JP4392968B2 - 洩れ検査用シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洩れ検査用シール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筒状先端部をもつ被検査体にリークテストを施す場合、リークテストに先立つ準備として、前記被検査体の内部を気密に保持する必要があるため、保持筒状先端部に着脱可能に装着することができ、かつ保持筒状先端部をシールするために、例えば、図4、図5に示す構成の洩れ検査用シール装置1C、1Dが用いられる。
(1)前記洩れ検査用シール装置1Cは、筒状本体(シリンダー)2cと、筒状本体2cの内部に軸方向Pに往復移動可能に案内され、押しバネK1によって前方a側に付勢される筒状ピストン3cと、筒状ピストン3cの先端側に装着されたリング状のシール部材4cと、前記シール部材4cより前方a側位置で筒状本体2cに設けられた孔20cに配置され、半径内側及び半径外側に移動可能な押さえボール5cと、筒状本体2cの外周に軸方向Pに沿って往復移動可能に案内され、押しバネK2によって前方a側に付勢された筒状操作部材(スリーブ)6cと、よりなる。
【0003】
この洩れ検査用シール装置1Cの場合には、筒状操作部材6cを軸方向Pに操作することにより、被検査体9の筒状先端部90に挿入し素早く装着すること及び前記装着状態から素早く離脱することができる。
【0004】
また洩れ検査用シール装置1Cは、シール部材4cの平面40cを被検査体9に対し、筒状先端部90のリング状の先端91に垂直に当接させてシールするものである。
(2)前記洩れ検査用シール装置1Dは、筒状本体(シリンダー)2dと、筒状本体2dの内部に軸方向Pに往復移動可能に案内され、押しバネK1によって前方a側に付勢される筒状ピストン3dと、筒状ピストン3dの先端側に装着されたリング状のシール部材4dと、筒状本体2dに設けられた孔20dに配置され、半径内側及び半径外側に移動可能な押さえボール5dと、筒状本体2dの外周側に軸方向Pに往復移動可能に案内され、押しバネK2によって前方a側に付勢された筒状操作部材(スリーブ)6dと、よりなる。
【0005】
この洩れ検査用シール装置1Dの場合には、筒状操作部材6dを軸方向Pに操作することにより、被検査体9の筒状先端部90に挿入し素早く装着すること及び前記装着状態から素早く離脱することができる。
【0006】
また洩れ検査用シール装置1Dは、シール部材4dの平面40dを被検査体9に対し、筒状先端部90のリング状の先端91に垂直に当接させてシールするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の洩れ検査用シール装置1C、1Dの場合には、以下に示す不具合を備える。すなわち、
洩れ検査用シール装置1C、1Dは、被検査体9の筒状先端部90のリング状の先端91にシール部材4c、4dの平面40c、40dを垂直に当接させるものであるため、平面40c、40dの平面度の精度が低い場合や、先端91に対し平面40c、40dが僅かに傾いていると良好なシール状態が得られない。
【0008】
さらに、被検査体9は、実用上のシール位置(筒状先端部90の外周部92をシールた状態で使用される場合)と異なる位置(筒状先端部90の先端91)をシールした状態でリークテストに用いられるため、洩れ検査の信頼性を低下させる。従って、改善の余地がある。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、高精度のリークテストを必要とする被検査体に対しその実用上のシール位置と同じ領域を、リークテストに先立ち気密にシールでき、かつ被検査体に対し、素早く着脱できる洩れ検査用シール装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の洩れ検査用シール装置は、筒状先端部をもつ被検査体の該筒状先端部外周に着脱自在に装着する把持部と該筒状先端部外周を気密状態にシールするシール部とをもつシリンダーと、
該被検査体の内部に連通する通路をもち、該シリンダーに気密状態に内挿され該把持部及び該シール部を軸方向に押圧して該把持部を該被検査体の該筒状先端部に装着させかつ該シール部をシール位置に押圧する装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストンと、
該筒状ピストンを該非装着時停止位置に復帰させる付勢手段と、
該筒状ピストンを該装着時停止位置に保持及び該保持を解除する操作手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施態様】
本発明の洩れ検査用シール装置は、シリンダーと、ピストンと、付勢手段と、操作手段と、よりなる。
【0012】
前記シリンダーは、被検査体の内部に連通する通路と被検査体の外周部に着脱自在で被検査体の外周部を把持する把持部と被検査体の外周部を縮径する方向に押圧し気密状態にシールするシール部とをもつ。
【0013】
前記把持部は、ピストンの軸方向の往移動時に伴いピストンの内周部で半径内方向に付勢されて縮径し、被検査体の外周部を把持し、かつシリンダーを被検査体に連結する。
【0014】
把持部は、互いにスリットを介して対向する両端をもつリング部材あるいは周方向に少なくとも2つの部分に分割された複数の部材あるいは周方向に所定の間隔を隔てて配置された少なくとも2つのボールからなる構成を用いることができる。
【0015】
前記シール部は、ゴムあるい樹脂製であり付勢されて縮径するリング状あるいは筒状体を用いることができる。
【0016】
前記ピストンは、シリンダーに気密状態に内挿されるとともにシリンダーが被検査体の外周部に装着された装着時停止位置と装着された状態が解除された非装着時停止位置との間で可動である。ピストンとしては、互いに同心円状に配置され軸方向に沿って往復移動可能な複数の筒状体を用いることができる。また、ひとつの筒状体としては、軸方向に延びる各領域で互いに径を異にする例えば、小径筒部と大径筒部とよりなるものを用いることができる。
【0017】
ピストンは、シリンダーの外部から前記付勢手段の付勢力に抗して軸方向に操作することによって非装着時停止位置から装着時停止位置にまで往移動し得る。
【0018】
付勢手段は、操作手段によってピストンを装着時停止位置に保持した状態を解除した場合に、装着時停止位置にあるピストンを非装着時停止位置に復帰させる付勢力をもつ。付勢手段は、押バネを用いることができる。押バネは、複数個を用いることができる。
【0019】
前記操作手段は、ピストンに対し前記復移動し得る付勢手段の付勢力に抗してピストンを装着時停止位置に停止させておく機能及びこの機能を解除できるものであればよく、例えば、互いに相対移動する一方の部材及び他方の部材に形成あるいは保持された凹部、孔、穴などと、それらを互いに係止状態とすること、あるいは係止状態を解除できる凸部、ボールなどを用いることができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
図1及び図2に示す実施例1の洩れ検査用シール装置1Aは、シリンダー2と、第1ピストン3A及び第2ピストン4と、付勢手段5と、操作手段6と、よりなる。
【0021】
シリンダー2は、剛性を備えた金属製の段付き筒状体であり、その一端(前方)側aから他端(後方)側bに向かって軸方向Pに順に形成された肉薄の大径筒部分2aと、リング状の連結壁部分2bと、肉厚の小径筒部分2cとよりなる。
【0022】
このシリンダー2は、被検査体9の筒状先端部90の内部(孔通路93)に連通する通路20と、筒状先端部90の外周面92に着脱自在に装着するコレット(把持部)23と、筒状先端部90の外周面92を気密状態にシールする筒状シール部材(シール部)24とをもつ。
【0023】
大径筒部分2aには、その内周面に凹部a1が形成されている。この凹部a1は、位置決め用の第1ボールS1の頂部を収容し、定位置に保持するためのものであり、大径筒部分2aの内周側に同軸状に配置された筒状案内部材22の外周面に形成された凹部a3と対向する位置に設けられている。大径筒部分2aは、前記2つの凹部a1、a3に配置された第1ボールS1によって、第1ピストン3Aの大径筒部3aを軸方向Pに沿い摺動可能に配置できる筒状空間L1を形成するとともに、筒状案内部材22を連結し定位置に固定、保持している。
【0024】
筒状案内部材22は、コレット23を半径方向に往復移動(縮径する方向への移動と拡径する方向への移動)可能に収容する案内溝22a及び筒状シール部23を収容、装着する孔22bと、テーパー状開口22cとを備えている。
【0025】
コレット23は、樹脂あるいは金属製の筒状体を軸方向Pに沿って2つ割りにした対象形状の2部品よりなるもので、内周側に設けられ筒状先端部90の外周面92を把持する把持面(内周面)23aと、外周側でシリンダー2の一端側aから軸方向Pに順に形成された装着位置押さえ部(大径外周面)23b、傾斜外周面23c、非装着位置押さえ部(小径外周面)23dとをもつ。
【0026】
なお、装着位置押さえ部23bと非装着位置押さえ部23dとのいずれかには、軸方向Pに沿って移動する第1ピストン3Aの先端側のコレット操作部31が当接することによって、コレット23の半径方向の移動位置が定まる。このため、非装着位置押さえ部23dと装着位置押さえ部23bとの外径差は、コレット23の半径方向の移動代となる。この移動代は、目的に応じて予め、種々設定することができる。
【0027】
筒状シール部24は、ゴムあるい樹脂製のもので、前記筒状案内部材22の孔22bに収容、装着される。この筒状シール部24の内周面24bと筒状先端部90の外周面92とは、若干の間隔(筒状シール部24が弾性変形により半径内方向に膨出していない状態における間隔)を形成する。
【0028】
小径筒部分2cは、その内周面に形成された凹部a2と、この凹部a2よりも大径筒部分2aに近い位置で半径方向に貫通する孔a5と、他端側bで半径外方向に突出する案内部分20cとをもつ。凹部a2は、位置決め用の第1ボールS1の頂部を収容し、定位置に保持する。孔a5は、ロック用ボール6cを半径内方向及び半径外方向に移動可能に収容する。案内部分20cは、小径筒部分2cの他端側(b参照)で半径外方向に突出し操作手段6の操作筒部6aの先端部分62を軸方向Pに案内する。
【0029】
中心案内部材25Aは、シリンダー2の小径筒部分2cの内周側中心部に同軸状に配置され、第1ピストン3Aを軸方向Pに往復移動(矢印Y1及びY2参照)可能に案内するもので、軸方向Pに伸びる内部通路250と、外周部に所定の間隔を隔てた2か所に形成されたリング状の溝251、251と、前記小径筒部分2cの凹部a2に対向する位置に形成された凹部a4とを備える。凹部a4は、第2ボールS2の底部を収容し、定位置に保持する。
【0030】
中心案内部材25Aは、その凹部a4と、シリンダー2の小径筒部分2cの凹部a2とに配置された第2ボールS2によって、小径筒部分2cに連結され定位置に固定、保持され、第1ピストン3Aの小径筒部3cを軸方向Pに沿い摺動可能に配置できる筒状空間L2を形成する。
【0031】
前記内部通路250は、一端側を被検査体9の筒状先端部90の内部通路93に連通し、他端側を後記する第1ピストン3Aの押圧操作部3dの圧力導入通路32に連通する。
【0032】
前記各リング状の溝251には、オーリングO1が嵌挿され、第1ピストン3Aの小径筒部3cとの間を気密にシールする。このため、中心案内部材25Aは、第1ピストン3Aの小径筒部3cをシールした状態で軸方向Pに案内する機能をもつ。
【0033】
第1ピストン3Aは、剛性を備えた金属製の段付き筒状体であり、シリンダー2の一端側aから軸方向Pに順に形成された大径筒部3aと、リング状の連結壁部分3bと、小径筒部3cと、押圧操作部3dとよりなる。
【0034】
大径筒部3aは、前記シリンダー2の大径筒部分2aと筒状案内部材22との間(筒状空間L1)に、軸方向Pに沿い摺動可能に装着される。大径筒部3aには、第1ボールS1を収容する長孔状溝部30と、コレット23の装着位置押さえ部23dあるいは非装着位置押さえ部23dの何れかに当接するコレット操作部31が形成されている。
【0035】
連結壁部分3bは、第1ピストン3Aが非装着時停止位置にあるとき、シリンダー2の連結壁部分2bに係止する可動ストッパーとして機能する。
【0036】
小径筒部3cは、前記シリンダー2の小径筒部分2cと中心案内部材25Aとの間(筒状空間L2)に軸方向Pに沿い摺動可能に装着される。小径筒部3cには、第2ボールS2を収容する長孔状溝部33と、前記ロック用ボール6cの底部を収容及び離脱可能な凹部a6と、シリンダー2の他端側bより外部に突出する押圧操作部3dが形成されている。押圧操作部3dの内部には、外部から圧力流体を導入するとともに、中心案内部材25Aの内部通路250に連通する通路32が形成されている。
【0037】
第2ピストン4は、剛性を備えた金属製の筒状体であり、シリンダー2の一端側aから軸方向Pに順に形成された小径筒部4aと、大径筒部4bとよりなる。
【0038】
小径筒部4aは、前記筒状案内部材22の孔22bに収容、装着された筒状シール部材24のー端24bに当接する先端面40を備え、かつ前記孔22bに案内されて軸方向Pに移動し、筒状シール部材24を付勢できるように配置される。
【0039】
大径筒部4bは、その外周側に設けられたリング状の溝41と、溝41に嵌挿され第1ピストン3Aの大径筒部3aの内周面32に当接するオーリングO2とをもつ。この大径筒部4bは、第1ピストン3Aの大径筒部3aの内周側に装着されたストップリングeと、第1ピストン3Aのリング状の連結壁部分3bとの間を軸方向Pに移動する。
【0040】
また、前記第2ピストン4は、小径筒部4aの内周側と中心案内部材25Aの外周側との間で軸方向Pに沿って筒状ガイド部26が移動可能に配置される。この筒状ガイド部26は、中心案内部材25Aの通路250に連通する通路260と、先端テーパー面261をもつ小径筒26aと、大径筒26bとよりなる。小径筒26aと大径筒26bとの間には、被検査体9の筒状先端部90の先端91が当接する係止段部26cが形成されている。大径筒26bには、半径方向に貫通する連絡孔263と、中心案内部材25Aの先端に当接する内周側ストッパー264が形成されている。筒状ガイド部26の大径筒26bと中心案内部材25Aとの間には、筒状ガイド部26を中心案内部材25Aから遠ざける軸方向Pに作用する押バネKが介置されている。
【0041】
付勢手段5は、第1ピストン3Aの押圧操作部3dと中心案内部材25Aとの間に介置された第1押しバネ5aと、第1ピストン3Aの小径筒部3cと第2ピストン4の小径筒部40との間に介置された第2押しバネ5bと、よりなる。第1押しバネ5aは、第1ピストン3Aを中心案内部材25Aから遠ざける軸方向Pに作用する。第2押しバネ5bは、第1ピストン3Aと第2ピストン4とを互いに遠ざける軸方向Pに作用する。
【0042】
操作手段6は、シリンダー2の小径筒部分2cの外周に軸方向Pに摺動するとともに往復移動操作可能に装着された操作筒部6aと、操作筒部6aの内周側に収容された押しバネ6bと、ロックボール6cとよりなる。
【0043】
操作筒部6aは、その一端側内周部に、ロックボール6cの頂部に当接するとともにロックボール6cを半径外方向及び半径内方向の移動を許容するため大径内周面60及び小径内周面61と、シリンダー2の小径筒部分2cの案内部分20cを摺動するリング状の先端部分62と、先端部分62の内周部に形成されたリング状空間63とを備えている。
【0044】
この操作筒部6aは、予め、シリンダー2の小径筒部分2cの孔a5に半径内方向及び半径外方向に移動可能に保持されたロックボール6cの頂部に対し、非装着時位置に大径内周面60が当接し、装着時位置に小径内周面61が当接するように、シリンダー2の小径筒部分2cに組付けられる。
【0045】
押しバネ6bは、前記組付時に操作筒部6aのリング状空間63に配置され、かつ操作筒部6aとシリンダー2の小径筒部分2cの案内部分20cとの間に介置され、操作筒部6aを案内部分20cから遠ざける軸方向Pに作用する。
【0046】
前記のように構成された実施例3の洩れ検査用シール装置1Aは、図略の製造ラインで製造された被検査体9の筒状先端部90に着脱可能に装着されて用いられる。
【0047】
すなわち、被検査体9の筒状先端部90に洩れ検査用シール装置1Aを装着させる場合には、筒状案内部材22のテーパ状開口22cを筒状先端部90の開口端91に対向する位置に接近させるとともに、同一軸線上に一致させて第1ピストン3Aの押圧操作部3dを往移動〔図1に示す非装着時位置から図2に示す装着時位置に移動(矢印Y1参照)させる。
【0048】
これによって、洩れ検査用シール装置1Aは、被検査体9の筒状先端部90の開口端91よりその内部通路93側及び外周面92に対し、筒状ガイド部26の先端テーパー面261及び筒状案内部材22のテーパー面状開口22cとで案内され、かつ筒状ガイド部26の小径筒26aとコレット23の把持面23aとの間が筒状先端部90に挿入される。
【0049】
このとき、筒状ガイド部26は、筒状先端部90の開口端91が係止段部26cに当接した時点で押しバネKを圧縮しつつ矢印Y2方向移動し、大径筒26bの内周側ストッパー264が中心案内部材25Aに当接する。また、筒状ガイド部26は、その外周部262を筒状先端部90の内周部94に当接させた状態となる。
【0050】
この状態で第1ピストン3Aの押圧操作部3dを付勢手段5(第1押しバネ5a及び第2押しバネ5b)の付勢力に抗して往移動操作する(矢印Y1参照)。
【0051】
すると、第2押しバネ5bは、第1ピストン3Aの押圧操作部3dの往移動操作に伴う付勢力によって圧縮されつつ、その付勢力を第2ピストン4に伝達する。第2ピストン4は、往移動しその先端面40を筒状シール部材24に当接させ、さらに筒状シール部材24を軸方向Pに付勢する。
【0052】
このため、筒状シール部材24は、半径内方向に内周側が膨出した形状に弾性変形し、かつ筒状先端部90の外周面92を強力にシールする。また、これと同時に、第1ピストン3Aの先端側押圧部31がコレット23の装着位置押さえ部23bを半径内方向に強く押圧し、かつこの状態は、第1ピストン3Aの前記矢印Y1方向の移動に伴い、小径筒部3cの凹部a6にロックボール6cの底部が嵌合することによって装着状停止位置に保持される。
【0053】
従って、コレット23は、筒状先端部90の外周面92を半径内方向に把持し、筒状シール部材24は、半径内方向に内周側が膨出した形状に弾性変形し、かつ筒状先端部90の外周面92を強力にシールする。
【0054】
このように、図2に示す装着時位置の洩れ検査用シール装置1Aは、被検査体9の筒状先端部90から抜け出ることなく、かつ筒状先端部90の外周面92を実際の使用時と同じ状態に確実にシールできる。
【0055】
この状態で、外部の図略の供給源から押圧操作部3dの通路32に供給された流体圧力は、中心案内部材25Aの通路250を介して筒状ガイド部26の通路260を介して被検査体9に圧力流体が導入され、被検査体9の全領域で圧力流体の洩れの有無が検査される。この場合、圧力流体は、筒状ガイド部26の連通孔263から第2ピストン4の後端42に、背圧として作用する。第2ピストン4の大径部4bは、オーリングO2によって第1ピストン3Aの大径筒部3aとの間を気密に保持されているため、前記背圧が有効に作用し、筒状シール部材24を軸方向Pに圧縮する機能を高める。
【0056】
従って、洩れ検査用シール装置1Aは、被検査体9に対し、前記コレット23による筒状先端部90の外周面92の半径内方向の把持作用時に、筒状シール部材24の筒状先端部90の外周面92のシール作用を高めことができる。
【0057】
このため、被検査体9は、筒状先端部90の外周面92に装着された洩れ検査用シール装置1Aによって前記外周面92を確実にシールされた状態でリークテストに供される。
【0058】
また、洩れ検査用シール装置1Aは、被検査体9のリークテスト後、筒状先端部90に装着された図2に示す装着時停止位置から、図1に示す非装着時停止位置に移行させる場合、操作筒部6aを押しバネ6bの付勢力に抗して復移動(矢印Y2参照)させるのみで素早く解除できる。
【0059】
すなわち、ロックボール6cの頂部に、いままで当接しロックボール6cを半径内方向に押圧していた操作筒部6aの小径内周面61の代わりに大径内周面60を位置させる。そして、第1ピストン3Aが第1押しバネ5aの付勢力による復移動に伴い小径筒部3aの凹部a6とロックボール6cの底部との嵌合状態が解除され図1に示す非装着時停止位置に復帰する。
【0060】
この第1ピストン3Aの復移動に伴い、第2ピストン4も第2押しバネ5bの付勢力によつて復移動し、元の位置(図1参照)に戻る。
【0061】
また、第1ピストン3Aの先端側のコレット操作部31がコレット23の装着位置押さえ部23bから離脱し、非装着位置押さえ部23d側に移動するため、コレット23の把持面23aによる被検査体9の筒状先端部90の外周面92の把持作用が解除される。
【0062】
また、シール部材24に対する軸方向Pの作用力も解除され、図2に示す半径内方向に内周側が膨出した形状の弾性変形も自身の反力によって図1に示す元の円筒状に復帰し、かつシール部材24の内周面24aと、被検査体9の筒状先端部90の外周面92とに若干の筒状の間隔が形成される。このとき、押しバネKの付勢力が筒状ガイド部26を介して筒状先端部90の開口端91に作用し矢印Y1方向に付勢する。このため、洩れ検査用シール装置1Aは、前記筒状先端部90から離脱する方向に移動しやすいものとなる。
【0063】
この後、洩れ検査用シール装置1Aは、前記装着作業を別の被検査体9の筒状先端部90に施すことが繰り返し行われる。
【0064】
洩れ検査用シール装置1Aは、第1ピストン3Aを往移動させるのみのワンタッチ操作で、被検査体9に対しその筒状先端部90に素早く装着できるとともに、筒状先端部90の外周面92を気密にシールした状態を確保し製品使用状態と同じシール条件を用いて洩れ検査を施すことができる。
【0065】
また、洩れ検査用シール装置1Aは、操作筒部6aを復移動させるのみのワンタッチ操作で、前記装着状態を素早く解除できる。そして、次工程のリークテストに先立つ準備に移行し得る。なお、洩れ検査用シール装置1Aは、リークテストに限らず、実用上のシール位置と同じ領域をシールする必要のある部材や、製品などにおいても、ワンタッチで着脱可能に装着(連結)することができる。
【0066】
(実施例2)
図3に示す実施例2の洩れ検査用シール装置1Bは、実施例1の第1ピストン3Aの小径筒部3c1に形成された外部の圧力供給源に連通する圧力導入用の通路32を形成した押圧操作部3dを用いる代わりに、前記通路32をもたない密栓方式の押圧操作部3eを用いたこと、及び実施例1の前記通路32に連通する内部通路250をもつ中心案内部材25Aを用いる代わりに、前記内部通路250をもたない密栓方式の中心案内部材25Bを用いたこと以外は、前記実施例1の洩れ検査用シール装置1Aと同じ構成である。従って、実施例1と同じ構成部分には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
実施例2の洩れ検査用シール装置1Bの場合には、図3に示すように、被検査体9の筒状先端部90に装着された状態のとき、筒状先端部90の内部通路93からの流体圧力が筒状ガイド部26を介して導入すること以外は、前記実施例1の場合と同じであり、かつ実施例1と同じ効果を得ることができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明の洩れ検査用シール装置よれば、高精度のリークテストを必要とする被検査体に対しその実用上のシール位置と同じ領域を、リークテストに先立ち気密にシールでき、かつ被検査体に対し、素早く着脱できる。なお、リークテストに限らず、実用上のシール位置と同じ領域をシールする必要のある部材や、製品などにおいても、ワンタッチで着脱可能に装着(連結)することができる。
【0069】
従って、本発明の洩れ検査用シール装置は、シール性を高めることができ検査の信頼性に優れるとともに、生産ラインにおける洩れ検査工程を短縮でき、作業性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の洩れ検査用シール装置を示し、かつ被検査体の筒状先端部に装着する前の状態(非装着状態)を断面して示す側面図。
【図2】実施例1の洩れ検査用シール装置を示し、かつ被検査体の筒状先端部に装着した状態を断面して示す側面図。
【図3】実施例2の洩れ検査用シール装置を示し、かつ被検査体の筒状先端部に装着した状態を断面して示す側面図。
【図4】従来例1の洩れ検査用シール装置を示し、かつ被検査体の筒状先端部に装着した状態を部分的に断面して示す側面図。
【図5】従来例2の洩れ検査用シール装置を示し、かつ被検査体の筒状先端部に装着した状態を部分的に断面して示す側面図。
【符号の説明】
1A、1B…洩れ検査用シール装置 2…シリンダー
3A、3B…第1ピストン 4…第2ピストン
5…付勢手段 6…操作手段
9…被検査体 90…筒状先端部
Claims (4)
- 筒状先端部をもつ被検査体を漏れ検査装置に連結する洩れ検査用シール装置であって、
該筒状先端部外周に着脱自在に装着する把持部と該筒状先端部外周を気密状態にシールするシール部とをもつシリンダーと、
該被検査体の内部に連通する通路をもち、該シリンダーに気密状態に内挿され該把持部及び該シール部を軸方向に押圧して該把持部を該被検査体の該筒状先端部に装着させかつ該シール部をシール位置に押圧する装着時停止位置と装着が解除された非装着時停止位置との間を移動する筒状ピストンと、
該筒状ピストンを該非装着時停止位置に復帰させる付勢手段と、
該筒状ピストンを該装着時停止位置に保持及び該保持を解除する操作手段と、を備えることを特徴とする洩れ検査用シール装置。 - 前記シール部は、ゴムあるい樹脂製であり付勢されて縮径するリング状あるいは筒状体である前記請求項1記載の洩れ検査用シール装置。
- 前記把持部は、互いにスリットを介して対向する両端をもつリング部材あるいは周方向に少なくとも2つの部分に分割された複数の部材あるいは周方向に所定の間隔を隔てて配置された少なくとも2つのボールからなる前記請求項1記載の洩れ検査用シール装置。
- 前記筒状ピストンは、前記被検査体の前記筒状先端部に当接して該筒状先端部をその軸方向に付勢する案内部材をもつ前記請求項1記載の洩れ検査用シール装置。
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