JP4386308B2 - 建物の躯体骨組み構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は工場や倉庫などのような平面寸法が高さよりも大きい建物の躯体骨組み構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場や倉庫などのような平面寸法が高さよりも大きい建物では、需要者の要望、仕様などに応じてその都度、設計、施工がなされているのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、コストダウンを図るにも、また、工期を短縮するにも限界があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、設計、施工の簡易化を図れ、コストダウンおよび工期の短縮化を達成できる建物の躯体骨組み構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、工場や倉庫などのような平面寸法が高さよりも大きい建物の躯体骨組み構造であって、前記建物の形状は、平面視した場合に、同一形状の多数の仮想の長方形がそれらの長辺と短辺を合致させて並べられることで形成され、前記建物の床を構成する土間コンクリートは、前記建物の平面視形状とほぼ等しい形状に形成され、前記建物の基礎梁は、その高さが地表面よりも上方に突出され、前記土間コンクリートの一部を構成しており、多数の均一長さの鉄骨柱が、土間コンクリートの外縁で、かつ、前記仮想の長方形の短辺に沿って前記仮想の長方形の各角部毎に立設され、多数の均一長さの支柱が土間コンクリートの外縁の内側で前記仮想の長方形の各角部毎に、あるいは、複数の仮想の長方形を合わせた矩形の各角部毎に立設されると共に、土間コンクリートの外縁で、かつ、前記仮想の長方形の長辺に沿って前記仮想の長方形の各角部毎に立設され、前記仮想の長方形の短辺方向に延在させた複数の下部大梁が各支柱の上端に載置されて固定され、前記仮想の長方形の長辺方向に延在させた複数の上部大梁が前記鉄骨柱の上端と前記下部大梁の上に載置されて固定され、前記仮想の長方形の短辺方向に延在させた複数の小梁が、前記複数の上部大梁の上に載置されて固定されていることを特徴とする。
【0005】
本発明によれば、需要者の要望、仕様に対応した形状で、かつ、鉄骨柱や支柱の位置、数を含めた建物の設計が簡単になされる。
また、土間コンクリートや鉄骨柱、支柱、下部大梁、上部大梁、小梁の施工を簡単化でき、鉄骨量を削減する上で有利となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の躯体骨組み構造が工場に適用された実施の形態について添付図面にしたがって説明する。
図1は実施の形態に係る工場の土間コンクリート部分の概略平面図、図2は図1のA矢視概略図、図3は土間コンクリートや鉄骨柱、支柱、大梁部分の斜視図、図4は基礎梁部分の断面図、図5はブレースと鉄骨柱の連結部分の正面図、図6は支柱と下部大梁の連結部分の正面図、図7は鉄骨柱と下部大梁の連結部分の正面図、図8は下部大梁と上部大梁の連結部分の正面図、図9は上部大梁と小梁の連結部分の正面図を示す。
工場12は平屋建物で高さよりも大きな平面寸法を有しており、工場12の形状は、平面視した場合に矩形で、この矩形は、同一形状の多数の仮想の長方形14がそれらの長辺14Aと短辺14Bを合致させて並べられることで形成されている。
本実施の形態に係る躯体骨組み構造は、土間コンクリート16、基礎梁18、鉄骨柱24、支柱32、下部大梁34、上部大梁36、小梁38などで構成されている。
【0007】
前記土間コンクリート16は、工場12の床を構成するもので、工場12の平面視形状とほぼ等しい矩形に形成されている。
図4に示すように、前記基礎梁18は、その高さが地表面GLよりも上方に突出され、基礎梁18の上面と土間コンクリート16の上面とは面一に形成され、基礎梁18は土間コンクリート16の一部を構成している。なお、図4において符号20は増し打ち箇所を示し、符号22は砕石層を示している。
【0008】
前記鉄骨柱24は前記土間コンクリート16の外縁で、かつ、前記仮想の長方形14の短辺14B(桁行方向)に沿って、前記仮想の長方形14の各角部毎に立設されている。前記鉄骨柱24はH形鋼からなり、各鉄骨柱24は設計寸法で定められた均一の長さに形成されている。
図5に示すように、隣り合う鉄骨柱24の上下部は、十字状になるように2本づつ斜め掛け渡された合計4本のブレース26により連結されている。ブレース26の鉄骨柱24への連結は、2本のブレース26の両端にそれぞれ溶着されたガセットプレート28が、鉄骨柱24のフランジ2402に高力ボルトBで締結することでなされている。
前記各ブレース28はターンバックル30を含んで構成され、ターンバックル30によりブレース28の緊締、弛緩の調節が簡単に行なわれるように構成されている。
【0009】
前記支柱32は前記土間コンクリート16の外縁の内側で前記仮想の長方形14の各角部毎に、本実施の形態では、2つの仮想の長方形14を合わせた矩形の各角部毎に立設されると共に、土間コンクリート16の外縁で、かつ、前記仮想の長方形14の長辺14A(梁間方向)に沿って前記仮想の長方形14の各角部毎に立設されている。
前記支柱32は角形鋼管からなり、各支柱32は設計寸法で定められた均一の長さに形成されている。
そして、仮想の長方形14の長辺14A方向に間隔をおき仮想の長方形14の短辺14B方向に延在させた2本の下部大梁(桁行大梁)34が各支柱32の上端に載置されて固定されている。本実施の形態では下部大梁34として複数のH形鋼が連結して用いられ、H形鋼の連結は、下部大梁34に作用する応力がゼロの箇所において、それらのウェブ同士に添え板を当て高力ボルトで締結することでなされている。
また、上部大梁36の外端に位置する(土間コンクリート16の外縁に位置する)鉄骨柱24により水平応力を負担し、下部大梁34の両端の間に位置する支柱32により鉛直力のみを負担するように構成している。すなわち、下部大梁34の両端の間に位置する支柱32と下部大梁34の連結は、図6に示すように、支柱32の上端に水平に設けられたトッププレート3202の上に、下部大梁34の下フランジ3402が載せられ、トッププレート3202とフランジ3402が高力ボルトBで着脱可能に締結されることでなされ、図6において符号3410は、下部大梁34に固定された補強プレートを示す。
【0010】
前記鉄骨柱24の上端と下部大梁34の上に、前記仮想の長方形14の短辺方向に間隔をおき長辺14A方向に延在させた複数の上部大梁(梁間大梁)36が載置され固定され、上部大梁36は、図2に示すように、梁間方向の中央部が高くなるように配設されている。
より詳細に説明すると、鉄骨柱24の上端と上部大梁36との連結は、図7に示すように、鉄骨柱24の上端に設けられたトッププレート2402の上に、上部大梁36の下フランジ3602が載せられ、トッププレート2402とフランジ3602が高力ボルトBで着脱可能に締結されることでなされ、図7において符号3610は、上部大梁36に固定された補強プレートを示す。
また、下部大梁34と上部大梁36との連結は、図8に示すように、下部大梁34の上フランジ3402の上に、上部大梁36の下フランジ3602が載せられ、双方のフランジ3402,3602が高力ボルトBで着脱可能に締結されることでなされている。
【0011】
前記小梁38は複数の上部大梁36の上に、前記仮想の長方形14の短辺14B方向に延在させて複数載置され固定されている。
より詳細に説明すると、小梁38としてH形鋼が用いられ、小梁38の長さは長方形14の短辺14Bの2倍の寸法を有し、小梁38の中間部と両端が各上部大梁36上に連結された所謂2連梁である。
小梁38の両端と上部大梁36の連結は、図9に示すように、上部大梁36の上フランジ3602の上に小梁38の下フランジ3802を載せ、双方のフランジ3602,3802が高力ボルトBで着脱可能に締結されることでなされ、隣り合う小梁36の端部の間には隙間が確保される。また、下部大梁36の座屈を防止するため、構造簡易なアングル材40が上部大梁36の下フランジ3602と小梁38の下フランジ3802間に掛け渡される。
なお、小梁38の中間部と上部大梁36の連結も、上部大梁36の上フランジ3602の上に小梁38の下フランジ3802を載せ、双方のフランジ3602,3802が高力ボルトBで着脱可能に締結されることでなされる。
そして、図3に示すように、水平方向に延在させた複数の胴縁42が上下に間隔をおいて各鉄骨柱24に連結され、これら複数の胴縁42に外壁44が取着され、また、小梁38に屋根46が取着される。
【0012】
本実施の形態によれば、同一形状の多数の仮想の長方形14がそれらの長辺14Aと短辺14Bを合致させて並べられることで、需要者の要望、仕様に対応した形状で、かつ、鉄骨柱24や支柱32の位置、数を含めた工場の設計が簡単になされる。
また、基礎梁18を地表面GLよりも上方に突出させ、土間コンクリート16の一部を構成させるようにしたので、土の掘削深さを減少させることで土工事の軽減化を図れ、また、基礎梁18と土間コンクリート16の双方に同時にコンクリートを打設することができるようになるので、工数を減少すると共に、捨てコンを不要にでき、コストを削減する上で有利となる。
【0013】
また、隣り合う鉄骨柱24の相互間を、両端にガセットプレート28が溶着された2本のブレース26を用いて連結するようにしたので、鉄骨柱24の構造を複雑化することなく簡単に補強でき、コストを削減する上で有利となる。
また、上部大梁36の外端に位置する鉄骨柱24により水平応力を負担し、下部大梁34の両端の間に位置する支柱32により鉛直力のみを負担するように構成したので、支柱32として断面が非常に小さい鉄骨を用いることができ、したがって、建物の内部スペースを広く取る上で有利となる。また、支柱32は、水平応力を負担しないサポート柱であるため、支柱32を水平方向に自由に移動でき、工場の機器を配置する上で極めて有利となる。
【0014】
また、上部大梁36を配設するに際して、上部大梁36と鉄骨柱24の連結を、鉄骨柱24のトッププレート2402の上に上部大梁36の下フランジ3602を載せ、トッププレート2402とフランジ3602を高力ボルトBで締結することで行なうようにしたので、従来のように、柱からブラケットを張り出し、このブラケットと、上部大梁の上下のフランジとウェブとに添え板を合わせ、高力ボルト摩擦接合する場合に比べ、使用する鉄骨量を削減し、施工を簡単化する上で極めて有利となる。
また、上部大梁36を配設するに際して、上部大梁36と下部大梁34の連結を、下部大梁34の上フランジ3402の上に上部大梁36の下フランジ3602を載せ、双方のフランジ3402,3602が高力ボルトBで締結することで行なうようにしたので、従来のようにガセットプレートや添え板を省き、施工を簡単化できる。また、上部大梁36が連結梁となるため、その断面を小さくでき、さらに、上部大梁36を屋根勾配を付ける部材としても兼用できるので、使用する鉄骨量を削減する上でも有利となる。
【0015】
また、小梁38を複数の上部大梁36の上に配設するに際して、小梁38と上部大梁36の連結を、上部大梁36の上フランジ3602の上に小梁38の下フランジ3802を載せ、双方のフランジ3602,3802を高力ボルトBで締結することで行なうようにしたので、従来のようにガセットプレートや添え板を省き、施工を簡単化できる。また、本実施の形態では、小梁38を2連梁としたので、小梁38の断面を小さくでき使用する鉄骨量を削減する上で有利となる。
【0016】
なお、本実施の形態では、平屋建ての工場に適用した場合について説明したが、本発明は倉庫などのようなその他の平面寸法が高さよりも大きい建物の躯体骨組みに適用可能であり、また、2階建て以上の建物にも無論適用される。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、設計、施工の簡易化を図れ、コストダウンおよび工期の短縮化を達成できる建物の躯体骨組み構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る工場の土間コンクリート部分の概略平面図である。
【図2】図1のA矢視概略図である。
【図3】土間コンクリートや鉄骨柱、支柱、大梁部分の斜視図である。
【図4】基礎梁部分の断面図である。
【図5】ブレースと鉄骨柱の連結部分の正面図である。
【図6】支柱と下部大梁の連結部分の正面図である。
【図7】鉄骨柱と下部大梁の連結部分の正面図である。
【図8】下部大梁と上部大梁の連結部分の正面図である。
【図9】上部大梁と小梁の連結部分の正面図である。
【符号の説明】
12 工場
14 仮想の長方形
16 土間コンクリート
18 基礎梁
24 鉄骨柱
32 支柱
34 下部大梁
36 上部大梁
38 小梁

Claims (3)

  1. 工場や倉庫などのような平面寸法が高さよりも大きい建物の躯体骨組み構造であって、
    前記建物の形状は、平面視した場合に、同一形状の多数の仮想の長方形がそれらの長辺と短辺を合致させて並べられることで形成され、
    前記建物の床を構成する土間コンクリートは、前記建物の平面視形状とほぼ等しい形状に形成され、
    前記建物の基礎梁は、その高さが地表面よりも上方に突出され、前記土間コンクリートの一部を構成しており、
    多数の均一長さの鉄骨柱が、土間コンクリートの外縁で、かつ、前記仮想の長方形の短辺に沿って前記仮想の長方形の各角部毎に立設され、
    多数の均一長さの支柱が土間コンクリートの外縁の内側で前記仮想の長方形の各角部毎に、あるいは、複数の仮想の長方形を合わせた矩形の各角部毎に立設されると共に、土間コンクリートの外縁で、かつ、前記仮想の長方形の長辺に沿って前記仮想の長方形の各角部毎に立設され、
    前記仮想の長方形の短辺方向に延在させた複数の下部大梁が各支柱の上端に載置されて固定され、
    前記仮想の長方形の長辺方向に延在させた複数の上部大梁が前記鉄骨柱の上端と前記下部大梁の上に載置されて固定され、
    前記仮想の長方形の短辺方向に延在させた複数の小梁が、前記複数の上部大梁の上に載置されて固定されている、
    ことを特徴とする建物の躯体骨組み構造。
  2. 前記下部大梁と上部大梁は共にH形鋼から構成され、上部大梁の下部大梁への固定は、上部大梁の下フランジが下部大梁の上フランジに載置され、これらフランジが高力ボルトで締結されることで行われていることを特徴とする請求項1記載の建物の躯体骨組み構造。
  3. 長手方向の両端にガセットプレートが溶着され、長手方向の中間部にターンバックルが配設された2本のブレースが、隣り合う鉄骨柱の上下部に斜め掛け渡され、合計4本のブレースにより隣り合う鉄骨柱の相互が連結されていることを特徴とする請求項1記載の建物の躯体骨組み構造。
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