JP4392912B2 - 昇圧回路装置及びそれを用いる半導体集積回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇圧回路装置に係り、特に、広い動作電圧範囲が必要とされるマイクロプロセッサなどの半導体集積回路に実装されて半導体集積回路の電源を昇圧するに好適な昇圧回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロプロセッサとして、携帯機器などに組み込むために、低電圧動作が可能でかつ消費電力の少ないものの需要が高まっている。すなわち、通常、CMOS論理回路で構成されたマイクロプロセッサの場合、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthを上回る電源電圧があれば動作速度が低下するものの論理回路を構成する各CMOSゲートの論理的な動作は可能である。しかし、電源電圧が、例えば5ボルトから2ボルト以下の低電圧になると、MOSトランジスタのゲート・ソース間電圧がMOSトランジスタのしきい値電圧Vthに近づく結果、MOSトランジスタのオン抵抗が増大する。特に、トランスファゲートを用いた回路などにおいては、トランスファゲートが伝達する端子電圧によってはそのトランスファゲートを構成するMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧がVthを下回ることがある。このような場合には、トランスファゲートのオン抵抗は極めて大きなものとなり、正規の電圧レベルの伝達を阻害することになる。またマスクROMなどのメモリモジュールにおいては、電源電圧の低下はメモリマットのワード線駆動電圧などの低下を意味する。すなわち、メモリマットを構成するメモリMOSのうちゲートがワード線に接続されたメモリMOSのゲート・ソース間電圧が低下することとなり、メモリMOSのドレイン電流が減衰してデータ読み出し時間の増大を招くことになる。
【0003】
そこで、電源電圧の仕様が低いもの、例えば、2V以下のものに対処するために、例えば、特開平8−149801 号公報に記載されているように、低電圧による電源電圧を昇圧し、昇圧された電圧によってトランスファゲート(MOS側ゲート)やメモリモジュールのワード線を駆動して低電源電圧下においても、所望の動作を確保するようにした方式が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち充電期間に、電源電圧VCCのレベルに充電された昇圧用容量の一方の端子にスイッチング回路を介して電源電圧を印加して昇圧用容量をさらに充電し、充電期間後の電荷転送期間においては、充電された昇圧用容量の電荷を出力端子を介して負荷に転送し、原理的には、常に、電源端子に印加される電源電圧VCCの2倍に相当する昇圧電圧を発生するようになっている。このため、従来の昇圧回路を内蔵した半導体集積回路装置を、電源電圧VCCとして比較的高電圧域にあるもの、例えば、電源電圧VCCが4Vを超えるものに用いると、発生した昇圧電圧が素子(MOSトランジスタ)耐圧を上回って、信頼性の低下もしくは素子破壊を招く恐れがある。ただし、昇圧用容量の一方の端子と電源端子と並列に、すなわちスイッチング回路と並列に電圧クランプ回路(3個のPMOSトランジスタを直列接続した回路であって、各PMOSトランジスタのしきい値がVthpに設定されている回路)を接続すれば、昇圧回路を電源電圧VCC+3×|Vthp|にクランプすることができる。
【0005】
しかし、近年、半導体素子の微細化に伴い素子耐圧は低下傾向にあり、使用電源電圧VCCの範囲の上限と許容印加電圧(あるいは素子耐圧)とが近接してきており、上述したような電圧クランプ方式では電源電圧VCC範囲の上限側でクランプ電圧が許容印加電圧を超える恐れがある。
【0006】
一方、クランプ電圧を低減するには、電圧クランプ回路を構成しているPMOSトランジスタの直列接続段数を削減するなどして電圧クランプ回路の電圧降下を小さくすればよいが、この方式では、逆に電源電圧VCCが低電圧域の仕様のものに適用した場合には昇圧効率が低下し、クランプ電圧を単に低減することはできない。またクランプ電圧を、電圧クランプ回路を構成する各PMOSトランジスタの素子パラメータ、すなわちVthpのばらつきに対して、その接続段数倍、例えば3個直列接続のときには3倍の変動を来すことになり、低電圧域での昇圧効率の確保と高電圧域での昇圧電圧の制限との両立が困難である。さらに、電圧クランプ回路が動作して電圧クランプが働くまでには、ある時間遅れが存在するため、その遅れ時間によりクランプ電圧を超えたピーク電圧が発生する恐れもある。
【0007】
また、過電圧の発生を防止する他の方策として、前述の公報に記載されているように、電源と電源端子との間にディプリーション型NMOSトランジスタ(以下、D−MOSと称する。)を接続し、電源端子への印加電圧そのものをクランプする方式を採用することもできる。この方式を採用すれば、電源電圧VCCがD−MOSのしきい値電圧|VthD|以上の範囲において、電源端子の電圧を|VthD|程度にクランプすることができるので、昇圧電圧を|VthD|の2倍程度に抑制することができる。
【0008】
しかし、逆に、電源電圧VCCが|VthD|を下回った場合には電源電圧VCCの倍の電圧が昇圧電圧として生成されることになる。このため、D−MOSを用いた場合には、2×|VthD|なる昇圧電圧が、この昇圧電圧を利用する回路が必要とする電圧を下限とし、また許容印加電圧を上限とする電圧範囲内になければならない。しかも、素子パラメータのばらつきを考慮すると、上記昇圧電圧を所定の電圧範囲内に収めることは、許容印加電圧の上限が低下するにしたがって困難となる。また、D−MOSを用いることは、半導体チップ製造上、その分のマスク枚数の増大および工数増大を招き、製造コストの点で不利となる。
例えば、同一チップ上の回路要素のうち昇圧回路以外の他の回路要素にD−MOSを使用したとしても、各D−MOSを昇圧回路素子と同一のしきい値電圧で利用可能でない限り、余分なマスクが必要になったり、工数が増加したりすることになる。
【0009】
本発明の目的は、電源電圧の大きさによって昇圧レベルを規制することができる昇圧回路装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、電源端子と出力端子との間に挿入された昇圧用容量の一方の端子に充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記充電期間に電源電圧を印加し他方の端子には基準電位の電圧を印加し、その後の電荷転送期間では前記昇圧用容量の他方の端子に前記電源電圧を印加し一方の端子から前記昇圧用容量に蓄積された電荷を前記出力端子に転送し、前記充電期間を前記電源電圧の大きさにより調整してなる昇圧回路装置を構成したものである。
【0011】
前記昇圧回路装置を構成するに際しては、電源電圧が設定電圧以下のときには前記電源電圧の低下に応じて前記充電期間を長く調整し、前記電源電圧が前記設定電圧を超えたときには前記充電期間を零にまたは電源電圧の大きさに応じて短く調整したりすることもでき、また、充電期間を電源電圧の大きさにより調整する代わりに、充電期間において昇圧用容量に蓄積される電荷量を電源電圧の大きさにより調整したり、充電期間において昇圧用容量に供給される電流の大きさを電源電圧の大きさにより調節したりすることもできる。さらに、昇圧サイクルに充電期間に先立つ放電期間を設け、この放電期間に昇圧用容量の両方の端子に同一電位の電圧を印加して昇圧用容量の電荷を放電してなる機能を付加することもできる。
【0012】
また、本発明は、電源端子と出力端子との間に挿入された昇圧用容量の一方の端子に充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記充電期間に電源電圧を印加し他方の端子には基準電位の電圧を印加し、前記充電期間内において電源電圧の大きさによって決定される期間だけ前記昇圧用容量の一方の端子に対する電源電圧の印加を停止するとともに前記昇圧用容量の一方の端子に基準電位の電圧を印加して前記昇圧用容量の電荷を放電し、その後の電荷転送期間では前記昇圧用容量の他方の端子に前記電源電圧を印加し一方の端子から前記昇圧用容量に蓄積された電荷を前記出力端子に転送してなる昇圧回路装置を構成したものでである。この昇圧回路装置を構成するに際しては、前記電源電圧が設定電圧以上のときには前記電源電圧の上昇に応じて前記充電期間における放電時間を長く調整し、前記電源電圧が前記設定電圧を下回ったときには前記充電期間における放電時間を零に調整してなる要素を付加することができる。
【0013】
また、本発明は、電源端子と出力端子との間に挿入された昇圧用容量と、放電期間と充電期間および電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記放電期間を規定する放電指令信号を出力する放電指令信号出力手段と、前記充電期間を規定する充電指令信号を出力する充電指令信号出力手段と、前記充電期間の始期に対応して制御信号を出力しその後電源電圧の大きさにより決定された期間が経過したときに前記制御信号の出力を停止する制御信号出力手段と、前記放電期間の始期に対応した放電指令信号に応答して前記昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加する第1のスイッチング手段と、前記充電指令信号が入力されるまでは前記昇圧用容量の他方の端子に電源電圧を印加し前記充電期間の始期に対応した充電指令信号の入力により前記昇圧用容量の他方の端子に基準電位の電圧を印加するバイアス切り替え手段と、前記充電期間の始期に対応した充電指令信号に応答して前記昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加する第2のスイッチング手段と、前記制御信号出力手段から制御信号が出力されている間は前記昇圧用容量の一方の端子と前記出力端子とを結ぶ転送路を遮断し前記制御信号出力手段から制御信号の出力が停止されている間は前記転送路を形成する電荷転送手段とを備え、前記充電指令信号出力手段は、前記電源電圧の大きさにより前記充電指令信号の発生期間を調整してなる昇圧回路装置を構成したものである。この昇圧回路装置を構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0014】
(1)第2のスイッチング手段の代わりに、昇圧用容量の一方の端子に電源電圧にしたがったバイアス電圧を印加するバイアス手段を設ける。
【0015】
(2)放電指令信号出力手段を削除するとともに、第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段の代わりに、制御信号に応答して昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加するスイッチング手段を設ける。
【0016】
(3)第2のスイッチング手段の代わりに、制御信号に応答して昇圧用容量の一方の端子に電源電圧に応じたバイアス電流を供給するバイアス用手段を設ける。
【0017】
(4)前記充電指令信号出力手段は、電源電圧が設定電圧以下のときには前記電源電圧の低下に応じて前記充電指令信号の発生期間を長く調整し、前記電源電圧が前記設定電圧を超えたときには前記充電指令信号の発生期間を零に調整してなる。
【0018】
また、本発明は、電源端子と出力端子との間に挿入された昇圧用容量と、充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記充電期間を規定する充電指令信号を出力する充電指令信号出力手段と、前記充電期間の始期に対応して制御信号を出力しその後電源電圧の大きさにより決定された期間が経過したときに前記制御信号の出力を停止する制御信号出力手段と、前記制御信号の出力が停止されたときに前記充電期間内において電源電圧の大きさにより決定された期間だけ放電指令信号を出力する放電指令信号出力手段と、前記放電指令信号に応答して前記昇圧用容量の一方の端子に基準電位の電圧を印加する第1のスイッチング手段と、前記制御信号に応答して前記昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加する第2のスイッチング手段と、前記充電指令信号が入力されるまでは前記昇圧用容量の他方の端子に電源電圧を印加し前記充電期間の始期に対応した充電指令信号の入力により前記昇圧用容量の他方の端子に基準電位の電圧を印加するバイアス切り替え手段と、前記充電指令信号出力手段から充電指令信号が出力されている間は前記昇圧用容量の一方の端子と前記出力端子とを結ぶ転送路を遮断し前記充電指令信号出力手段から充電指令信号の出力が停止されている間は前記転送路を形成する電荷転送手段とを備えてなる昇圧回路装置を構成したものである。この昇圧回路装置を構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
【0019】
前記放電指令信号出力手段は、電源電圧が設定電圧以上のときには前記電源電圧の上昇に応じて前記放電指令信号の発生期間を長く調整し、前記電源電圧が前記設定電圧を下回ったときには前記放電指令信号の発生期間を零に調整してなる。
【0020】
前記した手段によれば、昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加し他方の端子には基準電位の電圧を印加し、充電期間を電源電圧の大きさにより調整しているため、電源電圧の大きさによって昇圧レベルを規制することができる。特に、電源電圧が設定電圧以下のときには電源電圧の低下に応じて充電期間を長く調整し、電源電圧が設定電圧を超えたときには充電期間を0または電源電圧の大きさに応じて短く調整することで、電源電圧が設定電圧以下のときには電源電圧に応じたレベルの昇圧電圧を発生することができ、電源電圧が設定電圧を超えたときには昇圧レベルを0にしたり、昇圧レベルの電源電圧に応じて抑制したりすることができる。このため、昇圧レベルが許容電圧を超えることなく昇圧効率を確保することができる。
【0021】
具体的には、充電期間を電源電圧の大きさにより調整した場合、昇圧用容量の一方の端子に表れる昇圧電圧HVsは、無負荷あるいは昇圧電圧が昇圧回数無限大で飽和した状態を仮定すれば、次の(1)式で示すように、
HVs=VCC+VC1 …(1)
となる。ここで、VCCは電源電圧、VC1は昇圧動作直前における昇圧用容量C1の両端電位差であり、昇圧用容量C1の充電電荷をQ1、容量係数をC1とすると、両端電位差VC1は、次の(2)式で示されるように、
VC1=Q1/C1 …(2)
となる。
【0022】
上記(2)式において、Q1を電源電圧VCCの大きさに応じて加減することにより、昇圧電圧HVsのレベルを制御することができる。すなわち、電源電圧VCCが、例えば設定電圧を超えた高電圧域においてQ1を少なくしてVC1を低減すると、昇圧電圧HVsのレベルを抑制することができる。また電源電圧VCCが設定電圧以下の低電圧域では、逆にQ1を多くしてVC1を増大させると、昇圧電圧HVsのレベルを確保することができる。さらに、昇圧用容量C1の充電電荷Q1は、充電電流ICとその通流期間すなわち充電期間twとによって規定することができ、次の(3)式で示されるように、
Q1=IC×tw …(3)
となる。
【0023】
上記(3)式において、昇圧サイクルに属する充電期間twを規定することにより、電源電圧VCCが設定電圧よりも高電圧域ではtwを小さくし、電源電圧VCCが設定電圧以下の低電圧域においてはtwを大きくすることで、充電電荷Q1を加減することができ、これにより昇圧電圧HVsのレベルを充電期間によって調整することが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す全体構成図である。図1において、昇圧回路装置は、電源端子1と出力端子2との間に挿入された昇圧用容量C1,昇圧クロック信号入力端子3に接続された制御回路14,昇圧用容量C1と出力端子2との間に挿入された電荷転送回路6,電源端子1と出力端子2との間に挿入されたバイアス回路11,電源端子1とノード9との間に挿入されたスイッチング回路12,13,電源端子1と基準電位(接地電位)との間に挿入されたPMOSトランジスタP21,NMOSトランジスタN7を備えて構成されており、昇圧用容量C1の一方の端子がノード9に接続され、他方の端子がノード8を介してトランジスタP21,N7のドレインにそれぞれ接続され、出力端子2に負荷容量CLが接続されている。以下、各回路の具体的内容について説明する。
【0025】
制御回路14は、入力端子3に、放電期間と充電期間および電荷転送期間を含む昇圧サイクルごとに入力される昇圧クロック信号に応答して、出力端子であるノードT1,T2,T3からそれぞれパルス信号を出力するようになっている。例えば、図2に示すように、昇圧クロック信号に応答して、放電期間を規定する放電指令信号としてHighレベルの信号をノードT1に出力し、充電期間を規定する充電指令信号としてHighレベルの信号をノードT2に出力し、充電期間の始期に対応してノードT3からHighレベルの制御信号を出力し、その後電源電圧VCCの大きさによって決定された期間が経過したときに制御信号の出力を停止するようになっている。
【0026】
具体的には、制御回路14は、入力側が入力端子3に接続された第1の遅延回路DLY1と、入力側が入力端子3に接続された第2の遅延回路DLY2と、一方の入力側が第1の遅延回路DLY1の出力側に、他方の入力側が入力端子3にそれぞれ接続されたNANDゲートG7と、入力側がNANDゲートG7の出力側に、出力側がノードT1にそれぞれ接続されたインバータG8と、第1の遅延回路DLY1の出力側に入力側が接続されたインバータG6と、第2の遅延回路DLY2の出力側に第1の入力側が、インバータG6の出力側に第2の入力側が、入力端子3に第3の入力側がそれぞれ接続された3入力NANDゲートG6と、3入力NANDゲートG9の出力側に入力側が、ノードT2に出力側がそれぞれ接続されたインバータG10と、一方の入力側が第2の遅延回路DLY2の出力側に、他方の入力側が入力端子3にそれぞれ接続されたNANDゲートG11と、NANDゲートG11の出力側に入力側が、ノードT3に出力側がそれぞれ接続されたインバータG12によって構成されている。なお、ここで、第1の遅延回路DLY1と第2の遅延回路DLY2は、それらの入力、すなわち入力端子3の入力信号に対して反転出力となる論理極性を有するように構成されている。
そして第2の遅延回路DLY2は、第1の遅延回路DLY1に比べて、電源電圧VCCの仕様が設定電圧以下にある低電圧域においては遅延量が大きく、またその遅延量の電源電圧VCCに対する依存性も大きく設定されている。すなわち電源電圧VCCが設定電圧を超えた高電圧域では第1の遅延回路DLY1の遅延量よりも小さくなるようにその遅延量が設定されており、これらの具体的な回路構成については後述する。
【0027】
電荷転送回路6は、制御回路14からHighレベルの制御信号がノードT3から出力されている間はノード9と出力端子2とを結ぶ転送路を遮断し、制御回路14のノードT3からHighレベルの制御信号の出力が停止されている間はノード9と出力端子2とを結ぶ転送路を形成する電荷転送手段として構成されている。
【0028】
具体的には、電荷転送回路6は、ノードT3に入力を接続したインバータG5と、出力端子2にドレインおよび基板を、ノード9にソースを接続したPMOSトランジスタP18と、出力端子2にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP18のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP19と、インバータG5の出力にゲートを、PMOSトランジスタP18のゲートにドレインを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN5と、ノード9にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP19のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP20と、PMOSトランジスタP19のゲートにドレインを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP20のゲートおよびインバータG5の入力と共通接続したNMOSトランジスタN6とから構成されている。
【0029】
バイアス回路11は、出力端子2に電源電圧VCCの大きさに応じたバイアス電圧を印加するバイアス手段として構成されており、具体的には、ソースが電源端子1に、ドレイン,ゲート,基板がそれぞれ出力端子2に接続されたPMOSトランジスタP11を備えて構成されている。このバイアス回路11は出力端子2に接続された負荷容量CLにバイアス電圧として初期充電を行うことができ、この初期充電により昇圧クロック信号入力後に昇圧電圧の立上りを早めることができる。
【0030】
スイッチング回路13は、放電期間の始期に対応した放電指令信号(ノードT1から出力されるHighレベルの信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子に電源電圧を印加する第1のスイッチング手段として構成されている。
【0031】
具体的には、スイッチング回路13は、ノードT1に入力を接続したインバータG14と、インバータG14の出力にゲートを、電源端子1にソース,基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP15と、PMOSトランジスタP15のドレインにソースを、ノード9にドレインおよび基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP16と、ノード9にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP16のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP17と、GNDにソースおよび基板を、PMOSトランジスタP16のゲートにドレインをそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP17のゲートおよびインバータG14の入力と共通接続したNMOSトランジスタN4とから構成されている。
【0032】
スイッチング回路12は、充電期間の始期に対応した充電指令信号(ノードT2から出力されるHighレベルの信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子に電源電圧を印加する第2のスイッチング手段として構成されている。
【0033】
具体的には、スイッチング回路12は、ノードT2に入力を接続したインバータG13と、インバータG13の出力にゲートを、電源端子1にソース,基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP12と、PMOSトランジスタP12のドレインにソースを、ノード9にドレインおよび基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP13と、ノード9にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP13のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタ14と、GNDにソースおよび基板を、PMOSトランジスタP13のゲートにドレインをそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP14のゲートおよびインバータG13の入力と共通接続したNMOSトランジスタN3とから構成されている。
【0034】
PMOSトランジスタP21,NMOSトランジスタN7は、ノードT2から充電指令信号が入力されるまでは昇圧用容量C1の他方の端子(ノード8)に電源電圧を印加し、充電期間の始期に対応した充電指令信号がノードT2から入力されたことにより昇圧用容量C1の他方の端子に基準電位の電圧を印加するバイアス切り替え手段として構成されている。
【0035】
具体的には、トランジスタP21はソースが電源端子1に、ドレインがノード8に、ゲートがノードT2に接続されており、トランジスタN7はドレインがノード8に、ソースと基板がGNDに接続され、ゲートがノードT2に接続されている。
【0036】
次に、図2にしたがって図1に示す昇圧回路装置の動作を説明する。
【0037】
まず、入力端子3のレベルがLowレベルにある場合、制御回路14内のNANDゲートG7,G11および3入力NANDゲートG9の出力はいずれもHighレベルとなり、ノードT1,T2,T3はいずれもLowレベルにある。このためノードT2にゲートが接続されたPMOSトランジスタP21がオンとなり、ノード8を電源端子1の電位、すなわち電源電圧VCCにバイアスする。
【0038】
このとき、スイッチング回路12においては、ノードT2のレベルがLowレベルにあることを受けて、インバータG13の出力がHighレベルとなる。このときPMOSトランジスタP12はオフ状態にあるから、電源端子1からノード9に向かう電流は遮断される。またノードT2にゲートが接続されたPMOSトランジスタP14がオンとなり、PMOSトランジスタP13のゲートをノード9の電位にバイアスする。これによりノード9から電源端子1へ向かう電流も遮断されることになる。よってスイッチング回路12は電源端子1とノード9との間のいずれの方向の電流も遮断し、オフ状態にある。さらに、スイッチング回路13においても、スイッチング回路12と同様の回路構成を採用しているため、ノードT1のレベルがLowにあるのを受けて、PMOSトランジスタP15,P16がともにオフとなって、電源端子1とノード9との間のいずれの方向の電流も遮断し、スイッチング回路12と同様にオフ状態にある。
【0039】
一方、電荷転送回路6においては、ノードT3のレベルがLowにあるのを受けて、インバータG5の出力がHighレベルとなり、NMOSトランジスタN5がオンとなる。NMOSトランジスタN5がオンになることにより、PMOSトランジスタP18のゲートがLowレベル、すなわち、GND電位(基準電位)となって、PMOSトランジスタP18がオン状態となり、ノード9の電位を出力端子2側へ伝達する。またノードT3にゲートを接続するPMOSトランジスタP20がオンとなり、PMOSトランジスタP19のゲートをノード9の電位にバイアスする。ノード9の電位はPMOSトランジスタ18のオンによって出力端子2の電位と同電位にあるから、PMOSトランジスタP19のゲート,ソースが同電位となって、PMOSトランジスタP19はオフ状態となり、出力端子2からNMOSトランジスタN5側へ向かう電流を遮断する。
【0040】
入力端子3のレベルがLowにある状態は、昇圧用容量C1のノード8側の端子を電源電圧VCCに上昇させてノード9側に昇圧圧力を得る昇圧モード(電荷転送期間)にあり、スイッチング回路12,13をともにオフ状態として、ノード9から電源端子1側へ電荷が漏れるのを防止しているとともに、電荷転送回路6をオン状態として、ノード9の昇圧電位を出力端子2側へ伝達している。このとき出力端子2に接続されているバイアス回路11においては、PMOSトランジスタP11が出力端子2から電源端子1に向かう電流を遮断するから、出力端子2の昇圧電位は維持される。
【0041】
なお、入力端子3に昇圧クロック信号が入力されていない初期状態においては、バイアス回路11内のPMOSトランジスタP11によって出力端子2およびノード9が充電されることになる。この充電電圧は、電源電圧VCCからPMOSトランジスタP11のしきい値電圧|Vthp|分、もしくはPMOSトランジスタP11のドレイン,基板間の寄生ダイオードの順方向降下FVD分だけ低い電圧となる。またこの初期の充電電圧を電源電圧VCCと同電位とする必要があるときには、バイアス回路11の構成を、例えば、スイッチング回路12と同一の構成として、昇圧クロック信号入力前に、その制御入力をHighレベルとして、スイッチング回路12内のPMOSトランジスタP12,P13相当のトランジスタをオン状態とすることによって実現できる。そして昇圧クロック信号入力後は、その制御入力をLowレベルとして、上記トランジスタをオフ状態としておけばよいことになる。
【0042】
次に、入力端子3に入力された昇圧クロック信号のレベルがHighレベルに遷移すると、制御回路14内の第1の遅延回路DLY1,第2の遅延回路DLY2の各出力は、図2に示されるように、それぞれtd1およびtd2の遅れをもってLowレベルに遷移する。ここで、遅延時間td1,td2は、図2に示されるように、td1<td2の関係にあるものとする。これにより、NANDゲートG7は、昇圧クロック信号と第1の遅延回路DLY1の出力がともにHighレベルとなり、このHighレベルの重なり期間に、遅延時間td1に相当する幅のLowレベルのワンショットパルスを出力する。これによりノードT1には、LowレベルのワンショットパルスをインバータG8によって反転したパルス、すなわち遅延時間td1に相当する期間にHighレベルのワンショットパルスが放電指令信号として出力される。このとき3入力NANDゲートG9については、その一入力に第1の遅延回路DLY1の出力をインバータG6で反転した信号が入力されているため、遅延時間td1の経過後にアクティブ状態、すなわち全入力がHighレベルとなって出力がLowレベルに遷移する。そして第2の遅延回路DLY2の出力がLowレベルに遷移した時点でHighレベルに復帰する。よって、3入力NANDゲートG9は、第1の遅延回路DLY1と第2の遅延回路DLY2との遅延時間の差、すなわちtd2−td1に相当する期間にLowレベルのワンショットパルスを出力し、ノードT2には、LowレベルのワンショットパルスをインバータG10によって反転したパルス、すなわち遅延時間td2−td1に相当する期間に、Highレベルのワンショットパルスが充電指令信号として出力される。またNANDゲートG11は、昇圧クロック信号と第2の遅延回路DLY2の出力とのHighレベルの重なり期間、すなわち遅延時間td2に相当する幅のLowレベルのワンショットパルスを出力し、よって、ノードT3には、LowレベルのワンショットパルスをインバータG12によって反転したパルス、すなわち遅延時間td2に相当する期間に、Highレベルのワンショットパルスが制御信号として出力される。
【0043】
ノードT1,T2,T3から出力されるワンショットパルスによって各回路要素は次のように制御される。
【0044】
まず、ノードT1のレベルがLowレベルからHighレベルに遷移することにより、放電期間が開始され、ノードT1のパルスを制御入力とするスイッチング回路13においては、ノードT1に入力を接続するインバータG14の出力がLowレベルとなって、PMOSトランジスタP15がオンになる。またノードT1にゲートを接続するNMOSトランジスタN4がオンとなってPMOSトランジスタP16のゲートがLowレベルとなり、PMOSトランジスタP16もオンになる。このスイッチング回路13内のPMOSトランジスタP15,P16のオンによって、ノード9と電源端子1との間が短絡され、ノード9は電源電圧VCCの電位にバイアスされることになる。
【0045】
このとき、ノードT2の信号はまたLowレベルにあるから、PMOSトランジスタP21がオン状態にあり、ノード8側の電位を電源電圧VCCにバイアスしている。よって、昇圧用容量C1の両端電位差は0Vとなって、昇圧用容量C1は放電状態となる。ノードT1のHigh遷移直前のノード9の電位が電源電圧VCC以上の昇圧電位であれば、ノード9側から電源端子1側に向かって昇圧用容量C1の放電電流が流れることになる。
【0046】
また、ノードT1のHigh遷移と同時にHighとなったノードT3の信号を受けて電荷転送回路6においては、ノードT3に入力を接続するインバータG5の出力がLowレベルとなる。このとき、インバータG5の出力にゲート接続するNMOSトランジスタN5がオフになるとともに、ノードT3にゲートを接続するNMOSトランジスタN6がオンとなってPMOSトランジスタP19のゲートがLowレベルとなり、PMOSトランジスタP19がオン状態になる。
【0047】
これにより、PMOSトランジスタP18のゲートは出力端子2の電位にバイアスされるから、PMOSトランジスタP18は出力端子2からノード9側へ向かう電流パスを遮断する。よって、スイッチング回路13によるノード9の電源電圧VCC電位への電位低下が起こっても、出力端子2からノード9側への電荷の移動(転送)は発生せず、出力端子2の昇圧直前における昇圧電位は維持される。
【0048】
またノードT1のレベルがHighの期間中、ノードT2はLowレベルを維持するから、スイッチング回路12は、昇圧クロック信号のレベルがLow入力状態の場合と同様にオフ状態にある。
【0049】
次に、遅延時間td1経過後、ノードT1のレベルがLowへ復帰すると同時にノードT2のレベルがHighに遷移した時点をみると、このとき、ノードT3については、ノードT2のLowレベルへの復帰まで変化はないから、電荷転送回路6は上記の状態を維持する。またスイッチング回路13は、ノードT1のレベルがLowに復帰したのを受けて、昇圧クロック信号のレベルがLow入力状態の場合と同様オフ状態に戻る。
【0050】
一方、ノードT2のレベルがHighレベルに遷移すると、充電期間が開始され、ノードT2からのパルスを制御入力とするスイッチング回路12においては、ノードT2に入力を接続するインバータG13の出力がLowレベルとなる。このとき、インバータG13の出力にゲートを接続するPMOSトランジスタP12がオンになる。またノードT2にゲートを接続するNMOSトランジスタN3がオンとなって、PMOSトランジスタP13のゲートがLowレベルとなり、PMOSトランジスタP13もオンになる。このスイッチング回路12内のPMOSトランジスタP12,P13のオンによって、ノード9と電源端子1との間が導通状態になる。
【0051】
また、このとき、同時に、ノードT2にゲートを接続するNMOSトランジスタN7がオン,PMOSトランジスタP21がオフとなって、ノード8を電源電圧VCCの電位からGND電位に引き下げる。
【0052】
ノードT2がHighレベルに遷移する直前には、昇圧用容量C1はその両端電位差が0Vとなって放電状態にあるから、ノード8のGND電位への遷移に伴ってノード9側もGND電位に向かって低下することになる。ただし、このときスイッチング回路12が上述したように、同時にオン状態になるから、電源端子1側からノード9に向かって昇圧用容量C1に充電電流が供給される。これに伴って、ノード9の電位はGND電位から徐々に上昇するが、このノード9の上昇電圧、すなわち昇圧用容量C1の両端電位差ΔVは、次の(4)式で示されるように、
ΔV=IC×tw/C1 …(4)
となる。
【0053】
ここで、ICはスイッチング回路12を介して電源端子1からノード9に向かって流れる充電電流、twはスイッチング回路12のオン期間(充電期間)、すなわちノードT2のHighレベル期間であって、図2に示されるように、遅延時間td2−td1に相当する。またC1は昇圧用容量C1の容量係数である。続いて、ノードT2,T3のレベルがLowに復帰すると、スイッチング回路12は、昇圧クロック信号のレベルがLowとなる入力状態の場合と同様にオフ状態に戻り、電源端子1とノード9との間のいずれの方向の電流も遮断する。スイッチング回路13についても、ノードT1のLowレベルに変化はないから、やはり同様にオフ状態にある。よってノード9は電源端子1から切り離された状態になる。
【0054】
またノードT2のLowレベルへの遷移によってゲートをノードT2に接続するPMOSトランジスタP21がオンに、NMOSトランジスタN7がオフとなって、ノード8をGND電位から電源電圧VCCの電位に引き上げる。この直前の上記充電動作による昇圧用容量C1の両端電位差をΔVとし、また充電電荷が保存されるとすれば、このノード8側の電源電圧電位への上昇を伴って、ノード9側の電位はVCC+ΔVまで上昇することになる。
【0055】
また、このとき、ノードT3のLowレベルへの復帰によって、電荷転送回路6においては、昇圧クロック信号のレベルがLowとなる入力状態の場合と同様の状態に戻って、PMOSトランジスタP18がオン状態となり、ノード9の昇圧電位を出力端子2側へ伝達する。このとき、負荷容量CLの端子電圧、すなわち出力端子2の電圧が電源電圧VCC+ΔVよりも低い状態にあれば、昇圧用容量C1の充電電荷が負荷容量CL側に分配され、ノード9と出力端子2の電圧は、電源電圧VCC+ΔVよりも低下する。ただし負荷容量CLは、電荷分配により充電電荷が増加しているから、この電荷分配が行われる以前よりもその端子電圧、すなわち出力端子2の電圧は上昇したことになる。よって、電荷分配が繰り返されることによって、出力端子2の電圧は徐々に上昇し、最終的には電源電圧VCC+ΔVに到達して飽和状態、すなわちそれ以上は上昇しない状態となる。すなわち、図2において、ノードT2,T3のレベルがHighからLowに遷移したときのノード9の昇圧電位HVは、電源電圧VCC+ΔVと表記されているが、これは上記飽和状態における値を示している。
【0056】
以上、ノードT1,T2,T3から発生するワンショットパルスのレベルが全てLowへ復帰した時点で1サイクルの昇圧動作が完了し、この時点において、スイッチング回路12,13,PMOSトランジスタP21,NMOSトランジスタN7,電荷転送回路6などの各回路要素は、昇圧クロック信号のレベルがLowになる初期の動作状態に復帰する。
【0057】
続いて、昇圧クロック信号のレベルがLowに遷移しても、ノードT1,T2,T3の信号状態に変化はないから、次の昇圧クロック信号のレベルがHighに遷移するまで上記の状態が維持される。
【0058】
続いて、昇圧クロック信号のレベルが再びHighに遷移すると、ノードT1,T2,T3に再びワンショットパルスが創出され、昇圧容量C1の放電,充電、そして負荷容量CLの充電電荷分配の一連の動作が繰り返され、負荷容量CLの端子電圧、すなわち出力端子2の電位を昇圧していく。
【0059】
以上のような動作において、出力端子2に最終的に得られる昇圧出力電圧は、上述したように、ノードT2のワンショットパルスのHigh期間中に充電された昇圧用容量C1の充電電圧、すなわち両端電位差ΔVによって決まる。そしてΔVは、前記(4)式に示されるように、ノードT2から発生するワンショットパルスのHighレベル期間twに比例する。またtwは制御回路14内の第1の遅延回路DLY1の遅延時間td1と第2の遅延回路DLY2の遅延時間td2との差分、すなわちtd2−td1に相当する時間幅を有している。そして、第2の遅延回路DLY2の電源電圧VCCに対する依存性を大きく設定し、電源電圧VCCの上昇に伴って、td2がtd1よりも急速に減少するように設定すると、電源電圧VCCが高電圧になるにしたがって、図2に示すように、td1に対するtd2の相対的な遅れ、すなわちtwが減少していくこくになる。このtwの減少に伴って、ΔVの大きさも減少するから、電源電圧VCCが高電圧になるにしたがって昇圧出力電圧が抑制されることになる。
【0060】
さらに、電源電圧VCCが上昇して(電源電圧の仕様が高くなって)、td2≦td1の状態になると、twは0となって、もはやノードT2にワンショットパルスは出現しない。この状態では、NMOSトランジスタN7がオンしてノード8をGND電位にバイアスすることもなく、またスイッチング回路12がオンして昇圧用容量C1を充電することもないから、昇圧動作は行われない。この場合、ノードT1のワンショットパルスで動作するスイッチング回路13によって、ノード9に電源電圧VCCが印加されるので、出力端子2も電源電圧VCCの電位を出力することになる。
【0061】
つまり、本実施形態によれば、電源電圧VCCの仕様が高電圧域に設定されているときには、昇圧出力電圧が自動的に抑制されるか、もしくは昇圧動作が停止して電源電圧VCCを出力することになる。一方、電源電圧VCCの仕様が設定電圧以下の低電圧域に設定されているときには、td2>td1の関係にあって、電源電圧VCCの低下に伴ってtd2とtd1との差、すなわちtwが増大して昇圧用容量C1の充電期間が長くなる。その結果、ΔVが大きくなり、電源電圧VCCの低電圧域における昇圧出力電圧を確保することができる。
【0062】
次に、本実施形態における電源電圧VCCと昇圧出力電圧HVとの相関特性の概念図を、従来例によるものと比較して図3に示す。
【0063】
図3において、横軸は電源電圧VCCを、縦軸は昇圧出力電圧HVをそれぞれ表わす。また図中のHVmaxは、素子耐圧などから規定される許容最大印加電圧であり、昇圧出力電圧の上限値である。またHVminは昇圧出力電圧を使用する負荷回路が必要とする最小電圧であって、昇圧出力電圧の下限値である。よって、昇圧出力電圧は、使用する電源電圧VCCの全範囲において、HVmaxとHVminとの範囲内にある必要がある。ここで、図3において、特性Aが従来例を表わし、特性Bが図1に示す装置の特性を表わすものとする。
【0064】
図3に示されるように、使用電源電圧VCC範囲の上限とHVmaxとが近接した要求仕様においては、特性Aにみられるように、基本的には電源電圧VCCの2倍の昇圧電圧が発生する従来例では、比較的低い電源電圧VCCにおいてHVmaxを上回る昇圧電圧が発生する。これに対して、本実施形態のものは、特性Bで示すように、昇圧出力電圧はVCC+ΔVに抑制される。また電源電圧VCCが設定電圧を超えたときには、昇圧用容量C1の充電が行われなくなる結果、ほぼ電源電圧VCCの出力となって、使用電源電圧VCC範囲の上限側でもHVmaxを満足する昇圧出力が得られる。
【0065】
なお、前記実施形態において、図1に示したスイッチング回路12,13の構成はこれに限定されるものではなく、上述の機能動作を実現するものであれば他の構成を採用することもできる。
【0066】
また制御回路14についても同様に、前記実施形態においては、二つの遅延回路DLY1とDLY2を設け、それらの遅延時間td1,td2の差を利用して昇圧用容量C1の充電期間を規定しているが、昇圧用容量C1の放電期間(遅延時間td1に相当する期間)の確保と、電源電圧VCCの値に応じてその充電期間を加減しうる充電指令信号(図2におけるtwに相当する信号)が得られれば他の構成を採用することもできる。ただし、本実施形態に示す構成によれば、電源電圧VCCの高電圧域において、前述のごとく、td2≦td1の関係に置くことで、容易に昇圧容量C1の充電期間を0とすることができるので、完全に昇圧動作を停止することができ、過電圧発生の防止に極めて有効である。
【0067】
上述したように、本実施形態によれば、電源電圧VCCの値に応じて昇圧出力電圧を自動的に調整することができ、昇圧を必要とする電源電圧VCCの低電圧域では昇圧電圧を確保し、昇圧の不要な高電圧域では昇圧電圧を抑制し、所期の昇圧電位範囲を満足する昇圧回路装置を得ることができる。また、発生した昇圧電圧をクランプするのではなく、昇圧電圧そのものを調整するため、回路内部での過電圧発生を防止した昇圧回路装置を得ることができる。また電荷転送回路6における昇圧効率を向上させることもできる。また昇圧用容量C1の放電および充電をそれぞれスイッチング回路12,13によって独立に行っているため、例えば放電期間を短縮するなど個別に最適化を図ることができる。
【0068】
次に、制御回路14の具体的な構成を図4にしたがって説明する。
【0069】
図4において、第1の遅延回路DLY1は、電源端子1にソースおよび基板を、入力端子3にゲートを、ノード15にドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP22と、GNDにソースおよび基板を、入力端子3にゲートをそれぞれ接続し、ドレインを抵抗R1を介してノード15に接続したNMOSトランジスタN8と、ノード15とGNDとの間に接続した容量C2と、電源端子1にソース及び基板を、ノード15にゲートをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP23と、PMOSトランジスタP23のドレインにソースを、電源端子1に基板を、ノード16にドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP24と、入力端子3に入力を接続したインバータG15と、GNDにソースおよび基板をノード16にドレインを接続し、ゲートをPMOSトランジスタP24のゲートとともにインバータG15の出力に接続したNMOSトランジスタN9と、ノード16に入力を接続したインバータG16とから構成されており、インバータG16の出力を第1の遅延回路DLY1の出力としている。
【0070】
また第2の遅延回路DLY2は、電源端子1にソースおよび基板を、入力端子3にゲートを、ノード17にドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP26と、GNDにソースおよび基板を、入力端子3にゲートをそれぞれ接続し、ドレインを抵抗R2を介してノード17に接続したNMOSトランジスタN14と、ノード17とGNDとの間に接続した容量C3と、電源端子1にソースおよび基板を、ノード17にゲートを接続したPMOSトランジスタP27と、PMOSトランジスタP27のドレインにソースを、電源端子1に基板を、ノード18にドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP28と、入力端子3に入力を接続したインバータG17と、GNDにソースおよび基板を、ノード18にドレインをそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP28のゲートとともにインバータG17の出力に接続したNMOSトランジスタN16と、ノード18に入力を接続したインバータG18と、ノード17とGNDとの間に接続した第1の放電回路19と、同じくノード17とGNDとの間に接続した第2の放電回路20とによって構成されており、インバータG18の出力を第2の遅延回路DLY2の出力としている。そして、第1の放電回路19は、ノード17にソースおよび基板を接続し、ゲート,ドレインを短絡接続したPMOSトランジスタP25と、GNDに基板を接続し、ゲート,ドレインを短絡してPMOSトランジスタP25のドレインに共通接続したNMOSトランジスタN10と、NMOSトランジスタN10のソースにドレインを、入力端子3にゲートを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN11と、ノード17にドレインを、NMOSトランジスタN10のゲートにゲートを、GNDに基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN12と、NMOSトランジスタN12のソースにドレインを、入力端子3にゲートを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN13とから構成されている。
【0071】
また第2の放電回路20は、ノード17にドレインを、入力端子3にゲートを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN15によって構成されている。
【0072】
図4において第1の遅延回路DLY1と第2の遅延回路DLY2の出力からノードT1,T2,T3に創出するワンショットパルスを生成するための論理構成は、図1のものと同様であり、対応するゲートには同一の符号を付してある。また第1の遅延回路DLY1,第2の遅延回路DLY2とその他の論理ゲートの接続関係は図1の制御回路14と同様であり説明は省略する。
【0073】
次に、図4に示す制御回路図4の動作を説明する。
【0074】
まず、入力端子3に入力される昇圧クロック信号のレベルがLowレベルにあるときには、NANDゲートG7,G11,3入力NANDゲートG9の一入力がLowレベルにあるので、ノードT1,T2,T3はいずれもLowレベル出力となる。
【0075】
このとき、第1の遅延回路DLY1においては、ゲートを入力端子3に接続したPMOSトランジスタP22がオンとなり、ノード15を電源端子1の電源電圧VCCにバイアスし、ノード15にゲートを接続したPMOSトランジスタP23をオフ状態とする。また入力端子3に接続したインバータG15の出力がHighレベルとなって、PMOSトランジスタP24がオフ、NMOSトランジスタN9がオンとなり、ノード16をLowとして、このレベルを受けるインバータG16の出力、すなわち第1の遅延回路DLY1の出力をHighレベル状態に置く。
【0076】
また、第2の遅延回路DLY2においては、第1の放電回路19内のNMOSトランジスタN11,N13、第2の放電回路20内のNMOSトランジスタN15がいずれもオフ状態にあるから、それらの放電回路19,20を介してノード17からGND側に電流は流れず、それらの放電回路はいわばオフ状態にある。これらの放電回路を除けば、第1の遅延回路DLY1と構成は同じであるから、ノード17がPMOSトランジスタP26によって電源電圧VCCにバイアスされる。ノード18がNMOSトランジスタN16によってLowレベルにバイアスされて、このバイアスレベルを受けるインバータG18の出力、すなわち第2の遅延回路DLY2の出力もやはりHighレベル状態に置かれる。
【0077】
次いで、昇圧クロック信号のレベルがHighレベルに遷移すると、まず、第1の遅延回路DLY1と第2の遅延回路DLY2の各出力がともにHighレベル状態にあるので、このレベルを受けるNANDゲートG7,G11の出力はLowレベルに、よってその反転出力となるノードT1,T3はHighレベルへ遷移する。そして第1の遅延回路DLY1出力のインバータG6による反転出力を1入力としている3入力NANDゲートG9については、Highレベル出力を維持しており、よってノードT2についてはLowレベルにある。
【0078】
このとき、第1の遅延回路DLY1についてはゲートを入力端子3に接続したNMOSトランジスタN8がオンとなり、抵抗R1を介してノード15に接続した容量C2の放電を開始する。そして、ノード15の電位がPMOSトランジスタP23のしきい値電圧|Vthp|分低下したした時点で、PMOSトランジスタP23がオンすることになる。そして昇圧クロック信号のレベルがHighレベルに遷移した時点では、インバータG15の出力がLowレベルとなり、NMOSトランジスタN9がオフ,PMOSトランジスタP24がオン状態になる。ただし、このとき、PMOSトランジスタP23はまだオフ状態にあり、ノード16はLowレベルにある。そして、上述の如く、ノード15の電位が低下し、PMOSトランジスタP23がオンした時点で、ノード16は速やかにHighレベルへ遷移し、よって第1の遅延回路DLY1の出力がLowレベルに遷移する。これを受けてNANDゲートG7の出力がHighレベルとなり、よってノードT1はLowレベルへ復帰する。またこのとき、インバータG6の出力がHighレベルとなって、3入力NANDゲートG9の出力がLowレベルとなり、ノードT2がHighレベルへ遷移する。
【0079】
上述したように、ノードT1のワンショットパルス幅、すなわちノードT1のHighレベル期間は、PMOSトランジスタP23がオンするまでの遅延時間によって決定される。そしてこの遅延時間は、抵抗R1と容量C2による放電時定数と、PMOSトランジスタP23のしきい値電圧|Vthp|とによって決まり、比較的電源電圧VCCに対する依存性を少なくすることができる。
【0080】
一方、第2の遅延回路DLY2においても、基本的には、第1の遅延回路DLY1と同様に、ノード17に接続した容量C3の放電を抵抗R2を介して行って、ノード17の電位がPMOSトランジスタP27のしきい値電圧|Vthp|分低下した時点で、PMOSトランジスタP27がオンしてノード18をHighレベルに遷移し、よって第2の遅延回路DLY2の出力がLowレベルへ遷移する。このレベルを受けてノードT2,T3がLowレベルへ復帰することになる。第2の遅延回路DLY2においては、さらに第1の放電回路19内のNMOSトランジスタN11,N13,第2の放電回路20内のNMOSトランジスタN15がオンとなって、ノード17からGNDへ向かって放電電流を流し得る状態となる。
【0081】
このとき、第1の放電回路19についてみると、NMOSトランジスタN11,N13がオン状態になると、NMOSトランジスタN10,N12の各ソース電位はいずれもGND電位側にバイアスされ、NMOSトランジスタN10,N12の各ゲート・ソース間電圧はほぼ等しくなってカレントミラーを形成する。
【0082】
このときそのリファレンス側となるNMOSトランジスタN10側に放電電流が流れるためには、PMOSトランジスタP25,NMOSトランジスタN10がともにオン状態になる必要があるから、少なくともノード17の電位がそれらのしきい値電圧の和以上となる必要がある。言い替えれば、ノード17の電位は、PMOSトランジスタP25のしきい値電圧|Vthp|とNMOSトランジスタN10のしきい値電圧Vthnとの和|Vthp|+Vthn以上の場合に、PMOSトランジスタP25およびNMOSトランジスタN10側に放電電流が流れ、そのミラー比倍に相当する放電電流がNMOSトランジスタN12側に流れて、容量C3を急速に充電することになる。この放電電流はノード17の電位、すなわち電源電圧VCCが高電圧になるにしたがって二次関数的に増大するから、電源電圧VCCの高電圧域において、第2の遅延回路DLY2の遅延時間を大幅に縮小することができる。一方、低電圧域ではPMOSトランジスタP25,NMOSトランジスタN10がともにオフ状態にあって、NMOSトランジスタN12側に放電電流は流れないから、ノード17の放電時定数は抵抗R2と容量C3によって決まることになる。
【0083】
第2の放電回路20については、NMOSトランジスタN15のオン抵抗を適当に設定することで、第1の放電回路19が動作するまでの電圧範囲において遅延時間の電源電圧VCCに対する依存性を調整することができる。例えば、使用電源電圧VCCの下限値側ではNMOSトランジスタN15のオン抵抗を抵抗R2よりも十分大とし、電源電圧VCCの増大に応じて徐々にそのオン抵抗が低下して第1の放電回路19が動作する前に、抵抗R2前後またはそれ以下のオン抵抗に低下するものとすれば、低電圧域では遅延時間を確保しつつ、遅延時間の電源電圧VCCに対する依存性をより大きくした第2の遅延回路DLY2が得られる。なお、第2の放電回路20については必ずしも必要なものではなく、昇圧出力電圧の電源電圧VCCに対する依存性などを考慮して適宜設ければよいことになる。
【0084】
よって、第2の遅延回路DLY2の抵抗R2と容量C3による放電時定数を、第1の遅延回路DLY1における抵抗R1と容量C2による放電時定数よりも大きくなるように各定数を設定することにより、図1の実施形態によって仮定した各遅延回路の特性を実現することができる。
【0085】
なお、昇圧クロック信号のレベルがHighからLowへ遷移したときは、第1の遅延回路DLY1および第2の遅延回路DLY2におけるインバータG15,G17の出力がHighレベルとなって、NMOSトランジスタN9およびN16がオン,PMOSトランジスタP24,P28がオフとなる。これによって、第1の遅延回路DLY1のノード16,第2の遅延回路DLY2のノード18がともにLowレベルとなり、よって第1の遅延回路DLY1および第2の遅延回路DLY2の出力は、昇圧クロック信号のレベルがLowへ遷移したあと、ただちにHighレベルへ復帰する。また第1の遅延回路DLY1内の容量C2はPMOSトランジスタP22のオンにより、再び電源電圧VCCに充電されて初期の状態に戻る。第2の遅延回路DLY2においても、第1の放電回路19および第2の放電回路20のいずれもオフ状態となってノード17からGNDへ向かう電流のパスを遮断した状態にあるから、PMOSトランジスタP26のオンにより、容量C3も容量C2と同様、電源電圧VCCに充電されて初期状態に戻る。
【0086】
またノードT1,T2,T3については、昇圧クロック信号のレベルがHighレベルに遷移した側では、第1の遅延回路DLY1および第2の遅延回路DLY2の出力がLowレベルに反転するのを受けて、すでにLowレベルに復帰しており、昇圧クロック信号のLowレベル遷移側での変化はなく、Lowレベルを維持することになる。
【0087】
ここで、図4に示した制御回路14の出力特性を図5に示す。図5において、横軸は電源電圧VCC、縦軸はノードT1,T2,T3に出力されるワンショットパルスのパルス幅をそれぞれ示している。
【0088】
図5におけるP1は、ノードT1のワンショットパルス幅特性を表わすものであり、第1の遅延回路DLY1の遅延時間に相当するものであるが、比較的フラットな電源電圧VCCに対する依存性を示している。これに対して、パルス幅P3はノードT3におけるワンショットパルスのパルス幅であり、第2の遅延回路DLY2の遅延時間に相当し、電源電圧VCCに対して大きな依存性を示している。ノードT2には、ノードT3とノードT1に出力されるワンショットパルスの差分によって生成されるワンショットパルスのパルス幅をP2で示している。
【0089】
このパルス幅P2は、電源電圧VCCの増加とともに、パルス幅P3とほぼ相似形で急峻に減衰し、例えば約3.5V 程度で消滅、すなわち、0となっている。
【0090】
図5に示す特性から、図4に示す制御回路14を図1に示す装置に適用することにより、電源電圧VCCが2V前後の昇圧が必要な低電圧域では電源電圧の大きさにより十分な昇圧を行い、例えば3Vを越える高電圧域においては自動的に昇圧電圧を抑制したり、昇圧を停止したりする昇圧回路装置を実現することができる。
【0091】
次に、本発明の第2実施形態を図6にしたがって説明する。
【0092】
本実施形態は、図1に示す第1実施形態におけるスイッチング回路12をバイアス回路21に置き換えたものであり、他の構成は図1と同様である。バイアス回路21は、昇圧用容量C1の一方の端子(ノード9)に電源電圧VCCにしたがってバイアス電圧を印加するバイアス手段として構成されている。具体的には、バイアス回路21は、電源端子1にゲートおよびドレインを、ノード9にソースを、GNDに基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN17を備えて構成されている。この場合、NMOSトランジスタN17の代わりに、電源端子1側にソースを、ノード9側にゲート,ドレイン,基板をそれぞれ接続するPMOSトランジスタP30または電源端子1側にアノードを、ノード9側にカソードをそれぞれ接続するダイオードD1を用いることもできる。これらの素子はいずれもノード9から電源端子1に向かう電流のパスを遮断し、逆に電源端子1からノード9に向かっては、各素子がオンするに十分な電位差が与えられれば、電流を通流する性質を有している。このため、同様な性質を有していれば、図6に示した素子の他、例えばNPNトランジスタやPNPトランジスタなどを用いることも可能である。
【0093】
本実施形態における動作についても、バイアス回路21以外の回路要素については、図1の実施形態と同様であるので、各部の詳細な説明は省略する。
【0094】
まず、昇圧クロック信号のレベルがLowレベルにあるときには、ノード8は電源端子VCCにバイアスされて、ノード9側は電源電圧VCC以上の昇圧電位にある。このとき、ノード9が電源電圧VCC以上にあるので、バイアス回路21,スイッチング回路13は遮断状態にあって、ノード9から電源端子1側への電流は遮断されている。また電荷転送回路6はオン状態で、ノード9の昇圧電位が出力端子2側へ伝達されている。なお、まだ昇圧クロック信号が一度も入力されていない初期状態においては、ノード9および出力端子2は、バイアス回路21およびバイアス回路11によって電源端子1側から充電されることになる。次いで、昇圧クロック信号のレベルがHighへ遷移すると、まずノードT1のワンショットパルスによってスイッチング回路13がオンになり、ノード9を電源電圧VCCにバイアスして昇圧用容量C1を放電する。また、このとき同時に生成されるノードT3のワンショットパルスによって電荷転送回路6がオフ状態となり、出力端子2側からノード9側への昇圧電荷の逆流を防止する。
【0095】
ノードT1のワンショットパルスが終了すると、続いてノードT2にワンショットパルスが印加され、これに伴ってNMOSトランジスタN7によりノード8が電源電圧VCCからGND電位に引き下げられる。このとき、昇圧用容量C1が先に放電されているから、ノード9側の電位もGND電位に低下しようとする。これによって電源端子1とノード9間に電位差が生じ、バイアス回路21内のNMOSトランジスタN17がオンし、電源端子1側からノード9側に向かって昇圧用容量C1への充電電流が流れる。この充電電流はノード8側の電位がGND電位にある期間、すなわちノードT2のワンショットパルス幅の期間(Highレベル期間)のみ流れることになるから、前記実施形態と同様、ノードT2のワンショットパルス幅によって昇圧用容量C1の充電電圧ΔVを規定することができる。ただし、バイアス回路21においては、NMOSトランジスタN17のしきい値電圧に関わる電圧降下が存在するため、充電効率は低下し、電源電圧VCCの低電圧域における昇圧効率は前記実施形態よりも若干低下する。一方、高電圧域では、その充電効率の低下が昇圧電圧の抑制につながることになる。
【0096】
次に、ノードT2,T3のワンショットパルスが終了した時点では、PMOSトランジスタP21側がオンとなってノード8を再度電源電圧VCCにバイアスし、ノード9側に昇圧電圧VCC+ΔVを発生させ、同時に、電荷転送回路6がオンになって、ノード9側に発生した電圧を出力端子2側へ伝達して昇圧動作を行うことになる。
【0097】
本実施形態によれば、スイッチング回路12の代わりにバイアス回路21を用いたため、前記実施形態に比べてより簡略化した回路構成で、前記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0098】
次に、本発明の第3実施形態を図7にしたがって説明する。
【0099】
本実施形態は、図1に示すスイッチング回路12を廃止し、またスイッチング回路13の代わりにスイッチング回路22を設け、このスイッチング回路22の制御をノードT3に発生するワンショットパルスによって行うようにしたものである。このような構成に伴って、ノードT1による制御が不要となり、制御回路14内のゲートとして、NANDゲートG7,インバータG8を削除することができる。
【0100】
スイッチング回路22はノードT3に発生するワンショットパルス(制御信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子(ノード9)に電源電圧を印加するスイッチング手段として構成されている。
【0101】
具体的には、スイッチング回路22は、電源端子1にソースを、ノード9にドレイン,基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP31と、ノード9にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP31のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP32と、PMOSトランジスタP31のゲートにドレインを、GNDにソースおよび基板をそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP32のゲートとともにノードT3に接続したNMOSトランジスタN17によって構成されている。
【0102】
本実施形態においても、ノードT2,T3に発生するワンショットパルスは、前記各実施形態と同様に生成され、昇圧クロック信号のレベルがHighへ遷移した時点で、ノードT3にHighレベルのワンショットパルスが出現し、そのHighレベル期間中、電荷転送回路6はオフ状態となって、出力端子2からノード9へ向かう電流パスを遮断する。このときスイッチング回路22においては、ノードT3のHighレベルを受けてNMOSトランジスタN17がオンとなり、PMOSトランジスタP31のゲートをGNDにバイアスする。これによりPMOSトランジスタP31がオンとなってノード9を電源端子1の電源電圧VCCにバイアスする。このとき制御回路14内の第1の遅延回路DLY1の遅延時間に相当する期間、ノードT2はLowレベルを維持し、よってその期間ノード8は電源電圧VCCにバイアスされているから、PMOSトランジスタP31のオンにより、昇圧用容量C1の両端がともに電源電圧VCCとなって昇圧用容量C1の放電が行われる。
【0103】
続いて、第1の遅延回路DLY1の遅延時間td1に相当する期間が経過すると、ノードT2のレベルがHighへ遷移してノード8がGND電位にバイアスされる。これに伴って、ノード9側の電位もGND電位に向かって低下しようとするが、このとき、図2に示されるように、依然としてノードT3はHighレベルにあるから、スイッチング回路22内のPMOSトランジスタP31もオン状態にあり、ノード9側の電位の低下を受けて、電源端子1側から昇圧用容量C1へ充電電流の供給を開始する。この充電電流は、ノード8側がGND電位にバイアスされている期間中、ノードT2のワンショットパルスのHighレベル期間中供給されることになる。このため前記各実施形態と同様、ノードT2のワンショットパルス幅によって昇圧用容量C1の充電電圧ΔVを規定することができる。
【0104】
次に、ノードT2,ノードT3に発生するワンショットパルスのレベルがLowへ復帰すると、ノード8側が電源電圧VCCにバイアスされてノード9側に昇圧電圧が表れる。同時にスイッチング回路22においては、NMOSトランジスタN17がオフになり、PMOSトランジスタP32がオンとなって、PMOSトランジスタP31のゲートをノード9側の電位にバイアスする。これによってPMOSトランジスタP31がオフ状態となり、ノード9側から電源端子1側へ向かう電流のパスを遮断する。またこのとき同時に、電荷転送回路6がオンとなってノード9の昇圧電位を出力端子2側へ伝達する。
【0105】
本実施形態においては、スイッチング回路22の構成を、図1に示すスイッチング回路12,13と同様の構成としても、同様の動作を行うことができる。すなわち、図1に示す実施形態においては、昇圧用容量C1の充電をスイッチング回路12で制御する構成を採用しているため、スイッチング回路13側で電源端子1からノード9へ向かう電流を遮断する必要があり、PMOSトランジスタP15,インバータG14などが設けられている。
【0106】
また本実施形態においては、スイッチング回路22が図1におけるスイッチング回路12,13の機能を兼ねており、ノード8側を電源電圧VCCにバイアスして昇圧動作を行うとき以外は、PMOSトランジスタP31をオン状態で使用するため、電源端子1からノード9へ向かう方向を順方向とする寄生ダイオードが存在しても問題はない。このため、スイッチング回路13におけるPMOSトランジスタP15,インバータG14に相当する素子が不要となる。
【0107】
ただし、本実施形態においては、PMOSトランジスタP31で昇圧用容量C1の放電と充電との両方の動作を兼ねるため、その電流駆動能力とノードT2,T3などに出力されるワンショットパルスのパルス幅の最適設計を行う必要がある。例えば、昇圧用容量C1の放電動作時においては、PMOSトランジスタP31は理想スイッチ、すなわちオン抵抗が限りなく0に近い状態として動作することが望ましい。しかし、充電時において理想スイッチとして働いてしまうと、昇圧用容量C1の充電電圧ΔVは常に電源電圧VCCとなってしまい、ノードT2のワンショットパルス幅による充電電圧の制御が不能となる。そこで、PMOSトランジスタP31の電流駆動能力あるいはオン抵抗の値を適当に設定することと、これに見合った昇圧用容量C1の放電および充電期間のタイミング設計が必要である。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果を得ることができるとともに、第1実施形態よりもさらに回路構成を簡略化することができる。
【0109】
次に、本発明の第4実施形態を図8にしたがって説明する。
【0110】
本実施形態は、充電期間において昇圧用容量C1の一方の端子に電源電圧を印加し、他方の端子には基準電位の電圧を印加し、さらに充電期間内において電源電圧の大きさによって決定される期間だけ昇圧用容量C1の一方の端子に対する電源電圧の印加を停止するとともに、昇圧用容量C1の一方の端子に基準電位の電圧を印加して昇圧用容量C1の電荷を放電し、その後の電荷転送期間では昇圧用容量C1の他方の端子に電源電圧を印加し、一方の端子から昇圧用容量C1に蓄積された電荷を出力端子2に転送するようにしたものである。
【0111】
すなわち、本実施形態においては、図1に示す制御回路14の代わりに制御回路25を設けるとともに、スイッチング回路12,13の代わりにスイッチング回路23,24が設けられており、制御回路25のノードT4にスイッチング回路24が接続され、ノードT5にスイッチング回路23が接続され、ノードT6に電荷転送回路6、トランジスタP21とトランジスタN7のゲートがそれぞれ接続されている。
【0112】
制御回路25は、充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち充電期間を規定する充電指令信号をワンショットパルスとしてノードT6に出力する充電指令信号出力手段と、充電期間の始期に対応して制御信号としてのワンショットパルスをノードT5に出力し、その後、電源電圧VCCの大きさにより決定された期間が経過したときに制御信号(ワンショットパルス)の出力を停止する制御信号出力手段と、制御信号の出力が停止されたときに、充電期間内において電源電圧VCCの大きさにより決定された期間だけ放電指令信号としてのワンショットパルスをノードT4に出力する放電指令信号出力手段としての機能を備えて構成されている。
【0113】
具体的には、制御回路25は、各入力を入力端子3に共通接続した第3の遅延回路DLY3と、第4の遅延回路DLY4と、一方の入力を第3の遅延回路DLY3の出力に、他方の入力を入力端子3にそれぞれ接続したNANDゲートG20と、NANDゲートG20の出力に入力を、ノードT6に出力をそれぞれ接続したインバータG21と、第3の遅延回路DLY3の出力に入力を接続したインバータG22と、一方の入力をインバータG22の出力に、他方の入力を第4の遅延回路DLY4の出力にそれぞれ接続し、ノードT4に出力を接続したNORゲートG23と、第4の遅延回路DLY4の出力に第1の入力を、第3の遅延回路DLY3の出力に第2の入力を、入力端子3に第3の入力をそれぞれ接続した3入力NANDゲートG24と、3入力NANDゲートG24の出力に入力を、ノードT5に出力をそれぞれ接続したインバータG25とから構成されている。
【0114】
なお、第3の遅延回路DLY3および第4の遅延回路DLY4は、それらの入力すなわち入力端子3に入力される昇圧クロック信号に対して反転出力となる論理極性を有するものとして構成されており、図9に示すように、第4の遅延回路DLY4の遅延時間td4は電源電圧が低いときには第3の遅延回路DLY3の遅延時間td3に比べて大きく、電源電圧が大きくなるにしたがって小さくなるような電源電圧VCCに対する依存性を有している。また第3の遅延回路DLY3および第4の遅延回路DLY4は図4に示した第1の遅延回路DLY1および第2の遅延回路DLY2と同様の回路構成で実現することができる。
【0115】
スイッチング回路24は、ノードT4に生じるワンショットパルス(放電指令信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子に基準電位の電圧を印加する第1のスイッチング手段として構成されている。すなわち、スイッチング回路24はNMOSトランジスタN19を備えており、ドレインがノード9に、ソースと基板がGNDに、ゲートがノードT4にそれぞれ接続されている。
【0116】
スイッチング回路23は、ノードT5に生じるワンショットパルス(制御信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子(ノード9)に電源電圧を印加する第2のスイッチング手段として構成されている。
【0117】
具体的には、スイッチング回路23は、ノードT5に入力を接続したインバータG19と、インバータG19の出力にゲートを、電源端子1にソースおよび基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP33と、PMOSトランジスタP33のドレインにソースを、ノード9にドレインおよび基板をそれぞれ接続したPMOSトランジスタP34と、ノード9にソースおよび基板を、PMOSトランジスタP34のゲートにドレインをそれぞれ接続したPMOSトランジスタP35と、GNDにソースおよび基板を、PMOSトランジスタP34のゲートにドレインをそれぞれ接続し、ゲートをPMOSトランジスタP35のゲートとともにノードT5に接続したNMOSトランジスタN18とから構成されている。
【0118】
電荷転送回路6は、ノードT6に発生するワンショットパルス(充電指令信号)がHighレベルにある間は、昇圧用容量C1の一方の端子と出力端子2とを結ぶ転送路を遮断し、それ以外のときには転送路を形成するようになっており、具体的な回路構成は前記各実施形態と同様である。
【0119】
本実施形態の動作を図9にしたがって説明する。まず、昇圧クロック信号のレベルがLowレベルにあるときには、NANDゲートG20および3入力NANDゲートG24の出力はいずれもHighレベルとなり、その反転信号が出力されるノードT6,T5のレベルはLowレベルにある。またこのとき第4の遅延回路DLY4の出力がHighレベルにあるのを受けて、NORゲートG23の出力、すなわちノードT4もLowレベルにある。
【0120】
上記ノードT4,T5,T6のレベルがLowにあるのを受けて、スイッチング回路23,24はオフ状態となり、ノード9と電源端子1およびGNDとの間の電流パスを遮断する。また電荷転送回路6はPMOSトランジスタP18がオン状態となって、ノード9と出力端子2との間を短絡状態とする。さらにPMOSトランジスタP21がオンとなってノード8を電源電圧VCCにバイアスし、ノード9側に昇圧電圧を発生させる状態にある。なお、ここで、スイッチング回路23の詳細な内部動作については、スイッチング回路23の構成が図1に示すスイッチング回路13と同様であるため、スイッチング回路13におけるワンショットパルス信号のHigh/Lowに対する動きと同様であるため、その説明を省略する。また電荷転送回路6についても図1と同一回路構成であるため、詳細な動作については省略する。
【0121】
一方、スイッチング回路24については、NMOSトランジスタN19で構成され、ノードT4からゲート信号が入力されているので、ノードT4のレベルがHighとなれば、NMOSトランジスタN19がオン状態となり、ノードT4のレベルがLowであればオフ状態となる。
【0122】
次に、昇圧クロック信号のレベルがHighに遷移すると、第3の遅延回路DLY3および第4の遅延回路DLY4の各出力は、図9に示すように、遅延時間td3,td4の遅れをもってLowレベルに遷移する。
【0123】
ここで、電源電圧VCCの仕様が設定電圧よりも低い低電圧域に設定されているときには、図9に示すように、td3≦td4の関係に設定され、電源電圧VCCの低電圧域においては、第4の遅延回路DLY4の出力レベルがLowとなる期間と第3の遅延回路DLY3の出力レベルがHighとなる期間との間に重なりが存在せず、NORゲートG23の出力、すなわちノードT4のレベルはLowに固定される。すなわち、ノードT4のレベルは常にLowレベルに固定される。
【0124】
一方、ノードT5,T6からは、図9に示すように、第3の遅延回路DLY3の出力である遅延時間td3に相当する幅のHig期間を有するワンショットパルスが発生する。各ワンショットパルスのHigh期間において、電荷転送回路6ではPMOSトランジスタP18のゲートが出力端子2側の電位にバイアスされて、出力端子2側からノード9側への電流パスを遮断する。またNMOSトランジスタN7がオンとなってノード8をGND電位にバイアスすると同時に、スイッチング回路23がオン状態となって、ノード9を電源電圧VCCにバイアスする。これによって、昇圧用容量C1は、その両端電位差が電源電圧VCCにまで充電される。なお、ノード8が電源電圧VCCにある状態ではノード9を電源電圧VCCにバイアスして昇圧用容量C1の放電を行うタイミングが存在しないため、上記充電動作が繰り返されると、昇圧用容量C1は常に電源電圧VCCに充電された状態になる。
【0125】
次に、ノードT5,T6のワンショットパルスが終了してノードT5,T6のレベルがLowレベルへ復帰すると、スイッチング回路23はオフ状態となって、ノード9と電源端子1との間の電流パスが遮断される。このとき同時に、PMOSトランジスタP21がオンとなってノード8を電源電圧VCCにバイアスして、ノード9側に昇圧電圧を発生させるとともに、電荷転送回路6内のPMOSトランジスタP18がオン状態となってノード9の昇圧電圧を出力端子2側に伝達する。このように、昇圧用容量C1が電源電圧VCCに充電されていた場合、飽和状態において出力端子2は、電源電圧VCCの2倍の昇圧電圧に到達することになる。すなわち、第3の遅延回路DLY3の遅延時間td3と第4の遅延回路DLY4の遅延時間td4とが、td3≦td4の関係となるような電源電圧VCCの低電圧域では、電源電圧VCCの2倍の昇圧電圧を確保できることになる。
【0126】
次に、電源電圧VCCの仕様が設定電圧を越えた高電圧域に設定されていて、第4の遅延回路DLY4の遅延時間td4が縮減し、遅延時間td3,td4の関係がtd3>td4となった場合を考える。すなわち電源電圧が設定電圧以上のときには電源電圧の上昇に応じて放電指令信号の発生期間を長く調整し、電源電圧が設定電圧を下回ったときには放電指令信号の発生期間を0または電源電圧の低下に応じて放電指令信号の発生期間を短く調整する場合に相当する。
【0127】
この場合、第4の遅延回路DLY4の出力レベルがLowとなるLow期間と第3の遅延回路DLY3の出力レベルがHighとなるHigh期間との重なりが発生し、NORゲートG23の出力、すなわちノードT4に、図9に示すように、重なり期間td3−td4に相当するHigh期間を有するワンショットパルスが発生する。すなわち、充電期間内において電源電圧VCCの大きさにより決定された期間だけ放電指令信号としてのワンショットパルスが発生する。また、ノードT5に発生するパルスのHigh期間は、第3の遅延回路DLY3または第4の遅延回路DLY4の遅延時間のいずれか短い方で規定されるから、今度は、遅延時間td4に相当する期間となってノードT4のHigh遷移と同時にLowへ復帰する。
【0128】
ここで、昇圧クロック信号のレベルがHighへ遷移したときを考えると、まずノードT5,T6のレベルがHighに遷移したことを受けて、電荷転送回路6内のPMOSトランジスタP18がオフに、NMOSトランジスタN7がオンとなって、ノード8をGND電位にバイアスすると同時に、スイッチング回路23がオン状態となって、ノード9を電源電圧VCCにバイアスして昇圧用容量C1を充電する。そして、第4の遅延回路DLY4の遅延時間td4経過後、ノードT4のレベルがHighへ遷移するとともに、ノードT5のレベルはLowへ復帰する。これによりスイッチング回路23はオフに、スイッチング回路24内のNMOSトランジスタN19がオンとなって、昇圧用容量C1の充電電荷をノード9からGNDに向かって放電することになる。このスイッチング回路24による昇圧用容量C1の放電動作は、ノードT4のHigh期間中、すなわち遅延時間td3−td4に相当する期間続けられる。
【0129】
これによって、例えば、図9に示すように、a点のタイミングでノードT4のレベルがHighとなって放電を開始し、ノード9がΔV電位にまで放電されたとすると、ノードT4,T5,T6のレベルがそれぞれLowへ復帰し、ノード8側を電源電圧VCCにバイアスしたときのノード9側に表れる昇圧電圧は電源電圧VCC+ΔVとなって、電源電圧VCCの2倍よりは低い電圧に抑制される。すなわち、電源電圧VCCが高電圧となって、第4の遅延回路DLY4の遅延時間td4が縮減されるほど昇圧用容量C1の放電期間が増大してΔVが低下するから、電源電圧VCCが高電圧になるにしたがって昇圧電圧が抑制されることになる。特に、電源電圧が設定電圧を下回ったときにはノードT4に出力される放電指令信号としてのワンショットパルスのパルス幅は0となるため、昇圧電圧は電源電圧VCCの2倍となる。
【0130】
また電源電圧が設定電圧以上のときには電源電圧の上昇に応じて充電期間における放電時間を長く調整することで、電源電圧の大きさに応じた昇圧電圧(昇圧レベル)を確保することができる。なお、電源電圧の仕様が設定電圧を下回った値に設定されているときには電源電圧の大きさに応じて充電期間における放電時間を短く調整することで、電源電圧の大きさに応じた昇圧電圧(昇圧レベル)を確保することもできる。
【0131】
本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0132】
次に、本発明の第5実施形態を図10にしたがって説明する。
【0133】
本実施形態は、前記(4)式において充電電流ICおよび充電期間twの両方を電源電圧VCCの大きさに応じて変化させて、昇圧用容量C1の充電電圧ΔVを調整するようにしたものであり、第1実施形態におけるスイッチング回路12の代わりに、制御回路14のノードT3に発生するワンショットパルスを制御入力としたバイアス回路26を設けたものであり、他の構成は図1に示す第1実施形態と同様である。なお、バイアス回路11,電荷転送回路6,出力端子2,負荷容量CLの記載は省略してある。
【0134】
バイアス回路26は、制御回路14のノードT3から発生するHighレベルのワンショットパルス(制御信号)に応答して昇圧用容量C1の一方の端子(ノード9)に電源電圧に応じたバイアス電流を供給するバイアス手段として構成されている。
【0135】
具体的には、バイアス回路26は、電源端子1にドレインを、ノード9にソースを、GNDに基板をそれぞれ接続したNMOSトランジスタN20と、電源端子1とNMOSトランジスタN20のゲートとの間に接続した抵抗R3と、NMOSトランジスタN20のゲートにドレインを、GNDにソースおよび基板を接続したNMOSトランジスタN23と、電源端子1にソースおよび基板を接続し、ゲートをノードT3に入力を接続したインバータG26の出力に接続したPMOSトランジスタP36と、PMOSトランジスタP36のドレインにソースを、電源端子1に基板をそれぞれ接続し、ゲートとドレインを短絡したPMOSトランジスタP37と、GNDに基板を、PMOSトランジスタP37のドレインにゲートおよびドレインをそれぞれ接続したNMOSトランジスタN21と、ゲートとドレインを短絡してNMOSトランジスタN21のソースとNMOSトランジスタN23のゲートに共通接続し、ソースおよび基板をGNDに接続したNMOSトランジスタN22とから構成されている。そしてNMOSトランジスタN22とNMOSトランジスタN23とは、常にそれらのゲート,ソース間電圧が等しく、カレントミラーを形成している。
【0136】
上記構成によるバイアス回路26は、ノードT3のレベルがLowレベルのときにはインバータG26の出力レベルがHighとなって、PMOSトランジスタP36がオフ状態にあり、NMOSトランジスタN22側には電流は流れない。このため、NMOSトランジスタN22とカレントミラーを形成するNMOSトランジスタN23側のドレイン電流は流れず、NMOSトランジスタN20のゲートは抵抗R3によって電源電圧VCCにバイアスされている。
【0137】
一方、ノードT3のレベルがHighに遷移すると、PMOSトランジスタP36がオン状態となって、NMOSトランジスタN22側に電流を流しうる状態となる。このときNMOSトランジスタN22側に電流が流れるか否かは電源端子1の電圧に依存する。すなわち、NMOSトランジスタN22がオンとなってドレイン電流が流れるには、PMOSトランジスタP37およびNMOSトランジスタN21がともにオンしなければならないから、電源端子1すなわち電源電圧VCCは、少なくともそれらのしきい値電圧の和以上であることが必要とされる。いずれのしきい値電圧の大きさも、一律にVthとおけば、VCC≧3×VthがNMOSトランジスタN22側に電流が流れる条件である。
【0138】
電源電圧が上記条件を満たし、NMOSトランジスタN22側に電流が流れると、NMOSトランジスタN22とカレントミラーを形成するNMOSトランジスタN23側にはそのミラー比倍のドレイン電流が流れる。これによって抵抗R3において電圧降下が発生し、NMOSトランジスタN20のゲート電圧が低下してNMOSトランジスタN20の出力電流が絞られる。
【0139】
図10に示す本実施形態の動作については、図1の第1実施形態と同様に、昇圧クロック信号のレベルがHighへ遷移した時点でまずノードT1に発生するワンショットパルスによって、スイッチング回路13による昇圧用容量C1に対する放電が行われる。次いで、ノードT2に発生するワンショットパルスが立ち上がった時点でNMOSトランジスタN7によってノード8側の電位がGND電位に引き下げられ、バイアス回路26内のNMOSトランジスタN20による昇圧用容量C1の充電が開始される。このときNMOSトランジスタN20から昇圧用容量C1に供給される充電電流は、電源電圧VCCの大きさに応じて調整されることになる。すなわち、電源電圧が高電圧域になるほど充電電流が減少して昇圧用容量C1の充電電圧ΔVを抑制することができる。さらに電源電圧が設定電圧以下のときには充電電流を電源電圧の低下に応じて大きくし、電源電圧が設定電圧を超えたときには充電電流を0にすることもできる。このため本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、高電圧域においてさらに効率よく昇圧電圧を抑制することができる。
【0140】
また本実施形態においては、要求される仕様または条件などによっては充電期間tw側を固定し、バイアス回路25のような電圧に応じて充電電流を加減しうる回路手段によって昇圧用容量C1の充電電圧ΔVを調整し、昇圧電圧の抑制を図ることも可能である。
【0141】
なお、本実施形態において、ノードT3に発生するワンショッパルスによりバイアス回路26内に流れる電流のオン/オフ制御を行うようにしているが、この制御方式に限定されるものではなく、消費電流上の問題がなければ、例えば、PMOSトランジスタP36を削除し、PMOSトランジスタP37のソースを電源端子1に直結した構成として、常時電源端子1の電圧を監視してNMOSトランジスタN20のゲートバイアスを決めるようにすることもできる。またバイアス回路26の構成についても、図10に示すものに限定されるものではなく、バイアス回路26の機能を有していれば他の構成を採用することもできる。
【0142】
本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、高電圧域での昇圧電圧の抑制効果を前記第1実施形態よりもさらに高めることができる。
【0143】
図11は図7に示す実施例において、スイッチング回路22や電荷転送回路6の制御を制御回路14ではなく制御端子T2,T3への制御入力信号によって行おうとするものである。使用電圧(電源端子1への印加電圧)の大きさに応じて入力制御幅を調整することにより、所望の昇圧電圧を得ることができる。他の実施例同様の効果に加え昇圧電圧の制御が容易であるという効果がある。なお、図7以外の実施例についても同様の構成が可能である。
【0144】
図12は図7に示す実施例において、出力端子2部に昇圧電圧検出回路27を設けたものである。図12における昇圧電圧検出回路27は、一方の入力を昇圧出力端子2に他方を入力端子29に接続するコンパレータ28で構成され、昇圧出力電圧と入力端子29の電圧との比較を行う。
【0145】
コンパレータ28の出力端子30により、所望の昇圧電圧が得られているか否かの判定を論理信号レベルで取り出すことができるので当該昇圧回路を集積化した際の工程管理を容易化できる。特に上記入力端子29を電源端子1に接続すれば、昇圧電圧が電源端子1の電圧よりも低下する電源電圧、すなわち昇圧動作を停止する電源電圧を知ることができる。
【0146】
なお、図7以外の実施例についても同様の構成が可能である。
【0147】
図13は図7に示す実施例において、昇圧出力端子2に加え昇圧出力端子2aを設けた構成である。図13において、昇圧出力端子2aはダイオードD2またはPMOSトランジスタP38またはNMOSトランジスタN2等から成る電圧降下手段31を介して昇圧出力端子2へ接続されているが、この限りではなく目的に応じてスイッチング素子などを介しても構わない。また昇圧出力端子も図中の2aのみならず増設しても構わない。
【0148】
本実施例によれば、複数の異なった昇圧出力を有する昇圧回路を得ることができる。
【0149】
図14は、電源電圧VDDを降圧して低消費電流化を図ったマイクロプロセッサの構成例を示す。降圧回路36により電源電圧VDDを所定の電圧にクランプし、そのクランプ電圧を電源電圧として各種モジュール32,33などが設けられる。しかし、特にアナログ系のモジュールにおいては上記クランプ電圧下では十分な特性を発揮できないモジュールも存在し、これを内蔵する場合昇圧が必要になる。図14内のモジュール35はその一例を示すもので、AD変換器におけるリファレンス電圧読み出し部を示したものである。すなわち分圧抵抗r(1)〜r(n)のある接点電位をNMOSトランジスタN25によって読み出し、リファレンス電圧VREFを得るとき、NMOSトランジスタN25のゲート電圧が低すぎるとNMOSトランジスタN25のオン抵抗が上昇し読み出し時間が増大したり、あるいはリファレンス電圧VREFが低下するなどの問題が生じる。そこで上記クランプ電圧を当該発明に係る昇圧回路34にて昇圧し、これをNMOSトランジスタN25のゲートに印加することにより上記問題を対策することができる。
【0150】
本実施例によれば、降圧回路36と昇圧回路34を組み合わせて用いることにより、高速性を維持しつつ低消費電流化を図った半導体集積回路装置を得ることができる。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、昇圧用容量に対する充電期間,充電電荷量,充電電流を電源電圧の大きさによって調整するようにしたため、昇圧レベル(昇圧電圧)を電源電圧の大きさによって規制することができる。
【0152】
また、本発明によれば、昇圧用容量に対する充電期間を電源電圧が設定電圧以下のときには電源電圧の低下に応じて長く調整し、電源電圧が設定電圧を超えたときには電源電圧の大きさに応じて短くするかまたは0に調整するようにしたため、昇圧が必要な低電圧域で昇圧電圧を確保し、一方昇圧をあまり必要としない高電圧域では昇圧電圧を抑制したりあるいは昇圧機能を停止したりし、常に許容印加電圧範囲を満足することができる。
【0153】
さらに、本発明によれば、昇圧用容量の充電電荷を出力端子に接続される負荷容量に分配して昇圧する際や、再度昇圧用容量の充放電動作に移行する際の負荷容量の充電電荷の損失を低減できるので、昇圧効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す回路の動作を示す電圧波形図である。
【図3】従来例の構成による出力特性と本発明による出力特性を示す特性図である。
【図4】制御回路の構成を示す回路図である。
【図5】制御回路の出力特性を示す特性図である。
【図6】本発明の第2実施形態の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第4実施形態の構成を示す回路図である。
【図9】図8に示す回路の動作を示す電圧波形図である。
【図10】本発明の第5実施形態の構成を示す回路図である。
【図11】図7の実施例において、制御回路の代わりに制御入力信号によって制御される変形例である。
【図12】図7の実施例において昇圧電圧検出回路を設けた変形例である。
【図13】図7の実施例において他の昇圧出力端子を設けた変形例である。
【図14】本発明による昇圧回路を備える半導体集積回路装置である。
【符号の説明】
1…電源端子、2…出力端子、3…入力端子、5,12,13,22,23,24…スイッチング回路、6…電荷伝送回路、11,21,26…バイアス回路、14,25…制御回路、19,20…放電回路、C1…昇圧用容量、C2,C3…容量、CL…負荷容量、DLY1,DLY2,DLY3,DLY4…遅延回路、R1,R2,R3…抵抗、P1〜P31…PMOSトランジスタ、N1〜N23…NMOSトランジスタ、D1…ダイオード、G7,G11,G20…NANDゲート、G5,G6,G8,G10,G12〜G19,G21,G22,G25,G26…インバータ、G9,G24…3入力NANDゲート、G23…NORゲート。
Claims (16)
- 第1および第2の端子を有する昇圧用容量と、それらと接続して作用する第1、第2、第3および第4の導電手段とからなる昇圧回路の制御方法であって、
充電期間中に、前記第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を電源端子に接続し、前記第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を基準電位に接続するステップ、
充電期間の後の電荷転送期間中に、前記第3の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を前記電源端子に接続し、前記第4の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を出力端子に接続するステップであって、前記充電期間と前記電荷転送期間がともに昇圧サイクルを形成することを特徴とするステップ、および
前記電源端子に印加される電源電圧の大きさに応じて、前記充電期間を調整するステップを含むことを特徴とする制御方法。 - 請求項1記載の昇圧回路の制御方法において、
前記充電期間は、前記電源電圧の設定電圧からの変化に応じて調整し、前記電源電圧の大きさが前記設定電圧を超えた時は、前記充電期間は0となるようにし、前記電源電圧の大きさが前記設定電圧以下の時は、前記電源電圧の電圧降下量が増えることに応じて、前記充電期間を長くするようにしたことを特徴とする制御方法。 - 請求項1記載の昇圧回路の制御方法において、
前記昇圧サイクルは、さらに、前記充電期間の前に放電期間を含み、前記放電期間中に、前記昇圧用容量の両端子に対して同電位の電圧を印加することにより、前記昇圧用容量の電荷の放電を可能にすることを特徴とする制御方法。 - 請求項2記載の昇圧回路の制御方法において、
前記昇圧サイクルは、さらに、前記充電期間の前に放電期間を含み、前記放電期間中に、前記昇圧用容量の両端子に対して同電位の電圧を印加することにより、前記昇圧用容量の電荷の放電を可能にすること特徴とする制御方法。 - 第1および第2の端子を有する昇圧用容量と、パルス回路と、それらと接続して作用する第1、第2、第3および第4の導電手段とからなる昇圧回路の制御方法であって、
充電期間中に、前記第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を電源端子に接続し、前記第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を基準電位に接続するステップ、および
充電期間の後の電荷転送期間中に、前記第3の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を前記電源端子に接続し、前記第4の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を出力端子に接続するステップであって、前記充電期間と前記電荷転送期間がともに昇圧サイクルを形成することを特徴とするステップを含み、
前記充電期間は、前記パルス回路からの出力信号のパルス幅によって定義され、前記パルス幅は、前記電源端子に印加される電源電圧の大きさに依存したものとなっていることを特徴とする制御方法。 - 請求項5記載の昇圧回路の制御方法において、
前記昇圧サイクルは、さらに、前記充電期間の前に放電期間を含み、前記放電期間中に、前記昇圧用容量の両端子に対して同電位の電圧を印加することにより、前記昇圧用容量の電荷の放電を可能にすることを特徴とする制御方法。 - 第1および第2の端子を有する昇圧用容量と、それらと接続して作用する第1、第2、第3および第4の導電手段とからなる昇圧回路の制御方法であって、
充電期間中に、前記第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を電源端子に接続し、前記第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を基準電位に接続するステップ、および
充電期間の後の電荷転送期間中に、前記第3の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を前記電源端子に接続し、前記第4の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を出力端子に接続するステップであって、前記充電期間と前記電荷転送期間がともに昇圧サイクルを形成することを特徴とするステップを含み、
前記充電期間中に前記昇圧用容量に蓄積する電荷量は、前記電源端子に印加される電圧の大きさに応じて調整されることを特徴とする制御方法。 - 請求項7記載の昇圧回路の制御方法において、
前記昇圧サイクルは、さらに、前記充電期間の前に放電期間を含み、前記放電期間中に、前記昇圧用容量の両端子に対して同電位の電圧を印加することにより、前記昇圧用容量の電荷の放電を可能にすることを特徴とする制御方法。 - 第1および第2の端子を有する昇圧用容量と、パルス回路と、それらと接続して作用する第1、第2、第3および第4の導電手段とからなる昇圧回路の制御方法であって、
充電期間中に、前記第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を電源端子に接続し、前記第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を基準電位に接続するステップ、
前記第3の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を前記電源端子に接続し、前記第4の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を出力端子に接続するステップであって、前記充電期間と前記電荷転送期間がともに昇圧サイクルを形成することを特徴とするステップ、および
前記出力端子の電圧を、前記電源端子の電圧と比較し、比較結果を得るステップを含み、
前記充電期間は、前記パルス回路により制御され、前記パルス回路は、前記電源端子の電圧の大きさに依存したパルス幅を有する出力信号を、少なくとも前記第1の導電手段に与えることを特徴とする制御方法。 - 第1および第2の端子を有する昇圧用容量と、パルス回路と、それらと接続して作用する第1、第2、第3および第4の導電手段とからなる昇圧回路の制御方法であって、
充電期間中に、前記第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を電源端子に接続し、前記第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を基準電位に接続するステップ、および
前記充電期間の後の電荷転送期間中に、前記第3の導電手段を介して前記昇圧用容量の第2の端子を前記電源端子に接続し、前記第4の導電手段を介して前記昇圧用容量の第1の端子を出力端子に接続するステップであって、前記充電期間と前記電荷転送期間がともに昇圧サイクルを形成することを特徴とするステップを含み、
前記充電期間中に、前記昇圧用容量に供給すべき電流の大きさは、前記電源端子に印加される電圧の大きさに応じて調整されることを特徴とする制御方法。 - 昇圧用容量を有する昇圧回路の制御方法であって、
充電期間と電荷転送期間を含む昇圧サイクル内の充電期間中に、第1の導電手段を介して前記昇圧用容量の一方の端子に電源電圧を印加しながら、その他方の端子に基準電位を印加するステップ、
電源電圧の大きさに応じて、前記充電期間内のある時間帯のみ、前記昇圧用容量の前記一方の端子への前記電源電圧の印加を停止し、同時に、第2の導電手段を介して前記昇圧用容量の前記一方の端子を基準電位に接続し、前記昇圧用容量の前記電源電圧の前記大きさに応じて決定される、前記充電期間内の前記時間帯に依存した電荷量のみを放電するステップ、および
その後の電荷転送期間中に、第3の導電手段を介して前記電源電圧を前記他方の端子に印加し、前記昇圧用容量に蓄積された電荷を、前記一方の端子から出力端子に対して転送するステップを含むことを特徴とする制御方法。 - 請求項11記載の昇圧回路の制御方法において、前記電源電圧の値が設定値よりも大きくなった際に、前記充電期間を短くすることを特徴とする制御方法。
- 第1の端子と第2の端子を有する昇圧用容量と、充電期間と放電期間および電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記充電期間を規定する充電指令信号を出力する充電指令信号出力手段と、前記昇圧用容量から放電される電荷量を調整する放電期間を規定する放電指令信号を出力する放電指令信号出力手段と、前記昇圧用容量の第1の端子と電源端子とを電気的に接続する第1の導電手段と、前記昇圧用容量の第2の端子と基準電位とを電気的に接続する第2の導電手段と、前記昇圧用容量の第1の端子と基準電位とを電気的に接続する第3の導電手段と、前記昇圧用容量の第2の端子と電源端子とを電気的に接続する第4の導電手段と、前記昇圧用容量の第1の端子と出力端子とを電気的に接続する第5の導電手段とを含む昇圧回路の制御方法であって、該方法は、
前記充電期間中は、前記第1および第2の導電手段を導通状態におき、前記充電期間の後に続く前記放電期間中は、第1の導電手段を非導通状態におくとともに第3の導電手段を導通状態におき、前記放電期間の経過後は、第2および第3の導電手段を非導通状態におくとともに第4および第5の導電手段を導通状態として、前記電荷転送期間中は、前記昇圧用容量の電荷を前記出力端子に転送するステップ、および
前記放電指令信号出力手段により、電源電圧の大きさに応じて、前記放電指令信号が発生する期間を調整するステップを含むことを特徴とする制御方法。 - 請求項13記載の昇圧回路の制御方法において、前記電源電圧が増加した際には、前記放電指令信号の発生期間が長くなるように、前記放電指令信号出力手段が調整することを特徴とする制御方法。
- 第1の端子と第2の端子との間に接続された昇圧用容量と、
充電期間と放電期間および電荷転送期間を含む昇圧サイクルのうち前記充電期間を規定する充電指令信号を出力する充電指令信号出力手段と、
前記放電期間の開始に対応した制御信号を出力し、電源電圧の大きさによって決定された時間の経過後に、前記制御信号の出力を停止する制御信号出力手段と、
前記制御信号に応じて、前記昇圧用容量の前記第1の端子に電源電圧を印加する第1のスイッチ回路と、
前記充電指令信号が入力する前に、前記昇圧用容量の前記第2の端子に電源電圧を印加し、前記充電期間の開始に対応した充電指令信号の入力に応じて、前記昇圧用容量の前記第2の端子に基準電位を印加する第2のスイッチ回路と、
制御信号の出力が停止している期間中に前記昇圧用容量の第1の端子と第1の出力端子とを電気的に接続する電荷転送チャネルを形成し、前記制御信号出力手段から制御信号が出力されている期間中にそれらの間の電荷転送チャネルを中断する電荷転送回路を備えている昇圧回路装置であって、
前記充電指令信号出力手段は、前記電源電圧の前記大きさに応じて、前記充電指令信号を出力する期間を調整することを特徴とする昇圧回路装置。 - 請求項15記載の昇圧回路装置は、さらに、電圧降下手段を介して前記第1の出力端子に接続された第2の出力端子を備えていることを特徴とする昇圧回路装置。
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