JP4484424B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クーロン力を利用した粒子の飛翔移動に伴い、画像を繰り返し表示、消去できる画像表示板を具備する画像表示装置に関し、特に耐久使用時の画質劣化を改良した画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来の技術は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットから、次世代の安価な画像表示装置に使用できる技術として考えられ、携帯端末用画像表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置する電気泳動方式が提案され期待が寄せられている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅いという問題がある。更に、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているために沈降しやすく、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0005】
一方、溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層を基板の一部に組み入れた方式も提案され始めている。しかし、電荷輸送層、更には電荷発生層を配置するために構造が複雑になると共に、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しく、安定性に欠けるという問題もある。
【0006】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”、p.249-252
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に色および帯電特性の異なる2種類以上の粒子を封入し、基板のに設けた電極からなる電極対から粒子に電界を与えて、クーロン力により粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備する画像表示装置が知られている。
【0008】
この画像表示装置において繰り返し画像の表示、消去を行っていると、粒子自体の凝集力や重力によって粒子が基板と平行な方向に移動して粒子の粗密部分が生じ、画像表示の欠陥もしくはコントラストの低下を生じる。そのため、両基板間の空間を隔壁により細かく分割してセル構造とし、粒子の横方向移動を抑制するといったアイデアが提案されている。しかしながら、この隔壁を用いる方法は有効表示面積を減少させてコントラストを悪化させ、また、画像表示装置を製造する際の粒子のセル内への充填を困難にし、隔壁形成のため画像表示装置の製造コストを上昇させるといった問題があった。
【0009】
本発明の目的は、乾式で応答性能が速く、単純な構造で安価かつ、安定性に優れる画像表示装置において、繰り返し画像表示時の粒子凝集による画質劣化を抑制し、耐久特性を向上させることができる画像表示装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に色および帯電特性の異なる2種類以上の粒子を封入し、基板に設けた電極からなる電極対から粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備する画像表示装置において、電極の表面の全面に微小切り欠き孔を設け、微小切り欠き孔を同一電極に対し複数配置し、複数配置した微小切り欠き孔がすべて同一の形状および大きさを有するとともに、微小切り欠き孔形状の最大対角長さを最大幅とし、2種類以上の粒子のうち最も大きな平均粒径を最大平均粒径としたとき、最大幅/最大平均粒径≧10となり、微小切り欠き孔の最小間隔が、最小間隔/最大平均粒径≦50となるよう微小切り欠き孔を構成したことを特徴とするものである。
【0011】
通常平行に配置される2枚の基板にそれぞれ設けられた電極対により与えられる粒子飛翔のための電界が均一電界であるのに対し、上述した構成の本発明の画像表示装置では、電極表面に設けた微小切り欠き孔によって部分的に微小不均一電界を導入できる。この微小切り欠き孔によって発生する微小な不均一電界は横方向、すなわち基板面と平行な方向への電界成分を有するため、横方向に移動しようとする粒子に対し積極的に吸引もしくは排斥することで粒子を固定し、凝集による偏在を抑制できる。
【0012】
本発明の画像表示装置では、微小切り欠き孔により得られる不均一電界が粒子に与える影響の度合いが粒子の平均粒径との関係で決まることから、粒子の平均粒径と微小切り欠き孔寸法との関係を定義することで所定以上の不均一電界を得るとの観点から、微小切り欠き孔形状の最大対角長さを最大幅とし、2種類以上の粒子のうち最も大きな平均粒径を最大平均粒径としたとき、最大幅/最大平均粒径>10となるよう微小切り欠き孔を構成することが好ましい。上記関係を達成できないと、所定値以上の不均一電界を得ることができないため、本発明の繰り返し画像表示時の粒子凝集による画質劣化を抑制し、耐久特性を向上させるとの効果を十分に得ることができない。
【0013】
本発明の画像表示装置において、微小切り欠き孔を間隔をおいて複数並べることは、微小不均一電界を大きな電極面すなわち大きな画素に適用できるため好ましく、その際、微小切り欠き孔の最小間隔が、最小間隔/最大平均粒径<50となるよう構成することが好ましい。この場合は、微小切り欠き孔による不均一電界の効果を広範囲に連続的に得ることができる。
【0014】
また、ある条件のもとでは微小切り欠き孔の部分に軽微なコントラストの低下が見られることがあり、表示部全体のコントラストを確保するために、微小切り欠き孔の総面積が電極面積に対して50%以下であることが好ましい。さらに、微小切り欠き孔の効果を十分に得るためには、微小切り欠き孔の総面積が電極面積に対して0.1%以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の画像表示装置における粒子としては、粒子の平均粒径が0.1〜50μmであることが好ましい。また、粒子のキャリヤを用いてブローオフ法により測定した表面電荷密度が絶対値で5μC/m以上150μC/m以下であることが好ましい。さらに、粒子が、その表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きい粒子であることが好ましい。さらにまた、粒子の色が白色及び黒色であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の画像表示装置を構成する画像表示板の画像表示素子の一例とその表示駆動原理を示す図である。図1(a)〜(c)に示す例において、1は透明基板、2は対向基板、3は表示電極(透明電極)、4は対向電極、5は負帯電粒子、6は正帯電粒子である。
【0017】
図1(a)は対向する基板(透明基板1と対向基板2)の間に負帯電粒子5及び正帯電粒子6を配置した状態を示す。この状態のものに、表示電極3側が低電位、対向電極4側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(b)に示すように、クーロン力によって、正帯電粒子6は表示電極3側飛翔移動し、負帯電粒子5は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は正帯電粒子6の色に見える。次に、極性を切り換えて、表示電極3側が高電位、対向電極4側が低電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すように、クーロン力によって、負帯電粒子5は表示電極3側に飛翔移動し、正帯電粒子6は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は負帯電粒子6の色に見える。
【0018】
図1(b)と図1(c)の間は電源の極性を反転するだけで繰り返し表示することができ、このように電源の極性を反転することで可逆的に色を変化させることができる。粒子の色は、随意に選定できる。例えば、負帯電粒子5を白色とし、正帯電粒子6を黒色とするか、負帯電粒子5を黒色とし、正帯電粒子6を白色とすると、表示は白色と黒色間の可逆表示となる。この方式では、各粒子は一度電極に鏡像力により貼り付いた状態にあるので、電圧を切った後も表示画像は長期に保持され、メモリ保持性が良い。
【0019】
本発明では、各帯電粒子は気体中を飛翔するため、画像表示の応答速度が速く、応答速度を1msec以下にすることができる。また、液晶表示素子のように配向膜や偏光板等が不要で、構造が単純で、低コストかつ大面積が可能である。温度変化に対しても安定で、低温から高温まで使用可能である。さらに、視野角がなく、高反射率、反射型で明るいところでも見易く、低消費電力である。メモリ性もあり、画像保持する場合に電力を消費しない。
【0020】
図1(a)〜(c)で説明した画像表示装置において、本発明では、電極(ここでは表示電極3及び対向電極4)の表面の一部もしくは全面に微細な微小切り欠き孔(後述する)を設けている。その際、微小切り欠き孔形状が重要で、微小切り欠き孔形状の最大対角長さを最大幅とし、2種類以上の粒子のうち最も大きな平均粒径を最大平均粒径としたとき、最大幅/最大平均粒径>10となるよう微小切り欠き孔を構成することが好ましい。
【0021】
電極表面形成した微小切り欠き孔は、その形状として、円、楕円、正方形、長方形、多角形、線状、曲線状、不定形等やその組み合わせが考えられる。また、特に1画素の面積が大きくなるセグメント表示等においては、微小切り欠き孔を繰り返し配置することによって同様の効果を大画面で得ることができる。この場合、繰り返し配置の方法として、格子配置、千鳥格子配置、ピッチ変動配置、ランダム配置等が考えられる。
【0022】
図2(a)〜(g)はそれぞれ電極表面に切り欠いて複数個形成した微小切り欠き孔の一例を説明するための図である。図2(a)は円形の微小切り欠き孔11を電極12上に格子配列した例を示し、図2(b)は楕円形の微小切り欠き孔11を電極12上に格子配列した例を示す。また、図2(c)は円形の微小切り欠き孔11を電極12上に千鳥配列した例を示し、図2(d)は楕円形の微小切り欠き孔11を電極12上に千鳥配列した例を示す。さらに、図2(e)は線状の微小切り欠き孔11を電極12上に並列に設けた例を示し、図2(f)は線状の微小切り欠き孔11を電極12上において互いに90度異なった方向に順に並べた例を示し、図2(g)は曲線状の微小切り欠き孔11を電極12上に千鳥配列した例を示す。
【0023】
図3はセグメント表示装置に本発明を適用した例を示す図である。図3に示す例において、セグメント表示装置21は、透明基板22、スペーサ23、対向基板24を積層して構成されている。透明基板22のスペーサ23側の表面には、各セグメント毎に、ドット形状の微小切り欠き孔25を設けた7つのセグメント電極26を形成している。スペーサ23としては、各セグメントの形状に応じた開口27を有する青色のスペーサを使用する。対向基板24のスペーサ23側の表面には、各セグメント毎に、ドット形状の微小切り欠き孔25を設けた7つのセグメント電極26を透明基板22と同様に形成している。
【0024】
そして、スペーサ23の7つの開口27の各別に色および帯電特性の異なる2種類以上の粒子、例えば上述した例のように、正帯電粒子と負帯電粒子を充填する。図3に示すセグメント表示装置21の動作は上述した画像表示装置の例と同様である。なお、図3の例において、各セグメントの寸法の一例は、幅約1cm、長さ約5cm、文字「8」全体の高さ約10cmである。また、微小切り欠き孔25は上述した形状に限定されないことは明らかで、例えば、図4に示すように、各セグメント毎に円形状の微小切り欠き孔25を格子状に配置することもできる。
【0025】
以下、本発明の画像表示装置で用いる基板について述べる。基板の少なくとも一方は装置外側から粒子の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可撓性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器の表示装置等の用途には可撓性のない材料が好適である。
【0026】
基板の材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル等のポリマーシートや、ガラス、石英等の無機シートが挙げられる。対向基板は透明でも不透明でもかまわない。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、特に5〜1000μmが好適である。厚みが薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚みが厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合にはフレキシビリティー性に欠ける。
【0027】
以下、本発明の画像表示装置で用いる粒子について述べる。本発明では、表示のための粒子は負又は正帯電性の着色粒子で、クーロン力により飛翔移動するものであればいずれでも良いが、特に、球形で比重の小さい粒子が好適である。粒子の平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、特に1〜30μmが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと、粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。反対に粒径がこの範囲より大きいと、追随性は良いが、メモリ性が悪くなる。
【0028】
粒子を負又は正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する方法が用いられる。粒子のキャリヤを用いてブローオフ法により測定した表面電荷密度が絶対値で5μC/m以上150μC/m以下であることが好ましい。表面電荷密度がこの範囲より低いと、電界の変化に対する応答速度が低くなり、メモリ性も低くなる。表面電荷密度がこの範囲より高いと、電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の追随性が悪くなる。
【0029】
本発明において用いた、表面電荷密度を求めるのに必要な、帯電量の測定および粒子比重の測定は以下によって行った。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粉体とキャリヤの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粉体とキャリヤとを分離し、網の目開きから粉体のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリヤに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量Qは、
Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)
として求められる。
ブローオフ粉体帯電量測定装置としては東芝ケミカル社製のTB-200を用いた。本発明ではキャリヤとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m2)を測定した。すなわち、正帯電性キャリヤ(相手を正に帯電させ自らは負になりやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF963-2535を、負帯電性キャリヤ(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF921-2535を用いた。
<粒子比重測定方法>
粒子比重は、株式会社島津製作所製比重計、マルチボリウム密度計H1305にて測定した。
【0030】
粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁粒子が好ましく、特に体積固有抵抗が1×1012Ω・cm以上の絶縁粒子が好ましい。また、以下に述べる方法で評価した電荷減衰性の低い粒子が更に好ましい。
【0031】
即ち、粒子を、別途、プレス、加熱溶融、キャスト等により、厚み5〜100μmのフィルム状にする。そして、そのフィルム表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させ、その表面電位の変化を測定し判定する。この場合、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きく、好ましくは400Vより大きくなるように、粒子構成材料を選択、作成することが肝要である。
【0032】
なお、上記表面電位の測定は、例えば図5に示した装置(QEA社製CRT2000)により行うことが出来る。この装置の場合は、前述したフィルムを表面に配置したロールのシャフト両端部をチャック31にて保持し、小型のスコロトロン放電器32と表面電位計33とを所定間隔離して併設した計測ユニットを上記フィルムの表面と1mmの間隔を持って対向配置し、上記フィルムを静止した状態のまま、上記計測ユニットをフィルムの一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する方法が好適に採用される。なお、測定環境は温度25±3℃、湿度55±5RH%とする。
【0033】
粒子は帯電性能等が満たされれば、いずれの材料から構成されても良い。例えば、樹脂、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等から、あるいは、着色剤単独等で形成することができる。
【0034】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0035】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0036】
着色剤としては、以下に例示するような、有機又は無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0037】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等がある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等がある。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等がある。
【0038】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0039】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。これらの着色剤は、単独或いは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0040】
粒子の製造方法については特に限定されないが、例えば、電子写真のトナーを製造する場合に準じた粉砕法および重合法が使用出来る。また、無機または有機顔料の粉体の表面に樹脂や荷電制御剤等をコートする方法も用いられる。
【0041】
透明基板と対向基板の間隔は、粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できれば良いが、通常10〜5000μm、好ましくは30〜500μmに調整される。粒子充填量は、基板間の空間体積に対して、10〜90%、好ましくは30〜80%を占める体積になるように充填するのが良い。
【0042】
本発明の画像表示装置に用いる表示板においては、上記の表示素子を複数使用してマトリックス状に配置して表示を行う。白黒の場合は、一つの表示素子が一つの画素となる。白黒以外の任意の色表示をする場合は、粒子の色の組み合わせを適宜行えばよい。フルカラーの場合は、3種の表示素子、即ち、各々R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の色の粒子を持ちかつ各々黒色の粒子を持つ表示素子を一組とし、それらを複数組み配置して表示板とするのが好ましい。
【0043】
本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話等のモバイル機器の画像表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の画像表示部などに用いられる。
【0044】
なお、上述した実施例では画像表示装置の構造上隔壁を用いない例を説明したが、隔壁によるセル構造と併用してもよい。この場合は、セルのサイズを大きくすることができ隔壁の表示面積に対する割合を小さくできるので、より高いコントラストを得ることができる。
【0045】
次に、本発明の画像表示装置において、2種類以上の粒子における平均粒径の最大値である最大平均粒径Rと、微小切り欠き孔との関係を調べるため、以下の表1に示す形状および配置状態の微小切り欠き孔を、一方の電極に、以下の表1に示す最大幅W、最小間隔Iで配置するとともに、基板の間隔dと粒子の最大平均粒径Rを以下の表1のように調整した実施例1〜6の画像表示装置を準備した。準備した実施例1〜6の画像表示装置に対し、4(kV/mm)の矩形波を、1(Hz)で10秒印加した後、10(Hz)で30秒印加し、その後1(Hz)で反転を行いながら粒子凝集による画像劣化の程度を目視で判断して評価を行った。なお、表1において、◎は画像劣化が全く認められなかったものを、○は殆ど画像劣化が認められなかったものを、△は一部に画像劣化は認められるが、実用上問題ないものを示す。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004484424
【0047】
表1の結果から、最大幅Wと最大平均粒径Rとの関係、最小間隔Iと最大平均粒径Rとの関係を検討したところ、W/Rは10以上であることが、I/Rは50以下であることが、本発明において好ましいことがわかった。
【0048】
なお、上述した実施例では、電極を基板上に設けた例を示しているが、本発明を達成するためには、電界を発生するための電極が存在しさえすれば電極は基板上に必ずしも存在する必要はなく、電極を基板とは離して設けることもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、通常平行に配置される2枚の基板にそれぞれ設けられた電極対により与えられる粒子飛翔のための電界が均一電界であるのに対し、上述した構成の本発明の画像表示装置では、電極表面に設けた微小切り欠き孔によって部分的に微小不均一電界を導入できる。この微小切り欠き孔によって発生する微小な不均一電界は横方向、すなわち基板面と平行な方向への電界成分を有するため、横方向に移動しようとする粒子に対し積極的に吸引もしくは排斥することで粒子を固定し、凝集による偏在を抑制できる。その結果、耐久使用時の画質劣化を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置に用いる画像表示板の表示素子の一例とその表示駆動原理を示す図である。
【図2】 (a)〜(g)はそれぞれ電極表面に切り欠いて複数個形成した微小切り欠き孔の一例を説明するための図である。
【図3】 セグメント表示装置に本発明を適用した一例を示す図である。
【図4】 セグメント表示装置に本発明を適用した他の例を示す図である。
【図5】 粒子の表面電位の測定要領を示す図である。
【符号の説明】
1、22 透明基板
2、24 対向基板
3 表示電極
4 対向電極
5 負帯電粒子
6 正帯電粒子
11、25 微小切り欠き孔
12 電極
21 セグメント表示装置
23 スペーサ
26 セグメント電極
27 開口
31 チャック
32 スコロトロン放電器
33 表面電位計

Claims (2)

  1. 少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に色および帯電特性の異なる2種類以上の粒子を封入し、基板に設けた電極からなる電極対から粒子に電界を与えて、粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備する画像表示装置において、電極の表面の全面に微小切り欠き孔を設け、微小切り欠き孔を同一電極に対し複数配置し、複数配置した微小切り欠き孔がすべて同一の形状および大きさを有するとともに、微小切り欠き孔形状の最大対角長さを最大幅とし、2種類以上の粒子のうち最も大きな平均粒径を最大平均粒径としたとき、最大幅/最大平均粒径≧10となり、微小切り欠き孔の最小間隔が、最小間隔/最大平均粒径≦50となるよう微小切り欠き孔を構成したことを特徴とする画像表示装置。
  2. 粒子の色が白色及び黒色である請求項1に記載の画像表示装置。
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