JP4390169B2 - ガスタービンの排気ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、発電プラントの事業用ガスタービンや産業用小型ガスタービンの出側以降に配置される排気ディフーザ,排気ダクト,サイレンサ,脱硝装置等の高温雰囲気に曝される排ガス経路部材に適したフェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電プラントは高い熱効率,優れた環境特性及びプラント運用特性が要求されており、これらの要求を満足するシステムとしてLNGコンバインドサイクル発電プラントの建設が各国で進められている。最近では、プラントの発電効率を更に向上させるため、ガスタービンの燃焼排ガス温度を従来の1300℃級から1400〜1500℃級まで上昇させる計画が開始されている。
従来の1300℃級プラントでは、ガスタービンの出側以降に配置される排気ガスダクト部,廃棄サイレンサ等の排ガス経路部材は、最高でも600〜700℃のガスに曝されるに留まっていた。そのため、排ガス経路部材のうち、600℃以下の比較的低い温度雰囲気に曝される部材にはSUH409鋼を使用し、高温雰囲気に曝される部材には14Cr−Si−Nbを基本とするフェライト系ステンレス鋼(特開平6−228715号公報,特開平6−323108号公報)が使用されてきた。
【0003】
しかし、燃焼排ガス温度が1400〜1500℃まで上昇すると、排ガス経路部材が曝される雰囲気温度が650〜800℃程度まで上昇することが予想される。そのため、従来の材料及び構造のままでは、高い排ガス温度で長時間使用したとき熱疲労破壊,高温高サイクル疲労破壊,クリープ破壊等、種々の破壊が生じやすくなる。また、長時間加熱による大きな組織変化、たとえば脆い析出物の生成などによって、使用後の低温靭性が低下し、稼動時に脆性破壊を起こしやすくなる虞もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
燃焼排ガス温度の上昇で誘発される各種破壊を防止するためには、排ガス経路部材の設計変更や耐熱性及び組織安定性が一層優れた材料が必要になる。
設計変更による破壊防止策では、基本的に板厚を厚くし、更に応力集中部に補強材を使用する。しかし、材料総重量の増加が避けられず、コスト増やダクト部の組立て時における溶接施工の負担が大きくなる。しかも、使用材料の厚肉化に起因してダクト部の熱損失が大きくなるため、発電プラントの最も重要な特性である高効率発電に支障をきたしやすい。
【0005】
耐熱性及び組織安定性が一層優れた材料として、従来の低Crフェライト系ステンレス鋼に代えマルテンサイト系又はオーステナイト系ステンレス鋼の使用が考えられる。しかし、マルテンサイト系ステンレス鋼は、強度が高いものの加工性に劣ることが欠点である。加工性を確保するために焼戻しを施しても、650〜800℃の高温雰囲気に曝されるとオーステナイト相が生成する場合がある。その結果、相変態に起因する膨張・収縮が熱膨張・収縮と相俟って、部材が局部的に大きく変形する虞がある。この点は、従来から高温高強度フェライト系耐熱鋼として知られている2.25Cr系鋼,9Cr系鋼,12Cr系鋼でも同様である。オーステナイト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼に比較して熱膨張係数が大きく、稼動と停止を毎日繰り返す発電プラントでは応力集中しやすい溶接部等の熱疲労破壊が懸念され、結果として排ガス経路部材の設計変更も必要になる。しかも、オーステナイト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼に比較して高価な材料であることから、建設コストを上昇させる原因となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Nb系金属間化合物の析出に由来する析出強化が長時間時効後に消失することを所定量のCu添加で防止することにより、燃焼排ガス温度が1400〜1500℃級の発電プラントや産業用小型ガスタービンの出側以降に配置される排ガスダクト,排気サイレンサ等の排ガス経路部材として使用されるフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、その目的を達成するため、C:0.03質量%以下,Si:1.0質量%以下,Mn:1.5質量%以下,Ni:0.6質量%以下,Cr:11〜19質量%,Nb:0.21〜0.6質量%,Cu:1.0〜3.0質量%,Mo:0.81質量%以下,N:0.019質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつことを特徴とする。このフェライト系ステンレス鋼は、更にTi:1.0質量%以下,V:1.0質量%以下,W:3.0質量%以下,Zr:3.0質量%以下の1種又は2種以上を含むことができる。
【0008】
【作用】
本発明者等は、1300℃級複合サイクル発電プラントの排気ガスダクト材に適した材料とされている14Cr−Si−Nb鋼を用いて、600〜800℃の短時間時効から長時間時効後の析出形態を詳細に調査した。その結果、時効前にはNbが固溶状態にあり、固溶強化によって高温強度が改善されること、時効初期には一部のNbが金属間化合物として析出し、析出強化によって高温強度が保たれること、しかし長時間時効後には析出強化による影響が消失し、高温強度が低下することを解明した。
【0009】
そこで、フェライト系ステンレス鋼を長時間時効した後の高温強度に及ぼす種々の合金成分の影響を調査・研究した。その結果、長時間時効後に析出強化による影響が消失することは、時効によってFe及びNbを主体とする析出物が凝集・粗大化し,析出強化に有効な析出間距離を保てなくなることが原因であると考えられる。この点、所定量のCuを添加すると、Fe及びNbを主体とする析出物の凝集・粗大化が遅延し、Cu自体が時効と共にε−Cuとして微細に析出し、しかもその析出速度がFe−Nb系よりも非常に遅いため、析出強化の消失に起因した高温強度の低下が少なく、長時間時効後においても優れた高温特性が維持されることを見出した。高温強度の低下抑制に及ぼすCuの作用は、マトリックスへのNb析出に遅れてCuの析出が開始されるため、高温雰囲気に長時間曝されても析出効果が持続するものと推察される。
【0010】
Cu添加により組織安定性が改善されたフェライト系ステンレス鋼は、高温強度,耐高温酸化性等の耐熱性に加えて加工性,靭性,溶接性にも優れていることから、1400〜1500℃級の発電プラント用排ガス経路部材として使用可能であると考えられる。
【0011】
以下、本発明フェライト系ステンレス鋼に含まれる合金成分及び含有量を説明する。
C:0.03質量%以下,N:0.019質量%以下
C及びNは、一般的にはクリープ強度等の高温強度に対して有効な合金成分として扱われているが、含有量が多くなると酸化特性,加工性及び靭性が低下する。また、本発明フェライト系ステンレス鋼では、NbでC及びNを炭窒化物として固定しているが、C及びNの増加に伴ってC及びNの固定に多量のNbを必要とし、鋼材コストを上昇させることになる。したがって、C及びNは少ないほど好ましく、Cの上限を0.03質量%(好ましくは0.020質量%)、Nの上限を0.019質量%に設定した。
Si:1.0質量%以下高温酸化特性の改善に有効な合金成分であるが,過剰量のSiが含まれると材質が硬質化し、加工性及び靭性が低下する。そこで、Si含有量の上限を1.0質量%(好ましくは0.8質量%)に設定した。
【0012】
Mn:1.5質量%以下
フェライト系ステンレス鋼の高温酸化特性,特にスケール剥離性を改善する合金成分であるが、過剰量のMnが含まれると加工性及び溶接性が低下する。オーステナイト相安定化元素であるため、Mnの過剰添加はマルテンサイト相を生成させ、加工性を劣化させる原因になる。このようなことから、Mn含有量の上限を1.5質量%(好ましくは1.0質量%)に設定した。
Ni:0.6質量%以下
オーステナイト相安定化元素であるため、フェライト系ステンレス鋼に過剰添加するとMnと同様にマルテンサイト相を生成し、加工性が低下する。また、原料価格も高いことから、Niの過剰添加を避けるべきである。そこで、Ni含有量の上限を0.6質量(好ましくは0.5質量%)に設定した。
【0013】
Cr:11〜19質量%
フェライト相を安定させると共に、高温材料で重要視される耐酸化性の改善に不可欠な合金成分である。Cr含有量が多いほど耐酸化性は向上するが、過剰量のCr添加は材質の脆化を招き、硬さも上昇し、加工性を劣化させる。したがって、Cr含有量を11〜19質量%(好ましくは16〜19質量%)の範囲に定めた。
Nb:0.21〜0.6質量%
加工性や靭性に悪影響を及ぼすC及びNを炭窒化物として固定すると共に、固溶強化及び析出強化によって高温強度を改善する合金成分である。しかし、過剰量のNb添加は、溶接高温割れ感受性を高くする。そこで、溶接高温割れ感受性に大きな影響を及ぼすことがないように、Nb含有量の上限を0.6質量%(好ましくは0.55質量%)に設定した。
【0014】
Cu:1.0〜3.0質量%
高温強度の改善に有効な合金成分である。添加されたCuは、時効前の段階ではマトリックスに全量固溶しており、時効初期から長時間時効になるに応じてNbよりも遅い速度で析出する。Cuの遅い析出は、Nb単独を添加したフェライト系ステンレス鋼に比較して長時間加熱された後でも優れた高温強度が維持される原因である。長時間にわたって優れた高温強度を維持する上では1.0質量%以上のCu含有量が必要であるが、加工性及び靭性の低下を防止するためにCu含有量の上限を3.0質量%に設定した。好ましいCu含有量の範囲は、1.0〜2.0質量%である。
【0015】
Mo:0.81質量%以下,Ti:1.0質量%以下,V:1.0質量%以下W:3.0質量%以下,Zr:3.0質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、高温強度の改善に寄与する。Mo,Ti,V,W及びZrは、単独でも或いは2種以上を複合して添加してもよい。しかし、Mo,Ti,V,W,Zrの過剰添加は、原料コストを上昇させるばかりか、フェライト系ステンレス鋼を硬質化する。そこで、Mo,Ti,V,W,Zrを添加する場合、単独ではそれぞれMo:0.81質量%以下,Ti:1.0質量%以下(0.1〜0.5質量%),V:1.0質量%以下(0.1〜0.5質量%),W:3.0質量%以下(好ましくは0.1〜2.0質量%)の範囲で、合計量としては0.1〜2.0質量%の範囲で添加する。
【0016】
前掲した成分以外では、不純物元素であるP,S,O等は、P:0.04質量%以下,S:0.03質量%以下,O:0.02質量%以下で可能な限り低減することが好ましい。P,S,O等の不純物含有量を更に厳しく規制すると、より高いレベルで加工性や靭性が確保される。また、耐熱性改善に有効なAl,Y,REM(希土類元素)や、熱間加工性及び靭性の改善に有効なCa,Mg,B,Co等も必要に応じて適宜添加できる。
【0017】
本発明に従ったフェライト系ステンレス鋼は、製造方法に特段の制約が加わるものではないが、熱延焼鈍板のままで優れた耐熱性を発現するようにCuを予め固溶させておく製造方法が好ましい。熱延のみで所定板厚の鋼板を製造できない場合、冷延及び焼鈍を1回又は複数回繰り返すことにより、熱延焼鈍板と同等の耐熱性を呈する鋼板が得られる。優れた高温強度及び耐熱性は、鋼板を所定形状に加工し溶接した後でも維持される。
【0018】
【実施例1】
18Cr−0.4Nb鋼を基本組成とし、Cu含有量を種々変更したフェライト系ステンレス鋼の高温強度及び靭性を調査し、高温強度特性及び靭性に及ぼすCu含有量の影響を調査した。
高温強度特性は700℃のクリープ試験、靭性は700℃時効材のシャルピー衝撃試験で評価した。700℃クリープ試験では、700℃で種々の応力を加えるクリープ破断試験を行い、1000時間の破断強さを求めた。シャルピー衝撃試験では、板厚2.0mmの冷延焼鈍板を700℃で1000時間時効した後、0℃でシャルピー衝撃値を求めた。
【0019】
図1の調査結果にみられるように、700℃でのクリープ破断強度は、Cu含有量の増加に伴って急激に上昇し、1.0質量%以上のCu添加で約36N/mm2になっていた。この値は、1300℃級発電プラントの高温部で使用されている14Cr−Si−Nb鋼の約2倍,低温部で使用されているSUH409鋼の4倍以上の破断強度に相当する。700℃でのクリープ破断強度は,時間経過によって異なるものの、1000時間の破断強度でみると1.0質量%以上のCu添加によって14Cr−Si−Nb鋼の1.5倍以上を満足している。
【0020】
他方、700℃時効材のシャルピー衝撃値は、Cu含有量の増加に応じて低下し、Cu含有量が3.0質量%を超えると低下傾向が大きくなっていた。本発明者等は、14Cr−Si−Nb鋼を600〜900℃で時効した後のシャルピー衝撃値を詳細に別途検討しており,板厚2.0mmの場合には当該温度域で長時間時効しても40J/cm2以上のシャルピー衝撃値が維持されることを確認している。この点、Cu含有量を3.0質量%以下に規制したフェライト系ステンレス鋼では、14Cr−Si−Nb鋼と比較して、より優れた靭性が得られている。
【0021】
また、時効前の室温における伸び(図1で、各プロットに付した数値:%)をみると、Cu含有量の増加に伴って室温での伸びが低下している。排ガス経路部材用に使用されるフェライト系ステンレス鋼として十分な加工性を得るために少なくとも30%以上の伸びが必要であるが、Cu含有量を3.0質量%以下に規制することにより30%以上の伸びが得られている。
以上の結果から、1.0〜3.0質量%の範囲でCuをNb添加フェライト系ステンレス鋼に含有させることにより、700℃でのクリープ破断強度が大幅に改善され、しかも良好な靭性及び加工性が確保されることが確認された。
【0022】
【実施例2】
表1に示した組成の各種ステンレス鋼を真空溶解炉で溶製し、30kgのインゴットに鋳造した。表中、試験番号1〜14は本発明鋼,試験番号15〜18は比較鋼である。比較鋼のうち、試験番号19はSUH409に相当し,試験番号20は1100〜1300℃級のLNGコンバインドサイクル発電プラントの排ガスダクト部材に使用されている14Cr−Si−Nb鋼である。
【0023】
Figure 0004390169
【0024】
各インゴットを丸棒に鍛造し、焼鈍した後でクリープ破断試験に供した。一部のインゴットについては、板に鍛造し、熱間圧延,焼鈍,冷間圧延を経て仕上げ焼鈍を施し,板厚2.0mmの冷延焼鈍板を製造した。得られた冷延焼鈍板から試験片を切り出し、酸化試験及び室温引張試験に供した。更に、冷延焼鈍板を700℃に1000時間加熱した後、シャルピー衝撃試験で靭性を調査した。
クリープ破断試験は、JIS Z2272に準拠し、700℃の高温雰囲気に試験片を置き、試験中に付与する応力を試験ごとに変化させ、最長破断時間が1万時間程度となるようにクリープ破断曲線を作成し、1000時間の破断強度、すなわちクリープ破断曲線で破断時間が1000時間となるときの負荷応力を求めた。
【0025】
高温酸化試験は、JIS Z2281に準拠し、700℃で1000時間連続加熱した。試験後に試験片表面を観察した。
シャルピー衝撃試験は、JIS Z2242に準拠し、700℃で1000時間時効した冷延焼鈍板を板厚2.0mmのサブサイズ試験片に加工し、0℃におけるシャルピー衝撃値を求めた。
室温引張試験は、JIS Z2241に準拠し、板厚2.0mmの冷延焼鈍板から切り出した13B号試験片を用いて引張試験後の破断伸びを測定した。
調査結果を表2に示す。なお、何れの試験片でも、700℃×1000時間加熱後に異常酸化(板厚方向に貫通するこぶ状の厚い酸化物の発生)は検出されなかった。
【0026】
表2にみられるように、試験番号1〜14(本発明例)のフェライト系ステンレス鋼は、何れも700℃×1000時間のクリープ破断強度が試験番号19,20(従来鋼)よりも優れていた。700℃×1000時間連続酸化した後の外観,700℃×1000時間時効後のシャルピー衝撃値(0℃)及び室温引張試験による破断伸びは,従来鋼と同程度の値を示している。このことから、本発明に従ったフェライト系ステンレス鋼は、加工性及び長時間加熱後の低温靭性を確保しつつ、優れた耐熱性及び高温強度を示すことが判る。したがって、耐熱性,加工性及び長時間加熱後の組織安定性(低温靭性)等、ガスタービンの排ガス経路部材に要求される特性を高レベルで満足する材料として使用される。
【0027】
他方、Cu含有量が少ない試験番号15,19,20(比較例)は、加工性及び長時間加熱後の靭性が十分なレベルにあるものの、700℃でのクリープ破断強度に劣っている。過剰のCuを含む試験番号16(比較例)は、700℃でのクリープ破断強度が良好であるものの、加工性及び長時間加熱後の低温靭性が従来鋼に比較して大幅に劣っている。そのため、製品加工が十分にできず、靭性不足に起因した不具合が使用中に発生する虞がある鋼種といえる。また、Cu含有量が本発明で規定した範囲にあっても、本発明で規定した範囲をSi含有量が外れる試験番号17(比較例)やNb含有量が外れる試験番号18(比較例)では、700℃でのクリープ破断強度が良好であるものの、加工性及び長時間加熱後の低温靭性が劣っている。
【0028】
Figure 0004390169
【0029】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、Nb添加鋼に所定量のCuを添加することにより、長時間加熱された後でも析出強化による高い高温強度を持続させ、しかも良好な加工性を確保すると共に長時間加熱後の靭性低下を抑制している。そのため、優れた耐熱性,加工性及び低温靭性を活用し、燃焼排ガス温度の上昇が進められている発電用プラントのガスタービンや産業用小型ガスタービン等の出側以降に配置される排気ディフューザ,排気ダクト,排気サイレンサ,脱硝装置等の排ガス経路部材に好適な材料として使用可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クリープ破断強度及び時効後の低温靭性に及ぼすCu含有量の影響を表したグラフ

Claims (2)

  1. C:0.03質量%以下,Si:1.0質量%以下,Mn:1.5質量%以下,Ni:0.6質量%以下,Cr:11〜19質量%,Nb:0.21〜0.6質量%,Cu:1.0〜3.0質量%,Mo:0.81質量%以下,N:0.019質量%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物の組成をもつガスタービンの排気ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼。
  2. 更にTi:1.0質量%以下,V:1.0質量%以下,W:3.0質量%以下,Zr:3.0質量%以下の1種又は2種以上を含む請求項1記載のガスタービンの排気ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼。
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