JP4392814B2 - 油水分離装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油水混合液から油と水を分離するための油水分離装置に関するものである。より詳細には、海上や河川や湖沼等の水面に浮遊する流出油を、海水や水と共に吸引して生じる、油水比率が広範囲に変動する油水混合液や、また、流動性の高い低粘度から流動性の低い100,000cSt以上にも及ぶエマルジョン化した高粘度の油が混入した油水混合液にも対応できる油水分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶の事故により海上に原油や重油が流出すると、流出油は波による作用によりエマルジョン化して性状が変化し、非常に高粘度の油となる。この流出油をポンプ等の油回収装置により回収するような場合には、流出油だけでなく、流出油と一緒に海水や海上のゴミ、海草等の浮遊物も随伴吸引することになる。
【0003】
このような海上で回収された油は船上や船外の回収油タンクに保管し陸上に搬送して処理するが、随伴吸引された水量が多いと回収油タンク内の油量がその分減少するので、貯油効率が著しく低下する。そのため、船上で回収された油と水の混合液から水を除去し、回収油タンク内の水をできるだけ少なくすることが必要となる。
【0004】
この油水分離は、船舶事故等の流出油の回収の場合には、流出油が海岸に打ち寄せる前に流出水域で油回収作業を行うのが効率的であるので、高い波浪中における油水分離も視野に入れる必要があり、波によって動揺する船上で確実に油水分離できることが必要となる。
【0005】
一方、従来技術の陸上施設で主に用いられている油水分離装置には、PPI方式やコアレッサー方式や吸着膜分離方式等がある。
【0006】
先ず、図5に示すPPI(Paralel Plate Interceper)方式の油水分離装置50では、流入口51から入った油水混合液Lは、砂留(沈砂地)52からスクリーン53を通過して油槽54に入り、ここで、多重平行傾斜板55の間を通過する。この多重平行傾斜板55の部分で、混合している油Oは浮上途中で平行板55の裏面に到達してフィルム状になって、平行板55の裏面を上昇し、上方の油滴捕獲用のフード56内に集められ、フード56頂部の溢流管57から集油水分離槽58に流出し回収され、油Oを分離した水Wは流出管58より排出される。
【0007】
このPPI方式の油水分離装置50では、油槽54中に多数の平行傾斜板55を組込んで、油Oと水Wとの比重差を利用して分離しており、この平行傾斜板55は、油槽54の長軸に平行に、例えば、水平面に対して約45度の傾斜角を有して約100mmの間隔で配置されている。この平行傾斜板55の裏面を油滴の集積面として機能させるので、油滴が浮上する高さを短縮でき、この短縮により分離効率を高めている。
【0008】
また、図6や図7に示すようなコアレッサー方式の油水分離装置では、浮遊油や分散油等の微細な油を捕集及び集合させて大きな油滴にして分離するコアレッサーを使用している。
【0009】
図6の油水分離装置60では、混合液通路61内に配置した波型平行板62と網状のコアレッサー63で、混合液L中の油分Oを捕集してより大きい油滴にしている。また、図7の油水分離装置70では、浮上し易い油塊や油滴は供給管からタンク71に入った部分でそのまま浮上させ、また、浮上分離し難い浮遊油や分散油はタンク71の下部に設けたコアレッサー72で分離している。
【0010】
また、図8に示すような吸着膜分離方式の油水分離装置80では、油分Oを油水混合液L中、特に油層OL において特殊吸着膜81で吸着し、この特殊吸着膜81をモーター84と駆動チェーン85により回転している主ローラー86等により、油受槽82上に移動して絞りローラ83により、吸着した油分Oを絞り出して、油水分離している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の油水分離装置においては、以下のような問題がある。
【0012】
先ず、図5に示すようなPPI方式の油水分離装置では、粘度の低い流動性のある少量の油を含んだ水を対象としているので、多量の油を含む油水比率の高い混合液や高粘度の油を含む混合液に対して使用すると、装置が油で閉塞してしまうという問題がある。特に、海上で油が流出した場合、油は風化作用によりエマルジョン化して高粘度の油塊に変化するので、この装置では閉塞の可能性が強く連続して油水分離ができない。
【0013】
更に、設置面積が大きくなるので、海上の流出油を回収するような、船上で使用する油水分離装置としては採用できないという問題がある。
【0014】
また、図6に示すようなコアレッサー式の油水分離装置60では、低粘度で少量の油に対しては良好に油水分離できるが、大量のエマルジョン化した高粘度の油に対しては、波型平行板62とコアレッサー63が閉塞してしまい、油水分離できなくなってしまうという問題がある。
【0015】
そして、図7のコアレッサー式の油水分離装置70においては、油水比率が変化すると界面Sの位置も変動し、油分が多くなるとコアレッサー72に入る油分が多くなり、高粘度油により閉塞してしまうという問題がある。また、油分Oが少なくなると排油口73から水が流出してしまい、油水分離が不十分となるという問題がある。また、付着性の強い高粘度油が入ると、上部の斜面部分にこの高粘度油が付着し、徐々に閉塞に至るという問題もある。
【0016】
更に、図8の吸着膜分離方式の油水分離装置80においては、処理量が多くなると特殊吸着膜81も大きくなり、また、モーター84の動力も大きなものとなるので、装置が大型化し、多量の油水混合液処理には実用的でないという問題がある。
【0017】
つまり、これらの従来技術の油水分離装置においては、処理液の大半は水であり、主に、粘度の低い流動性のある油が少量混入している油水混合液を対象とし、水中にわずかに含まれる油分を除去することを目的としているので、処理対象の油水混合液に多量の油が含まれている場合には、装置内部に油が多くなって、油と水の分離を効率良く行うことができず、また、高粘度の油を処理対象とした場合には、これらの多重平行板やコアレッサーが油で閉塞してしまうという問題がある。また、設置面積が大きいものが多く、狭い船上で使用することができない。
【0018】
さらに、海水と共に随伴吸引された海上のゴミ、海草が装置に入った場合、平行傾斜板や波型平行板やコアレッサー部で、これらが閉塞するので、装置の入口手前でこれら異物を除去する必要があるが、大量の高粘度油の場合は、フィルターの抵抗が大きく非常に困難である。
【0019】
これらの上述した油水分離装置の他にも、タンク内で、堰を使用して油を溢流させて油水分離する装置があるが、この装置も、油水比率が変化すると、油分量が変化し堰部の油膜の厚さが変化するので堰の高さがこれに追従できず、分離した油中の水分が多くなったり、分離した水分中に油が混じったりして、油水分離効果が低下するという問題がある。また、動揺に弱く、船上の使用には不適となる。
【0020】
特に、本発明の油水分離装置が対象とする油水混合液は、油の比率が広い範囲に及ぶと共に、海上で流出した油のように、波に揉まれてエマルジョン化した100,000cSt以上の高粘度の油塊等を含み、しかも、動揺する船上でも使用でき、大量の油水混合液を連続的に処理する必要があり、さらに、ゴミや異物が入った場合も閉塞しないことが必要であるので、従来の油水分離装置では対応できない。
【0021】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、陸上だけでなく、船上でも使用できて、低粘度の油から高粘度の油まで処理でき、特に100,000cSt以上のエマルジョン化した高粘度の油でも装置を閉塞することなく、大量の油水混合液を連続的に処理でき、しかも、油水比率に対しても、広い範囲で使用でき、海上のゴミや海草が入っても閉塞しないコンパクトな油水分離装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明の油水分離装置は、次のように構成される。
【0023】
1)油水混合液の供給側に設けた第1回収部と、該第1回収部の下流側に連続させた第2回収部とからなる油水分離槽であり、前記第1回収部は、供給口から供給された直後に浮上する油塊又は油滴を回収する部分で、その上部に油水混合液から分離した分離油を排出する排口を備え、第2回収部は、分離した水が溜まる下部の分離水溜まり部に排水口を備え、かつ、前記油水分離槽に分離した油水の界面の位置を調整する界面調整手段を備えた油水分離装置において、前記第2回収部は、水中の浮遊油又は分散油を回収する部分で、その上部の油溜まり部を、該油溜まり部の容積が下流側に行くに連れて小さくなるようにすると共に、前記油溜まり部にて緩浮上してくる浮遊油又は分散油の流れを第1回収部の排油口側へ向かわせる流れにするテーパー部を設けて形成したことを特徴とするものである。
【0024】
つまり、船上にも搭載可能なコンパクトな装置とするために、タンク式とし、油水混合液の供給口近傍(上流側)に急浮上する高粘度の油塊や油滴等を回収する第1回収部を設け、この第1回収部に連続して、緩浮上する水中の浮遊油や分散油等を回収する第2回収部を設ける。但し、この第1回収部と第2回収部との間の油水混合液や分離油や分離水が通過する部分に特に仕切りを設ける必要はない。
【0025】
この第1回収部の油水混合液の供給口の直上の側壁を急傾斜に形成するか、あるいは、供給管を側壁より内側に延ばして、供給口を側壁から離れた位置に設けることにより、急浮上する高粘度がエマルジョン化した油塊や油滴等の粘性が高く付着し易い油分が側壁に付着しないようにすることが容易にできる。
【0026】
そして、第2回収部においては、油水混合液が油を浮上分離させながら排水口側(以下、下流側という)に流れて行くが、下流側に行くに連れて浮上する油の量が少なくなる。そのため、第2回収部の上部の油溜まりの容積が同じままであると、上部の油溜まりにおいて油の浮上量の少ない下流側に向かう油の流れが生じ、第1回収部で分離された付着性の強い高粘度のエマルジョン油も下流側に流され、しかも下流側では分離油が淀んでしまうので、高粘度の油が側壁に付着及び堆積し、成長してやがて装置の一部を閉塞するに至る恐れが生じる。
【0027】
これに対して、本発明の装置では、第2回収部の上部に設けたテーパー部により、緩浮上してくる油の流れを、油溜まり部分の第1回収部の出口側へ向かわせる流れにして、第1回収部で回収した油塊を油排出口に向かわせて円滑に分離油を油排出口から排出するように構成している。また、テーパー状に形成することにより、段部や角部を排除して油が付着し易い淀みが発生するのを防止している。
【0028】
更に、このテーパー部を設けることにより、分離した油の自由表面の面積を小さくできるので、船舶の動揺による自由表面変動による、油水分離性能への影響を小さくできる。
【0029】
そして、界面調整手段を設けて、広範囲な油水比率に対応可能としている。即ち、界面を所定の範囲に維持するために、水分が多い場合には、分離水の排水量を多く、また、油分が多い場合には、分離水の排水量を少なくするするが、いずれにしても、界面を所定の範囲に維持することにより、界面と排油口との距離、また、界面と排水口との距離を略一定の距離に維持できるので、分離水が排油口から、また、分離油が排水口から排出されるのを防止できる。従って、確実に油水が分離した状態でそれぞれを排出できる。
【0030】
特に、油水界面位置により、分離水の排出流量を制御することにより、油水分離槽内の分離油の層厚を大きくできるので、船上で使用した場合に、この油水分離槽が動揺しても、分離油の排出口から分離水が漏出するのを防止できる。
【0031】
また、界面調節手段としては、油水分離槽に油水の界面が監視できる透明窓や液位ゲージを設け、この界面を目視によって監視し、排水バルブを手動で開閉制御する手動の界面調整手段でもよいが、自動化が望ましく、次のように構成する。
【0032】
2)上記油水分離装置において、前記界面調節手段が、前記排水口から排出される分離水の量を調整する排水バルブと、油水の界面を検出する界面センサーと該界面センサーによって検出された検出値によって、前記排水バルブの開閉を制御する制御手段とで形成する。
【0033】
この界面センサーとしては、超音波式、回転式、光学式、電気式等のものがある。
【0034】
この自動化された界面調節手段により、人手を省くことができ、効率よく油水分離作業を行うことができる。
【0035】
3)また、上記の油水分離装置において、前記油水の界面より下の分離水溜まり部に、油塊浮上後の油水混合液の流れを整流する整流板を設ける。
【0036】
この構成により、水層部分の下流側の流れが整流されるので、水中に浮遊している浮上しにくい浮遊油や分散油も、流れに掻き混ぜられることなく、浮上し、分離する。
【0037】
4)更に、上記の油水分離装置において、前記第2回収部の前記油水の界面より下の分離水溜まり部に、仕切板を設ける。仕切板は、下側部分に貫通孔を有し、上流と下流に区分するもの、貫通孔の無いものがある。これらを1枚〜数枚組合わせて用いることができる。
【0038】
この構成により、第2回収部の入口近傍の水層内で浮上途上にある浮遊油や分散油を含んだ水の部分は下流側に流れず、仕切板の上側部分に滞留するので、浮遊油や分散油の浮上が促進され、分離効率を上げることができる。
【0039】
5)そして、上記の油水分離装置において、前記第2回収部の分離水溜まり部の下流側に第3回収部を設け、該第3回収部に、水中の微小粒径の浮遊油や分散油を集油する網状のコアレッサー又は多重平行傾斜板からなる微細油集油部材を設けたことを特徴とするものである。
【0040】
この構成により、第1回収部と第2回収部で、高粘度油がエマルジョン化した油塊、高粘度油等の比較的大きな粒径の浮遊油や分散油を回収し、その後の水から、さらに、微少粒径の浮遊油や分散油を、コアレッサーや多重平行傾斜板で形成される微細油集油部材で回収できるので、油水分離効果が向上する。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態の油水分離装置について説明する。
【0042】
図1及び図2は本発明の実施の形態の油水分離装置1を示す。
【0043】
この油水分離装置1は、油水混合液Lの供給側(以下上流側Uという)の第1回収部10aとこれに連続する第2回収部10bとからなる油水分離槽10であり、油水の界面Sを所定の範囲に維持する界面位置調整手段を有して構成される。
【0044】
この第1回収部10aは、油水混合液Lの供給口11を有し、この供給口11から供給された直後に急浮上する高粘度の油塊や油滴等Ocを回収する部分であり、上流側U即ち油水混合液Lの供給側に設けられる。
【0045】
この第1回収部10aの上部に油水混合液Lから分離した分離油Oを回収して排出するための排油口12を設ける。この排油口12は溢流させるタイプでもよく、吸引するタイプでもよいが、処理対象の油の性状や量に対応させて採用する。この排油口12から排出される分離油Oは分離油タンク3に回収される。
【0046】
更に、供給口11から出て急浮上する高粘度の油塊や油滴等Ocが第1回収部10aの側壁21に付着しないように、供給口11が開口する側壁21を急傾斜に形成する。あるいは、この側壁21を急傾斜に形成する代わりに、油水混合液Lの供給管2を側壁21より内側に延ばして、供給口11が側壁21から離れた内側になるように形成してもよい。
【0047】
第2回収部10bは、緩浮上する水中の比較的粒径の小さい浮遊油や分散油等Omを回収する部分であり、油水混合液Lの供給側とは反対側(以下、下流側Dという)に設けられる。この第2回収部10bの上部の油溜まり部10boは、油溜まり部分10boの容積が下流側Dに行くにつれて小さくなるようにテーパー部14を設けて形成すると共に、分離した水Wが溜まる下部の分離水溜まり部10bwに排水口13を設ける。この排水口13は、浮遊油や分散油等Omの浮上を乱さないように油水分離槽10内の分離水Wの流れを円滑にするのが好ましいので、油水混合液Lの供給口11と反対側に設けるのがよい。この排水口13から排出される分離水Wは、分離水タンク4に回収され、別処理されるか、あるいは、水域に戻される。
【0048】
この第2回収部10bの上部に設けたテーパー部14により、分離油溜まり部10boにおける緩浮上してくる油Omの流れを、第1回収部10aの排油口12側へ向かわせる流れFにすることができ、第1回収部10aで回収した油塊等Ocを押し出せるので円滑に分離油Oを排油口12から排出できる。
【0049】
そして、更に、このテーパー部14を設けることにより、油水分離槽10内に滞留する回収油Oの量を少なくできると共に、油水分離装置1をコンパクトにできる。このコンパクトであることは、狭い船上では特に重要な要素である。
【0050】
なお、このテーパー部14を設けない場合には、下流側Dに行くに連れて分離・浮上する油Omの量が少なくなるので、上部の油溜まり10boにおいて浮上量の少ない下流側に向かう油の流れが生じ、分離油Oが淀んでしまい、付着性の強い高粘度のエマルジョン油等Ocが側壁22に付着し、やがて装置の一部閉塞に至る恐れが生じる。
【0051】
そして、油水の界面Sが所定の範囲になるように界面調整手段を設けるが、この界面調整手段は、界面Sの上下変動を検出する界面検知手段(界面センサー)16a.16bと、この界面検知手段16a.16bの信号を受けて、排水バルブ15の開閉及び弁開度を調整する制御手段(コントローラ)17とからなる。
【0052】
この界面検知手段16a.16bのひとつとしては、超音波の発信器16aと受信器16bの対で構成した界面センサーを採用することができ、水中と油中で超音波の伝搬特性が変化することを利用して、界面Sの位置がこれらの受・発信器16a.16bより上か下かを判定する。
【0053】
そして、この受信側の界面センサー16bからの信号を入力としてコントローラ17でフィードバック制御をして排水バルブ15を自動開閉することにより、容易に界面Sが所定の範囲に収まるように調整できる。
【0054】
また、簡便な装置においては、界面調整手段を自動にする代わりに手動とし、油水分離槽10の側面に設けたガラス窓や液位計等により、油水の界面Sを目視で監視し、界面Sが所定の範囲内に入るように、手動で排水バルブ15を開閉制御して、分離水Wの排出量を調整することもできる。
【0055】
この構成の油水分離装置1によれば、油水分離を油の浮上力を利用して行ない、堰やコアレッサーを使用しないので、高粘度のエマルジョン油でも装置が閉塞することがなく、油水分離槽内で、油水の界面を所定の範囲に維持することにより油水比率の広い範囲での変動に対応でき、連続的に多量の油水混合液の処理ができる。
【0056】
そして、装置1の側壁21、22等に付着し易い高粘度エマルジョンの油塊等Ocは、浮上力が大きいので、供給口側の第1回収部10aで急浮上するが、これらの油塊等を、側壁21に沿って装置の側壁等に接触させることなく浮上させ、直上近傍の排油口12で排出できるので、装置への付着や分離油溜まり部内における滞留を防止でき、高粘度エマルジョン油による装置の閉塞の恐れが無くなる。
【0057】
また、浮上力が小さい水中の浮遊油や分散油等Omに対しても、第2回収部10bにおいて、緩浮上させて回収できる。低粘度から高粘度までの広い粒径範囲の油を含んだ油水混合液Lにも対応できる。
【0058】
そして、油水分離槽10内の界面制御位置の設定により、油水分離槽10の上部の分離油溜まり部10aoの油層OL を厚くでき、しかも界面Sを所定の範囲内に維持するので、船上等で油水分離装置1が動揺しても、排油口12から分離水Wが漏出するのを防止できる。
【0059】
従って、広範囲の粘度の油やエマルジョン化した高粘度油を含む混合処理液でも、油水比率の広い範囲で、連続的に確実に油水分離ができ、しかも、コンパクトな油水分離装置となる。
【0060】
そして、更に回収効率を向上するために、図3に示すように、この油水分離槽10の油水の界面Sの予定位置Pより下の分離水溜まり部10aw,10bwに、急浮上する油塊等Ocが浮上した後の油水混合液Lの流れを整流する整流板23を設ける。
【0061】
この整流板23は、図3(b)に示すような多孔23hや図示しないスリットを有して流れの方向を一定方向に向けるものであり、分離水溜まり部10aw,10bwの水層WL の下流側の流れを整流できるので、水中に浮遊している浮上しにくい浮遊油や分散油等0mを掻き混ぜることなく、下流側Dに導くことができるので、浮遊油や分散油等Omが浮上し易くなり分離効率が向上する。
【0062】
更に、第2回収部10bの油水の界面Sの予定位置Pより下の分離水溜まり部10bwに、下側部分に孔のない仕切板24aや貫通孔24hやスリットを有し、水層WL を上流と下流に区分する仕切板24bを設ける。
【0063】
この仕切板24により、第2回収部10bの入口近傍の分離水溜まり部10bwで浮上途上にある浮遊油や分散油等Omを含んだ油水混合液Lを下流側に流さず、仕切板24の上流側の上側部分に滞留させるので、浮遊油や分散油等Omの浮上が促進され、また、仕切板24a,24bの上部で反転する流れに含まれる浮遊油や分散油等Omは、上の油層OL と接触してこの油層OL 内に取り込まれ易くなるので、分離効率が更に向上する。
【0064】
次に、図4に他の実施の形態の油水分離装置1Aを示す。
【0065】
この油水分離装置1Aにおいては、第2回収部10bの下の分離水溜まり部10bwの下流側に連続して第3回収部10cを設け、この第3回収部10cに、水中の浮遊油や分散油等を分離する多重平行傾斜板25Aからなる微細油集油部材25を設ける。この多重平行傾斜板25Aの代わりに網状のコアレッサー(図示しない)を設けてもよい。
【0066】
この微細油集油部材25により、第1回収部10aと第2回収部10bで、高粘度の油塊や油滴等Ocを回収し、その回収後の油水混合液Lから、さらに、微少粒径の浮遊油や分散油等Omを第2分離油タンク5に回収できるので、油水分離効果が著しく向上する。
【0067】
【発明の効果】
以上に説明したような本発明の油水分離装置によれば、次のような効果を奏することができる。
【0068】
1)堰やコアレッサーを使用せず、粘着力が強く浮上力の大きい高粘度の油等を供給口側の第1回収部で、油の浮上力を利用して油水分離し、上部の排油口から排出するので、エマルジョン化した高粘度の油でも装置が閉塞することがない。
【0069】
2)浮上が遅い水中の浮遊油や分散油等の油は、下流側の第2回収部で緩浮上させることができるので、高い分離効果が得られる。
【0070】
3)油水分離槽内で、油水の界面を所定の範囲に維持することにより油水比率が広い範囲で変動しても、これに対応でき、連続的に多量の油水混合液の処理ができる。
【0071】
4)第2回収部で回収した低粘度の流動性のある油を、第2回収部の分離油溜まり部に設けたテーパー部に沿って、第1回収部の排油口へ流出させることができるので、装置への付着や油溜まり内における滞留を回避しながら、第1回収部で回収した高粘度の油塊等を押し出すことができて、円滑に分離油を排出口から排出できる。
【0072】
5)油水分離槽内の油層界面制御位置の調整(設定)により、タンク内の油層を厚くでき、しかも一方で界面を所定の範囲内に維持するので、界面と排油口との距離を大きく維持でき、船上作業等で油水分離装置が動揺しても、分離油の排出口から分離水が漏出するのを防止できる。
【0073】
6)第2回収部の分離油溜まり部にテーパー部を設けたので、油水分離装置内に滞留する回収油量を少なくでき、また、装置をコンパクトにできる。
【0074】
7)海上に浮遊するゴミや海草が流入しても、油塊と共に装置外へ排出でき、閉塞しない。
【0075】
従って、広範囲の粘度の油やエマルジョン化した高粘度油を含む混合処理液でも、油水比率の広い範囲で、連続的に確実に油水分離ができ、しかも、動揺する船上でも使用できるコンパクトな油水分離装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の油水分離装置を示す斜視図である。
【図2】図1の油水分離装置の側断面図である。
【図3】(a)は、図1の油水分離装置に整流板と仕切板を設けた側断面図で、(b)は整流板を示す正面図で、(c),(d)は仕切板を示す正面図である。
【図4】本発明に係る他の実施の形態の油水分離装置を示す図で、(a)は油水分離装置の側断面図で、(b)はX−X断面図である。
【図5】従来技術のPPI方式の油水分離装置を示す図で、(a)は平面図で、(b)はY−Y断面図で、(c)はZ−Z断面図である。
【図6】従来技術の多重平行板とコアレッサーを使用した油水分離装置を示す図で、(a)は側断面図であり、(b)は多重平行板を示す部分斜視図である。
【図7】従来技術のコアレッサーを使用した油水分離装置を示す断面を有する側面図である。
【図8】従来技術の吸着膜分離方式の油水分離装置を示す側断面図である。
【符号の説明】
1、1A 油水分離装置
10 油水分離槽
10a 第1回収部
10b 第2回収部
10c 第3回収部
11 供給口
12 排油口
13 排水口
14 テーパー部
15 排水バルブ
16a 界面センサー(発振器)
16b 界面センサー(受信器)
17 コントローラ
23 整流板
24a 仕切板(孔無し)
24b 仕切板(貫通孔有り)
L 油水混合液
O 分離油
Oc 油塊や油滴等
Om 浮遊油や分散油等
OL 油槽
W 分離水
WL 水層

Claims (5)

  1. 油水混合液の供給側に設けた第1回収部と、該第1回収部の下流側に連続させた第2回収部とからなる油水分離槽であり、前記第1回収部は、供給口から供給された直後に浮上する油塊又は油滴を回収する部分で、その上部に油水混合液から分離した分離油を排出する排口を備え、第2回収部は、分離した水が溜まる下部の分離水溜まり部に排水口を備え、かつ、前記油水分離槽に分離した油水の界面の位置を調整する界面調整手段を備えた油水分離装置において、前記第2回収部は、水中の浮遊油又は分散油を回収する部分で、その上部の油溜まり部を、該油溜まり部の容積が下流側に行くに連れて小さくなるようにすると共に、前記油溜まり部にて緩浮上してくる浮遊油又は分散油の流れを第1回収部の排油口側へ向かわせる流れにするテーパー部を設けて形成したことを特徴とする油水分離装置。
  2. 前記界面調節手段が、前記排水口から排出される分離水の量を調整する排水バルブと、油水の界面を検出する界面センサーと該界面センサーによって検出された検出値によって、前記排水バルブの開閉を制御する制御手段とからなることを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。
  3. 前記油水の界面の予定位置より下の分離水溜まり部に、油水混合液の流れを整流する整流板を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の油水分離装置。
  4. 前記第2回収部の前記油水の界面の予定位置より下の分離水溜まり部に、孔の無い、又は、下側部分に貫通孔を有する、上流と下流に区分する仕切板を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油水分離装置。
  5. 前記第2回収部の分離水溜まり部の下流側に第3回収部を設け、該第3回収部に、水中の微小粒径の浮遊油や分散油を集油する網状のコアレッサー又は多重平行傾斜板からなる微細油集油部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油水分離装置。
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