JP4390205B2 - 蓄熱装置 - Google Patents
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Description
図12は従来の蓄熱装置の概要図である。従来の蓄熱装置200は、蓄熱モジュール201の下端を底板202で塞ぎ、蓄熱モジュール201の上端を蓋板203で塞いだものである。蓄熱モジュール201は、蓄熱材を充填する複数の蓄熱材充填空間204と、この蓄熱材充填空間204に隣接して流体Fuを通す流体通路205とを備える。
なお、211は蓄熱材充填空間204を形成する蓄熱材充填空間形成部、212は流体通路205を形成する流体通路形成部、213〜215は蓄熱材充填空間形成部211及び流体通路形成部212を形成するための壁部、216は断熱空間形成部、217・・・は補強リブ、218は底板202の合わせ面202aに形成した合わせ凹部である。
このようにして、流体Fuは流体通路205を通過しつつ、蓄熱材充填空間204内の蓄熱材と熱エネルギーの交換をすることになる。
上述のように、蓄熱モジュール201は、中心線Lmに沿った断面形状が一様なので、製造コストを低減するために、一般的にはアルミニウム合金や合成樹脂の押出し成型によって成形されることになる。しかし、蓄熱モジュール201の断面形状は極めて複雑である。このような蓄熱モジュール201を押出し成型によって低コストで成形する場合に、流体通路205の通路幅を狭くするとともに通路間の壁を薄くするには限界がある。
蓄熱モジュールを、積層した複数のエレメントで構成し、
これらの各エレメントが、互いに凹凸が面対称である第1のプレートと第2のプレートとを重ね合わせることで、凹部同士並びに凸部同士を互いに向かい合わせて接合した構成であり、
第1・第2プレートの凹部同士を合わせることで第1の空間部を構成し、
積層された各エレメント間における凹部同士並びに凸部同士を互いに向かい合わせて接合し、各エレメント間における凹部同士を合わせることで第2の空間部を構成し、
第1の空間部に対して第2の空間部を非連通とし、
第1の空間部又は第2の空間部を前記蓄熱材充填空間とし、
第2の空間部又は第1の空間部を前記流体通路としたことを特徴とする。
このセパレータ板が、隣接し合う蓄熱モジュールにおける各渦巻き状空間の、巻き始め端同士又は巻き終わり端同士を連通する連通孔を備えたことを特徴とする。
従って、最初の蓄熱モジュールにおける各流体通路の巻き始め端に流体が導入された場合には、流体は、流体通路内を渦巻きに沿って径外方へ移動して、巻き終わり端に至り、セパレータ板の連通孔を介して、隣接する次の蓄熱モジュールにおける各流体通路に流れる。このようにして、複数個の蓄熱モジュールにおける各流体通路まで流れ、最後の蓄熱モジュールの巻き始め端又は巻き終わり端から導出される。
又は、1個の蓄熱モジュールにおける各流体通路の巻き終わり端に流体が導入された場合には、流体は逆方向へ流れて、最後の蓄熱モジュールの巻き始め端又は巻き終わり端から導出される。
このように、流体は渦巻き状の流体通路を通過しつつ、蓄熱材充填空間内の蓄熱材と熱エネルギーの交換を、効率良く行うことができる。
図1は本発明に係る蓄熱装置の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は本発明に係る蓄熱装置の分解図である。
図1〜図3に示すように、蓄熱装置10は、偶数個(例えば2個)の蓄熱モジュール20,20をセパレータ板50を介して上下に重ね合わせ、最下層の蓄熱モジュール20の下面を底板60で塞ぐとともに、最上層の蓄熱モジュール20の上面を蓋板70で塞いだ構成である。
以下、最下層の蓄熱モジュール20のことを「下の蓄熱モジュール20」と言い、最上層の蓄熱モジュール20のことを「上の蓄熱モジュール20」と言う。
流体Fuは、蓄熱材Shと互いに熱交換し得る液体、すなわち熱交換流体(冷媒、熱媒)であって、例えばエンジン冷却用の冷却水である。流体Fuには冷水や温水も含む。
図4は本発明に係るエレメントの斜視図、図5は本発明に係るエレメントにおける第1のプレートの平面図である。
第1・第2のプレート31A,31Bは、平面視略正六角形の平板であり、蓄熱モジュール20(図3参照)における上下方向の中心CL上に貫通した、1個の液通過孔35を有している。このような第1・第2のプレート31A,31Bは、例えばアルミニウム合金等の金属製板材のプレス成形品である。液通過孔35は、蓄熱モジュール20の液通過孔35でもある。
このように互いに向かい合わせにした第1・第2のプレート31A,31Bを重ねて接合することで、1個のエレメント30を得ることができる。
図6(a)は、上記図4と同様に、下側の第1のプレート31Aと上側の第2のプレート31Bとを互いに向かい合わせにした状態を示す。
下側の第1のプレート31Aは、水平な上側の板面31a(第2のプレート31Bと対向する面31a)から下方へ窪んだ凹部32と、板面31aと面一である底33aを有する凸部33と、板面31aと面一である外周部分のフランジ34とを一体に形成した部材である。
凹部32の裏側の部分41は、エレメント30における凸部41であると、言うことができる(以下、「エレメントの凸部41」と言う。)。また、凸部33の裏側の部分42は、エレメント30における凹部42であると、言うことができる(以下、「エレメントの凹部42」と言う。)。
この状態では、エレメントの凸部41,41同士並びにエレメントの凹部42,42同士が互いに向かい合わせになる。複数のエレメント30,30を積層し、エレメントの凸部41,41における底同士(すなわち、凹部32,32の底32a,32a同士)を接合することで、蓄熱モジュール20を構成することができる。なお、接合としては溶接、ロウ付け、接着等がある。
この結果、下側のエレメントの凹部42と上側のエレメントの凹部42とで区切られた内部の空間部22が形成される。この空間部22のことを「第2の空間部22」と言うことにする。
以下、説明に応じて適宜、第1の空間部21のことを「蓄熱材充填空間21」と言う。第2の空間部22のことを「流体通路22」と言う。流体通路22は、蓄熱材充填空間21に隣接し、蓄熱材充填空間21よりも幅狭の空間である。
通路間の壁23は、蓄熱材充填空間21と流体通路22との間で熱交換をする、伝熱板の役割をも果たす。
この結果、図4及び図7に示すように、エレメントの凹部42,42(凸部33,33の裏側)同士で形成された流体通路22の内方端は、液通過孔35に連なることになる。すなわち、流体通路22の内方端は、凸部33,33の内方端33b,33bの裏側同士で形成される。
以上の説明から明らかなように、流体通路22・・・は、蓄熱モジュール20の中心CLを基準とした、多重の渦巻き状空間である。図6(b)に示す、蓄熱材充填空間21・・・についても同様である。
蓄熱材充填空間21・・・及び流体通路22・・・の渦巻き形状は、インボリュート曲線状である。インボリュート曲線であるから、どの巻き部分でも概ね同じ間隔の渦巻き形状にすることができる。
底板60は、下の蓄熱モジュール20に外周の輪郭を合わせた平板であり、中心CLに1個の流体出口61を有する。流体出口61は円形状の貫通孔である。
複数の充填孔71・・・は、蓄熱モジュール20における蓄熱材通過孔36・・・の位置に合わせて貫通した、貫通孔である。1個の充填孔71から全ての蓄熱材充填空間21・・・に蓄熱材Shを充填した後に、各充填孔71・・・をプラグ72・・・で塞ぐことになる。
上下の蓄熱モジュール20,20、セパレータ板50、底板60及び蓋板70の各合わせ面は、ロウ付け、溶接、接着等によって、互いにシールを施すとともに互いに一体的に組付けることができる。また、パッキンの封入によってシールを施してもよい。
T字状管81は、上下に長い直管部84と、直管部84の長手中間部から横向きに延びる分岐部85とを、一体に形成したT字状のジョイントである。
このように、直管部84の一方の開口84aは、最下層の蓄熱モジュール20の一端に接続するとともに、流体出口61に連通するモジュール接続口(以下「モジュール接続口84a」と言う。)である。モジュール接続口84aの内径は、蓄熱モジュール20の液通過孔35の径と概ね同じである。
直管部84の他方の開口84bは導入口(以下「導入口84b」と言う。)である。分岐部85は、直管部84から枝分かれした小径のパイプからなる。分岐部85の開口85aは導出口(以下「導出口85a」と言う。)である。
連通管83は、その一端部を導入口84bに連通し、他端部をモジュール接続口84aよりも蓄熱モジュール20側へ突出し、その突出端がセパレータ板50の第1中間連通孔51に嵌合することで、最上層の蓄熱モジュール20の液通過孔35に対して導入口84bを連通している。
図8は本発明に係る上の蓄熱モジュールの作用図であり、上の蓄熱モジュール20を上から見た断面構成を示す。図9は本発明に係る下の蓄熱モジュールの作用図であり、下の蓄熱モジュール20を上から見た断面構成を示す。
(2)さらに流体Fuは、図2及び図8に示すように、上の蓄熱モジュール20における全ての内方端33b・・・に入り、流体通路22・・・内を渦巻きに沿って径外方へ移動し、外方端33c・・・へ流れる。
(3)さらに流体Fuは、上の蓄熱モジュール20における外方端33c・・・から、セパレータ板50(図2参照)の第2中間連通孔52・・・を通って、下の蓄熱モジュール20における外方端33c・・・へ流れる。
(4)さらに流体Fuは、図1及び図9に示すように、下の蓄熱モジュール20における全ての流体通路22・・・内を渦巻きに沿って径内方へ移動し、内方端33b・・・から液通過孔35へ流れる。
(5)さらに流体Fuは、液通過孔35から流体出口61及び導出口85aの経路を通り、導出口85aからホース97を介してエンジン95の水冷ジャケットに戻る。
図10は本発明に係る蓄熱装置(変形例)の縦断面図、図11は図10の11−11線断面図である。図10及び図11に示すように、変形例の蓄熱装置100は、4個の蓄熱モジュール20・・・(20A〜20D)を3個のセパレータ板50・・・(50A〜50C)を介して上下に重ね合わせ、最下層の蓄熱モジュール20Aの下面を底板60で塞ぐとともに、最上層の蓄熱モジュール20Dの上面を蓋板70で塞いだ構成である。
以下、4個の蓄熱モジュール20・・・のことを、下から上へ順に第1蓄熱モジュール20A、第2蓄熱モジュール20B、第3蓄熱モジュール20C、第4蓄熱モジュール20Dと呼ぶことにする。
また、3個のセパレータ板50・・・のことを、下から上へ順に第1セパレータ板50A、第2セパレータ板50B、第3セパレータ板50Cと呼ぶことにする。
第1セパレータ板50Aは、第1中間連通孔51に連通管83を密封しつつ嵌合又はシール部材を介して嵌合することで、第1蓄熱モジュール20Aの液通過孔35と第2蓄熱モジュール20Bの液通過孔35との間を密封するようにした構成である。
第2セパレータ板50Bは、第1中間連通孔51の径を連通管83よりも大きくすることで、第2蓄熱モジュール20Bの液通過孔35と第3蓄熱モジュール20Cの液通過孔35との間を流体Fuが通過可能にした構成である。さらに第2セパレータ板50Bは、第1セパレータ板50Aのような第2中間連通孔52・・・を有していない。
第3セパレータ板50Cは、上記図1〜図9に示すセパレータ板50と完全に同じ構成である。
図10に示すエンジン95を冷却した高温の流体Fuは、水冷ジャケットからホース96→導入口84b→連通管83→第4蓄熱モジュール20Dの液通過孔35→図11に示す第4蓄熱モジュール20Dの外方端33c・・・→第3セパレータ板50Cの第2中間連通孔52・・・→第3蓄熱モジュール20Cの外方端33c・・・→第3蓄熱モジュール20Cの液通過孔35→第2セパレータ板50Bの第1中間連通孔51→第2蓄熱モジュール20Bの液通過孔35→第2蓄熱モジュール20Bの外方端33c・・・→第1セパレータ板50Aの第2中間連通孔52・・・→第1蓄熱モジュール20Aの外方端33c・・・→第1蓄熱モジュール20Aの液通過孔35→底板60の流体出口61→図10に示す導出口85a→ホース97の経路を流れて、エンジン95の水冷ジャケットに戻る。
上記実施例及び変形例によれば、図4に示すように、互いに凹凸が面対称である第1のプレート31Aと第2のプレート31Bとを重ね合わせるとともに、凹部32同士並びに凸部33同士を互いに向かい合わせて接合することで、エレメント30を構成することができる。複数のエレメント30・・・を積層した構成は、蓄熱モジュール20(図1参照)となる。
以上の作用、効果については、変形例の蓄熱装置100についても同様である。
また、蓄熱装置10,100は、第1の空間部21又は第2の空間部22を蓄熱材充填空間とし、第2の空間部22又は第1の空間部21を流体通路とした構成であればよい。
また、蓄熱モジュール20,20は樹脂成形品としてもよい。
Claims (3)
- 蓄熱材を充填する蓄熱材充填空間とこの蓄熱材充填空間に隣接して流体を通す流体通路とを設けた蓄熱モジュールを備え、蓄熱材と流体との間で熱エネルギーを交換する蓄熱装置において、
前記蓄熱モジュールは、積層した複数のエレメントからなり、
これらの各エレメントは、互いに凹凸が面対称である第1のプレートと第2のプレートとを重ね合わせることで、凹部同士並びに凸部同士を互いに向かい合わせて接合した構成であり、
前記第1・第2プレートの凹部同士を合わせることで第1の空間部を構成し、
積層された各エレメント間における凹部同士並びに凸部同士を互いに向かい合わせて接合し、各エレメント間における凹部同士を合わせることで第2の空間部を構成し、
前記第1の空間部に対して前記第2の空間部を非連通とし、
前記第1の空間部又は前記第2の空間部を前記蓄熱材充填空間とし、
前記第2の空間部又は前記第1の空間部を前記流体通路としたことを特徴とする蓄熱装置。 - 前記流体通路は、前記各エレメント毎に連通するとともに前記蓄熱モジュールの上下方向の中心を基準とした渦巻き状空間であることを特徴とした請求項1記載の蓄熱装置。
- 前記蓄熱モジュールは複数個であり、これら複数個の蓄熱モジュールをセパレータ板を介して積層し、
このセパレータ板は、前記隣接し合う蓄熱モジュールにおける各渦巻き状空間の、巻き始め端同士又は巻き終わり端同士を連通する連通孔を備えたことを特徴とする請求項2記載の蓄熱装置。
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