JP2006325305A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ制御装置において、共振周波数近傍において制御を発振又は不安定とすることなく、モータを制御できるようにする。
【解決手段】位置制御器、速度制御器、電流制御器、及びモータの回転速度を検出して実速度信号を出力するとともに、前記モータの位置を検出して前記実位置信号を出力する検出器とを備えたモータ制御装置において、
モータ印加電圧と前記実電流とを入力してモータの推定速度を算出するモータ回転速度推定器と、前記実速度信号が所定の範囲内にある場合には前記算出された推定速度を前記速度信号とし、それ以外の場合には前記実速度信号を前記速度信号として前記速度制御器に入力するモータ回転速度判定器とをさらに具備することにより達成される。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータ制御装置に関し、特に、共振周波数近傍において制御を発振又は不安定とすることなく、モータを制御できるようにしたモータ制御装置に関するものである。
モータを駆動したとき、ある特定の駆動周波数において急に振動が大きくなったり、出力トルクの減少が発生したりする回転子の不安定な運転状態を共振(乱調ともいう。)というが、従来、速度検出信号に共振周波数がある場合は、ノッチフィルタなどを用いて、共振周波数近傍を検出しないで制御を行っていたか、あるいは、位置及び速度検出器を用いずにセンサレスでモータを制御していた。
特開2004-240972
しかしながら、従来においては、ノッチフィルタを用いているので、共振周波数近傍では速度信号による制御ができないという問題があった。また、ノッチフィルタにより共振周波数以外の周波数帯域の位相にも影響するという問題があった。さらには、位置検出器を用いずにセンサレス制御を行うと、高分解能の位置決めができないという問題もあった。
本発明は上述のような事情に鑑み為されたものであり、本発明の目的は、共振周波数近傍の速度制御をセンサレスで行えるようにしたモータ制御装置を提供することにある。
さらに、本発明は、位置決め制御ループ内の共振周波数近傍の速度制御をセンサレスで行うことにより、位置決め途中に発振させることなく、高分解能の位置決めを可能とするモータ制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、共振周波数近傍において制御を発振又は不安定とすることなく、モータを制御できるようにしたモータ制御装置に関し、本発明の上記目的は、速度指令と速度信号を入力し、前記速度指令と前記速度信号が一致するように電流指令を出力する速度制御器と、前記電流指令とモータの実電流を入力し、前記電流指令と前記実電流が一致するように電流制御を行い前記モータを駆動する電流制御器と、前記モータの回転速度を検出し、実速度信号を出力する検出器とを備えたモータ制御装置において、
モータ印加電圧と前記実電流とからモータの推定速度を算出するモータ回転速度推定器と、前記実速度信号が所定の範囲内にある場合には前記算出された推定速度を前記速度信号とし、それ以外の場合には前記実速度信号を前記速度信号として前記速度制御器に入力するモータ回転速度判定器とをさらに具備することにより達成される。これにより、共振周波数近傍におけるモータの速度制御を前記検出器からの実速度信号を用いることなく行うことが可能となる。
また、本発明の上記目的は、位置指令とモータの実位置信号を入力し、前記位置指令と前記実位置信号が一致するように速度指令を出力する位置制御器と、前記速度指令と速度信号を入力し、前記速度指令と前記速度信号が一致するように電流指令を出力する速度制御器と、前記電流指令と前記モータの実電流を入力し、前記電流指令と前記実電流が一致するように電流制御を行い前記モータを駆動する電流制御器と、前記モータの回転速度を検出して実速度信号を出力するとともに、前記モータの位置を検出して前記実位置信号を出力する検出器とを備えたモータ制御装置において、
モータ印加電圧と前記実電流とを入力してモータの推定速度を算出するモータ回転速度推定器と、前記実速度信号が所定の範囲内にある場合には前記算出された推定速度を前記速度信号とし、それ以外の場合には前記実速度信号を前記速度信号として前記速度制御器に入力するモータ回転速度判定器とをさらに具備することにより達成される。
これにより、位置決め制御ループ内において共振周波数近傍におけるモータの速度制御を前記検出器からの実速度信号を用いることなく行うことができるので、位置決め途中で発振させることなく、高分解能の位置決めが可能となる。
さらに、本発明の上記目的は、前記モータの推定速度をモータの電圧方程式を解くことにより求めることにより効果的に達成される。
またさらに、本発明の上記目的は、前記所定の範囲における上限値及び下限値として、前記モータの回転速度を微分して得られる回転加速度の大きさによって予め設定されている値を適用することにより、或いは、前記モータの回転速度を微分して得られる回転加速度の大きさ応じて計算によって求められる値を適用することにより、さらに効果的に達成される。
これにより、急激な加減速時(回転加速度が大きい時)であっても、速度制御をセンサレスで行う範囲を広く設定することにより制御の安定性を図ることが可能となる。
本発明のモータ制御装置は、実速度信号の共振周波数近傍において、実速度信号を用いず、モータ電圧方程式からモータ回転速度を算出(推定)し、その算出された推定速度に応じた速度制御を行うことで、共振周波数近傍で制御を発振又は不安定とすることなく、モータを制御できる。
また、位置決め制御ループ内の速度制御で用いることで、位置決め途中に発振させることなく、高分解能の位置決めが可能となる。
本発明の最良の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に係るモータ制御装置の制御対象であるモータ1の断面構造を示す図である。このモータ1は、モータ1の回転子(ロータ)2の表面に永久磁石が備えられているSPM(表面磁石形同期モータ)であり、真空中で動作する。モータの固定子(ステータ)3とロータ2の間には、真空隔壁4を用いて真空側と大気側を分離している。また、5及び6はそれぞれレゾルバのロータ及びステータであり、レゾルバはモータの回転速度及び回転位置の検出器として用いられるものである。7はモータロータ2を支える軸受である。
一方、モータロータ2とレゾルバロータ5は磁気カップリングにより連結されており、モータロータ2共にレゾルバロータ5が回転する構造となっている。このように磁気カップリングで連結されているので、お互いに共振、反共振周波数を持つ。共振周波数ωaは、モータロータ2及び負荷のイナーシャをJm、レゾルバロータ5のイナーシャをJr、磁気カップリングのばね定数をKcとすると、次の式1のように表される。
Figure 2006325305
この共振周波数近傍では、レゾルバ40より検出された速度信号は、実際のモータの速度とは大きく異なり、この速度信号を速度フィードバック信号として用いると、制御系が発振又は不安定になる恐れがある。
図2は本発明に係るモータ制御装置を含むモータ制御系のブロック図である。その制御系は、モータ30と、モータ30の位置及び速度を検出するレゾルバ(検出器)40、後述のコントローラ10からの制御信号によりモータを駆動する電力を供給するパワーアンプ20、及びモータ30を制御するコントローラ10からなる。コントローラ10の内部は、位置制御器11、速度制御器12、電流制御器13、モータ回転速度推定器14、及びモータ回転速度判定器15で構成される。モータ回転速度推定器14、モータ回転速度判定器15以外は、公知である位置制御系のブロック図と変わらないので説明を省略する。
モータ回転速度推定器14は、モータの電圧方程式から、モータの回転速度を推定するものである。そのアルゴリズムを以下の式2に示す。モータ印加電圧をVm、モータ電流をIm、モータの逆起電力定数をKe、モータ極対数をp、モータコイル抵抗をRm、モータインダクタンスをL、モータ回転速度をωとすると、モータの電圧方程式は式2のようになる。
Figure 2006325305
モータコイル抵抗及びインダクタンス及び極対数を予め調べて設定しておき、モータ印加電圧及びモータ電流を検出して入力すれば、モータ回転速度の推定値ωは、式3のように求めることができる。なお、式3は式2の方程式をωについて解くことにより求められる。図3はその手順を示すフローチャートである。本発明では、電流制御器13からの電圧指令値からモータ印加電圧Vmを求め、パワーアンプ20内の電流検出回路(図示せず)によりモータ電流(実電流)Imを検出している。
Figure 2006325305
次に、モータ回転速度判定器15について説明する。図4に判定動作のフローチャートを示す。まず、実速度信号ωs及び推定速度信号ω0を読み込み(ステップS1、S2)、予め調べておいた共振周波数の前後であり、実速度信号に共振周波数の影響がない範囲の角速度の下限値fa、及び上限値fbを予め決めておき、レゾルバ速度検出器40から得られた実速度信号ωsと比較し、ωsが共振周波数近傍であるfa≦ωs≦fbにあれば(ステップS3のYes)、ωsは共振周波数の影響を受けた速度信号であると判断し、モータ回転速度推定器14で算出された推定速度信号ω0を速度信号とし(ステップS4)、ωsがfa≦ωs≦fbの範囲内になければ(ステップS3のNo)、ωsは共振周波数の影響を受けた信号ではないと判断し、実速度信号ωsをそのまま速度信号とする(ステップS5)。
しかしながら、上記fa、fbを速度変化に関係なく一律に設定してしまうと次のような問題が起こる。すなわち、速度変化が大きいとき(急激な加減速時)にfaとfbのスパンが狭いと、図4のフローチャートにおけるステップS3における判定の切り換わりが激しくなり、制御が安定しない。逆に、速度変化が小さいとき(ほとんど速度が変化しないとき)にfaとfbのスパンが広いと、図4のフローチャートにおけるステップS3における判定がなかなか切り換わらず、本来ならば実速度信号に切り換えて制御されるべきものが推定速度のままで制御される結果となる。そこで、速度変化の大きさ(角加速度の絶対値の大きさ)に応じてfaとfbの値を変える必要が生じる。
図5は速度変化率(回転加速度)の大きさ(絶対値)に応じて予め設定されている下限値fa、上限値fbを選択するフローを示す図である。この選択処理は、図4のステップS1で実速度信号ωsを読み込んだ際にモータ回転速度判定器15の内部で行われるものである。まず、レゾルバからの実速度信号ωsを読み込み(ステップS11)、それを微分してモータの回転加速度αを計算する(ステップS12)。その絶対値|α|が所定の値K1より大きいときは(ステップS13のYes)、スパンの一番大きい下限値と上限値の組である(fa=fa1,fb=fb1)を選択する(ステップS14)。もし、|α|がK1以下でかつK2より大きいときは(ステップS15のYes)、2番目にスパンの大きい下限値と上限値の組である(fa=fa2,fb=fb2)を選択する(ステップS16)。次に、|α|がK2以下でかつK3より大きいときは(ステップS17のYes)、3番目にスパンの大きい下限値と上限値の組である(fa=fa3,fb=fb3)を選択する(ステップS18)。最後に、|α|がK3以下であるときは(ステップS17のNo)、最もスパンの小さい下限値と上限値の組である(fa=fa4,fb=fb4)を選択する(ステップS19)。この実施例では下限値と上限値の組を4組設定しているが、これよりも細かく設定してもよい。
図5の実施例では角加速度αの値によって段階的にfa及びfbを設定しているが、次に示す図6の方法は、角加速度の絶対値|α|からダイレクトにfa及びfbを計算によって求めるものである。これは判定を行う必要がないので、ソフトウェアによる処理時間が短く、かつ段差なくfa及びfbを決定できるという利点がある。まず、レゾルバからの実速度信号ωsを読み込み(ステップS21)、それを微分してモータの回転加速度αを計算する(ステップS22)。次に示す式4によって下限値fa及び上限値fbを計算する(ステップS23)。
Figure 2006325305
ここに、 fa0<f0<fb0 ただし、f0:共振周波数(式1で求められる) K:定数(K>0)
本発明に係るモータ制御装置の制御対象であるモータの断面構造を示す図である。 本発明に係るモータ制御装置を含むモータ制御系のブロック図である。 モータ回転速度の推定値を求める手順を示すフローチャートである。 モータ回転速度判定器における判定動作のフローチャートである。 回転加速度の大きさに応じて予め設定されている下限値fa、上限値fbを選択する手順を示すフローチャートである。 判定のための下限値fa、上限値fbを回転加速度から計算によって直接求めるフローを示す図である。
符号の説明
11 位置制御器
12 速度制御器
13 電流制御器
14 モータ回転速度推定器
15 モータ回転速度判定器
30 モータ
40 検出器(レゾルバ)

Claims (7)

  1. 速度指令と速度信号を入力し、前記速度指令と前記速度信号が一致するように電流指令を出力する速度制御器と、
    前記電流指令とモータの実電流を入力し、前記電流指令と前記実電流が一致するように電流制御を行い前記モータを駆動する電流制御器と、
    前記モータの回転速度を検出し、実速度信号を出力する検出器とを備えたモータ制御装置において、
    モータ印加電圧と前記実電流とからモータの推定速度を算出するモータ回転速度推定器と、
    前記実速度信号が所定の範囲内にある場合には前記算出された推定速度を前記速度信号とし、それ以外の場合には前記実速度信号を前記速度信号として前記速度制御器に入力するモータ回転速度判定器とをさらに具備することにより、
    共振周波数近傍におけるモータの速度制御を前記検出器からの実速度信号を用いることなく行うようにしたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 位置指令とモータの実位置信号を入力し、前記位置指令と前記実位置信号が一致するように速度指令を出力する位置制御器と、
    前記速度指令と速度信号を入力し、前記速度指令と前記速度信号が一致するように電流指令を出力する速度制御器と、
    前記電流指令と前記モータの実電流を入力し、前記電流指令と前記実電流が一致するように電流制御を行い前記モータを駆動する電流制御器と、
    前記モータの回転速度を検出して実速度信号を出力するとともに、前記モータの位置を検出して前記実位置信号を出力する検出器とを備えたモータ制御装置において、
    モータ印加電圧と前記実電流とからモータの推定速度を算出するモータ回転速度推定器と、
    前記実速度信号が所定の範囲内にある場合には前記算出された推定速度を前記速度信号とし、それ以外の場合には前記実速度信号を前記速度信号として前記速度制御器に入力するモータ回転速度判定器とをさらに具備することにより、
    共振周波数近傍におけるモータの速度制御を前記検出器からの実速度信号を用いることなく行うようにしたことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記モータの推定速度は、モータの電圧方程式を解くことにより求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記所定の範囲における上限値及び下限値は、前記モータの回転速度を微分して得られる回転加速度の大きさによって予め設定されている値が適用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のモータ制御装置。
  5. 前記所定の範囲における上限値及び下限値は、前記モータの回転速度を微分して得られる回転加速度の大きさ応じて計算によって求められることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のモータ制御装置。
  6. 前記検出器は、前記モータの回転子と磁気カップリングで結合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のモータ制御装置。
  7. 前記検出器はレゾルバである請求項6に記載のモータ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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