以下、図面を参照しながら、本発明の第1の局面による実施形態の液晶表示装置の構成と動作を説明する。
まず、図1および図2(a)、(b)および(c)を参照する。図1は本発明の実施形態の液晶表示装置100の1画素の電極配置を模式的に示す図である。図2(a)は液晶表示装置100の全体構成を模式的に示す図であり、図2(b)は1画素の電極構造を模式的に示す図であり、図2(c)は図2(b)の2C−2C’線に沿った断面図を示す。また、参考のために従来の液晶表示装置100’の1画素の電極配置を図3(a)に、電極構造を図3(b)に、3C−3C’線に沿った断面構造を図3(c)にそれぞれ模式的に示す。
本実施形態の液晶表示装置100は、それぞれが液晶層と、液晶層に電圧を印加する複数の電極とを有する複数の画素を備え、ノーマリブラックモードで表示を行う液晶表示装置である。ここでは、TFT型の液晶表示装置を例示するが、他のスイッチング素子(例えば、MIM素子)を用いてもよい。
液晶表示装置100は、マトリクス状に配列された複数の画素10を有する。複数の画素10のそれぞれは、液晶層13と、液晶層13に電圧を印加するための画素電極18と対向電極17とを有する。対向電極17は、典型的には、全ての画素10に対して共通の1つの電極である。
本実施形態の液晶表示装置100は、複数の画素10のそれぞれが、図1に示したように、互いに異なる電圧を印加することができる第1副画素10aおよび第2副画素10bを有している。
複数の画素10のそれぞれが、ある階調gk(0≦gk≦gn、gkおよびgnは零以上の整数、gkが大きい方が輝度の高い階調を表す。)の表示を行う際に、第1副画素10aおよび第2副画素10bのそれぞれの液晶層に印加される実効電圧をV1(gk)およびV2(gk)とし、第1副画素10aおよび第2副画素10bのそれぞれの液晶層に印加される実効電圧の差をΔV12(gk)=V1(gk)−V2(gk)とすると、少なくとも0<gk≦n−1の範囲において、ΔV12(gk)>0(ボルト)であり、かつ、ΔV12(gk)≧ΔV12(gk+1)の関係を満足するように駆動される。
それぞれの画素10が有する副画素の数(画素の分割数ということもある。)は2に限られず、第1副画素10aおよび第2副画素10bと異なる電圧を印加することができる第3副画素(不図示)をさらに有してもよい。このとき、第3副画素の液晶層に印加される実効電圧をV3(gk)とし、第1副画素および第3副画素のそれぞれの液晶層に印加される実効電圧の差をΔV13(gk)=V1(gk)−V3(gk)とすると、0(ボルト)<ΔV13(gk)<ΔV12(gk)の関係を満足するようにする。勿論、それぞれの画素10が有する副画素の数は、4以上であってもよい。
なお、副画素の液晶層に印加される実効電圧は、少なくとも0<gk≦n−1の範囲において、ΔV12(gk)>ΔV12(gk+1)の関係を満足することが好ましい。すなわち、輝度が高い階調ほど、第1副画素10aと第2副画素10bとに印加される実効電圧の差が小さくなるか、あるいは、等しいことが好ましい。言い換えると、輝度が低い階調ほど(黒表示に近いほど)、第1副画素10aと第2副画素10bとに印加される実効電圧の差が大きいか、あるいは、等しいことが好ましい。それぞれの画素が、第3副画素を有する場合には、少なくとも0<gk≦n−1の範囲において、ΔV12(gk)>ΔV12(gk+1)且つΔV13(gk)>ΔV13(gk+1)の関係を満足することが好ましい。
第1副画素10aの面積は、第2副画素10bの面積と同じかそれよりも小さいことが好ましい。複数の画素のそれぞれが3以上の副画素を有する場合、最も高い実効電圧が印加される副画素(ここでは第1副画素)の面積は、最も低い実効電圧が印加される副画素(ここでは第2副画素)の面積よりも大きくないことが好ましい。すなわち、それぞれの画素10が複数の副画素SP1、SP2・・・SPnを有し、それぞれの液晶層に印加される実効電圧をV1(gk)、V2(gk)・・・Vn(gk)とすると、V1(gk)>V2(gk)・・・>Vn(gk)の関係を満足し、それぞれの副画素の面積をSSP1、SSP2、・・・SSPnとすると、SSP1≦SSP2・・・≦SSPnの関係を満足することが好ましい。
なお、V1(gk)>V2(gk)・・・>Vn(gk)の関係は、少なくとも、最低階調および最高階調を除く全ての階調(すなわち0<gk≦n−1の範囲)で成り立てば本発明の効果が得られるが、全ての階調(すなわち0≦gk≦nの範囲)で成り立つ構成としてもよい。
このように、それぞれの画素を複数の副画素に分割し、それぞれの副画素の液晶層に異なる電圧を印加すると、異なるγ特性が混合された状態で観察されるので、γ特性の視角依存性が改善される。さらに、低階調の時ほど副画素間の実効電圧差を大きく設定しているので、ノーマリブッラクモードにおける黒側(輝度が低い側)におけるγ特性を改善する効果が大きく、表示品位の改善効果が高い。
副画素10aおよび10bの液晶層に上記の関係を満足する実効電圧を印加する構成は種々の構成であり得る。
例えば、図1に示した液晶表示装置100のように構成することができる。すなわち、図3に示した従来の液晶表示装置100’においては、1つの画素10はTFT16を介して信号線14に接続された唯一の画素電極18を有しているのに対し、液晶表示装置100は、互いに異なる信号線14aおよび14bに、それぞれ対応するTFT16aおよび16bを介して接続された2つの副画素電極18aおよび18bを有している。
副画素10aおよび10bは、1つの画素10を構成するので、TFT16aおよび16bのゲートは共通の走査線(ゲート・バスライン)12に接続され、同じ走査信号によってオン/オフ制御される。信号線(ソース・バスライン)14aおよび14bには、上記の関係を満足するように信号電圧(階調電圧)が供給される。なお、TFT16aおよび16bのゲートは共用する構成にすることが好ましい。
あるいは、後に詳述するように、第1副画素および第2副画素のそれぞれが、副画素電極に電気的に接続された補助容量電極と、絶縁層と、絶縁層を介して補助容量電極と対向する補助容量対向電極とによって形成された補助容量とを有する構成においては、補助容量対向電極を第1副画素および第2副画素毎に電気的に独立とし、補助容量対向電極に供給する電圧(補助容量対向電圧という。)を変化させることによって、容量分割を利用して、第1副画素の液晶層と第2副画素の液晶層に印加される実効電圧を異ならせることが好ましい。補助容量の容量値の大きさおよび補助容量対向電極に供給する電圧の大きさを調節することによって、それぞれの副画素の液晶層に印加する実効電圧の大きさを制御することができる。
この構成を採用すると、副画素電極18aおよび18bのそれぞれに対して異なる信号電圧を印加する必要がないので、TFT16aおよびTFT16bを共通の信号線に接続し、同じ信号電圧を供給すればよい。従って、信号線の本数は、図3に示した従来の液晶表示装置100’と同じであり、信号線駆動回路の構成も従来の液晶表示装置100’で用いられるものと同じ構成を採用できる。勿論、TFT16aおよび16bは同じ走査線に接続されるので、これらのゲートを共用する構成を採用することが好ましいのは、上記の例と同じである。
本発明の液晶表示装置は、負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料を含む垂直配向型液晶層を利用する液晶表示装置に適用することが好ましい。特に、それぞれの副画素に含まれる液晶層が、電圧印加時に液晶分子が傾斜する方位角方向が互いに約90°異なる4つのドメインを含むことが好ましい(MVAモード)。あるいは、それぞれの副画素に含まれる液晶層が、少なくとも電圧印加時に軸対称配向をとる液晶層であってもよい(ASMモード)。
以下では、それぞれの副画素の液晶層が、電圧印加時に液晶分子が傾斜する方位角方向が互いに約90°異なる4つのドメインを含むMVAモードの液晶表示装置100について、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
なお、MVAモードの液晶表示装置100は、図2(a)に模式的に示すように、液晶パネル10Aと、液晶パネル10Aの両側に設けられた位相差補償素子(典型的には位相差補償板)20aおよび20bと、これらを挟むように配置された偏光板30aおよび30bと、バックライト40とを有する。偏光板30aおよび30bの透過軸(偏光軸ともいう。)は、互いに直交するように配置(クロスニコル配置)されており、液晶パネル10Aの液晶層(不図示)に電圧が印加されていない状態(垂直配向状態)において黒表示を行う。位相差補償素子20aおよび20bは液晶表示装置の視野角特性を良好にするために設けられており、公知の技術を用いて最適に設計される。具体的には、黒表示状態(gk=0)において、全ての方位角方向における斜め観測時と正面観測時との輝度(黒輝度)の差が最小となるように最適化してある。位相差補償素子20aおよび20bをこのように最適化することによって、本発明による効果がさらに顕著になる。
なお、当然のことではあるが、基板11a上には、副画素電極18aおよび18bそれぞれに所定のタイミングで所定の信号電圧を印加するために、走査線12、信号線14a、14bおよびTFT16a、16b(図1参照)、さらにはこれらを駆動するための回路等が必要に応じて形成されている。また、他方の基板11bには、必要に応じて、カラーフィルタ等が設けられる。
図2(b)および(c)を参照しながら、MVAモードの液晶表示装置100の1つの画素の構造を説明する。MVAモードの液晶表示装置の基本的な構成および動作については、例えば、特開平11−242225号公報に開示されている。
図1を参照しながら説明したように、液晶表示装置100の画素10は、2つの副画素10aおよび10bを有しており、副画素10aは副画素電極18aを有し、副画素10bは副画素電極18bを有している。図2(c)に模式的に示すように、ガラス基板11a上に形成された副画素電極18a(および18b(不図示))はスリット18sを有し、液晶層13を介して対向するように設けられている対向電極17とによって、斜め電界を生成する。また、対向電極17が設けられているガラス基板11bの表面には、液晶層13側に突き出たリブ19が設けられている。液晶層13は、負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料で構成されており、対向電極17、リブ19および副画素電極18aおよび18bを覆うように形成されている垂直配向膜(不図示)によって、電圧無印加時に略垂直配向状態をとる。リブ19の表面(傾斜した側面)および上記斜め電界によって、垂直配向した液晶分子を所定の方向に安定に倒すことが出来る。
図2(c)に示したように、リブ19はリブの中心に向かって山型に傾斜しており、液晶分子はその傾斜面に対して略垂直に配向している。従って、リブ19によって液晶分子のチルト角度(基板表面と液晶分子の長軸の成す角度)の分布が発生する。また、スリット18sは液晶層に印加される電界の方向を規則的に変化させている。その結果、このリブ19、スリット18sの作用によって電界印加時の液晶分子の配向方向は、図中に示した矢印の方向、すなわち、右上、左上、左下、右下の4方向に配向するため上下左右対称な特性を有する良好な視野角特性を得ることが出来る。なお、液晶パネル10Aの矩形の表示面は、典型的には、長手方向を左右方向に配置され、偏光板30aの透過軸は長手方向に平行に設定される。一方、画素10は、典型的には、図2(b)に示したように、画素10の長手方向が液晶パネル10Aの長手方向に直交する方向に配置される。
図2(b)に示したように、第1副画素10aおよび第2副画素10bの面積を同じにし、それぞれの副画素において、第1方向に延びる第1リブと、第1方向と略直交する第2方向に延びる第2リブとを含み、第1リブと第2リブは、それぞれの副画素内において、走査線12に平行な中心線に対して対称に配置されており、且つ、一方の副画素内のリブの配置と他方の副画素内のリブの配置とが、走査線12に直交する中心線に対して対称である配置とすることが好ましい。このような配置にすることによって、それぞれの副画素内で液晶分子が右上、左上、左下、右下の4方向に配向し、且つ、第1副画素および第2副画素を含む画素全体について、それぞれの液晶ドメインの面積が実質的に同じなるので、上下左右対称な特性を有する良好な視野角特性を得ることが出来る。この効果は、画素の面積が小さいときに顕著である。さらに、それぞれの副画素における走査線に平行な中心線の間隔が走査線の配列ピッチの約2分の1と等しい構成を採用することが好ましい。
次に、本発明による実施形態の液晶表示装置100の動作および表示特性を説明する。
まず、図3に示した液晶表示装置100’と同じ電極構成を有する従来のMVAモードの液晶表示装置の表示特性を、図4を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態の液晶表示装置100の副画素10aおよび10b(すなわち、副画素電極18aおよび18b)の液晶層に同じ実効電圧を印加した場合の表示特性は、従来の液晶表示装置と略同じになる。
図4(a)は、正面方向(N1)および右60度視角(L1)、右上60度視角(LU1)の透過率の印加電圧依存特性である。図4(b)は、図4(a)の各方向の透過率を各方向の白電圧(最高階調電圧)を印加したときの透過率を100%として規格化した規格化透過率を示す図であり、正面方向(N2)および右60度視角(L2)、右上60度視角(LU2)の規格化透過率の印加電圧依存特性を示す。なお、視角60度とは、表示面法線からの角度が60度であることを意味する。
図4(b)からわかるように、正面方向の表示特性と、右60度視角および右上60度視角の特性が異なっている。このことは、各観測方向によって表示のγ特性が異なっていることを示している。
図4(c)は、γ特性の違いをさらに明瞭に表現するためのものであり、横軸の値を横軸の値=(正面視角規格化透過率÷100)^(1/2.2)、縦軸の値をN3、L3、LU3それぞれに対応して正面階調特性=(正面視角規格化透過率÷100)^(1/2.2)、右60度視角階調特性=(右60度規格化透過率÷100)^(1/2.2)、右上60度視角階調特性=(右上60度規格化透過率÷100)^(1/2.2)として、γ特性のずれを顕在化してある。「^」はべき乗を表し、この指数がγ値に対応し、典型的な液晶表示装置では正面階調特性のγ値は2.2に設定してある。
図4(c)において、正面階調特性(N3)は縦軸の値=横軸の値であり、直線となる。一方、右60度視角階調特性(L3)および右上60度視角の階調特性(LU3)は曲線となる。この曲線(L3、LU3)の正面特性を示す直線(N3)からのずれ量が、それぞれの視角におけるγ特性のずれ量を、すなわち正面観測時と各視角(右60度視角または右上60度視角)での観測における階調表示状態のずれ量(違い)を定量的に示している。
本発明は、ノーマリブッラクモードの液晶表示装置におけるこのずれ量を低減することを目的としている。理想的には右60度視角および右上60度視角の階調特性を示す各曲線(L3、LU3)が、正面の階調特性(N3)と一致した直線となることが望ましい。以下では、図4(c)と同様に、γ特性のずれ量を示す図によって、γ特性の改善効果の程度を評価する。
本発明によって、すなわち、それぞれの画素に第1副画素および第2副画素を設け、それぞれの副画素の液晶層に異なる実効電圧V1およびV2を印加することによって、γ特性のずれが改善できる原理を、図4(b)を参照しながら説明する。但し、ここでの説明では第1副画素と第2副画素の面積は等しいとする。
従来の液晶表示装置100’では正面透過率が点NAであらわされるとき、右60度視角の透過率は、点NAと同一電圧の右60度視角の透過率を表す点LAで表される。これに対して、本発明の場合、点NAの正面透過率を得るためには第1副画素および第2副画素のそれぞれの正面透過率を点NB1および点NB2に選ぶことが出来る。ここで点NB2の正面透過率は略ゼロであり、また第1副画素と第2副画素の面積が等しいことから、点NB1の透過率は点NAの透過率の約2倍となる。また、点NB1と点NB2における実効電圧の差はΔV12である。また、本発明の場合、右60度視角の透過率は点NB1および点NB2と同一電圧の右60度視角の透過率を示す点、点LB1および点LB2の透過率の平均値を示す点、点Pとなる。
本発明による液晶表示装置の、右60度視角の透過率を示す点Pは従来の液晶表示装置100’の右60度視角の透過率を示す点LAよりも該当する正面透過率を示す点NAに近接し、γ特性のずれ量が低減される。
上記説明から、本発明の第2副画素の、右60度視角の透過率(点LB2参照)は略ゼロであることが本発明の効果を大きくしていることが理解できる、すなわち、本発明の効果を高めるためには黒表示状態で斜め方向から観測した場合の透過率が増加しないことが好ましい。この観点から、図2(a)に示した位相差補償素子20a、20bは、黒表示状態で斜め方向から観測した場合の透過率が増加しないように適宜設定することが好ましい。
本発明による実施形態の液晶表示装置100は、それぞれの画素10が有する2つの副画素10aおよび10bのそれぞれの液晶層に互いに異なる電圧を供給することによって、γ特性を改善する。このとき、副画素10aおよび副画素10bのそれぞれの液晶層に印加される実効電圧の差ΔV12(gk)=V1(gk)−V2(gk)が、ΔV12(gk)>0(ボルト)であり、かつ、ΔV12(gk)≧ΔV12(gk+1)の関係を満足するように設定する。以下では、0≦gk≦nの全ての範囲において上記関係を満足する場合を説明する(図5(b)および(c))。
図5(a)、(b)、(c)および(d)に、図1示した画素10の副画素10aの液晶層に印加される実効電圧V1と副画素10bの液晶層に印加される実効電圧V2との種々の関係を示す。
図5(a)に示す電圧印加条件Aでは、2つの副画素10aおよび10bの液晶層に同じ電圧(V1=V2)を印加する。すなわち、ΔV12(gk)=0(ボルト)である。
図5(b)に示す電圧条件Bでは、V1>V2で、且つ、ΔV12がV1によらず一定である。すなわち、電圧条件Bでは、任意の階調gkについて、ΔV12(gk)=ΔV12(gk+1)の関係を満足する。本実施形態では典型的な値としてΔV12(gk)=1.5(ボルト)としたが、無論これ以外の値をとっても良い。ΔV12(gk)の値が大きければ本発明の効果が拡大する方向にあるが、白表示時の輝度(透過率)が低下する問題がある。さらにΔV12(gk)の値が液晶表示装置の、透過率の印加電圧依存特性の閾値電圧(すなわち、図4(b)に示したVth)よりも大きくなると黒表示時の輝度(透過率)が増加し表示のコントラストを低下させる問題があるため、ΔV12(gk)≦Vthであることが好ましい。
図5(c)に示す電圧条件Cでは、V1>V2で、且つ、ΔV12がV1の増大につれて減少する。すなわち、電圧条件Cでは、任意の階調gkについて、ΔV12(gk)>ΔV12(gk+1)の関係を満足する。
本実施形態では典型的な値としてΔV12(0)=1.5(ボルト)、ΔV12(n)=0(ボルト)としたが、無論これ以外の値をとっても良い。但し、上述したように斜め観測時の表示コントラストの観点からΔV12(0)≦Vthが好ましく、白表示時の輝度の観点からはΔV12(n)=0(ボルト)が好ましい。
図5(d)に示す電圧条件Dでは、V1>V2で、且つ、ΔV12がV1の増大とともに増大する。すなわち、電圧条件Dでは、任意の階調gkについて、ΔV12(gk)<ΔV12(gk+1)となる。
本実施形態では典型的な値としてΔV12(0)=0(ボルト)、ΔV12(n)=1.5(ボルト)とした。
本発明による実施形態の液晶表示装置100では、電圧条件Bまたは電圧条件Cを満足するように、副画素10aおよび10bの液晶層に電圧が印加される。なお、図5(b)および(c)では、全ての階調に亘って、ΔV12>0の条件を満足しているが、最適階調および最高階調においては、ΔV12=0であっても良い。
図6を参照しながら、電圧条件AからDのそれぞれを用いた場合のMVAモードの液晶表示装置の階調特性を説明する。図6(a)および(b)の横軸は(正面視角規格化透過率÷100)^(1/2.2)であり、(a)の縦軸は右60度視角規格化透過率÷100)^(1/2.2)であり、(b)の縦軸は右上60度視角規格化透過率÷100)^(1/2.2)である。また、参考のために正面観測時の特性を示す直線を併記してある。
電圧条件Aは、副画素10aおよび10bの液晶層に同じ電圧(ΔV12(gk)=0)を印加する場合であり、図4に示した従来の液晶表示装置と同様に、γ特性が図6(a)および(b)に示したように大きくずれている。
また、電圧条件Dは、電圧条件BおよびCに比べて、γ特性の視角依存性の改善効果が少ない。電圧条件Dは、例えば、特開平6−332009号公報などに記載されている、従来の容量分割を用いた画素分割における電圧条件に対応するものであり、ノーマリホワイトモードの液晶表示装置における視角特性を改善する効果は有るものの、ノーマリブラックモードの液晶表示装置において、電圧条件Dを採用しても、γ特性の視角依存性を低減する効果が少ない。
上述したように、ノーマリブッラクモードの液晶表示装置におけるγ特性の視角依存性を低減するためには、電圧条件BまたはCを採用することが好ましい。
次に、図7を参照しながら、白表示時、すなわち最高階調電圧を印加したときの透過率の電圧条件による違いを説明する。
電圧条件BおよびDのいずれの場合も、電圧条件Aを採用するよりも白表示時の透過率は当然に低下する。電圧条件Cの白表示時の透過率は、電圧条件Aを採用した場合と同等であり、この点において、電圧条件Cは電圧条件BおよびDよりも好ましい。従って、γ特性の視角依存性および白表示時の透過率の両方を考慮すると、電圧条件Cが優れていると言える。
次に、副画素の面積比の好ましい条件について説明する。
本発明では副画素SP1、SP2、・・・、SPnの液晶層に印加される実効電圧がV1、V2、・・・、Vnであり、各副画素の面積がSSP1、SSP2、・・・、SSPnでありV1>V2>・・・>Vnなる関係があるとき、SSP1≦SSPnであることが好ましい。以下、この点について説明する。
図1に示した画素10において副画素10a、10bの面積をSSP1、SSP2とし、その面積比率を(SSP1:SSP2)=(1:3)、(1:2)、(1:1)、(2:1)、(3:1)とした場合のγ特性の比較を図8に示す。なお、電圧条件については上記電圧条件Cを用いた。図8(a)は、右方向のγ特性を示してあり、図8(b)には右上方向のγ特性を示してある。また、図9に、各分割比における正面透過率を示す。
図8からわかるように、印加電圧の高い副画素(10a)の面積比をより小さくするほうが、γ特性の視角依存性を改善する効果が高い。
白表示時の透過率の観点からは面積比率が(SSP1:SSP2)=(1:1)のときに最大値をとり、面積比率が不均等になるにつれて低下している。この理由は、面積比率が不均一になるのにしたがって、第1副画素または第2副画素のいずれか一方の副画素の面積が小さくなるため、良好なMVA配向が得られなくなるためである。また、このことは画素面積の小さな高精細液晶表示装置において顕著である。すなわち、面積比率は(1:1)であることが好ましいが、γ特性の視角依存性の改善効果と、白表示時透過率を考慮して、液晶表示装置の用途などに応じて、適宜調整すればよい。
次に、画素の分割数について説明する。
図1に示した液晶表示装置100では、1画素10を構成する副画素(10a、10b)の数は2つであるが、本発明はこれに限られず、副画素数を3以上にしてもよい。
図10に、副画素の数が2個および4個の場合と、画素分割しない場合のγ特性を示す。図10(a)には右方向のγ特性を、図10(b)には右上方向のγ特性を示す。また、図11には、それぞれに対応した液晶表示装置の白表示時透過率を示す。なお、1画素の面積は同じとして、電圧条件はBとした。
図10からわかるように、副画素の数を増加するにつれて、γ特性のずれ量を改善する効果が大きくなることがわかる。特に、画素分割をしない場合に比べ、副画素数を2個に変更した場合の効果が顕著であることがわかる。さらに、画素分割数を2個から4個に増やすことによってγ特性のずれ量には大きな差異はないものの、表示階調の変化に対するずれ量の変化が滑らかになり良好な特性となる。但し、図11からわかるように、分割数が多くなるほど白表示時の透過率(正面)が低下している。特に分割数を2個から4個に増やした場合、白表示時の透過率の低下は著しい。この著しい低下の主な理由は前述したように、1つの副画素の面積が著しく低下することである。分割無しの場合と分割数2個の場合での透過率の低下の主な理由は電圧条件Bを採用したことによるものである。すなわち、γ特性の視角依存性の改善効果と、白表示時透過率とを考慮して、液晶表示装置の用途などに応じて、分割数を適宜調整すればよい。
以上の結果から、画素の分割数が増加するにつれてγ特性のずれ量およびずれ形状の歪が低減され、γ特性の視角依存性が改善されることがわかる。なお、改善効果が最も顕著に見られるのは、画素分割無しの場合と画素2分割の場合(副画素数2個の場合)の差であり、副画素の数が増加することに伴う白表示時透過率の低下、および量産性の低下を考慮すると、副画素の数を2つとすることが好ましい。
図1に示した液晶表示装置100では、各副画素10aおよび10bに、それぞれ独立したTFT16aおよびTFT16bが接続されており、TFT16a、TFT16bのソース電極は、それぞれに対応する信号線14aおよび14bに接続されている。従って、液晶表示装置100においては、複数の副画素の液晶層に任意の実効電圧を印加することができる反面、信号線(14a、14b)の数が図3に示した従来の液晶表示装置100’における信号線14の数の2倍となり、信号線駆動回路の数も2倍必要となる。
これに対し、以下に説明する本発明による他の好ましい実施形態の液晶表示装置200は、従来の液晶表示装置100’と信号線の数が同じでありながら、上記電圧条件Cに類似した条件で副画素10aおよび10bの液晶層に互いに異なる実効電圧を印加することができる。
図12に、本発明による他の実施形態の液晶表示装置200の電気的な構成を模式的に示す。図1に示した液晶表示装置100の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、ここでは説明を省略する。
画素10は、副画素10a、10bに分割されており、副画素10a、10bは、それぞれTFT16a、TFT16b、および補助容量(CS)22a、22bが接続されている。TFT16aおよびTFT16bのゲ−ト電極は走査線12に接続され、ソース電極は共通の(同一の)信号線14に接続されている。補助容量22a、22bは、それぞれ補助容量配線(CSバス・ライン)24aおよび補助容量配線24bに接続されている。補助容量22aおよび22bは、それぞれ副画素電極18aおよび18bに電気的に接続された補助容量電極と、補助容量配線24aおよび24bに電気的に接続された補助容量対向電極と、これらの間に設けられた絶縁層(不図示)によって形成されている。補助容量22aおよび22bの補助容量対向電極は互いに独立しており、それぞれ補助容量配線24aおよび24bから互いに異なる補助容量対向電圧が供給され得る構造を有している。
次に、液晶表示装置200の2つの副画素10aおよび10bの液晶層に互いに異なる実効電圧を印加することが出来る原理について図を用いて説明する。
図13に、液晶表示装置200の1画素分の等価回路を模式的に示す。電気的な等価回路において、それぞれの副画素10aおよび10bの液晶層を液晶層13aおよび13bとして表している。また、副画素電極18aおよび18bと、液晶層13aおよび13bと、対向電極17(副画素10aおよび10bに対して共通)によって形成される液晶容量をClca、Clcbとする。
液晶容量ClcaおよびClcbの静電容量値は同一の値CLC(V)とする。CLC(V)の値は、副画素10a、10bの液晶層に印加される実効電圧(V)に依存する。また、各副画素10aおよび10bの液晶容量にそれぞれ独立に接続されている補助容量22aおよび22bをCcsa、Ccsbとし、これの静電容量値は同一の値CCSとする。
副画素10aの液晶容量Clcaと補助容量Ccsaの一方の電極は副画素10aを駆動するために設けたTFT16aのドレイン電極に接続されており、液晶容量Clcaの他方の電極は対向電極に接続され、補助容量Ccsaの他方の電極は補助容量配線24aに接続されている。副画素10bの液晶容量Clcbと補助容量Ccsbの一方の電極は副画素10bを駆動するために設けたTFT16bのドレイン電極に接続されており、液晶容量Clcbの他方の電極は対向電極に接続され、補助容量Ccsbの他方の電極は補助容量配線24bに接続されている。TFT16aおよびTFT16bのゲート電極はいずれも走査線12に接続されており、ソース電極はいずれも信号線14に接続されている。
図14(a)〜(f)に本発明の液晶表示装置200を駆動する際の各電圧のタイミングを模式的に示す。
図14(a)は、信号線14の電圧波形Vs、図14(b)は補助容量配線24aの電圧波形Vcsa、図14(c)は補助容量配線24bの電圧波形Vcsb、図14(d)は走査線12の電圧波形Vg、図14(e)は副画素10aの画素電極18aの電圧波形Vlca、図14(f)は、副画素10bの画素電極18bの電圧波形Vlcbをそれぞれ示している。また、図中の破線は、対向電極17の電圧波形COMMON(Vcom)を示している。
以下、図14(a)〜(f)を用いて図13の等価回路の動作を説明する。
時刻T1のときVgの電圧がVgLからVgHに変化することにより、TFT16aとTFT16bが同時に導通状態(オン状態)となり、副画素10a、10bの副画素電極18a、18bに信号線14の電圧Vsが伝達され、副画素10a、10bに充電される。同様にそれぞれの副画素の補助容量Csa、Csbにも信号線からの充電がなされる。
次に、時刻T2のとき走査線12の電圧VgがVgHからVgLに変化することにより、TFT16aとTFT16bが同時に非導通状態(OFF状態)となり、副画素10a、10b、補助容量Csa、Csbはすべて信号線14と電気的に絶縁される。なお、この直後TFT16a、TFT16bの有する寄生容量等の影響による引き込み現象のために、それぞれの副画素電極の電圧Vlca、Vlcbは概ね同一の電圧Vdだけ低下し、
Vlca=Vs−Vd
Vlcb=Vs−Vd
となる。また、このとき、それぞれの補助容量配線の電圧Vcsa、Vcsbは
Vcsa=Vcom−Vad
Vcsb=Vcom+Vad
である。
時刻T3で、補助容量Csaに接続された補助容量配線24aの電圧VcsaがVcom−VadからVcom+Vadに変化し、補助容量Csbに接続された補助容量配線24bの電圧VcsbがVcom+VadからVcom−Vadに2倍のVadだけ変化する。補助容量配線24aおよび24bのこの電圧変化に伴い、それぞれの副画素電極の電圧Vlca、Vlcbは
Vlca=Vs−Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs−Vd−2×K×Vad
へ変化する。但し、K=CCS/(CLC(V)+CCS)である。
時刻T4では、VcsaがVcom+VadからVcom−Vadへ、VcsbがVcom−VadからVcom+Vadへ、2倍のVadだけ変化し、Vlca、Vlcbもまた、
Vlca=Vs−Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs−Vd−2×K×Vad
から、
Vlca=Vs−Vd
Vlcb=Vs−Vd
へ変化する。
時刻T5では、VcsaがVcom−VadからVcom+Vadへ、VcsbがVcom+VadからVcom−Vadへ、2倍のVadだけ変化し、Vlca、Vlcbもまた、
Vlca=Vs−Vd
Vlcb=Vs−Vd
から、
Vlca=Vs−Vd+2×K×Vad
Vlcb=Vs−Vd−2×K×Vad
へ変化する。
Vcsa、Vcsb、Vlca、Vlcbは、水平書き込み時間1Hの整数倍の間隔ごとに上記T4、T5における変化を交互に繰り返す。上記T4、T5の繰り返し間隔を1Hの1倍とするか、2倍とするか、3倍とするかあるいはそれ以上とするかは液晶表示装置の駆動方法(極性反転方法等)や表示状態(ちらつき、表示のざらつき感等)を鑑みて適宜設定すればよい。この繰り返しは次に画素10が書き換えられるとき、すなわちT1に等価な時間になるまで継続される。従って、それぞれの副画素電極の電圧Vlca、Vlcbの実効的な値は、
Vlca=Vs−Vd+K×Vad
Vlcb=Vs−Vd−K×Vad
となる。
よって、副画素10a、10bの液晶層13aおよび13bに印加される実効電圧V1、V2は、
V1=Vlca−Vcom
V2=Vlcb−Vcom
すなわち、
V1=Vs−Vd+K×Vad−Vcom
V2=Vs−Vd−K×Vad−Vcom
となる。
従って、副画素10aおよび10bのそれぞれの液晶層13aおよび13bに印加される実効電圧の差ΔV12(=V1−V2)は、ΔV12=2×K×Vad(但し、K=CCS/(CLC(V)+CCS))となり、互いに異なる電圧を印加することができる。
本実施形態の図12から図14におけるV1とV2の関係を模式的に図15に示す。
図15からわかるように、本実施形態の液晶表示装置200では、V1の値が小さいほどΔV12の値が大きい、先に説明した電圧条件Cに類似した条件である。なお、ΔV12の値がV1あるいはV2に依存して変化するのは、液晶容量の静電容量値CLC(V)が電圧依存性を持っているためである。
本実施形態の液晶表示装置200のγ特性を図16に示す。図16には比較のために副画素10aと10bに同一の電圧を印加した場合のγ特性も示してある。図16より、本実施形態の液晶表示装置においてもγ特性の改善がなされていることがわかる。
ここでは、本発明の実施形態によると、ノーマリブラックモードの液晶表示装置、特に、MVAモードの液晶表示装置のγ特性を改善できることを示したが、本発明はこれに限られず、IPSモードの液晶表示装置に適用することもできる。
次に、本発明の第2の局面による実施形態の液晶表示装置を説明する。
以下では、それぞれの画素がある中間調表示状態において互いに異なる輝度を呈する少なくとも2つの副画素を有する液晶表示装置の表示における「ちらつき」を抑制することが可能な画素配列(副画素の配列)または駆動方法の好ましい形態を説明する。ここでは、上述した本発明の第1の局面による実施形態による画素分割構造を有する液晶表示装置を例に本実施形態の液晶表示装置の構成と動作を説明するが、画素配列によって得られる効果は画素分割の仕方に限られず、他の画素分割構造を有する液晶表示装置に適用することもできる。
まず、液晶表示装置における「ちらつき」の問題を説明する。
典型的な液晶表示装置では、信頼性の問題の観点から画素の液晶層に印加される電圧が交流電圧となるように設定してある(「交流駆動法」といわれることがある。)。すなわち、画素電極と対向電極との電位の大小関係が一定時間毎に反転し、液晶層に印加される電界の向き(電気力線の向き)が一定時間毎に反転するように設定されている。対向電極と画素電極とを異なる基板に設けた典型的な液晶表示装置では、液晶層に印加される電界の向きは光源側から観測者側、観測者側から光源側へと反転する。
液晶層に印加される電界の向きの反転の周期は、典型的にはフレーム期間(例えば16.667ms)の2倍(例えば33.333ms)である。すなわち、液晶表示装置では表示する1枚の画像(フレーム画像)毎に液晶層に印加される電界の向きが反転していることになる。従って、静止画を表示する場合、各々の電界の向きで電界強度(印加電圧)を正確に一致してなければ、すなわち、電界の向きが変わるたびごとに電界強度が変化すれば、電界強度の変化に伴って画素の輝度が変化してしまい、表示がちらつくといった問題が発生する。
このちらつきを防止するためには、各々の電界の向きの電界強度(印加電圧)を正確に一致させる必要がある。しかしながら、工業的に生産される液晶表示装置においては、各々の電界の向きについて電界強度を正確に一致させることは困難であるため、表示領域内に互いに異なる電界の向きを有する画素を隣接して配置することにより、画素の輝度が空間的に平均される効果を利用することによって、ちらつきを低減している。この方法は、一般的には、「ドット反転」あるいは「ライン反転」と呼ばれている。なお、これらの「反転駆動」には、反転する画素周期が1画素単位での市松模様状の反転(1行毎および1列毎の極性反転)のもの(1ドット反転)、あるいは1ライン状の反転(1行毎の反転)のもの(1ライン反転)だけでなく、2行毎および1列毎の極性反転(2行1列ドット反転)等様々な形態があり、必要に応じて適宜設定される。
上述したように、高品位の表示を実現するためには、(1)液晶層に印加される電界の向きが一定時間毎に、例えばフレーム期間毎に反転する交流駆動とすること、(2)各々の電界の向きにおいて液晶層に印加される電圧(あるいは液晶容量に充電される電荷量)、および補助容量に充電される電荷量をできるだけ一致させること、(3)垂直走査期間(例えばフレーム期間)において、液晶層に印加される電界の向き(「電圧の極性」ということもある。)の異なる画素を隣接して配置する、という3つの条件を満足することが好ましい。なお、「垂直走査期間」とは、ある走査線が選択され、次にその走査線が選択されるまでの期間と定義することにする。1垂直走査期間は、ノンインターレース駆動においては1フレーム期間であり、インターレース駆動においては1フィールド期間に対応する。また、各垂直走査期間内において、ある走査線を選択する時刻と、その次の走査線を選択する時刻との差(期間)を1水平走査期間(1H)という。
上述した本発明の実施形態による液晶表示装置は、1つの画素を少なくとも2つの副画素に分割し、且つそれら副画素の輝度(透過率)を積極的に異ならせることによって、視野角特性に優れた表示を実現している。本発明者が検討した結果、1つの画素を異なる輝度を呈する複数の副画素に分割した場合、上記3つの条件に加えて、副画素の配置に関する第4の条件を満足することが好ましい。具体的には、積極的に輝度を異ならせた副画素の輝度順位(輝度の大小関係の順位)を可能な限りランダムに配置することが好ましい。表示上最も好ましいのは、輝度順位の等しい副画素が互いに列方向、および行方向に隣接しない配置である。言い換えれば、表示上最も好ましいのは、輝度順位の等しい副画素を市松状に配置することである。
以下に、上述した本発明による実施形態の液晶表示装置に適した駆動方法および画素配列ならびに副画素配列について説明する。
図17および図18を参照しながら、本発明による実施形態の液晶表示装置の駆動方法の一例を以下に説明する。
以下の説明では、図17に示すように、複数の行(1〜rp)および複数の列(1〜cq)を有するマトリクス状(rp、cq)に配列され、それぞれの画素P(p、q)、(ただし、1≦p≦rp、1≦q≦cq)が2つの副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)を有する例を説明する。図17は、本実施形態の液晶表示装置の信号線S−C1、S−C2、S−C3、S−C4・・・S−Ccq、走査線G−L1、G−L2、G−L3、・・・G−Lrpおよび補助容量配線CS−AおよびCS−Bと、各画素P(p、q)および各画素を構成する副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)の相対的な配置の一部分(8行6列)を模式的に示す模式図である。
図17に示したように、1つの画素P(p、q)は画素の中央付近を水平に貫く走査線G−Lpの上下に副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)を有している。すなわち、副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)は各画素において列方向に配列されている。それぞれの副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)の補助容量電極の一方(不図示)は、隣接の補助容量配線CS−AまたはCS−Bに接続されている。また、各画素P(p、q)に表示画像に応じた信号電圧を供給する信号線S−Cqは図面上で各画素の間に垂直に(列方向に)延びるように設けられており、各信号線の右隣の副画素(画素)が各々有するTFT素子(不図示)に信号電圧を供給する構成となっている。図17に示した構成は、一本の補助容量配線、または一本の走査線を2つの副画素で共有する構成であり、画素の開口率を高くできる利点を有している。
図17に示した構成を有する液晶表示装置を駆動するための各種電圧(信号)の波形を図18(a)〜(j)に示す。図17の構成を有する液晶表示装置を図18(a)〜(j)の電圧波形を有する電圧で駆動することによって、上記4つの条件を満足することができる。
次に、本実施形態の液晶表示装置において、上記4つの条件が満足されていることを説明する。以下の説明では、説明の簡略化のために、全ての画素がある中間調を表示している状態を示している。
図18(a)は信号線S−C1、S−C3、S−C5・・・(奇数番目の信号線の群をS−Oと呼ぶこもとある)に供給される表示信号電圧波形(ソース信号電圧波形)、図18(b)は信号線S−C2、S−C4、S−C6・・・(偶数番目の信号線の群をS−Eと呼ぶこもとある)に供給される表示信号電圧波形、図18(c)は補助容量配線CS−Aに供給される補助容量対向電圧波形、図18(d)はCS−Bに供給される補助容量対向電圧波形、図18(e)は走査線G−L1に供給される走査電圧波形、図18(f)は走査線G−L2に供給される走査電圧波形、図18(g)は走査線G−L3に供給される走査電圧波形、図18(h)は走査線G−L4に供給される走査電圧波形、図18(i)は走査線G−L5に供給される走査電圧波形、図18(j)は走査線G−L6に供給される走査電圧波形をそれぞれ示す。ある走査線の電圧がローレベル(VgL)からハイレベル(VgH)に切替わる時刻から、その次の走査線の電圧がVgLからVgHに切替わる時刻までの期間が1水平走査期間(1H)である。また、各走査線の電圧がハイレベル(VgH)になっている期間を選択期間PSと呼ぶこともある。
ここでは、全ての画素が、ある中間調表示をしている場合を示しているので、図18(a)および(b)に示した表示信号電圧は全て一定振幅の振動波形となっている。また、表示信号電圧の振動の周期は2水平走査期間(2H)としている。表示信号電圧が振動しているのは、また信号線S−O(S−C1、S−C3・・・)の電圧波形と、信号線S−E(S−C2、S−C4・・・)の電圧波形の位相が互いに180度異なっているのは、上記3つの目条件を満足するためである。一般に、TFT駆動では信号線の電圧がTFT素子を介して画素電極に伝達される際には走査電圧波形の変化の影響を受けて変化する現象(引き込み現象と呼ばれることもある)が発生する。ここで、対向電圧の設定はこの引き込み現象を考慮して、信号線の電圧波形が画素電極に伝達された後の電圧波形の略中心値となるように設定してあり、図18(a),(b)において画素電極の電圧波形が対向電圧よりも高い電圧に対応する信号電圧には記号+を、画素電極の電圧波形が対向電圧よりも低い電圧に対応する信号電圧には記号−を付記してある。この+、−の記号は、液晶層に印加される電界の向きに対応しており、+と−では各々液晶層に印加されている電界の向きが反転している。
前述の図12から図15を参照しながら説明したように、ある走査線の走査電圧がVghのときこの走査線に接続されているTFTがオン状態となり、このTFTに接続されている副画素に、対応する表示信号電圧が供給される。ついで、走査線の電圧がVglとなった後に補助容量対向電圧が変化し、且つ、この補助容量対向電圧の変化量(変化方向、変化量の符号を含む)が2つの副画素に対して互いに異なっているので、副画素に印加される実効的な電圧が変化する。
図18(c)および(d)に示したように、ここでは、補助容量配線CS−AおよびCS−Bの補助容量対向電圧の振動の振幅および周期がともに、同一の値例えば、Vadの2倍(図14参照)および1Hであり、且つCS−A、CS−Bのいずれか一方の振動波形の位相を180度ずらすと他方の振動波形と一致する。すなわち、位相が0.5Hだけずれている。各副画素電極の平均的な電圧は、対応する走査線の電圧がVghからVglに変化した後、対応する補助容量配線の最初の電圧変化が増加の場合には、対応する走査線の電圧がVghの時の対応する信号線の表示信号電圧よりも増加し、対応する補助容量配線の最初の電圧変化が低下の場合には、対応する走査線の電圧がVghの時の対応する信号線の表示信号電圧よりも低下する。
その結果、図18(a)および(b)において表示信号電圧に付した記号が+の時には、補助容量配線の上記電圧変化が増加方向の場合、液晶層に印加される実効的な電圧は、上記電圧変化が減少方向の場合よりも高くなる。他方、図18(a)および(b)において表示信号電圧に付した記号が−の時には補助容量配線の上記電圧変化が増加方向の場合の液晶層に印加される実効的な電圧は、上記電圧変化が減少方向の場合よりも低くなる。
図17には、ある垂直走査期間(ここではフレーム期間)における各画素P(p、q)と副画素SPa(p、q)およびSPb(p、q)の状態を示している。各副画素に対応する走査線に対称に記してある次の3つの記号により、それぞれの副画素の状態を示している。
第1番目の記号HまたはLは、副画素の実効的な印加電圧の大小関係を示しており、記号Hは実効印加電圧が高いことを示しており、記号Lは実効印加電圧が低いことを示している。第2番目の記号+または−は、対向電極と副画素電極の電圧の大小関係、すなわち各副画素の液晶層に印加された電界の向きを示しており、記号+は対向電極の電圧よりも副画素電極の電圧が高いことを示し、記号−は対向電極の電圧よりも副画素電極の電圧が低いことを示している。第3番目の記号AまたはBはそれぞれ対応する補助容量配線がCS−AまたはCS−Bであることを示している。
例えば、画素P(1、1)の副画素SPa(1、1)およびSPb(1、1)の状態をみる。図18(a)および(e)からわかるように、GL−1が選択される期間(VgHである期間PS)の表示信号電圧は、「+」である。また、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化したときの、それぞれの副画素に対応する補助容量配線の電圧は、図18(c)および(d)に矢印(左から1番目の矢印)で示した位置の状態にある。従って、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPa(1、1)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(c)からわかるように、増加(これを「U」として示している。)である。一方、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPb(1、1)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(d)からわかるように、減少(これを「D」として示している。)である。従って、SPa(1、1)の実効電圧は増加し、SPb(1、1)の実効電圧は減少する。ゆえに、SPa(1、1)の実効的な印加電圧はSPb(1、1)のそれよりも大きくなり、SPa(1、1)に記号HがSPb(1、1)に記号Lが付記されることとなる。
図18(b)によればP(1、2)のSPa(1、2)およびSPb(1、2)では、GL−1が選択される期間の表示信号電圧は、「−」である。また、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化したときの、それぞれの副画素に対応する補助容量配線の電圧は、図18(c)および(d)に矢印(左から1番目の矢印)で示した位置の状態にある。従って、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPa(1、2)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(c)からわかるように、増加(「U」)である。一方、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPb(1、2)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(d)からわかるように、減少(「D」)である。従って、SPa(1、2)の実効電圧は減少し、SPb(1、2)の実効電圧は増加する。ゆえに、SPa(1、2)の実効的な印加電圧はSPb(1、2)のそれよりも小さくなり、SPa(1、2)に記号LがSPb(1、2)に記号Hが付記されることとなる。
さらに、図18(a)によればP(2、1)のSPa(2、1)およびSPb(2、1)では、GL−2が選択される期間の表示信号電圧は、「−」である。また、GL−2の走査電圧がVgHからVgLに変化したときの、それぞれの副画素に対応する補助容量配線の電圧は、図18(c)および(d)に矢印(左から2番目の矢印)で示した位置の状態にある。従って、GL−1の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPa(2、1)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(d)からわかるように、減少(「D」)である。一方、GL−2の走査電圧がVgHからVgLに変化した後の、SPb(2、1)の補助容量対向電圧の最初の電圧変化は、図18(c)からわかるように、増加(「U」)である。従って、SPa(2、1)の実効電圧は増加し、SPb(2、1)の実効電圧は減少する。ゆえに、SPa(2、1)の実効的な印加電圧はSPb(2、1)のそれよりも大きくなり、SPa(2、1)に記号HがSPb(1、2)に記号Lが付記されることとなる。このようにして、図17に示す各副画素状態が得られることがわかる。
本実施形態の液晶表示装置は、第1の条件を満足するように駆動することができる。
図17および図18は、あるフレーム期間内の状態を示しているため、これらの図から第1の条件を満足するか否かを評価することは出来ないが、例えば、図18に示したフレームの次のフレームで各信号線(S−O(図18(a))あるいはS−E(図18(b)))の電圧波形の位相をそれぞれ180度ずらすことにより、液晶層に印加される電界の向きがフレーム期間毎に反転する交流駆動とすることができる。
さらに、本実施形態の液晶表示装置では、それぞれの画素における各副画素の実効印加電圧大小の関係の、言い換えると、副画素の輝度の大きさの順位の表示画面内での配置(図17における記号「H」と「L」の位置関係)がフレーム毎に変化しないようにするために、信号線の電圧波形の位相をずらすのに伴って、補助容量配線CS−AおよびCS−Bの電圧波形の位相も180度ずらす。このようにすると、図17に示した次のフレームでは、図17における記号「+」と記号「−」とを入れ替えた状態が実現される(例えば、(+、H)⇔(−、H)、(+、L)⇔(−,L))。このように、上述した第1の条件を満足することができる。
次に、第2の条件を満足するか否か、すなわち、各々の電界の向きにおいて各副画素の液晶層(および各副画素に対応する補助容量)に充電される電荷量が一致するか否かを検討する。ここで、本実施形態の液晶表示装置においては、各画素が液晶層への実効印加電圧の異なる副画素を有しているが、表示のチラツキといった表示品位に支配的な影響を与えるのは輝度順位の高い副画素、即ち図17において記号「H」を付記した副画素であるため、特に 記号「H」を付記した副画素に対して第2の条件が課せられることになる。
第2の条件に関して、図18に示した各電圧波形を参照しながら説明する。
副画素の液晶容量および補助容量が充電されるのは、対応する走査線の電圧がVghの期間(選択期間PS)である。また、液晶容量に充電される電荷量は選択期間における信号線の表示信号電圧と対向電圧(図18中不図示)との電圧差に依存し、補助容量に充電される電荷量は選択期間における信号線の表示信号電圧と補助容量配線の電圧(補助容量対向電圧)との電圧差に依存する。
図18(a)および(b)に示したように、各選択期間における信号線の表示信号電圧は、図中に+または−の記号を付した2種類の電圧が存在するが、いずれの場合も、選択期間内においては電圧変化が無い。なお、対向電圧については図示していないが、ここでは全ての副画素に対して同一の電圧で、且つ時間的に電圧変化しない直流電圧とした。
補助容量配線はCS−AとCS−Bの2種類が存在する。CS−Aの電圧波形は、いずれの走査線の選択期間においても同一波形である。同様にCS−Bの電圧波形もまたいずれの走査線の選択期間においても同一波形である。すなわち、いずれの走査線の選択期間においても、補助容量配線の電圧の直流成分(DCレベル)値が同一の値となる。
従って、各信号線の表示信号電圧、対向電極の電圧、および各補助容量配線の電圧の直流成分(DCレベル)を適宜設定することにより第2の条件を満足することができる。
次に、第3の条件を満足するか否か、すなわち、各フレーム期間において極性の異なる画素が隣接して配置されているか否かを検証する。ただし、本実施形態の液晶表示装置においては、各画素が液晶層への実効印加電圧の異なる副画素を有しているので、画素について第3の条件が課せられるのに加え、実効印加電圧の等しい副画素同士に対しても第3の条件が課せられる。とりわけ、上記第2の条件の場合同様、輝度順位の高い副画素、即ち図17において記号「H」を付した副画素に対して第3の条件を満たすことが重要となる。
図17に示したように、各画素の極性(電界の向き)を示す記号「+」および「−」は行方向(水平方向)には、例えば(+、−)、(+、−)、(+、−)と2画素(2列)周期で反転しており、列方向(垂直方向に)にも、例えば、(+、−)、(+、−)、(+、−)、(+、−)と2画素(2行)周期で反転している。すなわち、画素単位でみるとドット反転と呼ばれる状態を呈しており、第3の条件を満足している。
次に、輝度順位の高い副画素、即ち図17において記号「H」を付した副画素について確認する。
図17に示したように、行方向には、例えば第1行のSPaを見ると、+H、+H、+Hと極性反転は見られないが、列方向には、例えば第1列を見ると、(+H、−H)、(+H、−H)、(+H、−H)、(+H、−H)と2画素(2行)周期で極性反転している。すなわち、とりわけ重要な輝度順位の高い副画素単位でみるとライン反転と呼ばれる状態を呈しており、第3の条件を満たしている。記号Lの副画素も同様の規則性をもって配置されており、第3の条件を満足している。
次に、第4の条件について検討する。第4の条件は、積極的に輝度を異ならせた副画素の内で輝度順位が同じ副画素ができるだけ互いに隣接しないように配置することである。
本実施形態において積極的に輝度を異ならせた副画素、すなわち液晶層に印加される実効印加電圧を積極的に異ならせた副画素は、図17において記号HまたはLで示されている。
図17において、行方向に2つ列方向に2つ合計4個の副画素単位(例えば、SPa(1、1)、SPb(1、1)、SPa(1、2)、SPb(1、2))を見ると、行方向にH、L、改行してL、Hと配置された副画素郡が全面に敷き詰められた配置となっている。すなわち、図17に示した配置では、HおよびLの記号が副素単位で市松模様状に配置された構造となっており、第4の条件を満たしていることがわかる。
この配置を画素単位についてみると、各画素における副画素の輝度の大きさの順位と、副画素の列方向の配列における位置との対応関係は、任意の行の画素においては行方向に所定の周期で変化(ここでは1画素ごとに反転)し、任意の列の画素においては一定である。すなわち、任意の行の画素P(p、q)において最高輝度を呈する副画素(ここでは「H」で示される副画素)は、qが奇数の画素ではSPa(p、q)であり且つqが偶数の画素ではSPb(p、q)である。もちろん、逆に、qが奇数の画素ではSPb(p、q)であり且つqが偶数の画素ではSPa(p、q)であってもよい。一方、任意の列の画素P(p、q)において最高輝度を呈する副画素は、pが奇数が偶数かに関わらず同一列では同一の副画素SPa(p、q)もしくはSPb(p、q)である。ここで、SPa(p、q)もしくはSPb(p、q)をとるとしたのは、たとえば奇数列ではpの値が偶数か奇数かにかかわらずSPa(p、q)であり、偶数列ではpの値が偶数か奇数かにかかわらずSPb(p、q)であるからである。
このように、図17および図18を参照ながら説明した本実施形態の液晶表示装置は、上述した4つの条件を全て満足するので、高品位の表示を実現することができる。
次に、図19および図20を参照しながら、画素および副画素の駆動方法が異なる他の実施形態の液晶表示装置を説明する。図19および図20(a)から(j)はそれぞれ図17および図18(a)から(j)に対応する図である。
図20(a)から(d)に示したように、この実施形態の液晶表示装置においては、表示信号電圧、補助容量対向電圧が2H毎で振動する、すなわち振動の周期が4H時間である。また、奇数番の信号線S−O(S−C1、S−C3、S−C5・・)と偶数番の信号線S−E(S−C2、S−C4、S−C6・・・)の信号電圧の振動の位相は180度(2H時間)異なっており、補助容量配線CS−AとCS−Bの電圧の振動の位相もまた180度(2H時間)異なっている。さらに、信号線S−Oの電圧の振動の位相は、補助容量配線CS−Aの電圧の振動に対して45度(1/8周期、すなわちH/2)遅れている。但し、この45度の位相差は、走査線の電圧がVgHからVgLに変化する時刻と、補助容量線の電圧が変化する時刻とが重ならないために設定されたものであり、この値に限らず適宜設定することができる。
本実施形態の液晶表示装置においても、全ての画素が積極的に輝度を異ならせた2つの副画素、記号HまたはLを記した副画素で構成されている。さらに、図19に示すように記号HまたはLと記した副画素は市松模様状に配置されており、上述の実施形態と同様に、第4の条件を満足していることがわかる。また、第1の条件に関しては、図17、図18で説明した上述の実施形態と同様の反転手法を採用することによって、満足することができる。
しかしながら、図19および図20に示す実施形態では上述の第2の条件を満足することはできない。
図19の第1列の1〜4行の画素P(1,1)、P(2,1)、P(3,1)、P(4,1)の輝度順位の高い副画素Pa(1,1)、Pa(2,1)、Pa(3,1)、Pa(4,1)について考える。Pa(1,1)の充電時、即ちG−L1が選択状態にあるとき対応する信号線の極性記号は+であり、Pa(3,1)の充電時、即ちG−L3が選択状態にあるとき対応する信号線の極性記号は−である。また、Pa(1,1)の充電時、即ちG−L1が選択状態にあるとき対応する補助容量線CS−Aの電圧波形は選択期間の略中央の時刻を境に階段状に減少する波形であり、Pa(3,1)の充電時、即ちG−L3が選択状態にあるとき対応する補助容量線CS−Aの電圧波形は選択期間の略中央の時刻を境に階段状に増加する波形である。従って、補助容量線CS−Bと走査線の信号電圧波形の位相を精密に制御することで、Pa(1,1)充電時とPa(3,1)の充電時の補助容量対向電極のDCレベルを一致させることは可能であり、このDCレベルをPa(1,1)の充電時の補助容量電極の電圧(副画素電極の電圧と同一)とPa(3,1)の充電時の補助容量電極の電圧(副画素電極の電圧と同一)の平均の電圧に設定することによりPa(1,1)とPa(3,1)の補助容量への電荷の充電量を一致させることができる。次に、Pa(2,1)に注目すれば、対応する期間、即ちG−L2が選択状態にあるとき、対応する信号線の極性記号は−(前述のPa(3,1)と同一)であり、対応する補助容量線の電圧は時間によらず一定値(前述のような振動波形ではなく)である。従って、Pa(2,1)に対応する補助容量線の電圧値(上記一定値)を上記Pa(1,1)、Pa(3,1)の説明で示したDCレベルと一致させることにより、Pa(1,1)とPa(3,1)に加えてPa(2,1)の補助容量への電荷の充電量も一致させることができる。しかしながら、このときPa(4,1)の補助容量への電荷の充電量をPa(1,1)、Pa(2,1)およびPa(3,1)に一致させることは以下の理由から不可能である事がわかる。Pa(4,1)に対応する信号線の極性記号はPa(1,1)と同一であり、対応する補助容量線の電圧は時間によらず一定値(前述のような振動波形ではなく)である。従って、Pa(4,1)に対応する補助容量線の電圧値(上記一定値)もまた、Pa(2,1)と同様に、上記Pa(1,1)、Pa(3,1)の説明で示したDCレベルと一致させる、即ち、Pa(4,1)とPa(2,1)に対応する補助容量線の電圧値(上記一定値)と一致させる必要があるが、これは不可能である。なぜなら、図19および図20を見れば明らかなようにPa(2,1)とPa(4,1)に対応する補助容量配線はいずれもCS-Bであり、CS−Bの電圧波形は矩形状の振動波形であり、Pa(2,1)に対応する選択期間では振動波形の最大値が選択され、Pa(4,1)に対応する選択期間では振動波形の最小値が選択されており、両者の電圧は必然的に異なってしまうからである。
さらに、できるだけ極性が同じ副画素を隣接しないように配置するという第3の条件についても、図17および図18で示した先の実施形態よりも劣っている。
図19において、画素を構成する副画素のうち液晶層に印加される電圧を積極的に大きくした副画素、すなわち記号Hを付した副画素の極性反転の様子を調べる。図19に示すように、行方向には、例えば第1行目のSPa行を見ると、+H、+H、+Hと配置されており極性反転は成されていない(これは図17も同じである。)。列方向には、例えば第1列を見ると、(+H、−H、−H、+H)、(+H、−H、−H、+H)と配置されており、4画素周期で極性が反転している。図17および図18で示した先の実施形態では極性反転の周期が2画素周期であり、本実施形態の極性反転周期の1/2の周期で極性反転している。すなわち、図17および図18で示した先の実施形態の方が図19および図20で示した本実施形態よりも2倍の密度で極性反転している。この点で、本実施形態(図19および図20で示した実施形態)は図17および図18で示した先の実施形態よりも劣っている。
実際に、図17に示した画素配列を実現する先の実施形態の駆動方法と、図19に示した本実施形態の駆動方法とで表示品位を比較した結果、表示品位上の差異が観察された。具体的には、積極的に輝度を異ならせた副画素間の輝度差が比較的大きくなる表示階調、例えば64/255階調を表示させた場合、視線を固定した状態で表示を観察した場合には、2つの駆動方法で表示上の顕著な差異を認めることは出来なかった。しかしながら、視線を移動させながら観察した場合、本実施形態(図19)の駆動方法の場合には、横スジ状の縞模様が観測されてしまうことがあったのに対して、先の実施形態(図17)の駆動方法では横スジ状の縞模様が観測される問題の発生は無かった。この違いは、上述した極性反転周期の違いによると考えられる。各画素に含まれる2つの副画素の内で輝度の高い副画素が観察されやすいので、輝度の高い副画素の極性反転周期をできるだけ小さくすることが好ましい。ここでは、各画素を2つの副画素に分割した例を示したが、3つ以上に分割した場合は、最高輝度の副画素の極性反転周期ができるだけ小さくなるように配置することが好ましい。もちろん、最高輝度の副画素だけでなく全ての副画素を最高輝度の副画素と同じ反転周期で配置することがさらに好ましいのは言うまでも無い。
次に、図21(a)および(b)を参照しながら、図17に示した実施形態よりも、さらに極性反転の周期を小さくすることによって、視線を移動しながら観察しても上記の横筋ムラの発生をさらに観察され難くした実施形態を説明する。
図17で示した実施形態では、画素を構成する副画そのうち輝度の高い副画素(記号「H」を付記した副画素)の記号「+」、「−」の配置は、列方向には(+、−)、(+、−)、(+、−)、(+、−)と反転しているが、行方向には+、+、+、+、+、+もしくは−、−、−、−、−、−と反転していない、即ちライン反転の形態をとっている。これに対して、図21に示した実施形態での記号「H」を付記した副画素の記号+、−の配置は列方向に(+、−)、(+、−)、(+、−)、(+、−)と反転しているばかりでなく、行方向にも(+、−)、(+、−)と反転している。即ち、図20で示した本実施形態は図17で示した実施形態よりも極性反転の周期が小さい。この点において、図20で示した本実施形態は図17で示した実施形態よりも好ましい形態である。
なお、図21の実施形態でも画素を構成する副画素のうち、記号「H」を付記した輝度の高い副画素の配置は市松状となっており第4の条件を満足している。
図21(a)に示した画素配列は、例えば、以下のようにして実現することができる。
図21(b)に模式的に示したように、それぞれの行の副画素の補助容量対向電極(不図示)が、2列毎に補助容量配線CS−AまたはCS−Bのいずれかに交互に接続される構成とする。この構造上の変更は、本実施形態の図21と、先に説明した実施形態の図17あるいは図18を比較することによって、明確に確認することができる。具体的には、副画素単位で対応する補助容量線の選択状況を行方向に見ればよい。たとえば、副画素SPa(1,1)からSPa(1,6)の並びについて、記号「A」または「B」で示した補助容量対向電極の補助容量線の選択状況を見てみると、本実施形態の図21ではSPa(1、1)では「A」、SPa(1、2)およびSPa(1、3)では「B」、SPa(1、4)およびSPa(1、5)では「A」、SPa(1、6)では「B」と交互に選択されているのに対して、先に説明した実施形態の図17あるいは図18ではSPa(1、1)からSPa(1、6)の全ての副画素で「A」が選択されている。
図21で示した本実施形態の補助容量配線CS−AおよびCS−Bを含むそれぞれの配線に供給される電圧波形は、図18(a)から(j)に示したものを用いることができる。ただし、本実施形態では、表示信号電圧を2列ごとに極性反転させるので、図18(a)に示した表示信号電圧は、図21(a)のS−C1、S−C2、S−C5、S−C6・・・に供給され、図20(b)に示した表示信号電圧は、図21(a)のS−C3、S−C4、S−C7(不図示)、S−C8(不図示)・・・に供給される。
上記の実施形態では、補助容量配線に供給する補助容量対向電圧を振動電圧とし、さらに、デューティ比が1:1の矩形波を用いたがこれに限られず、デューティ比が1:1以外の矩形波や、さらには正弦波や三角波などの振動電圧であってもよい。複数の副画素に接続されたTFTがオフ状態とされた後に、複数の副画素のそれぞれの補助容量対向電極に供給される電圧が変化し、その変化量が副画素によって異なるようにすればよい。但し、矩形波を用いると、上述したように、各副画素(液晶容量および補助容量)に充電される電荷量を一致させやすく、且つ、各副画素の実効電圧を一致させやすい、という利点が得られる。
また、上記図17及び図21の実施形態においては、図18(c)(d)に示したように、補助容量配線に供給する振動電圧の振動の周期を1H期間としたが、これに限らず1Hの自然数分の1、即ち、(1/1)H、(1/2)H、(1/3)H、(1/4)H、・・・であってもよい。但し、振動電圧の振動の周期が短くなるにつれて駆動回路の作成が困難となる、あるいは、駆動回路の消費電力が増加するといった問題がある。