JP4386880B2 - ソフトカプセル - Google Patents
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Description
しかし、これらはケーキングや変形が防止でき、しかも咀嚼可能なほど軟質である、という2つの異なる条件を備えているものではない。
すなわち、本発明は、
(1)ゼラチン及びグリセリンを被膜基材に含有し、該被膜基材をシート状に成形して製するソフトカプセルにおいて、さらに耐熱性卵白を被膜基材として配合し、該耐熱性卵白が、卵白単体及び前記卵白の1〜3倍の質量の水を含む卵白水溶液を、pHが9.5〜11.5にて75〜98℃で加熱することにより得られたものであり、かつ、前記卵白水溶液の蛋白質濃度5W/V%、塩濃度1W/V%において、100℃、20分間の加熱処理を行った際、凝固することない耐熱性を有する卵白である、ソフトカプセル、
(2)(1)に記載の耐熱性卵白における、non−SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって得られたバンドパターンにおいて、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたオボアルブミン1のバンドのピーク面積が、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られた同じタンパク質濃度の生卵白希釈溶液中のオボアルブミン1のバンドのピーク面積の20%以下であり、かつ、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたオボトランスフェリンのバンドのピーク面積が、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られた同じタンパク質濃度の生卵白希釈溶液中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の20%以下である耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル、
(3)(1)又は(2)において、アレルギー発現性が低減された耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル。
(4)(3)において、固形分あたりの未変性のオボアルブミンの質量が5mg/g以下である耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル、
(5)ゼラチン及びグリセリンを被膜基材に含有し、該被膜基材をシート状に成形して製するソフトカプセルにおいて、さらに耐熱性卵白を被膜基材として配合し、該耐熱性卵白が、卵白単体及び前記卵白の1〜3倍の質量の水を含む卵白水溶液を、pHが9.5〜11.5にて75〜98℃で加熱することにより得られたものであり、かつ、前記卵白水溶液の蛋白質濃度5W/V%、塩濃度1W/V%において、100℃、20分間の加熱処理を行った際、凝固することない耐熱性を有する卵白である、ソフトカプセルの製造方法、
である。
また卵白とは、通常固形分濃度が約12%のものをいうことから、例えば乾燥卵白を用いる場合、固形分濃度が約12%となるように乾燥卵白に水を添加して得られるものが、本発明の卵白に相当する。
加熱温度が75℃未満である場合、卵白が十分に変性しないことがあり、一方、加熱温度が98℃を超えると、得られる耐熱性卵白が褐変することがある。
本発明において、pHの調整は、塩基性化合物を用いて行なうことができる。卵白を水に溶解させて得られる卵白水溶液のpHは通常中性〜弱塩基性である。この卵白水溶液のpHを高くする(例えば、pH9.5〜11.5)にするために、塩基性化合物を該卵白水溶液に添加する。卵白水溶液の急激なpH変化を防ぐため、酸性化合物または塩基性化合物を水で希釈して水溶液とし、この水溶液を卵白水溶液に添加することが望ましい。
Position)に対するピクセル強度(Pixel Intensity)を得ることができる。
鶏卵を割卵し得られた卵白1重量部に対し、1〜3重量部の水を加え、これに水酸化ナトリウム等の塩基性化合物を加え、pH9.5〜11.5とする。この卵白水溶液を75〜98℃で加熱し、達温後冷却する。この卵白水溶液を凍結乾燥や噴霧乾燥等の方法で乾燥し、耐熱性卵白の粉末を得る。
凍結卵白(キユーピー(株)製)300gを解凍してステンレス製カップに入れ、これに清水450gを加え、マリンプロペラタイプ攪拌機(東京理化器械(株)製)にて攪拌しながら、20%(w/w)リン酸三ナトリウム水溶液を添加することにより、この卵白水溶液のpHを10.5に調整した。次いで、この卵白水溶液を恒温水槽に移し、マリンプロペラタイプ攪拌機にて攪拌しながら品温を85℃に到達させ、85℃で10分間保持させた後氷冷する。この卵白水溶液を凍結乾燥し、実験例1の耐熱性卵白を得た。得られた耐熱性卵白は白色の粉末で、前述の試験法にて耐熱性を有すること、オボアルブミン1のバンドのピーク面積が対照の20%以下であること、未変性のオボアルブミンの質量が5mg/g以下とアレルギー発現性が低減されていることが確認できた。
実験例1において、添加する20%(w/w)リン酸三ナトリウム水溶液の量を変えて、卵白水溶液のpHをそれぞれ9.5、11.5に調整する以外は、実験例1と同様の条件にて同様の操作を行なうことにより、実験例2、3の耐熱性卵白を得た。得られた耐熱性卵白は白色の粉末で、前述の試験法にて耐熱性を有すること、オボアルブミン1のバンドのピーク面積が対照の20%以下であること、未変性のオボアルブミンの質量が5mg/g以下とアレルギー発現性が低減されていることが確認できた。
実験例1において、添加する20%(w/w)リン酸三ナトリウム水溶液の量を変えて、卵白水溶液のpHをそれぞれ9.0,12.0に調整し(ただし、pHを12.0に調整する際、pHが11.0に到達した以降はリン酸三ナトリウムの結晶を添加した)、このpH9.0,12.0の卵白水溶液を加熱する以外は、実験例1と同様の条件にて同様の操作を行なうことにより、比較例1、2の卵白を得た。比較例2の色調は褐変した。
実験例1において、加熱時の卵白水溶液の温度を75、98℃にした以外は、実験例1と同様の条件にて同様の操作を行なうことにより、実験例4、5の耐熱性卵白を得た。
得られた耐熱性卵白は白色の粉末で、前述の試験法にて耐熱性を有すること、オボアルブミン1のバンドのピーク面積が対照の20%以下であること、未変性のオボアルブミンの質量が5mg/g以下とアレルギー発現性が低減されていることが確認できた。
実験例4において、加熱時の卵白水溶液の温度をそれぞれ70℃,100℃にした以外は、実験例4と同様の条件にて同様の操作を行なうことにより、比較例3、4の卵白を得た。比較例4の色調は褐変した。
表1に示す処方例に従い、上記実験例1〜5の耐熱性卵白、比較例1〜4の卵白の凍結乾燥品を配合し、80℃達温となるよう加熱することにより、シート状に成形した。これを被膜基材をとし、OVAL型ソフトカプセルを調製した。尚、内容物として菜種油を200±20mg充填した。
尚、外観については色調、透明性について評価した。両方共良好な場合を○、少なくともいずれか一方が製品として不適な場合を×と表記した。
付着性についてはソフトカプセル15個を所定のガラス瓶(50mL容:日電理化硝子(株)製、SV50)に入れ、封をしないで恒温恒湿器(40℃、75%RH)中で静置した。5時間後、恒温恒湿器から取り出し、デシケーター中で30分間放冷後、ケーキング形成の有無を目視にて観察した。保存前と同様の状態を○、カプセルが複数結合し、ケーキングが発生した状態を×と表記した。
咀嚼性については20〜50歳代から選ばれた10名のパネラーにより官能試験を行い、普通に噛める場合を1点、噛みにくい場合を0点、噛めない場合を−1点とし、その合計点を表記した。
荷重を加えた際のカプセル短径の減少率については、木屋式硬度計((株)藤原製作所製)を用い、カプセルの短径(カプセル側面の短径)と同方向に100Nの力を加えた場合の短径をノギスにて測定し、もとの短径に対して減少した割合を減少率とした。
一方、対照は付着性が高く、ケーキングを起こし、咀嚼には適さない硬さであった。また、処方例1において比較例2および4を配合した例は、卵白粉末が茶褐色であるため色調が不良であった。比較例1および3を配合した例は、シートを調製する際、加熱時に凝固し、成形不能となった。これは卵白の耐熱性が不十分であるため、熱凝固したものと思われる。
Claims (5)
- ゼラチン及びグリセリンを被膜基材に含有し、該被膜基材をシート状に成形して製するソフトカプセルにおいて、さらに耐熱性卵白を被膜基材として配合し、該耐熱性卵白が、卵白単体及び前記卵白の1〜3倍の質量の水を含む卵白水溶液を、pHが9.5〜11.5にて75〜98℃で加熱することにより得られたものであり、かつ、前記卵白水溶液の蛋白質濃度5W/V%、塩濃度1W/V%において、100℃、20分間の加熱処理を行った際、凝固することない耐熱性を有する卵白である、ソフトカプセル。
- 請求項1に記載の耐熱性卵白における、non−SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって得られたバンドパターンにおいて、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたオボアルブミン1のバンドのピーク面積が、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られた同じタンパク質濃度の生卵白希釈溶液中のオボアルブミン1のバンドのピーク面積の20%以下であり、かつ、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られたオボトランスフェリンのバンドのピーク面積が、デジタルゲルイメージャーによる測定により得られた同じタンパク質濃度の生卵白希釈溶液中のオボトランスフェリンのバンドのピーク面積の20%以下である耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル。
- 請求項1又は2において、アレルギー発現性が低減された耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル。
- 請求項3において、固形分あたりの未変性のオボアルブミンの質量が5mg/g以下である耐熱性卵白を、被膜基材として配合してなるソフトカプセル。
- ゼラチン及びグリセリンを被膜基材に含有し、該被膜基材をシート状に成形して製するソフトカプセルにおいて、さらに耐熱性卵白を被膜基材として配合し、該耐熱性卵白が、卵白単体及び前記卵白の1〜3倍の質量の水を含む卵白水溶液を、pHが9.5〜11.5にて75〜98℃で加熱することにより得られたものであり、かつ、前記卵白水溶液の蛋白質濃度5W/V%、塩濃度1W/V%において、100℃、20分間の加熱処理を行った際、凝固することない耐熱性を有する卵白である、ソフトカプセルの製造方法。
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