JP4787566B2 - 情報表示用パネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法に関するものである。
従来より、液晶(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、トナー(粒子)移動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に、最近では、分散粒子と着色溶液とから成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式(例えば、非特許文献1参照)が提案され、期待が寄せられている。
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、表示情報を繰り返し書き換える際の安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この方式は、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示情報を書き換える際の安定性に欠けるという問題もある。
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルを搭載した情報表示装置が知られている。
上記のような情報表示用パネルでは、隔壁で囲われた小部屋(セル)に表示媒体を封入する場合、基板を重ね合せる前に表示媒体をセル内に充填するが、帯電特性の異なる2種類の表示媒体をセル内の狭小空間に充填する際に、2種類の帯電特性の異なる表示媒体をセル内に連続して散布充填するようにした場合には、先に充填した第1の表示媒体の帯電極性と、続けて充填する第2の表示媒体の帯電極性とが異なるため、第2の表示媒体を散布したときに、第1の表示媒体と第2の表示媒体とが凝集してしまい、帯電特性の異なる2種類の表示媒体を所定の割合で均一にセル内に充填することができなくなるため、表示情報の画像品質に問題が生じる。
本発明は、基板を重ね合せる前に、基板上の隔壁で囲われたセル内の狭小空間に、帯電特性の異なる2種類の表示媒体を所定の割合で均一に充填できる情報表示用パネルの製造方法を提供し、表示情報の画像品質に優れた安価な情報表示用パネルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法であって、第1の表示媒体をセル内に充填後、第2の表示媒体を充填する前に、セル内に充填済みの第1の表示媒体を除電してから、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする。
本発明の情報表示用パネルの製造方法の好適例としては、前記第1の表示媒体および第2の表示媒体を充填する方法として、基板の上に配置したノズルから第1の表示媒体および第2の表示媒体を各別に気中へ散布し、自由落下によって基板上のセル内に充填する方法を用いて、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填すること、前記第1の表示媒体を除電してから、前記第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填する際に、基板に第2の表示媒体が有する帯電特性と逆符号の電圧を印加して第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填すること、および、表示媒体が粒子群または粉流体であること、がある。
基板に電圧を印加して帯電特性の異なる2種類の表示媒体を充填する場合、第1の表示媒体を充填した後に第2の表示媒体を充填する際には、第1の表示媒体の帯電特性と同符号の電圧を印加することになるため、第1の表示媒体は反発しセル内の充填状態が疎になったり、あるいは飛散したりするなどの不具合が生じる。第1の表示媒体を除電することにより、第2の表示媒体の帯電特性と逆符号(第1の表示媒体の帯電特性と同符号)の電圧を印加することが可能になり、第1の表示媒体の充填状態を損なうことなく、第2の表示媒体を良好に充填することができる。
上記本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルを製造する際には、第1の表示媒体をセル内に充填後、第2の表示媒体を充填する前に、セル内に充填済みの第1の表示媒体を除電してから、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填するから、先に充填した第1の表示媒体の帯電特性は除電されて無くなっているので、その後に充填される第2の表示媒体が帯電特性を有していても第1の表示媒体を構成する粒子と第2の表示媒体を構成する粒子とが互いに凝集することが防止され、セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を所定の割合で均一に散布充填することができる。したがって、表示情報の画像品質に優れた安価な情報表示用パネルを提供できるようになる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
まず、本発明の情報表示装置の情報表示用パネルの構成について説明する。本発明の情報表示装置では、対向する基板間に表示媒体を封入した情報表示用パネルの基板内に何らかの手段で電界が付与される。電界方向に従って帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の切換によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、表示情報の書き換えを繰り返し行う時あるいは表示情報を継続して表示させておく時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極との電気影像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の情報表示装置に用いる情報表示用パネルの例を、図1および図2に基づき説明する。
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waから成る白色粒子群3Wと黒色表示媒体用粒子3Baから成る黒色粒子群3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waから成る白色粒子群3Wと黒色表示媒体用粒子3Baから成る黒色粒子群3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子群3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子群3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。
以上の説明は、白色粒子群3Wを白色粉流体に、黒色粒子群3Bを黒色粉流体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することができる。
以下、本発明の特徴となる情報表示用パネルの製造方法を図3(a)〜(e)および図4(a)〜(d)に基づいて詳細に説明する。
本発明の情報表示用パネルを製造する際には、まず、図3(a)に示すように、隔壁4を形成しておいた一方の基板(例えば観察者側となる透明基板)1の上方から、散布ノズル11によって第1の表示媒体として例えば正帯電性の白色表示媒体3Wを散布して自由落下させ、図3(b)に示すように、隔壁4によって基板上に形成されたセル内に白色表示媒体3Wを充填する。次に、図3(c)に示すように、基板1の上方に配置した除電装置12によって、セル内に充填済みの白色表示媒体3Wを除電する。これにより、図4(a)に示すように正(+)になっていた白色表示媒体3Wの帯電特性は、図4(b)に示すように除電されて無くなる。次に、図3(d)に示すように、白色表示媒体3Wの充填完了後の基板1の上方から、散布ノズル11によって第2の表示媒体として負帯電性の黒色表示媒体3Bを散布して自由落下させると、黒色表示媒体3Bの散布終了時には、図3(e)に示すように、隔壁4によって基板上に形成されたセル内に黒色表示媒体3Bが重ねて充填されることになる。このとき、セル内に充填済みの白色表示媒体3Wは除電されているので、図4(b)に示すように、帯電していない白色表示媒体3Wの上に、負(−)に帯電している黒色表示媒体3Bが乗った状態において、白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとが凝集することはない。
なお、上述した図3(a)〜(e)の製造方法では、白色表示媒体3Wを散布した後に黒色表示媒体3Bを散布するようにしたが、黒色表示媒体3Bを散布した後に白色表示媒体3Wを散布するようにしてもよく、その場合には、図4(c)に示すように負(−)に帯電しているセル内に充填済みの黒色表示媒体3Bを除電して、図4(d)に示すように黒色表示媒体3Bの帯電特性を無くしておいてから、図4(d)に示すように、帯電していない黒色表示媒体3Bの上に、正(+)に帯電している白色表示媒体3Wを重ねて散布すればよい。
本発明によれば、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体3W,3Bを封入し、表示媒体3W,3Bに電界を付与することによって、表示媒体3W,3Bを移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルを製造する際には、第1の表示媒体をセル内に充填後、第2の表示媒体を充填する前に、除電装置12によってセル内に充填済みの第1の表示媒体を除電してから、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填するから、先に充填した第1の表示媒体の帯電極性は除電されて無くなっているので、その後に充填される第2の表示媒体が帯電特性を有していても第1の表示媒体を構成する粒子と第2の表示媒体を構成する粒子とが互いに凝集することが防止されることになる。さらに、図6に示すように、セル内に充填済みの第1の表示媒体を除電後に基板に第2の表示媒体が有する帯電特性と逆符号の電圧を印加すると第2の表示媒体が基板に引き寄せられ易くなり、好ましい。したがって、セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を所定の割合で均一に散布充填することができ、表示情報の画像品質に優れた安価な情報表示用パネルを提供することができる。
以下、本発明の対象となる情報表示装置の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の基板はパネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
必要に応じて設ける電極5、6の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面基板側に設ける電極5の材質や厚みなどは上述した電極6と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。本発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示情報の表示状態の鮮明さが増す。ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。このうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルで表示媒体として用いる粉流体について説明する。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
本発明の対象となる情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルで表示媒体を構成する粒子について説明する。
粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
また、本発明で表示媒体を構成する粒子は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体の移動に支障をきたすようになる。
さらに、本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体移動が可能となる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie 理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
さらに、本発明の表示媒体(粒子群または粉流体)を乾式の情報表示用パネルに用いる場合、基板間の粒子群あるいは粉流体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1、図2において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体(粒子群あるいは粉流体)3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルシール部分を除いた、いわゆる、表示媒体(粒子群あるいは粉流体)が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体(言い換えれば表示媒体を構成する粒子)の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施例および比較例の情報表示用パネルは、下記の方法にて作製したものを、下記の基準に従い評価した。
[情報表示用パネルの作製]
まず、電極付き透明ガラス基板(7cm×7cm□)を準備し、基板上にリブを作り、隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行った。感光性フィルムであるニチゴーモートン社製ドライフィルムフォトレジストNIT250をITO付ガラス上にラミネートし、露光、現像により、高さが50μmでライン30μm、スペース320μm、ピッチ350μmの隔壁を形成した。次に、背面側基板として用いるITO電極付きの基板(7cm×7cm□、厚さ:100μm)として、非透明基板(ガラスエポキシ)を準備した。
次に、表示媒体として色および帯電特性の異なる2種類の粒子群(粒子群A、粒子群B)をそれぞれ準備した。
次に、隔壁を形成した一方の基板を、湿度40%RH以下の乾燥した容器内に移し、まず、粒子群Aを第1の粒子群として、容器内上部に設けられたノズルから容器内に分散させて、容器下部に置かれた基板上のセル内に散布して自由落下させることにより、粒子群Aを充填した。
次に、散布充填された粒子群Aに、イオン発生器によりイオン照射を行うことによって、帯電状態にある粒子群Aの除電を行った。本発明の実施例および比較例では、コロナ放電式のイオン発生器((株)キーエンス製SJ−R036)または空気イオン式のイオン発生器((株)キーエンス製SJ−F010)を用いた。
続いて、粒子群Bを第2の粒子群として、容器内上部に設けられた別のノズルから容器内に分散させて、容器下部に置かれた基板上のセル内(すでに粒子群Aが充填されている)に散布して自由落下させることにより、粒子群Aに重ねて充填した。
粒子群Aおよび粒子群Bの充填配置量は同体積量ずつとし、2枚の基板を貼り合わせてできる基板間に対する双方の粒子群が合わさった体積占有率が25vol%となるように調整した。
次に、粒子群がセル内に充填配置された基板にもう一方の基板を重ね合わせ、基板周辺および隔壁と基板とをエポキシ系接着剤にて接着すると共に、粒子群を封入し、情報表示用パネルを作製した。
[表示機能の評価]
作製した情報表示用パネルを組み込んだ情報表示装置に、250Vの電圧を印加して電位を繰り返し反転させることにより、黒色〜白色のベタ画像を繰り返し表示させて、表示されるベタ画像の品質を目視観察によって評価した。
[表示媒体]
実施例および比較例では、表示媒体として、帯電特性の異なる白黒2色の粒子群(粒子群A、粒子群B)を用いた。なお、前述した説明においての粒子群の名称は、先に充填する粒子群を粒子群Aとし、後から充填する粒子群を粒子群Bとしている。
黒色粒子群は、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)にカーボンブラック(MA100 三菱化学(株))4重量部、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2重量部を添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕し、さらにハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて機械的衝撃力を加えて略球状としてから分級して作製した。作製された粒子群は、平均粒子径が9.1μm、略球状で負帯電性の黒色粒子群であった。
白色粒子群は、ターシャリーブチルメタクリレ−トモノマー80重量部とメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルモノマ−20重量部に0.5重量部のAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶解し、カップリング剤処理して親油性とした酸化チタン20重量部を分散させて得られた液を、10倍量の0.5%界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて作製した。作製された粒子群は、平均粒子径が8.5μmで正帯電性の球状白色粒子であった。
[電圧の印加法]
図6は黒色表示媒体用粒子3Baを散布した後に白色表示媒体用粒子3Waを重ねて散布する例を示しており、散布ノズル11から白色粒子群3Wを基板1(2)上のセル内に散布して自由落下させることにより白色粒子群3Wを充填する際には、基板1(2)の電極5(6)に高圧電源を接続する。
<実施例1>
情報表示用パネルを前述の手順(まず、黒色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する)で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<実施例2>
まず、白色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<実施例3>
まず、黒色粒子群を散布充填し、コロナ放電式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<実施例4>
まず、白色粒子群を散布充填し、コロナ放電式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する以外は実施例1と同様にして、情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<実施例5>
まず、黒色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、白色粒子群を重ねて散布充填する際に、基板電極に高圧電源(MODEL615:トレックジャパン)を接続し、+1kVの電圧を印加した。評価結果は表1に示すようになった。
<実施例6>
まず、白色粒子群を散布充填し、空気イオン式のイオン発生器で除電後、黒色粒子群を重ねて散布充填する際に、基板電極に高圧電源を接続し、−1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
<比較例1>
まず、黒色粒子群を散布充填し、除電を行わないで白色粒子群を重ねて散布充填した以外は実施例1または実施例3と同様にして情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<比較例2>
まず、白色粒子群を散布充填し、除電を行わないで黒色粒子群を重ねて散布充填した以外は実施例2または実施例4と同様にして情報表示用パネルを前述の手順で作製し、表示機能を評価した。評価結果は表1に示すようになった。
<比較例3>
まず、黒色粒子群を散布充填し、除電せずに、白色粒子群を重ねて散布充填した。白色粒子群を散布充填する際、基板電極に高圧電源を接続し、+1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
<比較例4>
まず、白色粒子群を散布充填し、除電せずに、黒色粒子群を重ねて散布充填した。黒色粒子群を散布充填する際、基板電極に高圧電源を接続し、−1kVの電圧を印加した。評価結果は表2に示すようになった。
Figure 0004787566
Figure 0004787566
以上のとおり、実施例1〜実施例6によれば、粒子群Aを散布充填して、除電した後、粒子群Bを重ねて散布充填することにより、粒子群Aを構成する粒子と粒子群Bを構成する粒子とが互いに凝集することが防止され、セルから表示媒体(粒子群)のはみ出しがなく、良好な表示媒体の充填ができたので、作製された情報表示用パネルにおいては、基板間隔および平行が確保され、良好な表示情報の画像品質が得られた。
一方、比較例1〜比較例4によれば、セルから表示媒体(粒子群)のはみ出しが多く、隔壁頂上部への表示媒体の付着もあったため、情報表示用パネルは作製しなかった。
本発明の情報表示用パネルおよびそれを備える情報表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子棚札、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
本発明の情報表示装置に用いる情報表示用パネルの一例を示す図である。 本発明の情報表示装置に用いる情報表示用パネルの他の例を示す図である。 (a)〜(e)は本発明の情報表示用パネルの製造方法を説明するための図である。 (a)〜(d)は本発明の情報表示用パネルの製造方法を説明するための図である。 本発明の情報表示装置の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。 本発明の情報表示用パネルを製造する際に基板に電圧を印加する方法を説明するための図である。
符号の説明
1,2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5 電極
6 電極
11 散布ノズル
12 除電装置

Claims (4)

  1. 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に帯電特性の異なる2種類の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法であって、
    第1の表示媒体をセル内に充填後、第2の表示媒体を充填する前に、セル内に充填済みの第1の表示媒体を除電してから、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。
  2. 前記第1の表示媒体および第2の表示媒体を充填する方法として、基板の上に配置したノズルから第1の表示媒体および第2の表示媒体を各別に気中へ散布し、自由落下によって基板上のセル内に充填する方法を用いて、第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。
  3. 前記第1の表示媒体を除電してから、前記第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填する際に、基板に第2の表示媒体が有する帯電特性と逆符号の電圧を印加して第2の表示媒体を第1の表示媒体に重ねて充填することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
  4. 表示媒体が粒子群または粉流体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
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