JP4327993B2 - プローブ開口作製装置、及びそれを用いた近接場光学顕微鏡 - Google Patents

プローブ開口作製装置、及びそれを用いた近接場光学顕微鏡 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプローブ開口作製装置、及びそれを用いた近接場光学顕微鏡、特にプローブの開口の大きさの制御手法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な顕微鏡は、試料に対して非接触、非破壊で微細極小部位の観察が行え、さらに分光分析器等を接続することにより観察対象の形状、構造のみでなく、その成分等まで分析を行うことも可能であり、各種の分野で応用が行なわれている。
しかしながら、一般的な光学顕微鏡は、光の波長より小さなものは観察することができず、その分解能には限界がある。
一方、電子顕微鏡等では、分解能は大きく向上させることができるものの、大気中、あるいは溶液中での動作は極めて困難であり、電子顕微鏡等の高分解能顕微鏡は特に生体試料を扱う分野では必ずしも満足のいくものではなかった。
【0003】
これに対し、近年一般的な光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡とは異なる原理に基づく近接場光学顕微鏡が開発され、その応用が期待されている。
この近接場光学顕微鏡は、いわゆるエバネッセント光を検出するものである。
すなわち、図1において、近接場光学顕微鏡10は、微小な被測定試料12が平坦な基板14の上に置かれており、基板14の裏面から全反射が生じるような角度で光源16からの励起光18を入射させると、伝搬光はすべて反射するが、基板14及び試料12の表面付近にはエバネッセント光20と呼ばれる表面波が発生する。この表面波は物体表面の周りの光の波長以内の距離の領域に局在している。
【0004】
そこで、先の鋭いプローブ22をエバネッセント光20の場の中に差し込んでエバネッセント光20を散乱させる。その散乱光21の一部はプローブ22内に進入し、検出器24に導光され、コンピュータ26でデータ処理されることにより、プローブ22先端部と試料12間の距離を把握することができる。
したがって、前記コンピュータ26、ステージコントローラ28により、ステージ30を移動し、散乱光21の強度が一定となるようにプローブ22先端部と試料12間の上下方向の距離を制御しつつ、試料12の被測定面を走査すれば、該試料12に非接触でかつ試料12の凹凸を的確に把握することが可能となる。
【0005】
しかも、プローブ22の先端はエバネッセント光20の場に存在するのみであり被測定物そのものには接触していないため、試料12に対して非接触、非破壊でかつ光の波長の値より小さいものを観察できるものである。
ところで、図2に示すようにプローブ22は、光透過性を有する誘電体等で構成されたコア32と、該コア32表面に蒸着等で接着させた金属薄膜で構成されたマスク34を備える。
このマスク先端部には、開口36が形成され、該開口36よりコア先端部32aが表出している。
【0006】
このようなプローブの開口作製方法としては、例えば光ファイバのコアの先端を選択化学エッチング法や、熱して引き延ばす方法等により先鋭化する。
そして、この先鋭化ファイバに真空中で金属を加熱・蒸発させ、プローブの表面に薄膜として接着させ、金属薄膜等のマスクを形成している。
つぎに、この先端部のマスクを、例えばエッチング法、収束イオンビーム(FIB)等で除去すると、開口36が作製される。
このようにして作製されたプローブ22は、近接場光学顕微鏡10の近接場ヘッド31に取り付けられ、前述のような近接場光学測定を行なっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近接場光学顕微鏡の分解能を向上させるためには、プローブの先端に、再現性よく目的の大きさの開口を作製する必要がある。
しかしながら、前記開口作製方法を用いたのでは、開口の機械寸法は制御して作製できるが、光透過率等の光特性を作製中に制御することができず、性能として重視すべき開口の光透過率等の光特性に対する考慮がなされていなかった。
このため、作製されたプローブを、実際に近接場光学顕微鏡に取り付けて測定を行うと、測定がうまく行えない場合があった。
【0008】
このため、従来より、光透過率等の光特性をも考慮して、プローブの先端に、再現性よく目的の大きさの開口を作製することのできる技術の開発が強く望まれていたが、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、より所望の大きさの開口を容易に作製することのできるプローブ開口作製装置、及びそれを用いた近接場光学顕微鏡を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかるプローブ開口作製装置は、光透過性を有する材質で構成されたコアと、該コア上に形成され、延性及び遮光性を有する材質で構成されたマスクと、を備えたプローブ先端部のマスクを所望の大きさで開口する装置であって、
光源と、光検出手段と、押付手段と、記憶手段と、算出手段と、押付制御手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記光源は、前記プローブに光を入射する。
【0010】
また、前記光検出手段は、前記プローブ先端部と接触し、前記光源の光による該先端部からの透過光の光量を検出する。
前記押付手段は、前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう。
前記記憶手段は、あらかじめ前記プローブ先端部からの透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している。
前記算出手段は、所望の大きさの開口を得るための光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報より求める。
【0011】
前記押付制御手段は、前記光検出手段により検出された光量値が、前記算出手段により算出された光量値となるように、前記押付手段によるプローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを制御する。
ここにいう光透過性を有する材質で構成されたコアとは、例えば石英、半導体、CaF、カルコゲナイト等の光ファイバ材料等の材質で構成されたものをいう。
また、延性及び遮光性を有する材質で構成されたマスクとは、コア上に例えば蒸着等で形成された金、アルミニウム、銀、クロム、チタン等のミラーに使用される金属薄膜等をいう。
【0012】
また、ここにいうプローブ先端部のマスクを開口するとは、プローブ先端部のマスクは延性を有するので、プローブ先端部と光検出手段とを光軸方向に押付けると、序々に薄く引き延ばされて開口が形成され、該マスク開口よりコア先端部が表出することをいう。
また、ここにいうプローブ先端部からの透過光の光量値とは、マスクに開口が形成されていない時点では、透過光の光量値はゼロであり、マスクに開口が形成されると、その開口の大きさに比例して光量値が増大するものをいう。
【0013】
なお、本発明にかかるプローブ開口作製装置において、前記押付手段としては、前記プローブ先端部のマスクがちぎれることなく序々に薄く延ばされて開口するように、前記プローブ先端部と光検出手段とを光軸方向に押付ける送り手段を用いることが好適である。
また、本発明にかかるプローブ開口作製装置において、前記光検出手段としては、受光量に対する出力値の応答性に優れたフォトダイオードを用いることも好適である。
【0014】
ここで、前記フォトダイオードは、前記プローブ先端部からの透過光を受光部で受光し、該受光量に比例した電流値を出力する。
また、前記目的を達成するために本発明にかかる近接場光学顕微鏡は、前記プローブ開口作製装置を備え、該開口作製装置により開口が形成されたプローブ先端部で試料の被測定面のエバネッセント光の場を散乱し、その散乱光を該開口より集光し、あるいは該開口よりしみ出したエバネッセント光を被測定面に照射し、その散乱光ないし反射光を該開口より集光し、試料の被測定面の情報を得ることが好適である。
【0015】
なお、本発明にかかる近接場光学顕微鏡において、前記押付手段としては、前記プローブ先端部と試料の被測定面との光軸方向の距離を制御する送り手段を用いることも好適である。
また、本発明にかかる近接場光学顕微鏡において、開口が形成されているプローブ先端部の開口の大きさを検査する開口径検査機構であって、該開口径検査機構は、光源と、光検出手段と、押付手段と、記憶手段と、比較手段と、を備えることも好適である。
【0016】
ここで、前記光源は、前記プローブに光を入射する。
また、前記光検出手段は、前記プローブ先端部と接触し、前記光源の光による該先端部からの透過光の光量を検出する。
前記押付手段は、前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう。
前記記憶手段は、あらかじめ前記プローブ先端部からの透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している。
【0017】
前記比較手段は、前記光検出手段により検出された光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報に当てはめ、前記プローブ先端部の開口の大きさを求める。
また、本発明にかかる近接場光学顕微鏡において、開口が形成されているプローブ先端部の開口の大きさを変更する開口径調整機構であって、該開口径調整機構は、光源と、光検出手段と、押付手段と、記憶手段と、比較手段と、を備えることも好適である。
ここで、前記光源は、前記プローブに光を入射する。
【0018】
また、前記光検出手段は、前記プローブ先端部と接触し、前記光源の光による該先端部からの透過光の光量を検出する。
前記押付手段は、前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう。
前記記憶手段は、あらかじめ前記プローブ先端部からの透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している。
前記設定手段は、前記プローブ先端部の開口の所望の大きさを設定する。
【0019】
前記算出手段は、前記設定手段により設定された大きさの開口を得るための光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報より求める。
前記押付制御手段は、前記光検出手段により検出された光量値が、前記算出手段により算出された光量値となるように、前記押付手段によるプローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを制御する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。
図3には本発明の一実施形態にかかる近接場光学顕微鏡の概略構成が示されている。なお、前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す近接場光学顕微鏡は、試料112は基板114上に配置されており、試料112の被測定面には励起光118が入射され、試料112の被測定面にはエバネッセント光120が生じている。
【0021】
このエバネッセント光120の場にプローブ122の先端部を差し込むと、該ファイバープローブ122先端部によりエバネッセント光120の場が散乱され、その散乱光121の一部は開口よりプローブ122内に進入し、分光器138によりレイリー光と蛍光及びフォトルミネッセンス光に分離された後、検出器124により検出され、コンピュータ126でデータ処理されることにより、レイリー光よりプローブの先端と被測定面間の距離を把握することができる。
【0022】
したがって、ステージコントローラ128、XYZステージ130により、検出器124により検出されたレイリー光強度が一定となるように、前記プローブ122先端部と試料112の被測定面間の上下方向の距離を制御しつつ、試料112の被測定面を走査すれば、試料112に非接触でかつ試料112の凹凸を的確に把握することが可能となる。しかも、前記分光スペクトルより試料112の被測定面の各測定点における成分情報を同時に得ることが可能となる。
ところで、プローブ122は、通常は近接場ヘッド131に取り付けられているが、消耗品なので、該ヘッド131より取外し、交換する必要がある。
【0023】
しかしながら、開口の良し悪しが近接場光学顕微鏡の分解能等に影響を与える。
例えば既に作製されている市販品等のプローブを交換し、近接場ヘッドに取り付けて測定を行なうと、該測定が満足のゆく明るさ、同じ精度で行なえない場合がある。
この原因の詳細については未だ不明な点もあるが、本発明者らによれば、いくらプローブ開口の機械的寸法を精度よく作製しても、実際の測定に用いられると、開口の光透過効率が異なる場合があり、プローブを交換すると、該開口の光透過効率が変わることが一因として考えられる。
【0024】
また、個々の顕微鏡によって、ステージには多少の傾きがある場合が多く、既製品のプローブでは、ステージ面とプローブ開口面が平行とならず、ずれがある場合がある。これによりプローブ開口よりエバネッセント光を試料の被測定面に均一に照射できなかったり、試料の被測定面より均一に、エバネッセント光の場を散乱した光を集光できないことによると考えられる。
そこで、本発明において、第一に特徴的なことは、近接場光学顕微鏡に、開口が形成されていないプローブ先端部に開口を、所望の大きさで作製可能なプローブ開口作製装置を備えたことである。
【0025】
このために本実施形態においては、図4〜図5に拡大して示されるような開口作製装置139を設けている。
すなわち、図4に示すように実際に近接場光学測定に用いられるXYZステージ130の基板114を、通常の近接場光学測定を行なうエリアA1と、開口作製等のためのエリアA2に分ける。
そして、このエリアA2に、プローブ開口作製装置139のPINフォトダイオード(光検出手段)140を、その受光面146が基板114の面と同一面となるように設けている。
【0026】
また、プローブ開口作製装置139は、図5に示すような前記光源(光源)116と、前記XYZステージ(押付手段)130と、前記コンピュータ126のHDD(記憶手段)142と、前記コンピュータ126のCPU(算出手段,押付制御手段)144を備える。また、開口が形成されていないプローブの一端が近接場光学顕微鏡の近接場ヘッドに固定されている。
ここで、近接場光学顕微鏡で用いられる光源116を、プローブ開口作製装置139の光源としても用いている。
この光源116によりプローブ122に励起光(光)118を入射する。
【0027】
また、前記PINフォトダイオード(光検出手段)140は、効率よく透過光の光量を測定することのできる優れた特性を有している。開口作製時等は、前記プローブ122先端部と接触し、励起光118の先端部からの透過光の光量を検出する。
また、近接場光学顕微鏡で用いられるXYZステージ130のZ軸方向の駆動機構を、開口作製装置139の押付手段としても用いている。
【0028】
このXYZステージ130により、フォトダイオード140の受光面146をプローブ先端部に徐々に押付けると、先端部のマスク134が徐々に薄く引き延ばされ、該マスク開口よりコア132を表出させることにより、開口を作製している。
前記近接場光学顕微鏡で用いられるコンピュータ126のHDD142を、開口作製装置の記憶手段としても用いている。
【0029】
このHDD142はあらかじめ、前記プローブ122先端部からの透過光量値と開口の大きさとの検量情報を記憶している。
前記近接場光学顕微鏡で用いられるコンピュータ126のCPU144を、開口作製装置の算出手段としても用いている。
このCPU144は、所望の大きさの開口を得るための光量値を、HDD142に記憶されている検量情報より求める。
前記近接場光学顕微鏡で用いられるコンピュータ126のCPU144を、開口作製装置の押付制御手段としても用いている。
【0030】
このCPU144は、フォトダイオード140により検出された光量値が、該CPU144により算出された光量値となるように、XYZステージ130によるフォトダイオードとプローブ先端部との光軸方向の押付けを制御する。
すなわち、図6(A)に示すように開口が形成されていないプローブ122先端部に、フォトダイオード140の受光面146を当接させる。
【0031】
そして、同図(B)に示すように励起光118によるプローブ先端部からの透過光の光量をフォトダイオード140により検出し、その光量値をコンピュータ126でモニタしながら、XYZステージ130により基板114を上動させることにより、プローブ122先端部にフォトダイオード140の受光面146を図中上方に徐々に押付ける。
徐々に押付けると、プローブ先端部のマスク134は延性を有するので、徐々に薄く引き延ばされ、次第に開口が形成され、該開口よりコア132の先端部132aが表出する。
【0032】
コア132の先端部132aが表出すると、それまでゼロであったフォトダイオード140により検出される光量値が開口径に比例して増大するので、コンピュータ126は、XYZステージ130のZ軸方向の移動機構により、所望の開口径が得られる透過光量値となるまで、プローブ122先端部にフォトダイオード140を徐々に押付ける。
すると、同図(C)に示すようにプローブ122先端部のマスク134には開口136が所望の開口径dで作製されている。
【0033】
このため、効率よく透過光量を測定できるPINフォトダイオード140で、効率よく測定される透過光量の値をモニタしながら、同時に開口を作製することができるので、プローブを交換した場合であっても、再現性よく目的の大きさの開口を作製することができる。例えば真円状の開口を作製したり、コア部の突出を小さくすることが容易にできる。
【0034】
また、実際に使うサンプルステージ面とフォトダイオード140の受光面を同一面となるように設け、開口を作製するので、たとえステージ面が傾いている場合であっても、そのステージ面と平行な開口面を形成することができる。しかも、このようにして開口が作製されたプローブを近接場ベッドに取り付けたまま、測定を行なうので、測定を正確に行なえる。
さらに、開口作製装置の各構成部材の機能を近接場光学顕微鏡の各構成部材を用いて実現しているため、これらを別個に設けた場合に比較し、構成の簡略化、装置の小型化等が図られる。
【0035】
このようにして近接場光学顕微鏡の近接場ヘッドに取り付けられた状態で作製されたプローブをステージ130の通常の近接場光学測定エリアA1で交換まで使用し続けることができる。
また、前述のようにして作製された開口も使用しているうちに開口径が変わってしまう場合がある。
しかしながら、従来はプローブを顕微鏡から取外し、検査を行なうことも考えられるが、これを簡易に検査する手段が存在しなかった。また、プローブを取り付けた後、プローブの振動振幅等を制御する光学系との光軸調整等が必要となり、面倒であった。
【0036】
そこで、本発明において、第二に特徴的なことは、近接場光学顕微鏡に、前記プローブ開口作製装置により開口が形成されているプローブ先端部の開口の大きさを検査可能な開口径検査機構を備え、該検査をプローブを近接場ヘッドに取り付けたまま行なったことである。
このために本実施形態においては、図7に拡大して示されるような開口径検査機構147を設けている。
【0037】
同図において、開口径検査機構147は、前記光源116と、前記HDD(記憶手段)142と、前記フォトダイオード(光検出手段)140と、CPU(比較手段)144を備える。
ここで、前記XYZステージ130は、プローブ先端部にフォトダイオード140の受光面146を当接させる。
前記CPU(比較手段)144は、フォトダイオード140により検出された光量値を、HDD142に記憶されている検量情報に当てはめ、プローブ先端部の開口の大きさを求める。
【0038】
この結果、通常の近接場光学測定時、プローブ122は、XYZステージ130のエリアA1上に位置するが、開口径の検査を行う際は、図8(A)に示すように開口作製装置139により開口136が形成されているプローブ122をXYZステージのエリアA2に移動する。
そして、同図(B)に示すようにプローブ122を取り付けたまま、XYZステージ130により、プローブ先端部にフォトダイオードの受光面を当接させるだけで、所定の径の開口が開いているか否かの検査を容易に行なえる。
【0039】
すなわち、励起光による開口からの透過光の光量値と、開口の大きさとは比例関係にあるので、プローブ先端部にフォトダイオード140の受光面146を当接させた状態で、該先端部からの透過光の光量をフォトダイオード140により検出する。そして、CPU144は、該検出された光量値を、HDD142に記憶されている検量情報に当てはめ、プローブ先端部の開口の大きさを求める。
さらに、開口径検査機構の各構成部材の機能を近接場光学顕微鏡(開口作製装置)の各構成部材を用いて実現しているため、これらを別個に設けた場合に比較し、構成の簡略化、装置の小型化等が図られる。
【0040】
そして、検査後、開口径が合格の場合は、プローブをXYZステージのエリアA1上に復帰させ、通常の近接場光学測定を行わせる。
これに対し、前述のようにして作製された開口も使用しているうちに開口径が変わってしまう場合があったり、変わらなくても、作製後、これを変更したい場合がある。
しかしながら、従来はプローブを交換する必要があり、プローブを取り付けた後、プローブの振動振幅等を制御する光学系との光軸調整等が必要となり、面倒であった。
【0041】
そこで、本発明において、第三に特徴的なことは、近接場光学顕微鏡に、プローブ開口作製装置により開口が形成されているプローブの開口の大きさを変更可能な開口径調整機構を備え、該開口の大きさの変更を、プローブを近接場ヘッドに取り付けたまま行なったことである。
このために本実施形態においては、図9に拡大して示されるような開口径調整機構149を設けている。
この開口径調整機構149は、前記光源116と、前記フォトダイオード(光検出手段)140と、前記CPU(算出手段,押付制御手段)142と、入力デバイス(設定手段)151を備える。
【0042】
前記入力デバイス151は、プローブ先端部の開口の所望の大きさをコンピュータ126に設定可能とする。
前記CPU(算出手段)144は、入力デバイス151より設定された開口径を、HDD142に記憶されている検量情報に当てはめ、該所望の開口径を得るためのプローブ先端部からの透過光の光量値を求める。
前記CPU144は、前記フォトダイオード140により検出された透過光量値が、前記CPU142により算出された光量値となるように、XYZステージ130のZ軸方向の移動(上動)により、フォトダイオード140の受光面146のプローブ先端部への押付けを制御する。
【0043】
この結果、通常の近接場光学測定時、プローブはXYZステージのエリアA1上に位置するが、開口径の検査、変更を行う際は、図10(A)に示すように開口作製装置139により開口136が形成されているプローブ122をXYZステージ130の基板114のエリアA2に移動する。
そして、同図(B)に示すようにプローブ先端部にフォトダイオード140の受光面を当接させ、入力デバイス151より開口の所望の大きさを入力する。
そして、CPU144は、入力デバイス151より入力された開口の大きさを得るための光量値を、HDD142に記憶されている検量情報に当てはめて求める。
【0044】
そして、プローブ先端部にフォトダイオード140の受光面146を当接させた状態で、CPU144は、該先端部からの透過光の光量をフォトダイオード140により検出しながら、前記フォトダイオード140により検出された透過光量値が、先ほどCPU142により算出された光量値となるように、XYZステージ130のZ軸方向の移動により、フォトダイオードの受光面のプローブ先端部への押付けを制御することにより、プローブ開口の開口径d´への変更を容易に行なえる。
そして、開口径の変更後、プローブをXYZステージのエリアA1上に復帰させ、通常の近接場光学測定を行わせる。
【0045】
このように本実施形態は、プローブ122を取り付けたまま、プローブ先端部にフォトダイオードの受光面を押付けるだけで、開口の大きさの変更を容易に、かつ所望の大きさで行なえる。
さらに、開口径調整機構の各構成部材の機能を近接場光学顕微鏡(開口作製装置、開口径検査機構)の各構成部材を用いて実現しているため、これらを別個に設けた場合に比較し、構成の簡略化、装置の小型化等が図られる。
以上のように本実施形態にかかる近接場光学顕微鏡110によれば、実際に開口の透過率特性をモニタしながら開口を作製する開口作製装置139を備えることとしたので、再現性よく目的の大きさの開口を作製することができる。
【0046】
しかも、実際に使うサンプルステージ面とフォトダイオード140の受光面を同一面となるように設け、開口を作製するので、ステージ面と平行な開口面を形成することができる。
このようにして作製されたプローブをそのまま交換するまで近接場光学測定で使用し続けるので、エリアA1での近接場光学測定を正確に行なえる。
また、本実施形態では、開口径検査機構147を備えることにより、プローブを顕微鏡より取外すことなく、該プローブをステージのエリアA1と同一面のエリアA2に移動するだけで、開口が形成されているプローブの開口の検査を容易に行なえる。
【0047】
さらに、本実施形態では、開口径調整機構149を備えることにより、プローブを顕微鏡より取外すことなく、プローブをエリアA1と同一面のエリアA2に移動するだけで、開口の大きさの変更を容易に、かつ所望の大きさで行なえる。
なお、本発明の近接場光学顕微鏡は、前記構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば前記構成では、本発明のプローブ開口作製装置を近接場光学顕微鏡に組み込んだ例について説明したが、本発明のプローブ開口作製装置を単独で用いることも可能である。
【0048】
また、前記構成では、プローブのZ軸方向の位置を固定し、光検出手段をZ軸方向に移動(上動)し、光検出手段をプローブ先端部に押付けた例について説明したが、光検出手段のZ軸方向の位置を固定し、Z軸方向の微動送り機構等により、プローブをZ軸方向に移動(下動)し、該プローブ先端部を光検出手段に押付けることも好ましい。
また、近接場光学顕微鏡には、使用目的等に応じて、下記に示すような機構を付加することも好ましい。
【0049】
<分光機構1>
フィルタ分光は、例えば試料の被測定面の凹凸情報と各測定点の成分情報が同時に得られるので、非常に優れた検出方法であり、一般に光路中でフィルタの挿入と除去を繰り返すことにより、波長を選択する方法が採用されていた。
しかしながら、多数の波長の選択を可能にするためには、スペースを必要とし、また前記フィルタの挿入と除去のための機構も複雑となってしまう。
そこで、フィルタ分光を行なう際は、図11に拡大して示されるような分光機構150を、試料の被測定面のエバネッセント光の場の散乱光を導光する光ファイバ152の後段に設けることが好ましい。
【0050】
なお、同図(A)は要部の側面図、同図(B)は、後述するフィルタを光の進行方向より見た図である。
同図において、分光機構150は、異なる複数の波長を選択可能な波長選択部154a〜154dが同心円上に設けられた円盤状のフィルタ154と、駆動手段156、コンピュータ(制御手段)126を備える。
前記フィルタ154は、光ファイバ152からの、試料の被測定面のエバネッセント光の場の散乱光より、所望の波長選択部154a〜154dにより所望の波長の光成分を選択する。
【0051】
前記駆動手段156は、例えば駆動精度に優れたステッピングモータ、またはDCモータ等よりなり、前記フィルタ154の回転を行ない、光軸上に所望の波長選択部を位置させ、選択波長を変化させる。
前記コンピュータ126は、フィルタ154による選択波長が所望の波長となるように駆動手段156の動作を制御する。
この結果、同図に示されるような分光機構150を用いることにより、一台で多波長を簡便に選択することができる。
【0052】
なお、前記構成では、異なる複数の波長選択部154a〜154dが同心円上に設置された円盤状フィルタ154を用いた例について説明したが、これに代えて、選択波長がリニアに変化する回転型波長選択フィルタを用いることも好ましい。これにより、前記円盤状フィルタ154を用いた場合と同様、一台で多波長を簡便に選択することができる。
【0053】
<分光機構2>
一般に近接場顕微鏡では、試料からの光信号を、例えばイルミネーションモード、コレクションモード等の様々なモードで取得することができる。
しかしながら、複数のモード信号を同時に観測するためには、分光器+検出器を複数用意するか、各モードで測定を繰り返すかの、どちらかしかなかった。
そこで、様々な測定モードを同時に取得するため、図12に拡大して示されるような分光機構250を光ファイバ252の後段に設けることも好ましい。
【0054】
同図において、分光機構250は、例えばコレクションモードで試料からの光信号を取得するための集光手段252a,イルミネーションモードで試料からの光信号を取得するための集光手段252b,透過モードで試料からの光信号を取得するための集光手段252cと、分光器258を備える。
そして、集光手段252a,252b,252cにより集光された各光を、分光器258の縦スリット260の縦方向に並べ、同時に分光している。そして、分光された光を出射側の縦スリット262に取り出し、マルチチャンネル検出器264により同時に検出している。
【0055】
この結果、一台の分光器258、一台の検出器264により、さまざまな測定モードにより集光された試料の光信号やスペクトルを、同時に検出することができる。これにより、これらをそれぞれ設けた場合に比較し、構成が簡略化されるとともに、様々な測定モードで得た試料の光信号を同時に得られるので、同一試料の同時期の測定が行なえるので、該試料のより詳細な測定が行なえると共に、測定回数を減らすことができるので、作業が容易となる。
【0056】
<簡易観察機構1>
光ファイバプローブを用いた場合、一般に光ファイバと励起光の光路の位置調整を行なう必要があり、プローブ先端からの光の位置を目安に行われていた。
しかしながら、プローブ先端からの光の強度は非常に弱く、調整しがたいものであった。また、可視以外の光を結合する際には、肉眼では確認できず、プローブ先端を観察するカメラに頼ざるを得なかった。また、光ファイバの端面の平滑度やゴミの付着状況を直接確認する方法がなく、光学調整の際に障害となっていた。また、光ファイバの径は数マイクロメートルと非常に小さいので、前記位置調整が非常に困難であった。
【0057】
そこで、光ファイバと光路の位置調整を容易に行なうため、図13に拡大して示されるような、プローブ末端の光ファイバへのカップル部分を観察する観察機構366を付加することが好ましい。
同図において、観察機構366は、光源368からの光を平行光束とする凸レンズ370と、凸レンズ370からの光を、平行光束としてビームスプリッタ372を介して凸レンズ374に入射させ、該凸レンズ374により収束させてファイバ端面352に入射させる。ファイバ端面352からの光は凸レンズ374により集光され、ビームスプリッタ372により図中下方に反射され、さらに後段の凸レンズ376に入射され、該凸レンズ376によりモニタ378に集光される。該モニタ378では、プローブ末端の光ファイバへのカップル部分を観察することができる。
【0058】
この結果、光ファイバの端面を顕微鏡により肉眼観察できるため、波長によらず、容易に光学調整を行なうことができる。
また、前記図13に示した観察機構366の構成を一部変更し、図14に実線で示されるような機構を用い、また、光ファイバ端面の代わりに試料312を設置し、ビームスプリッタ372bを光路中に挿入する。そして、光源368からの白色光をレンズ376a、ビームスプリッタ372a,372b、レンズ374を介して試料312に照射する。その試料像光をレンズ374、ビームスプリッタ372b,372a、レンズ376bを介してモニタ378に導光すると、該試料面のある領域を簡易に観察することができる。
【0059】
つぎに、同図中、破線で示すようにビームスプリッタ372bを光路中より退避させる。一方、ビームスプリッタ372cを光路中に挿入し、レーザ光源369からのレーザ光をレンズ371、ビームスプリッタ372c、レンズ374を介して試料312に照射する。その試料312からの反射光をレンズ374、ビームスプリッタ372c、レンズ370を介して分光器373に導入すると、前述のようにして観察した試料面の顕微分光測定を行なうことができる。
【0060】
<簡易観察機構2>
一般的な測定は、プローブで試料の被測定面のほぼ全面を走査し、測定するが、ある領域を簡易に観察したい場合があり、この場合についても被測定面の全面を走査していたのでは面倒であった。
そこで、図15に拡大して示されるような簡易観察機構466を設け、試料412のある領域を簡易に観察可能にすることも好ましい。
同図において、簡易観察機構466は、カセグレン鏡480を備え、凹面鏡等よりなる主鏡482、及び例えば平頭凸面鏡等よりなる副鏡484の光軸上にプローブ422を設けている。
【0061】
そして、光源468からの光をビームスプリッタ472を介してカセグレン鏡480の副鏡484に入射し、該副鏡484からの光を主鏡482により、試料412のほぼ全方位より光を入射している。
この試料412よりの反射光は、該試料412のほぼ全方位より主鏡482により集光され、副鏡484を介して光軸上の上方に取出され、さらに後段のビームスプリッタ472を介して図中右方に反射され、モニタ478により観察可能にしている。
【0062】
この結果、カセグレン鏡480により、試料412をほぼ全周囲より観察することができるので、試料のある領域を実質的にほぼ真上より観察することが容易に行なえる。そのうえで、試料412を破線の位置に移動させて、簡易測定を行なうことも好ましい。
【0063】
<光路等切替表示機構>
一般に近接場顕微鏡では、例えばイルミネーションモード、コレクションモード等の測定モード等があり、装置の中の光路や、光学素子の切替が多く行われている。
しかしながら、種々の切り替え多くなるにつれ、その把握は非常に困難となる。
そこで、光路や、光学素子586の切替が行なわれる顕微鏡では、図16に拡大して示されるような切替表示機構588を設けることも好ましい。
この切替表示機構588は、PLD(光ファイバー付レーザー ダイオード)590と、切替表示用LED592を備えている。
【0064】
そして、PLD590は、光路切替機構や光学素子586等の切替機構の切替信号、または切替センサの出力S1を直接検知し、検知内容に応じて切替表示用LED592を点灯している。
例えば、イルミネーションモード可能となるように光学素子586等が切替えられた時は、LED592aのみを点灯、コレクションモード可能となるように光学素子586等が切替えられた時は、LED592bのみを点灯させること等により、光路や、光学素子の切替状態の目視確認が可能となる。
【0065】
この結果、測定前後に光路の表示を目視にて確認でき、迅速かつ的確に測定を実行することができる。
また、LED592の点灯のためにソフトウェアを介さないので、誤動作によるLED点灯がない。
また、LED592が点灯しないなどの視覚的にハードウェアの故障を推察確認することもできる。
【0066】
<ガスパージ型プローブ顕微鏡の排気機構>
ガスパージ型プローブ顕微鏡では、ガス充満型のクライオスタット内に試料室を入れ、一般に該クライオスタット内を常時ガスで置換している。
しかしながら、ガスラインを流れている流量を確認する手段がなく、ガスを無駄に使用していたり、ガスの不足によりパージがやぶれる等のおそれがあった。
このため、直接実験室を排気する方式も考えられ、ガスの流量の確認は容易である。
【0067】
しかしながら、実験室内の酸素濃度が下がり、実験に支障を来すおそれがあった。
そこで、近接場光学顕微鏡の試料室をクライオスタット内に設け、該クライオスタットにガスパージ可能なガスパージ機構を設けた際は、図17に示すような排気機構694をクライオスタット696に設けることが好ましい。
同図において、排気機構694は、クライオスタットからのガスを排気する排気系698と、ガスの流量をモニタする流量計またはモニタ700のためのモニタ系702に分ける分岐ポート704を設けている。
【0068】
また、ガスフロー型クライオスタットでのガス排出側にコック705を設け、一方でモニタ系702を介してモニタ700によりガス流量を検出し、一方でガスを排気系698を介して排出する。
この結果、モニタ700でガスの排出流量を確認したのち、コック705により排気ポート698に切替えることにより、適切なガス排出流量を保つことができ、かつ実験室内の酸素濃度を不必要に下げるおそれがない。
【0069】
ここで、クライオスタット696は、試料室を低温に冷やしているので、測定終了後、ガスが試料室内に逆流し、低温であった試料室内の温度が上昇すると、結露を生じる場合がある。
このためにコック706を設け、これを測定終了後は閉の状態とすることが好ましい。これにより、試料室内へのガスの逆流を防ぐので、該試料室内での結露を防ぐことができる。
【0070】
<赤外近接場光学顕微鏡>
一般に波長限界を越えた空間分解能を実現できる近接場技術は、主に可視光レーザを用いて実現され、赤外光の波長が長いため、近接場の応用が期待されている。
しかしながら、赤外の単一波長レーザを用いた測定がなされているのみであり、赤外近接場によるスペクトル測定をなされる手段は提案されていない。
また、レーザを用いて赤外スペクトルを取得するためには、波長可変レーザの開発が必須であるが、未だ実用に耐え得るものは完成していない。
【0071】
そこで、図18に示されるような赤外近接場光学顕微鏡808を構成することも好ましい。なお、前記図3と対応する部分には符号700を加えて示し説明を省略する。
同図に示す赤外近接場光学顕微鏡808において特徴的なことは、光源816として高温発熱体を用い、エバネッセント光の場をプローブ822で散乱し、その散乱光820の分光を行なう分光器838を設けたことである。
すなわち、高温発熱体からの赤外線は、凸レンズ850により平行光となり、後段の凸レンズ852に入射し、該凸レンズ852により収束され、被測定面812に全反射となるような角度で照射される。
【0072】
このような赤外光照射によって被測定面にはエバネッセント光が発生しており、該光の場を金属製プローブ822により散乱させ、その散乱光820を後段の凸レンズ854で集光し、分光器838に入射される。該分光器838では各波長毎に分光され、赤外検出器824により検出され、コンピュータ826では、分光スペクトルが得られる。
この結果、レーザを用いることなく、近接場赤外スペクトルを測定することができる。
【0073】
なお、前記高温発熱体としては、炭素けい素棒、ネルンスト発熱体、炭素アーク、炭素棒、石間、ファイヤロッド、ニクロム線、カンタル線、白金線、セラミックス等を用いることができる。
また、波長選択手段としては、波長可変フィルタ、任意の波長幅を持つバンドパスフィルタ、フーリエ変換型分光器、分散型分光器等を用いることができる。
また、赤外検出器へ投射される光信号は、光源と試料の中間に設けられたチョッパ856により断続変調することもできる。
【0074】
また、前記構成では、全反射照明モードについて説明したが、反射照明モードも可能であり、両モードの切替えを光学系の切替えにより可能にすることも、構成簡略化等の点で好ましい。
ここで、全反射照明では、半球または半球類似の形状高屈折率媒質プリズムを用い、該プリズム平面部の中心に、カセグレン鏡の焦点を結像させた照明系を設けることも好ましい。
【0075】
この高屈折率媒質としては、ZnSe、KRS−5、Ge、Si、ダイヤモンド等が用いられる。
また、反射照明系では、カセグレン鏡を用いて試料を照明することも、試料を多方向より照明できる点で好ましい。
また、カセグレン鏡と赤外検出器の中間に、切替反射鏡またはダイクロック鏡等の光学系を配置し、試料およびプローブが観察可能なように構成することも、構成簡略化等の点で好ましい。
【0076】
<軸はずしカセグレン鏡>
一般に、すべてミラーから構成されるカセグレン鏡は、レンズに比べてガラス等の構造物に透過・吸収等がなく、またNAを比較的大きくできるので、特に赤外域でも多用されている。
しかしながら、ミラーの配置上の問題で光学的に最も利用価値の高い中心部分の光をほとんど利用できない。また、同じ理由で全散乱角のうち、円環部分しか利用しておらず、現実的なNAは十分大きいとはいえない。
【0077】
そこで、図19に拡大して示されるように、カセグレン鏡を構成する凹面鏡として楕円面鏡966を用い、その一方の焦点968から発生した光をもう一方の焦点970に設置した凸面鏡で平行光に変換し、外部へ取出すことが好ましい。
そして、前記カセグレン鏡を、プローブ顕微鏡の像観察、散乱光集光、光照射のいずれかに用いることが好ましい。或いは前記楕円面鏡966を用いたカセグレン鏡を、赤外、可視、紫外顕微分光の際、像観察、集光、照射のいずれかに用いることも好ましい。
【0078】
例えば同図に示すように一方の焦点968に試料912を置き、他方の焦点970に分光器、検出器等の検出手段を設けることが好ましい。これにより、他の光学系を用いることなく、試料912からの光信号を検出手段に導光することができるので、楕円面鏡966を用いたカセグレン鏡を用いていない場合に比較し、構成の簡略化が図られる。
この結果、楕円面鏡966を用いたカセグレン鏡によりほぼ全方位を集光することが可能となるので、ほぼ上半球すべての散乱光を利用することができる。また、外部からの余分な迷光をカットすることもできる。
【0079】
<共振周波数の自動設定機構>
プローブ顕微鏡の測定において、プローブの共振がしばしば利用される。プローブの共振は、プローブごとに少しずつ異なっており、最適な測定を行なうためには、プローブ交換後にプローブの共振周波数を厳密に合わせる必要がある。
このため、共振信号を見ながらマニュアルで設定したり、共振周波数スペクトル全体を測定しそのピークを検出して設定する等していた。
しかしながら、この場合、時間と手間がかかり面倒であった。
【0080】
そこで、プローブの共振を測定に利用したプローブ顕微鏡において、共振周波数を検出し、検出された共振周波数に加振周波数を自動設定することが好ましい。
このために図20に示されるように、検出手段1000と、コンピュータ1026と、加振手段1002を備える。
前記検出手段1000は、プローブ1022の共振周波数を検出する。
前記コンピュータ1026は、検出手段1000で検出されたプローブ1022の共振周波数に加振手段1002の加振周波数を設定する。
【0081】
前記加振手段1002は、前記コンピュータ1026により設定された共振周波数でプローブ1022を振動させている。
この結果、前述のような検出手段1000、コンピュータ1026等の共振周波数の自動設定機構を用いることにより、自動でプローブの共振周波数を検出、設定することができるので、プローブ交換後等におけるプローブの共振周波数を合わせる作業が非常に容易となる。
【0082】
なお、前記コンピュータ1026は、ステージコントローラ1028により、ステージ1030を移動し、検出手段1000で検出されるプローブ1022の振動振幅が一定となるように、プローブ1022先端部と試料1012間の上下方向の距離を制御しつつ、試料1012の被測定面を走査すれば、該試料1012に非接触でかつ試料1012の凹凸を的確に把握することが可能となる。
ここで、自動で共振周波数を検出、設定する場合には、加振手段に白色ノイズ信号を入力し、プローブの振動振幅信号をフーリエ変換し、得られた共振周波数スペクトルのピーク位置を検出し、検出されたピーク位置の共振周波数に、加振手段の加振周波数を設定することも好ましい。
【0083】
このために同図において、コンピュータ1026と加振手段1002の間に信号発生手段1004を設けている。
前記信号発生手段1004は、白色ノイズ信号を発生し、加振手段1002に入力する。
前記加振手段1002は、入力された白色ノイズに従いプローブ1022を振動させている。
前記検出手段1000は、プローブ1022の振動振幅信号を検出する。
【0084】
前記コンピュータ1026は、検出手段1000で得られたプローブ1022の振動振幅信号をフーリエ変換し、得られた共振周波数スペクトルのピーク位置を検出する。そして、検出されたピーク位置の共振周波数に、加振手段1002の加振周波数を設定する。
この結果、前記プローブの共振周波数の検出、設定を迅速に及び正確に行なうことができる。
【0085】
ここで、共振周波数スペクトルのピーク位置を検出する場合には、周波数を掃引して共振周波数スペクトルのピークを検出し、検出されたピークの共振周波数に加振周波数を設定することも好ましい。
このために同図において、コンピュータ1026は、検出手段1000で得られた振動振幅信号をフーリエ変換して得られた共振周波数スペクトルの周波数を掃引してピーク位置を検出する。そして、検出されたピーク位置の共振周波数に、加振手段の加振周波数を設定する。
【0086】
この結果、前記プローブの共振周波数の検出、設定をより迅速に及び正確に行なうことができる。
ここで、共振周波数スペクトルの周波数を掃引する場合には、周波数を掃引する範囲を指定し、粗く周波数を掃引して、おおよそのピーク位置を特定する。その後、そのピーク位置の近辺のみを再度、細かく掃引してピーク位置を特定し、そのピーク位置の周波数に加振周波数を設定することも好ましい。
このために同図において、コンピュータ1026は、まず、検出手段1000で得られた振動振幅信号をフーリエ変換して得られた共振周波数スペクトルをディスプレイ1006に表示する。
【0087】
使用者は、ディスプレイ1006上のスペクトルを見て、周波数を掃引する範囲をコンピュータ1026に設定する。
すると、コンピュータ1026は、この設定された範囲を粗く周波数を掃引して、おおよそのピーク位置を特定する。その後、コンピュータ1026は、そのピーク位置の近辺のみを再度、細かく掃引してピーク位置を特定し、そのピーク位置の周波数に加振周波数を設定する。
この結果、前記プローブの共振周波数の検出、設定をより迅速に及び正確に行なうことができる。
【0088】
<プローブと試料の距離制御機構>
AFM,STMや近接場光学顕微鏡などにおいて、さまざまなプローブと試料の距離制御技術が提案されている。
例えば、プローブの微小開口などで集めた光信号から、試料の情報を得る近接場光学顕微鏡においては、プローブを加振し振動振幅を検出する方法や、プローブの微小開口で集められた信号強度を検出する方法等が知られている。
しかしながら、前記プローブを加振し振動振幅を検出する方法では、制御のためにレーザを用意する必要がある。また、そのレーザが試料からの発光に混ざる場合がある。
【0089】
また、前記プローブの微小開口で集められた信号強度を検出する方法では、試料の情報を含む微小開口からの光信号を減らしてしまう。また、試料との物理的な相互作用を利用しているため、軟弱な試料には対応できないという欠点があった。
そこで、先鋭化されたプローブと試料表面の距離を一定に保ちつつ、試料表面を走査し、その表面形状などを測定するプローブ顕微鏡において、透明な試料ステージに全反射条件で入射された光により試料ステージに発生したエバネッセント光を、プローブで散乱した散乱光の強度を外部よりレンズなどで集光し、検出し、その信号強度を距離情報として制御することが好ましい。
【0090】
このために図21に示されるように、試料ステージ1130として透明な試料ステージを用い、そのステージ1130上の試料1112に裏面側より励起光1118を全反射条件を満たすように入射させる。
そして、励起光1118により試料1112に発生したエバネッセント光の場をプローブ1122で散乱し、その散乱光1121の強度を、外部よりレンズ等の集光手段1108で集光し、分光分析部1111で分光分析し、その信号強度をコンピュータ1126に入力する。
【0091】
このコンピュータ1126は、ステージコントローラ1028により、ステージ1130を移動し、検出手段1100で検出される信号強度が一定となるようにプローブ1122先端部と試料1112間の上下方向の距離を制御しつつ、試料1112の被測定面を走査すれば、該試料1112に非接触でかつ試料1112の凹凸を的確に把握することが可能となる。
【0092】
この結果、前述のようなプローブと試料の距離制御機構により、透明な試料ステージ1130に、検出側とは反対側より全反射条件で入射された励起光1118により試料1112に発生したエバネッセント光の場をプローブ1122で散乱し、その散乱光1121の強度を外部よりレンズなどの集光手段1108で集光し、後段にてプローブ1122と試料1112間の距離制御に用いているので、余計な励起光を検出系に導入しないので、試料1112からの光情報を損なうことなく、軟弱な試料に対してもプローブと試料の距離を的確に制御することができる。
【0093】
<近接場マッピングスペクトル分析のモニタ機構>
近接場分光分光装置においては、しばしば測定系のバックグラウンドスペクトルが試料からの信号に重畳し、試料のスペクトルの観察の障害となる。
バックグラウンドに対して試料のスペクトルが非常に弱い場合、マッピング測定中に目的のピークが得られているかどうか確認し難かった。測定を開始する前、または全て終了した後に取得したバックグラウンドスペクトルを使用し、測定スペクトル引く方法が用いられることがある。
【0094】
しかしながら、測定時間が長い近接場分光測定においては、装置のドリフト等の問題で満足のゆく結果が得られなかった。
そこで、近接場分光装置において、プローブと試料の距離が十分離れている状態での近接場のバックグラウンドスペクトルを測定する手段を有し、プローブと試料が近接場領域でのマッピングスペクトル測定の際に、測定されたバックグラウンドスペクトルを差し引いたスペクトルをリアルタイムに表示する機構を設けることが好ましい。
【0095】
このために図22に示されるようにバックグラウンド測定手段1213と、コンピュータ1226と、ディスプレイ1206を備える。
まず、コンピュータ1226は、ステージコントローラ1228により、ステージ1230を移動し、プローブ1222と試料1212の距離が十分離れている状態とする。
この状態で、バックグラウンド測定手段1213は、試料1212上の近接場のバックグラウンドを測定する。
【0096】
コンピュータ1226は、CPU1244により、バックグラウンド測定手段1213で得た結果よりバックグラウンドスペクトルを得、これをHDD1242に記憶する。
このCPU1244は、測定中、分光分析部1224により測定された近接場マッピングスペクトルより、HDD1242に記憶されているバックグラウンドスペクトルを差し引いたスペクトルを求め、ディスプレイ1206に表示する。
この結果、前述のような近接場マッピングスペクトル分析のモニタ機構を用いることにより、測定中に試料のピークを確実に観察することができる。
【0097】
また、装置のドリフトの影響を受けにくい近接場マッピングスペクトルを得ることができる。
ここで、測定中の任意の場所でのバックグラウンドスペクトルを採取し、基準となるバックグラウンドを任意に更新する機構を設けることも好ましい。
このために同図において、通常の測定中、バックグラウンド測定手段1213は、試料1212上の近接場のバックグラウンドを測定する。
コンピュータ1226は、CPU1244により、バックグラウンド測定手段1213で得た結果よりバックグラウンドスペクトルを得、HDD1242に記憶されているバックグラウンドスペクトルを更新する。
【0098】
ここで、試料測定面上のある1ラインの測定終了後にバックグラウンドスペクトルを採取し、これを次の1ラインの測定終了後にバックグラウンドスペクトルとして採用することも好ましい。
このために同図において、コンピュータ1226は、ステージコントローラ1228の駆動により、該試料1212上のある1ラインについて非接触でかつ試料1212の凹凸情報を得る。
つぎに、コンピュータ1226は、前述のようにバックグラウンド測定手段1213に試料1212上の近接場のバックグラウンドを測定させる。
【0099】
測定後、コンピュータ1226は、CPU1244によりバックグラウンド測定手段1213で得た結果よりバックグラウンドスペクトルを得、HDD1242に記憶されているバックグラウンドスペクトルを更新する。
つぎに、コンピュータ1226は、ステージコントローラ1228の駆動により、該試料1112上の次の1ラインについて非接触でかつ試料1112の凹凸情報を得る。
CPU1244は、測定中、分光分析部1224により測定された近接場マッピングスペクトルより、HDD1242に記憶されているバックグラウンドスペクトルを差し引いたスペクトルを求め、ディスプレイ1206に表示する。
【0100】
このように測定中、
▲1▼バックグラウンドスペクトルの採取及び更新、
▲2▼試料1112上のある1ラインの近接場マッピングスペクトルの採取、
▲3▼前記1ラインの近接場マッピングスペクトルに対する、直ぐ直前のステップ▲1▼で更新されたバックグラウンドスペクトルによる補正、
▲4▼バックグラウンドスペクトルの採取及び更新、
▲5▼試料1112上の次の1ラインの近接場マッピングスペクトルの採取、
▲6▼該1ラインの近接場マッピングスペクトルに対する、直ぐ直前のステップ▲4▼で更新されたバックグラウンドスペクトルによる補正を、試料上の所望のエリアの測定が終わるまで繰り返す。
【0101】
この結果、前述のような近接場マッピングスペクトル分析のモニタ機構を用いることにより、測定中に試料のピークを確実に観察することができる。装置のドリフトの影響を受けにくいマッピングスペクトルを採取することができる。
<平坦プローブを用いた電場印加近接場測定機構>
原子間力顕微鏡や走査トンネル顕微鏡などのプローブ顕微鏡では、プローブと試料または試料ステージ間に一定の電圧をかけ、試料の挙動を調べる方法が知られている。
【0102】
これらの方法では、プローブが片方の電極の役割を持つが、必要な空間分解能を確保するため、プローブが鋭く尖っている必要がある。
このため、平坦面であることの必要な電極としての機能は制限されており、試料に印加されている電場分布は満足できるものではなかった。
また、これらのプローブ顕微鏡は、表面の形状を測定することはできるものの、光特性が問題となる試料に対しては必要な情報を取出りすことができなかった。 また、試料側にも電極を配置することから試料部分を顕微鏡観察する方法がなかった。
【0103】
そこで、プローブ先端部の金属皮膜を平らに加工したプローブを用いた近接場測定において、プローブと試料自体または試料ステージの間に電場を印加し、与えられた電場に応じた試料の変化を高空間分解能測定することが好ましい。
このために図23に示されるように、プローブ1322の先端部の金属皮膜を平らに加工している。また、電場印加手段1315を備える。
この電場印加手段1315は、プローブ1322と試料ステージ1330の間に所望の一定電場を印加し、プローブ1322と試料ステージ1330の間の距離の変化に応じた電場の変化は、増幅器1317を介してコンピュータ1326に入力される。
【0104】
そして、コンピュータ1326は、コントローラ1319により、アクチュエータ1323を駆動し、増幅器1317からの電場信号が一定となるようにプローブ1322先端部と試料1312間の上下方向の距離を制御しつつ、試料1312の被測定面を走査すれば、該試料1312に非接触でかつ試料1312の凹凸を的確に把握することが可能となる。
この結果、前述のような平坦プローブを用いた電場印加近接場測定機構を用いることにより、ほぼ平坦な対向電極を形成することができるので、ほぼ均一な電場を試料に印加することができる。
【0105】
したがって、ほぼ均一な電場を試料に印加することができるので、例えば液晶の動作測定、水中での溶質の挙動測定、水中の基板に固定された試料の挙動測定等が正確に行なえる。
また、電極として働く試料ステージとして透明電極を用い、プローブと反対側より試料の顕微鏡観察を可能にすることも好ましい。
このために同図において、試料ステージ1330として透明電極を用いている。また、観察手段1325を設けている。
【0106】
この観察手段1325は、反射鏡1327,1329と、CCDカメラ1331を備えている。
そして、試料1312の様子は、透明な試料ステージ1330を介して反射鏡1327,1329により導光され、CCDカメラ1331により撮影される。
CCDカメラ1331で得た映像信号はコンピュータ1326に入力され、ディスプレイ1306に表示される。
このため使用者は、ディスプレイ1306上にて試料1312の観察が行なえるので、表面の形状を測定しつつ、また光特性が問題となる試料に対しては測定を行ない、必要な情報を取出りすことができる。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるプローブ開口作製装置、及びそれを用いた近接場光学顕微鏡によれば、プローブ先端部と接触し、該先端部からの透過光の光量を検出する光検出手段により検出された光量値が、開口を所望の大きさで得るための光量値となるように、押付手段によるプローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを制御する押付制御手段を備えることとしたので、プローブ先端部に開口を所望の大きさで容易に作製することができる。
また、本発明にかかる近接場光学顕微鏡によれば、開口が形成されているプローブの開口の大きさを検査する開口径検査機構を備えることにより、プローブの開口の大きさの検査を容易に行なえる。
さらに、本発明にかかる近接場光学顕微鏡によれば、開口が形成されているプローブの開口の大きさを変更する開口径調整機構を備えることにより、プローブの開口の大きさの変更を容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な近接場光学顕微鏡の概略構成の説明図である。
【図2】プローブの説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる近接場光学顕微鏡の概略構成の説明図である。
【図4】図3に示した近接場光学顕微鏡のプローブ開口作製装置の設置箇所の説明図である。
【図5】図3に示した近接場光学顕微鏡のプローブ開口作製装置の概略構成の説明図である。
【図6】図5に示したプローブ開口作製装置の作用の説明図である。
【図7】図3に示した近接場光学顕微鏡の開口径検査機構の概略構成の説明図である。
【図8】図7に示した開口径検査機構の作用の説明図である。
【図9】図3に示した近接場光学顕微鏡の開口径調整機構の概略構成の説明図である。
【図10】図9に示した開口径調整機構の作用の説明図である。
【図11】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる分光機構の説明図である。
【図12】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる分光機構の変形例の説明図である。
【図13】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる観察機構によるファイバ端面観察時の説明図である。
【図14】図13に示した観察機構による試料簡易観察、測定時の説明図である。
【図15】図14に示した観察機構の変形例の説明図である。
【図16】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる光路等表示機構の説明図である。
【図17】近接場光学顕微鏡で好適に用いられるガス排出切替機構の説明図である。
【図18】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる赤外近接場光学顕微鏡の概略構成の説明図である。
【図19】赤外等の近接場光学顕微鏡等で好適に用いられる集光機構の説明図である。
【図20】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる共振周波数の自動設定機構の説明図である。
【図21】近接場光学顕微鏡で好適に用いられるプローブと試料の距離制御機構の説明図である。
【図22】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる近接場マッピングスペクトル分析のモニタ機構の説明図である。
【図23】近接場光学顕微鏡で好適に用いられる平坦プローブを用いた電場印加近接場測定機構の説明図である。
【符号の説明】
110 近接場光学顕微鏡
116 光源
122 プローブ
128 ステージコントローラ(押付制御手段)
142 HDD(記憶手段)
144 CPU(算出手段,押付制御手段,比較手段)
130 XYZステージ(押付手段)
139 開口作製装置
140 PINフォトダイオード(光検出手段)
147 開口径検査機構
149 開口径調整機構
151 入力デバイス(設定手段)

Claims (5)

  1. 光透過性を有する材質で構成されたコアと、該コア上に形成され、延性及び遮光性を有する材質で構成されたマスクと、を備えたプローブ先端部のマスクを所望の大きさで開口する装置であって、
    前記プローブに光を入射する光源と、
    前記プローブ先端部と接触しており、前記プローブ先端部から照射される透過光を受光部で受光することにより該受光量に比例した電流を出力するフォトダイオードと、
    前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう押付手段と、
    あらかじめ前記プローブ先端部から照射される透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している記憶手段と、
    所望の大きさの開口を得るための光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報より求める算出手段と、
    前記光検出手段により検出された光量値が、前記算出手段により算出された光量値となるように、前記押付手段によるプローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを制御する押付制御手段と、を備えたことを特徴とするプローブ開口作製装置。
  2. 請求項記載のプローブ開口作製装置を備え、該開口作製装置により開口が形成されたプローブ先端部で試料の被測定面のエバネッセント光の場を散乱し、その散乱光を該開口より集光し、あるいは該開口よりしみ出したエバネッセント光を被測定面に照射し、その散乱光ないし反射光を該開口より集光し、試料の被測定面の情報を得ることを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  3. 請求項記載の近接場光学顕微鏡において、
    前記押付手段としては、前記プローブ先端部と試料の被測定面との光軸方向の距離を制御する送り手段を用いたことを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  4. 請求項又は記載の近接場光学顕微鏡において、
    開口が形成されているプローブ先端部の開口の大きさを検査する開口径検査機構であって、該開口径検査機構は、
    前記プローブに光を入射する光源と、
    前記プローブ先端部と当接し、前記光源の光による該先端部からの透過光の光量を検出する光検出手段と、
    前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう押付手段と、
    あらかじめ前記プローブ先端部から照射される透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している記憶手段と、
    前記光検出手段により検出された光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報に当てはめ、前記プローブ先端部の開口の大きさを求める比較手段と、
    を備えたことを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  5. 請求項記載の近接場光学顕微鏡において、
    開口が形成されているプローブ先端部の開口の大きさを変更する開口径調整機構であって、該開口径調整機構は、
    前記プローブに光を入射する光源と、
    前記プローブの先端部と当接し、前記光源の光による該先端部からの透過光の光量を検出する光検出手段と、
    前記プローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを行なう押付手段と、
    あらかじめ前記プローブ先端部から照射される透過光の光量値と、開口の大きさとの検量情報を記憶している記憶手段と、
    前記プローブ先端部の開口の所望の大きさを設定する設定手段と、
    前記設定手段により設定された大きさの開口を得るための光量値を、前記記憶手段に記憶されている検量情報より求める算出手段と、
    前記光検出手段により検出された光量値が、前記算出手段により算出された光量値となるように、前記押付手段によるプローブ先端部と光検出手段との光軸方向の押付けを制御する押付制御手段と、
    を備えたことを特徴とする近接場光学顕微鏡。
    以上
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