、即ち、各々R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の色の粒子を持ちかつ各々黒色の粒子を持つ表示素子を一組とし、それらを複数組み配置して表示板とするのが好ましい。
【0046】
本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話等のモバイル機器の画像表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の画像表示部などに用いられる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
実施例1
図2に示すような表示板を作製した。透明基板1としてガラス基板を用い、対向基板2にはエポキシ板を用い、表示電極3をITO電極とし、対向電極4は銅電極とした。各電極3、4の表面に付着防止と電荷漏洩防止のために、絶縁性のシリコーン樹脂を約3μmの厚さにコートした。負帯電性粒子5として電子写真用黒色重合トナー(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度−50μC/m2、上記0.3秒後の表面電位450V)を用いた。正帯電性粒子6としては、白色顔料に酸化チタンを用い、荷電制御剤に4級アンモニウム塩系化合物を用いて、スチレンアクリル樹脂の重合粒子を作製した(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度+45μC/m2、上記0.3秒後の表面電位500V)。粒子の帯電は、両粒子を等量混合撹拌して摩擦帯電により行った。隔壁7の高さを200μmとして、粒子の充填量(体積占有率)は、空間の50%とした。
【0048】
表示電極に−100V、対向電極に+100Vの直流電圧を印加すると、正帯電性粒子は表示電極側に飛翔して付着し、負帯電性粒子は対向電極側に飛翔して付着し、表示素子は白色に表示された。駆動電圧を印加している時以外は各電極をグランドに接続して、グランド電位に保った。表示板の色表示のニジミやフレはあなく、良好な画像が表示された。電圧印加に対する表示素子の応答時間を測定すると1msecであった。画像表示後に電圧印加を停止して1日間放置したが、表示は保たれていた。次に、駆動電圧の極性反転を1万回繰り返したが、応答速度の変化は殆どなかった。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像表示装置によれば、粒子に直接的に静電界を与えてクーロン力により粒子を飛翔移動させることができる画像表示素子をマトリックス状に配置させて新規な画像表示装置を構成しているため、応答速度が速く、単純な構造で安価かち、安定性に優れる画像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置に用いる画像表示板の表示素子の一例とその表示駆動原理を示す図である。
【図2】 (a)、(b)はそれぞれ表示素子をマトリックス状に配置した本発明の画像表示装置の一例を示す図である。
【図3】 粒子の表面電位の測定要領を示す図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 対向基板
3 表示電極
4 対向電極
5 負帯電性粒子
6 正帯電性粒子
7 隔壁
8 高電圧発生回路
9 低電圧発生回路
10 マトリックスドライブ回路
Claims (8)
- 少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に、色及び帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、基板上に各別に設けた電極からなる電極対から粒子に静電界を与えて、粒子を飛翔移動させ画像を表示させる画像表示板を具備した画像表示装置であって、表示板が、電極対をマトリックス状に配置したマトリックス電極を備え、マトリックス電極を構成する各電極に高電位VH又は低電位VLを印加することにより表示駆動が行われ、各電極に一度高電位V H 又はV L を印加した後に、次の電圧印加までの間、各電極は、VHとVLとの間にある中間電位V0に10MΩ以下の低インピーダンスで接続されていることを特徴とする画像表示装置。
- 中間電位V0がグラウンド電位である請求項1記載の画像表示装置。
- マトリックス電極はマトリックスドライブ回路部に接続されており、マトリックスドライブ回路部は画像データにより、マトリックス電極を構成する各電極に高電位VH、低電位VL及び中間電位V0を与える請求項1または2に記載の画像表示装置。
- 粒子の平均粒径が0.1〜50μmである請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
- 粒子の表面電荷密度が絶対値で5〜150μC/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置。
- 粒子が、その表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きい粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置。
- 粒子の色が白色及び黒色である請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置。
- 画像表示板が、マトリックス電極の各電極対を隔壁によりお互いに隔離した1つ以上の画像表示素子を有する請求項1〜7のいずれかに記載の画像表示装置。
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