JP4685837B2 - 嚥下しやすい包装冷凍麺類およびその製造方法 - Google Patents

嚥下しやすい包装冷凍麺類およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、嚥下が困難となった患者や高齢者などのための嚥下しやすい包装冷凍麺類およびその製造方法に関する。
近年、高齢化社会を迎えて、脳卒中などの病気や歯の欠損などにより摂食障害となった患者や高齢者などの嚥下困難者が急増しており、これら嚥下困難者に対する介護用の食品への関心が高まっている。
嚥下困難者に対する食品としては、液状ないし流動状の食品が一般的であり、食品の種類や風味がかなり制約されている。固形状の食品は、食べやすい大きさにまでカットしたりして供されているが、粘り気や固さの調整が難しく嚥下しやすいとはいえない食品が多い。
特に、麺類においては、通常の麺類(茹で麺、冷凍麺、乾麺など)を通常よりも長い時間茹でて高歩留の麺類にすることで、軟らかい食感の麺類としていた。しかし、これらの通常の麺類を長時間茹でると、麺類表面の茹で溶けが多くなって麺類としての価値が失われてまずいものとなってしまうという問題があった。このため麺類表面の茹で溶けを少なくしようとして茹で時間を短くすると、麺の中心部には歯応え(芯)が残り、十分にソフトな麺類を得ることはできなかった。このように、麺類を単に長時間茹でて高歩留にするだけでは、麺類としての価値を残して十分に嚥下しやすい麺類を得ることはできなかった。
また、嚥下困難者に対する食品には、各種栄養成分(各種ビタミン類、カルシウム塩等のミネラル類、食物繊維類、各種エキス等)が配合されていることが所望されるが、これら栄養成分を製麺原料に配合して製麺した場合、得られた麺類を長時間茹でることにより、麺類に添加した栄養成分、特に水溶性の栄養成分が茹で湯に溶け出してしまうという問題もあった。
特許文献1には、高度分岐環状デキストリンを配合して餅的な食感を付与した咀嚼、嚥下しやすい澱粉性食品が開示されており、うどんの製造例が記載されている。しかし、この方法で得られるうどんは依然として麺の中心部には歯応え(芯)が残っており、嚥下困難者に対する食品としては不十分であり、また、高度分岐環状デキストリンという特殊な添加物を必要としている。
また、特許文献2および3には、麺類と調味液または水とを包装容器内に収納して冷凍した包装冷凍麺類が記載されているが、これらの包装冷凍麺類は、歯応えがあってコシのある麺類であり、本発明の目的とする嚥下しやすい麺類とする工夫がなされているものではない。
特開2001−136898号公報 特開平5−252887号公報 特開昭64−60344号公報
従って、本発明の目的は、特殊な添加物を使用しなくても、麺類の表面に茹で溶けがなく麺類としての価値を失うことなく、かつ麺類の中心部は十分にソフトで、嚥下しやすく、また麺類に添加した栄養成分が茹で湯に溶け出して流出することのない麺類を得ることにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討を行った結果、特定の範囲の歩留に調製した茹で麺類と、水または栄養成分を含む水溶液とを、冷凍状態で包装して得た包装冷凍麺類を、包装容器ごと加熱解凍して歩留430%以上の麺類とすることにより、麺類の表面に茹で溶けがなく麺類としての価値を失うことなく、かつ麺類の中心部は十分にソフトで、嚥下しやすく、また麺類に添加した栄養成分が茹で湯に溶け出すことのない麺類が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、「歩留240〜330%に調製した茹で麺類と、水または栄養成分を含む水溶液とが、冷凍状態で耐熱性包装容器内に収納、密封されており、喫食する際に包装容器ごと加熱解凍して歩留430〜500%の麺類とすることを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類」を提供するものである。
また、本発明は、上記の本発明の包装冷凍麺類を製造する好ましい方法として、「麺類を茹で上げて歩留240〜330%に調製した茹で麺類質量に対し、加熱解凍後の歩留を430〜500%とし得る量の水または栄養成分を含む水溶液を、耐熱性包装容器内に入れ、密封し、冷凍することを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類の製造方法」、および、「麺類を茹で上げて歩留240〜330%に調製した茹で麺類を冷凍した冷凍麺類質量に対し、加熱解凍後の歩留が430〜500%にし得る量の水または栄養成分を含む水溶液を耐熱性包装容器内に入れ、密封し、冷凍することを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類の製造方法」を提供するものである。
本発明によれば、茹で麺類を高歩留に調製しても、麺類の表面に茹で溶けがなく麺類としての価値を失うことなく、かつ麺類の中心部は十分にソフトで、嚥下しやすく、また麺類に添加した栄養成分が茹で湯に溶け出して流出することのない、包装冷凍麺類を提供することができる。すなわち、本発明の包装冷凍麺類はこれを通常の方法で加熱解凍することによって、例えば歯のないような嚥下困難者でも十分に困難なく喫食可能であるばかりでなく、必要な栄養成分を同時に摂取させることができる。また、本発明によれば、麺原料に添加するよりも栄養成分をより多く麺類に含有させることができる。さらに、本発明の包装冷凍麺類は、嚥下しやすく、かつ必要に応じて各種栄養成分を含ませることができるため、嚥下困難者のみならず、乳幼児の離乳食としても好適である。
以下、本発明の包装冷凍麺類を、その好ましい製造方法とともに説明する。
本発明の対象とする麺類としては、特に制限されるものではなく、例えばうどん、日本そば、中華麺等が挙げられるが、うどんが好ましい。これらの麺類は、製法に制限されるものではなく、常法により製造されたものを用いることができる。
なお、本発明でいう「歩留」とは、原料穀粉の使用量を100質量部としたときに、該原料穀粉の質量部に対する得られる茹で麺類の質量部の割合であり、(茹で麺類の質量)/(使用した原料穀粉の質量)×100(%)により求めることができる。
本発明では、まず、うどん、日本そば、中華麺等の生麺類または乾麺類を茹で上げて歩留240〜330%に調整した茹で麺類を得るが、うどんの場合では歩留270〜330%に調整するのが好ましく、日本そばおよび中華麺では歩留240〜270%に調整するのが好ましい。麺類の茹で上げは、常法により行えばよい。茹で麺類の歩留が240%未満であると、茹で不足となって、麺類の中心部には歯応え(芯)が残ったり、後工程の加熱解凍に時間がかかり過ぎる可能性が大きくなる。また、茹で麺類の歩留が330%超であると、喫食に供するまでに麺類の表面に茹で溶けや煮くずれが生じる可能性が大きくなる。
歩留240〜330%に調整した茹で麺類は、より嚥下し易いように麺線を長さ0.5〜5cm程度に切断するのが好ましく、1〜4cm程度がより好ましい。また、該茹で麺類は、冷凍して冷凍麺類としてもよい。この茹で麺類の冷凍は、常法により行えばよく、急速冷凍でも緩慢冷凍でもよいが、急速冷凍が好ましい。
次いで、上記の歩留240〜330%に調整した茹で麺類または該茹で麺類を冷凍した冷凍麺類と、水または栄養成分を含む水溶液とを、耐熱性包装容器内に入れ、密封し、冷凍する。密封した包装麺類の冷凍は、常法により行えばよく、急速冷凍でも緩慢冷凍でもよいが、急速冷凍が好ましい。また、密封した包装麺類は、冷凍前に、殺菌の目的のために加熱処理を施してもよい。
水または栄養成分を含む水溶液は、少なくとも加熱解凍後の麺類の歩留を430〜500%とし得る量を添加する必要があり、例えば歩留を240〜330%に調整した茹で麺類または冷凍麺類100質量部に対して、茹で麺類の歩留に応じて少なくとも50〜70質量部を用いる。
本発明において、水または栄養成分を含む水溶液には、必要に応じて各種調味料、だし等を適宜配合してもよく、これらを配合することで呈味性をよくすることができる。
尚、耐熱性包装容器内に入れる茹で麺類または冷凍麺類の量は、嚥下困難者の状態、所望される摂取量等により適宜決定することができる。通常は、一般的な一人前の量かそれより少ない量であり、例えば50〜200g程度である。また、離乳食の場合には、例えば20〜50g程度である。
上記栄養成分としては、水溶性のものが好ましく、例えば、水溶性ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンB群、パントテン酸、ナイアシン等)、ミネラル類(カルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウム等)、各種アミノ酸、水溶性ペプチド(大豆ペプチド、コラーゲン等の蛋白質の加水分解物)、生薬エキス、水溶性食物繊維類の他に、各種水溶性栄養成分を含む食品素材(例えばレバーなど)やその他食品素材のエキス(畜肉や骨のスープ、野菜スープ等)、各種健康食品用素材のエキスなどが挙げられる。さらに、脂溶性栄養成分(DHA、EPA、ビタミンE、βカロチン、ビタミンD、ビタミンK等の脂溶性ビタミン類、コエンザイムQ10、イソフラボン等のポリフェノール、スクワレン)であっても、水溶化物(例えば、日清ファルマ社製の商品名アクアQ10、P40、L10等の水溶化コエンザイムQ10)であれば使用可能である。
これらの栄養成分やこれを含有する食品素材の中には、製麺時に原料穀粉に多く配合すると生地の形成に悪影響を及ぼすものがあり、そういった点から考慮しても、本発明のようにあとから必要な栄養成分を含む水溶液を特定の歩留の茹で麺類に含有させることは効果的である。例えば、水溶性食物繊維等を製麺時に使用する場合、原料穀粉100質量部に対し5質量部を超えて配合すると、生地のつながりが悪くなり、製麺不能となる傾向が大きくなってくる。
また、耐熱性包装容器としては、包装容器として十分な強度を有し、かつ収納した麺類などを容器ごと冷凍処理する際の冷凍耐性および容器ごと加熱解凍する際の耐熱性を有するものであれば、その材質や形状などが特に制限されるものではなく、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ナイロンなどの合成樹脂のフィルムやこれらのラミネートフィルムからなる合成樹脂製の袋が好ましい。
耐熱性包装容器の密封は、常法により行えばよく、また、耐熱性包装容器内に入れた麺類と水または栄養成分を含む水溶液の冷凍も、従来の包装冷凍麺類における麺類の冷凍と同様にして行うことができる。
以上のようにして得られる本発明の包装冷凍麺類は、喫食する際に包装容器ごと加熱解凍して歩留430〜500%の麺類とする。
加熱解凍後の麺類の歩留が430%未満であると、嚥下困難者にとってソフトさや嚥下しやすさが十分でない可能性が大きくなる。また、茹で麺類の歩留が500%を超えると、麺類表面に茹で溶けが多くなり、麺類としての価値を失いやすくなる。加熱解凍後の麺類の歩留は、冷凍前の茹で麺類に添加する水または栄養成分を含む水溶液の量、包装冷凍麺類の加熱解凍時間により適宜調整することができる。具体的には、冷凍前の茹で麺類の歩留から、加熱解凍後の麺類の歩留を430〜500%とするのに必要な量またはそれ以上の量の水または栄養成分を含む水溶液を添加すること、および加熱解凍時間を5〜30分間、好ましくは15〜25分間に調整する。なお、加熱解凍手段は、特に制限されるものではなく、例えば熱湯や蒸気による加熱解凍でも電子レンジによる加熱解凍でもよい。
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例および比較例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
小麦粉(「薫風」日清製粉株式会社製)100質量部を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩4質量部を水34質量部に溶かした食塩水を加えて混練後、複合および圧延を行って最終麺帯厚を2.2mmとした後、切刃♯14角刃で切り出し、麺長3cmの生うどんを得た。得られた生うどんを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん100gと水50gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)をうどん汁と共に丼に入れ、うどんの表面の状態および食感について表1に示す評価基準表に従ってパネラー数10人で評価した。その評価の平均の結果を表2に示す。
比較例1
実施例1と同様の方法で歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gをそのまま耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋から取り出して、沸騰水中で約2分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留330%)について、うどんの表面の状態および食感について実施例1と同様にして評価した。その評価の平均の結果を表2に示す。
比較例2
実施例1と同様の方法で歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん100gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋から取り出して、沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留450%)について、うどんの表面の状態および食感について実施例1と同様にして評価した。その評価の平均の結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同様の方法で生うどんを得た。得られた生うどんを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約450%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍麺をビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留450%)について、うどんの表面の状態および食感について実施例1と同様にして評価した。その評価の平均の結果を表2に示す。
実施例2
実施例1において、耐熱性ビニール袋に入れる水50gの代わりに、水溶性食物繊維(デキストリン、「ファイバーゾル2」松谷化学工業株式会社製)の10%水溶液50gを使用した以外は、実施例1と同様にして包装冷凍うどんを得た。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)をうどん汁と共に丼に入れ、うどんの表面の状態および食感について実施例1と同様にして評価した。その評価の平均の結果を表2に示す。
また、「平成11年4月26日 衛新第13号 厚生省生活衛生局食品健康課新開発食品保険対策室長通知」における食物繊維分析法(酵素−HPLC法)に従って解凍うどん中の水溶性食物繊維の量を測定し、水溶性食物繊維の添加量に対する残存率を算出した。この結果を表2に示す。
実施例3
実施例2において水溶性食物繊維の10%水溶液50gの代わりに、水溶性食物繊維の20%水溶液50gを使用した以外は、実施例2と同様にして包装冷凍うどんを得た。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)について、実施例2と同様にして麺の表面の状態および食感について評価し、栄養成分としての水溶性食物繊維の添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
実施例4
実施例1と同様にして歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん100gと水溶性食物繊維の10%水溶液50gを電子レンジ対応のビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま800Wの電子レンジで7分間加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)について、実施例2と同様にしてうどんの表面の状態および食感について評価し、栄養成分としての水溶性食物繊維の添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例4
小麦粉(「薫風」日清製粉株式会社製)100質量部を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩4質量部と水溶性食物繊維(デキストリン、「ファイバーゾル2」松谷化学工業株式会社製)5質量部を水34質量部に溶かした溶液を加え混練後、複合および圧延を行って最終麺帯厚を2.2mmとした後、切刃#14角刃で切り出し、麺長3cmの生うどんを得た。得られた生うどんを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留310%)について、実施例2と同様にしてうどんの表面の状態および食感について評価し、栄養成分としての水溶性食物繊維の添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例5
比較例4と同様にして歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋から取り出して、沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留467%)について、比較例4と同様にしてうどんの表面の状態および食感について評価し、栄養成分としての水溶性食物繊維の添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例6
小麦粉(「薫風」日清製粉株式会社製)100質量部と水溶性食物繊維(デキストリン、「ファイバーゾル2」松谷化学工業株式会社製品)10質量部を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩4質量部を水34質量部に溶かした溶液を加えて混練後、複合および圧延を行って製麺しようとしたが、途中で生地がつながらず製麺することができなかった。
実施例5
実施例1において、ビニール袋に入れる水50gの代わりに、乳酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)の8.2%水溶液50gを使用した以外は、実施例1と同様にして包装冷凍うどんを得た。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)をうどん汁と共に丼に入れ、うどんの表面の状態および食感について実施例1と同様にして評価した。
また、「平成11年4月26日 衛新第13号 厚生省生活衛生局食品健康課新開発食品保険対策室長通知」におけるカルシウムの分析方法(ICP発光分析法)に従って解凍うどん中のカルシウムの量を測定し、乳酸カルシウムの添加量に対する残存率を算出した。これらの結果を表2に示す。
実施例6
実施例5において乳酸カルシウムの8.2%水溶液50gの代わりに、乳酸カルシウムの16.4%水溶液50gを使用した以外は、実施例5と同様にして包装冷凍うどんを得た。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋ごと沸騰水中で6分間解凍した。この解凍うどん(歩留465%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
実施例7
実施例5において乳酸カルシウムの8.2%水溶液50gの代わりに、乳酸カルシウムの20.4%水溶液50gを使用した以外は、実施例5と同様にして包装冷凍うどんを得た。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
実施例8
実施例1と同様にして歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん100gを通常の冷凍麺用トレーに取り、−40℃で冷凍した。冷凍後、この冷凍うどんと乳酸カルシウムの8.2%水溶液50gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、再度−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留465%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例7
小麦粉(「薫風」日清製粉株式会社製)100質量部を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩4質量部と乳酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)8.4質量部(溶出がなければ実施例5の乳酸カルシウムと同質量になる理論値)を水34質量部に溶かした溶液を加え混練後、複合および圧延を行って最終麺帯厚を2.2mmとした後、切刃#14角刃で切り出し、麺長3cmの生うどんを得た。得られた生うどんを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gをそのまま耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留310%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態および食感を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例8
比較例7と同様にして歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋から取り出して、沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留450%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態および食感を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例9
比較例7において、乳酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)8.4質量部の代わりに乳酸カルシウム16.9質量部(理論値の2倍量)を用いた以外は比較例7と同様にして、歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留310%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態および食感を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例10
比較例9と同様にして歩留約310%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋から取り出して、沸騰水中で約6分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどん(歩留450%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態および食感を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
比較例11
比較例7と同様にして生うどんを得た。得られた生うどんを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約450%の茹でうどんを得た。この茹でうどん150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封後、−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍うどんを袋ごと沸騰水中で約6分間解凍した。この解凍うどん(歩留450%)について、実施例5と同様にしてうどんの表面の状態および食感を評価し、栄養成分としてのカルシウムの添加量に対する残存率を測定・算出した。これらの結果を表2に示す。
実施例9
小麦粉(「八福」日清製粉株式会社製)90質量部、澱粉(「No9」松谷化学株式会社製)10質量部、卵白粉1質量部、グルテン2質量部を試験用ミキサーに投入し、次いで予め粉末かん水(「赤」オリエンタル酵母工業株式会社製)1.5質量部、グアーガム(「ネオソフトG」太陽化学株式会社製)0.5質量部およびクチナシ色素0.15質量部を水35質量部に溶かした溶液を加えて混練後、複合および圧延を行って最終麺帯厚を1.5mmとした後、切刃♯20角刃で切り出し、麺長5cmの生中華麺を得た。得られた生中華麺を熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約270%の茹で中華麺を得た。この茹で中華麺80gと調味液150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封した後、沸騰水中で約10分間殺菌処理し、次いで−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍中華麺をビニール袋に入れたまま沸騰水中で約5分間茹でて加熱解凍した。この解凍中華麺(歩留460%)ついて、実施例1と同様にしての表面の状態および食感を評価した。その結果を表2に示す。
実施例10
小麦粉(「雅」日清製粉株式会社製)70質量部、そば粉(「金寿」日穀製粉株式会社製)30質量部、卵白粉0.5質量部、グルテン3質量部をミキサーに投入し、次いで予め食塩1.2質量部を水30質量部に溶かした食塩水を加えて混練後、複合および圧延を行って最終麺帯厚を1.5mmとした後、切刃♯20角刃で切り出し、麺長5cmの生日本そばを得た。得られた生日本そばを熱湯中で茹で上げ、水洗・冷却し、歩留約250%の茹で日本そばを得た。この茹で日本そば80gと調味液150gを耐熱性ビニール袋に入れ、密封した後、沸騰水中で約10分間殺菌処理し、次いで−40℃で冷凍した。冷凍2週間後、この包装冷凍日本そばをビニール袋に入れたまま沸騰水中で約5分間茹でて加熱解凍した。この解凍日本そば(歩留455%)について、実施例1と同様にしての表面の状態および食感を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0004685837
Figure 0004685837

Claims (3)

  1. 歩留240〜330%に調製した茹で麺類と、水または栄養成分を含む水溶液とが、冷凍状態で耐熱性包装容器内に収納、密封されており、喫食する際に包装容器ごと加熱解凍して歩留430〜500%の麺類とすることを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類。
  2. 請求項1記載の包装冷凍麺類を製造する方法であって、麺類を茹で上げて歩留240〜330%に調製した茹で麺類質量に対し、加熱解凍後の歩留を430〜500%とし得る量の水または栄養成分を含む水溶液を、耐熱性包装容器内に入れ、密封し、冷凍することを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類の製造方法。
  3. 請求項1記載の包装冷凍麺類を製造する方法であって、麺類を茹で上げて歩留240〜330%に調製した茹で麺類を冷凍した冷凍麺類質量に対し、加熱解凍後の歩留を430〜500%とし得る量の水または栄養成分を含む水溶液を、耐熱性包装容器内に入れ、密封し、冷凍することを特徴とする嚥下しやすい包装冷凍麺類の製造方法。
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