JP4388655B2 - レーザ治療装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、治療レーザ光を患部に照射してレーザ治療を行うレーザ治療装置に関する。
【0002】
【従来技術】
皮膚科で使用されるレーザ装置、例えば、脱毛用レーザではレーザ照射時の発熱による上皮の火傷を抑えるために、レーザ照射部位の皮膚を冷却しながらレーザ照射を行う。皮膚の冷却機構としては、レーザ光を透過し、皮膚に接触させるガラス板からなるウィンドウを冷却水により直接冷却するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ウィンドウが冷却されて外気との温度差が大きくなると、皮膚に接触しないウィンドウ表面に結露が発生する問題があった。ウィンドウ表面に結露が生じると、ウィンドウを通しての患部の観察が悪くなる他、レーザ光の透過率が落ち、レーザパワーの低下になる。また、ウィンドウ表面に生じた結露を頻繁に拭き取らなければならず、手間であると共に治療効率を悪くしていた。
【0004】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、ウィンドウ表面への結露の発生を抑え、効率良くレーザ照射を行うことができるレーザ治療装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) 治療用レーザ光を所期する位置に照射するための照射光学系を内蔵するハンドピースを有し、治療用レーザ光を皮膚に照射するレーザ治療装置において、レーザ治療装置の治療用レーザ光及び可視光を透過する第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを有し、皮膚を冷却するためにハンドピースに取付けられるウィンドウユニットであって、皮膚に接触する接触面を持つ第1ウィンドウを伝熱性の高いウィンドウフレームで周囲を保持し、レーザ光源側に配置される第2ウィンドウを、第1ウィンドウとの間に真空層又は水分の少ない空気層による断熱層を設けるとともに、断熱板を介してウィンドウフレームに固定し、電子熱交換器により熱伝導性の高いウィンドウ取付け板を介してウィンドウフレームを冷却することによって第1ウィンドウを冷却するウィンドウユニットを備え、前記ハンドピースに取付けられた電子熱交換器の冷却側に取付けられたウィンドウ取付け板にウィンドウフレームの背板部が脱着可能に取付けられることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について一実施形態を挙げ、図面に基づいて説明する。図1は脱毛治療等に使用されるレーザ治療装置の外観略図であり、図2は光学系及び制御系の概略構成を示す図である。
【0010】
レーザ装置本体1の正面には大型の液晶(LCD)パネル2が設けられており、LCDパネル2には各種設定条件が表示されるとともに、LCDパネル2上に表示される操作キー触れることで各種の設定が可能なタッチパネルとなっている。レーザ装置本体1の上部からはレーザ光を照射するハンドピース20まで通信ケーブル3とファイバケーブル4が伸延している。
【0011】
5はハンドピース20側に供給する冷却水を冷却して循環させるためのチラーである。チラー5から伸びている2本の冷却チューブ7は、前述の通信ケーブル3とファイバケーブル4と束ねられ、集中ケーブル8に一本にまとめられている。9はレーザー照射のトリガとなるフットスイッチである。
【0012】
図2において、10は治療用レーザ光を出射するレーザ光源部であり、レーザ光源部10は多数の半導体レーザ(ダイオードレーザ)を有する。各半導体レーザを出射したレーザ光はそれぞれに対応して配置されたレンズ12aにより各ファイバ13aの端面にそれぞれ集光されて入射する。各ファイバ13aは出射端面側で束ねられており、各半導体レーザから出射されたレーザ光はファイバ出射側でまとめられ、高出力のレーザ光として治療に利用される。本実施形態では治療用レーザ光に800〜820nmの波長の近赤外光を利用している。
【0013】
また、エイミング(照準)光源11から出射するエイミング光は、集光レンズ12bにより集光され、ファイバ13bに入射する。ファイバ13bの出射側端面はファイバ13aの出射側端面と共に束ねられており、エイミング光はファイバ13bを出射後、治療用レーザ光と同様の光路を進行する。本実施形態ではエイミング光束には620〜650nmの波長の赤色可視光を利用している。
【0014】
束ねられた各ファイバ13a,13bの出射端面(ファイババンドル部)から出射するレーザ光(治療用レーザ光及びエイミング光)は集光レンズ群14により集光され、ファイバケーブル4に入射する。ファイバケーブル4はハンドピース20に接続されており、レーザ光はハンドピース20に導光される。
【0015】
ハンドピース20のスキャナヘッド20aには第一ミラー23,第二ミラー24が設けられており、第一ミラー23,第二ミラー24をそれぞれ第一ガルバノメータ23a,第二ガルバノメータ24aを駆動して回転させることで、XY方向の各々にレーザ光の照射位置を移動(揺動)させ、広範囲に渡って治療用レーザ光を走査することができる。ファイバケーブル4からスキャナヘッド20a内に入射したレーザ光は、ミラー21により光軸を曲げられ、コリメータレンズ22により平行光束にされた後、第一ミラー23,第二ミラー24でXY方向に振られ、集光レンズ25により直径5mm程の円形スポット光として治療部位に照射される。
【0016】
スキャナヘッド20aの下部には、図4に示すようなサイズの異なるウィンドウユニット(大)40、ウィンドウユニット(中)50、ウィンドウユニット(小)60が選択的に取付けられる。ウィンドウユニット40,50,60は治療レーザ光を透過するウィンドウのサイズ及び形状が異なるのみで、基本的構造は同じである。
【0017】
図3はウィンドウユニット(大)40を取り付けたときの、ハンドピース20の下方部分の側面断面図である。
【0018】
スキャナヘッド20aの下方には断熱性に優れたポリアセタール樹脂製のスキャナ支基26が固定されており、スキャナ支基26には、熱伝導性の良いアルミ製のウィンドウ取付板27が側面側(図3紙面垂直方向)からネジ止めされている。28は電子熱交換器であるペルチェ素子である。ペルチェ素子28は、アルミ製の冷却板29とウィンドウ取付板27にはさまれる格好で取付けられており、ウィンドウ取付板27側が吸熱側(冷却側)となり、冷却板29側が放熱側となるように電流が流される。冷却板29の内部には冷却水が循環する流路が形成されており、チラー5で冷却された冷却水は冷却チューブ7、配水管30を通って冷却板29内を循環し、冷却板29を介してペルチェ素子28で放熱された熱を吸熱する。
【0019】
31はウィンドウ取付板27の下端に取付けられた温度センサであり、温度センサ31はウィンドウ取付板27の温度を検知し、この温度検知に基づき制御部15によってペルチェ素子28の温度がコントロールされる。
【0020】
ウィンドウユニット(大)40は、皮膚に接触する熱伝導率の良い透明サファイアガラスの第1ウィンドウ42、この第1ウィンドウ42を保持する側面形状が略L字状のウィンドウフレーム41、断熱性の良いポリアセタール樹脂で形成される枠形状の断熱板43、第1ウィンドウ42より熱伝導率が劣る透明ガラス(例えば、光学ガラスとして一般的に使用されているBK7(ショット社分類記号))の第2ウィンドウ44、開口が形成されたアルミ製のカバー45から構成される。
【0021】
ウィンドウフレーム41は熱伝導率の良いアルミ材からなる。その背板部41aの上部にはU字型の2つの長穴47が形成されており(図4参照)、2つのネジ32によってウィンドウ取付板27と脱着可能とされている。取外し時はネジ32を完全に外さなくても少し緩めるだけで容易に取外すことができ、取付け時はU字型の2つの長穴47を2つのネジ32に差し込むように背板部41aを下から挿入し、ネジ32を締め付ければウィンドウ取付板27に接触させて背板部41aを取り付けることができる。この取付けにより、ペルチェ素子28によって冷却されたウィンドウ取付板27はウィンドウフレーム41を冷却し、さらに第1ウィンドウ42を冷却する。
【0022】
ウィンドウフレーム41の水平方向に張り出したフレーム部41bには開口が設けられており、その下側に約40mm角四方の第1ウィンドウ42が伝熱性の良い接着剤により取り付けられている。フレーム部41bの上部には、断熱板43を介して第二ウィンドウ44が断熱性の良い接着剤を使用してシールドするように固定され、さらにこれらを覆うカバー45が接着されている。こうして第一ウィンドウ42と第二ウィンドウ44の間には断熱層となる密閉空間48(図3上の点線で示す空間)が形成され、2重構造とされる両ウィンドウ間の断熱効果が高められる。したがって、第一ウィンドウ42が冷却されても第二ウィンドウ44は冷却されにくくなり、第二ウィンドウ44の表面側(上部側)への結露の発生が抑えられる。
【0023】
なお、このウィンドウユニット(大)40の組み付けは湿気の少ないところで行い、密閉空間48内の空気に含まれる水分を少なくすることが好ましい。密閉空間48内を真空状態にするとさらに良い。また、ウィンドウ42,44の各面には、レーザ光及び可視光の透過効率を上げるために、反射防止膜を施しておくことが好ましい。
【0024】
図3において、46はウィンドウフレーム41の外部からの吸熱を防ぐためのポリアセタール樹脂製の断熱板であり、同時に第二ウィンドウ44の断熱を行うように背板部41aに固着されている。
【0025】
以上のような構造により、第一ウィンドウ42の熱がウィンドウフレーム41、ウィンドウ取付板27、ペルチェ素子28へと伝わり、吸熱される。第一ウィンドウ42の温度を下げることにより、患者の皮膚を冷却することができる。また、第二ウィンドウ44の温度が室温に近いため、その表面には結露を生じることなく、レーザ治療を行なうことができる。
【0026】
また、ウィンドウユニット(大)40がスキャナヘッド20aの下部に取り付けられているので、術者は第一ウィンドウ42を皮膚に押し当てることで治療部位を一様に平坦な面にすると共に、スキャナヘッド20aを安定して保持することができる。スキャナヘッド20aから出射したレーザ光は第一ウィンドウ42の下面付近に集光するように、集光レンズ25との距離が設計されている。
【0027】
図4に示すウィンドウユニット(中)50は、ウィンドウユニット(大)40に対して、二重構造の第一ウィンドウ(図示せず)、第二ウィンドウ54のサイズ及びウィンドウフレーム51のサイズを小さくしたもの(約30mm角四方)である。ウィンドウユニット(小)60が持つ第一ウィンドウ(図示せず)、第二ウィンドウ64は直径10mm程の円形タイプにしたものであり、ウィンドウフレーム61も合せて小さくしている。このウィンドウユニット(小)60を取付板27に取り付けたときに、第一及び第二ウィンドウの中心が集光レンズ25の光軸下となるように設計されており、ウィンドウユニット(小)60は主にレーザ光を走査させないでシングルスポットとしたときに使用する。ウィンドウユニット50,60の基本構造はウィンドウユニット(大)40と同じであるので、その説明は省略する。
【0028】
図2において、制御部15にはLCDパネル2、チラー5からの冷却水が正常に循環しているかどうかを確認するフロースイッチ6、メモリ16、フットスイッチ9が接続されている。また、ハンドピース20側の温度センサ31、第一ガルバノメータ23a,第二ガルバノメータ24a、ペルチェ素子28は通信ケーブル3を介して制御部15に接続されている。
【0029】
以上のような構成を有するレーザ治療装置において、その動作について以下に説明する。
【0030】
術者はレーザ照射部位の位置やその大きさに合せて適切な大きさのウィンドウユニット40,50,60をハンドピース20が持つウィンドウ取付板27に取り付けておく。例えば、平坦な部位で患部が大きい場合は、スキャニングにより広い範囲のレーザ照射を効率良く行えるように、ウィンドウユニット(大)40を使用する。患部が比較的小さい場合はウィンドウユニット(中)50を使用して、患部以外の皮膚へのウィンドウの接触を少なくし、レーザ照射部位以外の皮膚を冷やさないようにして患者への負担を少なくする。また、顔や脇、下腹部等で形状が一定でない部位の場合には、ウィンドウユニット(大)40に変えてウィンドウユニット(中)50又はウィンドウユニット(小)60を使用すると、操作性が良くなり、小さな患部にも対応しやすくなる。特に細かな患部や、鼻、口、眼の回りなどの凹凸変化が激しい部位には、ウィンドウユニット(小)60を使用して患部へのレーザ照射と冷却を可能にすると共に、術者の操作性も向上する。
【0031】
術者はLCDパネル2に表示されている設定用キーを操作することで照射条件を設定する。ウィンドウユニット(小)60を取り付けた場合はシングルモードに設定し、ウィンドウユニット(大)40又はウィンドウユニット(中)50を取り付けた場合はスキャンモードを設定する。走査パターン形状については、メモリ16に予め記憶されたものから選択でき、円形パターン、正方形パターン、長方形パターン、ラインパターン等が用意されている。以下ではウィンドウユニット(大)40がハンドピース20に取り付けられているものとして説明する。
【0032】
術者は装置本体1側の準備を整えた後、ハンドピース20を手で保持して第一ウィンドウ42を患部上に当接させる。スキャンヘッド20aからは光源11によるエイミング光が照射され、そのエイミング光は選択した走査パターン形状に従って第一ミラー23,第二ミラー24の駆動により繰返し走査される。術者はウィンドウ42,44を通して観察される患部とエイミング光の照射位置を確認しながら、目的とする患部に合うように第一ウィンドウ42の当接位置を調整すると共に、照射パターンの形状や大きさを設定する。
【0033】
術者はエイミング光の観察による照射部位の位置合わせやレーザ出力等の設定が完了したら、図示なきREADYスイッチを押して装置をREADY状態にする。制御部15はフットスイッチ9からのトリガ信号が入力されると、第一ガルバノメータ23a,第二ガルバノメータ24aを駆動制御してレーザ光源部10からのレーザ光を走査し、選択された走査領域の治療部位にレーザ光を照射する。1回の走査で所望する治療部位全面をレーザ照射できない場合は、スキャナヘッド20を徐々に移動させて繰り返しレーザ照射を行えば良い。
【0034】
また、レーザ照射時には液晶パネル2のキー操作によって冷却機構を作動させる。ペルチェ素子28及びチラー5を駆動させることにより第一ウィンドウ42が冷却され、第一ウィンドウ42に接触している患部が冷やされる。このとき、非接触側の第二ウィンドウ44は断熱性が保たれているので、その表面への結露が防止される。したがって、ウィンドウ42,44を通しての術者の視界は良好に保たれると共に、レーザ光の透過率の低下が抑えられ、効率良く治療を行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ウィンドウ表面への結露の発生を抑え、効率良くレーザ照射を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱毛治療等に使用されるレーザ治療装置の外観略図である。
【図2】光学系及び制御系の要部構成の概略図である。
【図3】ウィンドウユニット及び冷却機構を示す図である。
【図4】ウィンドウユニットの各形状及び取替え方法を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザ装置本体
4 ファイバケーブル
5 チラー
7 冷却チューブ
15 制御部
20 ハンドピース
20a スキャナヘッド
21 ミラー
22 コリメータレンズ
23 第一ミラー
24 第二ミラー
25 集光レンズ
27 ウィンドウ取付板
28 ペルチェ素子
29 冷却板
40 ウィンドウユニット(大)
41 ウィンドウフレーム
42 第一ウィンドウ
43 断熱板
44 第二ウィンドウ
48 密閉空間
Claims (1)
- 治療用レーザ光を所期する位置に照射するための照射光学系を内蔵するハンドピースを有し、治療用レーザ光を皮膚に照射するレーザ治療装置において、レーザ治療装置の治療用レーザ光及び可視光を透過する第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを有し、皮膚を冷却するためにハンドピースに取付けられるウィンドウユニットであって、皮膚に接触する接触面を持つ第1ウィンドウを伝熱性の高いウィンドウフレームで周囲を保持し、レーザ光源側に配置される第2ウィンドウを、第1ウィンドウとの間に真空層又は水分の少ない空気層による断熱層を設けるとともに、断熱板を介してウィンドウフレームに固定し、電子熱交換器により熱伝導性の高いウィンドウ取付け板を介してウィンドウフレームを冷却することによって第1ウィンドウを冷却するウィンドウユニットを備え、前記ハンドピースに取付けられた電子熱交換器の冷却側に取付けられたウィンドウ取付け板にウィンドウフレームの背板部が脱着可能に取付けられることを特徴とするレーザ治療装置。
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