JP4385141B2 - 内視鏡用撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内視鏡用撮像装置、特に内視鏡の細径化促進のために鏡胴保持部材に外周カット部を有する撮像装置で、組立て時等においてピント調整範囲を確保するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5には、従来の電子内視鏡等で最近用いられる撮像装置の構成が示されている。この撮像装置は、内視鏡先端部内に収納され、例えば先端面に配置した第1レンズ1Aを含む対物光学系レンズ1が鏡胴2として設けられ、この鏡胴2は筒状の鏡胴保持部材3に保持される。この鏡胴保持部材3の後方に、プリズム4が取り付けられ、このプリズム4にカバーガラス5を介して固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)6が光学的に接続される。なお、このCCD6はビデオ信号を伝送するための信号線を接続する回路基板に取り付けられる。
【0003】
このような撮像装置によれば、上記の対物光学系1によって捉えられた像光がプリズム4で反射されてCCD6の撮像面(上面)に到達することになり、このCCD6では入射光に対応した電荷量をビデオ信号として出力し、このビデオ信号を処理することにより被観察体内の画像が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の内視鏡では、従来から挿入先端部の細径化が進められているが、撮像や処理に関する各種の機構、構造を追加する必要性から、内視鏡先端部の更なる細径化が要請されている。。
【0005】
また、図5の撮像装置では、例えば範囲L0 (図の範囲に限られない)で示すように、鏡胴保持部材3内で鏡胴2の光軸方向100の移動が確保されており、組付け時に鏡胴2を前後移動させて撮像系のピント合わせが行われている。しかし、上記の先端部の細径化を実現する上で、上記の移動範囲L0 が確保できない場合があり、このような場合はピント合せの調整機能を妨げることになる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内視鏡の細径化及び内視鏡先端部の短縮化の促進を図り、かつピント合せの調整機能を確保することが可能となる内視鏡用撮像装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、固体撮像素子を組み付けた固体撮像素子組付け体と、鏡胴枠部材内に対物光学系を有する鏡胴と、この鏡胴を光軸方向に移動可能な状態で保持し、段差を介して内径が小さくなる部分を有する鏡胴保持部材とを備え、上記鏡胴を上記鏡胴保持部材内の段差まで後退させたとき、上記鏡胴枠部材の後端位置が上記段差の最小内径点よりも後側へ配置される切込みを、当該鏡胴枠部材の後端面に設けたことを特徴とする。上記の内径が小さくなる部分としては、例えば固体撮像素子組付け体上面の配置位置を上記鏡胴光軸に近づけるために上記鏡胴保持部材の外周をカットし、かつ内周も段差を介して径を小さくした外周カット部がある。
【0008】
上記の構成によれば、例えば鏡胴を前側へ移動させて空けた鏡胴保持部材の後側に外周カット部が設けられ、この外周カット部に固体撮像素子組付け体のカバーガラス上面が食い込む形で配置される。これにより、従来と比較すると、上記のカット部の切断厚み分だけ撮像装置の全体の高さを低くすることができる。
【0009】
しかし、上記の外周カット部を形成するために、鏡胴保持部材内部に内径の異なる段差が生じ、鏡胴を光軸方向に移動させる範囲が狭くなる。そこで、本発明は、上記段差の形状を吸収する切込みを鏡胴枠部材の後端面の外周側に入れ、少しでも鏡胴がその鏡胴保持部材内で移動できるようにしたものであり、これによりピント合せの調整機能が確保される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1には、実施形態例に係る内視鏡用撮像装置の構造が示されており、この撮像装置は電子スコープの先端部内に配置される。図1において、枠部材10内に第1レンズ11A(観察窓)を含む対物光学系11を内蔵した鏡胴12が設けられ、この鏡胴12の第1レンズ11Aが先端面に露出するように配置される。この鏡胴12は、外周部に配置された筒状の鏡胴保持部材13に保持され、この鏡胴保持部材13内で鏡胴12は光軸100の方向に移動可能となっている。
【0011】
上記鏡胴保持部材13の後方に、プリズム14が配置され、このプリズム14の下面にカバーガラス15を介してCCD16が配置されており、このCCD16の撮像面S1 は上記鏡胴12の光軸100に平行となる。このCCD16では、例えばその撮像面側から外側に突出して設けたリード線を回路基板17に接続し、上記撮像面S1 上にリード線を挟むように載せたカバーガラス15の周辺部を接着剤等により接着する。更に、図示のように充填剤(接着剤等)18をCCD16の周辺部と回路基板17との間に充填することにより、このCCD16とカバーガラス15の間(僅かな空間)を気密状態とする。なお、上記回路基板17にはビデオ信号等の信号伝送線が接続される。
【0012】
上記の鏡胴保持部材13の後端側には、その外周下側を平面カットした長さL1 の外周カット部21が設けられる。即ち、当該例では、鏡胴12の対物光学系11の後端面S2 (後端位置)とCCD16の撮像面(受光位置)S1 との距離が光路長となるが、この光路長を調整することにより、視野角、結像サイズ等を従来例の装置と同等にして、上記外周カット部21を設けることができる。
【0013】
この光路長の例えば伸長は、上記対物光学系11(後側レンズ)の上記後端面S2 の曲率半径を従来の対物光学系1(図5)の後端面曲率半径よりも小さくすること、或いは第1レンズ11Aの後端面S3 の曲率半径を従来の第1レンズ1Aの後端面曲率半径よりも小さくすること等、レンズの曲率半径を変えたり、また上記外周カット部21の内部空間に、例えば平行平面板20を挿入すること等により行うことができる。
【0014】
そして、この外周カット部21の下部面にカバーガラス15の上面を近接させた上記CCD16の組付け体を配置し、上記カバーガラス15とプリズム14を接着する。なお、このプリズム14の下側も上記カット部21の厚さ分だけカットするか又は上側へずらすことになる。
【0015】
また、上記外周カット部21の内径は鏡胴保持部材13の前側部分の内径よりも小さくされ、この前側部分と外周カット部21との境目に、段差23が生じることになる。例えば、この段差23が図2に示されるように、傾斜面で構成されているとすると、当該例では、この段差23の傾斜面の角度と同一の角度で、その長さ(幅D1 )よりも長い(幅D2 )傾斜面の切込み(面取り)25が形成される。従って、図2(B)に示されるように、鏡胴12を後端部まで移動させたとき、その枠部材10の後端面(位置)10Eが段差23の最小内径点Kよりも長さdだけ後側へ移動できることになる。
【0016】
図4には、本例において切込みを付加しない状態の段差部の構成が示されており、一般の面処理では、枠部材10の後端面10Eの外周角部は鏡胴保持部材13の段差23の傾斜にほぼ合致する形状となり、上記後端面10Eは段差23の最小内径点Kから後側へ配置されることはない。これに対し、当該例では、段差23の水平方向の幅をD1 すると、上記切込み25の幅をこの幅D1 の約2倍の幅D2 (D2 ≒2D1 )とすることにより、上記の長さdだけ後側へ移動させる余裕を持たせている。
【0017】
即ち、当該例の撮像装置では、上述のように鏡胴保持部材13の外周カット部21内の平行平面板20が配置される空間は、その内径が前側よりも小さいことから、従来の図5のようにピント合わせの領域(L0 )として用いることができず、ピント合わせの領域が制限される。しかし、枠部材10の切込み25によって上記の長さdの移動量を後側に確保することにより、このピント調整の制限をできるだけ緩和することが可能となる。
【0018】
以上の構成によれば、当該撮像装置の高さh2 が従来の高さh1 と比較して、外周カット部の厚さ分低くなるので、内視鏡先端部の細径化を促進することになる。また、鏡胴12の組立て時のピント調整は、その枠部材10の後端面10Eが段差23の最小内径点Kを超えた範囲で行うことができるという利点がある。
【0019】
図3には、上記鏡胴枠部材10の切込みの他の断面形状が示されており、図(A)に示される切込み27は上記例の斜めの段差23の上面部まで合せたもので、くの字状にカットしたものである。また、図(B)の切込み29は垂直に下降する段差30に合せたもので、直角形にカットしたものであり、図(C)の切込み32は僅かな傾斜面を介して直角に下降する段差31に合せたもので、この段差31の形状にカットしたものである。
【0020】
このように、各種の段差形状に切込み25,27,29,31の形状を合せることにより、これらの段差23,30,32の部分を吸収して枠部材10の後端面10Eを各段差23,30,32の最小内径点Kよりも後側へ配置することができる。なお、上記のように段差形状に一致させずに、上記切込み25,27,29,31の断面形状を例えば円弧状凹部として同様の効果を得ることも可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鏡胴保持部材において内視鏡細径化を促進するために内径が小さくなる部分を有する撮像装置で、鏡胴枠部材の後端位置が段差の最小内径点よりも後側へ配置されるように、切込みを当該鏡胴枠部材の後端面に入れたので、ピント合せの調整機能の制限を緩和し、ピント合わせを良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る内視鏡用撮像装置の構成を示す側面断面図である。
【図2】図1の円Z部分の拡大図を示し、図(A)は鏡胴が鏡胴保持部材の段差から少し前側に移動したときの図、図(B)は鏡胴が段差位置まで移動したときの図である。
【図3】実施形態例の鏡胴枠部材に設けられる切込みの各種形状を(A)から(C)に示す図である。
【図4】実施形態例の撮像装置で鏡胴枠部材の本発明の切込みを設けていない場合の構成を示し、図(A)は側面断面図、図(B)は図(A)の円Z部分の拡大図である。
【図5】従来の内視鏡用撮像装置の構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1,11 … 対物光学系、
2,12 … 鏡胴、 3,13 … 鏡胴保持部材、
5,15 … カバーガラス、
6,16 … CCD、
10 … 枠部材、 10E … 枠部材後端面、
21 … 外周カット部、
23,30,32 … 段差、
25,27,29,31 … 切込み。

Claims (1)

  1. 固体撮像素子を組み付けた固体撮像素子組付け体と、
    鏡胴枠部材内に対物光学系を有する鏡胴と、
    この鏡胴を光軸方向に移動可能な状態で保持し、段差を介して内径が小さくなる部分を有する鏡胴保持部材とを備え、
    上記鏡胴を上記鏡胴保持部材内の段差まで後退させたとき、上記鏡胴枠部材の後端位置が上記段差の最小内径点よりも後側へ配置される切込みを、当該鏡胴枠部材の後端面に設けた内視鏡用撮像装置。
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