<構成>
図1はこの発明の一の実施の形態に係る電線組付指示検査装置を示す外観斜視図、図2は同じくその概要を示すブロック図である。
この電線組付指示検査装置は、ワイヤーハーネスのサブアセンブリ(ワイヤーハーネスの一部を構成する部分ワイヤーハーネス)の製造工程等において、単一の装置構成で、サブアセンブリを構成する電線の両端部のそれぞれに対するコネクタの適正な組付け位置を指示案内及び検査を実施するとともに、各電線の両端部の電気的導通をも併せて検知するものであって、図1の如く、同図中の奥側から手前側に種類の異なる複数の電線をそれぞれ種類毎に分類して横設し準備するための複数の樋状の電線供給部(電線供給手段)31と、この複数の電線供給部31に1対1に対応づけられて配置された指示LED(指示ランプ)32と、電線が組付けられるコネクタ(図4中の符号Cn参照)を設置し当該コネクタCnの各挿入孔(キャビティ)(図4中の符号Cab参照)に各電線が挿入されたか否かを検知するための複数の電線挿入検知治具33と、これらの電気的制御を司る制御ユニット(制御手段)34と、サブアセンブリの品番を押しボタン操作で切り替えるための品種番号切替板(組合せ選択指示手段)36とを備えており、これらが所定の設置台35上に設置されて一体的に構成されたものである。
ここで、電線供給部31は、複数の供給樋31aが奥側から手前側にかけて下り傾斜状に設置され、奥側の複数の供給樋31aのそれぞれに電線を載置したときに、この電線が手前側に滑り落ちて端壁31cに当接し、この端壁31cに当接した電線の先端を、供給樋31aの上面開口31bから取り出しできるようになっている。各上面開口31bの近傍には、この各上面開口31bに1対1で対応づけられた指示LED32が配置されている。
そして、電線組付指示検査装置は、図2の如く、電線挿入検知治具33に設置された後述のプローブ41の電圧レベルを制御ユニット34に入力し、かかる電圧レベルの変化を当該制御ユニット34内の検知信号入出力回路42を介してCPU43に与えることで、電線挿入検知治具33に設置されたコネクタCnの各キャビティ(図4中の符号Cab)に電線が設置されているか否かを検知できるようになっており、また、制御ユニット34内のCPU43は、各種駆動回路44,45,46を駆動制御することで、電線挿入検知治具33に設置された後述の案内(ポイントガイド)LED48と、各電線供給部31に対応づけられた指示LED32と、制御ユニット34に設置されたブザー(音声出力手段)49とを駆動するようになっている。
ここで、電線挿入検知治具33の一例の斜視図を図3に、その断面図を図4にそれぞれ示す。尚、図3では、案内LED48が開口52の周囲に一列ずつ配置されているのに対し、図4では、開口52の図中左隣側に二列に配列されているという違いがあるが、後述のように案内LED48が開口52内のプローブ41に分かりやすく対応づけられるものであれば、いずれのレイアウト構成を採用してもよい。
この電線挿入検知治具33は、作業台35からフレーム35aを用いて電線供給部31の上方に配置された固定板35b(図1参照)の上に複数個設置されている。複数個の電線挿入検知治具33が設置されているのは、電線の一端部(「A端」と称す)を1個の電線挿入検知治具33内に装着したコネクタCn(図4参照)に組付けた後、そのままの状態で電線の他端部(「B端」と称す)を他の電線挿入検知治具33内に装着したコネクタCn(図4参照)に組付けるためである。尚、サブアセンブリの品種番号によっては、電線の一方の端部が上記コネクタと異なる他のコネクタに接続されて3個のコネクタを有する場合があるため、これを考慮して3個の電線挿入検知治具33を固定板35b上に設置しておくことが望ましい。
各電線挿入検知治具33は、図3及び図4の如く、治具本体51の上面にコネクタCnを設置するための開口52が形成されている。この開口52の底部には、図4の如く、スルーホール53が形成された基板54が固着され、この基板54のスルーホール53に複数のプローブ41が嵌入されている。この複数のプローブ41は、コネクタCnに対する電線の組付け位置(各キャビティCab)に対応して配置され、これにより、この電線挿入検知治具33にコネクタCnを設置し、このコネクタCnのいずれかのキャビティCabに電線を組付けたときに、電線の先端部が当該キャビティCab内のプローブ41の上端部(先端ヘッド66)に当接するようになっている。そして、このプローブ41を嵌入する基板54において、スルーホール53のプローブ41に対する接触面から基板54の上下の全面にかけては、導電性に優れた錫等の金属メッキ56が塗布されており、この金属メッキ56がプローブ41の外周部をなす導電性のバーレル55に密着するようになっている。この金属メッキ56は、所定の接地用リード線57を通じて接地され、これによりプローブ41のバーレル55は常にグランド電位に保持されるようになっている。
各プローブ41の構成を図5に示す。図5のように、このプローブ41は、金属材料が使用されたバーレル55内の貫通孔60の上部側に略桿状のプランジャー61が上方にはみ出して遊挿され、また、貫通孔60の下部側に略桿状のロッド62が遊挿されて構成されている。
プランジャー61の上半の上部桿67は、バーレル55内の貫通孔60の内周上端部に固着された樹脂等の電気的絶縁材料からなる筒状のストッパ64内に遊嵌されており、またプランジャー61の下半の下部桿68は、バーレル55内の貫通孔60の内周中部に固着された樹脂製等の電気的絶縁性の略筒状の案内筒69内に遊嵌されており、これにより、プランジャー61は、バーレル55に電気的に導通することなく、その内部の貫通孔60の上半で上下方向に遊動自在とされている。そして、プランジャー61の中腹部には、バネ受け部65が径外方向へ張り出し形成されており、このバネ受け部65が、バーレル55内に固着された案内筒69のフランジ69aに支持された巻きバネ等の付勢部材63によって上方へ付勢されている。この付勢部材63の付勢力により、プランジャー61のバネ受け部65は、その自然状態において、バーレル55の上端に固定された電気的絶縁性の筒状のストッパ64の下端に当接されるようになっており、これにより、プランジャー61の上部に形成された先端ヘッド66が電線により下側へ押し込まれない限り、プランジャー61の上部桿67はバーレル55の上端にはみ出した状態に保持される。
ロッド62は、バーレル55内の貫通孔60の内周下部に固着された樹脂等の電気的絶縁材料からなる環状の絶縁カラー71,72内に遊嵌されており、これにより、ロッド62は、バーレル55に電気的に導通することなく、その内部の貫通孔60の下半で上下方向に遊動自在とされている。そして、ロッド62の上端には、バネ受け部73が径外方向へ張り出し形成されており、このバネ受け部73が、上側の絶縁カラー71に支持された巻きバネ等の付勢部材74によって上方へ付勢されている。この付勢部材74の付勢力により、ロッド62のバネ受け部73は、その自然状態において、バーレル55の内周に電気的に導通されて固着された導電性の筒状の接触子(ストッパ)75の下端に着脱自在に当接されるようになっており、これにより、ロッド62のバネ受け部73がプランジャー61の下端61aによって下側へ押し込まれない限り、ロッド62は、接触子(ストッパ)75を通じてのバーレル55に対する電気的導通が保持されることになる。尚、図5中の符号77は、ロッド62の下端部を外部接続用のリード線(図4中の符号78参照)に半田付け等により接続するための接続筒を示しており、この接続筒77はバーレル55より下方にはみ出された絶縁カラー72の下端にのみ固定されることで、バーレル55との電気的導通が絶たれているものである。
かかる構成により、このプローブ41は、自然状態において、プランジャー61のバネ受け部65が付勢部材63により上方へ付勢され、従ってその下方のロッド62も自然状態に保たれ、よってロッド62のバネ受け部73が付勢部材74により上方へ付勢されて、ロッド62が導電性の接触子75に接触してバーレル55の接地電位(第1の電位)に保持されるようになっている。一方、電線挿入検知治具33の上面の開口52において、電線の端部がコネクタCnのキャビティCabに組付けられてプローブ41のプランジャー61の先端ヘッド66を下側へ押圧したときには、プランジャー61の下端61aによってロッド62のバネ受け部73が下側へ押し込まれ、これによりロッド62と接触子75とは離間し、よってロッド62とバーレル55との電気的導通が解除されるようになっている。尚、このプローブ41のロッド62の下端部は、図2の如く、外部接続用のリード線78にて引き出されて、プルアップ抵抗79に接続されるとともに、このプルアップ抵抗79との接続点が、検知信号入出力回路42を通じてCPU43側に接続されている。この構成により、電線が各プローブ41の先端ヘッド66に当接しない限り、プローブ41が自然状態に保持されてバーレル55の接地電圧に保持されて、検知信号入出力回路42を介して入力されるCPU43への信号はロー信号となる。一方、電線が各プローブ41の先端ヘッド66に当接したときには、接地状態のバーレル55に対するプローブ41の電気的導通状態が解除され、よって検知信号入出力回路42を介して入力されるCPU43への信号はハイ信号となる。
また、電線挿入検知治具33の一側面には、接続片80を介して基板54の金属メッキ56及び接地用リード線57に接続されるタッチ板81が備え付けられており、作業者は、このタッチ板81に電線の端部を接触させることで、いつでも電線を接地(ロー)電位(第1の電位)に降圧できるようになっている。したがって、電線のA端が一の電線挿入検知治具33内のプローブ41に当接してハイ状態(第2の電位)になっているときに、反対側のB端をタッチ板81へ接触させることで、いつでも電線全体をハイ状態からロー状態(第1の電位)に立ち下げることができ、この動作により、作業者が任意に選択した電線をCPU43に容易に認識させることができる。
さらに、電線挿入検知治具33の上面の開口52の隣接部分には、開口52内の複数のプローブ41に対応づけられた複数の案内LED48が配置されており、各案内LED48は、外部引き出しリード線87及び図2に示した制御ユニット34内の駆動回路44に接続され、CPU43での駆動制御に従って点消灯又点滅駆動を行うようになっている。
尚、図3及び図4中の符号84は、開口52内にコネクタCnを収納した際にコネクタCnの上方への抜けを防止するロックを示しており、一定の弾性を有する基部84aの中腹部が電線挿入検知治具33によって回転軸85周りに回動自在に支持され、基部84aの下部が巻きバネ等の付勢部材86により矢示方向X1に付勢されることで、ロック84の上端に形成された略楔形の爪部84bの先端が開口52の上面の一部に被さるようになっている。また、爪部84bの少なくとも開口52に被さる部分の上面は、開口52に向かって下向きに傾斜したテーパ面84cが形成されており、上方からコネクタCnをテーパ面84cに当接させてさらに下側へ押圧したときに、爪部84bが開口52から離脱するように基部84aが湾曲されるとともに付勢部材86が圧縮され、これによりコネクタCnの開口52への装着を許すようになっており、また、コネクタCnの開口52への装着が完了し、爪部84b先端部の下側にコネクタCnが回り込んだ時点で、基部84aの弾性復元力及び付勢部材86の付勢力により再び爪部84bの先端が開口52内のコネクタCnの上面の一部に被さり、これによりコネクタCnの上方への抜けが防止されるようになっている。
次に、制御ユニット34について説明する。
この制御ユニット34は、各種サブアセンブリの品種番号(品番)毎に、電線の両端部(A端及びB端)のコネクタ中での組付け位置(即ち前述の電線のプローブ41との対応関係)についての情報が予め不揮発性メモリ(図2中の符号Mr:記憶手段)内に記憶登録されており、実作業としてのA端及びB端の組付け工程及び導通検査工程を、この制御ユニット34内で記憶登録された情報に基づいて、効率的に実行するようにしたものである。
ここで、当該制御ユニット34は、その前面部の下端に連結片34a(図1)が固定され、この連結片34aが電線挿入検知治具33を設置している固定板35bの上端に固定されて片持ち支持されている。また、制御ユニット34の背面部の下端は、電線供給部31の供給樋31aの上端に載置される。
制御ユニット34の前面部は、この電線組付指示検査装置全体の操作を行う操作パネルとなっており、図6の如く、種々の操作スイッチ90〜96と、ブザー49と、このブザー49の鳴動音量を調整する音量調整ネジ97と、ブザー49の鳴動周波数(音色)を調整する音色調整ネジ98と、サブアセンブリの組付けに対する検査で合格した場合に点灯する合格ランプ(合格LED)99と、所定のペダルスイッチ(図示せず)を接続するペダル接続端子100と、後述の品種番号切替板36を接続するための接続ポート135とが設置されている。尚、音量調整ネジ97及び音色調整ネジ98は、ブザー49のブザー音を変更する音声変更手段として併せて機能するものである。
ここで、操作スイッチ90〜96のうち、操作スイッチ90は主電源スイッチ、操作スイッチ91はサブアセンブリの品種番号(以下「品番」と略称する)毎にデータ登録するデータ登録モードとそのサブアセンブリに対する電線のコネクタへの組付け案内及び検査を行う実作業モードとを切り替えるためのモード切替スイッチである。また、操作スイッチ93は、品番の登録を行う際に、電線供給部31内の複数の供給樋31a及び指示LED32(図1)や電線挿入検知治具33内の電線組み込み位置(図4中のプローブ41設置位置)及び案内LED48等を作業者によって順送りに変更して特定を行うための送りスイッチである。さらに、操作スイッチ92は、品番の登録を行う際に、送りスイッチ93で順送りにする対象を、電線供給部31(指示LED32(図1)等)や電線挿入検知治具33(案内LED48)等に切り替えるための切換スイッチである。また、操作スイッチ94は、電線供給部31の供給樋31aに対応づけるなどして一旦登録した品番を消去したり、又は作業順番や供給樋31aへの対応付けを入れ替えて変更したりするための変更スイッチである。さらに、操作スイッチ95は、変更スイッチ94等で設定した内容の確認ボタンとしてのセットスイッチである。また、操作スイッチ96は、セットスイッチ95で確認された内容を、EEPROMやフラッシュメモリ等の図2に示した不揮発性メモリMrに記憶するための記憶スイッチである。
また、ペダル接続端子100に接続されるペダルスイッチ(自動手動切替指示手段:図示せず)は、この電線組付指示検査装置の手動モードと自動モードとを切り替えるもので、実作業を行っている場合など、どのような場合であっても、作業者がこのペダルスイッチを押し操作することで、強制的に手動での検査(手動モード)を開始できるようにするとともに、逆に<A端の組付け工程>、<B端の組付け工程>及び<導通検査工程>といった自動的な実作業(自動モード)にいつでも切り替えることが可能となるものである。例えば、実作業の途中で休憩が挿入されたような場合に、休憩が終了して仕事を再開しようとしたときに、どの工程の途中であったか忘れてしまったような場合に、ペダルスイッチを押すことで検査が開始され、その結果として、実作業がどこまで進んだかを指示LED32の点灯状態などから判断する際に利用されるものである。
次に、制御ユニット34の背面部を説明すると、図7の如く、電線組付指示検査装置の各部に接続するための接続端子群(ポート)が設置されており、具体的には、電線挿入検知治具33の各案内LED48のアノード側に例えば5ボルトの電源を供給する案内LED用電源ポート101と、この案内LED48のカソード側で点消灯のためのスイッチ切り替えを行う案内LED駆動切替用ポート102と、電線挿入検知治具33の各プローブ41の各ロッド62に接続されるプローブ用インタフェースポート103と、電線供給部31側の指示LED32に接続される指示LED用電源ポート104及び指示LED駆動切替用ポート105とを備える。このうち、案内LED用電源ポート101、案内LED駆動切替用ポート102及びプローブ用インタフェースポート103は例えば60ピン、指示LED用電源ポート104及び指示LED駆動切替用ポート105は例えば40ピンの仕様とされている。尚、符号106は、サブアセンブリの組付けに対する検査で合格した場合に、「合格スタンプ」等のマーキングを行うスタンパ(図示せず)等の外部装置に出力信号を出力する2個の合格出力端子、107は商用電源接続用のACアダプタが接続される電源端子、108は接地用リード線57を通じて基板54の金属メッキ56及びタッチ板81を接地するために接続されるアース接続端子をそれぞれ示している。
図8は、制御ユニット34内のCPU43の機能構成を示す機能ブロック図である。このCPU43は、メモリMr(図2参照)内に予め格納された所定のソフトウェアプログラムに従って動作するもので、図8の如く、検知信号入出力回路42から入力された信号に基づいて各プローブ41のロッド62の電圧状態(ハイ状態またはロー状態)を検知するプローブ検知部111と、駆動回路45を用いて指示LED32の点消灯及び点滅の制御を司る指示LED点灯制御部112と、駆動回路44を用いて案内LED48の点消灯及び点滅の制御を司る案内LED点灯制御部113と、検知信号入出力回路42に信号を出力して各プローブ41のロッド62の電圧状態(ハイ状態またはロー状態)を切り替えるプローブ電圧切替部114と、モード切替スイッチ91での押し操作に基づいてデータ登録モードと実作業モードとを切り替えるモード切替部115と、このモード切替部115で実作業モードに切り替えられた場合に、作業者の指定した品番のサブアセンブリについて、後述の<A端の組付け工程>及び<B端の組付け工程>を繰り返し実行して電線の各端部(端子)の組付け位置の指示・案内を行い、最後に後述の<導通検査工程>を順次実行する組付案内検査部116と、モード切替部115でデータ登録モードに切り替えられた場合に、後述の<データ登録工程>を実行するデータ登録部117と、図6に示したペダル接続端子100に接続されるペダルスイッチ119での押し操作に基づいて後述の<手動検査工程>を実行する手動検査部118とを備える。
ここで、組付案内検査部116、データ登録部117及び手動検査部118は、プローブ検知部111での各プローブ41の電圧の状態の検知、指示LED点灯制御部112及び案内LED点灯制御部113での各LED32,48の点消灯及び点滅制御等を実行しながら、それぞれの機能を発揮するようになっている。また、組付案内検査部116は、後述の<A端の組付け工程>を実行するA端指示案内部(第1の指示案内部)121と、後述の<B端の組付け工程>を実行するB端指示案内部(第2の指示案内部)122と、後述の<導通検査工程>を実行する導通検査部123とを備えており、1個の品番に係るサブアセンブリの各コネクタに全ての必要な電線を組付けるまで、A端指示案内部121での処理とB端指示案内部122での処理を繰り返して実行し、これが終了した時点で、最終確認としての導通検査部123での処理を行うようになっている。
尚、これらのCPU43内の各機能要素111〜123は、全てソフトウェアプログラム内のサブプログラム、サブルーチンまたは所定のプログラム中の各部分として定義されるものであり、個々の詳細な動作機能は、<A端の組付け工程>、<B端の組付け工程>、<導通検査工程>及び<データ登録工程>の説明において後述するため、ここでの説明を省略する。
制御ユニット34の前面部に設置された音量調整ネジ97及び音色調整ネジ98は、これを回転調整することで、ブザー49の鳴動音量及び鳴動周波数(音色)を変更するためのものであり、この電線組付指示検査装置が互いに近接配置された場合に、これらの間でブザー音を互いに異なるように変更して識別可能とすることで、これらの混同を防止するために使用されるものである。
品種番号切替板36は、複数の品種(例えば16種類の品種)を切り替えることが可能となっており、具体的には、図9の如く、品番を記した紙製の番号片を切替板本体131の上面に設置された複数のホルダ132のそれぞれに差し替え可能に差し込んで品番リストを構成しておき、この品番リストをなしたホルダ132内の番号片に記された品番を見て、その左隣にそれぞれ配置された押しボタン式の品番スイッチ133のひとつを押し操作することで、作業者が意図する品番を指定できるようになっている。ここで、品番スイッチ133は赤色または黄色等の透光性樹脂で構成され、裏面側にLED等の発光素子(図示せず)が設置されている。そして、品番スイッチ133を押し操作したときには、即座に裏面の発光素子が発光し、品番スイッチ133自身が裏面照明を受けて発光することで、作業者に指定されている品番を発光表示するようになっている。尚、この品種番号切替板36は、制御ユニット34の前面部に設置された接続ポート135(図6)に対して、図10に示したフラットケーブル136を用いて接続される。
尚、この電線組付指示検査装置は、予定した電線の本数が多い場合で、特に1台の電線組付指示検査装置で全ての電線を網羅できない場合に、複数の電線組付指示検査装置を直列的に接続して連結使用することで、取り扱うことのできるコネクタ及び電線の本数を大幅に増大できるようになっている。具体的には、制御ユニット34の背面部に設置された合格出力端子106から、その制御ユニット34が担当する全ての電線の組付けに対する検査で合格した旨の信号が出力されることを利用して、図11の如く、一の電線組付指示検査装置の制御ユニット34Aに設置された2個の合格出力端子106のうち、一方を別の電線組付指示検査装置のプローブ用インタフェースポート103のうちの1個の接続ピン103aに接続し、他方を当該別の電線組付指示検査装置のアース接続端子108に接続するなどするようになっている。この場合、前段に連結された電線組付指示検査装置の検査が全て合格したことと、後段に接続された電線組付指示検査装置の検査が全て合格したことの論理積をとり、最終段の電線組付指示検査装置から合格した旨を出力することで、一度に複数台の電線組付指示検査装置での検査結果が全て合格した旨を出力することが可能である。尚、例えばプローブ用インタフェースポート103が60個の接続ピンを有する構成となっている場合、2台目以降に連結される電線組付指示検査装置については、プローブ用インタフェースポート103の60個の接続ピンのうちの1個は犠牲になるものの、59ピンずつ追加して検査を実施できるという利点がある。
尚、図1中の符号139は作業予定等を記載したメモ等をマグネットやクリップ等で掲示しておく掲示板を示している。
<動作>
上記構成の電線組付指示検査装置にあっては、ワイヤーハーネスのサブアセンブリの製造工程において、複数のコネクタに対し各電線を一括して組み付けて同時に検査を実施可能とするもので、作業者に取り出すべき電線を指示LED32で順次指示する一方、電線の各端子の挿入すべきコネクタ内の位置を案内(ポイントガイド)LED48でそれぞれ指示することにより配列違いによる不良を未然に防ぐとともに、正しく挿入されたかどうかを電気的導通により検査するようにし、これにより工数が増えることなく工程内品質保証を達成する。以下に、この電線組付指示検査装置の使用方法を説明する。
まず、動作の詳細を説明する前に、全体的な動作の流れを簡単に説明する。理解を容易にするために、ここではワイヤーハーネスのサブアセンブリとして、図12に示すようなワイヤーハーネスの接続を行う場合を考える。このワイヤーハーネスでは、A端側コネクタ141の一のキャビティ(1)とB端側コネクタ142の一のキャビティ(2)とが1本の電線143で接続される。また、A端側コネクタ141の他のキャビティ(3)には他の電線144のA端が接続されるが、この電線144はB端側コネクタ142には接続されない。
この場合の作業手順は図13に示したタイミングチャートのようになる。即ち、未だ全てのプローブ41に対して電線の当接が全くない状態で作業を開始した場合に、まず始めに、図13中の符号T1の如く、このサブアセンブリで最初に取り出されるべき電線が準備された供給樋31aの指示LED32(図13中のLED−A)が点滅するとともに、このサブアセンブリで使用される他の全ての指示LED32(図13中のLED−B)が点灯する。これと同時に、A端側コネクタ141が装着されたA端側電線挿入検知治具33の一のキャビティ(1)に対応した案内LED48(図13中のLED(1))が点灯する。この時点では、プローブ41に対して電線が全く当接していないため、全てのプローブ41(図13中のI/O(1)〜I/O(3))はバーレル55の接地状態になってロー状態(第1の電位)が保持されている。
ここで、作業者が、時刻t1において、点灯された案内LED48(図13中のLED(1))に従い、図12中の1本の電線143のA端をコネクタ141のキャビティ(1)に組付ける。そうすると、当該電線143のA端に押し込まれたプローブ41についての図13中のI/O(1)がハイ状態(第2の電位)に立ち上がり、これに応じて、それまで点灯していた案内LED48(図13中のLED(1))が消灯する。これとほぼ同時に、次に挿入すべきA端側電線挿入検知治具33内のコネクタ141の一のキャビティ(3)(図12参照)に対応した案内LED48(図13中のLED(3))が点灯する。また、既に点滅していた指示LED32(図13中のLED−A)が消灯するとともに、次に取り出されるべき電線が準備された供給樋31aの指示LED32(図13中のLED−B)が点滅する。
この時点で、作業者は、かかる点灯に対応して、図12中のキャビティ(3)に別の電線144のA端を組付けても良いが、作業として既に進行している先の電線143を先ず完成させる方が便利な場合が多い。この場合には、作業者は、これより時間T2後の時刻t2において、先の電線143のB端をタッチ板81に接触させる。このタッチ板81は接地されているため、先の電線143は時刻t2においてロー状態に立ち下がり、これが当該電線143のA端に押し込まれたプローブ41についての図13中のI/O(1)に伝わってロー状態となる。制御ユニット34のCPU43はその旨を検知し、先の電線143のB端側電線挿入検知治具33内のコネクタ142の一のキャビティ(2)(図12参照)に対応した案内LED48(図13中のLED(2))が点滅する。作業者は、かかる案内LED48(図13中のLED(2))の点滅を見て、例えば時刻t3において、B端側電線挿入検知治具33内のコネクタ142の一のキャビティ(2)(図12参照)に先の電線143のB端を挿入する。当該キャビティ(2)内では、プローブ41が押し込まれることで、図13中のI/O(2)がハイ状態に立ち上がり、これに応じて、それまで点滅していた案内LED48(図13中のLED(2))が消灯する。
この間、図13中のLED(3)及びLED−Bは点灯状態及び点滅状態をそれぞれ維持しており、作業者は、次に点滅状態にある指示LED32(図13中のLED−B)に対応する供給樋31aから次の電線144を取り出して、例えば時刻t4において、図12中のキャビティ(3)に別の電線144のA端を挿入する。このとき、上記と同様にして、図13中のI/O(3)がハイ状態に立ち上がり、これに応じて、それまで点灯していた案内LED48(図13中のLED(3))が消灯するとともに、点滅していた指示LED32(図13中のLED−B)が消灯する。また、この場合は、図12に示した状態で合格を判断するため、作業者に合格を報知する。しかる後、例えば時刻t5において、完成した電線143,144及びコネクタ141,142からなるワイヤーハーネスを各電線挿入検知治具33から取り外す。
尚、ワイヤーハーネスの挿入指示案内についてのデータは、図12に示したものと同等の接続構成を有する所定のモデルハーネスを用いて、後述の<データ登録工程>を実行することで、基準サンプルにて吸い込みティーチングにてメモリMrに記憶するようになっており、この吸い込みティーチングによってデータ登録時の手間が軽減されるという利点がある。
以上の作業動作について、1本の電線についてA端とB端をそれぞれコネクタに組み付けた後、以降の電線について電線毎に同様の作業を行ってサブアセンブリを組み立てる場合の動作例を中心に詳述する。
<初期工程>
初期状態において、ここでは、図6に示した制御ユニット34の前面部に接地されたモード切替スイッチ91は、実作業モードに設定されているものとする。
まず、複数の電線挿入検知治具33のうち、A端を組付けるために用意された電線挿入検知治具33(以下「A端用電線挿入検知治具33」と称す)とB端を組付けるために用意された電線挿入検知治具33(以下「B端用電線挿入検知治具33」と称す)のそれぞれの開口52内に、組付けを行いたいコネクタCnをそれぞれ装着する。この際、図4の如く、電線挿入検知治具33の開口52に対し、コネクタCnをロック84のテーパ面84cへ上方からに当接させながら、さらに下側へ押圧する。このとき、ロック84の爪部84bが開口52から側方へ離脱するように基部84aが湾曲されるとともに付勢部材86が圧縮され、これによりコネクタCnの開口52への装着が許される。そのままコネクタCnを開口52へ装着していき、コネクタCnの上端がロック84の爪部84bの先端部の下側に回り込んだ時点で、基部84aの弾性復元力及び付勢部材86の付勢力により再び爪部84bの先端が開口52内のコネクタCnの上面の一部に被さり、これによりコネクタCnの上方への抜けが防止される。
次に、図6に示した制御ユニット34の前面部の主電源スイッチ90を押し操作して、主電源をオンにする(図14のフローチャート中のステップS01)。この際、制御ユニット34内のCPU43から図2中の駆動回路44,45に制御信号を送信して、電線供給部31側の各供給樋31aに対応付けられた全ての指示LED32と、全ての電線挿入検知治具33側の全ての案内LED48を、約2秒間だけ点灯させる。作業者は、この時点で、全てのLED32,48が点灯されているかどうかを確認することにより、ランプ切れ等のチェックを行うことができ、ランプ自身の異常を作業前に確実に発見することができる。尚、この際、品種番号切替板36(図9)の品番スイッチ133の裏面側に設置された発光素子は全て消灯状態にある。
次に、作業者は、図14中のステップS02の如く、組付けを行うサブアセンブリの品番が既に登録されているかどうかを判断する。この場合、品種番号切替板36(図9)のホルダ132内の番号片を見て、この番号片に品番がリストアップされている場合は既登録、リストアップされていなければ未登録と判断できる。また、この時点で品番スイッチ133を押しても、未登録の場合は裏面側の発光素子が点灯しないため、そのことをもって、作業者は未登録状態である旨を容易に確認できる。未登録の場合は、図14中のステップS03の如く、後述するデータ登録工程に従って品番を登録する。
ステップS03で品番を登録し、あるいはステップS02において既に既登録であった場合は、作業者は、図14中のステップS04の如く、品種番号切替板36において品番リストをなすホルダ132内の番号片に記された品番を見て、その左隣に配置された任意の品番スイッチ133を押し操作することで、作業を希望する品番を選択する。これにより、押し操作した品番スイッチ133の裏面の発光素子が発光し、その品番スイッチ133が裏面照明を受けて発光するとともに、その品番に応じたメモリMr内のプログラムが選択される。
そして、CPU43は、図14中のステップS05の如く、選択指示された品番で使用される全てのプローブ41が正常かどうかを判断する。電線挿入検知治具33内のプローブ41は、自然状態(電線が当接していない状態)では、図5の如く、プランジャー61のバネ受け部65が付勢部材63により上方へ付勢され、従ってその下方のロッド62も自然状態に保たれ、よってロッド62のバネ受け部73が付勢部材74により上方へ付勢されて、ロッド62が導電性の接触子75に接触してバーレル55と同じ接地電位(ロー状態)に保持される。したがって、この時点で、図2の如く、検知信号入出力回路42を通じてCPU43に入力された信号がハイ状態であれば、プローブ41が異常であると判断できるため、図14中のステップS06の如く、その異常なプローブ41に対応づけられた案内LED48を点灯させるとともに、ブザー49を鳴動して作業者に警報を行う。この際、作業者は、図14中のステップS07の如く、始業点検等の所定の手順に従って修理を行っておく。
以上の初期工程が終了した後、最初の電線について次の<A端の組付け工程>及び<B端の組付け工程>を順次実行する。
<A端の組付け工程>
ステップS08において、CPU43が駆動回路45を制御することで、その品番のサブアセンブリに使用される電線が収容されている全ての指示LED32のうち、選択した品番のサブアセンブリにおいてまず1番目(図14中のステップS08のブロック内におけるn=1)に組み付けるべき電線が準備された供給樋31aの指示LED32を点滅させる。また併せて、通常はその指定品番に使用される電線の種類が複数に亘るため、当該サブアセンブリに使用される全ての種類の電線が準備された全ての供給樋31aに係る指示LED32を点灯させる。そして、A端用電線挿入検知治具33の案内LED48のうち、当該最初の電線を組付けるべきコネクタCnのキャビティCab(図4参照)に対応する案内LED48のみを点灯させる。
作業者は、ステップS09の如く、点滅している単一の指示LED32を見て、これに対応する供給樋31a内の電線のA端を上面開口31bから引き出し、そのA端を、点灯しているA端用電線挿入検知治具33の案内LED48に対応した開口52内のコネクタCnのキャビティCabに挿入して組付ける。
そうすると、電線のA端が、図4及び図5に示したプローブ41の先端ヘッド66に当接し、これを下側に押圧する。このとき、プランジャー61は、バーレル55内で付勢部材63の付勢力に抗して下側に移動し、その下端61aがロッド62のバネ受け部73に当接し、これを下側に押圧する。ロッド62は、バーレル55内で付勢部材74の付勢力に抗して下側に移動し、これによりロッド62と接触子75とは離間し、よってロッド62とバーレル55との電気的導通が解除される。ところで、このプローブ41のロッド62の下端部は、図2の如く、外部接続用のリード線78にて引き出されて、プルアップ抵抗79を通じて例えば5ボルトの電源側に接続されているため、ロッド62は、接地電位のバーレル55からの電気的導通が解除されたことから、ロー状態からハイ状態に切り替わる。かかる電圧の変化は、検知信号入出力回路42を通じてCPU43に伝達され、CPU43はハイ状態(第2の電位)に立ち上がったプローブ41の位置に相当するコネクタCnのキャビティCabに電線のA端が挿入されて組付けられた旨を検知する(図15中のステップS10)。
ここで、CPU43は、メモリMr内に予め登録された情報に基づいて、図15中のステップS11,S12の如く、挿入された電線のA端の挿入位置をチェックする。即ち、CPU43が予期したプローブ41と異なるプローブ41がハイ状態に立ち上がった場合は、A端の組付け挿入位置が誤っている旨を判断し、CPU43は駆動回路46に所定の信号を送信して、ブザー49から「ピッピッピッ・・・」と断続的に短音のブザー音を繰り返し鳴動させ、図15中のステップS13の如く、A端の組付け挿入位置が誤っている旨を作業者に警報する。作業者は、かかる警報に応じて、図15中のステップS14の如く、A端の挿入位置を修正、ステップS10からの処理を再度実行する。
一方、CPU43がA端の組付け挿入位置が適正と判断したときは、図15中のステップS15に進み、CPU43は駆動回路44,45に所定の信号を送信して、それまで点滅していた指示LED32及び点灯していた案内LED48を消灯する。また、作業者が次にB端の組付けを行わずに別の電線のA端の組付けを行いたい場合を考慮し、次の電線が準備された供給樋31aの指示LED32を点滅させておく。また、次の案内LED48も案内点灯させる。
<B端の組付け工程>
ここでは、1本の電線のA端をコネクタに挿入した後、そのまま同一の電線のB端を他のコネクタCnに組み付ける場合について説明する。
尚、この時点で、コネクタCnが装着されたA端用電線挿入検知治具33では、電線のA端がプローブ41に当接しており、したがって、プローブ41のロッド62及びプランジャー61は、接地状態のバーレル55との電気的導通状態が絶たれている。また、プローブ41のロッド62及びプランジャー61は、図2のようにプルアップ抵抗79を通じて電源供給を受けているため、各プローブ41のロッド62はハイ状態が保持されており、CPU43には、この各ロッド62のハイ状態が検知信号入出力回路42を通じて入力されている。また、B端用電線挿入検知治具33内のプローブ41については、電線が当接していないため、自然状態となって、図5の如く、プランジャー61のバネ受け部65が付勢部材63により上方へ付勢され、従ってその下方のロッド62も自然状態に保たれ、よってロッド62のバネ受け部73が付勢部材74により上方へ付勢されて、ロッド62が導電性の接触子75に接触してバーレル55と同じ接地電位(ロー状態)に保持されている。
この状態で、作業者は、先のA端の組付けが完了した電線を任意に選択し、その選択した1本の電線のB端を図3及び図4に示したタッチ板81に接触させる。このタッチ板81は、図4の如く、接地用リード線57を通じて接地されているため、タッチ板81に接触された電線はロー状態に立ち下がる。そうすると、電線のA端に当接されたプランジャー61(図4及び図5参照)がロー状態に立ち下がり、よって、このプランジャー61に当接されたロッド62(図4及び図5参照)もロー状態に立ち下がる。
CPU43は、このA端用電線挿入検知治具33内のプローブ41の電圧の変化により、電線のB端がタッチ板81に接触されたかどうかを検知することができ(図15中のステップS16)、これにより作業者が任意に電線のB端の組付けを予定していることを認識するとともに、その予定している電線を特定する。
そして、CPU43は駆動回路44に所定の信号を送信して、図15中のステップS17の如く、その電線のB端を組付けるB端用電線挿入検知治具33の適正な組付け挿入位置に対応した案内LED48を点滅させる。この案内LED48の点滅は、作業者が電線のB端をタッチ板81から離脱させた後も継続して行う。即ち、作業者が電線のB端をタッチ板81から離脱させると、電線の接地状態が解除されるため、A端側に当接されたプローブ41のロッド62の電位は再びハイ状態に復帰し、CPU43はその旨を検知するが、駆動回路44を通じたB端用電線挿入検知治具33の1個の案内LED48の点滅は継続して行う。尚、これと並行して、2番目に組付けるべき電線のA端に対応するA端用電線挿入検知治具33の案内LED48は、消灯せずに点灯したままとしておく。
作業者は、このB端用電線挿入検知治具33において点滅された案内LED48を見て、これに対応したコネクタCnのキャビティCab内に電線のB端を挿入して組付ける。そうすると、B端用電線挿入検知治具33では、そのB端がプローブ41に当接してこれを下側へ押圧するため、プローブ41のロッド62及びプランジャー61とバーレル55との電気的導通状態が絶たれ、これによりプローブ41のロッド62は、初期的なロー状態からハイ状態に立ち上がる。かかるロッド62の電圧の変化は、検知信号入出力回路42を通じてCPU43に伝達され、CPU43はハイ状態に立ち上がったプローブ41の位置に相当するコネクタCnのキャビティCabに電線のB端が組付けられた旨を検知する(図15中のステップS18)。
ここで、図16中のステップS19,S20の如く、A端用電線挿入検知治具33側で挿入が検知されたプローブ41と、B端用電線挿入検知治具33側で挿入が検知されたプローブ41の対応関係をチェックする。そして、CPU43が予期したプローブ41と異なるプローブ41がハイ状態に立ち上がった場合は、B端の組付け挿入位置が誤っている旨を判断し、CPU43は駆動回路46に所定の信号を送信して、ブザー49から「ピッピッピッ・・・」と断続的に短音のブザー音を繰り返し鳴動させ、B端の組付け挿入位置が誤っている旨を作業者に警報する(図16中のステップS21)。この場合、作業者は、かかる警報に従ってB端の組付け挿入位置を修正する(図16中のステップS22)。
一方、CPU43がB端の組付け挿入位置が適正と判断したときは、CPU43は駆動回路44,45に所定の信号を送信して、その電線に対応してそれまで点滅していた指示LED32及び点灯していた案内LED48を消灯する。
尚、このときの案内及び検査の動作は、作業者がB端のタッチ板81への接触を怠った場合にも実行するものとし、この場合にB端が正常に挿入されていれば、そのまま次の自動導通検査の工程に移行する。
<繰り返し処理>
以上のA端の組付け工程及びB端の組付け工程を各電線毎に繰り返す。
即ち、CPU43は、次に使用する電線のA端をコネクタCnに組付けるように促すため、当該電線に係る供給樋31aの指示LED32を点滅させるとともに、これに対応するA端用電線挿入検知治具33内のコネクタCnのキャビティCabに対応する案内LED48が点灯指示する(図16中のステップS23)。作業者は、1番目の電線のときと同様にして、2番目の電線のA端を指示LED32及び案内LED48の表示に従ってコネクタCnの適正なキャビティCabに挿入する。そうすると、2番目の指示LED32と案内LED48が消灯する。しかる後、1番目の場合と同様にして、2番目の電線のB端の組付け工程を実行する。
同様にして、3番目以降の電線の組付け処理を行い、各電線挿入検知治具33内の1個のコネクタCnの全てのキャビティCab内に電線のA端及びB端を組付けるまで、ステップS09〜ステップS23までの動作を繰り返す(図16中のステップS24)。
このように、<A端の組付け工程>と<B端の組付け工程>とを電線毎に繰り返すことでサブアセンブリを完成させることが可能であるが、<B端の組付け工程>のステップS16においては、作業者が任意のタイミングで電線のB端をタッチ板81に接触させ、これを契機に<B端の組付け工程>が開始されるようになっているので、かかるB端のタッチ板81への接触を作業者が実行しない限り、B端の組付け工程は開始されない。そして、作業者は、このような動作に代えて、既に点滅している指示LED32に係る他の電線を供給樋31aから取り出し、既に点灯している案内LED48に対応するコネクタCnのキャビティCabに挿入することも可能である。この場合、CPU43は、ステップS16からの処理に代えて、ステップS10からの処理に強制的に移動し、他の電線のA端の組付けを選択することも可能である。このように、この実施の形態では、工程の作業順序を選ばない。したがって、所定のチューブ内に複数の電線をまとめて組み付けるような場合に、第1従来技術及び第2従来技術の両装置を併用する場合と同様に、先に全ての電線のA端側を一のコネクタに組付けた後に、全てのB端の組付けを行うことも可能であるし、逆に、上記のように一本の電線のA端とB端とを両コネクタに組付けた後、次の電線の両端を両コネクタに組付けるなど、電線単位での組付け処理も可能であり、作業者が自由に処理を選択して実作業できるという利点がある。
<導通検査工程>
次に、CPU43は、A端用電線挿入検知治具33内のコネクタCnに組付けられた電線のA端と、B端用電線挿入検知治具33内のコネクタCnに組付けられた電線のB端との導通検査を実施する(図16中のステップS25,S26)。尚、この導通検査を開始する時点では、各電線のA端又はB端はともに両側のコネクタ内でプローブ41に当接しているため、全ての電線が上述のようにバーレル55(図4及び図5参照)の接地状態から遮断されている。
ここで、CPU43が、例えばA端用電線挿入検知治具33側の各プローブ41の各ロッド62に接続された検知信号入出力回路42を制御し、電線のA端側に電気的に接続された各ロッド62をひとつずつ順番に接地状態に立ち下げる。そして、逆側のB端用電線挿入検知治具33の各プローブ41の各ロッド62の電圧状態を検知信号入出力回路42を通じてCPU43が確認を行い、A端側でハイ状態からロー状態に立ち下げた電線に対応するB端側のプローブ41のロッド62が、CPU43の予定した通りに適正にハイ状態からロー状態に立ち下がったかどうかを確認検査する。そして、この確認検査は、コネクタCnに組付けられた全ての電線について時間差で検出する。
ここで、ステップS26において、検査に不合格であった場合は、ステップS27に進み、ブザー49を「ピッピッピッ・・・」と断続的に短音のブザー音を繰り返し鳴動(不良ブザーを鳴動)させるとともに、不合格の原因となった電線のA端側及びB端側の両方の組付け挿入位置に対応する案内LED48を点滅させる。この場合、作業者は、これらに対応して、ステップS28の如く、所定の修正処理を行う。
ただし、上述の<A端の組付け工程>及び<B端の組付け工程>において、電線のコネクタCnへの組付け時点で適正な指示案内及び検査を既に実施しているため、指示案内通りの作業を実行して終了した場合は不合格になることはない。このため、この導通検査工程は最終的な導通確認の工程としての意味を持つものである。
一方、検査に合格したときには、ステップS29に進み、CPU43が駆動回路46を操作することで、ブザー49を「ピー」と長音鳴動(合格ブザーを鳴動)させるとともに、制御ユニット34の前面部の合格ランプ(合格LED)99を2秒間だけ点灯する。
<コネクタの取り外し工程>
次に、組付け及び検査が終了したコネクタCnを各電線挿入検知治具33から取り外す。
ここでは、まず図17中のステップS30の如く、指定品番に使用する電線挿入検知治具33の全ての案内LED48を点滅させる。作業者は、これを見て、コネクタCnごと電線挿入検知治具33から離脱させる。そうすると、全ての電線の端部が全てのプローブ41から離脱され、よってプローブ41のプランジャー61及びロッド62(図5参照)は自然状態となって接地状態(ロー状態)に立ち下がる。CPU43は、その旨を検知し(図17中のステップS31)、続いて、主電源スイッチ90がオフになっているかどうかを判断する(図17中のステップS32)。ここで、主電源スイッチ90がオフになっていない場合は、作業者が次のサブアセンブリについて組付け作業を継続する可能性が高いことから、自動的に処理ルーチンをリセットし(図17中のステップS33)、上記した図14中のステップS08へ戻り、このステップS08以降の処理を繰り返す。
<手動検査工程>
ここで、上記動作の途中で、手動で検査を実行したい場合には、図6中のペダル接続端子100に接続されるペダルスイッチ(図示せず)を例えば10秒以上押し、手動検査モードに切り替える。自動検査モードと手動検査モードとは、ペダルスイッチを10秒以上押す毎に切り替わる。このようにすれば、作業者の意思によって手動で挿入に係る実作業を含む所定の処理を実施したい場合に、いつでも自動手動切替指示手段で指示できる。この機能は電源をOFFしても保持される。
<データ登録工程>
図14中のステップS03におけるデータ登録工程の動作手順を説明する。
データ登録の順番は、A端側からでもB端側からでもよいが、基本的には、A端側とB端側の接続関係の情報を吸い上げる工程と、A端側の各プローブ41を順番に押していってA端組付けの作業手順を記憶させる工程とに分かれる。ここでは、例として、A端側とB端側の接続関係の情報を吸い上げる工程を実行した後に、A端側の各プローブ41を順番に押していってA端組付けの作業手順を記憶させる工程を実行する方法を説明する。
まず、図6に示した制御ユニット34の前面部に設置されたモード切替スイッチ91を2秒間押し、実作業モードからデータ登録モードに切り替える。
このとき、CPU43は、駆動回路44,45を駆動制御して全ての指示LED32と全ての案内LED48を消灯する。また、望ましくは、モード切替スイッチ91を透光性とし、裏面発光素子を発光させることで、モードの切り替えが行われた旨をモード切替スイッチ91自体の発光により作業者に報知する。
そして、B端のデータを入力(吸い込みティーチング)する。即ち、ここでは、まず、モード切替スイッチ91を2秒間押す。そうすると、全ての指示LED32と全ての案内LED48が消灯する。また、モード切替スイッチ91の裏面発光素子が点灯する。
ここで、作業者は、品種番号切替板36において、データ登録を希望する品番の品番スイッチ133を押す。そして、図12に示すように既に完成されたサブアセンブリとしてのモデルハーネスのA端側コネクタ141及びB端側コネクタ142をそれぞれに対応付けしたい電線挿入検知治具33に装着する。
そうすると、電線組付指示検査装置は、各A端に対するB端の導通状況を検出し、B端側コネクタにおける各電線の情報を入手(ティーチング)する。この場合のA端側とB端側との導通状況の把握は、上記の<導通検査工程>のところで説明した方法と同様の方法で実行すればよい。
しかる後、作業者は、図6に示した制御ユニット34の前面部の記憶スイッチ96を押す。そうすると、CPU43は、接続した電線についての登録情報をメモリMrに記憶する。
このように、サブアセンブリにおけるA端とB端との対応関係についてのデータ登録では、予め用意されたモデルハーネスを電線挿入検知治具33に装着して記憶スイッチ96を押すだけで、情報を自動的にメモリMrに記憶させることが可能であるため、極めて簡便な作業でデータ登録を実行できる。
その後、CPU43は、実作業モードに自動的に復帰する。
次に、A端側の各プローブ41を順番に押していってA端組付けの作業手順を記憶させる工程を説明する。
まず作業者は、品種番号切替板36において、データ登録を希望する品番の品番スイッチ133を押す。そして、作業者は、図6に示した制御ユニット34の前面部に設置された送りスイッチ93を押しながら、1番目に組み付けたい電線を指定する。この際、送りスイッチ93の押し操作に従って指示LED32の点滅が次々と遷移し、作業者はその点滅を見ながら、組み付けたい電線に対応する指示LED32を点滅状態にする。
そして、作業者は、点滅された指示LED32に係る供給樋31a内の電線を上面開口31bから引き出し、そのA端を挿入する電線挿入検知治具33内のコネクタCnのキャビティCabに位置するプローブ41に押しつけるように挿入する。
このとき、点滅していた指示LED32が点灯に変わるとともに、A端で押しつけられたプローブ41に対応する案内LED48が点灯する。この時点で、作業者は記憶スイッチ96を押す。そうすると、CPU43は、接続した電線についての登録情報をメモリMrに記憶する。
しかる後、A端のデータ入力を終了するため、モード切替スイッチ91を再び2秒間押す。そうすると、実作業モードに戻る。このとき、モード切替スイッチ91の裏面発光素子が消灯する。
かかる動作手順は、実作業を想定した供給樋31aの順番(1番目、2番目…)で順次進行させながら、実作業そのものの動作で正しい作業をデータ登録していくようにしているため、極めて容易な方法でデータ登録を行うことができ、誰でもが簡便にデータ登録を実行することができる。
また、データ登録時の動作手順は、そのまま実作業時(挿入指示案内時)の動作手順に等しいことになるため、データ登録と同時に作業者に対して実作業の処理手順を容易に認識させることができる利点がある。
同様にして、2番目以降の電線についても同様の動作を行い、最終的に、サブアセンブリで使用する全ての電線のA端を1個のコネクタに組付ける。
ここで、作業者が、接続していないA端について登録しようとした場合には、次へ進まないようになっており、また、合わせてブザー49で警報を発するようにしている。
また、A端登録されなかったモデルハーネスの端子については、全てB端であるとして制御ユニット34で内部処理される。
以上の方法により、サブアセンブリのA端側及びB端側の全ての情報を、極めて簡便なデータ登録手順で誰でもが容易に登録することが可能となる。
尚、このようにして登録された情報を修正したい場合は、図6に示した制御ユニット34の前面部の変更スイッチ94を押し操作するなどして実施すればよい。
以上の各工程において、予定した電線の本数が多い場合で、特に1台の電線組付指示検査装置で全ての電線を網羅できない場合には、図11の如く、複数の電線組付指示検査装置の制御ユニット34A,34Bを直列的に接続して連結使用することで、取り扱うことのできる電線の本数を増大する。この場合、制御ユニット34の背面部に設置された合格出力端子106から、電線の組付けに対する検査で合格した旨の信号が出力されることを利用して、一の電線組付指示検査装置の制御ユニット34Aに設置された2個の合格出力端子106のうち、一方を別の電線組付指示検査装置のプローブ用インタフェースポート103のうちの1個の接続ピン103aに接続し、他方を当該別の電線組付指示検査装置のアース接続端子108に接続する。そして、前段に連結された電線組付指示検査装置の検査が全て合格したことと、後段に接続された電線組付指示検査装置の検査が全て合格したことの論理積をとり、最終段の電線組付指示検査装置から合格した旨を出力することで、一度に複数台の電線組付指示検査装置での検査結果が全て合格した旨を出力することが可能である。そうすると、例えばプローブ用インタフェースポート103が60個の接続ピンを有する構成となっている場合、2台目以降に連結される電線組付指示検査装置については、プローブ用インタフェースポート103の60個の接続ピンのうちの1個は犠牲になるものの、59ピンずつ追加して検査を実施できるという利点がある。