JP4787566B2 - 情報表示用パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
基板に電圧を印加して帯電特性の異なる2種類の表示媒体を充填する場合、第1の表示媒体を充填した後に第2の表示媒体を充填する際には、第1の表示媒体の帯電特性と同符号の電圧を印加することになるため、第1の表示媒体は反発しセル内の充填状態が疎になったり、あるいは飛散したりするなどの不具合が生じる。第1の表示媒体を除電することにより、第2の表示媒体の帯電特性と逆符号(第1の表示媒体の帯電特性と同符号)の電圧を印加することが可能になり、第1の表示媒体の充填状態を損なうことなく、第2の表示媒体を良好に充填することができる。
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waから成る白色粒子群3Wと黒色表示媒体用粒子3Baから成る黒色粒子群3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waから成る白色粒子群3Wと黒色表示媒体用粒子3Baから成る黒色粒子群3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。
以上の説明は、白色粒子群3Wを白色粉流体に、黒色粒子群3Bを黒色粉流体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することができる。
本発明の情報表示用パネルを製造する際には、まず、図3(a)に示すように、隔壁4を形成しておいた一方の基板(例えば観察者側となる透明基板)1の上方から、散布ノズル11によって第1の表示媒体として例えば正帯電性の白色表示媒体3Wを散布して自由落下させ、図3(b)に示すように、隔壁4によって基板上に形成されたセル内に白色表示媒体3Wを充填する。次に、図3(c)に示すように、基板1の上方に配置した除電装置12によって、セル内に充填済みの白色表示媒体3Wを除電する。これにより、図4(a)に示すように正(+)になっていた白色表示媒体3Wの帯電特性は、図4(b)に示すように除電されて無くなる。次に、図3(d)に示すように、白色表示媒体3Wの充填完了後の基板1の上方から、散布ノズル11によって第2の表示媒体として負帯電性の黒色表示媒体3Bを散布して自由落下させると、黒色表示媒体3Bの散布終了時には、図3(e)に示すように、隔壁4によって基板上に形成されたセル内に黒色表示媒体3Bが重ねて充填されることになる。このとき、セル内に充填済みの白色表示媒体3Wは除電されているので、図4(b)に示すように、帯電していない白色表示媒体3Wの上に、負(−)に帯電している黒色表示媒体3Bが乗った状態において、白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとが凝集することはない。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
本発明に用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体移動が可能となる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie 理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
この空隙部分とは、図1、図2において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体(粒子群あるいは粉流体)3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルシール部分を除いた、いわゆる、表示媒体(粒子群あるいは粉流体)が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体(言い換えれば表示媒体を構成する粒子)の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
まず、電極付き透明ガラス基板(7cm×7cm□)を準備し、基板上にリブを作り、隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行った。感光性フィルムであるニチゴーモートン社製ドライフィルムフォトレジストNIT250をITO付ガラス上にラミネートし、露光、現像により、高さが50μmでライン30μm、スペース320μm、ピッチ350μmの隔壁を形成した。次に、背面側基板として用いるITO電極付きの基板(7cm×7cm□、厚さ:100μm)として、非透明基板(ガラスエポキシ)を準備した。
次に、隔壁を形成した一方の基板を、湿度40%RH以下の乾燥した容器内に移し、まず、粒子群Aを第1の粒子群として、容器内上部に設けられたノズルから容器内に分散させて、容器下部に置かれた基板上のセル内に散布して自由落下させることにより、粒子群Aを充填した。
次に、散布充填された粒子群Aに、イオン発生器によりイオン照射を行うことによって、帯電状態にある粒子群Aの除電を行った。本発明の実施例および比較例では、コロナ放電式のイオン発生器((株)キーエンス製SJ−R036)または空気イオン式のイオン発生器((株)キーエンス製SJ−F010)を用いた。
粒子群Aおよび粒子群Bの充填配置量は同体積量ずつとし、2枚の基板を貼り合わせてできる基板間に対する双方の粒子群が合わさった体積占有率が25vol%となるように調整した。
次に、粒子群がセル内に充填配置された基板にもう一方の基板を重ね合わせ、基板周辺および隔壁と基板とをエポキシ系接着剤にて接着すると共に、粒子群を封入し、情報表示用パネルを作製した。
作製した情報表示用パネルを組み込んだ情報表示装置に、250Vの電圧を印加して電位を繰り返し反転させることにより、黒色〜白色のベタ画像を繰り返し表示させて、表示されるベタ画像の品質を目視観察によって評価した。
実施例および比較例では、表示媒体として、帯電特性の異なる白黒2色の粒子群(粒子群A、粒子群B)を用いた。なお、前述した説明においての粒子群の名称は、先に充填する粒子群を粒子群Aとし、後から充填する粒子群を粒子群Bとしている。
黒色粒子群は、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)にカーボンブラック(MA100 三菱化学(株))4重量部、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2重量部を添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕し、さらにハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて機械的衝撃力を加えて略球状としてから分級して作製した。作製された粒子群は、平均粒子径が9.1μm、略球状で負帯電性の黒色粒子群であった。
白色粒子群は、ターシャリーブチルメタクリレ−トモノマー80重量部とメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルモノマ−20重量部に0.5重量部のAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶解し、カップリング剤処理して親油性とした酸化チタン20重量部を分散させて得られた液を、10倍量の0.5%界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて作製した。作製された粒子群は、平均粒子径が8.5μmで正帯電性の球状白色粒子であった。
図6は黒色表示媒体用粒子3Baを散布した後に白色表示媒体用粒子3Waを重ねて散布する例を示しており、散布ノズル11から白色粒子群3Wを基板1(2)上のセル内に散布して自由落下させることにより白色粒子群3Wを充填する際には、基板1(2)の電極5(6)に高圧電源を接続する。
情報表示用パネルを前述の手順(まず、黒色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する)で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、白色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、黒色粒子群を散布充填し、コロナ放電式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、白色粒子群を散布充填し、コロナ放電式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、黒色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する際に、基板電極に高圧電源(MODEL615:トレックジャパン)を接続し、+1kVの電圧を印加した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、白色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する際に、基板電極に高圧電源を接続し、−1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
まず、黒色粒子群を散布充填し、除電を行わないで白色粒子群を重ねて散布充填した以外は実施例1または実施例3と同様にして情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、白色粒子群を散布充填し、除電を行わないで黒色粒子群を重ねて散布充填した以外は実施例2または実施例4と同様にして情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
まず、黒色粒子群を散布充填し、除電せずに、白色粒子群を重ねて散布充填した。白色粒子群を散布充填する際、基板電極に高圧電源を接続し、+1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
まず、白色粒子群を散布充填し、除電せずに、黒色粒子群を重ねて散布充填した。黒色粒子群を散布充填する際、基板電極に高圧電源を接続し、−1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
一方、比較例1〜比較例4によれば、セルから表示媒体(粒子群)のはみ出しが多く、隔壁頂上部への表示媒体の付着もあったため、情報表示用パネルは作製しなかった。
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5 電極
6 電極
11 散布ノズル
12 除電装置
Claims (4)
- 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法であって、
第1の表示媒体をセル内に充填後、第2の表示媒体を充填する前に、セル内に充填済みの第1の表示媒体を除電してから、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。 - 前記第1の表示媒体および第2の表示媒体を充填する方法として、基板の上に配置したノズルから第1の表示媒体および第2の表示媒体を各別に気中へ散布し、自由落下によって基板上のセル内に充填する方法を用いて、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。
- 前記第1の表示媒体を除電してから、前記第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填する際に、基板に第2の表示媒体が有する帯電特性と逆符号の電圧を印加して第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
- 表示媒体が粒子群または粉流体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
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