JP4388625B2 - 近接場光学用プローブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は近接場光学用プローブ、特にその材質及び構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な顕微鏡は、試料に対し非接触、非破壊で微細極小部位の観察が行える。さらに、分光分析器等を接続することにより、観察対象の形状、構造のみでなく、その成分等まで分析を行うことも可能であり、各種の分野で応用が行なわれている。
しかしながら、一般的な光学顕微鏡は、光の波長より小さなものは、観察することができず、その分解能には限界がある。
【0003】
一方、電子顕微鏡等では、分解能は大きく向上させることができるものの、大気中、あるいは溶液中での動作は極めて困難であり、電子顕微鏡等の高分解能顕微鏡は、特に生体試料を扱う分野では、必ずしも満足のゆくものではなかった。
これに対し、近年、一般的な光学顕微鏡、あるいは電子顕微鏡等とは異なる原理に基づく、近接場光学顕微鏡が開発され、その応用が期待されている。
この近接場光学顕微鏡は、いわゆる近接場光を検出するものである。
例えば、微小な測定試料が平坦な基板の上に置かれており、基板裏面から全反射が生じるような角度で光を入射させると、伝搬光はすべて反射するが、基板、及び測定試料の表面付近には、近接場光と呼ばれる表面波が発生する。
【0004】
この表面波は、物体表面の周りの光の波長以内の距離の領域に局在している。
そこで、先の鋭いプローブを近接場光の場の中に差し込んで近接場光を散乱させ、その散乱光強度を測定することによりプローブ先端と測定試料表面との距離を規定することができる。
したがって、前記散乱光の強度が一定となるようにしつつ、プローブの走査を行うことにより、該プローブの先端位置は、測定試料の表面の凹凸を的確に反映するものとなる。
しかも、プローブ先端は、近接場光の場に存在するのみであり、測定試料そのものには、接触していないため、試料に対し非接触、非破壊で、かつ光の波長の値より小さいものを観察できる。
【0005】
ところで、このような近接場光学顕微鏡には、前記試料上に生じた近接場光をプローブで散乱、集光して検出するコレクションモード(cモード)に加えて、プローブから発生する近接場光で試料を照明し、試料の散乱光(あるいは放出光)を集光、検出するイルミネーションモード(iモード)という方式もある。
前記cモードには、近接場光の散乱体として機能する散乱型プローブが、前記iモードには、近接場光を選択的に発生する発生型プローブが求められる。
すなわち、ある近接場測定を行う場合、その用途に適した顕微鏡モードを選択し、目標とする分解能を設定し、目標分解能に対して十分な検出光強度が得られるようにプローブを最適化する必要がある。
【0006】
ここで、先細り状のテーパの先端と、遮光性金属膜等のマスクで形成された開口を持つファイバプローブは、通常、光ファイバのコアの先端を選択化学エッチング法や、熱して引き延ばす方法等により先鋭化し、該先鋭化ファイバに、金属膜等のマスクを蒸着した後、先端部の遮光性金属膜を選択的に除去する等して、先端開口を作成している。
そして、前記プローブの材質には、純石英のみが一般的に用いられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記プローブを純石英製とすると、測定試料の形状を把握するだけであれば、プローブは近接場光を散乱させるのみであるから、その材質には、一般的な石英等は勿論、任意のものを用いることができる。
しかしながら、前記可視に加えて、赤外、紫外等において、プローブ位置における測定試料の成分の分光分析を行うには、該測定試料からの散乱近接場光を分光する必要があるため、以下の不具合があった。
【0008】
すなわち、プローブ位置における測定試料の成分などを解析するための赤外分光分析を行うためには、測定試料からの散乱近接場光を分光する必要がある。
このために、取れるスペクトルの幅が必要であり、前記可視用の石英プローブを用いたのでは、可視域の透過効率には問題ないが、赤外域の透過効率にはまだまだ改善の余地が残されていた。
また、従来の原子間力顕微鏡用のプローブは、シリコンの半導体積層技術によって作成されているため、高価な設備と複雑な工程が必要となるという問題がある。
【0009】
ここで、測定試料の表面形状を把握するだけであれば、プローブは、試料との間の原子間力を得るだけでよいから、その材質には、前記シリコンは勿論、任意のものを用いることができる。
しかしながら、測定試料の成分等の解析も行うためには、前記プローブを、シリコン製とすると、該シリコンを透過しない可視光、紫外、赤外域の分光分析を行うことができないため、改善の余地が残されていたものの、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
【0010】
さらに、プローブ位置における測定試料の成分等の解析を行うため、ラマン分光、蛍光分光、フォトルミネッセンス分光等の各種発光分光測定を行う場合には、測定試料からのレーリ散乱光によりファイバ自身がラマン散乱光を生じるため、検出対象となる測定試料からのラマン散乱光がファイバ自身のラマン散乱光に埋もれてしまう。
特に検出対象となる測定試料からのラマン散乱光は、散乱光の内でも微弱な光であるため、前記不具合は、より深刻であり、前記レーリ散乱光に対する対策が急務であったが、これを解決することのできる適切な技術が、プローブに関しては、いまだ存在しなかった。
【0011】
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その目的は試料の表面形状の把握と共に、その成分等の解析を行うために、所望の波長域における分光分析も適正に行うことのできる近接場光学用プローブを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明にかかる赤外近接場光学用プローブは、テーパ化コアと、マスクと、を備えることを特徴とする。
ここで、前記テーパ化コアは、赤外透過性の良好な材質からなる光ファイバの先端部を先鋭化したものである。
また、前記マスクは、前記テーパ化コアの表面に、該テーパ化コアの先端部を除いて形成される。
【0013】
そして、前記マスクから外部へ露出した前記テーパ化コアの先端部より、赤外域における、入射光を測定試料に照射、ないし該測定試料からの散乱近接場光を捕捉させる。
なお、本発明において、前記赤外透過性の良好な材質からなる光ファイバを、石英、カルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質により形成することが好適である。
【0014】
ここにいう石英、カルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質により形成するとは、石英を選択する場合は、該石英を単独では用いず、必ずカルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質と組み合わせることをいう。
また、本発明において、前記赤外近接場光学用プローブの先端部より捕捉した測定試料からの散乱近接場光は、該散乱近接場光の赤外スペクトル又はラマンスペクトルより、該測定試料を解析するため、回折格子型分光器、フーリエ変換赤外分光器、可変波長赤外レーザ分光器、及び自由電子レーザ分光器よりなる群から選ばれた一の分光装置により分光されることも好適である。
【0015】
また、前記目的を達成するために、本発明にかかる原子間力顕微鏡用プローブは、基材と、テーパ化コアと、を備えることを特徴とする。
ここで、前記基材は、測定試料の表面との距離を一定に保ちつつ、該試料表面を走査するためのものである。
また、前記テーパ化コアは、所望の波長域において透過効率の良好な材質で、及び化学エッチング法により前記基材に対し先鋭化するように、該基材に対する溶解速度比が考慮された材質からなるエッチング抵抗材を先鋭化したものである。
【0016】
そして、前記テーパ化コアの先端部より、所望の波長域における、入射光を測定試料に照射、ないし該測定試料からの散乱近接場光を捕捉させる。
また、本発明において、前記基材としては、石英板、弗化物板、カルコゲナイト板、及びシリコン板よりなる群から選ばれた一又は二以上の板状材を用いることが好適である。
また、本発明において、前記エッチング抵抗材を、可視、紫外、赤外透過効率の良好な、酸化ゲルマニウム、ランタノイド、アクチノイド、アルミナ、アルミニウム、金、銀、及び酸化珪素よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質により形成することも好適である。
【0017】
また、前記目的を達成するために、本発明にかかるラマン近接場光学用プローブは、テーパ化コアと、マスクと、を備えることを特徴とする。
ここで、前記テーパ化コアは、測定試料の表面からの散乱近接場光よりレーリ散乱光を選択的に除去可能なグレーティングファイバよりなる。
また、前記マスクは、前記テーパ化コアの表面に、該テーパ化コアの先端部を除いて形成される。
そして、前記マスクから外部へ露出した前記テーパ化コアの先端部より、所望の波長域における、入射光を測定試料に照射、ないし該測定試料からの散乱近接場光を捕捉させる。
なお、本発明において、前記テーパ化コア表面には、アルミニウム、金、銀、ゲルマニウム、クロムよりなる群から選ばれた一又は2以上の材質からなる金属性膜によって、先端部を除いたマスク、またはコア全体を覆うマスクが形成されていることも好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態にかかるプローブを用いた近接場光学顕微鏡10の概略構成が示されている。
同図において、測定試料12は、逆三角形状の全反射プリズム14上に配置されており、該全反射プリズム14には、赤外域のレーザ光16が入射され、試料12とプリズム14の境界面において全反射されている。
【0019】
この状態で、試料12の表面側(図中上側)には、近接場光18が生じている。
近接場光18の場に、赤外透過効率の良好な材質からなる尖頭状光ファイバからなるプローブ22の先端部を差し込むと、該プローブ22の先端部により、近接場光18が散乱される。
散乱近接場光としての散乱光20の一部は、ファイバプローブ22内に進入し、後述する検出機構に導光されるのである。
【0020】
そして、散乱光20の強度が一定となるように、本実施形態にかかるプローブ22の先端部を上下させつつ、試料12の表面を走査すれば、試料12に非接触で、かつ試料12の凹凸を的確に把握することが可能となる。
すなわち、同図に示す近接場光学顕微鏡10は、散乱光採取手段としての、前記プローブ22と、該プローブ22の先端部を上下方向(Z軸方向)に制御する離隔情報取得手段26と、前記ファイバプローブ22を介して得られる散乱光を分光し、スペクトル情報を得るスペクトル情報取得手段28と、X,Y軸走査手段30と、表示手段32を含む。
【0021】
そして、本実施形態にかかるプローブ22は、例えば赤外透過性の良好な材質からなる光ファイバよりなり、X,Y軸走査手段30により、試料12の表面をXY方向(試料表面と平行方向)に走査される。 また、離隔情報取得手段26は、試料12とプローブ22の先端部間の離隔情報を得るための検出器34と、Z軸走査手段36を含み、前記ファイバプローブ22を介して得られる散乱光20を検出器34により検出し、さらにその出力に基づきZ軸走査器36は、散乱光20の強度が一定となるように、本実施形態にかかるプローブ22のZ軸方向位置を制御する。
【0022】
また、前記スペクトル情報取得手段28は、分光器38と、検出器40と、検出器40の出力に基づき、スペクトル情報を記憶するスペクトル記憶器42を含む。
ここで、本実施形態にかかる近接場光学顕微鏡10では、前記分光器38として、前記近接場光の赤外分光分析を行うのに好適な、例えば、回折格子型分光器、フーリエ変換赤外分光器(FTIR)、可変波長赤外レーザ分光器、及び自由電子レーザ分光器等よりなる群から選ばれた一の分光装置を用いている。
【0023】
そして、前記近接場光は、検出器40により検出され、前記分光器38より得られる波長情報と共に、スペクトル記憶器42に記憶される。
前記表示手段32は、前記X,Y軸走査手段30より各測定点のX,Y座標を、前記Z軸走査手段36より各測定点における試料表面の高低情報を、またスペクトル情報取得手段28より各測定点におけるスペクトル情報ないし成分情報を、それぞれ得て、その表示を行う。
以上のように、本実施態様にかかる近接場光学顕微鏡10によれば、一のプローブ22により採取される散乱光20より、試料12の表面の高さ情報と、試料表面の各測定点における成分情報を、同時に得ることが可能となる。
【0024】
また、従来の顕微赤外分光光装置では、光の回折限界により光の波長程度の空間分解能しかなく、波長以下、例えば10μm以下等の大きさの試料は、測定することができなかったのに対し、本実施形態にかかる近接場光学顕微鏡10では、波長以下の空間分解能で、試料12の赤外分光分析を適正に行うことができるのである。
【0025】
ところで、散乱光20の集光効率は、測定精度に大きな影響を与える。
このために、試料12からの散乱光20を分光器38に伝送するファイバプローブ22には、赤外の高い伝送効率、つまり透過効率が求められる。
そこで、本実施形態にかかる近接場光学用顕微鏡10では、一般的な可視用の石英プローブに代えて、図2に示すような、赤外の透過効率の良好なプローブ22、つまり赤外用プローブ22を用いているのである。
【0026】
赤外用プローブ
同図に示す赤外用プローブ22は、テーパ化コア44と、マスクとしての遮光性金属膜46と、テーパ化コアの先端部としての微小開口48を含む。
前記テーパ化コア44は、赤外を高効率で伝送可能で、該伝送中、前記図1に示した近接場光学顕微鏡10による試料12からの散乱光20の赤外外分分析を行うのに、ノイズ等を発生させることのない材質からなる、光ファイバのコアの先端部を、例えば化学エッチング、機械研磨、熱による引張り等により先鋭化することにより形成される。
【0027】
このような赤外近接場光学用に最適な光ファイバの材質としては、例えばカルコゲナイト、弗化カルシウム(CaF2)等の弗化物、及び銀ハライド等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質が用いられる。
前記遮光性金属膜46は、テーパ化コア44の表面に、その先端部を除いて、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)、クロム(Cr)、銀(Ag)、ゲルマニウム(Ge)等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質からなる金属膜を、例えば塗布、蒸着、及びメッキ等よりなる群から選ばれた一又は二以上の方法により形成される。
【0028】
これにより、外部から散乱光20以外の光が進入することを防止している。
前記微小開口48は、テーパ化コア44の表面に、その先端部を除いて金属膜46を形成することにより形成される。
又は、この微小開口48は、テーパ化コア44の表面の全周に亘って金属膜46を形成した後、該金属膜46の先端部を選択的に除去することによっても、形成される。
【0029】
そして、本実施形態にかかる近接場光学顕微鏡10において、試料12からの散乱光20は、微小開口48より赤外用プローブ22内に進入すると、赤外を非常に高効率で伝送可能な、前記光ファイバにより分光器38に送られる。
このようにして、例えばテーパ化コア44の突出部の根元径dFが30nm、開口径dが20nm、コアの先鋭角θが20°で、近接場光学顕微鏡10により赤外分光分析を行うのに好ましい高い赤外透過効率をもつ、突出型の赤外用プローブ22を作製している。
ここで、一般的な近接場光学顕微鏡により、測定12の表面形状を把握するだけであれば、プローブは、近接場光18を散乱させるのみでよいから、その材質には、一般的な石英は勿論、任意のものを用いることができる。
【0030】
しかしながら、本実施形態にかかる赤外用プローブ22を用いた近接場光学顕微鏡10では、試料12の赤外分光分析も行うため、取れるスペクトルの幅が必要である。
このために、プローブを純石英製とすると、可視域では問題ないが、赤外域の透過効率は満足のゆくものでなかった。
そこで、本実施形態にかかる赤外用プローブ22は、テーパ化コア44の材質として、一般的な純石英に代えて、カルコゲナイト、弗化カルシウム(CaF2)等の弗化物、銀ハライド等よりなる群より、つまり特に近接場光学顕微鏡10による赤外分光分析を適正に行う場合、赤外透過性が良好な材質よりなる前記群より、一又は二以上の材質を選択しているのである。
【0031】
そして、本実施形態にかかる赤外用プローブ22を試料12の近接場光18の場に進入させ、近接場光18を散乱させる。
このようにして本実施形態にかかる赤外用プローブ22が近接場光18の場に進入したことにより生じる散乱光20は、微小開口48より赤外用プローブ22内に進入し、高い赤外透過効率で伝送されるので、FTIR、可変波長赤外レーザ分光器、及び自由電子レーザ分光器等よりなる群から選ばれた一の分光装置38により分光され、さらに検出されることにより、赤外域における、試料12の分光分析が適正に行われることとなる。
【0032】
以上のように、本実施形態にかかる赤外用プローブ22によれば、テーパ化コア44の材質として、特に近接場光学顕微鏡10による赤外分光分析を行うのに好適な、カルコゲナイト、弗化カルシウム(CaF2)等の弗化物、銀ハライド等を、数ある赤外透過性を有する材質は勿論、他の材質の中からも選択することとしたので、他の材質を用いた場合に比較し、本実施形態にかかる近接場光学顕微鏡10は、赤外域において、試料12の表面形状の把握と共に、その成分の同時測定を高効率で行うことができる。
【0033】
そして、本実施形態にかかる赤外用プローブ22を用いた近接場光学顕微鏡10によれば、一般的な顕微赤外分光装置では、非常に困難であった、大きさが波長以下の微小開口付近に局在する近接場光を照射ないし集光に利用することにより、或いは照射ないし集光の近接場光を微小開口により絞り込むことにより、波長に依存せず、かつ波長以下の空間分解能で赤外分光分析を行うことができる。
なお、前記構成では、プローブ22として、突出型のものを用いた例について説明したが、本発明のプローブは、これに限られるものではなく、測定試料12の試料形状の把握と共に、その成分等の解析を、赤外分光分析により適正に行うことができるものであれば、任意の型のものを用いることが可能である。
【0034】
このために、前記構成では、外部から試料12からの散乱光20以外の光が進入するのを防ぐ等の理由から、テーパ化コア44の表面に、遮光性金属膜46を形成した例について説明したが、前記各種の測定を適正に行うことができるのであれば、該遮光性金属膜46を形成しないものを用いることも可能である。
また、光ファイバの材質として、石英を用いる場合は、石英を単独では用いず、必ず本実施形態において特徴的な、カルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質と組み合わせることが好ましい。
【0035】
また、前記構成では、cモードで動作する近接場光学顕微鏡の例について説明したが、本発明にかかる赤外用プローブは、これに限定されるものではなく、iモードで動作する近接場光学顕微鏡にも適用することが可能である。
さらに、本実施形態にかかる赤外用プローブ22を用いた近接場光学顕微鏡では、前記図1に示した隔離情報取得手段26によるプローブと試料間の位置制御に限られるものではなく、他のプローブと試料間の位置制御を用いることも可能である。
【0036】
原子間力顕微鏡用プローブ
図3〜4には、本発明の一実施形態にかかる原子間力顕微鏡用プローブの概略構成が示されている。
なお、同図(a)はプローブの概観斜視図、同図(b)はテーパ化コア近傍の縦断面図である。
同図に示す原子間力顕微鏡のプローブ50は、測定試料表面との間の原子間力により、該測定試料表面との距離を一定に保ちつつ、該試料表面を走査するための基材としての板状材52と、テーパ化コア54を含む。
【0037】
ここで、前記板状材52としては、紫外、可視又は赤外域での透過率の良好な、石英板、弗化物板、カルコゲナイト板、及びシリコン板よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質を用いることができる。
この板状材52は、図3に示すように、後述する化学エッチング法等の操作により、テーパ化コア54を構成することとなるエッチング抵抗材が、その内部のにドーピングされる。
あるいは、この板状材52は、前記エッチング抵抗材が、図4に示すように表面の一部に塗布される。
【0038】
つまり、可視、紫外、赤外等の所望の波長域において、透過効率が良好な材質で、及び化学エッチング法を行うことにより、先鋭化するように、板状材52に対する溶解速度比が考慮されたエッチング抵抗材が用いられる。
このエッチング抵抗材としては、酸化ゲルマニウム(GeO2)、ランタノイド、アクチノイド、アルミナ、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、酸化珪素(SiO2)等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質を用いることができる。
このようにして、本実施形態にかかる原子間力顕微鏡のカンチレバープローブ50を作成することができる。
【0039】
ここで、従来の原子間力顕微鏡のプローブは、シリコンの半導体積層技術を利用して作られており、このために高価な設備と複雑な工程を必要とする問題もあるが、特に原子間力顕微鏡のプローブを、シリコン製とすると、試料の表面形状を把握するだけであれば、プローブは、試料との間の原子間力を得るのみでよいから、その材質としては、一般的なシリコンは勿論、任意のものを用いることができる。
しかしながら、原子間力顕微鏡により、成分等の解析も行うために、可視、紫外、赤外域等における分光分析を行うには、プローブを、シリコン製とすると、可視、紫外、赤外の光は、該シリコンを透過せず、用いることができないという致命的な問題があった。
【0040】
そこで、本実施形態にかかる原子間力顕微鏡のプローブ50によれば、一般的なシリコンに代えて、例えば酸化ゲルマニウム(GeO2)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、酸化珪素(SiO2)等よりなる群、つまり特に原子間力顕微鏡により分光分析を行うのに好適な、可視、紫外、赤外域の透過効率が良好な材質よりなる前記群から選ばれた一又は二以上の材質からなるエッチング抵抗材を、板状材52の内部にドーピングないしその表面の一部に塗布し、該エッチング抵抗材を例えば化学エッチング法等により先鋭化し、プローブ化しているのである。
【0041】
したがって、試料の表面と、本実施形態にかかるプローブ50と試料との間の原子間力の値が一定となるように、板状材52を介してテーパ化コア54の先端部を上下させつつ、試料の表面を走査すれば、該試料に非接触で、かつ試料の凹凸を的確に把握することが可能となると共に、本実施形態にかかる原子間力顕微鏡のプローブ50により、試料からの可視、赤外、紫外等の所望の波長域の光を捕捉し、該捕捉した光は、伝送中ほとんど損失することなく、高効率で伝送することができるので、後段の分光器等で良好に分光され、さらに例えばラマンスペクトル等より、その成分等の解析も適正に行うことができる。
【0042】
以上のように、本実施形態にかかる原子間力顕微鏡のプローブ50によれば、例えば酸化ゲルマニウム(GeO2)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、酸化珪素(SiO2)等よりなる群、つまり特に原子間力顕微鏡により分光分析を行うのに好適な、可視、紫外、赤外域の透過効率が良好な材質よりなる前記群から選ばれた一又は二以上の材質からなるエッチング抵抗材を、プローブ化することとしたので、測定試料の表面形状の把握に加えて、可視、紫外、赤外等の所望の波長域において試料からの光を高効率で捕捉、損失することなく後段の分光装置等に伝送可能であるから、近接場分光分析も良好に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態にかかる原子間力顕微鏡のプローブ50によれば、先ず内部にエッチング抵抗材をドーピングしたブロックを作成することにより、このブロックから、板状材52を切り出すことにより、容易に、その材料を用意することもできる。
また、前記エッチング抵抗材の先鋭化は、1回の化学エッチング等で済むので、大量生産することができる。
【0044】
ラマン用プローブ
図5には、本発明の一実施形態にかかるラマン用プローブ56の概略構成が示されている。
なお、本実施形態では、ラマン用プローブ56として、コレクションモードで動作する近接場光学顕微鏡のファイバプローブを想定している。
同図に示すラマン用プローブ56は、グレーティングファイバからなるテーパ化コア58と、マスクとしての遮光性金属膜60と、前記テーパ化コア58の先端部としての微小開口62を含む。
【0045】
前記グレーティングファイバは、そのバンド幅を、試料表面からのレーリ散乱光のみを除去することができるように、例えば0.1nm等に設計されている。
このグレーティングファイバは、その先端部がプローブ加工されている。
すなわち、前記遮光性金属膜60は、前記テーパ化コア58の表面に、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質からなる金属膜を蒸着、又はめっき、又は塗布等することにより形成される。
前記微小開口62は、前記テーパ化コア58の先端部に形成された遮光性金属膜部分を選択的に除去することにより形成される。
【0046】
あるいは、この微小開口62は、前記テーパ化コア58の表面に、あらかじめ、その先端部を除いて、例えばアルミニウム(Al)、金(Au)等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質からなる金属膜を蒸着、又はめっき、又は塗布等することによっても形成される。
このようにして、例えば突出部の根元径dF=30nm、開口径d=20nm、コアの先鋭角θ=90°で、例えば試料表面からのレーリ散乱光のみを、微小開口62より捕捉とほぼ同時に、除去することができるように、0.1nm等に、グレーティングファイバのバンド幅が設計された近接場光学顕微鏡のラマン用プローブ56を作成することができる。
【0047】
ここで、測定試料の表面形状を把握するだけであれば、プローブは、試料表面の近接場光を散乱させるのみでよいから、その材質は、任意のものを用いることができる。
しかしながら、本実施形態のようなプローブによりラマン散乱光を集光し近接場分光を行う場合には、試料からの散乱光としては、ラマン散乱光の他に、レーリ散乱光もプローブに導入されるが、該レーリ散乱光により、ファイバ自体がラマン散乱光を発生し、これが前記試料からのラマン散乱光に重畳し、試料そのもののラマン分光、蛍光分光、フォトルミネッセンス分光等の各種発光分光分析の著しい妨げとなる。
【0048】
したがって、試料のラマンスペクトル情報を適切に得るためには、前記レーリ散乱光を極力除去する必要がある。
そこで、本実施形態にかかるラマン用プローブ56は、テーパ化コア58の材質としては、試料表面からのレーリ散乱光を選択的に除去することができるように、バンド幅が設計されたグレーティングファイバを用い、その先端部をプローブ加工しているのである。
【0049】
そして、本実施形態にかかるラマン用プローブ56を用いた近接場光学顕微鏡により、試料からの散乱光の強度が一定となるように、ファイバプローブの先端を上下させつつ、試料の表面を走査すれば、該試料に非接触で、かつ試料の凹凸を的確に把握することが可能となるとともに、微小開口62により捕捉とほぼ同時に、前記レーリ散乱光を大幅に低減することにより、該レーリ散乱光による光ファイバ自体が発生するラマン散乱光を大幅に低減することができる。
これにより、可視、赤外、紫外等の所望の波長域において、実質的に試料からのラマン散乱光のみを分光分析することができるので、その成分等の解析も適正に行うことができる。
【0050】
以上のように、本実施形態にかかるラマン用プローブ56によれば、試料表面からの散乱光のうちレーリ散乱光は、グレーティングファイバのグレーティングがリジェクションフィルタとして働くことにより、実質的にその進入と同時に除去される。
したがって、前記レーリ散乱光により光ファイバ自体が発生するラマン散乱光は、完全に除去ないし著しく低減することができる。
これにより、試料表面からの実質的にラマン散乱光のみについて、分光測定を行うことができる。
なお、前記構成では、テーパ化コア表面には、アルミニウム、金、銀、ゲルマニウム、クロムよりなる群から選ばれた一又は2以上の材質からなる金属性膜によって、先端部を除いたマスクを形成した例について説明したが、本発明の近接場光学用プローブは、これに限られるものではなく、コア全体を覆うようにマスクを形成してもよい。
【0051】
【実施例】
赤外用プローブ
図6には、本実施例にかかる赤外用プローブの作成過程が示されている。
同図に示す方法においては、まず、同図(a)に示すような、平頭状の光ファイバとして、カルコゲナイトからなる光ファイバ64を用いる。
そして、このような光ファイバ64の端面を先鋭化するため、硝酸、塩酸、アルカリ、王水等のエッチング液を用いた化学エッチング工程を行う。
すなわち、前記光ファイバ64の一端面をカットして、前記エッチング液に、1時間、浸すと、その周辺部の中心部に対する溶解速度比の違いにより、突出部の根元径dFが30nm、開口径dが20nm、コアの先鋭角θが20°で、同図(b)に示すようなテーパ化コア44が形成される。
【0052】
そして、前記テーパ化コア44の表面に、金を蒸着・スパッタで塗布することにより、同図(c)に示すような遮光性金属膜46よりなるマスクを形成することができる。
そして、前記遮光性金属膜46のテーパ化コアの先端部分を被覆している部分を、選択的に除去することにより、同図(d)に示すように微小開口48としてのテーパ化コア先端部が金属膜46より外部へ露出される。
このようにして作成された赤外用プローブ22を用いれば、赤外の透過効率が高いので、試料の表面形状の把握と共に、その成分等の解析を行うための、赤外域における試料からの散乱光を、高効率で捕捉、伝送等することが可能である。
【0053】
図7には、本発明の一実施例にかかる、カルコゲナイトからなる赤外用プローブ22及び同一形状の従来の純石英からなるファイバプローブに、それぞれ波長2.5μm〜11μmの赤外線を入射した場合の透過損失が示されている。
同図より明らかなように、本実施例を示す同図Iは、従来例を示す同図IIに比較し、前記波数領域において、赤外線の透過損失が極めて少ないことが理解される。
【0054】
したがって、本実施例にかかる赤外用プローブによれば、従来の石英プローブに比較し、高い赤外透過効率を広い赤外域で得ることができるので、測定試料の表面形状の把握とともに、その成分等の解析に必要な、試料からの散乱光を、赤外域において高効率で得ることができるので、得られる赤外スペクトルの幅が広くなり、後の分光分析も適正に行うことが可能となる。
【0055】
原子間力顕微鏡用プローブ
図8には、本実施例にかかる原子間力顕微鏡用プローブの作成過程(その1)が示されている。
同図に示す方法においては、同図(a)に示すような、石英板からなる板状材52の内部の一部に、同図(b)に示すように、酸化ゲルマニウムからなる円筒状等のエッチング抵抗材66をドーピングする。
つぎに、前記エッチング抵抗材66を、エッチング液による化学エッチングにより先鋭化する。
【0056】
すなわち、前記エッチング抵抗材66がドーピングされた板状材52を、エッチング液に、1時間、浸すと、エッチング抵抗材66の板状材52に対する溶解速度比の違いにより、コアの先鋭角が20゜の、テーパ化コア44が形成されることにより、同図(c)に示すような、原子間力顕微鏡の、カンチレバープローブ50を作成することができる。
図9には、本実施例にかかる原子間力顕微鏡用プローブの作成過程(その2)が示されている。
同図に示す方法においては、同図(a)に示すような、石英板からなる板状材52の表面の一部に、同図(b)に示すように、前記エッチング抵抗材66を蒸着・スパッタにより塗布する。
【0057】
つぎに、前記エッチング抵抗材66を、エッチング液による化学エッチングにより先鋭化する。
すなわち、前記エッチング抵抗材が表面の一部に塗布された板状材を、エッチング液に、1時間、浸すと、エッチング抵抗材66の板状材52に対する溶解速度比の違いにより、コアの先鋭角θが20゜の、テーパ化コア44が形成されることにより、同図(c)に示すような、原子間力顕微鏡のカンチレバープローブ50を作成することができる。
【0058】
このようにして作成された原子間力顕微鏡のプローブを用いれば、可視、紫外、赤外等の所望の波長域における高い透過効率を得ることができるので、一般的な試料の表面形状の把握と共に、可視、紫外、赤外等の分光分析を行うことが可能である。
図10には、本発明の一実施例にかかる、弗化物(CaF2)コアを持つプローブ50及び同一形状の従来のシリコンからなるプローブに、それぞれ波長2.5μm〜11μmの赤外線を入射した場合の透過度が示されている。
同図より明らかなように、本実施例を示す同図Iは、従来例を示す同図IIに比較し、前記波数領域において、赤外線の透過度が極めて高いことが理解される。
【0059】
したがって、本実施例にかかる原子間力顕微鏡用プローブ50によれば、従来のシリコン製プローブに比較し、高い赤外透過効率を得ることができるので、測定試料の表面形状の把握とともに、その成分等の解析に必要な、試料からのラマン散乱光を、赤外域において高効率で得ることができるので、得られる赤外スペクトルの幅が広くなり、後の分光分析も適正に行うことが可能となる。
【0060】
ラマン用プローブ
図11には、本実施例にかかるラマン用プローブの作成過程が示されている。
同図に示す方法においては、まず、試料からのレーリ散乱光を除去することができるように、バンド幅が0.1nmに設計された、同図(a)に示すような平頭状のグレーティングファイバ68を用いる。
そして、このグレーティングファイバ68の端面を先鋭化するため、エッチング液を用いた化学エッチング工程を行う。
【0061】
すなわち、前記グレーティングファイバ68の一端をカットして、エッチング液に、1時間、浸すと、中心部の周辺部に対する溶解速度比の違いにより、突出部の根元径dF=30nm、開口径d=20nm、コアの先鋭角θ=20°先鋭角が20゜で、同図(b)に示すようなテーパ化コア58が形成される。
そして、このテーパ化コア58の表面に、金等の金属膜を蒸着・スパッタで塗布することにより、同図(c)に示す遮光性金属膜60を形成することができる。
そして、遮光性金属膜60のテーパ化コア58の先端部を被覆している部分を選択的に除去することにより、同図(d)に示すように微小開口62としてのテーパ化コア先端部が金属膜60より外部へ露出される。
【0062】
このようにして作成されたラマン用プローブ56を用いれば、グレーティングファイバ68により、プローブ先端部に進入した測定試料からのレーリ散乱光が光ファイバ中を送られるのを防ぐことにより、該レーリ散乱光により光ファイバ自体が発生するラマン光の影響を大幅に低減し、測定試料からのラマン光のみを得ることができる。
これにより、試料の表面形状の把握とともに、その成分等の解析を行うための、可視、紫外、赤外等の所望の波長域におけるラマン分光、蛍光分光、フォトルミネッセンス分光等の各種発光分光分析も適正に行うことが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる赤外近接場光学用プローブによれば、赤外透過性の良好な、カルコゲナイト、弗化物、銀ハライド等よりなる群から選ばれた一又は二以上の材質からなる光ファイバを用いることとしたので、大きさが波長以下の微小開口付近に局在する近接場光を照射ないし集光に利用することにより、或いは照射ないし集光された近接場光を微小開口により絞り込むことにより、該本発明にかかるプローブを用いた近接場光学顕微鏡により、従来極めて困難であった、波長に依存せず、かつ波長以下の空間分解能で赤外分光分析を行うことができる。
また、本発明にかかる原子間力顕微鏡用プローブによれば、所望の波長域において透過効率の良好な材質からなるエッチング抵抗材を、基材にドーピングないし塗布し、該エッチング抵抗材を先鋭化したテーパ化コアを備えることとしたので、該本発明にかかるプローブを用いた原子間力顕微鏡により、可視、紫外、赤外の所望の波長域における分光分析も良好に行うことができる。
なお、前記エッチング抵抗材をドーピングしたブロックから基材を切り出すことにより、容易に前記エッチング抵抗材を含む基材を用意することができると共に、前記エッチング抵抗材の先鋭化は、1回の化学エッチング法等で済むので、該本発明にかかるプローブを大量生産することができる。
また、本発明にかかるラマン近接場光学用プローブによれば、試料表面からの散乱光よりレーリ散乱光を選択的に除去することができるように、バンド幅が設計されたグレーティングファイバの先端部をプローブ化することとしたので、前記レーリ散乱光は、グレーティングファイバのグレーティングがリジェクションフィルタとして働くことにより除去される。
したがって、前記レーリ散乱光により光ファイバ自体が発生するラマン光を除去ないし著しく低減することができるので、該本発明にかかるプローブを用いた近接場光学顕微鏡により、実質的に測定試料からのラマン光のみについて、分光分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる近接場光学顕微鏡の概略構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる赤外用プローブの概略構成の説明図である。
【図3】、
【図4】本発明の一実施形態にかかる原子間力顕微鏡用プローブの概略構成の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるラマン用プローブの概略構成の説明図である。
【図6】本発明の一実施例にかかる赤外用プローブの作成過程の説明図である。
【図7】本発明の一実施例にかかる赤外用プローブ及び従来の石英プローブを用いた場合の赤外線透過性(赤外線透過損失)の比較結果の説明図である。
【図8】、
【図9】本発明の一実施例にかかる原子間力顕微鏡用プローブの作成過程の説明図である。
【図10】本発明の一実施例にかかる原子間力顕微鏡用プローブ及び従来のシリコン製プローブを用いた場合の赤外線透過性(赤外線透過度)の比較結果の説明図である。
【図11】本発明の一実施例にかかるラマン用プローブの作成過程の説明図である。
【符号の説明】
10…近接場光学顕微鏡
22…赤外用プローブ(赤外近接場光学用プローブ)
38…分光器(分光装置)
56…ラマン用プローブ(ラマン近接場光学用プローブ)
44、54、58…テーパ化コア
46、60…遮光性金属膜(マスク)
48、62…微小開口(先端部)
50…原子間力顕微鏡用プローブ
52…板状材(基材)
Claims (3)
- 赤外透過性の良好な材質からなる光ファイバの先端部を先鋭化したテーパ化コアと、
前記テーパ化コアの表面に、該テーパ化コアの先端部を除いて形成されたマスクと、を備え、
前記テーパ化コアは測定試料の表面から散乱近接場光よりレーリ散乱光を選択的に除去可能なグレーティングファイバよりなり、
前記マスクから外部へ露出した前記テーパ化コアの先端部より、
所望の波長域における、入射光を測定試料に照射し、
前記赤外透過性の良好な材質からなる光ファイバは、石英、カルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質により形成し、石英を選択する場合は、該石英を単独では用いず、必ずカルコゲナイト、弗化物、及び銀ハライドよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質と組み合わせた材質により形成したものであり、
前記マスクから外部へ露出した前記テーパ化コアの先端部は微小開口となっており、
前記微小開口から赤外域における、該測定試料からの散乱近接場光を捕捉し、分光することを特徴とする赤外近接場光学用プローブ。 - 請求項1記載の赤外近接場光学用プローブにおいて、
前記赤外近接場光学用プローブの先端部より捕捉した測定試料からの散乱近接場光は、該散乱近接場光の赤外スペクトル又はラマンスペクトルより、該測定試料を解析するため、回折格子型分光器、フーリエ変換赤外分光器、可変波長赤外レーザ分光器、及び自由電子レーザ分光器よりなる群から選ばれた一の分光装置により分光されることを特徴とする赤外近接場光学用プローブ。 - 請求項1又は2記載の近接場光学用プローブにおいて、
前記テーパ化コア表面には、アルミニウム、金、銀、ゲルマニウム、クロムよりなる群から選ばれた一又は二以上の材質からなる金属性膜によって、先端部を除いたマスク、またはコア全体を覆うマスクが形成されていることを特徴とする近接場光学用プローブ。
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