以下、図面を参照しながら本発明による実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法を説明する。なお、本発明による実施形態の液晶表示装置の画素は上述した特許文献5に記載されている画素と同様の構造を有しており、補助容量配線(CSバスライン)の接続形態および補助容量対向電圧(CS電圧)の波形が特許文献5に記載されているものと異なっている。まず、CSバスラインに印加する振動電圧(CS電圧)の振動周期が短い場合に生じる問題を説明する。
以下では、図1に示すような1H1ドット反転駆動に適した画素配列を備える液晶表示装置を例示する。1H1ドット反転駆動は、画素電極と対向電極との電位の大小関係が一定時間毎に反転し、液晶層に印加される電界の向き(電気力線の向き)が垂直走査期間毎に反転する。その結果、表示のちらつきを抑制することができる。表示のちらつきを防止するためには、積極的に輝度を異ならせた副画素の輝度順位(輝度の大小関係の順位)を可能な限りランダムに配置することが好ましく、輝度順位の等しい副画素が互いに列方向、および行方向に隣接しない配置が最も好ましい。言い換えれば、輝度順位の等しい副画素を市松状に配置することが表示上最も好ましい。
なお、「垂直走査期間」とは、ある走査線が選択され、次にその走査線が選択されるまでの期間と定義することにする。液晶表示装置における1垂直走査期間は、ノンインターレース駆動用の信号の場合には1フレーム期間であり、インターレース駆動用の信号の場合に1フィールド期間に対応する。
また、各垂直走査期間内において、ある走査線を選択する時刻と、その次の走査線を選択する時刻との差(期間)を1水平走査期間(1H)という。
図1に示した液晶表示装置は、複数の行(1〜rp)および複数の列(1〜cq)を有するマトリクス状(rp、cq)に配列され、それぞれの画素P(p、q)、(但し、1≦p≦rp、1≦q≦cq)が2つの副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)を有する例を説明する。図1は、信号線S−C1、S−C2、S−C3、S−C4・・・S−Ccq、走査線G−L1、G−L2、G−L3、・・・G−Lrpおよび補助容量配線CS−AおよびCS−Bと、各画素P(p、q)および各画素を構成する副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)の相対的な配置の一部分(8行6列)を模式的に示している。
図1に示したように、1つの画素P(p、q)は画素の中央付近を水平に貫く走査線G−Lpの上下に副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)を有している。すなわち、副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)は各画素において列方向に配列されている。それぞれの副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)の補助容量電極の一方(不図示)は、隣接の補助容量配線CS−AまたはCS−Bに接続されている。また、各画素P(p、q)に表示画像に応じた信号電圧(「表示信号電圧」、「データ信号電圧」ともいう。)を供給する信号線S−Cqは図面上で各画素の間に垂直に(列方向に)延びるように設けられており、各信号線の右隣の副画素(画素)が各々有するTFT素子(不図示)に信号電圧を供給する構成となっている。図1に示した構成は、一本の補助容量配線、または一本の走査線を2つの副画素で共有する構成であり、画素の開口率を高くできる利点を有している。
図2は、図1に示した画素配列を有する液晶表示装置のある領域の等価回路図である。この液晶表示装置は、行および列を有するマトリクス状に配置された画素を有しており、それぞれの画素は、2つの副画素を有している。それぞれの副画素(記号AおよびBが2つの副画素を示す。)は、液晶容量CLCA_n,mおよびCLCB_n,mと、補助容量CCSA_n,mおよびCCSB_n,mを有している。液晶容量は副画素電極と対向電極ComLCとこれらの間に設けられた液晶層とによって構成されており、補助容量は補助容量電極と、絶縁膜と、補助容量対向電極(ComCSA_n、ComCSB_n)とで構成されている。2つの副画素は、それぞれ対応するTFTA_n,mおよびTFTB_n,mを介して共通の信号線(ソースバスライン)SBL_mに接続されている。TFTA_n,mおよびTFTB_n,mは、共通の走査線(ゲートバスライン)GBL_nに供給される走査信号電圧によってオン/オフ制御され、2つのTFTがオン状態にあるときに、2つの副画素のそれぞれが有する副画素電極および補助容量電極に、共通の信号線から表示信号電圧が供給される。2つの副画素の内の一方の補助容量対向電極は、CSバスライン(CSBL)を介して、補助容量幹線(CS幹線)CSVtypeR1に接続されており、他方の補助容量対向電極は、補助容量幹線(CS幹線)CSVtypeR2に接続されている。
図2で注目すべき点は、列方向に隣接する行の画素の副画素に対応するCSバスラインが互いに電気的に共通である点である。具体的には、n行の副画素CLCB_n,mに対応するCSバスラインCSBLと、これに列方向に隣接した行の画素の副画素CLCA_n+1,mに対応するCSバスラインCSBLとが電気的に共通である点である。
図3Aおよび図3Bに、ゲートバスラインの電圧波形を基準としたCSバスラインに供給される振動電圧の振動の周期および位相および各副画素電極の電圧を示す。一般に、液晶表示装置は各画素の液晶層に印加される電界の向きを一定時間間隔で(例えば垂直走査期間毎に)反転させているので、各電界の向きに対応した2種類の駆動電圧波形について考える必要がある。この2種類の駆動状態を各々図3Aおよび図3Bに示してある。
図3Aおよび図3Bにおいて、VSBL_mはm列のソースバスラインSBL_mに供給される表示信号電圧(ソース信号電圧)の波形を示し、VGBL_n等は、n行のゲートバスラインGBL_nに供給される走査電圧(ゲート信号電圧)の波形を示し、VCSVtypeR1およびVCSVtypeR2はそれぞれCS幹線CSVtypeR1およびCSVtypeR2に供給される補助容量対向電圧としての振動電圧の波形を示し、VPEA_m,nおよびVPEB_m,nはそれぞれの副画素の液晶容量の電圧波形を示している。
図3Aおよび図3Bで注目すべき第1の点は、CSVtypeR1、CSVtypeR2の電圧VCSVtypeR1、VCSVtypeR2の振動の周期はいずれも水平走査期間の1倍の時間(1H)であることである。
図3Aおよび図3Bで注目すべき第2点は、VCSVtypeR1、VCSVtypeR2の位相が次のようになっている点である。まず、CS幹線間の位相に注目すれば、VCSVtypeR2はVSVtypeR1より0.5H時間だけ位相が遅れている。次に、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧に注目すれば、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧の位相は次のようになっている。図3Aおよび図3Bによれば各CS幹線に対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化する時刻と、CS幹線電圧の各平坦部分の中央の時刻が一致している。すなわち、図3Aおよび図3Bに示したTdの値が0.25H時間である。但し、これ以外の場合でも、Tdの値が0Hよりも大きく0.5H時間よりも短い範囲であればよい。
上記CS幹線の電圧の周期および位相に関する説明は図3Aおよび図3Bに基づいたものであるが、CS幹線の電圧波形はこれに限られず、次の2つの条件のいずれかを満足すればよい。その第1の条件は、VCSVtypeR1は対応する任意のゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であり、かつVCSVtypeR2は対応する任意のゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であることである。その第2の条件は、VCSVtypeR1は対応する任意のゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であり、かつVCSVtypeR2は対応する任意のゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であることである。
図4Aおよび図4Bにこの液晶表示装置の駆動状態をまとめて示す。液晶表示装置の駆動状態もまた図3Aおよび図3Bと同様に各副画素の駆動電圧の極性の異なる2つの場合に分けて示す。図4Aの駆動状態は図3Aの駆動電圧波形に対応し、図4Bの駆動状態は図3Bの駆動電圧波形に対応している。
図4Aおよび図4Bは、マトリクス状に配列された複数の画素のうちの(n行からn+7行の8行)×(m列からm+5列までの6列)の画素の駆動状態を模式的に示す図であり、それぞれの画素は、輝度の異なる副画素、即ち「明」と記した副画素および「暗」と記した副画素を有している。これらの図は、先に示した図1と基本的に等価である。
図4Aおよび図4Bで注目すべき点は、面積階調表示パネルとして必要な要件を満足しているか否かである。面積階調表示パネルとして必要な要件は次の5点である。
第1は、中間調表示状態で1つの画素が輝度の異なる複数の副画素で構成されている。
第2は、前記輝度の異なる副画素の輝度順位が時刻によらず一定である。
第3は、前記異なる輝度の副画素の配置が緻密に成されている。
第4は、任意の垂直走査期間(以下、「フレーム」とする)で、画素単位で極性の異なる画素が緻密に配置されている。
第5は、任意のフレームで、輝度順位の等しい副画素単位で、特に輝度の最も明るい副画素単位で極性の等しい副画素が緻密に配置されている。
第1の要件について検証する。ここでは、1つの画素が輝度の異なる2つの副画素で構成されている。具体的には、例えば図4Aによればn行m列の画素は「明」と記した輝度の高い副画素と「暗」と記した輝度の低い副画素で構成されている。よって第1の要件は満たしている。
第2の要件について検証する。この液晶表示装置は駆動状態の異なる2つの表示形態を一定時間毎に交互に表示している。2つの表示形態に対応する駆動状態を示してある図4Aと図4Bとを比較すると、輝度の高い副画素と輝度の低い副画素の位置が一致している。よって、第2の要件を満たしている。
第3の要件について検証する。図4Aおよび図4Bによれば、輝度順位の異なる副画素、すなわち「明」と記した副画素と「暗」と記した副画素が市松状に配置されている。また、この液晶表示装置を確認した結果、輝度の異なる副画素を用いたことによる解像度の低下等の表示上の不具合は視認できなかった。よって、第3の要件を満たしている。
第4の要件について確認する。図4Aおよび図4Bによれば、画素単位で極性の異なる画素が市松状に配置されている。具体的には、例えば図4Aにおいてn+2行、m+2列の画素に注目すれば、この画素の極性は「+」であり、この画素から行方向および列方向に1画素毎に極性が「−」、「+」と変化している。また、第4の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、この液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第4の要件は満たしている。
第5の要件について確認する。図4Aおよび図4Bにおいて、輝度順位の等しい副画素の駆動極性に注目すれば、2副画素行毎、すなわち1画素幅に駆動極性が反転している。具体的には、例えば図4Aのn_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、その下のn+1_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、さらにその下のn+1_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっており、その下のn+2_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっている。また、第5の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、この液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第5の要件を満たしている。
この液晶表示装置をCS電圧の振幅VCSppを変化させつつ観測したところ、CS電圧の振幅VCSppを0V(すなわち、マルチ画素表示を行わない典型的な液晶表示装置に対応)から増大させるについて斜め観測時の白浮き現象が抑制されるといった視野角特性の改善効果が見られた。視野角特性の改善効果は表示する画像によって若干異なった印象を受けるもののVLCaddppの値が典型的な駆動(VCSppを0Vとした)での液晶表示装置の閾値電圧の0.5倍から2倍となるようにVCSppを設定した場合が最も良好であった。
このように、上記の液晶表示装置は、補助容量対向電極に振動電圧を印加することによりマルチ画素表示を行うことで視野角特性の改善を行った液晶表示装置であるが、補助容量対向電極に印加する振動電圧の振動周期は水平走査期間に等しい(または水平走査期間よりも短くてもよい)。このようにCSバスラインに供給する振動電圧の振動の周期が短いと、CSバスラインの負荷容量および抵抗の大きな大型の液晶表示装置あるいは水平走査期間の短い高精細の液晶表示装置さらには垂直走査期間および水平走査期間を短くした高速駆動の液晶表示装置に対してマルチ画素表示を行うことは比較的困難である。
この問題を図5から図8を参照しながら説明する。
図5(a)は、上述した液晶表示装置におけるCSバスラインに振動電圧を供給するための構成を模式的に示す図である。液晶表示パネルに設けられた複数のCSバスラインに対して、CS幹線から振動電圧が供給される。CS幹線には接続点ContP1およびP2、ContP3およびContP4を介してCSバスライン電圧発生回路から振動電圧が供給される。液晶表示パネルが大きくなると、表示パネルの中央部に位置する画素と接続点ContP1〜ContP4との距離が長くなり、この間の負荷インピーダンスが無視できなくなる。負荷インピーダンスの主な構成要素は画素を構成する液晶層容量(CLC)と補助容量(CCS)とCSバスラインの抵抗RCSおよびCS幹線の抵抗Rmikiである。この負荷インピーダンスは第一近似として、図5(b)に模式的に示すように、それらの容量および抵抗で構成されるローパスフィルターと考えることができる。この負荷インピーダンスの値は液晶表示パネル上の場所の関数になっており、前記の接続点、例えばContactP1、ContactP2、ContactP3、ContactP4からの距離の関数である。具体的には、接続点に近接した部分では負荷インピーダンスは小さく、接続点から離れるに従って負荷インピーダンスは増加する。
すなわち、振動電圧発生回路で発生されたCSバスライン電圧は、CRローパスフィルターで近似されるCSバスラインの負荷の影響を受けるため、CSバスライン上では波形鈍りを生じており、かつその波形鈍りの程度はパネル内の場所によって異なる。
上記マルチ画素表示においてCSバスラインに振動電圧を印加するのは1つの画素を2つ以上の副画素で構成し、各副画素で輝度を異ならせる目的のためである。すなわち、マルチ画素表示の液晶表示装置は各副画素電極の電圧波形をCSバスラインの振動電圧に依存した振動電圧とし、実効的な電圧をCSバスライン電圧の振動波形に依存して変化させる構成および駆動方法となっている。従って、CSバスライン電圧の波形が場所によって異なる場合には、副画素電極の実効的な電圧も場所によって異なるといった問題が発生する。言い換えれば、CSバスライン電圧の波形鈍りの程度が場所によって異なる場合には、場所によって表示輝度が異なり、表示の輝度ムラが発生するといった問題が生じる。
CSバスラインの振動周期を長くすることにより、この表示輝度ムラを改善するのが、本発明による液晶表示装置の有する主な特徴の1つである。以下、このことについて説明する。
図6および図7は、前記CS負荷を一定とした場合の副画素電極の振動電圧波形を模式的に示してある。図6および図7は、CSバスライン電圧が振動電圧で無い場合の副画素電極の電圧は「0V」、CSバスライン電圧の振動によって生じる副画素電極電圧の振動の振幅は「1V」とした場合の模式図である。図6(a)から(e)は、CS電圧波形鈍りが無い場合、すなわち前記CRローパスフィルターのCR時定数が「0H」の場合、図7(a)から(e)は、前記CRローパスフィルターのCR時定数が「0.2H」の場合に相当する波形鈍りを模式的に示してある。図6および図7はそれぞれCRローパスフィルターのCR時定数を前記の値として、CSバスラインの振動電圧の振動周期を異ならせた場合での画素電極電圧の電圧波形を模式的に示しており、図6(a)〜(e)および図7(a)から(e)は、それぞれ、各波形の振動周期が1H、2H、4H、および8Hの場合を示している。
図6と図7とを比較するとわかるように、振動周期が長くなるにつれて図6の波形と図7の波形との差異が小さくなっていることがわかる。この傾向を図8に定量的に示す。
図8は、図7の波形を基に算出した振動電圧の平均値および実効値とCSバスライン電圧の振動周期(1目盛りは、1水平走査期間:1Hに対応)の関係を示している。図8からわかるように、CSバスラインの振動周期を長くすることにより、CR時定数0Hの場合と、0.2Hの場合の波形の平均値電圧および実効値電圧のずれ量が減少する。とりわけ、CSバスラインの振動電圧の振動周期をCSバスラインのCR時定数(CSバスラインの負荷インピーダンスの近似値)の8倍以上とした場合には、波形鈍りの影響を著しく低減できることがわかる。
このように、CSバスラインの振動電圧の振動周期を長くすることによりCSバスラインでの波形鈍りの影響による表示輝度ムラを低減することができる。特に、CSバスラインの振動電圧の振動周期をCSバスラインのCR時定数(CSバスラインの負荷インピーダンスの近似値)の8倍以上とした場合には、波形鈍りの影響を著しく低減できる。
本発明は、CSバスラインに印加する振動電圧の振動周期を長くすることのできる液晶表示装置の構造および駆動方法の好適な形態を提供する。CS電圧の振動周期を長くために好適な構成は2つに大別され、それぞれTypeIとTypeIIと呼ぶことにする。
TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置は、マトリックス駆動される液晶表示装置おける同一列の画素であって、列方向に隣接する画素の副画素のうち、輝度順位の異なる副画素(例えば、第1副画素と第2副画素)に対応するCSバスラインを電気的に独立とする。すなわち、n行目の第1副画素と、n+1行目の第2副画素とのCSバスラインを電気的に独立にする。ここで、マトリックス駆動される液晶表示装置における同一列の画素とは、同一の信号線(典型的にはソースバスライン)によって駆動される画素である。また、マトリックス駆動される液晶表示装置における列方向に隣接する画素とは、時間軸上で順次選択される走査線(典型的にはゲートバスライン)群の中で、隣接の時刻で選択される走査線によって駆動される画素である。さらに、電気的に独立なCS幹線の種類をL種類とし、CSバスラインの振動の周期を水平走査期間のL倍とすることができる。前述のように、電気的な独立なCS幹線の数は、水平走査期間をCSバスラインの有する最大の負荷インピーダンスを近似したCR時定数で除した値の8倍の値よりも大きな数とするのが好ましい。さらに、後述するが前記8倍の値よりも大きな数であって且つ偶数とするのがより好ましい。なお、電気的に独立なCS幹線の種類の数(L種類)を電気的に独立なCS幹線の本数(L本)と表現することもある。電気的な等価なCS幹線をパネルの左右両側に設けた場合も、電気的に等価なCS幹線の本数は変化しない。
以下、図面を参照しながら本発明のTypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法を説明する。
まず、図9、図10A、図10Bおよび図11Bを参照しながら、CSバスラインの振動電圧の振動の周期を1水平走査期間の4倍とすることで上述の面積階調表示を達成する液晶表示装置の例を説明する。説明は次の点を中心に図を用いつつ述べる。第1点は各副画素に接続した補助容量の補助容量対向電極とCSバスラインとの接続形態を中心とした液晶表示装置の構成について、第2点はゲートバスラインの電圧波形を基準としたCSバスラインの振動の周期および位相に関して、第3点は本実施形態での各副画素の駆動および表示状態について述べる。
図9は、TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置の等価回路を模式的に示す図であり、先の図2に対応する。共通する構成要素は共通の参照符号で示し、ここでは説明を省略する。図9の液晶表示装置は、電気的に独立な4つのCS幹線CSVtypeA1〜A4を有している点、および各CS幹線とCSバスラインの接続の状態において、図2の液晶表示装置と異なる。
図9で注目すべき第1の点は、列方向に隣接する行の画素の隣接の副画素(例えば、CLCB_n,mとCLCA_n+1,mに対応する副画素)に対応するCSバスラインが互いに電気的に独立である点である。具体的には、例えば、n行の副画素CLCB_n,mに対応するCSバスラインCSBL_B_nと、これに列方向に隣接した行の画素の副画素CLCA_n+1、mに対応するCSバスラインCSBL_A_n+1が電気的に独立している点である。
図9で注目すべき第2の点は、各CSバスライン(CSBL)はパネル端の4本のCS幹線(CSVtypeA1、CSVtypeA2、CSVtypeA3、CSVtypeA4)に接続されている点である。すなわち本実施形態の液晶表示装置では電気的に独立なCS幹線の数は4種類である。
図9で注目するべき第3の点は、各CSバスラインと4本のCS幹線との接続状態、すなわち電気的に独立なCS幹線の列方向での配列である。図9のCSバスラインとCS幹線との接続の規則に従えば、CS幹線CSVtypeA1、CSVtypeA2、CSVtypeA3およびCSVtypeA4に接続される幹線は下の表1の通りとなる。
なお、上の表1に示した4本の各幹線に接続されるCSバスラインの組が電気的に独立な4種類のCSバスラインの組である。
図10Aおよび図10Bにゲートバスラインの電圧波形を基準としたCSバスラインの振動の周期および位相および各副画素電極の電圧を示す。図10Aおよび図10Bは、先の図3Aおよび図3Bに対応する。共通する符号は同じ参照符号で示し、ここでは説明を省略する。一般に、液晶表示装置は各画素の液晶層に印加される電界の向きを一定時間間隔で反転させているので、各電界の向きに対応した2種類の駆動電圧波形について考える必要がある。この2種類の駆動状態を各々図10Aおよび図10Bに示してある。
図10Aおよび図10Bで注目すべき第1の点は、CSVtypeA1、CSVtypeA2、CSVtypeA3、CSVtypeA4の電圧VCSVtypeA1、VCSVtypeA2、VCSVtypeA3、VCSVtypeA4の振動の周期はいずれも水平走査期間の4倍の時間(4H)であることである。
図10Aおよび図10Bで注目すべき第2点は、VCSVtypeA1、VCSVtypeA2、VCSVtypeA3、VCSVtypeA4の位相が次のようになっている点である。まず、CS幹線間の位相に注目すれば、VCSVtypeA2はVCSVtypeA1より2H時間だけ位相が遅れており、VCSVtypeA3はVCSVtypeA1より3H時間だけ位相が遅れており、VCSVtypeA4はVCSVtypeA1より1H時間だけ位相が遅れている。次に、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧に注目すれば、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧の位相は次のようになっている。図10Aおよび図10Bによれば各CS幹線に対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化する時刻と、CS幹線電圧の平坦部分の中央の時刻が一致している。すなわち、図10Aおよび図10Bに示したTdの値が1H時間である。但し、これ以外の場合でも、Tdの値が0Hよりも大きく2H時間よりも短い範囲であればよい。
ここで、各CS幹線に対応するゲートバスラインとは、補助容量CSおよびTFT素子を介して同一の副画素電極に接続されたCSバスラインが接続されているCS幹線およびゲートバスラインである。図9によれば、この液晶表示装置において各CS幹線に対応するゲートバスライン、CSバスラインは下の表2のようになる。
上記CS幹線の電圧の周期および位相に関する説明は図10Aおよび図10Bに基づいたものであるが、CS幹線の電圧波形はこれに限られず、次の2つの条件のいずれかを満足すればよい。
その第1の条件は、VCSVtypeA1は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であり、かつVCSVtypeA2は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であり、かつVCSVtypeA3は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であり、かつVCSVtypeA4は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であることである。この条件は図10Aに示した駆動電圧波形に対応している。
その第2の条件は、VCSVtypeA1は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であり、かつVCSVtypeA2は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であり、かつVCSVtypeA3は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であり、かつVCSVtypeA4は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であることである。この条件は図10Bの駆動電圧波形に対応している。
但し、以下に説明する理由から、図10Aおよび図10Bに示した波形が好適に用いられる。
図10Aおよび図10Bでは、振動の周期が一定となっている。これにより、信号発生回路を簡略化することができる。
また、図10Aおよび図10Bでは、振動のデューティー比が一定となっている。これによって、振動の振幅を一定とすることができ、駆動回路を簡略化することができる。なぜなら、CSバスライン電圧を振動電圧とすることにより変化する液晶層の印加電圧の変化量は、振動の振幅と、振動のデューティー比に依存しているからである。よって、振動のデューティー比を一定とすることにより振動の振幅を一定とすることができる。デューティー比は例えば1:1に設定される。
また、図10Aおよび図10Bでは、任意の振動電圧に対して、位相の180度異なる振動電圧(逆位相の振動電圧)が存在している。すなわち互いに電気的に独立な4種類のCS幹線は、位相が互いに180度異なる振動電圧を供給する対(2対で4本)によって構成されている。これによって、液晶容量を構成する対向電極に流れる電流量を最小化することができるため、対向電極に接続される駆動回路を簡略化することができる。
図11Aおよび図11Bに本実施形態の液晶表示装置の駆動状態をまとめて示す。液晶表示装置の駆動状態もまた図10Aおよび図10Bと同様に各副画素の駆動電圧の極性の異なる2つの場合に分けて示す。図11Aの駆動状態は図10Aの駆動電圧波形に対応し、図11Bの駆動状態は図10Bの駆動電圧波形に対応している。図11Aおよび図11Bは、先の図4Aおよび図4Bに対応している。
図11Aおよび図11Bで注目すべき点は、面積階調表示パネルとして必要な要件を満足しているか否かである。面積階調表示パネルとして必要な次の5つの要件について検証する。
第1は、中間調表示状態で1つの画素が輝度の異なる複数の副画素で構成されている。
第2は、前記輝度の異なる副画素の輝度順位が時刻によらず一定である。
第3は、前記異なる輝度の副画素の配置が緻密に成されている。
第4は、任意のフレームで、画素単位で極性の異なる画素が緻密に配置されている。
第5は、任意のフレームで、輝度順位の等しい副画素単位で、特に輝度の最も明るい副画単位で極性の等しい副画素が緻密に配置されている。
第1の要件について検証する。図11Aおよび図11Bによれば1つの画素が輝度の異なる2つの副画素で構成されている。具体的には、例えば図11Aによればn行m列の画素は「明」と記した輝度の高い副画素と「暗」と記した輝度の低い副画素で構成されている。よって第1の要件は満たしている。
第2の要件について検証する。本実施形態の液晶表示装置は駆動状態の異なる2つの表示形態を一定時間毎に交互に表示している。2つの表示形態に対応する駆動状態を示してある図11Aおよび図11Bを比較すると、輝度の高い副画素と輝度の低い副画素の位置が一致している。よって、第2の要件を満たしている。
第3の要件について検証する。図11Aおよび図11Bによれば、輝度順位の異なる副画素、すなわち「明」と記した副画素と「暗」と記した副画素が市松状に配置されている。また、本実施形態の液晶表示装置を確認した結果、輝度の異なる副画素を用いたことによる解像度の低下等の表示上の不具合は視認できなかった。よって、第3の要件を満たしている。
第4の要件について確認する。図11Aおよび図11Bによれば、画素単位で極性の異なる画素が市松状に配置されている。具体的には、例えば図11Aにおいてn+2行、m+2列の画素に注目すれば、この画素の極性は「+」であり、この画素から行方向および列方向に1画素毎に極性が「−」、「+」と変化している。また、第4の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、実施形態の液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第4の要件は満たしている。
第5の要件について確認する。図11Aおよび図11Bにおいて、輝度順位の等しい副画素の駆動極性に注目すれば、2副画素行毎、すなわち1画素幅に駆動極性が反転している。具体的には、例えばn_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、その下のn+1_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、さらにその下のn+1_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっており、その下のn+2_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっている。また、第5の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、この液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第5の要件を満たしている。
以上で説明した本実施形態の液晶表示装置をCS電圧の振幅VCSppを変化させつつ観測したところ、CS電圧の振幅VCSppを0V(本発明によらない典型的な液晶表示装置に対応)から増大させるについて斜め観測時の白浮き現象が抑制されるといった視野角特性の改善効果が見られた。視野角特性の改善効果は表示する画像によって若干異なった印象を受けるもののVLCaddppの値が典型的な駆動(VCSppを0Vとした)での液晶表示装置の閾値電圧の0.5倍から2倍となるようにVCSppを設定した場合が最も良好であった。
以上まとめると、本実施形態の液晶表示装置は補助容量対向電極に振動電圧を印加することにより面積階調表示(マルチ画素表示)を行うことで視野角特性の改善を行った液晶表示装置において、補助容量対向電極に印加する振動電圧の振動周期を水平走査期間の4倍にすることができる。しかるに、CSバスラインの負荷容量および抵抗の大きな大型の液晶表示装置あるいは水平走査期間の短い高精細の液晶表示装置さらには垂直走査期間および水平走査期間を短くした高速駆動の液晶表示装置に対して前記面積階調表示を容易に行うことが可能となる。
次に、図12、図13A、図13B、図14Aおよび図14Bを参照しながら、本発明のTypeIの構成を有する他の実施形態の液晶表示装置の構成と動作を説明する。
この液晶表示装置では、CSバスラインの振動電圧の振動の周期を1水平走査期間の2倍とすることで、上述の面積階調表示を達成する。説明は次の点を中心に図を用いつつ述べる。第1点は各副画素に接続した補助容量の補助容量対向電極とCSバスラインとの接続形態を中心とした液晶表示装置の構成について、第2点はゲートバスラインの電圧波形を基準としたCSバスラインの振動の周期および位相に関して、第3点は本実施形態での各副画素の駆動および表示状態について述べる。
図12は、本発明のTypeIの構成を有する他の液晶表示装置の等価回路を模式的に示す図であり、先の液晶表示装置についての図9に対応する。共通する構成要素は共通の参照符号で示し、ここでは説明を省略する。図12の液晶表示装置は、電気的に独立な2つのCS幹線CSVtypeB1およびB2を有している点、および各CS幹線とCSバスラインの接続の状態において、図9の液晶表示装置と異なる。
図12で注目すべき第1の点は、列方向に隣接する行の画素の隣接の副画素に対応するCSバスラインが互いに電気的に独立である点である。具体的には、n行の副画素CLCB_n,mに対応するCSバスラインCSBL_B_nと、これに列方向に隣接した行の画素の副画素CLCA_n+1,mに対応するCSバスラインCSBL_A_n+1が電気的に独立している点である。
図12で注目すべき第2の点は、各CSバスライン(CSBL)はパネル端の2本のCS幹線(CSVtypeB1、CSVtypeB2)に接続されている点である。すなわち本実施形態の液晶表示装置では電気的に独立なCS幹線の数は2種類である。
図12で注目するべき第3の点は、各CSバスラインと2本のCS幹線との接続状態、すなわち電気的に独立なCSバスラインの列方向での配列である。図12のCSバスラインとCS幹線との接続の規則に従えば、CS幹線CSVtypeB1、CSVtypeB2に接続されるCSバスラインは下の表3の通りとなる。
なお、上の表3に示した2本の各幹線に接続されるCSバスラインの組が電気的に独立な2種類のCSバスラインの組である。
図13Aおよび図13Bにゲートバスラインの電圧波形を基準としたCSバスラインの振動の周期および位相および各副画素電極の電圧を示す。図13Aおよび図13Bは、先の実施形態の図10Aおよび図10Bに対応する。共通する符号は同じ参照符号で示し、ここでは説明を省略する。一般に、液晶表示装置は各画素の液晶層に印加される電界の向きを一定時間間隔で反転させているので、各電界の向きに対応した2種類の駆動電圧波形について考える必要がある。この2種類の駆動状態を各々図13Aおよび図13Bに示してある。
図13Aおよび図13Bで注目すべき第1の点は、CSVtypeB1、CSVtypeB2の電圧VCSVtypeB1、VCSVtypeB2の振動の周期はいずれも水平走査期間の2倍の時間(2H)であることである。
図13Aおよび図13Bで注目すべき第2点は、VCSVtypeB1、VCSVtypeB2の位相が次のようになっている点である。まず、CS幹線間の位相に注目すれば、VCSVtypeB2はVCSVtypeB1より1H時間だけ位相が遅れている。次に、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧に注目すれば、CS幹線の電圧とゲートバスラインの電圧の位相は次のようになっている。図13Aおよび図13Bによれば各CS幹線に対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化する時刻と、CS幹線電圧の各平坦部分の中央の時刻が一致している。すなわち、図13Aおよび図13Bに示したTdの値が0.5H時間である。但し、これ以外の場合でも、Tdの値が0Hよりも大きく1H時間よりも短い範囲であればよい。
ここで、各CS幹線に対応するゲートバスラインとは、補助容量CSおよびTFT素子を介して同一の副画素電極に接続されたCSバスラインが接続されているCS幹線およびゲートバスラインである。図13Aおよび図13Bによれば、この液晶表示装置において各CS幹線に対応するゲートバスラインおよびCSバスラインは下の表4のようになる。
上記CS幹線の電圧の周期および位相に関する説明は図13Aおよび図13Bに基づいたものであるが、CS幹線の電圧波形はこれに限られず、次の2つの条件のいずれかを満足すればよい。
その第1の条件は、VCSVtypeB1は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であり、かつVCSVtypeB2は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であることである。図13Aはこの条件に該当する。
その第2の条件は、VCSVtypeB1は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧減少であり、かつVCSVtypeB2は対応するゲートバスラインの電圧がVgHからVgLに変化した後、最初の電圧変化が電圧増加であることである。図13Bはこの条件に該当する。
図14Aおよび図14Bに、本実施形態の液晶表示装置の駆動の状態をまとめる。本実施形態の液晶表示装置の駆動状態もまた図13Aおよび図13Bと同様に各副画素の駆動電圧の極性の異なる2つの場合に分けて示す。図14Aの駆動状態は図13Aの駆動電圧波形に対応し、図14Bの駆動状態は図13Bの駆動電圧波形に対応している。図14Aおよび図14Bは、先に示した実施形態の液晶表示装置についての図11Aおよび図11Bに対応している。
図14Aおよび図14Bで注目すべき点は、面積階調表示パネルとして必要な要件を満足しているか否かである。面積階調表示パネルとして必要な要件は、次の5点である。
第1は、中間調表示状態で1つの画素が輝度の異なる複数の副画素で構成されている。
第2は、前記輝度の異なる副画素の輝度順位が時刻によらず一定である。
第3は、前記異なる輝度の副画素の配置が緻密に成されている。
第4は、任意のフレームで、画素単位で極性の異なる画素が緻密に配置されている。
第5は、任意のフレームで、輝度順位の等しい副画素単位で、特に輝度の最も明るい副画素単位で極性の等しい副画素が緻密に配置されている。
第1の要件について検証する。図14Aおよび図14Bによれば1つの画素が輝度の異なる2つの副画素で構成されている。具体的には、例えば図14Aによればn行m列の画素は「明」と記した輝度の高い副画素と「暗」と記した輝度の低い副画素で構成されている。よって第1の要件は満たしている。
第2の要件について検証する。本実施形態の液晶表示装置は駆動状態の異なる2つの表示形態を一定時間毎に交互に表示している。2つの表示形態に対応する駆動状態を示してある図14Aおよび図14Bを比較すると、輝度の高い副画素と輝度の低い副画素の位置が一致している。よって、第2の要件を満たしている。
第3の要件について検証する。図14Aおよび図14Bによれば、輝度順位の異なる副画素、すなわち「明」と記した副画素と「暗」と記した副画素が市松状に配置されている。また、本実施形態の液晶表示装置を確認した結果、輝度の異なる副画素を用いたことによる解像度の低下等の表示上の不具合は視認できなかった。よって、第3の要件を満たしている。
第4の要件について確認する。図14Aおよび図14Bによれば、画素単位で極性の異なる画素が市松状に配置されている。具体的には、例えば図14Aにおいてn+2行、m+2列の画素に注目すれば、該画素の極性は「+」であり、この画素から行方向および列方向に1画素毎に極性が「−」、「+」と変化している。また、第4の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、この液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第4の要件は満たしている。
第5の要件について確認する。図14Aおよび図14Bにおいて、輝度順位の等しい副画素の駆動極性に注目すれば、2副画素行毎、すなわち1画素行毎に駆動極性が反転している。具体的には、例えばn_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、その下のn+1_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「−」となっており、さらにその下のn+1_B行ではm+1、m+3、m+5列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっており、その下のn+2_A行ではm、m+2、m+4列の副画素の輝度順位記号が「明」であり、それら全ての極性反転記号は「+」となっている。また、第5の要件が満たされていない液晶表示装置では各画素の駆動極性が「+」、「−」で切り替わるのに同期したフリッカーと呼ばれる表示のちらつきが観測されると考えられるが、本実施形態の液晶表示装置を目視で確認したところによるとフリッカーは見られなかった。よって、第5の要件を満たしている。
以上で説明した本実施形態の液晶表示装置をCS電圧の振幅VCSppを変化させつつ発明者等が観測したところ、CS電圧の振幅VCSppを0V(面積階調表示を行わない典型的な液晶表示装置に対応)から増大させるについて斜め観測時の白浮き現象が抑制されるといった視野角特性の改善効果が見られた。しかしながら、VCSppの値をさらに増加させると、表示コントラストが低下するといった問題が発生した。従って、VCSppの値はこの問題が生じることなく、かつ十分な視野角改善効果が得られる範囲内で設定する必要がある。具体的には、視野角特性の改善効果は表示する画像によって若干異なった印象を受けるもののVLCaddppの値が典型的な駆動(VCSppを0Vとした)での液晶表示装置の閾値電圧の0.5倍から2倍となるようにVCSppを設定した場合が最も良好であった。
以上をまとめると、TypeIの構成を有する液晶表示装置は、補助容量対向電極に振動電圧を印加することによりマルチ画素表示を行うことで視野角特性の改善を行った液晶表示装置において、補助容量対向電極に印加する振動電圧の振動周期を水平走査期間の2倍にすることができる。しかるに、CSバスラインの負荷容量および抵抗の大きな大型の液晶表示装置あるいは水平走査期間の短い高精細の液晶表示装置さらには垂直走査期間および水平走査期間を短くした高速駆動の液晶表示装置に対して前記マルチ画素表示を容易に行うことが可能となる。
上記の実施形態では、電気的に独立なCS幹線の数(種類)が4本のものと、2本のものを例示したが、本発明のTypeIの構成を有する液晶表示装置における電気的に独立なCS幹線の数(種類)はこれらに限られず、3本や5本あるいは6本以上であってもよい。但し、電気的に独立なCS幹線の数Lは、偶数であることが好ましい。これは、上述したように、電気的に独立なCS幹線が位相が互いに180度異なる振動電圧を供給する対(すなわち、Lが偶数)によって構成されていると、液晶容量を構成する対向電極に流れる電流量を最小化することができるためである。
以下に、電気的に独立なCS幹線の数Lが6の場合とLが8の場合について、CS幹線と、対応するゲートバスラインおよびCSバスラインとの関係を表5および表6示す。また、Lが偶数の場合、CS幹線と、対応するゲートバスラインおよびCSバスラインとの関係は、L/2が奇数(L=2、6、10、14・・・)と、L/2が偶数(L=4、8、12、16・・・)とに大別できる。L/2が奇数の場合の一般的な関係を表5の後に示し、L/2が偶数の場合の関係をL=8の場合の表6の後に示す。
電気的に独立な補助容量幹線の数Lの1/2が奇数であるとき、即ちL=2,6,10,・・・であるとき、行方向、列方向にマトリックス状に配置された複数の画素が構成するある行をn行とし、任意の列のn行に属する画素が有する第1副画素の補助容量対向電極が接続された補助容量配線CSBL_A_n、第2副画素の補助容量対向電極が接続された補助容量配線をCSBL_B_nで表し、kを自然数(0を含む)とすると、
CSBL_A_n+(L/2)・kが第1補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+(L/2)・kが第2補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+1+(L/2)・kが第3補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+1+(L/2)・kが第4補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+2+(L/2)・kが第5補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+2+(L/2)・kが第6補助容量幹線に接続され、
・・・・・以下同様の接続関係を繰り返し、
CSBL_A_n+(L/2)−2+(L/2)・kが第L−3補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+(L/2)−2+(L/2)・kが第L−2補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+(L/2)−1+(L/2)・kが第L−1補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+(L/2)−1+(L/2)・kが第L補助容量幹線に接続されるように構成すればよい。
電気的に独立な補助容量幹線の数Lの1/2が偶数であるとき、即ちL=4,8,12,・・・であるとき、行方向、列方向にマトリックス状に配置された複数の画素が構成するある行をn行とし、任意の列のn行に属する画素が有する第1副画素の補助容量対向電極が接続された補助容量配線CSBL_A_n、第2副画素の補助容量対向電極が接続された補助容量配線をCSBL_B_nで表し、kを自然数(0を含む)とすると、
CSBL_A_n+L・kおよびCSBL_B_n+(L/2)+L・kが第1補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+L・kおよびCSBL_A_n+(L/2)+L・kが第2補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+1+L・kおよびCSBL_B_n+(L/2)+1+L・kが第3補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+1+L・kおよびCSBL_A_n+(L/2)+1+L・kが第4補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+2+L・kおよびCSBL_B_n+(L/2)+2+L・kが第5補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+2+L・kおよびCSBL_A_n+(L/2)+2+L・kが第6補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+3+L・kおよびCSBL_B_n+(L/2)+3+L・kが第7補助容量幹線に接続されており、
CSBL_B_n+3+L・kおよびCSBL_A_n+(L/2)+3+L・kが第8補助容量幹線に接続され、
・・・・・以下同様の接続関係を繰り返し、
CSBL_A_n+(L/2)−2+L・kおよびCSBL_B_n+L−2+L・kが第L−3補助容量幹線に接続され、
CSBL_B_n+(L/2)−2+L・kおよびCSBL_A_n+L−2+L・kが第L−2補助容量幹線に接続され、
CSBL_A_n+(L/2)−1+L・kおよびCSBL_B_n+L−1+L・kが第L−1補助容量幹線に接続されており、
CSBL_B_n+(L/2)−1+L・kおよびCSBL_A_n+L−1+L・kが第L補助容量幹線に接続されればよい。
以上で説明したように、本発明によると、斜観測時の白浮特性を大幅に改善するマルチ画素方式の液晶表示装置を、大型の液晶表示装置、あるいは高精細の液晶表示装置、さらには垂直走査期間および水平走査期間を短くした高速駆動の液晶表示装置に容易に適用することが可能となる。なぜならば、CSバスラインに振動電圧を印加するマルチ画素方式の液晶表示装置を大型化すればCSバスラインの負荷容量あるいは負荷抵抗が増加しCSバスライン電圧の波形が鈍ったり、また液晶表示装置の高精細化、高速駆動化を行えばCSバスラインの振動周期が短くなるために波形鈍りの影響が顕著になり、表示画面内でVLCaddの実効値の変化が顕著になるため、表示ムラを発生する等の問題があるが、これらの問題はCSバスラインに印加する振動電圧の周期を長くすることによって改善できるからである。
特許文献5に記載されている液晶表示装置では、隣接行の画素の隣接する副画素に対応するCSバスラインを電気的に共通とし、かつ、電気的に独立なCS幹線を2種類とした場合ではCSバスライン電圧の振動の周期は1Hであったのに対し、本発明のTypeIの構成を有する液晶表示装置では隣接行の画素の隣接する副画素に対応するCSバスラインを電気的に独立とし、かつ、電気的に独立なCS幹線を2種類とした場合にCSバスライン電圧の振動の周期を2Hとし、電気的に独立なCS幹線を4種類とした場合ではCSバスライン電圧の振動の周期を4Hとすることができる。
本発明のTypeIの構成を有する液晶表示装置の構成あるいは駆動波形に基づけば、隣接行の画素の隣接する副画素に対応するCS幹線を電気的に独立とし、かつ、電気的に独立なCS幹線の種類をL種類とすればCSバスライン電圧の振動の周期を水平走査期間のL倍(LH)とすることができる。
次に、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法を説明する。
上述したように、本発明のTypeIの構成を有する液晶表示装置は、電気的に独立な補助容量対向電極の組の数(電気的に独立なCS幹線の数)をLとすることによって、補助容量対向電極に印加する振動電圧の振動周期を水平走査期間HのL倍とすることを可能とした。これにより、補助容量対向電極配線の電気的負荷が大きな大型高精細の液晶表示装置においても前記マルチ画素表示を行うことが可能となるといった効果が得られる。
しかしながら、列方向に隣接する2つの画素(すなわち隣接する行に属する2つの画素)を構成する各副画素に補助容量対向電極を電気的に独立とする必要があった(例えば図9参照)。即ち、1画素あたり2本のCSバスラインが必要となるために、画素開口率が低下する。具体的には、例えば図15(a)に示すように、各副画素に対応するCSバスラインを各副画素の中央を横切るように配置する構成を採用すると、列方向に隣接する画素間からの光漏れを防止するために遮光層BM1を設ける必要がある。従って、2本のCSバスラインおよび遮光層BM1と重なる領域は、表示に寄与できなくなり、画素開口率を低下させることになる。
これに対し、TypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置では、図15(b)に示したように、列方向に隣接する2つの画素の一方の副画素の補助容量対向電極と他方の副画素(前記一方の副画素と前記他方の副画素は列方向に隣接する)の補助容量対向電極とを共通のCSバスラインに接続し、このCSバスラインを列方向に隣接する2つの画素の間に配置することによって、CSバスラインを遮光層としても機能させることにより、図15(a)の構成に比べて、CSバスラインの本数を減らせる上に、別途設ける必要であった遮光層BM1を省略することにより、画素開口率を向上できるという利点が得られる。
また、TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置では、CSバスラインに印加する振動電圧の振動周期を水平走査期間のL倍とするためには、電気的に独立なCS幹線の数をL本とする必要があり、補助容量対向電極駆動電源もL個必要となる。従って、CSバスラインに印加する振動電圧の振動周期を任意に長周期にしようとする場合、それに応じてCS幹線の数、容量対向電極駆動電源の数が多数必要となる。このように、TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置において、CSバスラインに印加する振動電圧を長周期化するためには、CS幹線の数および容量対向電極駆動電源を増大させる必要があることから、一定の制限を受ける。
これに対し、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置においては、電気的に独立なCS幹線の数をL(Lは偶数)とするとき、振動電圧の振動の周期を水平走査期間の2・K・L倍(Kは正の整数)とすることができる。
このように、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置は、TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置よりも、大型・高精細の液晶表示装置にさらに適している。
以下、本発明のTypeIIの構成を有する具体的な実施形態を説明する。以下の説明では、図16Aおよび図16Bに示した駆動状態を実現する液晶表示装置を例示する。図16Aおよび図16Bは、それぞれ先に示した図4Aおよび図4Bに対応し、液晶層に印加される電界の向きが互いに逆の駆動状態を示している。以下では、図16Aに示す駆動状態を実現するための構成を説明する。なお、図16Bの示す駆動状態を実現するためには、図3Aおよび図3Bを参照しながら説明したのと同様に、図16Aに示す駆動状態を実現するためにはソースバスラインに印加する電圧および各補助容量電圧の極性を反転させればよい。これにより画素の表示極性(図中「+」或いは「−」で表示)を反転しつつ、且つ第1、第2副画素の位置(図中「明」或いは「暗」で表示)の位置を固定できる。但し、本発明はこれに限らずソースバスラインに印加する電圧のみを反転させても良い。この場合、第1、第2副画素の位置(図中「明」或いは「暗」で表示)の位置は画素の極性反転に伴って移動するため、前記固定の場合に発生する中間階調表示時の色のにじみ等の問題を改善できる。
また、以下の実施形態の液晶表示装置は、図15(b)に示したように、列方向に隣接する2つの画素(n行目とn+1行目)の間に、n行目の画素の副画素電極18bとn+1行目の副画素電極18aとの間に、これら2つの副画素電極にそれぞれ対応する副画素の補助容量に補助容量対向電圧(振動電圧)を供給する共通のCSバスラインCSBLが設けられた構成を備えており、このCSバスラインCSBLがn行目の画素とn+1行目の画素との間を遮光する遮光層として機能する。CSバスラインCSBLは、絶縁膜を介して、一部が副画素電極18aおよび18bと重なるように配置されてもよい。
また、以下に例示する実施形態の液晶表示装置は、何れもCSバスラインに印加する振動電圧の振動周期を1水平走査期間よりも長く、電気的に独立なCS幹線の数をL(Lは偶数)とするとき、振動電圧の振動の周期を水平走査期間の2・K・L倍(Kは正の整数)となっている。すなわち、本発明のTypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置においては振動電圧の振動の周期はL倍にしかならなかったのに対し、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置においては、2・K倍のファクタだけ更に振動周期を長くすることが可能であり、しかもKは電気的に独立なCS幹線の数に依存しないという利点を有している。Kは電気的に独立な個々のCS幹線とCSバスラインとの接続形態に依存して決まるパラメータであり、CS幹線に対する接続形態の1周期を構成する連続したCSバスラインの内で共通のCS幹線に接続されたCSバスラインの数(電気的に等価なCSバスラインの数)の1/2に対応する。
本発明による液晶表示装置の面積階調表示(マルチ画素駆動)は、画素を2つの副画素に分割し、各副画素に接続された補助容量に異なる振動電圧(補助容量対向電圧)を供給することによって、明副画素と暗副画素とを得る。明副画素は、例えば、TFTがオフとされた後の振動電圧の最初の変化が増大である場合に得られ、暗副画素は、逆に、TFTがオフとされた後の振動電圧の最初の変化が低下である場合に得られる。従って、TFTがオフされた後に振動電圧が増大されるべき副画素のCSバスラインを共通のあるCS幹線に接続し、TFTがオフされた後に振動電圧が低下されるべき副画素のCSバスラインを他の共通のCS幹線に接続すれば、CS幹線の数を減らすことができることになる。このCSバスラインのCS幹線に対する接続形態による長周期化の効果を示すパラメータがKである。
Kを大きくするとそれだけ振動電圧を長周期化できるが、Kは大き過ぎないことが好ましい。理由を以下に説明する。
Kを大きくすると共通のCS幹線に接続された副画素の数が増えることになる。それらは異なるTFTに接続されており、TFTは異なるタイミング(1Hの倍数)でオフされる。従って、共通のCS幹線に接続されたある副画素のTFTがオフされた後、その振動電圧が最初に増大する(又は低下する)までの時間と、他の副画素のTFTがオフされた後、その振動電圧が最初に増大する(又は低下する)までの時間が異なることになる。Kが大きくなるほど、すなわち、共通のCS幹線に接続されるCSバスラインの数が大きくなるほど、この時間の差が大きくなり、ライン状の輝度むらとして視認されるおそれがある。この輝度むらを発生させないためには、目安として、上記の時間差が走査線の数(画素行の数)の5%以下とすることが好ましい。例えば、XGAの場合には、768行の5%以下とすると、上記時間差が38H以下となるように、Kを設定することが好ましい。なお、振動電圧の周期の下限値は、図8等を参照しながら上述した波形の鈍りによる輝度むらが生じないように設定する。例えば、45型のXGAの場合、振動周期が12H以上であれば、波形鈍りによる問題は生じない。これらのことから、45型程度の液晶テレビに適用する場合、Kを1または2として、Lを6、8、10、12とし、振動電圧の周期を12Hから48Hの範囲で設定すれば、輝度むらの無い高品位の表示を得ることが出来る。なお、電気的に独立なCS幹線の数Lは、振動電圧源(補助容量対向電極駆動電源)の数や、パネル上(TFT基板上)の配線の引きまわしなどを考慮して設定する。
以下に、K=1で、L=4、6、8、10、12とした例および、K=2で、L=4、6とした例を示し、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法を詳細に説明する。以下の説明では、先の実施形態の説明との重複を避けるためにCSバスラインとCS幹線との接続形態を中心に説明する。
[K=1、L=4、振動周期:8H]
TypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置のマトリックス構成(CSバスラインの接続形態)を図17に、この液晶表示装置の駆動に用いられる信号の波形を図18に示す。また、図17の接続形態を表7に示す。図17のマトリックス構成に対して、図18のタイミングでCSバスラインに振動電圧を印加することで、図15Aに示した駆動状態が実現される。
図17によれば各CSバスラインは図の左右端の各々4本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は4であり、L=4となる。さらに図17によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン8本毎の周期性を持っていることが解る。よって、K=1(=8/(2L))となっている。
表7から、図17に示すCSバスラインは、任意のpについて
CSBL_(p )B,(p+ 1)A
と
CSBL_(p+ 5)B,(p+ 6)A
との関係を満足するタイプ(α型)
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A
と
CSBL_(p+ 4)B,(p+ 5)A
との関係を満足するタイプ(β型)
の2種類が存在していることがわかる。すなわち、M1aおよびM3aのCS幹線に接続されているCSバスラインはα型であり、M2aおよびM4aのCS幹線に接続されているCSバスラインはβ型である。
接続形態の1周期を構成する連続する8本のCSバスラインは、4本のα型(M1aに接続された2本とM3aに接続された2本)、と4本のβ型(M2aに接続された2本とM4aに接続された2本)とで構成されている。
これを、前述のパラメータL、Kを用いて示せば、任意のpについて
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=2,4,・・・である。この条件を導入する理由はα型とβ型との両方に属するCSバスラインは存在しないためである。
尚、図18によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は8H、即ち水平走査期間Hの2・K・L倍となっていることがわかる。
[K=1、L=6、振動の周期:12H]
次に、電気的に独立なCS幹線の数が6本の場合の接続形態を図19に、そのときの駆動波形を図20に示す。また、図19の接続形態を表8に示す。
図20によれば各CSバスラインは図の左右端の各々6本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は6であり、L=6となる。
さらに図19によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン12本毎の周期性を持っている。よって、K=1(=12/(2L))となっている。
表8から、図19に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A
と
CSBL_(p+ 7)B,(p+ 8)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A
と
CSBL_(p+ 6)B,(p+ 7)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=2,4,・・
の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて、
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図20によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は12H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
[K=1、L=8、振動の周期:16H]
次に、電気的に独立なCSバスラインの数が8本の場合の接続形態を図21に、そのときの駆動波形を図22に示す。また、図21の接続形態を表9に示す。
図21によれば各CSバスラインは図の左端の8本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は8であり、L=8となる。
さらに図21によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン16本毎の周期性を持っている。よって、K=1(=16/(2L))となっている。
表9から、図21に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A
と
CSBL_(p+ 9)B,(p+10)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A
と
CSBL_(p+ 8)B,(p+ 9)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・
の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて、CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図22によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は16H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
[K=1、L=10、振動の周期:20H]
次に、電気的に独立なCSバスラインの数が10本の場合の接続形態を図23に、そのときの駆動波形を図24に示す。また、図23の接続形態を表10に示す。
図23によれば各CSバスラインは図の左右端の各々10本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は10であり、L=10となる。さらに図23によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン20本毎の周期性を持っている。よって、K=1(=20/(2L))となっている。
表10から、図23に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A
と
CSBL_(p+ 11)B,(p+ 12)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A
と
CSBL_(p+10)B,(p+11)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・
の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて、
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図24によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は20H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
[K=1、L=12、振動の周期:24H]
次に、電気的に独立なCSバスラインの数が12本の場合の接続形態を図25に、そのときの駆動波形を図26に示す。また、図25の接続形態を表11に示す。
図25によれば各CSバスラインは図の左端の12本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は12であり、L=12となる。さらに図25によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン24本毎の周期性を持っている。よって、K=1(=24/(2L))となっている。
表11から、図25に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A
と
CSBL_(p+ 13)B,(p+14)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A
と
CSBL_(p+12)B,(p+13)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて、
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図26によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は24H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
以上の説明では、いずれもパラメータK=1の場合であった。次に、パラメータKの値が2となる場合について説明する。
[K=2、L=4、振動の周期:16H]
パラメータKの値が2で、電気的に独立なCSバスラインの数が4本の場合の接続形態を図27に、そのときの駆動波形を図28に示す。また、図27の接続形態を表12に示す。
図27によれば各CSバスラインは図の左右端の各々4本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は4であり、L=4となる。さらに図27によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は図中のCSバスライン16本毎の周期性を持っている。よって、K=2(=16/(2L))となっている。
表12から、図27に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A、
CSBL_(p + 2)B,(p+ 3)A
と
CSBL_(p + 9)B,(p+ 10)A、
CSBL_(p+ 11)B,(p+12)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A、
CSBL_(p + 3)B,(p+ 4)A
と
CSBL_(p+ 8)B,(p+ 9)A、
CSBL_(p+10)B,(p+11)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・
の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて、
CSBL_(p+2・(1−1))B,(p+2・(1−1)+1)A、
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L+1)B,(p+2・(1−1)+K・L+2)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(1−1)+1)B,(p+2・(1−1)+2)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L)B,(p+2・(1−1)+K・L+1)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図28によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は、16H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
[K=2、L=6、振動の周期:24H]
パラメータKの値が2で、電気的に独立なCSバスラインの数が6本の場合の接続形態を図29に、そのときの駆動波形を図30に示す。また、図29の接続形態を表13に示す。
図29によれば各CSバスラインは図の左右端の各々6本のCS幹線の何れかに接続されている。よって電気的に独立なCSバスラインの数は6であり、L=6である。さらに図29によれば、CSバスラインとCS幹線の接続形態に一定の規則があり、その規則は24本毎の周期性を持っている。よって、K=2(=24/(2L))となっている。
表13から、図29に示すCSバスラインの接続は、
CSBL_(p )B,(p+ 1)A、
CSBL_(p + 2)B,(p+ 3)A
と
CSBL_(p + 13)B,(p+ 14)A、
CSBL_(p+ 15)B,(p+16)A
或いは
CSBL_(p+ 1)B,(p+ 2)A、
CSBL_(p + 3)B,(p+ 4)A
と
CSBL_(p+ 12)B,(p+ 13)A、
CSBL_(p+14)B,(p+15)A
但し、p=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・
の組が電気的に等しいCSバスラインとなっている事がわかる。
これを、前述のパラメータL,Kを用いて示せば、任意のpについて
CSBL_(p+2・(1−1))B,(p+2・(1−1)+1)A
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A、
と
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L+1)B,(p+2・(1−1)+K・L+2)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(K−1)+K・L+2)A
或いは、
CSBL_(p+2・(1−1)+1)B,(p+2・(1−1)+2)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L)B,(p+2・(1−1)+K・L+1)A、
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
の何れかで表されるCSバスラインの組を電気的に等価にすれば良いことがわかる。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
尚、図30によれば、このときのCSバスラインに印加される振動電圧の振動周期は24H、即ち水平走査期間の2・K・L倍となっていることがわかる。
上記の実施形態では、パラメータK及びLに関して、K=1のときのL=4,6,8,10,12及びK=2のときのL=4,6の場合について述べたが、本発明のTypeIIの構成を有する実施形態はこれに限定されない。
Kの値は正の整数、即ちK=1,2,3,4,5,6,7,8,9,・・・であればよく、Lの値は偶数、即ちL=2,4,6,8,10,12,14,16,18,・・・であればよく、且つK及びLは前記それぞれの範囲から独立に設定することが出来る。
この場合のCS幹線とCSバスラインの接続については前述の規則に従えばよい。
即ち、前記パラメータK、Lの値がそれぞれK、Lのとき(K=K,L=L)、同一の幹線に接続されるCSバスライン、即ち、電気的に等価のCSバスラインを
CSBL_(p+2・(1−1))B,(p+2・(1−1)+1)A、
CSBL_(p+2・(2−1))B,(p+2・(2−1)+1)A、
CSBL_(p+2・(3−1))B,(p+2・(3−1)+1)A、
・
・
・
CSBL_(p+2・(K−1))B,(p+2・(K−1)+1)A
と、
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L+1)B,(p+2・(1−1)+K・L+2)A、
CSBL_(p+2・(2−1)+K・L+1)B,(p+2・(2−1)+K・L+2)A、
CSBL_(p+2・(3−1)+K・L+1)B,(p+2・(3−1)+K・L+2)A、・
・
・
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L+1)B,(p+2・(3−1)+K・L+2)A
或いは
CSBL_(p+2・(1−1)+1)B,(p+2・(1−1)+2)A、
CSBL_(p+2・(2−1)+1)B,(p+2・(2−1)+2)A、
CSBL_(p+2・(3−1)+1)B,(p+2・(3−1)+2)A、
・
・
・
CSBL_(p+2・(K−1)+1)B,(p+2・(K−1)+2)Aと
CSBL_(p+2・(1−1)+K・L)B,(p+2・(1−1)+K・L+1)A、
CSBL_(p+2・(2−1)+K・L)B,(p+2・(2−1)+K・L+1)A、
CSBL_(p+2・(3−1)+K・L)B,(p+2・(3−1)+K・L+1)A、
・
・
・
CSBL_(p+2・(K−1)+K・L)B,(p+2・(K−1)+K・L+1)A
とすれば良い。但しpはp=1,3,5,・・・もしくはp=0,2,4,・・・である。
更に、前記パラメータK、Lの値がそれぞれK、Lのとき(K=K,L=L)、CSバスラインに印加する振動電圧の振動の周期は水平走査時間の2・K・L倍とすれば良い。
尚、ここまでの説明では隣接の絵素の第1副画素と第2副画素のCSバスラインは共通であったが、無論それぞれの副画素に対応する電気的に等価な2本以上のCSバスラインに分割してもよい。
上述したように、TypeIまたはTypeIIの構成を有する実施形態の液晶表示装置は、CSバスライン(補助容量配線)に印加する振動電圧の振動周期を長くすることができるので、特に大型あるいは高精細の液晶表示パネルに上記特許文献5に記載されている面積階調表示技術を好適に適用することができる。さらに、TypeIIの構成を有する液晶表示装置では、列方向に隣接する画素の副画素に対して共通のCSバスラインから振動電圧を供給することが可能となる。従って、CSバスラインを列方向の隣接する画素間に配置することによって、遮光層(ブラックマトリクス:BM)として兼用することができるので、TypeIの構成を有する実施形態の液晶表示装置よりもCSバスラインの本数を減らせる上に、TypeIの液晶表示装置では別途設ける必要であった遮光層を省略することにより、画素開口率を向上できるという利点が得られる。
図31(a)、(b)および(c)にTypeIの3つの代表的な構成TypeI−1、TypeI−2およびTypeI−3を示し、図32(a)、(b)および(c)にTypeIIの3つの代表的な構成TypeII−1、TypeII−2およびTypeII−3を示す。これらの図において、ゲートバスラインをGで示し、ゲートバスラインの番号を001、002などの数字で示す。画素(「ドット」とも言う)行はゲートバスラインGに対応付けられ、ゲートバスラインの番号(001など)は、画素行の番号も示す。一方、画素列はa、bおよびcで示す。従って、第1行の画素は、1−a、1−b、1−c・・・と表記し、第1列の画素は、1−a、2−a、3−a・・・と表記する。
また、CSバスラインは、その種類、即ち接続されているCS幹線に応じて示す。すなわち、CS1と付したCSバスラインは第1のCS幹線CS1に接続されており、CS2と付したCSバスラインは第2のCS幹線CS2に接続されている。図31および図32に示した6つの構成はいずれも10種類のCS幹線(すなわちCS電圧)を有しており、図中の上から順にCS1〜CS10に接続されたCSバスラインが巡回的に配置されている。
各画素は2つの副画素を有しており、副画素毎に設けられている補助容量の補助容量対向電極に接続されているCSバスラインの番号が若い方の副画素をAで示し、他方をBで示す。例えば、図31の第1行の画素1−aは、CS幹線CS1に接続された補助容量を有する副画素1−a−Aと、CS幹線CS2に接続された補助容量を有する副画素1−a−Bとを有している。また、各画素が有する2つの副画素の内、暗副画素にハッチングを付している。図31および図32に示した6つの構成例はいずれも上述したように1H1ドット反転駆動においてフリッカーが観察されない配列となっている。
上述したように、TypeIおよびTypeIIの液晶表示装置のように、複数の電気的に独立なCS幹線を設けて、補助容量対向電極に印加する振動電圧の振動の周期を長くする構成とすると、振動電圧の波形鈍りが抑制されるが、別の要因で表示品位が低下することがある。その理由を以下に説明する。
表示品位が低下する理由は、CSバスラインに供給する振動電圧(CS電圧)の周期と垂直走査期間との不整合に起因しているので、まず、垂直走査期間について説明する。以下の説明では、簡単のために、垂直走査期間=フレーム期間として説明する。
表示装置に入力される映像信号の垂直走査期間(V−Total)は、映像を表示する有効表示期間(V−Disp)と、映像を表示しない垂直帰線期間(V−Blank)とからなっており、映像を表示する有効表示期間は液晶パネルの表示エリア(有効な画素の行数)により決定されるが、垂直帰線期間は信号処理のための期間であるため、必ずしも一定ではなく、例えばテレビ受像機を製造するセットメーカによって異なる。例えば、表示エリアの画素行数が768行である場合(XGA)、有効表示期間は768×水平走査期間(H)であり(768Hと表記する)で一定であるが、垂直帰線期間を35Hとして垂直走査期間(V−Total)を803Hとする場合もあれば、垂直帰線期間を36Hとして垂直走査期間(V−Total)を804Hとする場合もある。さらには、1垂直走査期間毎に垂直帰線期間を奇数と偶数(例えば803Hと804H)とする場合すらある。
CS電圧はフレーム期間(=垂直帰線期間+有効表示期間)の間、振幅を繰り返しているが、垂直帰線期間が不確定であるため、振幅周期の途中で次のフレーム期間が始まってしまい、1フレーム目の信号処理と2フレーム目の信号処理のつながりの部分でCS電圧の振幅周期が乱れることがあった。例えば、図33Aに示すTypeIおよび図33Bに示すTypeIIのいずれの場合においても、1フレーム目と2フレーム目とのつながり部分でCS電圧の波形の周期が乱れている。これを映像で見ると、明るい画素行と暗い画素行が周期的に現れ、表示品位を著しく低下させることが判った。例えば、図34に示すように、5画素行ごと、すなわち10本のCSバスライン(10相のCS幹線)毎に、暗/明が周期的に見られる。また、図38に示すTypeIIの液晶表示装置においては、10画素行毎に暗/明が周期的に見られる。
この現象について具体的に説明する。
垂直走査期間V−Total=803H、有効表示期間V−Disp=768H、垂直帰線期間V−Blank=35H、CS電圧が10種類(「10相」ということもある)で5H毎に第1電圧レベル(ここではHighレベル)、第2電圧レベル(ここではLowレベル)が切り替る場合で、1Hドット反転でフレーム反転している液晶表示装置を例にする。この液晶表示装置の等価回路とCS幹線との接続図を図35Aおよび図35Bに示す。また、CS電圧とゲート電圧(ゲートバスラインの電圧、ゲート信号とも言う)とのタイミングの関係を図36に示す。
図35Aおよび図35Bに示す接続形態は、図31(a)に示したTypeI−1に対応し、第1画素行の副画素1−a−A,1−b−A,1−c−A・・・と第6画素行の副画素6−a−A,6−b−A,6−c−A・・・はCS幹線CS1に接続されており、第1画素行の副画素1−a−B,1−b−B,1−c−B・・・と第6画素行の副画素6−a−B,6−b−B,6−c−B・・・はCS幹線CS2に接続されており、第2画素行の副画素2−a−A,2−b−A,2−c−A・・・と第7画素行の副画素7−a−A,7−b−A,7−c−A・・・はCS幹線CS3に接続されている。
図36に示すように、第1画素行にデータが書き込まれ、第1画素行のゲートバスラインに接続されたTFTがオフされた後、CS電圧の最初の電圧レベルの切り替り(ここでは第2電圧レベルから第1電圧レベルへの電圧上昇)が起こり、その後5H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの切り替えが続く(振動の周期は10H、デューティー比は1:1)。同様に、第2画素行、第3画素行・・・と、それぞれ対応するゲートバスラインに接続されたTFTがオフされた後、それぞれ対応するCS電圧が上昇または降下した後、5H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの切り替えが続く。
あるフレームにおいて、TFTがオフされた後(例えば、TFTがオフされた時点から1H後)の最初のCS電圧の切り替りが第2電圧レベルから第1電圧レベルへの切り替わりであった場合(上昇)、次のフレームでは極性が反転するため(フレーム反転駆動)、先のフレームの時と同じタイミング(例えばTFTがオフされた時点から1H)で、TFTがオフされた後の最初のCS電圧の切り替りは第1電圧レベルから第2電圧レベルへとなる(降下)。CS電圧は5H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルへと切り替るため、第1電圧レベル5H+第2電圧レベル5H=10Hを1周期とすると、V−Total=803Hの場合は80周期+3Hとなり、フレーム内の最初のCS電圧の切り替りが第2電圧レベルから第1電圧レベルである場合、最後(803H後)は第1電圧レベルで終了する。次のフレームは第1電圧レベルから第2電圧レベルの切り替りであるため、前のフレームから続けて第1電圧レベルから第2電圧レベルへと切り替るが、このとき、CS電圧の5H毎の切り替りが崩れて、図37に示すように、第2電圧レベル:5H、第1電圧レベル:3H、第2電圧レベル:5Hとなる。
ここで、第1画素行(G:001)の副画素(1−a−A,1−b−A,1−c−A・・・)および第6画素行(G:006)の副画素(6−a−A,6−b−A,6−c−A・・・)は同じCS幹線CS1に接続されており、第1画素行の副画素1−a−A,1−c−A,・・・は、第1画素行のTFTがオフされた後の最初のCS電圧の変化が第2電圧レベルから第1電圧レベルへの切り替り(上昇)であるため、明るくなる。一方、第6画素行の画素も同じCS幹線CS1に接続されており、第6画素行のTFTがオフされた後の最初のCS電圧の変化が第1電圧レベルから第2電圧レベルへの切り替り(降下)であるため、第6画素行の副画素6−a−A,6−c−A,・・・は明るくなる(図37)。
このとき、第1画素行の副画素1−a−A,1−c−AはCS1の振動電圧の第2電圧レベルから第1電圧レベルの切替え(上昇)を利用して明るい副画素となるのに対し、第6画素行の副画素6−a−A,6−c−Aは第1電圧レベルから第2電圧レベルへの切替え(降下)を利用して明るい副画素となる。
従って、V−Total=803Hの場合、ある1フレーム内の第1画素行の副画素1−a−A,1−c−A・・・と第6画素行の副画素6−a−A,6−c−A,・・・に印加される電圧の実効値(図37中のハッチング部の面積)を比較すると、第6画素行の副画素6−a−A,6−c−A,・・・の方が、濃い斜線部の面積(幅2H:5H−3H)に相当する分だけ、副画素1−a−A,1−c−A,・・・よりも大きい。すなわち、副画素6−a−A,6−c−A,・・・の方が、輝度が高くなる。
このように、第1,6,11,16,21,26と5画素行毎に同一のCS幹線に接続していても、第6,16,26画素行の明副画素は第1,11,21画素行の明副画素よりも明るくなる。これは明副画素に接続されているCS幹線(CS1,CS3,CS5,CS7,CS9)すべてに言えることであるため、映像を見たときには図34に示したように、第1画素行から第5画素行は暗く、第6画素行から第10画素行は明るく、第11画素行から第15画素行は暗くと、5画素行毎に明暗のスジとなって見える。なお、ここでは、表示への寄与は明副画素の方が暗副画素よりも大きいので、明副画素について説明し、暗副画素についての説明は省略した。
次に、別の実例について述べる。
例えば、V−Total=803H、V−Disp=768H、V−Blank=35H、CSが10相で10H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替る場合で、1Hドット反転でフレーム反転している液晶表示装置を例にする。この液晶表示装置の等価回路とCS幹線との接続図を図39A〜図39Cに示す。
図39A〜図39Cに示す接続形態は、図32(a)に示したTypeII−1に対応し、第1画素行の副画素1−a−A,1−b−A,1−c−A・・・と第11画素行の副画素11−a−B,11−b−B,11−c−B・・・と第12画素行の副画素12−a−A,12−b−A,12−c−A・・・はCS幹線CS1に接続されており、第1画素行の副画素1−a−B,1−b−B,1−c−B・・・と第2画素行の副画素2−a−A,2−b−A,2−c−A・・・と第10画素行の副画素10−a−B,10−b−B,10−c−B・・・と第11画素行の副画素11−a−A,11−b−A,11−c−A・・・はCS幹線CS2に接続されており、第2画素行の副画素2−a−B,2−b−B,2−c−B・・・と第3画素行の副画素3−a−A,3−b−A,3−c−A・・・と第13画素行の副画素13−a−B,13−b−B,13−c−B・・・と第14画素行の副画素14−a−A,14−b−A,14−c−A・・・はCS幹線CS3に接続されている。
図40に示すように、第1画素行のデータが書き込まれ、第1画素行のゲートバスラインに接続されたTFTがオフされた後、CS電圧の最初の電圧レベルの切り替り(ここでは第2電圧レベルから第1電圧レベルへの電圧上昇)が起こり、その後10H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの切り替りが続く(振動の周期は20H、デューティー比は1:1)。同様に、第2画素行、第3画素行と、それぞれ対応するゲートバスラインに接続されたTFTがオフされた後、それぞれ対応するCS電圧が上昇または降下した後、10H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの切り替えが続く。
あるフレームにおいて、TFTがオフされた後(例えば、TFTがオフされた時点から2H後)の最初のCS電圧の切り替りが第2電圧レベルから第1電圧レベルへの切り替わりであった場合(上昇)、次のフレームでは極性が反転するため(フレーム反転駆動)、先のフレームの時と同じタイミング(例えば、TFTがオフされた時点から2H)で、TFTがオフされた後の最初のCS電圧の切り替りは第1電圧レベルから第2電圧レベルへとなる(降下)。CS電圧は10H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルと切り替るため、第1電圧レベル10H+第2電圧レベル10H=20Hを1周期とすると、V−Total=803の場合は40周期+3Hとなり、フレーム内の最初のCS電圧の切り替りが第2電圧レベルから第1電圧レベルである場合、最後(803H後)は第1電圧レベルで終了する。次のフレームは第1電圧レベルから第2電圧レベルの切り替りであるため、前フレームから続けて第1電圧レベルから第2電圧レベルと切り替るが、このとき、CS電圧の10H毎の切り替りが崩れて、図41に示すように、第2電圧レベル:10H、第1電圧レベル:3H、第2電圧レベル:10Hとなる。
ここで、第1画素行(G:001)の副画素(1−a−A,1−b−A,1−c−A・・・)と第11画素行(G:011)の副画素(11−a−B,11−b−B,11−c−B・・・)と第12画素行(G:012)の副画素(12−a−A,12−b−A,12−c−A・・・)が同じCS幹線CS1に接続されており(図38および図39A〜図39C参照)、第1画素行の副画素1−a−A,1−c−A,・・・のTFTがオフされた後の最初のCS電圧の変化が第2電圧レベルから第1電圧レベルへ切り替り(上昇)であるため、明るくなる。第11画素行の副画素と第12画素行の副画素も同じCS幹線CS1に接続されており、第12画素行のTFTがオフされた後の最初のCS電圧の変化が第1電圧レベルから第2電圧レベルへの切り替り(降下)であるため、第12画素行の副画素12−a−A,12−c−A,・・・は明るくなり、第11画素行の副画素11−a−B,11−c−B,・・・は暗くなる。
このとき、第1画素行の画素1−a−A,1−c−AはCS1の振動電圧の第2電圧レベルから第1電圧レベルの切替え(上昇)を利用して明るい副画素となるのに対して、第12画素行の副画素12−a−A,12−c−Aは第1電圧レベルから第2電圧レベルの切り替え(降下)を利用して明るい副画素となる。
従って、V−Total=803Hの場合、ある1フレーム内の第1画素行の副画素1−a−A,1−c−A,・・・と第12画素行の副画素12−a−A,12−c−A,・・・に印加される電圧の実効値(図41C中のハッチング部の面積)を比較すると、第12画素行の副画素12−a−A,12−c−A,・・・の方が、濃い斜線部の面積(幅7H=10H−3H)に相当する分だけ、副画素1−a−A,1−c−A,・・・よりも大きい。すなわち、副画素12−a−A,12−c−A,・・・の方が、輝度が高くなる。
このように、第1,12,21,32,41,52と約10画素行毎に同一のCS幹線に接続していても、第12,32,52画素行の明副画素は第1,21,31画素行の明副画素よりも明るくなる。これはすべてのCS幹線に言えることであるため、映像を見たときには図38に示したように、第1画素行から第10画素行は暗く、第11画素行から第20画素行は明るく、第21画素行から第30画素行は暗くと、10画素行毎に明暗のスジとなって見える。なお、ここでは、表示への寄与は明副画素の方が暗副画素よりも大きいので、明副画素について説明し、暗副画素についての説明は省略した。
なお、図41Cにおいて、第1画素行、第3画素行、第5画素行、第7画素行・・・と、第2画素行、第4画素行、第6画素行、第8画素行・・・でも、副画素への印加電圧の実効値は、図中の横縞部(幅1H)の分だけ輝度が異なることとなるが、この明暗は1画素行毎に生じるため、全体の表示としては非常に認識され難いので、問題とならない。
以下に説明する実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法は、上記の問題を解決することができる。
以下の実施形態の液晶表示装置は、複数のCSバスライン(CS幹線)のそれぞれが供給するCS電圧は、入力映像信号の1垂直走査期間(V−Total)内に、第1波形を有する第1期間(A)と、第2波形を有する第2期間(B)とを有し、第1期間と第2期間との和が垂直走査期間と等しく(V−Total=A+B)、第1波形は、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間を水平走査期間(H)の2以上の整数倍の第1周期(PA)で振動する波形であり、第2波形は、連続する20以下の所定数の垂直走査期間毎にCS電圧の実効値が、所定の一定値をとるように設定されている。例えば10相のCS幹線で10種類のCS電圧を供給する場合、全てのCS電圧の実効値が所定の一定値となるように設定する。
上述したスジが見える原因の説明から理解されるように、同じCS幹線に接続された異なる画素行に接続された補助容量対向電圧の実効値が所定の一定値となるように構成すれば、スジは発生しない。ここで、有効表示期間(V−Disp)においては、CS電圧は一定周期で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅を行う必要があるが、映像を表示しない垂直帰線期間(V−Blank)では一定周期で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅を行う必要はなく、連続する20以下の所定数の垂直走査期間毎にCS電圧の実効値が所定の一定値をとれば、表示画面全体が均一となる。上記所定数が20を超えるとCS電圧の実効値を所定の一定値とした効果が十分に得られず(時間平均効果が得られず)、スジが視認される恐れがある。
なお、上記第1期間は有効表示期間に対応付けられ、上記第2期間は垂直帰線期間に対応付けられるが、それぞれ位相は一致せず、期間の長さも正確には一致しない(一致する必要がない)。上述したように、本明細書において、垂直走査期間は、ある走査線が選択され次にその走査線が選択されるまでの期間と定義した。すなわち、あるゲートバスラインに印加されるゲート電圧がハイレベルになる時間間隔が垂直走査期間である。一方、CS電圧は対応するゲートバスラインに接続されたTFTがオフとされた後所定の時間(例えば0Hから2Hの時間)が経過した後で、第1電圧レベルから第2電圧レベルへ、または第2電圧レベルから第1電圧レベルへと所定の変化(上昇または降下)をした後、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの切り替りが続く。すなわち、当該TFTがオンとされた時には既に第1周期(PA)で振動する波形となっている必要があるので、位相(期間の開始点)はその分だけ垂直走査期間の開始点からずれることになる。これらのことは後に具体例を示して詳細に説明する。
また、20以下の所定数の連続する垂直走査期間内で一定となる補助容量対向電圧の実効値の所定値は、例えば、第1波形の第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値または実効値と等しく設定されるが、これと一致する必要はなく、第2波形の平均値または実効値と一致する必要もない。また、第1波形は振動波であるが、第2波形は振動波であっても、振動波でなくてもよい。また、第2波形が振動波の場合であっても、その電圧レベル(第3電圧レベルと第4電圧レベル)は、第1波形の電圧レベル(第1電圧レベルおよび第2電圧レベル)と一致する必要もない。しかし、第1波形および第2波形のいずれもが第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振動する波形で、デューティーが1:1の矩形波を選択すると駆動回路を簡単にできる利点が得られる。振動波形としては矩形波の他に、正弦波、三角波などの波形でもよい。また、第2波形が振動波で無い場合は、第1電圧レベル、第2電圧レベルに加え、それとは異なる第5電圧レベルからなる波形を用いる。
CS電圧の実効値が所定の一定値となる期間は、4以下とすることが好ましい。同じCS幹線から供給される、異なる画素行の補助容量対向電極の電圧の実効値が異なる原因は、上述したように、垂直走査期間がCS電圧の振動の周期の整数倍とならないからであり、また、垂直走査期間の内の垂直帰線期間が不確定であることによる。垂直帰線期間は不確定ではあるものの、4垂直走査期間(4フレーム期間)あれば、現在利用されているほぼ全ての駆動方法において、CS電圧の実効値を所定の一定値とすることができる。例えば、垂直帰線期間を垂直走査期間毎に水平走査期間の奇数倍と偶数倍とに切り替える駆動方法においても、垂直帰線期間を切り替える周期(2垂直走査期間)の倍の期間(4垂直走査期間)あれば実効値を所定の一定値にすることができる。垂直帰線期間が水平走査期間の奇数倍または偶数倍に固定されている場合には、2垂直走査期間あれば、実効値を所定の一定値にすることができる。
第1波形の振動の周期(第1周期PA)は、水平走査期間(H)の2以上の整数倍であり、電気的に独立なCS幹線の数をL本(Lは偶数)とし、TypeIの構成を採用すると、水平走査期間のL倍(L・H)とできる。また、TypeIIの構成を採用すると、水平走査期間の2・K・L倍(Kは正の整数)とできる。このとき、第1電圧レベルにある期間と第2電圧レベルにある期間とは互いに等しく設定されることが好ましい。
また、垂直走査期間の内でCS電圧が第1波形をとる第1期間以外の期間、すなわち第2波形をとる第2期間が水平走査期間の偶数倍の場合、第2期間において、第2波形が第1電圧レベルにある期間と第2電圧レベルにある期間とを互いに等しくすれば、各第2波形の実効値を第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値で一定にすることができる。これは、フレーム反転駆動の場合でもフレーム反転駆動を行わない場合でもよい。
フレーム反転駆動を行う場合で、第2期間が水平走査期間の奇数倍のとき、ある垂直走査期間の第2期間において、第1電圧レベルにある期間は第2電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短く、当該垂直走査期間の次の垂直走査期間の第2期間においても、第1電圧レベルにある期間を第2電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短くすることによって、連続する2つの垂直走査期間における第2波形の実効値を一定の値にすることができる。
また、フレーム反転駆動を行う場合、第1期間を第1周期の半整数(整数+1/2)倍に設定すればよい。
例えば、表示領域がN行の画素行で構成されており、有効表示期間(V−Disp)が水平走査期間のN倍(N・H)であるとき、第1周期をPAとすると、第1期間(A)が、A=[Int{(N・H−PA/2)/PA}+1/2]・PA+M・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとし、Mは0以上の整数)を満足するように設定する。
あるいは、垂直走査期間(V−Total)が水平走査期間のQ倍(Q・H)であるとき(Qは正の整数)、第1周期をPAとすると、第1期間(A)が、A=〔Int{(Q・H−PA/2)/PA}+1/2〕・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとする)を満足するように設定してもよい。
あるいは、垂直走査期間(V−Total)が水平走査期間のQ倍(Q・H)であるとき(Qは正の整数)、第1周期をPAとすると、第1期間(A)が、A=〔Int{(Q・H−3・PA/2)/PA}+1/2〕・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとする)を満足するように設定してもよい。
第1期間を上記のいずれに設定するかは、CSバスラインの接続形態(TypeIまたはTypeII)に依存して適宜選択できる。上述したように、第1周期PAはTypeIの場合にはL・Hとなり、TypeIIの場合には2・K・L・Hとなる。従って、それぞれの液晶表示装置の画素行の数Nおよび補助容量幹線の数Lに応じて、有効表示期間(V−Disp)および/または垂直走査期間(V−Total)に基づいて、上記式を用いて第1期間(A)および第2期間(B)を決定すればよい。なお、第2期間(B)は垂直走査期間(V−Total)から第1期間(A)を減算することによって求められる。
第2期間におけるCS電圧の波形、すなわち第2波形は、第3電圧レベルと第4電圧レベルとの間を振動する波形として、第3電圧レベルと第4電圧レベルとの平均値が第1波形の第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値と等しく設定することが好ましく、第3電圧レベルを第1電圧レベルと等しく設定し、第4電圧レベルを第2電圧レベルと等しく設定することが、回路を簡単にする上で最も好ましい。
このとき、B/Hが偶数の場合には、第3電圧レベルにある期間と、第4電圧レベルにある期間とが互いに等しくなる波形とする。B/Hが奇数の場合には、ある垂直走査期間においては、第3電圧レベルにある期間は第4電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短く、当該垂直走査期間の次の垂直走査期間の第2期間においても、第3電圧レベルにある期間は第4電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短く設定する。
なお、垂直走査期間(V−Total)が水平走査期間の何倍であるかは、すなわち、上記Qの値は、例えば、第1行目のゲートバスラインのゲート電圧(第1ゲートスタートパルス)がハイレベルにされてから、次に第1行目のゲートバスラインのゲート電圧がハイレベルにされるまでの期間にゲート電圧がハイレベルとされる回数をカウントすることにより求められる。このとき、2フレーム前の映像信号に対してQを求めることが好ましい。これから表示しようとしている現フレームの映像信号についてQを求めるためには、フレームメモリが必要となるので、回路が複雑化しコストが上昇する。また、1フレーム前の映像信号に対してQを求めると、前述したように、偶数フレームと奇数フレームとで垂直帰線期間が異なる場合に対応できない。2フレーム前の映像信号に対してQを求めれば、フレームメモリを設ける必要が無く、また、現在使われている殆どの垂直帰線期間の設定方法に対応できる。
以下に、具体的な例を示して本実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法をさらに詳細に説明する。
(実施形態1)
TypeIの液晶表示装置の駆動方法の例を42A〜図42Dを参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば図31(a)に示したTypeI−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=803H,V−Blank=35H,V−Disp=768Hの映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が10Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。図42Aは、第1行目のゲートバスライン(G:001)および第766行目のゲートバスライン(G:766)に印加されるゲート電圧、およびCS電圧ならびに画素の印加される電圧(但し、明副画素に印加される電圧のみ記載)を示している。図42B〜図42Dでは、ゲート電圧を省略し、CS電圧ならびに画素の印加される電圧のみ示している。
第1の画素行の画素へ表示信号電圧が書き込まれた後(TFTがオフされた後)、第1画素行に接続されたCSバスラインCS1のCS電圧(以下、CS電圧もそれぞれ対応するCS幹線と同じ参照符号で示す)CS1は、第2電圧レベルから第1電圧レベルへ変化する。この同じCS電圧CS1は、上記電圧レベルが変化する5H以上前から第2電圧レベルにあり、上記電圧レベルが変化した後は、5H毎に第1電圧レベルから第2電圧レベル、第2電圧レベルから第1電圧レベルと変化を繰り返す(第1波形)。すなわち、CS電圧の第1波形の開始時点(第1期間の開始時点)は、対応する画素行のゲートバスラインのTFTがオフとされる時点よりも、第1波形の周期(第1周期PA)の半分に相当する時間以上早くなるように設定されている。これは以下の実施形態2から8についても同じである。
ここで、TFTがオフとされた後の最初のCS電圧の変化よりも5H以上前から第2電圧レベルにある理由を説明する。本実施形態では、多相の独立したCS電圧を使用することで、CS電圧レベルが変化する時間(振動周期)を長くし、そのことによって各画素行に対して信号なまりのない、同等のCS電圧を供給している。同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給するために、TFTがオフとされた後の最初のCS電圧の変化の前にも5H以上(第1周期PAの半分以上)の時間を確保している。
このCS幹線CS1に接続されている最終の有効画素行は、第766行目のG:766によって選択される画素行であり、この第766画素行の画素に表示信号電圧が書き込まれた後、CS電圧が第1電圧レベルから第2電圧レベルに切り替れば、次は再び第1画素行の画素に次フレームの表示信号電圧を書き込むまでの38H(第1電圧レベルと第2電圧レベルとを均等に割り当てる期間:第2期間またはB期間)は、5H毎(振動周期が10H)に電圧レベルが切り替る必要は無い。但し、CS電圧の電圧レベルを全画素行で揃えるために、次フレームで第1画素行の画素に表示信号電圧が書き込まれて、その後CS電圧が第1電圧レベルから第2電圧レベルへ切り替る5H前から、CS電圧は第1電圧レベルになっている必要がある。
従って、図42A〜図42Dに示すように、CS電圧CS1は、第1画素行の表示信号電圧が画素に書き込まれた後に第2電圧レベルから第1電圧レベルに切り替る5H前から第2電圧レベルにあって、その後5H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で切り替り、第766画素行への書き込みが終了後、第1画素行に次フレームの表示信号電圧が書き込まれるまでに少なくとも1回、第2電圧レベルから第1電圧レベルに切り替る。
更に、5H毎の切替えを765Hの期間(第1期間)に亘って行った残りの38H(=803H−765H:第2期間)は、第1電圧レベルにある期間と第2電圧レベルにある期間が同じになる波形(第2波形)とする。38Hの期間(第2期間)は第1電圧レベルと第2電圧レベルの期間が等しければ良く、周期については特に限定されず、図42Aに記載したように、例えば、第1電圧レベルおよび第2電圧レベルをそれぞれ19Hとしてもよいし、図42Bに記載したように、第1電圧レベルおよび第2電圧レベルが5H続く部分と、1H毎に切り替わる部分とを組み合わせてもよいし、図42Cに記載したように、1H以下で切り替わる振動波形でも構わない。また、第1電圧レベルと、第2電圧レベルとは異なる第5電圧レベルから成る波形であってもよい。
以上のようなCS電圧を入力することにより、図34に示したスジは発生せず、良好な表示特性を得ることができる。
なお、図42A〜図42Dに示した例では、V−Total=803Hとしたが、V−Total=809H(V−Blank=44H)の場合には、765H振動期間(第1期間)が終わった後の第2波形を、例えば、第1電圧レベルの期間と第2電圧レベルの期間が22Hずつとすればよい。
本実施形態では、第2期間が水平走査期間Hの偶数倍(38Hまたは44H)であるので、CS電圧の第2波形の実効値を1垂直走査期間内に所定の一定値(ここでは、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値)をとるように設定することができる。なお、第1期間は765Hであり、CS電圧の第1波形の実効値は、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値に一致しないが一定値をとるので、1垂直走査期間の全体においてCS電圧の実効値は一定値をとる。従って、図34に示したようなスジが視認されることが防止される。
(実施形態2)
TypeIの液晶表示装置の駆動方法の他の例を図43および図44を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図31(a)に示したTypeI−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=804H,V−Blank=36H,V−Disp=768Hの映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が10Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。
CS電圧の波形は実施形態1とほぼ同じであるが、V−Totalが1H増えることで、第1期間は765Hと変わらないが、第2期間が1H分増加し39Hとなる。第2期間は39Hなので、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り当てるとそれぞれの期間は19.5Hとなる。0.5Hを割り振ることは信号処理上困難であり、回路が高価となるため、19Hと20Hとに割り振ることとなる。このとき、図43に示すように、常に19H、20Hの順に割り振ると、同一のCS幹線CS1に接続されている画素行のうち、常に19Hの期間明るい画素行(第1、11、21・・・画素行)と常に20Hの期間明るい画素行(第6、・・・、756、766画素行)とにわかれ、画素の印加電圧でみると、斜線部の分だけ印加される電圧の差が生じ、輝度差となって、図34に示すような明暗のスジとなる。
このように第2期間が水平走査期間Hの奇数倍のときは、図44に示すように、あるフレームで第1電圧レベルの期間を19H、第2電圧レベルの期間を20Hの順に設定し、次のフレームでは第2電圧レベルの期間を20H、第1電圧レベルの期間を19Hに設定する。すなわち、連続する2つのフレームのいずれにおいても第1電圧レベルにある期間を第2電圧レベルにある期間よりも1Hだけ短くする。そうすると、あるフレームでは第1,11,21・・・画素行よりも、第6、・・・756,766画素行の方が明るくなるが、次のフレームでは第1,11,21・・・画素行の方が、第6、・・・756,766画素行よりも明るくなり、連続する2フレームで考えると、第1,6,11,16、・・・756、761、766画素行で輝度レベルがそろい、スジは解消される。
本実施形態では、第2期間が水平走査期間Hの奇数倍(39H)であり、CS電圧の第2波形の実効値を1垂直走査期間内に所定の一定値にすることが困難なので、連続する2つの垂直走査期間毎に所定の一定値にするように設定している。もちろん、連続する2以上のフレーム期間毎に実効値が一定値となるように設定してもよいが、20以上のフレーム期間に亘ると実効値を一致させる効果が十分に得られない恐れがあり、なるべく短い期間で実効値を一定にすることが好ましく、4フレーム期間以下であることが好ましく、この例の場合は2フレーム期間が最短期間であり、最も好ましい。
実施形態1の液晶表示装置では、第2期間が水平走査期間の偶数倍であるので、1垂直走査期間毎に第2波形の実効値を所定の一定値にすることができるが、本実施形態のように2以上の連続する垂直走査期間毎に所定値と一致させるようにしてもよい。
(実施形態3)
TypeIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図45A〜図45Bを参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図31(a)に示したTypeI−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=804H,V−Blank=36H,V−Disp=768Hの映像信号と、V−Total=803H,V−Blank=35H,V−Disp=768Hの映像信号とが1フレーム毎に交互となった映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が10Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。
CS電圧の波形は、先の実施形態とほぼ同じであるが、V−Totalが804Hのとき、第1期間は765Hであり、第2期間は39Hとなる。第2期間を第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り当てるとそれぞれ19.5Hとなる。実施形態2について説明したように、0.5Hを割り振ることは信号処理上困難であり、回路が高価となるため、19Hと20Hに割り振ることとなる。一方、V−Totalが803Hのときは、第1期間は変わらないが、第2期間が38Hであるため、例えば19Hずつ均等に割り振ることができる。
このとき、あるフレームが、図45Aに示すように、V−Total=804Hであった場合に、第2期間のCS電圧(第2波形)は、第1電圧レベルの期間を19H、第2電圧レベルの期間を20Hとし、次のフレームではV−Total=803Hとなるので、第2波形を第2電圧レベルの期間および第1電圧レベルの期間のいずれも19Hとする。その次のフレームではまたV−Total=804Hであるため、第2波形は、第1電圧レベルの期間を20H、第2電圧レベルの期間を19Hとする。更に次のフレームでは再びV−Total=803Hとなるため、第2波形は、第2電圧レベルの期間を19H、第1電圧レベルの期間を19Hとする。
このように、第2期間の長さが垂直走査期間毎に交互に水平走査期間の偶数倍と奇数倍とになる場合は、連続する4フレームの期間毎にCS電圧の第2波形の実効値を所定の一定値にすることによって、スジは解消され、良好な表示特性を得ることができる。もちろん、第2波形の実効値を所定の一定値にするフレーム期間を4を超えるフレーム期間とすることもできるし、第2波形も上記の波形に限られない。例えば図45Bに示すように、第2波形を第1電圧レベルおよび第2電圧レベルが1H毎に切り替わる波形にしてもよい。
(実施形態4)
TypeIIの液晶表示装置の駆動方法の例を図46A〜図46Dを参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図32(a)に示したTypeII−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=804H,V−Blank=36H,V−Disp=768Hの映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が20Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。
第1画素行の画素へ表示信号電圧が書き込まれた後(TFTがオフされた後)、第1画素行に接続されたCSバスラインCS1のCS電圧(CS1)は、第2電圧レベルから第1電圧レベルへ変化する。この同じCS電圧CS1は、上記電圧レベルが変化する10H以上前から第2電圧レベルにあり、上記電圧レベルが変化した後は、10H毎に第1電圧レベルから第2電圧レベル、第2電圧レベルから第1電圧レベルと変化を繰り返す。
ここで、電圧レベルが変化する10H以上(振動周期の半分以上)前から第2電圧レベルにあるのは、実施形態について説明したように、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給するためである。
このCS幹線CS1に接続されている最終の有効画素行は、第761行目のG:761によって選択される画素行であり、この第761画素行の画素へ表示信号電圧が書き込まれた後、第2電圧レベルから第1電圧レベルに切り替れば、次は再び第1画素行の画素に次フレームの表示信号電圧を書き込むまでの44H(第2期間)は、10H毎(振動周期が20H)に電圧レベルが切り替る必要は無い。但し、CS電圧の電圧レベルを全画素行で揃える必要があるために、次フレームで第1画素行の画素に表示信号電圧が書き込まれて、その後CS電圧が第1電圧レベルから第2電圧レベルへ切り替る10H前から、CS電圧は第1電圧レベルになっている必要がある。
従って、図46Aに示すように、CS電圧CS1は、第1画素行の表示信号電圧が画素に書き込まれた後に第2電圧レベルから第1電圧レベルに切り替る10H前から第2電圧レベルにあって、その後10H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で切り替り、第761画素行への書き込み後、第1画素行に次フレームの表示信号電圧が書き込まれるまでに少なくとも1回、第2電圧レベルから第1電圧レベルに切り替る。
更に、10H毎の切替えを770Hの期間(第1期間)に亘って行った残りの34H(=804H−770H:第2期間)は、第1電圧レベルにある期間と第2電圧レベルにある期間が同じになる波形(第2波形)とする。34Hの期間(第2期間)は第1電圧レベルと第2電圧レベルの期間が等しければ良く、周期については特に限定されないので、図46Aに記載したように、例えば、第1電圧レベルおよび第2電圧レベルをそれぞれ17Hとしてもよいし、さらに、図46Cに示すように、第1電圧レベルおよび第2電圧レベルが1H毎に切り替わるようにしてもよいし、1H以下で切り替わる振動波形でも構わない。また、図46Dに示すように、第1電圧レベルと、第2電圧レベルとは異なる第5電圧レベルから成る波形であってもよい。
以上のようなCS電圧を入力することにより、図38に示したスジは発生せず、良好な表示特性を得ることができる。
なお、図46A〜図46Dに示した例では、V−Total=804Hとしたが、V−Total=810H(V−Blank=40H)の場合には、770H振動期間(第1期間)が終わった後の第2波形を、例えば、第1電圧レベルの期間と第2電圧レベルの期間が20Hずつとすればよい。
本実施形態では、実施形態1の液晶表示装置と同様、第2期間が水平走査期間Hの偶数倍であるので、CS電圧の第2波形の実効値を1垂直走査期間内に所定の一定値(ここでは第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値)をとるように設定することができる。また、第1期間は770Hであり、CS電圧の第1波形の実効値も、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値に一致する。
(実施形態5)
TypeIIの液晶表示装置の駆動方法の他の例を図47A〜図47Dおよび図48を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図32(a)に示したTypeII−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=803H,V−Blank=35H,V−Disp=768Hの映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が20Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。
CS電圧の波形は実施形態4とほぼ同じであるが、V−Totalが1H減ることで、第1期間は770Hと変わらないが、第2期間が1H減り33Hとなる。第2期間は33Hなので、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り当てるとそれぞれの期間は16.5Hとなる。0.5Hを割り振ることは信号処理上困難であり、回路が高価となるため、17Hと16Hに割り振ることとなる。このとき、図47Bに示すように、常に16H、17Hの順に割り振ると、同一のCS幹線CS1に接続されている画素行のうち、常に16Hの期間明るい画素行(第1、21、41・・・画素行)と常に17Hの期間明るい画素行(第12、32、52・・・画素行)とにわかれ、画素の印加電圧でみると、斜線部の分だけ印加される電圧の差が生じ、輝度差となって、図38に示すような明暗のスジとなる。このとき、図47Cにおいて、第1、第3、第5、第7、第9画素行と第2、第4、第6、第8、第10画素行でも図中の横縞部(幅1H)の分だけ印加電圧の差があるが、これらは1画素行毎の明暗となるため、表示品位にはほとんど影響を与えない。しかし、第1電圧レベルと第2電圧レベルとを均等に割り当てる第2期間の割り振りの影響は10画素行毎に見られるため、表示上明らかに確認可能な明暗のムラとなる。
よって、第1電圧レベルと第2電圧レベルとを均等に割り当てる第2期間が奇数の場合は、図48に示すように、あるフレームで第1電圧レベルを16H、第2電圧レベルを17Hの順に割り振った場合、次のフレームでは第2電圧レベルを17H、第1電圧レベルを16Hと割り振る。すなわち、連続する2つのフレームのいずれにおいても第1電圧レベルにある期間を第2電圧レベルにある期間よりも1Hだけ短くする。そうすると、あるフレームでは第1,21,41・・・画素行よりも、第12、32、52・・・画素行の方が明るくなるが、次のフレームでは第1,21,41・・・画素行の方が、第12、32、52、・・・画素行よりも明るくなり、連続する2フレームで考えると、第1、12、21、32、41、52・・・画素行で輝度レベルがそろい、スジは解消される。なお、図47Dに示すように、第2波形を第1電圧レベルおよび第2電圧レベルが1H毎に切り替わる波形にしてもよい。
本実施形態では、第2期間が水平走査期間Hの奇数倍(33H)であり、CS電圧の第2波形の実効値を1垂直走査期間内に所定の一定値にすることが困難なので、連続する2つの垂直走査期間毎に所定の一定値にするように設定している。もちろん、連続する2以上のフレーム期間毎に実効値が一定値となるように設定してもよいが、20以上のフレーム期間に亘ると実効値を一致させる効果が十分に得られない恐れがあり、なるべく短い期間で実効値を一定にすることが好ましく、4フレーム期間以下であることが好ましく、この例の場合は2フレーム期間が最短期間であり、最も好ましい。
実施形態4の液晶表示装置では、第2期間が水平走査期間の偶数倍であるので、1垂直走査期間毎に第2波形の実効値を所定の一定値にすることができるが、本実施形態のように2以上の連続する垂直走査期間毎に所定値と一致させるようにしてもよい。
(実施形態6)
TypeIIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図49A〜図49Dを参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図32(a)に示したTypeII−1の液晶表示装置である。
ここでは、V−Total=804H,V−Blank=36H,V−Disp=768Hの映像信号と、V−Total=803H,V−Blank=35H,V−Disp=768Hの映像信号とが1フレーム毎交互となった映像信号を、10相のCS電圧を使用し、CS電圧の第1波形(第1期間)が20Hの振幅周期(第1周期PA)で第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間で振幅する場合で、1Hドット反転でフレーム反転駆動をする場合についての例を示す。
CS電圧の波形は先の実施形態4および5とほぼ同じであるが、V−Totalが804Hのとき、第1期間は770Hであり、第2期間は34Hである。従って、第2期間を第1電圧レベルと第2電圧レベルとにそれぞれ17Hずつ均等に割り振ることが可能である。一方、V−Totalが803Hのときは、第1期間は770Hと変わらないが、第2期間が33Hであるため、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り当てるとそれぞれの期間は16.5Hとなる。0.5Hを割り振ることは信号処理上困難であり、回路が高価となるため、17Hと16Hに割り振ることとなる。
このとき、あるフレームが、図49Aに示すように、V−Total=804Hであった場合に、第2期間のCS電圧(第2波形)は、第1電圧レベルの期間を17H、第2電圧レベルの期間を17Hとし、次のフレームではV−Total=803Hとなるので、第2波形を第2電圧レベルの期間を17H、第1電圧レベルの期間を16Hとする(図49A)。その次のフレームではまたV−Total=804Hとなるため、第2波形は、第1電圧レベルの期間を17H、第2電圧レベル17Hとする。更に次のフレームでは再びV−Total=803Hとなるため、第2波形は、第2電圧レベルの期間を16H、第1電圧レベルの期間を17Hとする(図49B)。
図49Aおよび図49Bにおいても、第1、第3、第5、第7、第9画素行と第2、第4、第6、第8、第10画素行でも横縞部(幅1H)の分だけ印加電圧の差があるが、これらは1画素行毎の明暗となるため、表示品位にはほとんど影響を与えない。
このように、第2期間の長さが垂直走査期間毎に交互に水平走査期間の偶数倍と奇数倍とになる場合は、連続する4フレームの期間毎にCS電圧の第2波形の実効値を所定の一定値にすることによって、スジは解消され、良好な表示特性を得ることができる。もちろん、第2波形の実効値を所定の一定値にするフレーム期間を4を超えるフレーム期間とすることもできるし、第2波形も上記の波形に限られない。例えば、図49Cおよび図49Dに示すように、第2波形を第1電圧レベルおよび第2電圧レベルが1H毎に切り替わる波形にしてもよい。
(実施形態7)
TypeIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図50および図51を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図31(a)に示したTypeI−1の液晶表示装置である。
TypeIの液晶表示装置についての先の実施形態1,2および3において、CS電圧は、V−Total=803H(804H)の内の765Hを周期的な振動を繰り返す第1期間とし、第2期間は、実施形態1では38H、実施形態2では39H、実施形態3では39Hと38Hとがフレーム毎に交互に切り替わる構成とした。
第1期間の長さは上記の例に限られず、例えば、図50に示すように、V−Total=803Hの内の795Hを10Hの周期で振動を繰り返す第1期間とし、残りの8H(または9H)を第2期間としてもよい。
このようにCS電圧の振幅の周期をできるだけ揃える、言い換えると第1期間をできるだけ長くする方が表示品位および信頼性が向上する。
第1期間Aは、画素行の数をNとし、有効表示期間(V−Disp)が水平走査期間のN倍(N・H)で表されるとき、CS電圧の第1波形の振動の周期を第1周期をPAとすると、A=[Int{(N・H−PA/2)/PA}+1/2]・PA+M・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとし、Mは0以上の整数)を満足する。
N=768、PA=10Hとすると、Int{(768H−5H)/10H}=76であるから、A=765H+M・10Hとなる。
ここで、M=0のときA=765Hであり、M=3のときA=795Hとなる。第1期間(A)は当然にV−Totalよりも短いので、M=3が最大である。従って、ここで示した例では、第1期間の長さは、765H以上795H以下の範囲で適宜設定され得るが、795Hとすることが最も好ましい。
上述のCS電圧は、例えば、図51に示すCS用コントロール回路が生成するCSタイミング信号に基づいて生成される。
図51に示した液晶表示装置100は、液晶表示パネル20と、コントロール回路30と、CS用コントロール回路40とを備えている。コントロール回路30は、映像信号および同期信号を含む複合映像信号を外部から受け取り、ゲートスタートパルスGPSおよびゲートクロック信号GCKを、液晶表示パネル20およびCS用コントロール回路40に供給する。CS用コントロール回路40は、以下の工程を実行し、CSタイミング信号を液晶表示パネル20に供給する。液晶表示パネル20は、CSタイミング信号に基づいて、外部から供給される電圧を用いて、所定の電圧レベル間で振動するCS電圧を生成する。
CS用コントロール回路40は以下の工程を実行する。
まず、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間をHとして、Q・Hとなる整数Qを求める。すなわち、垂直走査期間が水平走査期間の何倍であるかを求める。Qの値は、例えば、第1行目のゲートバスラインのゲート電圧(第1ゲートスタートパルス)がハイレベルにされてから、次に第1行目のゲートバスラインのゲート電圧がハイレベルにされるまでの期間にゲート電圧がハイレベルとされる回数をカウントすることが求められる。これは例えば公知の計数回路によって行われる。ここで、2フレーム前の映像信号に対してQを求めることが好ましい。これから表示しようとしている現フレームの映像信号についてQを求めるためには、フレームメモリが必要となるので、回路が複雑化しコストが上昇する。
次に、A=〔Int{(Q−L/2)/L}+1/2〕・L・Hの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味する)を満足するAを求める。ここでは、Q=803(804)、L=10(PA=10H)であるので、A=795Hとなる。
あるいは、表示領域内の画素行の数Nが予め分かっている場合(例えばメモリに記憶させている場合)、水平走査期間をHとし、有効表示期間(V−Disp)をN・Hで表すとき、A=[Int{(N−L/2)/L}+1/2]・L・H+M・L・Hの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味し、Mは0以上の整数である)を満足するAを求めてもよい。なお、最も長いA(=795H)を求めることが好ましい。
上記のAを求める工程は、例えば公知の演算回路によって行われる。L(およびM)は例えばメモリ等に記憶させておけばよい。Mは、第1期間の長さAがV−Totalを超えない範囲で最大となるように設定することが好ましい。もちろん、Q、N、L、KおよびMは予めメモリ等に記憶させておいてもよい。また、上記の演算はソフトウェアで行ってよい。
次に、Q・H−A=BとなるBを求める。すなわち、第2期間の長さを求める。
第2期間におけるCS電圧の波形(すなわち第2波形)は、第2期間の平均値(実効値)が第1電圧レベルと第2電圧レベルの平均値と等しく設定される。第2波形が振動波形の場合、第3電圧レベルと第4電圧レベルの間を振動する波形であって、第3電圧レベルと第4電圧レベルの平均値が第1電圧レベルと第2電圧レベルの平均値と一致すればよい。但し、第3電圧レベルおよび第4電圧レベルをそれぞれ第1電圧レベルおよび第2電圧レベルと一致させれば回路構成を簡単にできる利点が得られる。また、第2波形が振動電圧でない場合は、回路が高価となるが、第5電圧レベルであって、例えば第1電圧レベルと第2電圧レベルの平均値と一致する波形を用いることができる。
また、第2波形が2H以上の周期の振動波形であって、B/Hが偶数の場合には、第1電圧レベルにある期間と、第2電圧レベルにある期間とが互いに等しく設定し、B/Hが奇数の場合には、ある垂直走査期間においては、第1電圧レベルにある期間は第2電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短く、当該垂直走査期間の次の垂直走査期間の第2期間においても、第1電圧レベルにある期間は第3電圧レベルにある期間よりも1水平走査期間分だけ短く設定すればよい。具体例は先の実施形態1〜3および本実施形態7で示した通りである。
(実施形態8)
TypeIIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図52を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図32(a)に示したTypeII−1の液晶表示装置である。
TypeIIの液晶表示装置についての先の実施形態4,5および6において、CS電圧は、V−Total=804H(803H)の内の770Hを周期的な振動を繰り返す第1期間とし、第2期間は、実施形態4では34H、実施形態5では33H、実施形態6では34Hと33Hがフレーム毎に交互に切り替わる構成とした。
第1期間の長さは上記の例に限られず、例えば、図52に示すように、V−Total=804Hの内の790Hを20Hの周期で振動を繰り返す第1期間とし、残りの14H(または13H)を第2期間としてもよい。
このようにCS電圧の振幅の周期をできるだけ揃える、言い換えると第1期間をできるだけ長くする方が表示品位および信頼性が向上する。
第1期間Aは、画素行の数をNとし、有効表示期間(V−Disp)が水平走査期間のN倍(N・H)で表されるとき、CS電圧の第1波形の振動の周期を第1周期をPAとすると、第1期間(A)は、A=[Int{(N・H−PA/2)/PA}+1/2]・PA+M・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとし、Mは0以上の整数)を満足する。
N=768、PA=20Hとすると、Int{(768H−10H)/20H}=37であるから、A=750H+M・20Hとなる。
ここで、M=0のときA=750Hであり、M=2のときA=790Hとなる。第1期間(A)は当然にV−Totalよりも短いので、M=2が最大である。従って、ここで示した例では、第1期間の長さは、750H以上790H以下の範囲で適宜設定され得るが、790Hとすることが最も好ましい。
上述のCS電圧は、例えば、実施形態7と同様に、図51に示したCS用コントロール回路が生成するCSタイミング信号に基づいて生成される。
まず、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間をHとして、Q・Hとなる整数Qを求める。
次に、A=〔Int{(Q−K・L)/(2・K・L)}+1/2〕・2・K・L・Hの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味し、Kは正の整数である)を満足するAを求める。ここでは、Q=804(803)、L=10、K=1(PA=20H)であるので、A=790Hとなる。
あるいは、表示領域内の画素行の数Nが予め分かっている場合(例えばメモリに記憶させている場合)、水平走査期間をHとし、有効表示期間(V−Disp)をN・Hで表すとき、A=[Int{(N−K・L)/(2・K・L)}+1/2]・2・K・L・H+2・M・K・L・H(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味し、Kは正の整数であり、Mは0以上の整数である)を満足するAを求めてもよい。なお、最も長いA(=790H)を求めることが好ましい。
次に、Q・H−A=BとなるBを求める。すなわち、第2期間の長さを求める。
第2期間におけるCS電圧の波形(すなわち第2波形)は、実施形態7と同様にして設定される。具体例は先の実施形態4〜6および本実施形態8で示した通りである。
(実施形態9)
TypeIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図53を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図31(a)に示したTypeI−1の液晶表示装置である。
上記実施形態1から8においては、CS電圧の第1波形の開始時点(第1期間の開始時点)は、対応する画素行のゲートバスラインのTFTがオフとされる時点よりも、第1波形の周期(第1周期PA)の半分に相当する時間以上早くなるように設定されていた。これは、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給するためである。しかしながら、CS電圧の第1波形の開始時点を対応する画素行のゲートバスラインのTFTがオフとされる時点よりも遅く設定してもよい。そのときの好ましいCS電圧の波形について説明する。
例えば、上述の実施形態7においては、V−Total=803Hの内の795Hを第1期間とし、残りの8Hを第2期間とした。この場合、CS電圧の第2期間において、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り振られる期間は4Hずつとなる。従って、図50に示したように、第1期間の開始時点を対応する画素行のTFTがオフとされる時点よりも第1周期PAの半分以上先行させれば、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができる。
しかしながら、第1期間の開始時点を対応する画素行のTFTがオフとされる時点よりも遅く、例えば1H後から第1期間を開始させると、第1画素行のGate:001のTFTがオフされた後に変化するCS電圧の電圧レベルの保持時間が4Hとなり、その他の画素行と電圧保持時間が異なることとなる。これは、第2期間において、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り振られる期間が4Hであるためである。
本実施形態の液晶表示装置では、この問題を防ぐために、第2期間において第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振る期間をそれぞれ第1周期PAの半分以上第1周期PA以下とする。
具体的には、図53に示すように、V−Total=803Hの場合、第1期間を785Hとし、残りの18Hを第2期間とし、第2期間において、第1電圧レベルの期間を9H、第2電圧レベルの期間を9Hと均等に割り振る。このようにCS電圧の波形を設定すると、図53の上段に示すCS電圧1のように、実施形態7と同様にCS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも先行させても、また、図53の下段に示すCS電圧2のように、CS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも遅らせても、いずれの場合にも、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができる。
第2期間を上述のように設定するために、必要な第1期間Aは、垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間のQ倍(Q・H)とし、第1周期をPAとすると、A=〔Int{(Q・H−3・PA/2)/PA}+1/2〕・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとする)を満足する。
ここで、Q=803、PA=10Hとすると、Int{(803H−15H)/10H}=78であるから、A=785Hとなる。
上述のCS電圧は、例えば、実施形態7と同様に、図51に示したCS用コントロール回路が生成するCSタイミング信号に基づいて生成される。
まず、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間をHとして、Q・Hとなる整数Qを求める。
次に、A=〔Int{(Q−3・L/2)/L}+1/2〕・Lの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味する)を満足するAを求める。ここでは、Q=803、L=10(PA=10H)であるので、A=785Hとなる。
次に、Q・H−A=BとなるBを求める。すなわち、第2期間の長さを求める。
第2期間におけるCS電圧の波形(すなわち第2波形)は、実施形態7と同様にして設定される。具体例は先の実施形態1〜3、7および本実施形態9で示した通りである。このようにCS電圧の第1期間をできるだけ長くしつつ、かつ、第2期間における各電圧レベルを保持する期間をPA/2以上PA以下に設定することによって、CS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも先行させても、あるいは遅らせても、いずれの場合にも、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができ、表示品位を乱すことなく、信頼性のよい表示装置を提供できる。
(実施形態10)
TypeIIの液晶表示装置の駆動方法のさらに他の例を図54を参照しながら説明する。ここで例示する液晶表示装置は、例えば、図32(a)に示したTypeII−1の液晶表示装置である。
実施形態8に示した液晶表示装置は、V−Total=804Hの内の790H期間を第1期間とし、残りの14Hを第2期間とした。この場合、CS電圧の第2期間において、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り振られる期間は7Hずつとなる。従って、図52に示したように、第1期間の開始時点を対応する画素行のTFTがオフとされる時点よりも第1周期PAの半分以上先行させれば、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができる。
しかしながら、第1期間の開始時点を対応する画素行のTFTがオフとされる時点よりも遅く、例えば1H後から第1期間を開始させると、例えば、第1画素行のGate:001のTFTがオフされた後に変化するCS電圧の電圧レベルの保持時間が7Hとなり、その他の画素行と電圧保持時間が異なることとなる。これは、第2期間において、第1電圧レベルと第2電圧レベルとに均等に割り振られる期間が7Hであるためである。
本実施形態の液晶表示装置では、この問題を防ぐために、第2期間において第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振る期間をそれぞれ第1周期PAの半分以上第1周期PA以下とする。
具体的には、図54に示すように、V−Total=824Hの場合、第1期間を790Hとし、残りの34Hを第2期間とし、第2期間において、第1電圧レベルの期間を17H、第2電圧レベルの期間を17Hと均等に割り振る。このようにCS電圧の波形を設定すると、図54の上段に示すCS電圧1のように、実施形態8と同様にCS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも先行させても、また、図54の下段に示すCS電圧2のように、CS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも遅らせても、いずれの場合にも、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができる。
第2期間を上述のように設定するために、必要な第1期間Aは、垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間のQ倍(Q・H)とし、第1周期をPAとすると、A=〔Int{(Q・H−3・PA/2)/PA}+1/2〕・PAの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味するものとする)を満足する。
ここで、Q=824、PA=20Hとすると、Int{(824H−30H)/20H}=39であるから、A=790Hとなる。
上述のCS電圧は、例えば、実施形態7と同様に、図51に示したCS用コントロール回路が生成するCSタイミング信号に基づいて生成される。
まず、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)を水平走査期間をHとして、Q・Hとなる整数Qを求める。
次に、A=〔Int{(Q−3・K・L)/(2・K・L)}+1/2〕・2・K・L・Hの関係(但し、Int(x)は任意の実数xの整数部分を意味し、Kは正の整数である)を満足するAを求める。ここでは、Q=824、L=10、K=1(PA=20H)であるので、A=790Hとなる。
次に、Q・H−A=BとなるBを求める。すなわち、第2期間の長さを求める。
第2期間におけるCS電圧の波形(すなわち第2波形)は、実施形態8と同様にして設定される。具体例は先の実施形態4〜6、8および本実施形態10で示した通りである。
このようにCS電圧の第1期間をできるだけ長くしつつ、かつ、第2期間における各電圧レベルを保持する期間をPA/2以上PA以下に設定することによって、CS電圧の第1期間の開始時点を対応するTFTがオフとされる時点よりも先行させても、あるいは遅らせても、いずれの場合にも、同じCS幹線に接続された画素行のそれぞれに対して同等のCS電圧を供給することができ、表示品位を乱すことなく、信頼性のよい表示装置を提供できる。
これまでの説明では、液晶表示装置における1垂直走査期間(ある走査線が選択され、次にその走査線が選択されるまでの期間)が表示装置に入力される映像信号の1垂直走査期間(1枚の画像(フレーム)に対応する表示データを含む時間単位)と等しい場合を説明した。
例えば、NTSC信号はインターレース信号であり、1枚の画像(フレーム)の奇数行に対応する表示データを含むフィールドと、偶数行に対応する表示データを含むフィールドとが1フレームを構成している。フレーム周波数は30Hz、1/30秒がフレーム期間であり、フィールド周波数は60Hzで、1/60秒がフィールド期間である。液晶表示装置では一般に、このNTSC信号に基づいて画像を表示する場合でも、各フィールド期間に全ての画素に表示信号を供給するノンインターレース駆動(プログレッシブ駆動)を行っている。従って、液晶表示装置に入力される映像信号の1垂直走査期間は、NTSC信号の1フィールド期間と等しく、1/60秒である。なお、液晶表示装置に入力される映像信号は、各フィールドのNTSC信号に基づいて(例えば補完することによって)作成される。
液晶表示装置の動画表示特性を改善する方法として、「倍速駆動」と呼ばれる方法がある。これは、液晶表示装置に入力される映像信号の垂直走査周波数(1垂直走査期間の逆数)のk倍(kは2以上の整数)の周波数で液晶表示装置の各画素に表示信号を書き込む駆動方法であり、液晶表示装置における垂直走査期間を入力映像信号の垂直走査期間のk分の1にする。
以下の倍速駆動に好適なマルチ画素駆動方法の説明においては、液晶表示装置における1垂直走査期間(ある走査線が選択され、次にその走査線が選択されるまでの期間)と、液晶表示装置に入力される映像信号の1垂直走査期間とを区別する必要がある。そこで、入力映像信号の1垂直走査期間は上述の表記どおりV−Totalとし、液晶表示装置における1垂直走査期間をVP−Totalとする。また、入力映像信号の1垂直走査期間V−Totalを表示エリアの画素行数N(XGAではN=768)で除した値である入力映像信号の1水平走査期間をH’とすると、入力映像信号に対してk倍の速度で駆動される液晶表示装置における1水平走査期間Hは、H’/kとなり、VP−Total=V−Total/k=N・H=N・H’/kとなる。これまでの説明は、H’=Hの場合(V−Total=VP−Total)についての駆動方法を説明したことになる。
また、液晶表示装置における1垂直走査期間VP−Totalを構成する有効表示期間をVP−Disp、垂直帰線期間をVP−Blankと呼ぶことにする。さらに、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)をフレームと呼び、液晶表示装置における垂直走査期間(VP−Total)をサブフレームと呼ぶことにする。
以下に、図55を参照して、倍速駆動方法の好ましい例を説明する。
図55は、入力映像信号の1フレーム(V−Total)が1/60秒で、最小輝度(黒)、低輝度、中間輝度、高輝度および最大輝度(白)の入力映像表示が2フレーム続けて入力される場合の表示輝度のレベル(典型的には、液晶表示装置の信号線に供給される表示信号電圧の実効値に対応)を模式的に示しており、図55(a)は従来の駆動方法であり、図55(b)は倍速駆動方法の一例である。
図55(a)に示すように、通常の駆動方法では、各フレームにおいて、入力映像信号の輝度に応じた表示輝度が得られるように表示信号電圧が印加される。これに対し、図55(b)に示す倍速駆動方法では、1つのフレームを2つのサブフレーム(1/120秒)に分割し、サブフレーム毎に表示信号電圧を印加し、サブフレーム毎に表示輝度を制御している。従来の駆動方法においては、1フレーム(V−Total)は液晶表示装置の1垂直走査期間(VP−Total)に対応し、上記の倍速駆動においてはサブフレーム(V−Total/2)が液晶表示装置の1垂直走査期間(VP−Total)に対応する。
ここで例示している倍速駆動方法においては、1つのフレームに対応する2つのサブフレームの表示輝度の組(表示信号電圧の組)は、下記の条件を満足するように設定されている。
第1の条件は、2つのサブフレームの表示輝度の平均が、入力映像信号の輝度に一致する。図55(a)に示す従来の駆動方法では、それぞれのフレームの表示輝度の値が入力映像信号の輝度に1対1で対応するのに対し、図55(b)に示した倍速駆動方法では、入力映像信号の輝度に対応するのは各フレームを構成する2つのサブフレームの表示輝度の平均である。すなわち、2つのサブフレームの表示輝度の積分値が入力映像信号の輝度に対応するように設定される。
第2の条件は、1つのフレームを構成する2つのサブフレームの表示輝度の差が異なるように各サブフレームの表示輝度が設定されている。ここで例示するように、2つのサブフレームの表示輝度の差が最大となるように各サブフレームの表示輝度が設定することが好ましい。例えば、図55(b)の低輝度および中間輝度の場合には、2つのサブフレームの内の前のサブフレームの表示輝度を最低輝度(黒)とし、後のサブフレームの表示輝度を入力映像信号の輝度の2倍の輝度としている。図55(b)の高輝度および最大輝度では、後のサブフレームはいずれも最大輝度に設定されており、前のサブフレームの表示輝度の値で、フレームの輝度の違いが表される。図示の例では、2つのサブフレームの内の前のサブフレームの輝度を小さくしているが、これとは逆に後のサブフレームの輝度を小さくしても良い。但し、2つのサブフレームの内の前のサブフレームの輝度を小さくすると、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)の変動などの映像信号の乱れが生じた場合に発生する、前のサブフレームの書き込み始め部分の映像の乱れを見え難いという利点が得られるので好ましい。
ここでは、1フレームを2つのサブフレームに分割する例を示したが、3以上のサブフレームに分割しても良い。3以上のサブフレームに分割する場合に、上記の第2の条件は、以下のように言い換えることができる。
3以上のサブフレームの内で、1フレームの中央または中央に最も近いサブフレームの輝度を最大にし、当該サブフレームから順に両側に向かって輝度が低下するように設定する。このとき、1つのフレームを構成する3以上のサブフレーム内の表示輝度差が最大となるように、他のサブフレームの表示輝度を設定することが好ましい。なお、上記の説明において、フレームにおけるサブフレームの位置は時間軸上の位置であり、例えば中央サブフレームの両側とは、中央サブフレームより時間的に前および後の両方をさす。両側のサブフレームの表示輝度は、中央サブフレームに関して対称に設定する必要はない。
このように第2の条件を満足するようにサブフレームの表示輝度を制御すると、輝度の低い表示が各フレームの間に挿入されるので、いわゆるインパルス型の駆動を行った場合に得られる動画表示品位の向上効果が得られる。一般に、インパルス駆動を行うために輝度の低い表示を挿入すると(典型的には黒挿入)、表示輝度およびコントラスト比が低下するという問題があるが、ここで例示した駆動方法は上記の第1の条件を満足するように各サブフレームの表示輝度が設定されているので、表示輝度やコントラスト比の低下がない。上述した倍速駆動の好適な例は、例えば本願出願人による特願2004−32509号(特開2005−173573、米国特許公開公報US20050162360A1)に記載されている。これらの開示内容を参考のために本明細書に援用する。
なお、図55(b)に模式的に示した表示輝度を各サブフレームで得るために液晶表示装置の信号線に供給する表示信号電圧は、典型的には、入力映像信号の輝度に対応する階調電圧であるが、これに限られない。図に模式的に示した表示輝度が得られるのであれば、印加する電圧に特に制限はない。
例えば、液晶の応答速度が遅い場合には、オーバーシュート駆動(以下、OS駆動と略す。オーバードライブ駆動と呼ばれることもある)を行うことがある。OS駆動は、特に中間調における応答速度を改善することができる。例えば、図55(b)における低輝度を表示している画素に中間輝度に対応する階調電圧を印加しても、液晶の応答速度が遅いとそのフレーム期間内(典型的には16.7msec)に所定の中間輝度に到達しない。そこで、液晶の応答特性を考慮して、当該フレーム期間内に所定の中間輝度に到達するように、表示すべき中間輝度に対応する階調電圧よりも高い電圧を印加する。このように、表示輝度を輝度が切り替わった当該フレーム期間内に所定の表示輝度(目標輝度)に到達させるために、表示すべき輝度に対応する階調電圧よりも高い電圧を印加する駆動方法をOS駆動という。もちろん、直前フレームの輝度よりも現フレームの目標輝度が低い場合には、目標輝度に対応する電圧よりも低い電圧を印加すればよい。
OS駆動においては、各信号線に供給される表示信号電圧は、入力映像信号の輝度によって決まる表示すべき輝度(目標輝度)と、直前のフレームで表示している輝度とに依存する。従って、OS駆動を行う場合、例えば、直前フレームの輝度および現フレームの輝度に応じて予め決められた表示信号電圧をルックアップテーブル(LUT)に記憶させておき、フレーム毎にLUTから所定の表示信号電圧を選択する。ここで、表示信号電圧は、典型的には、最低輝度に対応する最低階調電圧(黒電圧)から最高輝度に対応する最高階調電圧(白電圧)までの間に設定されるが、最高階調電圧よりも高い電圧を用いることもできる。
OS駆動と上述の倍速駆動とを組み合わせて用いる場合、例えば、直前フレームの輝度と現フレームの輝度との組み合わせ毎に設定された各表示信号電圧に対して、2つのサブフレームのそれぞれにおいて供給すべき表示信号電圧を上述の2つの条件を満足するように設定すればよい。サブフレーム毎に設定された表示信号電圧の組は、例えば上記と同様にLUTに記憶させておけばよい。
図55(b)に示した倍速駆動方法は、液晶層に印加される電圧の向き(典型的には対向電極の電位を基準にしたときの画素電極の電位の極性)がフレーム毎に反転するという条件も満足している。図55中に示した符号は、液晶層に印加される電圧の極性を示している。
図55(b)に示した倍速駆動方法では、1つのフレームを構成する2つのサブフレームの極性が等しい場合(+、+)→(−、−)または、2つのサブフレームの極性が互いに異なる場合(+、−)→(−、+)を取り得る。
ここで注目すべき点は、図55(a)に示した従来の駆動方法においてはフレーム毎に必ず極性が反転しているのに対し、図55(b)に示した倍速駆動方法ではサブフレーム毎に極性が反転しない場合が存在する。図55(b)に示したように、フレーム内では極性は反転しない場合と、フレーム間で極性が反転する場合とがあり得る。いずれの場合も、サブフレーム単位で見ると、同極性のサブフレームが2つ連続し、その後、サブフレームで極性が反転する。このような液晶層に印加する電圧の極性(書き込み極性)のシークエンスは、従来の駆動方法では起こらなかった。具体的には、例えば、入力映像信号の1フレーム(垂直走査期間)が2以上のサブフレームを含み、同一フレーム内のサブフレームの書き込み極性が同じで、連続するフレーム間で書き込み極性が異なる場合、例えば(+、+)→(−、−)や(+、+、+)→(−、−、−)を含み、また、同一フレーム内のサブフレームの書き込み極性が異なり、且つ、連続するフレーム間の書き込み極性も異なる場合、例えば、(+、−)→(−、+)や(+、−、+)→(−、+、−)を含む。
この極性のシークエンスは倍速駆動に特有であり、倍速駆動に上述のマルチ画素駆動を適用するのに好適な振動電圧(CS電圧)を説明する。以下の実施形態においては、k=2または3の倍速駆動について、マルチ画素駆動の好適な実施形態を説明する。ここで、「倍速駆動」は上記の例に限られず、単純に垂直走査期間だけをk倍にする駆動方法や、他の公知の倍速駆動法に広く適用できる。なお、倍速駆動であっても、同一フレーム内のサブフレームの書き込み極性が異なり、連続するフレーム間の書き込み極性は同じ場合、例えば、(+、−)→(+、−)や(+、−、+、−)→(+、−、+、−)の場合には、上述の実施形態の駆動方法において、入力映像信号の1垂直走査期間(V−Total)にかけて、液晶表示装置の垂直差走査期間、すなわちサブフレームの期間(VP−Totalをk分の1にした値)に置き換えればよいので、以下の説明では省略する。
以下に例示する倍速駆動に適した実施形態の液晶表示装置は、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)が2以上のサブフレームに分割され、各サブフレームにおいて各画素に表示信号電圧が書き込まれ、入力映像信号の連続する2つの垂直走査期間内において、表示信号電圧が同極性で書き込まれるサブフレームが2つ連続し、その後のサブフレームで表示信号電圧の極性が反転するシークエンスを含み、複数の補助容量幹線のそれぞれが供給する補助容量対向電圧は、各サブフレームにおいて、水平走査期間(H)の2以上の整数倍の第1周期(PA)で振動する第1波形と、連続する所定数の入力映像信号の垂直走査期間毎に前記補助容量対向電圧の実効値が、所定の一定値をとるように設定されている第2波形とを含み、かつ、極性が反転するサブフレーム間で、補助容量対向電圧の前記第1波形の位相が180°異なる。ある実施形態においては、入力映像信号の垂直走査期間毎に、表示信号電圧の極性が反転するとともに、補助容量電圧の前記第1波形の位相が180°ずれる。他の実施形態においては、入力映像信号の垂直走査期間毎に表示信号電圧の極性が反転し、かつ、入力映像信号の各垂直走査期間内のサブフレーム毎に、前記表示信号電圧の極性が反転するとともに、補助容量対向電圧の前記第1波形の位相が180°ずれる。
以下に、具体的な例を示して、倍速駆動に適した実施形態の液晶表示装置およびその駆動方法を説明する。
(実施形態11)
図56A〜図56Cおよび図57Aおよび図57Bを参照して、画素行数が768行(XGA)のTypeIIの液晶表示装置の駆動方法を説明する。図56A〜図56Cは、XGAのTypeIIの液晶表示装置のマトリクス構成(CSバスラインの接続形態)を示す模式図である。ここでは、10種類(10相)のCS電圧(CS1〜CS10)を用いる(K=1、L=10)。なお、上記と同様に、CS1〜CS10は、CS電圧(補助容量対向電圧)、CS幹線およびCSバスラインの参照符号としても用いる。
図57Aおよび図57Bは、図56A〜図56Cに示した液晶表示装置の駆動波形を示す模式図である。
垂直走査期間(フレーム)V−Total=806H’、有効表示期間V−Disp=768H’、垂直帰線期間V−Blank=38H’である映像信号が入力される場合に、映像信号の1フレームを2つのサブフレームに2分割する駆動方法を説明する。ここでは、V−Total=16.7msとする。また、液晶層に印加する電圧の極性は、図55(b)の上側に示したシークエンス(フレーム内は同極性、(+、+)→(−、−))で、1Hドット反転でフレーム反転を行う場合を説明するが、図55(b)の下側に示したシークエンス(フレーム内2つのサブフレームの極性が互いに異なる場合(+、−)→(−、+))にも同様に適用できる。
1フレームが806H’の映像信号(1H’=16.7[ms]/806)を2倍速で書き込むので、液晶表示装置における水平走査期間1Hは1H’/2となる。ここで、図57Aおよび図57Bに示したように、サブフレームSF1の垂直走査期間をVP−Total(SF1)、有効表示期間をVP−Disp(SF1)、垂直帰線期間をVP−Blank(SF1)とし、サブフレームSF2の垂直走査期間をVP−Total(SF2)、有効表示期間をVP−Disp(SF2)、垂直帰線期間をVP−Blank(SF2)とする。
サブフレームSF1の垂直走査期間VP−Total(SF1)=768H+38H、サブフレームSF2の垂直走査期間VP−Total(SF2)=768H+38Hとすると、1612H=806H’(すなわち、V−Total=VP−Total(SF1)+VP−Total(SF2))が成立するとともに、VP−Total(SF1)=VP−Total(SF2)が成立する。ここでは映像信号の垂直帰線期間38H’を2つのサブフレームの垂直帰線期間に38Hずつ均等に振り分けている。
サブフレームSF1において、第1画素行(図56A中のゲートバスラインGBL_1に接続された画素の行、図57Aおよび図57B中のGate:001)の第1画素が+書込み(正極性書き込み)の場合、その画素に接続されたCSバスラインのCS電圧CS1は、第1画素行のTFTがオフした後、第2電圧レベルから第1電圧レベルへと変化する(上昇)。
CS1は、例えば図57Aの例1に示すように、800Hの期間(SF1の第1期間を「A1」と表記する)に亘り10H毎に電圧レベルが切り替わり、その後、残りの6Hの期間(SF1の第2期間を「B1」と表記する)を3Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルに割り振る。すなわち、CS電圧の第1波形は、周期PA=20Hでデューティー比が1:1の振動波形であり、第2波形は周期が6Hでデューティー比が1:1の振動波形である。第1期間の長さA1(800H)は、A1=Int(Q・H/PA)・PAから求められる(ここではQ=806)。
サブフレームSF2もサブフレームSF1と同じ+書込みなので、第1画素行の第1画素に接続されたCSバスラインのCS電圧CS1は、第1画素行のTFTがオフした後、第2電圧レベルから第1電圧レベルへと変化する(上昇)ように設定されている。次のサブフレームSF1(次のフレームに属する)は逆極性の−書込み(負極性書き込み)であるため(フレーム反転)、サブフレームSF2のCS電圧CS1は、例えば例1に示すように、790Hの期間(SF2の第1期間を「A2」と表記する)に亘り振動した後、残りの16Hの期間(SF2の第2期間を「B2」と表記する)を8Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振る。すなわち、CS電圧の第1波形は、周期PA=20Hでデューティー比が1:1の振動波形であり、第2波形は周期が16Hでデューティー比が1:1の振動波形である。なお、第1期間の長さA2(790H)は、A2=[Int{(Q・H−PA/2)/PA}+1/2]・PAから求めることができる(ここではQ=806)。CS電圧CS1以外の9つのCS電圧CS2〜CS10は、既に説明したように、CS1の位相をずらすことによって得られる。
図57Aの例1に示したようなCS電圧を用いると、同極性のサブフレームが2つ連続し、その後、サブフレームで極性が反転するという極性のシークエンスが生じる倍速駆動においても、各サブフレームにおいて、全ての画素ラインに供給するCS電圧の実効値を同じにできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。
さらに、A1−A2=PA/2、B2−B1=PA/2の関係を満足するCS電圧を用いると、全てのフレームに亘って、2つのサブフレームSF1およびSF2の長さを互いに等しくできる(すなわち、A1+B1=A2+B2であり、VP−Total(SF1)=VP−Total(SF2)が成立する)ので、一層むらの無い良好な表示を得ることができる。
なお、2つのサブフレームの第2期間(B1およびB2)におけるCS電圧の波形(第2波形)は上記の例に限られない。
図57Bに示す例2のように、上記の例1と同様に、サブフレームSF1の第2期間B1を6H、サブフレームSF2の第2期間B2を16Hにした場合において、それぞれの第2期間B1およびB2のCS電圧の第2波形を0.5Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が1H)振動波形としてもよい。さらに、第2波形の周期を1Hよりも短くしてもよい。例えば、例5に示すように、それぞれの第2期間B1およびB2のCS電圧の第2波形を0.25Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が0.5H)振動波形としてもよい。このように、CS電圧の第2波形の振動の周期を1H以下とすれば、第2期間の長さB1およびB2が、水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。
また、図57Bの例3に示すように、サブフレームSF1の第2期間B1を6H、サブフレームSF2の第2期間B2を16Hにした場合において、それぞれの第2期間B1およびB2のCS電圧の第2波形を振動波形ではなく、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値で一定の波形としてもよい。このように第2期間のCS電圧値を一定値とすると、上述の例2と同様に、第2期間の長さB1およびB2が水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。但し、例3の場合は、第1電圧レベルと第2電圧レベルに加えて異なる電圧レベルが必要となるため、例2の構成を採用する場合に比べ回路が高価となる。
さらに、図57Bの例4に示すCS電圧を用いることもできる。上記の例1〜例3のCS電圧のサブフレームSF1の第1期間A1は、第1画素行のTFTがオンされる8H前から始まっているのに対し、例4のCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後から780Hの長さの第1期間A1が始まる。第1期間A1におけるCS電圧CS1の第1波形は、周期が20Hでデューティー比が1:1の振動波形である。この後に、長さが26Hの第2期間B1があり、CS電圧の第2波形は周期26Hでデューティー比が1:1の振動波形である。これに続く、サブフレームSF2は、第1期間A2の長さが770Hで、第1波形は周期が20Hでデューティー比が1:1の振動波形である。その後の第2期間B2の長さは36Hで、第2波形は、周期が36Hでデューティー比が1:1の振動波形である。
この例4のCS電圧も、A1−A2=PA/2、B2−B1=PA/2の関係を満足しており、全てのフレームに亘って、2つのサブフレームSF1およびSF2の長さを互いに等しくできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。
(実施形態12)
次に、図58A〜図58Cおよび図59Aおよび図59Bを参照して、画素行数が1080行(FullHD)のTypeIIの液晶表示装置の駆動方法を説明する。図58A〜図58Cは、FullHDのTypeIIの液晶表示装置のマトリクス構成(CSバスラインの接続形態)を示す模式図である。ここでは、12種類(12相)のCS電圧(CS1〜CS12)を用いる(K=1、L=12)。
図59Aおよび図59Bは、図58A〜図58Cに示した液晶表示装置の駆動波形を示す模式図である。
垂直走査期間(フレーム)V−Total=1125H’、有効表示期間V−Disp=1080H’、垂直帰線期間V−Blank=45H’である映像信号が入力される場合に、映像信号の1フレームを2つのサブフレームに2分割する駆動方法を説明する。ここでは、V−Total=16.7msとする。また、液晶層に印加する電圧の極性は、図55(b)の上側に示したシークエンス(フレーム内は同極性、(+、+)→(−、−))で、1Hドット反転でフレーム反転を行う場合を説明する。
1フレームが1125H’の映像信号(1H’=16.7[ms]/1125)を2倍速で書き込むので、液晶表示装置における水平走査期間1Hは1H’/2となる。サブフレームSF1の垂直走査期間VP−Total(SF2)=1080H+24H、サブフレームSF2の垂直走査期間VP−Total(SF2)=1080H+66Hとすると、2250H=1125H’(すなわち、V−Total=VP−Total(SF1)+VP−Total(SF2))が成立する。ここでは映像信号の垂直帰線期間45H’をサブフレームSF1の垂直帰線期間に24H、サブフレームSF2の垂直帰線期間に66H振り分けている。また、各サブフレームの第1期間(A1およびA2)は互いに等しく、それぞれ有効表示期間VP−Disp(SF1)およびVP−Disp(SF2)と等しい(いずれも1080H)。但し、ここでは、VP−Total(SF1)=VP−Total(SF2)の関係は成立していない。
ここで、サブフレームSF1とサブフレームSF2とは同極性の書込みであり、VP−Dispの1080HがCS振動の1周期(24H)の整数倍であるため、サブフレームSF1とサブフレームSF2との間の帰線期間(VP−Blank(SF1))を24Hのn倍とすれば、サブフレームSF1の第2期間B1の長さ(nの値)に拘わらず、12H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる振動(周期24H)を繰り返すだけでよい。すなわち、サブフレームSF1については、第1期間A1と第2期間B1とを区別する必要がない。従って、図59Aおよび図59Bにおいては、サブフレームSF1の第2期間B1は図示せず、SF1の第1期間および第2期間とSF2の第1期間との和を「第1期間A1」とし示している。
一方、サブフレームSF2の次のサブフレームSF1(次のフレームに属する)は逆極性の−書込みであるため(フレーム反転)、VP−Total(SF1)=1080H+24H、VP−Total(SF1)=1080H+66Hの場合、CS電圧CS1は、例えば例1に示すように、2244Hの期間(SF1の第1期間A1および第2期間B1とSF2の第1期間A2との和)に亘り振動した後、残りの6Hの期間(SF2の第2期間B2)を3Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振る。
従って、1フレームに亘るCS電圧の第1波形は、周期PA=24Hでデューティー比が1:1の振動波形であり、第2波形は周期が6Hでデューティー比が1:1の振動波形である。なお、第1波形である期間(SF1の第1期間A1および第2期間B1とSF2の第1期間A2との和である2244Hは、[Int{(Q・H−PA/2)/PA}+1/2)・PAから求めることができる(ここではQ=2250H)。
図59Aの例1に示したようなCS電圧を用いると、同極性のサブフレームが2つ連続し、その後、サブフレームで極性が反転するという極性のシークエンスが生じる倍速駆動においても、各サブフレームにおいて、全ての画素ラインに供給するCS電圧の実効値を同じにできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。
なお、第2期間(B2)におけるCS電圧の波形(第2波形)は上記の例に限られない。
例えば、図59Bの例2のCS電圧のように、CS電圧の第2波形を0.5Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が1H)振動波形としてもよい。さらに、第2波形の周期を1Hよりも短くしてもよい。例えば、例5に示すように、それぞれの第2期間のCS電圧の第2波形を0.25Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が0.5H)振動波形としてもよい。このように、CS電圧の第2波形の振動の周期を1H以下とすれば、第2期間の長さが、水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。
また、図59Bの例3に示すように、第2期間B2のCS電圧の第2波形を振動波形ではなく、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値で一定の波形としてもよい。このように第2期間B2のCS電圧値を一定値とすると、上述の例2と同様に、第2期間の長さB2が水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。但し、例3の場合は、第1電圧レベルと第2電圧レベルに加えて異なる電圧レベルが必要となるため、例2の構成を採用する場合に比べ回路が高価となる。
さらに、例4に示すCS電圧を用いることもできる。上記の例1〜例3のCS電圧の第1期間A1は、第1画素行のTFTがオンされる10H前から始まっているのに対し、例4のCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後から長さが2220Hの第1期間A1が始まる。第1期間A1におけるCS電圧CS1の第1波形は、周期が24Hでデューティー比が1:1の振動波形である。この後に、長さが30Hの第2期間B2があり、CS電圧の第2波形は周期30Hでデューティー比が1:1の振動波形である。
このように、サブフレームSF1とサブフレームSF2が同極性の書込みの場合、サブフレームSF1の有効表示期間とサブフレームSF2の有効表示期間との間の帰線期間(SF1の帰線期間)は、サブフレームSF1の有効表示期間+帰線期間(=第1期間A1+第2期間B1)=PA・nとなるように、映像信号の帰線期間を振り分ければよい。また、サブフレームSF1とサブフレームSF2が逆極性の書込みの場合、サブフレームSF1の有効表示期間とサブフレームSF2の有効表示期間との間の帰線期間(SF1の帰線期間)は、サブフレームSF1の有効表示期間+帰線期間(=第1期間A1+第2期間B1)=PA・(n+1/2)となるように振り分ければよい。
(実施形態13)
次に、図60Aおよび図60Bを参照しながら、画素行数が768行(XGA)のTypeIIの液晶表示装置の他の駆動方法を説明する。ここでは、10種類(10相)のCS電圧(CS1〜CS10)を用いる(K=1、L=10)。
図60Aおよび図60Bは駆動波形を示す模式図である。垂直走査期間(フレーム)V−Total=806H’、有効表示期間V−Disp=768H’、垂直帰線期間V−Blank=38H’である映像信号が入力される場合に、映像信号の1フレームを3つのサブフレームに3分割する駆動方法を説明する。ここでも、また、液晶層に印加する電圧の極性のシークエンスは、フレーム内は同極性((+、+、+)→(−、−、−))で、1Hドット反転でフレーム反転を行う場合を説明する。
1フレームが806H’の映像信号(1H’=16.7[ms]/806)を3倍速で書き込むので、液晶表示装置における水平走査期間1Hは1H’/3となる。ここで、図60Aおよび図60Bに示すように、サブフレームSF1の垂直走査期間をVP−Total(SF1)=768H+38H、サブフレームSF2の垂直走査期間をVP−Total(SF2)=768H+38H、サブフレームSF3の垂直走査期間をVP−Total(SF3)=768H+38Hとすると、2418H=806H’(すなわち、V−Total=VP−Total(SF1)+VP−Total(SF2)+VP−Total(SF3))が成立するとともに、VP−Total(SF1)=VP−Total(SF2)=VP−Total(SF3)が成立する。ここでは映像信号の垂直帰線期間38H’を3つのサブフレームの垂直帰線期間に38Hずつ均等に振り分けている。
同じフレームに属するサブフレームSF1、サブフレームSF2およびサブフレームSF3は同極性の書込みなので、例えば例1に示すように、CS電圧CS1は、800Hの期間(SF1の第1期間「A1」)に亘り10H毎に電圧レベルが切り替わり、その後、残りの6Hの期間(SF1の第2期間「B1」)を3Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルに割り振る。続いて、再び800Hの期間(SF2の第1期間「A2」)に亘り10H毎に電圧レベルが切り替わり、その後、残りの6Hの期間(SF2の第2期間「B2」)を3Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルに割り振る。
サブフレームSF3と次のサブフレームSF1(異なるフレームに属する)は逆極性の書込みとなるため、790Hの期間(SF3の第1期間「A3」)に亘り振動した後、残りの16Hの期間(SF3の第2期間「B3」)を8Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振る。すなわち、サブフレーム3におけるCS電圧の第1波形は、周期PA=20Hでデューティー比が1:1の振動波形であり、第2波形は周期が16Hでデューティー比が1:1の振動波形である。なお、第1期間の長さA3(790H)は、A3=[Int{(Q・H−PA/2)/PA}+1/2]・PAから求めることができる(ここではQ=806)。
図60Aの例1に示したようなCS電圧を用いると、同極性のサブフレームが3つ連続し、その後、サブフレームで極性が反転するという極性のシークエンスが生じる3倍速駆動においても、各サブフレームにおいて、全ての画素ラインに供給するCS電圧の実効値を同じにできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。
なお、3つのサブフレームの第2期間(B1、B2およびB3)におけるCS電圧の波形(第2波形)は上記の例に限られない。
例えば、図60Bの例2に示すように、それぞれの第2期間B1、B2およびB3のCS電圧の第2波形を0.5Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が1H)振動波形としてもよい。さらに、第2波形の周期を1Hよりも短くしてもよい。例えば、例5に示すように、それぞれの第2期間B1、B2およびB3のCS電圧の第2波形を0.25Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が0.5H)振動波形としてもよい。このように、CS電圧の第2波形の振動の周期を1H以下とすれば、第2期間の長さが、水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。
また、図60Bの例3に示すように、それぞれの第2期間B1,B2およびB3のCS電圧の第2波形を振動波形ではなく、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値で一定の波形としてもよい。このように第2期間のCS電圧値を一定値とすると、上述の例2と同様に、第2期間の長さB1,B2およびB3が水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。但し、例3の場合は、第1電圧レベルと第2電圧レベルに加えて異なる電圧レベルが必要となるため、例2の構成を採用する場合に比べ回路が高価となる。
さらに、例4に示すCS電圧を用いることもできる。上記の例1〜例3のCS電圧のサブフレームSF1の第1期間A1は、第1画素行のTFTがオンされる8H前から始まっているのに対し、例4のCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後から780Hの長さの第1期間A1が始まる。第1期間A1におけるCS電圧CS1の第1波形は、周期が20Hでデューティー比が1:1の振動波形である。この後に、長さが26Hの第2期間B1があり、CS電圧の第2波形は周期26Hでデューティー比が1:1の振動波形である。これに続く、サブフレームSF2でも780Hの第1期間A2(周期20H、デューティー比が1:1の振動)後、26Hの第2期間B2(周期26H、デューティー比が1:1の振動)を経て、サブフレームSF3へとつながる。サブフレームSF3では、770Hの第1期間A3(周期20H、デューティー比が1:1の振動)後、36Hの第2期間B3(周期36H、デューティー比が1:1の振動)を経て、サブフレームSF1へとつながる。
(実施形態14)
次に、図61Aおよび図61Bを参照しながら、画素行数が768行(XGA)のTypeIIの液晶表示装置の他の駆動方法を説明する。図61Aおよび図61Bは駆動波形を示す模式図である。垂直走査期間(フレーム)V−Total=806H’、有効表示期間V−Disp=768H’、垂直帰線期間V−Blank=38H’である映像信号が入力される場合に、映像信号の1フレームを3つのサブフレームに3分割する駆動方法を説明する。ここでは、液晶層に印加する電圧の極性のシークエンスは、フレーム内で反転((+、−、+)→(−、+、−))で、1Hドット反転でフレーム反転を行う場合を説明する(図55(b)の下段に示したシークエンスに対応する)。
図61Aおよび図61Bに示すように、サブフレームSF1、サブフレームSF2、サブフレームSF3をそれぞれ極性反転で書き込む場合、VP−Total(SF1)=768H+22H、VP−Total(SF2)=768H+22H、VP−Total(SF3)=768H+70Hと分けると、2418H=806H’(すなわち、V−Total=VP−Total(SF1)+VP−Total(SF2)+VP−Total(SF3))が成立する。ここでは映像信号の垂直帰線期間38H’をサブフレームSF1の垂直帰線期間に22H、サブフレームSF2の垂直帰線期間に22H、サブフレームSF3の垂直帰線期間に70H振り分けている。
サブフレームSF1、SF2およびSF3が極性反転でつながり、CS電圧が10相でTypeIIであるため、VP−Total(SF1)と+VP−Total(SF2)がいずれも790H(PA・(n+1/2))となる様に帰線期間を割り当て、サブフレームSF3に残りの帰線期間を割り振ると、CS電圧の波形は、サブフレームSF1からサブフレームSF3の第1期間までは、10H毎に第1レベルと第2レベルとが切り替わる振動(周期20H)を繰り返すだけで、サブフレーム間(SF1とSF2、SF2とSF3)のつながりにおける均等処理を考慮する必要が無く、SF1およびSF2に第2期間を設ける必要がない。従って、図61Aおよび図61Bにおいては、サブフレームSF1およびサブフレーム2の第2期間B1は図示せず、SF1の第1期間および第2期間と、SF2の第1期間および第2期間と、SF3の第1期間との和を「第1期間A1」とし示している。
VP−Total(SF1)=768H+22H、VP−Total(SF2)=768H+22H、VP−Total(SF3)=768+70Hの場合、例えば例1に示すように、10H毎の振動を繰り返す長さが2410Hの第1期間(A1)の後、長さが8Hの第2期間B3(4H毎に第1電圧レベルと第2電圧レベルに切り替わる)とすればよい。
図61Aの例1に示したようなCS電圧を用いると、極性が交互に反転するサブフレームが3つ連続し、その後、フレームで極性が反転するという極性のシークエンスが生じる倍速駆動においても、各サブフレームにおいて、全ての画素ラインに供給するCS電圧の実効値を同じにできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。
なお、第2期間(B3)におけるCS電圧の波形(第2波形)は上記の例に限られない。
例えば、図61Bの例2のCS電圧のように、CS電圧の第2波形を0.5Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が1H)振動波形としてもよい。さらに、第2波形の周期を1Hよりも短くしてもよい。例えば、例5に示すように、それぞれの第2期間のCS電圧の第2波形を0.25Hで第1電圧レベルと第2電圧レベルとが切り替わる(すなわち振動の周期が0.5H)振動波形としてもよい。このように、CS電圧の第2波形の振動の周期を1H以下とすれば、第2期間の長さが、水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。
また、図61Bの例3に示すように、第2期間B3のCS電圧の第2波形を振動波形ではなく、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの平均値で一定の波形としてもよい。このように第2期間B3のCS電圧値を一定値とすると、上述の例2と同様に、第2期間の長さB3が水平走査期間Hの偶数倍であっても奇数倍であっても、同じCS電圧を用いることができるという利点がある。但し、例3の場合は、第1電圧レベルと第2電圧レベルに加えて異なる電圧レベルが必要となるため、例2の構成を採用する場合に比べ回路が高価となる。
さらに、例4に示すCS電圧を用いることもできる。上記の例1〜例3のCS電圧の第1期間A1は、第1画素行のTFTがオンされる10H前から始まっているのに対し、例4のCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後から長さが2390Hの第1期間A1が始まる。第1期間A1におけるCS電圧CS1の第1波形は、周期が20Hでデューティー比が1:1の振動波形である。この後に、長さが28Hの第2期間B2があり、CS電圧の第2波形は周期28Hでデューティー比が1:1の振動波形(14H毎に振動)である。
このように、サブフレームSF1(SF2)とサブフレームSF2(SF3)が同極性の書込みの場合、サブフレームSF1(SF2)の有効表示期間とサブフレームSF2(SF3)の有効表示期間との間の帰線期間(SF1(SF2)の帰線期間)は、サブフレームSF1(SF2)の有効表示期間+帰線期間(=第1期間A1+第2期間B1)=PA・nとなるように、映像信号の帰線期間を振り分ければよい。また、サブフレームSF1(SF2)とサブフレームSF2(SF3)が逆極性の書込みの場合、サブフレームSF1(SF2)の有効表示期間とサブフレームSF2(SF3)の有効表示期間との間の帰線期間(SF1(SF2)の帰線期間)は、サブフレームSF1(SF2)の有効表示期間+帰線期間(=第1期間A1+第2期間B1)=PA・(n+1/2)となるように振り分ければよい。
(パネル分割駆動方法)
次に、液晶表示装置の表示領域を複数の領域に分割して駆動する方法(パネル分割駆動法ということもある。)について説明する。典型的には、表示領域を上下の2つの領域に分割して駆動する。パネル分割駆動方法は、各画素に表示信号電圧を書き込むための時間を分割数倍にできる(2分割すると2倍にできる)という利点がある。
通常の駆動方法と比較しながらパネル分割駆動方法を説明する。
図62はパネル分割をしない通常の駆動方法において、マルチ画素駆動を適用する場合の各信号のタイミングを模式的に示す図である。図62の上段の2つは、横軸が時間で、縦軸に表示パネル上の行方向の位置を示している。中段の図中の矢印は、表示パネルの左上から順に表示信号電圧が画素に書き込まれている(書き込みは線順次的に行われる)様子を示しており、矢印の傾きは、書き込み速度を示している。また、ここでは、入力映像信号(入力データ)の1垂直走査期間(フレーム)毎に極性が反転するフレーム反転の例を示している。図62から分かるように、通常の駆動方法では、入力データの送信速度と画素への書き込み速度が同じである。入力映像信号の垂直走査期間と液晶表示装置における垂直走査期間とが一致していることに対応する。
マルチ画素駆動を行う場合、画素に対する書き込みが行われていない期間に、即ち走査信号(ゲート)信号がオフの期間に、CS電圧の極性反転を行う必要がある。パネル分割無しの場合、図62中にハッチングで示した垂直帰線期間内の黒い実線で示した時刻でCS電圧の極性反転を行うことで上記の条件を満足することができる。
しかしながら、液晶表示装置の大型・高精細化に伴い、図62に示した従来の方法では駆動が困難となってきた。そこで、表示装置を上下に分割して駆動する方法が提案された。
図63を参照して、表示領域を上下に2分割した駆動方法およびその問題点を説明する。
図63に示した駆動方法では、1画面分のデータを受信する時間で画面の1/2を書き込めばよくなるために、書き込みに与えられる時間は2倍となる。これは、中段の図の矢印の傾きが、上段の図中の直線の傾きの1/2になっていることに対応する。
また、マルチ画素駆動を行う際の要件である、画素に対する書き込みがなされていない期間にCS電圧の極性反転を行わなければならないという要件についても、中段の図中の垂直方向の太線の部分で極性反転を行うことで達成できている。
しかしながら、図63の駆動方法では新たな問題が発生している。この問題とは、図63に示した駆動方法で動画像を表示した場合、パネル分割の継ぎ目(上下分割の境界)部分で、表示が分割されて観測されるといった問題である。この問題の原因は、パネル分割の継ぎ目の部分(画面中央部分)で画面の書き込みが一旦停止することにある。
この問題を解決するために、画面中央部分での書き込みの中断を行わない駆動方法が米国特許第6229516号明細書に開示されている。しかしながら、本発明者の検討の結果、この駆動方法と図62あるいは図63に示したマルチ画素駆動を組み合わせる場合には更なる問題が発生することがわかった。
その問題とは、マルチ画素駆動を行う際の要件である、画素に対する書き込みがなされていない期間にCS電圧の極性反転を行わなければならないという要件が達成できないことである。
図64を参照しながらこの問題を説明する。例えば、CS電圧の極性反転を図64中の垂直方向の太線で示したタイミングで行った場合、図中の○印の位置で画素への書き込みを示す矢印とCS電圧の極性反転のタイミングを示す太線とが交差している。さらに、CS電圧の極性反転のタイミングを示す太線の位置をいかに変更しようとも、画素への書き込みを示す矢印と交差を避けることはできない。したがって、マルチ画素駆動を行う要件を満足することはできない。
以下に、この問題を解決する液晶表示装置およびその駆動方法の実施形態を説明する。
以下に例示する液晶表示装置は、上述の実施形態の液晶表示装置と同様に、マルチ画素駆動するために互いに電気的に独立な複数の補助容量幹線を有し、画素は、第1表示領域(例えば上側)に属する画素と、第2表示領域(例えば下側)に属する画素とを含み、第1表示領域と第2表示領域とは互いに独立に走査され得る領域であって、複数の補助容量幹線は、第1表示領域に属する複数の第1補助容量幹線と、第2表示領域に属する複数の第2補助容量幹線とを含んでいる。
ここで、ある補助容量幹線が属する表示領域は、その補助容量幹線が電気的に接続されている補助容量対向電極を含む副画素を有する画素がどの表示領域に属するかで決まる。異なる表示領域に属する画素の補助容量対向電極に電気的に接続されている補助容量幹線はいずれに属しないとする。なお、後述するように、第1表示領域に属する画素および第2表示領域に属する画素のいずれにも電気的に接続された補助容量幹線をさらに含んでもよい。また、この場合、当該補助容量幹線が接続されている画素の内、1つの画素行(他方の表示領域に最も近い画素行)の画素だけが異なる表示領域(例えば第1表示領域)属し、他の全ての画素は同じ表示領域(例えば第2表示領域)に属する。この場合、2つの異なる表示領域に属する画素のいずれにも電気的に接続された当該補助容量幹線は、例外的な画素行を除いた他の全ての画素が属する表示領域(すなわち、第2表示領域)に属するものと扱うことが出来る。
ある実施形態において、複数の第1補助容量幹線の内の任意の1つの補助容量幹線に印加する電圧と、複数の第2補助容量幹線の内の任意の1つの補助容量幹線に印加する電圧は、同一波形であって位相が異なる電圧である。
ある実施形態において、複数の第1補助容量幹線の内の任意の1つの補助容量幹線に印加する電圧波形と、複数の第2補助容量幹線の内の任意の1つの補助容量幹線に印加する電圧波形の位相差は、1水平走査期間よりも大きく、かつ、映像信号の垂直走査期間(V−Total)よりも小さく設定されている。
例えば,図72に示すように、複数の補助容量幹線のそれぞれが供給する補助容量対向電圧は、第1電圧レベルと第2電圧レベルで構成される複数の周期を有する複数の矩形波で構成される矩形波群2つ、即ち第1矩形波群と第2矩形波群が繰り返し連結されたものであって、第1矩形波群(WI)および第2矩形波群(WII)は、それぞれ第1期間(WIAまたはWIIA)と第2期間(WIBまたはWIIB)とを含み、第1期間(WIAまたはWIIA)において各画素への書き込み走査が行われる。第1補助容量幹線に印加される補助容量対向電圧の第1期間(WIAまたはWIIA)は第1表示領域が走査される期間であって、第2補助容量幹線に印加される補助容量対向電圧の第1期間(WIAまたはWIIA)は、第2表示領域が走査される期間であり、第1矩形波群と第2矩形波群では、それぞれの第1期間内での走査時の各画素に書き込まれる表示信号電圧の極性が異なり、第2矩形波群の第1期間における波形は、第1矩形波群の第1期間の波形における第1電圧レベルを第2電圧レベルに、第2電圧レベルを第1電圧レベルに変更したものである。ここで、第1補助容量幹線が供給する第1補助容量対向電圧の第1矩形波群と第2矩形波群との連結タイミング(連結する時刻)と第2補助容量幹線が供給する第2補助容量対向電圧の第1矩形波群と第2矩形波群との連結タイミング(連結する時刻)が異なっている。
また、図72に示すように、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)が2以上のサブフレームに分割され、各サブフレームにおいて各画素に表示信号電圧が書き込まれ、入力映像信号の連続する2つの垂直走査期間内において、表示信号電圧が同極性で書き込まれるサブフレームが2つ連続し、その後のサブフレームで表示信号電圧の極性が反転するシークエンスを含み、複数の補助容量幹線のそれぞれが供給する補助容量対向電圧は、各サブフレームにおいて、水平走査期間(H)の2以上の整数倍の第1周期(PA)で振動する第1波形と、連続する所定数の入力映像信号の垂直走査期間毎に補助容量対向電圧の実効値が、所定の一定値をとるように設定されている第2波形とを含み、かつ、極性が反転するサブフレーム間で、補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化する液晶表示装置においてパネル分割構造を採用すると、複数の補助容量幹線は、第1表示領域に属する第1補助容量幹線と、第2表示領域に属する第2補助容量幹線とを含み、第1補助容量幹線が供給する第1補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングと第2補助容量幹線が供給する第2補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングが異なる。
このように、第1補助容量幹線が供給する第1補助容量対向電圧の第1矩形波群と第2矩形波群との連結タイミング(連結する時刻)と第2補助容量幹線が供給する第2補助容量対向電圧の第1矩形波群と第2矩形波群との連結タイミング(連結する時刻)が異なっている、あるいは、第1補助容量幹線が供給する第1補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングと第2補助容量幹線が供給する第2補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングが異なっていることを、以下では単純にCS電圧の極性反転のタイミングが異なるということがある。
このように、分割した表示領域ごとに異なるタイミングでCS電圧の極性反転を行うことによって、動画像表示時の分割部分の画像の不連続性を生じることなく、且つマルチ画素駆動を行う際の要件である、画素に対する書き込みがなされていない期間にCS電圧の極性反転を行わなければならないという要件を達成することができる。
典型的には、各表示領域における第1矩形波群と第2矩形波群との連結タイミング、あるいは、補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングは、全て同じである。
ある実施形態において、第1表示領域に対する垂直走査期間をVP−Total(SFU)、第2表示領域に対する垂直走査期間をVP−Total(SFL)とするとき、入力映像信号の1垂直走査期間(V−Total)=VP−Total(SFU)=VP−Total(SFL)の関係を満足する。
ある実施形態において、第1矩形波群と第2矩形波群の長さが入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)に等しい。
ある実施形態において、入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)が、第1サブフレーム(VP−Total(SF1))と第2サブフレーム(VP−Total(SF2))との和で表され、第1サブフレームにおける第1表示領域の垂直走査期間をVP−Total(SFU1)、第1サブフレームにおける第2表示領域に対する垂直走査期間をVP−Total(SFL1)とし、第2サブフレームにおける第1表示領域の垂直走査期間をVP−Total(SFU2)、第1サブフレームにおける第2表示領域に対する垂直走査期間をVP−Total(SFL2)とするとき、VP−Total(SF1)=VP−Total(SFU1)=VP−Total(SFL1)、およびVP−Total(SF2)=VP−Total(SFU2)=VP−Total(SFL2)の関係を満足し、第1矩形波群の長さがVP−Total(SF1)に等しく、第2矩形波群の長さがVP−Total(SF2)に等しい。
もちろん、図72に示したような倍速駆動に限られない。
入力映像信号の垂直走査期間(V−Total)毎に表示信号電圧の極性が反転するシークエンスを有し、複数の補助容量幹線のそれぞれが供給する補助容量対向電圧は、各垂直走査期間(V−Total)において、水平走査期間(H)の2以上の整数倍の第1周期(PA)で振動する第1波形と、連続する所定数の入力映像信号の垂直走査期間毎に補助容量対向電圧の実効値が、所定の一定値をとるように設定されている第2波形とを含み、かつ、極性が反転するのに伴って、補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化する液晶表示装置に、パネル分割構造を適用する場合、第1補助容量幹線が供給する第1補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングと第2補助容量幹線が供給する第2補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングを異ならせればよい。この場合にも、複数の第1補助容量幹線が供給する複数の第1補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングは全て同一タイミングであり、且つ、複数の第2補助容量幹線が供給する複数の第2補助容量対向電圧の第1波形の位相が180°変化するタイミングも全て同一タイミングであることが好ましい。
以下に図面を参照しながら、パネル分割駆動方法の好ましい実施形態を説明する。
(実施形態15)
図65に示す駆動方法では上下に2分割された画面のそれぞれで異なるタイミングでCS電圧の極性反転を行っている点に特徴がある。
このような構成をとることにより、上下に分割した液晶表示装置において動画像表示時の分割部分の画像の不連続性を生じることなく、且つマルチ画素駆動を行う際の要件である、画素に対する書き込みがなされていない期間にCS電圧の極性反転を行わなければならないという要件を達成することができる。このように、マルチ画素駆動用の表示パネルを上下に2分割するためには、CSバスラインも上下で2分割する必要がある。その際、画面の中央のCSバスラインは上半分または下半分のいずれかに含める。すなわち、画面の上半分と下半分とでCSバスラインの本数が1本異なることになる。
尚、図64の説明で問題としていた画面継ぎ部分での動画像の分断の問題の程度はその部分での書き込み中断の時間に依存している。図65に示すように、画面継ぎ部分での書き込み中断がない場合が理想的であるが、わずかな期間の中断であれば視認上問題ない場合もある。発明者が検討した結果、全体の書き込み時間に対して20%程度の中断時間であれば視認上の許容範囲であった。
このような許容範囲内で画面中央部で書き込みを中断する場合においても、例えば図66に示すように、CS電圧の極性を反転するタイミングを上下半画面毎に異なるように制御することが有効である。その理由は、上下各画面の書き込み休止時に行うCS電圧の極性反転タイミングを上下画面で同等にすることができ、上下画面の駆動状態を一致させることができるからである。
(実施形態16)
実施形態15の駆動方法は、パネル分割駆動で等速表示(表示装置へのデータ入力の周期と液晶表示装置の駆動の周期が等しい)場合の例であり、この場合、パネル分割駆動の効果、即ち通常の駆動と比較して液晶表示装置への書き込み時間を2倍に拡大できる効果を大型・高精細パネルの駆動に利用するものであった。
パネル分割駆動は、液晶表示装置の高速駆動(駆動周波数上昇)に利用することもできる。ここでは、上下2分割駆動を2倍速駆動に適用する例を説明する。
図67に示す駆動方法は、画素書き込み速度および画素の極性反転速度も2倍速にした例を示しており、図68は、画素の極性反転は従来どおりの等速(入力映像信号の1フレーム毎に反転)で行い、画素書き込みだけを2倍速にした例を示している。
図67および図68のいずれの駆動方法においても、画素の極性反転の毎にCS電圧の極性反転が成されており、2倍速駆動とマルチ画素駆動とが成立している。
(実施形態17)
次に、上下2分割駆動と3倍速駆動に適用する例を説明する。
図69に示す駆動方法は、画素書き込み速度および画素の極性反転速度も3倍速にした例を示しており、図70は、画素の極性反転は従来どおりの等速(入力映像信号の1フレーム毎に反転)で行い、画素書き込みだけを3倍速にした例を示している。
図69および図70のいずれの駆動方法においても、画素の極性反転の毎にCS電圧の極性反転が成されており、3倍速駆動とマルチ画素駆動とが成立している。
(実施形態18)
上述した上下2分割駆動と2倍速駆動とを組み合わせたマルチ画素駆動に好適な実施形態を説明する。
図71A〜図71Cおよび図72を参照して、画素行数が1080行(FullHD)のTypeIIの液晶表示装置の駆動方法を説明する。図71A〜図71Cは、FullHDのTypeIIの液晶表示装置のマトリクス構成(CSバスラインの接続形態)を示す模式図である。ここでは、10種類(10相)のCS電圧(CS1〜CS10)を用いる(K=1、L=10)。
図72は、図71A〜図71Cに示した液晶表示装置の駆動波形を示す模式図である。
垂直走査期間(フレーム)V−Total=1120H’、有効表示期間V−Disp=1080H’、垂直帰線期間V−Blank=40H’である映像信号が入力される場合に、映像信号の1フレームを2つのサブフレームに2分割するとともに画面を上下に2分割する駆動方法を説明する。ここでは、V−Total=16.7msとする。また、液晶層に印加する電圧の極性は、図55(b)の上側に示したシークエンス(フレーム内は同極性、(+、+)→(−、−))で、1Hドット反転でフレーム反転を行う場合を説明する。
ここで、上下2分割された画面の上半分(上側表示領域)に対応することを示す記号としてUを、画面の下半分(下側表示領域)に対応する記号としてLを用いる。上側表示領域は、図71Aに示した第1番目のゲートバスライン(GBL_1)から図71Bに示した第540番目のゲートバスライン(GBL_540)に接続された540行の画素行で構成されており、下側表示領域は、図71Bに示した第541番目のゲートバスライン(GBL_541)から図71Cに示した第1080番目のゲートバスライン(GBL_1080)に接続された540行の画素行で構成されている。図72においては上側表示領域をG001〜G540とし、下側表示領域をG’001〜G’540としている。なお、図71Bに示した第540番目のゲートバスライン(GBL_540)に接続されている画素行は上側表示領域に属し、この画素が有する2つ副画素の一方の補助容量対向電極は、上側表示領域に属する補助容量幹線CS9に補助容量配線を介して電気的に接続されている。しかしながら、この画素が有する2つ副画素の他方の補助容量対向電極は、当該画素を除き、下側表示領域に属する画素の補助容量対向電極に電気的に接続されている補助容量幹線CS1’に電気的に接続されている。
このように、TypeIIの液晶表示装置においては、複数の表示領域に分割した場合、ある表示領域に属する画素行の内で他の領域に最も近い画素行は、当該表示領域に属する補助容量幹線に電気的に接続された補助容量対向電極を有する副画素と、当該画素を除き、当該表示領域に隣接す表示領域に属する画素の補助容量対向電極に電気的に接続されている補助容量幹線に電気的に接続された補助容量対向電極を有する副画素とを備えることになる。このように異なる表示領域に属する画素の補助容量対向電極に電気的に接続されている補助容量幹線はいずれに属しないことになる。しかしながら、2つの異なる表示領域に属する画素のいずれにも電気的に接続された当該補助容量幹線は、例外的な画素行(G540)を除いた他の全ての画素が属する表示領域(ここでは第2表示領域)に属するものと扱うことが出来る。すなわち、CS1’は、実質的には下側表示領域に属する補助容量幹線として扱うことが出来る。
なお、TypeIの液晶表示装置においては、ある表示領域に属する画素の2つの副画素の補助容量対向電極は、いずれも同じ表示領域に属する補助容量幹線に接続されることになる。
1フレームが1120H’の映像信号(1H’=16.7[ms]/1120)を2倍速で書き込み、かつ、上下2分割で駆動するので、液晶表示装置における水平走査期間1Hは(1H’/2)・2、すなわち1H=1H’となる。
図72に示すように、サブフレームSF1Uの垂直走査期間VP−Total(SF1U)=540H+20H、サブフレームSF2Uの垂直走査期間VP−Total(SF2U)=540H+20H、サブフレームSF1Lの垂直走査期間VP−Total(SF1L)=540H+20H、サブフレームSF2Lの垂直走査期間VP−Total(SF2L)=540H+20Hとする。すなわち、入力映像信号の垂直帰線期間V−Blank=40H’を上下のそれぞれの2つのサブフレームに20Hずつ割り振る。
サブフレームSF1UのCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後、540H期間(第1期間)に亘って10H毎の振動を行い(周期20H)、残りの20H(第2期間)の内の12Hを6Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振り、残りの8Hを1H以下、例えば0.5Hで振動させる(周期1H)。1H以下で振動させる期間を設けることで、サブフレームSF1Uの第2期間が水平走査期間Hの奇数倍となった場合でも特別な処理をする必要がなくなる。
サブフレームSF2UのCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後、550H期間(第1期間)に亘って10H毎の振動を行い(周期20H)、残りの10H(第2期間)を1H以下、例えば0.5Hで振動させる(周期1H)。1H以下で振動させる期間を設けることで、サブフレームSF2Uの第2期間が水平走査期間Hの奇数倍となった場合でも特別な処理をする必要がなくなる。ここで、CS1〜CS6は不規則な10Hの振動となる。CS1およびCS2は540Hの期間に亘って10Hの振動を行い、最後の10Hの6H期間あと0.5Hの振動を10H行い、残りの4H一定に保つ。CS3およびCS4も同様に、540Hの期間に亘って10Hの振動を行い、最後の10Hの4H期間のあと0.5Hの振動を10H行い、残り6H期間一定に保ってもよいが、0.5Hの振動を行う前の4H期間を前の10Hの期間に連続させて14Hの期間としている。CS5およびCS6も同様に、540Hの期間に亘って10Hの振動を行い、最後の10Hの2H期間のあと0.5Hの振動を10H行い、残り8H期間一定に保ってもよいが、0.5Hの振動を行う前の2H期間を前の10H期間につけて12H期間としている。
サブフレームSF1LのCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後、CSが切り替わる10H前より540H期間に亘って10H毎の振動を行い、残りの20Hを8Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振り、(CS5’〜8’は6Hずつ)残りの4Hを1H以下、例えば0.5Hで振動させる。1H以下で振動させる期間を設けることで、サブフレームSF1Lの第2期間が水平走査期間Hの奇数倍となった場合でも特別な処理をする必要がなくなる。
サブフレームSF2LのCS電圧は、第2画素行のTFTがオフした後、CSが切り替わる10H前より550Hの期間に亘って10H毎の振動を行い、残りの10Hを1H以下、例えば0.5Hで振動させる。1H以下で振動させる期間を設けることで、サブフレームSF1Lの第2期間が水平走査期間Hの奇数倍となった場合でも特別な処理をする必要がなくなる。ここで、CS1’およびCS2’は残りの10Hのうちの8Hを4Hずつ第1電圧レベルと第2電圧レベルとに割り振り、残りの2Hを1H以下、例えば0.5Hで振動させる。
図72に示したようなCS電圧を用いると、上下2分割駆動と2倍速駆動とを組み合わせたマルチ画素駆動においても、各サブフレームにおいて、全ての画素ラインに供給するCS電圧の実効値を同じにできるので、むらの無い良好な表示を得ることができる。もちろん、上述した、上下2分割駆動の利点および2倍速駆動の利点も得られる。