JP4387051B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者のハンドル操作に対して電動機を電流フィードバック制御により駆動制御して補助力を与える電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置では運転者のハンドル操作に対して電動機駆動により補助力を与えるにあたり、ハンドル操舵感覚向上のためにさまざまな工夫がなされてきた。例えば図24は特開昭61−132465「電動式パワーステアリング装置のモータ制御装置」に示されるアシスト信号の特性を示すグラフである。図の太い実線M0は、捻りトルクの大きさが所定値1より小さいとアシスト信号は出力されず、所定値1以上所定値2以下ではトルクに比例した比例ゲインの小さいアシスト信号が出力され、所定値3より大きいと比例ゲインの大きいアシスト信号が出力されることを示している。また車速が大きくなると実線M1,m1あるいは点線M2,m2のように捻りトルクに対するアシスト信号出力は減少するように設計されている。このようにトルクおよび車速にともないアシスト信号を変化させることでハンドル操舵感覚向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電動機を駆動制御するときの電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数と機械系の固有振動数の関係によって以下のような操舵感悪化、騒音発生という問題がある。図21は電動パワーステアリング装置の構造例である。図において、5は補助力を与えるモータ、24はモータを電流制御するためのコントロールユニット、25はハンドル、26はハンドル軸、27は減速機、28はピニオン軸、また29は車輪である。モータ5にはコントロールユニット24で決定された電流指令値に基づき電流が供給され、減速機27およびハンドル軸26を介してハンドル25にトルクが伝達され、運転者のハンドル操作を補助する。
【0004】
モータ5の回転軸と減速機27の間にはギアの隙間があり、またハンドル25、ハンドル軸26、ピニオン軸28などが連結されているため、モータ回転系の1次の固有振動数はたいていの場合数十〜数百Hzに存在する。
【0005】
電動パワーステアリング装置で用いられる電動機にはトルク変動が存在しており、これが回転系の1次の固有振動数と共振すると振動が増幅されてハンドルが大きく振動するため、操舵感覚が悪化する。特に電動機にブラシ付直流機を用いる場合には、ブラシと整流子間の接触抵抗変動によりモータ電流が回転系の1次の固有振動数で発振してハンドルが振動し、騒音が発生するという問題がある。本現象は電動機がトルクを発生したまま静止しているハンドル保舵時あるいは低速回転時に顕著にあらわれる。
【0006】
また、電動機を駆動制御するときのCPUの性能等から電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数には上限があり、モータ回転系の1次の固有振動数と近似する場合がある。
【0007】
このように電流フィードバック制御の交差周波数が電動機の回転系の固有振動数と近似している場合には、制御ゲインあるいは位相余裕が小さいため不安定な応答となって電動機の回転系の固有振動数で電流が大きく振動するという問題がある。
【0008】
本現象は電動機がトルクを発生したまま静止している時あるいは低速回転している時に顕著にあらわれる。図22は通常の場合のモータ電流波形、図23は電流が大きく振動したときのモータ電流波形を同じスケールで示している。このようにモータ電流が大きく振動するときにはトルク脈動が大きくなり、その振動がハンドル軸26を介してハンドル25に伝達され、操舵感覚が悪化する。
【0009】
また、機械系の固有振動数には前述の回転系の固有振動数以外に、電動機の軸たわみの固有振動数や電動機の外殻の固有振動数など多くの要素がある。これらの固有振動数は数百Hz以上のものが多く、聴感上不快な騒音として聞こえることが多い。
【0010】
モータ駆動時の加振力の基本周波数は(モータ回転数)×(モータセグメント数)であり、その整数倍の加振力が大きくなる。この加振力は主に半径方向に働き、モータの電機子内の電流分布アンバランスや、回転子と固定子の軸がずれることによる偏心、モータの磁石の着磁アンバランスなどが原因で発生するもので、端子電流の大きさを制御しても加振力を低減することは困難である。この加振力の大きさは電流制御ゲインの影響を受け、応答性を高めるため電動機を駆動制御するときの電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を大きくとると、前述の加振周波数に対する制御ゲインが大きくなるため加振力が大きくなり、機械系の固有振動数との共振で発生する騒音が大きくなるという問題がある。本現象は電動機が高速回転している時に顕著にあらわれる。
【0011】
本発明は上述のような問題を解消するためになされたもので、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を、モータ回転系の1次の固有振動数以上に設定することにより、電動機に供給する電流が回転系の1次の固有振動数で変動するのを抑制でき、ハンドルに伝わる振動を低減して操舵感覚が向上する電動パワーステアリング装置を得ることを目的とする。
また、電流フィードバック制御の交差周波数を、電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下に小さく設定することにより、軸たわみ系の1次の固有振動数での制御ゲインを小さくして加振力を小さくし、電動機の加振力が電動機の軸たわみ系の固有振動数等と共振することによって発生する騒音を低減する電動パワーステアリング装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の電動パワーステアリング装置は、運転者のハンドル操作によって自動車の進行方向を指示するハンドルと、ブラシと整流子とが接触して電機子に電流を供給するブラシ付直流電動機からなり、ハンドル操作に対して補助力を与える電動機と、電動機を電流フィードバック制御により駆動制御する電動機制御手段とを有する電動パワーステアリング装置において、電動機の固有振動数は、軸たわみ系の1次の固有振動数が、回転系の1次の固有振動数よりも高く、電動機制御手段は、電流フィードバック制御のサンプリング周波数が、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の5倍以上となる、デジタル制御を行い、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数は、ハンドル保舵時には電動機の回転系の1次の固有振動数以上であり、ハンドル回転時には電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下であることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の一実施例である実施の形態1に関する電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび該コントロールユニットに接続される入出力装置を示す機能ブロック図である。図において、1は運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段、2は車速検出手段、3はモータ回転数検出手段(電動機回転数検出手段)である。4は電流指令値決定手段であり、操舵トルク、車速、およびモータ回転数に応じて適切なモータ駆動電流指令値を遂次決定する。
【0033】
電流指令値決定手段4は、操舵トルクの信号に応じて車速毎に適切な補助力を発生させるようにマッチングされたベース電流決定手段4a、モータの慣性モーメントのフィーリングへの影響を除去することを目的とし、操舵トルク検出手段1の検出信号のハイパスフィルタ出力を車速に応じて重み付けする微分制御係数との積によって求める微分制御手段4b、ハンドル手放し時のステアリングの収斂性を改善するためにモータ回転数検出手段3の回転検出値に対して逆方向に車速演算値に応じて重み付けされた補償電流を通電する収斂制御手段4c、操舵系のギア、モータなどの摩擦によるハンドル戻り性の悪化を補正する摩擦補償電流決定手段4dなどから構成されている。
【0034】
電流指令値決定手段4の出力した指令値は、モータ(実負荷)5の駆動電流を検出する電流検出手段6を介してコントロールユニットにフィードバックされた値との間で偏差が演算される。
【0035】
電流フィードバックゲイン設定手段7は、偏差εの絶対値が第1のしきい値としての所定値Th1より大のときは通常設定されているゲインにより偏差を増幅し、偏差εの絶対値が所定値Th1以下のときは電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下となるようなゲインにより偏差を増幅する。
【0036】
フィードバックゲイン設定手段により補正された偏差は、PIコントローラ8に入力され、電流フィードバック制御が遂次実行される。さらに、コントローラ出力はパルス幅変調手段9により所定の搬送周波数と制御量に応じたパルス幅の信号に変換される。パルス幅変調手段9の出力は、バッテリ10の供給する電源により電力増幅され、モータ5に制御電流を供給する。
【0037】
また、図2は、上記実施の形態1に関する電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび周辺の回路ブロックの構成例を示したものである。図において、11は電動機制御手段としてのマイクロコントローラであり、CPU15、制御手順および制御特性等が記憶されているROM16、制御演算値の一時的な保管のためのRAM17、プログラムの実行周期の管理をおこなうためのタイマ18、操舵トルク検出手段2の検出する検出トルク信号および電流検出手段6の検出するモータ駆動電流値等をCPU15に取り込むためのA/D変換器19、CUP15で処理・実現されるPIコントローラ8の演算結果に基づきドライブ回路12を介してモータを駆動する主回路14に供給するパルス幅変調(PWM)信号を供給するためのパルス幅変調手段9、およびCPU15の周辺の回路との信号の受け渡しをおこなうI/Oポート21等で構成されている。
【0038】
運転者がキースイッチ20をONすることでシステムが起動すると、マイクロコントローラ11は所定の初期故障診断および初期化処理を実施した後、ドライブ回路12を介して制御されるリレー13を閉じることにより、モータ5を主回路14より駆動可能とする。そして操舵トルク検出手段1、車速検出手段2、モータ回転数検出手段3等の出力に応じてモータ駆動電流指令値を演算し、電流検出手段6の検出値をフィードバックすることでモータ5の発生する出力トルクを制御している。
【0039】
上記回路におけるCPU15の処理の詳細について説明する。電動機制御手段としてのCPU15は、ROM16に予め記憶されたソフトウェアを遂次実行することによりモータ駆動電流を電流指令値に対し追従制御をおこなう。まずタイマ18により一定の周期に管理された演算周期毎に操舵トルク検出手段1、車速検出手段2、モータ回転数検出手段3の各出力を参照し、今回制御周期におけるモータ駆動電流指令値を演算する。一方、電流検出手段6の出力するモータ駆動電流検出値も一定の周期毎に参照する。そして電流フィードバック処理をおこない、主回路14で用いるPWM制御の駆動デューティーとするPI制御演算出力を得る。本制御演算出力をパルス幅変調手段9により主回路14の動作に必要なPWM信号に変換する。また一方、CPU15はモータ駆動電流指令値の駆動方向に応じて主回路14の出力するモータ電流駆動方向をI/Oポート21から出力することにより、モータ5を適切な方向に駆動している。
【0040】
次に、本実施例における電流フィードバック処理のソフトウェアの動作について図3のフローチャートに基づいて説明する。電流フィードバック処理演算ルーチンは、タイマ18の機能によって一定周期毎に呼び出され、処理が実行される。そして、ステップS1で電流指令値決定手段4の出力する電流指令値を取り込み、またステップS2で電流検出手段5の出力するモータ駆動電流検出値(電動機駆動電流値)を取り込み、この両者から偏差εをステップS3で求める。
【0041】
ステップS4では、ステップS3で求めた偏差εの絶対値を、第1のしきい値としてのしきい値Th1と比較し、しきい値Th1より大のときは通常設定されているゲインK1を乗ずるステップS5へ、またしきい値Th1以下のときは電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下となるようなゲインK2を乗ずるステップS6へ分岐する。ステップS5またはS6において、ステップS3で求めた偏差εに対する所定ゲインK1またはK2を乗ずることで補正偏差ε’を得る。
【0042】
ステップS7およびS8では、各補正後の偏差ε’に対して比例項(P項)および積分項(I項)の演算を実行する。また、ステップS9では、P項とI項の和を求め、主回路14を駆動するパルス幅を求める。ステップS10では、電流指令値の方向に基づきモータ5に通電する出力の向きを主回路14に指示する。さらにステップS11でパルス幅変調手段9に対してステップS9で求めた制御出力をセットすることで、PI演算結果にしたがった所定のモータ駆動デューティーパルスを出力する。
【0043】
上記ステップS3で求めた電流指令値とモータ駆動電流検出値の偏差εが大きいときは、運転者の急激なハンドル操作のためモータの回転は加速あるいは減速されるような高速回転時の場合であり、偏差εが小さいときは、運転者はハンドルを保舵あるいは低速で回転させているためモータが静止あるいは低速回転時の場合である。前述のようにモータがトルクを発生したまま静止している時あるいは低速回転している時、電流フィードバック制御の交差周波数が電動機の回転系の固有振動数と近似している場合には、電動機の回転系の固有振動数で電流が大きく振動してその振動がハンドルに伝達され、操舵感覚が悪化するという問題がある。
【0044】
モータが静止あるいは低速回転している場合は、図3のステップS3で求めた偏差εがしきい値Th1以下となり、ステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下となるようなゲインK2を乗ずることで得られる補正偏差ε’に対して比例および積分の演算が実行される。この場合の電流フィードバックループの一巡伝達関数を図示すると図4のようになる。
【0045】
図4においてfnは、回転系の1次の固有振動数、またfcは、交差周波数でありfnより小さくなる(1/21/2倍以下である)。したがって回転系の1次の固有振動数fnにおける制御ゲインは、−3dB以下となり、制御系が電流変動に与える影響を小さくすることができる。このように制御ゲインを選択することで、ハンドル保舵時のように電流が発振する現象がある場合には制御帯域を小さくして機械伝達系も含めた応答が安定となるようにでき、またハンドル急速操舵時のように過渡応答が必要な場合には通常設定された制御帯域で電流制御されるため十分な応答性が確保できる。
【0046】
実施の形態2.
図5は、本発明の一実施例である実施の形態2に関する電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび該コントロールユニットに接続される入出力装置を示す機能ブロック図は実施の形態1で示した図1と同様、また電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび周辺の回路ブロックの構成例は図2と同様なため省略する。
【0047】
図5に関しては、ステップS1〜S3及びS7〜S11は、実施の形態1の図3と同様であり、変更部分であるS4〜S6について説明する。図5のステップS4では、ステップS3で求めた偏差εを第2のしきい値としてのしきい値Th2と比較し、しきい値Th2より小のときはゲインK1を乗ずるステップS5へ、またしきい値Th2以上のときはゲインK2を乗ずるステップS6へ分岐する。
【0048】
ここでゲインをK1としたときのPI演算による電流フィードバックループの一巡伝達関数は、図6に示すようになり、交差周波数をfc0とする。またゲインK2としたときのPI演算による電流フィードバックループの一巡伝達関数は図7に示すようになり、交差周波数fcは例えばfc0/21/2以下となるように設定している。また図6および図7において、fnは例えばモータの軸たわみの固有振動数のような機械系の固有振動数の1つを示している。
【0049】
モータ駆動時の加振力の基本周波数は、(モータ回転数)×(モータセグメント数)であり、その整数倍の加振力が大きくなる。モータ電流制御の応答性を高めるため電動機を駆動制御するときの電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を大きくとると、前述の加振周波数に対する制御ゲインが大きくなるため加振力が大きくなり、機械系の固有振動数と共振することにより発生する騒音が大きくなるという問題がある。
【0050】
電動機が高速回転している時にはモータ回転数およびモータ電流が大きくなるため加振力は大きくなり、騒音レベルは特に大きくなる。モータが高速回転している場合は図5のステップS3で求めた偏差εがしきい値Th2以上となり、ステップS6により制御ゲインK2が選択されPI演算による電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcは小さく(fc0/21/2以下)なる。このとき図6、図7に示すように機械系の固有振動数fnにおける制御ゲインは従来より小さくなり(3dB以上小さくなり)、したがって騒音レベルを小さくすることができる。このように制御ゲインを選択することで、ハンドル急速操舵時のようにモータ電流が大きくなるため加振力が大きくなるなる場合には制御帯域を小さくして低騒音化をはかり、またハンドル低速回転時のようにモータ電流が小さい場合には通常設定された制御帯域で電流制御されるため十分な応答性が確保できる。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2においては電流フィードバックの演算式選択の指標として電流指令値決定手段の出力する電動機駆動電流指令値と電流値検出手段の出力する電動機駆動電流値の偏差を用いたが、本実施の形態3では電流フィードバックの演算式選択の指標として電動機回転数検出手段の出力する電動機回転数信号を用いる例について記述する。
【0052】
電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび該コントロールユニットに接続される入出力装置を示す機能ブロック図は実施の形態1で示した図1と同様、また電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび周辺の回路ブロックの構成例は図2と同様である。図8に本発明の一実施例である実施の形態3に関する電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートを示す。図8のフローチャートは、図3、図5のフローチャートに対してステップS12の取り込み信号をモータ回転速度検出値ωmtr(電動機回転数検出手段3の出力する電動機回転信号)とし、ステップS4におけるフィードバックゲイン切り替えの指標をこのωmtrでおこなうものとしている。
【0053】
すなわち電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の固有振動数と近似している場合には、モータがトルクを発生したまま静止している時あるいは低速回転している時に電流が大きく振動してハンドル操舵感が悪化する現象があり、この場合は実施の形態1と同様に図8においてモータ回転速度検出値ωmtr(電動機回転信号)が、第1のしきい値としてのしきい値Th3以下であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下となるようなゲインK2を選択して電流制御をおこなうことで操舵感覚を向上させることができる。
【0054】
また、モータ電流制御の応答性を高めるため電動機を駆動制御するときの電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を大きくしている場合には、(モータ回転数)×(モータセグメント数)の整数倍の加振周波数に対する制御ゲインが大きくなるため加振力が大きくなり機械系の固有振動数と共振することにより発生する騒音が大きくなるという現象があり、この場合は実施の形態2と同様に図8においてモータ回転速度検出値ωmtr(電動機回転信号)が、第2のしきい値としてのしきい値Th4以上であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が通常の交差周波数の1/21/2倍以下となるようなゲインK2を選択して電流制御をおこなうことで騒音レベルを小さくすることができる。モータ回転速度検出手段は特にブラシレスモータには必ず具備されているため容易かつ安価に実施可能である。
【0055】
実施の形態4.
本実施の形態4では電流フィードバックの演算式選択の指標として操舵速度検出手段の出力する操舵速度信号を用いる例について記述する。図9に電流フィードバック処理のフローチャートを、図10に回路ブロックの構成例を示す。図9のフローチャートは図3、図5、あるいは図8のフローチャートに対してステップS12の取り込み信号を操舵速度検出値ωstr(操舵速度検出手段23の出力する操舵速度信号)とし、ステップS4におけるフィードバックゲイン切り替えの指標をこのωstrでおこなうものとしている。
【0056】
すなわち、実施の形態1と同様の場合は、操舵速度検出値ωstr(操舵速度信号)が、第1のしきい値としてのしきい値Th5以下であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下として操舵感覚を向上させ、実施の形態2と同様の場合は操舵速度検出値ωstr(操舵速度信号)が、第2のしきい値としてのしきいTh6以上であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が通常の交差周波数の1/21/2倍以下として騒音レベルを小さくする。
【0057】
なお、操舵速度検出手段23には、光学式エンコーダ、磁気式エンコーダ、レゾルバ等の回転センサが利用可能であり、これらはマイコンとのインターフェースも容易である。
【0058】
実施の形態5.
実施の形態1および実施の形態2においては電流フィードバックの演算式選択の指標として電流指令値と電流検出値の偏差を用いたが、本実施の形態5では電流指令値の微分値を用いる例について記述する。
【0059】
運転者のハンドル操作時間は短いため、電流指令値の微分値が大きいときはモータ回転速度あるいはハンドル操舵速度は高速であり、また電流指令値の微分値が小さいときはモータ回転速度あるいはハンドル操舵速度は低速であると考えられる。
【0060】
図11に電流フィードバック処理のフローチャートを示す。ステップS1では、前回の電流フィードバック制御周期で用いたモータ駆動電流指令値I_TGTを1サンプル遅延の目標電流値として保存したのち、今回の制御周期における目標電流を取り込む。また、ステップS4では今回の目標電流指令値と前回の目標電流指令値の偏差の絶対値を所定のしきい値と比較する。
【0061】
すなわち、実施の形態1と同様の場合は電流指令値の微分値が、第1のしきい値としてのしきい値Th7以下であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下として操舵感覚を向上させ、実施の形態2と同様の場合は電流指令値の微分値が、第2のしきい値としてのしきい値Th8以上であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が通常の交差周波数の1/21/2倍以下として騒音レベルを小さくする。
【0062】
尚、本実施の形態では微分演算の手段として、制御周期毎のサンプリング値に対してソフトウェアにより後方差分によって微分するものとして示したが、その他に知られる双一次変換を用いたソフトウェアによる微分処理、あるいは演算増幅器を用いたハードウェアによる微分処理などの方法等を応用してもよい。
【0063】
実施の形態6.
本実施の形態6では電流フィードバックの演算式選択の指標として電動機回転数信号あるいは操舵速度信号の微分値を用いる例について記述する。運転者のハンドル操作時間は短いため、電動機回転数信号あるいは操舵速度信号の微分値が大きいときはモータ回転速度あるいはハンドル操舵速度は高速であり、また電動機回転数信号あるいは操舵速度信号の微分値が小さいときはモータ回転速度あるいはハンドル操舵速度は低速であると考えられる。
【0064】
図12に電流フィードバック処理のフローチャートを示す。ステップS12では、前回の制御周期で取り込んだ操舵速度検出手段23の検出値ωstrを取り込む。また、ステップS4では今回の制御周期と前回の制御周期の操舵速度検出手段23の検出値の偏差の絶対値を所定のしきい値と比較する。
【0065】
すなわち、実施の形態1と同様の場合は電流指令値の微分値が、第1のしきい値としてのしきい値Th9以下であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が電動機の回転系の1次の固有振動数の例えば1/21/2倍以下として操舵感覚を向上させ、実施の形態2と同様の場合は電流指令値の微分値が、第2のしきい値としてのしきい値Th10以上であればステップS6により電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数が通常の交差周波数の1/21/2倍以下として騒音レベルを小さくする。
【0066】
本実施の形態においては、図12のステップS12の操舵速度検出手段23の検出値を微分し、その結果に基づいてフィードバックゲインを設定するものとして説明したが、モータ回転数検出手段3の出力値に対して微分を実行して用いても同様な効果が得られる。
【0067】
尚、本実施の形態では微分演算の手段として、制御周期毎のサンプリング値に対してソフトウェアにより後方差分によって微分するものとして示したが、その他に知られる双一次変換を用いたソフトウェアによる微分処理、あるいは演算増幅器を用いたハードウェアによる微分処理などの方法等を応用してもよい。
【0068】
実施の形態7.
図1において、電流指令値決定手段4の出力した指令値は、モータ(実負荷)5の駆動電流を検出する電流検出手段6を介してコントロールユニットにフィードバックされた値との間で偏差が演算されるが、本実施の形態においては、偏差はPIコントローラ8に入力され、電流フィードバック制御が遂次実行される。さらに、コントローラ出力はパルス幅変調手段9により所定の搬送周波数と制御量に応じたパルス幅の信号に変換される。そして、パルス幅変調手段9の出力は、バッテリ10の供給する電源により電力増幅され、モータ5に制御電流を供給する。
【0069】
本実施の形態の電流フィードバックループの一巡伝達関数の例を図13に示す。図において、fn1は電動機の回転系の1次の固有振動数を、またfn2は電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数であり、fcは電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を示している。図13はfn1<fc<fn2となる場合の伝達関数を示している。本実験装置における電動機の回転系の1次の固有振動数fn1は約100Hz、また電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2は約1kHzである。交差周波数fcの設定方法とその効果について実験結果をもとに説明する。
【0070】
図14は電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcが図13のようにfn1<fc<fn2となるある値において、電流フィードバック制御のサンプリング周波数と電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の比を横軸に、また電流変動の大きさを縦軸にとったものである。図からわかるように、電流フィードバック制御のサンプリング周波数と電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の比が10以上の場合は電流変動は小さいが、それらの比が10より小さくなると電流変動は増大傾向にあり、それらの比が5より小さいと電流変動はかなり大きくなる。この電流変動はモータのトルク変動となり、ハンドルに振動が伝達されるため操舵感覚が低下する。
【0071】
図15、図16、図17はハンドル保舵時の電流の時間波形および周波数特性を同じスケールで描いたものである。各々(a)が時間波形、(b)が周波数特性を示している。交差周波数fcと電動機の回転系の1次の固有振動数fn1の関係は、図15の場合はfc<fn1、図16の場合はfn1<fc、図17の場合はfn1<<fcとなるように設定し、例えばここでは、図15の場合はfc≒0.8×fn1、図16の場合はfc≒5×fn1、図17の場合はfc≒15×fn1としている。なお、電流フィードバック制御のサンプリング周波数はいずれも20kHzであり、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の10倍以上としている。
【0072】
図15の場合は交差周波数fcが回転系の1次の固有振動数fn1の約0.8倍であり、fn1より小さく設定されているため電流変動を低減することができず、電流は回転系の1次の固有振動数である約100Hzにおいて大きく振動している。そのためモータのトルク変動が大きくなり、ハンドルに振動が伝達されて操舵感覚が低下する。
【0073】
図16の場合は交差周波数fcが回転系の1次の固有振動数fn1の約5倍であり、fn1より大きく設定しているため電流変動が低減でき、約100Hzにおける電流変動も低減できている。
図17の場合は交差周波数fcが回転系の1次の固有振動数fn1の約15倍であり、fn1より十分大きく設定しているため電流変動はほとんどみられない。
【0074】
このように保舵時のハンドル振動を低減するためには電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcは大きい方が望ましく、少なくとも回転系の1次の固有振動数fn1より大きくする必要がある。
【0075】
そして、本実施の形態においては、電動機制御手段としてのマイクロコントローラ11は、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を電動機の回転系の1次の固有振動数以上とするので、電動機に供給する電流を回転系の1次の固有振動数で変動するのを抑制でき、ハンドルに伝わる振動を低減して操舵感覚が向上する効果がある。
【0076】
また、マイクロコントローラ11は、電流フィードバック制御のサンプリング周波数が電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の5倍以上となるようにデジタル制御を行う。そのため、電流変動が小さくハンドルに伝わる振動を低減して操舵感覚を向上させることができる。
【0077】
実施の形態8.
本実施の形態においては、ハンドル回転時の騒音について考慮したものである。図18、図19、図20はハンドル回転時の騒音特性を同じスケールで描いたものであり、交差周波数fcと電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2の関係は、図18の場合はfc<<fn2、図19の場合はfc<fn2、図20の場合はfn2<fcとなるように設定し、例えばここでは、図18の場合はfc≒0.1×fn2、図19の場合はfc≒0.5×fn2、図20の場合はfc≒1.5×fn2としている。
【0078】
電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2は約1kHzであり、約1kHzの騒音レベルは図20、図19、図18の順に大きくなっている。これは電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を大きくとると、加振周波数に対する制御ゲインが大きくなるため加振力が大きくなり、機械系の固有振動数との共振で発生する騒音が大きくなるためである。したがってハンドル回転時の騒音を低減するためには電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcは小さい方が望ましく、少なくとも電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2より小さくする必要がある。
【0079】
このように、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcは、ハンドル保舵時には電動機の回転系の1次の固有振動数fn1より大きく、ハンドル回転時には電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2より小さく設定するのがよいといえる。その伝達特性は図13のようになる。
【0080】
すなわち、本実施の形態においては、電動機制御手段としてのマイクロコントローラ11は、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を電動機の回転系の1次の固有振動数以上、かつ電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下とする。そのため、電流フィードバック制御の交差周波数を電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下小さくすることにより軸たわみ系の1次の固有振動数での制御ゲインは小さくなり加振力が小さくなるため、電動機の加振力が電動機の軸たわみ系の固有振動数等と共振することにより発生する騒音を低減することができる。
【0081】
【発明の効果】
この発明の電動パワーステアリング装置は、運転者のハンドル操作によって自動車の進行方向を指示するハンドルと、ブラシと整流子とが接触して電機子に電流を供給するブラシ付直流電動機からなり、ハンドル操作に対して補助力を与える電動機と、電動機を電流フィードバック制御により駆動制御する電動機制御手段とを有する電動パワーステアリング装置において、電動機の固有振動数は、軸たわみ系の1次の固有振動数が、回転系の1次の固有振動数よりも高く、電動機制御手段は、電流フィードバック制御のサンプリング周波数が、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の5倍以上となる、デジタル制御を行い、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数は、ハンドル保舵時には電動機の回転系の1次の固有振動数以上であり、ハンドル回転時には電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下であることを特徴とする。そのため、電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数を電動機の回転系の1次の固有振動数より大きく設定することにより電動機に供給する電流が回転系の1次の固有振動数で変動するのを抑制できるため、ハンドルに伝わる振動を低減して操舵感覚を向上させることができる。
また、電流変動が小さくハンドルに伝わる振動を低減して操舵感覚を向上させることができる。
さらに、軸たわみ系の1次の固有振動数での制御ゲインは小さくなり加振力が小さくなるため、電動機の加振力が電動機の軸たわみ系の固有振動数等と共振することにより発生する騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび該コントロールユニットに接続される入出力装置を示す機能ブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび周辺の回路ブロックの構成例を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態1による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置の電流フィードバックループの一巡伝達関数を示すグラフである。
【図5】 本発明の実施の形態2による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態2による電流フィードバック処理におけるゲインをK1としたときのPI演算による電流フィードバックループの一巡伝達関数を示すグラフである。
【図7】 本発明の実施の形態2による電流フィードバック処理におけるゲインをK2としたときのPI演算による電流フィードバックループの一巡伝達関数を示すグラフである。
【図8】 本発明の実施の形態3による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態4による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態4による電動パワーステアリング装置のコントロールユニットおよび周辺の回路ブロックの構成例を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態5による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態6による電流フィードバック処理のソフトウェア動作を示すフローチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態7による電動パワーステアリング装置の電流フィードバックループの一巡伝達関数を示すグラフである。
【図14】 電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数fcがfn1<fc<fn2となるある値において、電流フィードバック制御のサンプリング周波数と電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の比を横軸に、また電流変動の大きさを縦軸にとったグラフである。
【図15】 交差周波数fcと電動機の回転系の1次の固有振動数fn1の関係がfc<fn1の場合のハンドル保舵時の電流の時間波形および周波数特性を同じスケールで描いたものであり、(a)が時間波形、(b)が周波数特性を示すグラフである。
【図16】 交差周波数fcと電動機の回転系の1次の固有振動数fn1の関係がfn1<fcの場合のハンドル保舵時の電流の時間波形および周波数特性を同じスケールで描いたものであり、(a)が時間波形、(b)が周波数特性を示すグラフである。
【図17】 交差周波数fcと電動機の回転系の1次の固有振動数fn1の関係がfn1<<fcの場合のハンドル保舵時の電流の時間波形および周波数特性を同じスケールで描いたものであり、(a)が時間波形、(b)が周波数特性を示すグラフである。
【図18】 本発明の実施の形態8による交差周波数fcと電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2の関係がfc<<fn2の場合のハンドル回転時の騒音特性を示すグラフである。
【図19】 本発明の実施の形態8による交差周波数fcと電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2の関係がfc<fn2の場合のハンドル回転時の騒音特性を示すグラフである。
【図20】 本発明の実施の形態8による交差周波数fcと電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数fn2の関係がfn2<fcの場合のハンドル回転時の騒音特性を示すグラフである。
【図21】 電動パワーステアリング装置の構造例である。
【図22】 通常の場合のモータ電流波形を示すグラフである。
【図23】 電流が大きく振動したときのモータ電流波形を同じスケールで示すグラフである。
【図24】 従来の電動式パワーステアリング装置のアシスト信号の特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 操舵トルク検出手段、2 車速検出手段、3 モータ回転数検出手段(電動機回転数検出手段)、4a ベース電流決定手段、4b 微分制御手段、4c 収斂制御手段、4d 摩擦補償電流決定手段4d、4 電流指令値決定手段、5 モータ(電動機)、6 電流検出手段、7 電流フィードバックゲイン設定手段、8はPIコントローラ、9 パルス幅変調手段、10 バッテリ、11 マイクロコントローラ(電動機制御手段)、12 ドライブ回路、13 リレー、14 モータを駆動する主回路、15 CPU、16 ROM、17 RAM、18 タイマ、19 A/D変換器、20 キースイッチ、21 I/Oポート、22 電源回路、23 操舵速度検出手段、24 コントロールユニット、25 ハンドル、26 ハンドル軸、27 減速機、28 ピニオン軸、29 車輪。
Claims (1)
- 運転者のハンドル操作によって自動車の進行方向を指示するハンドルと、
ブラシと整流子とが接触して電機子に電流を供給するブラシ付直流電動機からなり、前記ハンドル操作に対して補助力を与える電動機と、
前記電動機を電流フィードバック制御により駆動制御する電動機制御手段と
を有する電動パワーステアリング装置において、
前記電動機の固有振動数は、軸たわみ系の1次の固有振動数が、回転系の1次の固有振動数よりも高く、
前記電動機制御手段は、前記電流フィードバック制御のサンプリング周波数が、前記電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数の5倍以上となる、デジタル制御を行い、
前記電流フィードバックループの一巡伝達関数における交差周波数は、ハンドル保舵時には前記電動機の回転系の1次の固有振動数以上であり、ハンドル回転時には前記電動機の軸たわみ系の1次の固有振動数以下である
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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