JP4393673B2 - 単リール型の磁気テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ繰り出し端に、テープを引き出し操作するための先導ピースが設けてある単リール型の磁気テープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の磁気テープカートリッジにおいては、テープの繰り出し始端に、テープドライブ側の捕捉体を連結するための連結体を有する。従来の連結体としては、リーダーテープに鍵穴形の連結穴を通設した形式(特開平11−328920号公報)や、特開平11−232826号公報に見られるように、丸軸状の先導ピースをテープ端に固定したもの等が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者の連結体においては、リーダーテープに通設した連結穴に捕捉体を掛止連結するため、長期使用時に連結穴に亀裂が生じたり、穴を囲むテープ面が破損するなど耐久性に難がある。この点、後者の先導ピースは金属旋削品で形成するので、長期使用時にも支障なく捕捉連結できる。しかし、先導ピースを丸軸状の金属ピンで形成するので、不使用時の待機保持を安定的に行うのが難しい。待機状態においては、起立する先導ピースの上下両端をばねで押圧保持するが、例えば落下衝撃を受けるような場合に、先導ピースがばねの保持部から抜け出るおそれがある。
【0004】
そこで、本発明者等は、添付図面を借て説明すると、上下一対の掛止アーム15と、掛止アーム15の基端どうしを繋ぐピン14とで、先導ピース13を傾倒しにくいコ字枠形に構成することを考えた。これによれば、先の丸軸状の先導ピースに比べて、外部衝撃に強く傾倒しにくい先導ピース13になることが確認できた。
【0005】
本発明の目的は、金属製のピンと上下一対のプラスチック製の掛止アームとからなるコ字枠状の先導ピースを、より高い精度でしかも強固に一体化でき、構造強度と耐久性に優れたコ字枠状の先導ピースを、より低コストで製造できる単リール型のテープカートリッジを提供することにある。本発明の目的は、コ字枠状の先導ピースを不使用時状態において適正な姿勢で待機保持でき、従ってテープドライブ側の捕捉体による先導ピースの連結捕捉を常に的確に行える単リール型のテープカートリッジを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気テープカートリッジは、テープ繰り出し端に、テープドライブ側の捕捉体Hを掛止連結するための先導ピース13が設けてある。前記先導ピース13は、リーダーテープ12に固定される金属製のピン14と、前記ピン14の上下両端に固定されて横向きに突出する一対の掛止アーム15とでコ字枠状に形成されている。前記ピン14は、上下両端のそれぞれに、前記掛止アーム15に埋設されるアンカー部33を一体に備えている。前記アンカー部33は、前記ピン14と前記掛止アーム15との相対回動および分離を阻止する立体形状に形成する。前記両掛止アーム15の成形時に、前記ピン14の前記アンカー部33を前記掛止アーム15にインサート固定して、前記ピン14と前記掛止アーム15とを一体化する。
ケース本体1の前面に開口するテープ引出口4には、図3および図4に示すごとく不使用時の前記先導ピース13を協同して待機保持するアーム受部21とロックピース22とを設ける。前記アーム受部21は、前記テープ引出口4に臨む前記ケース本体1の内面上下に、前記掛止アーム15の外郭線に沿う鉤形の凹みとして形成する。前記ロックピース22は、前記ピン14をロック保持するロックアーム24を備えており、前記ロックアーム24が前記ピン14に係合するロック位置と、前記ロックアーム24が前記ピン14との係合を解除するアンロック位置とに往復揺動できるよう前記ケース本体1に支持され、ばね26でロック位置へ向かって揺動付勢されたものとする。
【0007】
前記ピン14は断面円形の丸軸で形成されていて、その上下両端にそれぞれ前記アンカー部33を形成する。前記アンカー部33は、突端へ向かって末拡がり状に延びる扁平部を含んで、前記ピン14を押し潰し変形して形成する。そして、前記アンカー部33は、前記ピン14と前記掛止アーム15との相対回動および分離を同時に阻止する。
【0008】
前記アンカー部33は、突端へ向かって末拡がり状に延びる第1扁平部34と、第1扁平部34より広幅の第2扁平部35とで形成し、これら両扁平部34・35の間に、前記ピン14と前記掛止アーム15との分離を阻止する段部36を形成する。
【0010】
【発明の作用効果】
前記両掛止アームの成形時に前記ピンを金型内に装填して、その両端の前記アンカー部が前記両掛止アームの内部に埋設する状態で、前記ピンを前記両掛止アームにインサート固定するので、前記掛止アームと前記ピンとの相対位置や、直交度あるいは一体化した後の前記掛止アームの対向間隔および平行度等を高い精度で実現でき、例えば前記ピンを前記両掛止アームの成形後に圧入して一体化する場合に比べて、前記先導ピースの仕上り形状のばらつきを一掃できる。前記両掛止アームの成形時に前記ピンを一体化するので、前記ピンと前記掛止アームとを一体化するための作業を別途行う必要がなく、その分だけ前記先導ピースを低コストで形成できる。前記アンカー部は、前記ピンと前記掛止アームとの相対回動および分離を阻止する立体形状に形成するので、前記掛止アームと前記ピンとを成形により一体化した後には、両者が相対回動し、あるいは前記掛止アームが前記ピンから抜け外れるのを確実に防止できる。つまり、前記掛止アームと前記ピンとの両者の結合強度が向上し、完成された前記先導ピースの構造強度を向上できる。
【0011】
丸軸からなる前記ピンの上下両端のそれぞれに、突端へ向かって末拡がり状に延びる扁平部を形成して前記アンカー部とした前記先導ピースによれば、前記アンカー部の扁平面で、前記ピンと前記掛止アームとが相対回動するのを阻止できるうえ、扁平部の末拡がり状に延びる側縁で、前記ピンと前記掛止アームとが、互いに分離する向きへ抜け出すのを併せて阻止できる。前記ピンの上下両端のそれぞれを押し潰し変形して扁平なアンカー部を形成するので、例えば前記ピンの一部を曲げて、あるいは捻って、あるいは穿孔して前記アンカー部とする場合に比べて、前記アンカー部を容易にしかも低コストで形成できる。
【0012】
前記テープを前記リールで巻き戻した状態において、前記先導ピースの上下の前記掛止アームは、前記ケース本体の内面上下の前記アーム受部で受け止められて、位置決めされている。更に、前記ピンが前記ロックピースの前記ロックアームで、前記アーム受部から抜け外れることのないようにロック保持されている。このように、不使用時の前記先導ピースを前記アーム受部と前記ロックピースとで協同して位置保持すると、前記先導ピースを常に適正な位置に適正な姿勢で待機保持できるので、前記捕捉体による前記先導ピースの捕捉連結が的確に行え、単リール型のテープカートリッジの信頼性が向上する。落下衝撃を受けた前記先導ピースが傾倒したり、所定の待機位置からずれ動くのも確実に防止できる。
【0013】
【実施例】
図1ないし図6は本発明に係る単リール型のテープカートリッジの実施例を示す。図2において、テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合して構成してなる角箱状のケース本体1を有し、その内部に配置した1個のリール2にテープ3が巻き込んである。ケース本体1の前面にはテープ引出口4が開口しており、これを揺動自在に軸支したドア5で開閉できる。ドア5はばねで閉じ勝手に移動付勢されており、閉止位置において図外のロック機構でロック保持される。
【0014】
ケース本体1の対向する内隅の2個所には、リール2の下フランジに設けたギヤ歯と係合して、不使用時のリール2を遊転不能にロック保持するリールロック6・7が設けてある。ケース背壁の一側には、誤消去防止用の切換ピース8が設けてある。リール2と上ケース1aとの間には、リール2を下ケース1b側へ向かって押し下げ付勢するばね9が配置してあり、このばね9とリール2とは遊転自在な鋼ボール10を介して接当している。
【0015】
リール2に巻き込んだテープ3をテープドライブの捕捉体Hで自動的に捕捉連結するために、テープ3の繰り出し端に設けたリーダーテープ12に先導ピース13を設ける。図1において先導ピース13は、リーダーテープ12に固定されるステンレス製のピン14と、ピン14の上下両端に設けた一対の掛止アーム15とでコ字枠状に構成する。リーダーテープ12の連結端は、その幅方向中途部を切欠することによって上下に分断されており、この分断部12aをピン14に巻き掛け反転した後、反転端をテープ面に接着ないし溶着することによりピン14と一体化してある。なお、ピン14はリーダーテープ12に対して相対回転できる。
【0016】
図1においてピン14は、上下に長い丸軸からなり、その上下方向中央にロック軸部14aを有し、ロック軸部14aの上下にロック軸部14aより僅かに小径の巻付軸部14bを設け、さらに巻付軸部14bのそれぞれの軸端にアンカー部33を形成してなる。先のリーダーテープ12の上下の分断部12aは、各巻付軸部14bにそれぞれ巻き掛け連結されて、ロック軸部14aとの隣接段部によって上下方向に位置ズレしないよう規制されている。
【0017】
図6において、上下の掛止アーム15は、ケース外面側へ向かって突弧状に湾曲する左右横長のプラスチック成形品からなり、各掛止アーム15の前面側に捕捉体Hを掛止連結するための掛止溝16を形成する。詳しくは、各掛止アーム15の前面に、捕捉体H用の導入案内面17をケース後方側へ向かって下り傾斜する状態で形成し、この傾斜面に連続して掛止溝16がアーム先端側へ延びるように形成されている。これにより、上下の掛止アーム15の掛止溝16は上下に対向する状態で開口し、さらにその溝始端18が掛止アーム15のピン14側の基部へ向かって開口する。なお、上下一対の掛止アーム15の対向間隔はテープ3の上下幅寸法より十分大きく設定しておく。図3において捕捉体Hは、テープドライブ側のリーダーテープの端に掛止ピン19を固定して形成してあり、図示していないローディングアームで掛止ピン19を操作することにより、その上下両端の球軸19aが掛止溝16に掛止される。
【0018】
コ字枠状の先導ピース13をより高い精度でしかも強固に一体化し、その構造強度と耐久性を向上するために、前記ピン14と掛止アーム15とは、掛止アーム15の成形時にピン14をインサート固定して一体化する。さらに成形後に両者14・15が相対回動し、あるいは上下方向へ分離するのを確実に阻止するために、ピン14の上下端にアンカー部33を設ける。
【0019】
図1においてアンカー部33は、巻付軸部14bの軸端を押し潰し変形して形成した、突端へ向かって末拡がり状に延びる第1扁平部34と、第1扁平部34より広幅で、突端へ向かって末拡がり状に延びる第2扁平部35とで形成し、両扁平部34・35間に段部36を設けてなる。両扁平部34・35の段差寸法は0.05mm以上に設定する。図7に示すように、アンカー部33は両扁平部34・35の面壁を掛止アーム15の長手方向線とほぼ平行になるように配置する。両扁平部34・35によって、成形時の樹脂の流動が妨げられるのを避け、ピン14をインサート固定する際の充填歪や応力緩和を避けるためである。
【0020】
不使用時の先導ピース13を所定の待機姿勢で保持固定するために、ケース本体1側には、図3および図4に示すごとくテープ引出口4に臨ませてアーム受部21とロックピース22とを設けてある。アーム受部21はケース本体1の内面上下に凹み形成する。詳しくは、テープ引出口4に臨むケース本体1の上下壁にそれぞれ低いリブを上下対向状に突設し、このリブを掛止アーム15のケース内面側の外郭線に沿って鉤形に湾曲させて、一端がケース内方へ凹むアーム受部21を形成する。リーダーテープ12と共に先導ピース13をケース本体1の内部へ引き込んだ状態において、先導ピース13はその掛止アーム15が上下のアーム受部21に密接する状態で受け止められて、適正に位置決め保持される。
【0021】
テープ弛みが発生した状況下においても、落下衝撃に耐えて上記の位置決め姿勢を保持するために、ロックピース22で先導ピース13のピン14をロック保持する。図3および図4においてロックピース22は、ボス23と、その周面からそれぞれ横向きに突設したロックアーム24およびロック解除片25とを一体に形成したプラスチック成形品からなる。ボス23は上下ケース1a・1bで揺動自在に軸支し、さらにボス23の下端に組み付けたばね26でロックピース22をロック姿勢に揺動付勢することにより、ロックアーム24は常にケース内方へ向かって揺動付勢され、図4に示すようにその先端に設けたフック部27がピン14の上下方向中途部のロック軸部14aに係合する。このとき、ロックアーム24はケース外面側からピン14を係合保持し、ロック解除片25はケース本体1の前壁に開口した解除ピン挿入口と正対している。
【0022】
以上のように、不使用時の先導ピース13をアーム受部21とロックピース22とで協同して待機保持すると、先導ピース13に作用する外部衝撃は、ロックピース22がばね26に抗して揺動することによって緩和吸収できるので、たとえテープ3がケース内部で弛んでいたとしても、先導ピース13がアーム受部21からずれ動いたり、飛び出てしまうのを防止できる。外部衝撃力の消滅と同時に、ロックピース22は前記ばね26の付勢力を受けて先導ピース13をアーム受部21に復帰操作し密接させるので、先導ピース13を常に適切な待機姿勢に保持できる。
【0023】
不使用時のドア5は、テープ引出口4を塞いで先導ピース13の外面を覆っている。そこで、ドア5の内面に、先導ピース13の外面側の外郭線に合致する押圧部28を設けて(図4参照)、先導ピース13のとくに掛止アーム15の先端側がアーム受部21から浮き離れるのを阻止できるようにしている。
【0024】
テープカートリッジをテープドライブに装填すると、ドア5が開いてテープ引出口4を開放する。同時にリール2の遊転を阻止していた一対のリールロック6・7がロック解除される。ロックピース22はそのロック解除片25を介して、フック部27がピン14から離れる向きにロック解除操作される。リール2は、ケース下面側からケース内へ進入するリール駆動軸と係合する。この状態でテープドライブ側の捕捉具Hがテープ引出口4内へ進入し、その掛止ピン19を上下の掛止アーム15の掛止溝16に掛止連結して、図5に示すように先導ピース13を介してテープ3を引き出し、テープドライブ側のリールに巻き込む。テープ3に対するデータの書き込みあるいは読み出しが終了したら、テープ3はリール2に巻き戻され、先端ピース13はアーム受部21とロックピース22とによって再び待機状態に位置決め保持される。
【0025】
上記以外に、アンカー部33は扁平板状に形成する必要はない。例えば巻付軸部の先端部分を折り曲げてアンカー部とすることができる。別部品として形成したアンカー部33をピン14の上下両端にかしめ固定しておき、これを掛止アーム15にインサート固定することができる。ピン14は角軸やだ円形軸で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】先導ピースの正面図である。
【図2】全体の横断平面図である。
【図3】テープ引出口の縦断正面図である。
【図4】先導ピースとその周辺部の内部平面図である。
【図5】ロックピースのロック解除状態を示す要部の横断平面図である。
【図6】先導ピースの斜視図である。
【図7】図1におけるA―A線断面図である。
【符号の説明】
1 ケース本体
12 リーダーテープ
13 先導ピース
14 ピン
15 掛止アーム
33 アンカー部
H 捕捉体
Claims (3)
- テープ繰り出し端に、テープドライブ側の捕捉体を掛止連結するための先導ピースが設けられており、
前記先導ピースは、リーダーテープに固定される金属製のピンと、前記ピンの上下両端に固定されて横向きに突出する一対の掛止アームとでコ字枠状に形成されており、
前記ピンは、上下両端のそれぞれに、前記掛止アームに埋設されるアンカー部を一体に備えており、
前記アンカー部は、前記ピンと前記掛止アームとの相対回動および分離を阻止する立体形状に形成されており、
前記両掛止アームの成形時に、前記ピンの前記アンカー部を前記掛止アームにインサート固定して、前記ピンと前記掛止アームとが一体化してあり、
ケース本体1の前面に開口したテープ引出口に、不使用時の前記先導ピースを協同して待機保持するアーム受部とロックピースとが設けられており、
前記アーム受部は、前記テープ引出口に臨む前記ケース本体の内面上下に、前記掛止アームの外郭線に沿う鉤形の凹みとして形成されており、
前記ロックピースは、前記ピンをロック保持するロックアームを備えていて、前記ロックアームが前記ピンに係合するロック位置と、前記ロックアームが前記ピンとの係合を解除するアンロック位置とに往復揺動できるよう前記ケース本体に支持されて、ばねでロック位置へ向かって揺動付勢されていることを特徴とする単リール型の磁気テープカートリッジ。 - 前記ピンが断面円形の丸軸で形成されていて、前記ピンの上下両端にそれぞれ前記アンカー部が形成されており、
前記アンカー部は、突端へ向かって末拡がり状に延びる扁平部を含んで、前記ピンを押し潰し変形して形成されており、
前記アンカー部が、前記ピンと前記掛止アームとの相対回動および分離を同時に阻止する請求項1記載の単リール型の磁気テープカートリッジ。 - 前記アンカー部が、突端へ向かって末拡がり状に延びる第1扁平部と、前記第1扁平部より広幅の第2扁平部とで形成されており、
これら前記両扁平部の間に、前記ピンと前記掛止アームとの分離を阻止する段部が形成されている請求項1または2記載の単リール型の磁気テープカートリッジ。
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