JP4392633B2 - マイクロ波用誘電体磁器組成物およびその製造方法ならびにマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いたマイクロ波用電子部品 - Google Patents

マイクロ波用誘電体磁器組成物およびその製造方法ならびにマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いたマイクロ波用電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波領域で使用される誘電体磁器組成物に関し、特に、Qが高く、温度特性が安定しており、さらに銀や銅といった内部電極材料との同時焼成が可能な低温焼結性を有する誘電体磁器組成物およびその製造方法ならびにそれを用いたマイクロ波用電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車電話、携帯電話、衛星放送など、マイクロ波領域の電磁波を利用する通信技術の進展に伴い、機器の小型化が要求されている。このためには、機器を構成する個々の部品が小型化される必要がある。
【0003】
誘電体磁器組成物は、これらのマイクロ波機器において、誘電体共振器、フィルタ、積層インダクター、または積層コンデンサ、および、これらを複合化した高周波積層基板用の材料として用いられている。誘電体共振器の大きさは同じ共振モードを利用する場合、誘電体材料の持つ誘電率の平方根に逆比例する。このため、小型の誘電体共振器を作製するには、高い誘電率を有する誘電体材料が必要となる。また、他にマイクロ波用の誘電体材料として求められる特性としては、マイクロ波領域での誘電損失tanδ(=1/Q)が小さいこと、すなわちQ値が大きいこと、共振周波数の温度係数τfができるだけ零に近いことなどが要求される。
【0004】
さらに、マイクロ波領域で使用される誘電体共振器、フィルタ、積層インダクター、又は積層コンデンサの内部電極等は、マイクロ波帯における抵抗損失の低い材料で構成される必要があり、従って、銀や銅・金といった導電率の高い金属材料を用いて構成する必要がある。
また、これらマイクロ波用の電子部品においては、小型化を図るために、セラミックスと内部電極との積層構造体を同時焼成して得られる積層型電子部品とすることが試みられている。
このため、銀(融点961℃)や銅(融点1083℃)、金(融点1063℃)のような融点の低い電極材料を用いて、誘電体材料と同時焼成する場合、誘電体材料として1000℃以下の温度、好ましくは900℃以下の温度で焼結する材料であることが必要である。
【0005】
従来のマイクロ波帯で利用されてきた誘電体材料の一例として、特開平8−325055号公報には、Al、Si、Pb、Na、K、Ca、Srの酸化物から構成される磁器組成物で組成比は、重量%で、Al 40〜60%、SiO 25〜40%、PbO 5〜15%、NaO 0.1〜3%、KO 1〜3%、CaO 1〜6%、SrO 1〜6%から成る低温焼成磁器組成物が開示されている。これによれば、900℃程度での低温焼成が可能である。
【0006】
また、従来のマイクロ波帯で利用されてきた誘電体材料の他の一例として、特公平6−74166号公報には、SiO 25〜80重量%、BaO,SrOのうち1種または2種が15〜70重量%およびB 1.5〜5重量%からなる主成分に、Cr,CuO,NiO,CoおよびFeのいずれか1種が添加含有された磁器組成物であり、添加物がCrまたはCuOの場合には0.2〜10重量%の範囲で添加され、添加物がNiO,CoおよびFeの場合には、1〜10重量%の範囲で添加される事を特徴とする低温焼成用磁器組成物が開示されている。これによれば、900℃程度での低温焼成が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この特開平8−325055号に開示されている磁器組成物では、PbOが5〜15重量%含有されている。このPbOは、低温で焼成させるために、このような磁器組成物では一般に用いられている。しかし、このPbOは有害物質であり、製造工程中で生じる廃棄物等の処理に費用がかかり、又製造工程中でのPbOの取り扱いにも注意が必要であった。
【0008】
また、この特公平6−74166号に開示されている磁器組成物では、Bが1.5〜5重量%含有されている。このBは、低温で焼成させるために、このような磁器組成物では一般に用いられている。しかし、このBを用いて焼成した場合には、高周波での誘電損失が増大するため、Qの高い磁器を得る事が困難であり、さらに、これを多用した場合、仮焼中にホウ素が蒸発し炉材に損傷を与えたり、焼成時に電極材料と反応したり、製造工程で水、アルコールに溶解し、乾燥時に偏析したり、使用する有機バインダーと反応しバインダーの性能を劣化させる等の課題を解決する必要があり、高いQ値を有する磁器を得ようとする場合、また、安定した製造工程を確立しようとする場合にたくさんの課題を解決する必要があった。
【0009】
本発明は、上記のことを鑑みてPbOを含まず、かつ、ホウ素化合物をも含有しない磁器組成物であって、εが6〜程度で、Q値が高く、τfが小さく、しかも1000℃以下の低温、さらに好ましくは、900℃以下の低温で焼成することが可能なマイクロ波用誘電体磁器組成物を提供すること、またその製造方法を提供すること、またそれを用いたマイクロ波用電子部品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、主成分がAl,Si,Sr,Tiの酸化物で構成され、Al,Si,Sr,TiをそれぞれAl 、SiO 、SrO、TiO に換算し合計100質量%としたとき、Al 換算で10質量%以上60質量%以下、SiO 換算で25質量%以上60質量%以下、SrO換算で7.5質量%超50質量%以下、TiO 換算で20質量%以下(0質量%を含む)のAl,Si,Sr,Tiを含有し、前記合計100質量%に対し副成分として、Bi 換算で0.1〜10質量%のBiを含有し、更にNa,K,Co,Cu,Mn,Agのうちの少なくとも一種を含有していることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物である。
【0011】
本発明においては、前記副成分のNa,K,Co,Cu,Mn,Agの含有量はそれぞれ、Na O換算で0.1〜5質量%、K O換算で0.1〜5質量%、CoO換算で0.1〜5質量%、CuO換算で0.01〜5質量%、MnO2換算で0.01〜5質量%、0.01〜5質量%のAgであるのが好ましい。
【0012】
また、そのfQ値は5THz以上であることが好ましい。
【0013】
第2の発明は、Al,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiの酸化物を主成分とし、副成分としてBiを必須とするマイクロ波用誘電体磁器組成物であって、組織にAl 結晶相と少なくともAl,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiを含む化合物結晶相を備え、fQ値が5THz以上であることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物である。
【0014】
更にNaやKを含む長石族結晶相を備えるのも好ましい。
【0015】
また、その誘電率が5.75〜9.09であるのも好ましい。
【0016】
そして、Pbを含まないことも特徴とするものである。
【0017】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、Al 以外の元素をガラス化する第1の熱処理工程と、当該第1の熱処理工程のしかる後に、組織にAl2O3の他に少なくともAl,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiを含む化合物結晶相を形成するような、かつfQ値が5THz以上となるような第2の熱処理工程を有することを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物の製造方法である。
【0018】
前記第2の熱処理工程を第1の熱処理工程の熱処理温度超、1000℃以下の熱処理温度で行うのが好ましい。
【0019】
第4の発明は、第1又は第2の発明のマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いることを特徴とするマイクロ波用電子部品である。
【0020】
本発明において、前記マイクロ波用誘電体磁器組成物からなる誘電体層に電極を形成し、当該誘電体層を複数積層してマイクロ波用電子部品とするのも好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のマイクロ波用誘電体磁器組成物は、例えば主成分がAl,Si,Sr,Tiの酸化物で構成され、Al,Si,Sr,TiをそれぞれAl 、SiO 、SrO、TiO に換算し合計100質量%としたとき、Al 換算で10質量%以上60質量%以下、SiO 換算で25質量%以上60質量%以下、SrO換算で7.5質量%超50質量%以下、TiO 換算で20質量%以下(0質量%を含む)のAl,Si,Sr,Tiを含有し、前記合計100質量%に対し副成分として、Bi 換算で0.1〜10質量%のBiを含有し、更にNa,K,Co,Cu,Mn,Agのうちの少なくとも一種を含有し、1000℃以下の温度で焼成できるマイクロ波用誘電体磁器組成物である。
これにより、本発明の誘電体磁器組成物は、銀や銅、金といった高い導電率を有する金属材料を内部電極として用い、一体焼結を行うことができる。よって、本発明の誘電体材料の有する高いQ値を用い、しかも電気抵抗による損失を抑えた内部電極を用い、極めて損失の小さいマイクロ波用電子部品を構成することができる。これにより、誘電体共振器、フィルタ、積層インダクター又は積層コンデンサ、および、これらを複合化した高周波積層基板等に応用して、優れたマイクロ波特性および低損失な回路デバイスを実現することができる。
【0022】
また本発明では、前記マイクロ波用誘電体磁器組成物に副成分としてNa(Na2O換算で0.1〜5質量%)、K(K2O換算で0.1〜5質量%)、Co(CoO換算で0.1〜5質量%)、Cu(CuO換算で0.01〜5質量%)、Mn(MnO2換算で0.01〜5質量%)、Ag:0.01〜5質量%のうち少なくとも1種以上を含有させることが好ましい。
Na、K,Coの副成分は、仮焼工程においてAl以外の成分がガラス化する際、このガラスの軟化点を低下させる効果があり、より低温で収縮を開始する材料が得られる事、および、焼成工程において、1000℃以下の焼成温度でQの高い誘電特性を得る事を可能とするものであり、含有させることが好ましい。
【0023】
またCu、Mn、Agは、主に焼成工程において誘電体磁器組成物の結晶化を促進する効果があり、低温焼結を達成するために添加されるものである。
【0024】
本発明において、各成分範囲を特定した理由は以下のとおりである。
AlがAl換算で10質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。又、60質量%より多いと、やはり1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。
【0025】
また、SiがSiO換算で25質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。又、60質量%より多いと、やはり1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。
【0026】
また、SrがSrO換算で7.5質量%以下だと、1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。又、50質量%より多いと、やはり1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られない。
【0027】
また、TiがTiO換算で20質量%より多いと、1000℃以下の低温焼成では、焼結密度が十分上昇しないために、磁器が多孔質となり、吸湿等により良好な特性が得られないと同時に、磁器の共振周波数の温度係数が,Tiの含有量増加と共に大きくなり良好な特性が得られない。Tiが含有してない場合の磁器の共振周波数の温度係数τfは−20〜−40ppm/℃に対し、Tiの配合量を多くしていくにつれて増加し、τfを0ppm/℃に調整する事も容易である。
【0028】
また、本発明に係る誘電体磁器組成物は、その製造工程中の仮焼工程において、誘電体磁器組成物を構成する各成分のうちAlを除くSiO、SrO、および副成分添加物がガラス化する事により、その後の焼成工程において、生成されたガラス材料が焼結促進剤として機能し、緻密化が達成されると同時に、Alを含む成分が結晶化してQの高い誘電特性を発現するものと考えられる。
【0029】
また、Biは、低温焼結を達成するために添加される。つまり、このBiを添加することにより、仮焼工程においてAl以外の成分がガラス化する際、このガラスの軟化点を低下させる効果があり、より低温で収縮を開始する材料が得られる事、および、焼成工程において、1000℃以下の焼成温度でQの高い誘電特性を得る事を可能とするものである。しかしながら、Bi換算で10質量%より多いと、Q値が小さくなる。このため、10質量%以下が望ましい。更に好ましくは5質量%以下である。一方、0.1質量%より少ないと添加効果が少なく、より低温での結晶化が困難になるため、0.1質量%以上が好ましい。更に好ましくは0.2質量%以上である。
【0030】
また、Naは、Biと同様に、NaO換算で0.1質量%未満の場合、ガラスの軟化点が高くなり低温での焼結が困難となる。このため、1000℃以下の焼成では緻密な材料が得られない。また、5質量%を超えると誘電損失が大きくなり過ぎ、実用性が無くなる。このため、NaO換算で0.1〜5質量%が好ましい。
【0031】
また、KもNaと同様にKO換算で0.1質量%未満の場合、ガラスの軟化点が高くなり焼結が困難となり緻密な材料が得られず、5質量%を超えると誘電損失が大きくなり過ぎ、実用性がない。このため、KO換算で0.1〜5質量%が好ましい。
【0032】
また、Coは、Naと同じく仮焼工程で生成されるガラスの軟化点を低下させる効果があり、低温焼結を達成するために添加されるが、CoO換算で0.1質量%未満の場合、その添加効果は小さく、このため、900℃以下の焼成では緻密な材料を得る事が困難となる。また、5質量%を超えると結晶化する温度が1000℃以上となり、1000℃以下で誘電損失が大きくなり過ぎ、実用性が無くなる。このため、CoO換算で0.1〜5質量%が好ましい。
【0033】
また、AgもNaと同様に添加する事により、ガラスの軟化点を低下させると同時に、結晶化を促進する効果があり、低温焼結を達成するために添加されるが、5質量%を超えると誘電損失が大きくなり過ぎ、実用性がない。このため、Agは5質量%以下の添加が好ましい。さらに好ましくは2質量%以下である。
【0034】
また、Cuは、焼成工程において誘電体磁器組成物の結晶化を促進する効果があり、低温焼結を達成するために添加されるが、CuO換算で0.01質量%未満の場合、その添加効果は小さく、900℃以下での焼成ではQの高い材料を得る事が困難になる。また、5質量%を超えると低温焼結性が損なわれるため、CuO換算で0.01〜5質量%が好ましい。
【0035】
また、Mnは、Cuと同じく焼成工程において誘電体磁器組成物の結晶化を促進する効果があり、低温焼結を達成するために添加されるが、MnO換算で0.01質量%未満の場合、その添加効果は小さく、900℃以下での焼成ではQの高い材料を得る事が困難になる。また、5質量%を超えると低温焼結性が損なわれるため、MnO換算で0.01〜5質量%が好ましい。
【0036】
本発明では、上記の特定の成分組成により、εが6〜8程度、τfの絶対値が小さく(50ppm/℃以下)、fQ(fは共振周波数)値が5000GHz(5THz)以上で、しかも1000℃以下の温度で焼結することができるマイクロ波用誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0037】
このように1000℃以下又は900℃以下の温度で焼成できるため、本発明の誘電体磁器組成物は、銀や銅、金といった高い導電率を有する金属材料を内部電極として用い、一体焼結を行うことができる。よって、本発明の誘電体材料の有する高いQ値と、内部電極の電気抵抗による損失を抑えることにより、極めて損失の小さいマイクロ波用電子部品を構成することができる。これにより、誘電体共振器、フィルタ、積層インダクター又は積層コンデンサ、および、これらを複合化した高周波積層基板等に応用して、優れたマイクロ波特性および低損失な回路デバイスを実現することができる。
【0038】
一方で、この銅を内部電極材料として用いる場合は、焼成雰囲気の調整が必要となるが、銀を内部電極材料として用いる場合は、焼成時の雰囲気を空気中で行うことができ、工数の低減が可能である。本発明の誘電体磁器組成物は、900℃での焼成も可能であり、銀を用いて、空気中での一体焼結が可能であるという特徴も有する。
【0039】
【実施例】
以下、実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
出発原料として、純度99.9%、平均粒径0.5μmのAl粉末、純度99.9%以上、平均粒径0.5μm以下のSiO粉末、純度99.9%、平均粒径0.5μmのSrO粉末、純度99.9%、平均粒径0.5μmのTiO2粉末、純度99.9%、平均粒径0.5〜5μmのBi粉末、NaCO粉末、KCO粉末、CuO粉末、Ag粉末、MnO2粉末、Co粉末を用い、表1,表2,表3に示す質量比率に従って秤量する。
【0040】
【表1】
Figure 0004392633
【0041】
【表2】
Figure 0004392633
【0042】
【表3】
Figure 0004392633
【0043】
これらの粉末をポリエチレン製のボールミルに投入し更に酸化ジルコニウム製のボールと純水を投入して20時間湿式混合を行う。混合スラリーを加熱乾燥し水分を蒸発させた後ライカイ機で解砕し、アルミナ製のるつぼに入れて、700〜850℃で2時間仮焼する。仮焼粉末は、前述のボールミルに投入し20〜40時間湿式粉砕を行い、乾燥させ原料粉体とする。この粉体にバインダとしてポリビニルアルコールの10%水溶液を10〜20質量%添加し、乳鉢に混練後、32メッシュのふるいを通過させ整粒し、造粒粉末を得る。この粉末を金型に投入し、2GPaの圧力で加圧成形し、円柱形状の成形体試料を得た。
【0044】
この試料を空気中にて、600℃まで100℃/hで昇温し、2時間持続後800〜900℃まで200℃/hの速度で昇温し、さらに2時間持続後、200℃/hの速度で冷却して焼成を行い、得られた焼結体の寸法と質量から焼結密度を算出した。また、誘電体共振器法により、共振周波数fと無負荷Q値Qを求めた。焼成体の寸法とf、Qより、比誘電率及び誘電損失係数tanδの逆数とfの積よりf・Q値を算出した。共振周波数は8〜14GHzであった。これらの結果を表4、表5、表6に示す。焼成雰囲気は空気中に限定されるものではなく、窒素などの非還元性雰囲気下でも同じ誘電特性を示す。又、試料の結晶化状態は、X線回折装置により、ガラス化、結晶化の状態を測定し、確認した。尚、試料番号に*印のないものが本発明の実施例であり、試料番号に*印のあるものは本発明の範囲外の比較例である。
【0045】
試料番号に*印を付した比較例によれば、発明の実施の形態で述べた通り、本発明で規定した発明の範囲外で作製した試料においては、1000℃以下の低温の焼成温度においては緻密化していないために試料が多孔質となったり、緻密化しても結晶化しないためにfQ値が低く誘電特性の測定が不能であることが明らかである。一方、試料番号に*印のない実施例においては、本発明で規定した組成の範囲内であるため、1000℃以下、さらには900℃以下の焼成温度いおいても緻密化し、誘電率が6〜9、fQ値が5THz以上の誘電特性が得られ、さらにTiOの配合量により共振周波数の温度係数を制御可能であり、0ppm/℃に近づけることが出来ることが明らかである。
【0046】
また試料No.73の組成を有するマイクロ波用誘電体磁器組成物について、800℃で仮焼した後のX線回折パターンを図2に、これを900℃で焼結した後のX線回折パターンを図1に示す。800℃仮焼のX線回折パターンでは、一部未反応の元素等の微小ピークがあるものの、おおよそAl結晶以外の元素がガラス化したハローなパターンであった。これを更に900℃で焼結した後のX線回折パターンでは、ハローなパターンが減少し、新たにSrAlSiやNaやKを含む長石族の固溶体と考えられる結晶相が析出した。
【0047】
【表4】
Figure 0004392633
【0048】
【表5】
Figure 0004392633
【0049】
【表6】
Figure 0004392633
【0050】
(実施例2)
以下本発明のマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いて構成したマイクロ波用電子部品の一例として、積層型ローパスフィルタについて図3及び図4にもとづいて説明する。図3は当該積層型ローパスフィルタの斜視図であり、図4はその内部構造を示した分解斜視図である。
【0051】
実施例1で得られた粉砕粉を所定量のバインダー(例えばポリビニルブチラール)、可塑剤とともにポリエチレン製のボールミルに投入し更に酸化ジルコニウム製のボールと溶媒(例えばエチルアルコールとブタノール)を投入して20時間湿式混合を行ったスラリーを真空濃縮処理して粘度を調整した。
次に、このスラリーをドクターブレード法によりフィルム上に塗布、乾燥してグリーンシートを得た。このシートを所定の大きさに切断し、部品回路上必要なスルーホール5,6を形成するとともに、Ag電極ペーストを印刷塗布してインダクタを構成する導体パターン1,2,3,4およびコンデンサを構成する導体パターン7,8,9とアース電極10,11を形成した。さらに各層12〜17を積層圧着し、所定の寸法に切断した。得られたチップを、脱脂焼成、バレル研磨を施した後、回路基板に電気結合させるための外部電極20a〜20jを形成した。外部電極が銀系の場合、はんだ食われが生じて電気部品としての機械的、電気的信頼性に悪影響を及ぼす可能性があるので、Niめっきを被膜する。更に、はんだ濡れ性向上のために、はんだめっきを形成する。このようにして2つのインダクタと3つのコンデンサをπ型接続した積層型ローパスフィルタ18を得た。この積層型ローパスフィルタの電気的特性を測定したところ通過帯域での挿入損失が0.2dB程度と優れた特性が得られた。また本発明のマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いて他のマイクロ波用電子部品を構成したが、同様に優れた電気的特性が得られた。
【0052】
このように、本発明の誘電体磁器組成物は、種々の製造方法においても1000℃以下又は900℃以下の焼成温度で緻密な焼結体を得ることが出来,かつ誘電率εが6〜9程度で、τfの絶対値が50ppm/℃以下で、fQ値が5THz以上の値を得ることが出来た。これにより、銀又は銅、金を内部電極用の材料として用いることができ、各種マイクロ波部品用として有用である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、マイクロ波用誘電体磁器組成物として、1000℃以下又は900℃以下で焼結可能な材料であって、誘電率が約6〜9で、Q値の高い誘電体材料を得ることができる。これにより、マイクロ波用の誘電体共振器、フィルタ、積層インダクター、積層コンデンサなど、マイクロ波部品として優れたマイクロ波特性と低損失を得ることができる。特に、銀又は銅などの電極材料と同時焼成して内部回路を構成する積層型のマイクロ波部品用、および、これらを複合化した高周波積層基板用として、優れた材料である。また、本発明の材料は、マイクロ波より低い周波数においても、同様に高性能な積層回路基板が形成出来る材料であり、さらに、電極材料と同時焼成を行わない材料としても用いる事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明マイクロ波用誘電体の焼結後のX線回折パターン図。
【図2】 本発明マイクロ波用誘電体の焼結前のX線回折パターン図。
【図3】 本発明の一実施例のマイクロ波用電子部品の斜視図。
【図4】 本発明の一実施例のマイクロ波用電子部品の分解斜視図。

Claims (11)

  1. 主成分がAl,Si,Sr,Tiの酸化物で構成され、Al,Si,Sr,TiをそれぞれAl 、SiO 、SrO、TiO に換算し合計100質量%としたとき、Al 換算で10質量%以上60質量%以下、SiO 換算で25質量%以上60質量%以下、SrO換算で7.5質量%超50質量%以下、TiO 換算で20質量%以下(0質量%を含む)のAl,Si,Sr,Tiを含有し、前記合計100質量%に対し副成分として、Bi 換算で0.1〜10質量%のBiを含有し、更にNa,K,Co,Cu,Mn,Agのうちの少なくとも一種を含有していることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  2. 前記副成分のNa,K,Co,Cu,Mn,Agの含有量はそれぞれ、Na O換算で0.1〜5質量%、K O換算で0.1〜5質量%、CoO換算で0.1〜5質量%、CuO換算で0.01〜5質量%、MnO2換算で0.01〜5質量%、0.01〜5質量%のAgであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  3. fQ値が5THz以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  4. Al,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiの酸化物を主成分とし、副成分としてBiを必須とするマイクロ波用誘電体磁器組成物であって、組織にAl 結晶相と少なくともAl,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiを含む化合物結晶相を備え、fQ値が5THz以上であることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  5. 更にNaやKを含む長石族結晶相を備えることを特徴とする請求項4に記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  6. 誘電率が5.75〜9.09であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  7. Pbを含まないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物の製造方法であって、Al 以外の元素をガラス化する第1の熱処理工程と、当該第1の熱処理工程のしかる後に、組織にAl2O3の他に少なくともAl,Si,Sr又はAl,Si,Sr,Tiを含む化合物結晶相を形成するような、かつfQ値が5THz以上となるような第2の熱処理工程を有することを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器組成物の製造方法。
  9. 前記第2の熱処理工程を第1の熱処理工程の熱処理温度超、1000℃以下の熱処理温度で行うことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物の製造方法。
  10. 請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロ波用誘電体磁器組成物を用いることを特徴とするマイクロ波用電子部品。
  11. 前記マイクロ波用誘電体磁器組成物からなる誘電体層に電極を形成し、当該誘電体層を複数積層してなることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ波用電子部品。
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