JP4385131B2 - ガス反応装置 - Google Patents

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Description

本発明はガス反応装置に関する。
本発明は、常温、低真空圧の条件におけるガス化学反応を対象とし、低温プラズマ反応(別名称;非平衡プラズマ反応)技術に属する。
低温プラズマ反応(別名称;非平衡プラズマ反応)としては、環境対策として窒素酸化物(NOx)、有害な揮発性有機化合物、ダイオキシン類を含む対象ガスを無害化するガス反応としての低温プラズマ反応、またメタンの改質、メタンと水蒸気からメタノールの合成他を狙う低温プラズマ反応など、低温プラズマ反応に関する装置の改良提案がなされている(特許文献1、非特許文献01、02、03参照)。
これら従来の低温プラズマ反応装置は、気中放電、コロナ放電、無声放電、部分放電、沿面放電、ストリーマ放電、パルスストリーマ放電、誘電体バリア放電のいずれかに係るガス放電手段と、これらの各種ガス放電用に電力を供給する手段として直流電源、高圧交流電源、高圧パルス電源及び高周波電源のいずれかの手段とを適宜組み合わせて装置を構成している。
また、ガスの反応・分解を対象とする低温プラズマ反応装置は、大気圧下でのガス反応を狙って
(1)反応管内にチタン酸バリウムなど強誘電体ペレットを充てん
(2)反応管内の放電電極表面に触媒を担持
することも知られている(特許文献1、2、非特許文献01、02参照)。
「反応管内にチタン酸バリウムなど強誘電体ペレット充てん」の代表例として、特許文献1及び非特許文献01を挙げることができる。
例えば非特許文献01の低温プラズマ反応装置を説明すれば、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒反応管は、その外周に巻かれた銅製網の外部電極と、同反応管の中心線上に張ったステンレス鋼線の内部電極とを備え、同反応管内の中空部にはチタン酸バリウムの球形ペレット(直径1mm〜2mm)が充てんされていて、空気とNOxの混合ガスを、充てんペレット間の空隙を通過させつつ、内外電極間に交流高電圧(数10kVのオーダー)を印加して充てんペレットの空隙にガス放電を起こさせる手段によりNOxを酸化するものである。
「反応管内の放電電極表面に触媒を担持」の代表例として、特許公開平9−201528(特許文献2)と非特許文献02を挙げることができる。
例えば非特許文献02により、次の(1)項と(2)項に分けて説明する。
(1)標準チューブ型;パイレックス(登録商標)ガラス製反応管の軸線を同軸として棒状の内部電極が配備され、外部電極はパイレックス(登録商標)ガラス製反応管の外周に配備されている。棒状の内部電極の表面には触媒作用のある金属などが被覆してある。反応管内壁面と棒状内部電極表面との間の環状空隙(隙間間隔=1mm以下)を管軸に沿って、反応対象ガスを流しつつ、外部電極と内部電極の間に交流の高電圧を印加して、ガス放電を発生させ内部電極表面の触媒の作用にも期待して反応対象ガスを処理するタイプのガス反応装置である。
(2)ファンモーター型;短かいシリンダー内で翼長の短いファンが回転する送風機類似の反応装置において、一方の電極はファン、他方の電極は短かいシリンダー内面である。ファンの翼端部には触媒Aが被覆され、短かいシリンダーの内面には触媒Bが被覆されている。ファンを回転し両電極間に電圧を印加しファンと短かいシリンダーの内面との狭隙(隙間間隔=1mm以下)にガス放電を発生させつつ反応対象ガスを通過させ、触媒作用にも期待して反応対象ガスを処理するタイプのガス反応装置である。
これら非特許文献02のガス反応装置は、CO、NO、水蒸気及びダイオキシンの分解に成功したとしている。
このように従来の低温プラズマ反応装置は、強誘電体ペレット充てんや放電電極表面への触媒を担持という改良を行ってはいるものの、これら従来の低温プラズマ反応装置の根本原理は、あくまでガス放電のみでガス反応を促進するという原理が示されているだけである。
しかしここには、本発明のような、「パルスレーザービームをターゲットに照射し、そのターゲットから噴出する高エネルギー状態のパルスレーザーアブレーションプリュームを反応促進媒体として反応対象ガスの放電領域に混在させることによりガス反応を促進する」ことは示されていない。
本発明の最大の技術的特徴は、パルスレーザーアブレーションプリュームを反応促進媒体とするガス反応装置であることを念頭に置けば、パルスレーザーアブレーションプリュームの応用技術が直近の背景技術であり、加工対象にパルスレーザービームを照射し、その照射部位をアブレーションプリューム化して除去する除去加工技術や表面清浄化技術が知られているものの、これらの技術の方法と装置においては、アブレーションプリューム自体を利用するという認識と手段がないので、これらの技術は、似ている点はあるが本発明を示唆するものではない。
本発明に係る直近の背景技術は、むしろ参照パルスレーザー堆積(Pulsed-Laser Deposition)技術であると考えられるので、このPLD技術について述べる。
PLD技術では、パルスレーザービームのターゲットへの照射がパルスレーザーアブレーションプリューム発生の必要条件である。レーザー光とターゲットとの相互作用は、レーザー光の強度、波長、ターゲットの吸収係数などにより大きく異なるが、短波長のレーザー光を用いた場合には吸収係数が大きいので、ターゲットの表面近傍でレーザー光のほとんどが吸収される。その結果、ターゲットの被照射部位の温度が急激に上昇し、そこからアブレーションプリュームが噴出する。このプリューム中に含まれるターゲットの物質由来のアブレーション粒子は、再結合や雰囲気ガスとの衝突・反応などにより状態を変化させながら基板へと移動する。基板に到達した粒子は、基板上を拡散し、安定なサイトに落ち着いて固相薄膜となる(非特許文献04参照)。
一方超微粒子の合成は、薄膜作製時よりも高い雰囲気圧下で、基板を置かないで行われる。高い雰囲気圧力下で生成されたアブレーションプリュームが、気体分子と衝突し、反応しながら冷却されることによって超微粒子が生成することが知られている(非特許文献05参照)。
しかし、PLD技術では、その名称の通り、製品としての固体生成物(すなわちターゲットの物質の蒸発固化生成物又はターゲット由来の化学種と雰囲気ガス化学種との反応によって生成する固体生成物)に着目しているのであって、ターゲット物質が発するパルスレーザーアブレーションプリューム自体を化学反応や分解の促進媒体として手段化するという方法的視点及び装置的視点は元来もっておらず、当然ながらPLD装置にもそのような視点に立つ装置構成と手段は見当たらない(非特許文献06参照)。
また、ガス放電用電力に高周波電力を用いるガス分解処理用プラズマ発生装置は、公知であるが(特許文献3参照)、ここには、パルスレーザーアブレーションプリュームの発生とその利用に係る開示がない。
先行特許に、レーザー光照射による直流放電発生装置及び環境汚染ガスの処理方法がある(特許文献4参照)。ここでは、ほぼ大気圧のヘリウムもしくはアルゴンに環境汚染ガスである窒素酸化物を希釈した混合気体に、正負電極を有する反応管内で直流放電を発生させ、窒素酸化物を無害な物質にするという公知の技術において、ジルコニウムの負電極に紫外域パルスレーザー光を照射し、ジルコニウム電極面から光電子を発生させ、放電の補助手段として反応管内の混合ガス放電の低電圧化及び安定化を図るという方法と装置が開示されている。
特許文献4の「請求項1」は、「 所定圧力の気体を有する反応管と、該反応管内に設けられた陽極及び陰極と、該陽極及び陰極に電力を印加する直流電源と、上記気体の放電開始電圧を低下させるレーザー光源とからなる直流放電発生装置において、上記陰極は少なくとも表面がジルコニウムからなり、かつ上記レーザー光源が紫外線レーザー光源であることを特徴とする、レーザー光照射による直流放電発生装置。」と記載され、解決の手段を「反応管内に放電電極となる陽極と表面がジルコニウムでなる陰極を有し、該反応管に接続した一方のフランジに設けた該陽極の外部端子と気体の流入口と、他方のフランジに設けた該陰極の外部端子と気体の排出口と、該陽極の外部端子と直流電源の正端子を接続し、該陰極の外部端子と該直流電源の負端子を接続し、紫外線レーザー光源から窓部を介して該陰極照射する紫外線レーザー光照射を直流放電の補助的手段として、レーザー光照射による直放電発生装置を構成する」と記載している。
しかし、特許文献4のエキシマパルスレーザー使用の技術思想は、「NOxの無害化手段として希ガスの直流グロー放電を利用するにあたり、大気圧下での希ガスの放電は不安定であるので、ジルコニウムの仕事関数が4.05eVであることを根拠に、同レベルの光子エネルギーをもつエキシマレーザー光を選択して、ジルコニウムの負電極に対しエキシマパルスレーザー光を照射することにより、ジルコニウムの負電極面の発する電子群が、NOxと希ガスとの混合ガスの大気圧下での放電開始電圧の低下と放電の安定化に寄与することを応用したものである」と云うことができる。
すなわち、本発明と特許公開2003-243200(特許文献4)とを対比すれば、以下の表1のようにまとめることが出来る。
(注)表1でアブレーションプリュームをAPと略記する
この表1からも明らかなように、本発明と特許文献4に記載された発明は、似てはいるものの、技術思想としては、相違していることが判明する。
別の直近特許として本発明者らによる特許文献5がある。特許文献5は、本発明者らによるパルスレーザーアブレーションプリュームとガス放電を重畳することによってなる新規な反応場が反応対象ガスの反応・分解を異常に促進するという現象の発見に基づいて、この現象を利用する化学分解・反応方法の開示であり、本発明は特許文献5に続く新規なガス反応装置の開示である。
特開2004−89814号公報 特開平9−201528号公報 特開2004−8893号公報 特開2003−243200号公報 特願2004−140409 (発明の名称:化学分解・反応方法) 山本俊昭,大久保雅章,早川邦洋,北浦浩一, "非平衡プラズマと化学反応プロセスを併用したNOxの完全除去技術(従来型およびバリア型プラズマ・リアクターの性能比較)", 日本機械学会論文集(B編), p.1501-1506(2000) 林祐二,上田修,福田祐幸,"プラズマ触媒融合技術によるダイオキシン分解",FUJITSU.52,3, p.169-173(05,2001) Ken OKAZAKI,"Direct Conversion from Methane to Methanol for High EfficiencyEnergy System with Exergy Regeneration", Energy Conversion and Management, 43,9,p.1459-1468 (2002) 平井誠 他,"パルスレーザーアブレーション法で作製したAlN薄膜の特性",電気学会論文誌A,120巻,第2号,p.110-115, (2000) 川上祐二,瀬戸章文,小澤英一,"Nd:YAGレーザー照射によるタングステン超微粒子生成とその性状",日本金属学会誌,63(9), p.1101-1104(1999) プラズマ・核融合学会誌, 第76巻第11号, 小特集 アブレーションプラズマのプロセス応用, p.1137-1138, p.1145-1150 (2000)
低温プラズマ反応装置の現状は、ガス放電に属する気中放電、パルスストリーマ放電、無声放電、部分放電、沿面放電、コロナ放電、誘電体バリア放電のどれかと直流から超高周波までの各種の電力供給方式とを組み合わせた応用が多数提案されており、反応対象ガスに対する電離活性種として多くの場合希ガス(ヘリウムやアルゴン)を、場合によっては高い混合割合で使用している。最近の改良提案は、大気圧下でのガス反応を狙って
(1)反応管内にチタン酸バリウムなど強誘電体ペレットを充てん
(2)反応管内の放電電極表面に触媒を担持
という技術開発がされていることは述べたとおりである。
しかし、強誘電体ペレット充てんの低温プラズマ反応装置では、反応対象ガスの通路が強誘電体ペレットの充てん空隙(空隙径が1mmから3mmと狭小)であり、放電電極表面に触媒を担持させる低温プラズマ反応装置では、触媒表面と反応対象ガスの放電プラズマとの接触性を向上させる必要から反応対象ガスの通路が狭隙(1mm以下)にならざるをえない。どちらの場合においてもガス通過の圧力損失が大気圧の条件では極めて大きく運転コストからみて反応対象ガスの大量処理に問題がある。また触媒は高度加工を要し高価であり、希ガスの大量消費にも問題である。これらの問題を解決することが課題である。
これらの問題点に対処するため、本発明の目的は、常温、低真空下において、触媒も強誘電体粒体の充てんも電離活性種としての希ガスも使用せずに反応対象ガスの反応・分解を強力に促進することが可能で、かつ大量処理に向いた汎用のガス反応装置を提供することにある。
反応室内で、パルスレーザービームの照射を受けたターゲットが発するパルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスを放電空間で混在させることによって反応対象ガスの反応・分解を促進するという本発明者らによる新規な手段によって問題点を解決する。すなわち、
本発明は、反応室において、パルスレーザービームの照射を受けたターゲットが発するパルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスを、放電空間中において、反応させるように構成したガス反応装置であって、ガス反応装置は、ガス供給手段、反応室ガス導入口、ガス回収口、パルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発生させるターゲットを有する反応室、直流電源、レーザー照射装置、ガス回収手段からなり、
前記ガス導入口は、ガス供給手段に接続するガス導入弁を有し、
前記ガス回収口は、ガス回収手段に接続するガス回収弁を有し、
前記ガス回収手段は前記反応室内を低真空に減圧する手段を有し、
前記反応室内の所定の場所には、
一対の反応室内部負電極と反応室内部正電極が、ガス流に対して、内部負電極が内部正電極の上流側に位置する条件である組み合わせの少なくとも1組を有し、
一対の反応室内部負電極と反応室内部正電極に電力を供給する直流電源を有し、
さらに、ターゲットにパルスレーザービームを照射する手段を有することを特徴とするガス反応装置である。
本発明においては、パルスレーザービームが、YAGレーザーとすることが望ましい。
さらに、本発明においては、ターゲットが非導電性とすることができる。
また、本発明においては、ターゲットを導電性とし、所定の直流電圧を印加することができる。
またさらに、本発明においては反応室の内部の所定の場所の内部電極と反応室の外側の所定の場所の外部電極に接続し電力を供給する高周波電源を設けることができる。
またさらに、本発明においては、反応室内のターゲットに対してパルスレーザービームを導く手段を備えることができる。
また、本発明においては、反応室の周囲にコイル状の電磁波放射体及び電磁波放射体に接続し電力を供給する高周波電源を設けることができる。
さらに、本発明においては、反応率を高めるべく、ガス回収手段が回収した回収ガスを前記ガス回収手段から、ガス供給手段に還流する還流手段を備えることができる。
またさらに、本発明においては、反応率を高めるべく、反応室を環状空間とすることにより、密閉されたハウジングと前記密閉されたハウジングの内部に存在し動力伝達手段を介して回転駆動されるローターとによって、環状空間反応室内でガスを繰り返し回流させることができる。
本発明のガス反応装置は、印加電圧が従来の反応装置よりも低い1kVオーダーの電圧で放電の長さが100mmのオーダーを確保でき、内径25mmから100mmの中空反応室で強誘電体粒子も触媒も希ガスも使用せずに、従来よりも高い効率で反応対象ガスの反応・分解を起こすことができ、また気流の圧力損失が従来の装置に比べ桁違いに小さいため省エネルギーで運転可能である。
また、未反応の反応対象ガスを還流再反応させることにより、所望の反応をより確実に能率よく行なわせて、所望のガス回収を行うことができる。
本発明に係るガス反応装置の構成例を図面を用いて説明する。まず本発明の典型的なガス反応装置の構成例を図1によって具体的に説明する。
図1に示すガス反応装置は、反応室11、反応室12が直列連通的に接続され、反応室のガス導入口13と反応室のガス回収口14をもつ。
図1で、反応室11は、YAGパルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発する導電性ターゲット又は非導電性ターゲットであるターゲット15を備え、パルスレーザーアブレーションプリュームを発生させるためにターゲットにYAGパルスレーザービームbを照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)を備えている。
図1で、反応室11は、内部負電極と内部正電極の相対的位置関係が、反応室内のガス流の平均流動速度の向きに関して、内部負電極が内部正電極の上流側に配置されることを条件に、内部負電極20、内部正電極21を備え、これら正負一対の内部負電極・内部正電極の電極間にガス放電を発生させるため、内部負電極と内部正電極に電気的に接続する直流電源22aを備えている。また直流電源は導電性ターゲットに所定の直流電圧を印加するための電圧端子23を備え、その電圧端子はターゲットに電気的に接続される。
反応室12においても、同様の手段と電気的接続を備えている。
図1に示すガス反応装置はガス供給手段24を備えている。ガス供給手段はガス導入弁25を介して反応室のガス導入口13に接続している。
図1に示すガス反応装置は、ガス回収手段26を備えている。ガス回収手段はガス回収弁27を介して反応室のガス回収口14に接続している。ガス回収手段は反応室内を低真空にする真空ポンプ機構を有している。
図1に示すガス反応装置をさらに操作の面から具体的に説明する。先ずターゲット15が、反応対象ガスの反応や分解に対応して所定の材質が選択される。ガス供給手段24は反応対象ガスを供給できる条件にある。室温下で次の操作を行う。ガス導入弁25を閉じ、ガス回収手段内の真空ポンプ機構を作動させ、ガス回収弁27を開いて反応室内を減圧した後、ガス導入弁を開いて反応室内を反応対象ガスの流れで満たす。ガス導入弁とガス回収弁を所定の開度に調節する操作によって、所定の低真空圧、所定の平均流速で常温の反応対象ガスをガス導入口13からガス回収口14の向きに流す。直流電源22aから正負一対の内部負電極・内部正電極20、21に所定の電圧を印加し、ターゲットには電圧端子23から所定の直流電圧を印加する。パルスレーザービームを照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)によって、YAGパルスレーザービームbをターゲット15に照射すると、ターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームが噴出し、これがトリガーとなってパルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスの混合体の流れを挟んで正負1対の内部負電極・内部正電極20と21の間に過渡的放電が起きる。
ターゲット15に対するYAGパルスレーザービームの照射を反復する操作を行うと、反応対象ガスとパルスレーザーアブレーションプリュームの混合体の流れのなかにある正負一対の内部負電極・内部正電極間に放電の発生と消滅が反復生起し、反応室内で反応対象ガスの反応が促進される。反応室11で未反応の反応対象ガスは反応室12で反応するチャンスが得られる。反応後のガスはガス回収弁を通ってガス回収手段に回収される。
図1のガス反応装置は、触媒、強誘電体粒体の充てんペレット、電離活性種としての希ガスのいずれも使用することなく、常温・低真空下の反応室内にパルスレーザーアブレーションプリュームと対象ガスの混合体を流すことにより、従来の低温プラズマ反応装置に比較し、桁違いに低い圧力損失で反応対象ガスの反応を強力に促進できる。
さらに、本発明に係るガス反応装置を図2によって説明する。図2は還流手段を備えるガス反応装置の構成例である。図2で回収ガスをガス回収手段26からガス供給手段24に還流する還流手段は、差圧検出式制御機構28によって制御される流量調節弁29と、流量調節弁体開口の一端につながるガス回収手段側還流弁31と、還流弁31をガス回収手段につなぐガス回収手段側還流管30と、流量調節弁体開口の他端につながるガス供給手段側還流弁32と、還流弁32をガス供給手段につなぐガス供給手段側還流管33と、によって構成される。
図2は、ガス回収手段26内のガス圧力が、ガス供給手段24内のガス圧力よりも高いことを利用し、ガス回収手段からガス供給手段に送るガスの還流量を調節して還流させる還流手段を備える請求項1のガス反応装置であり、反応室に入った反応対象ガス中の未反応ガス又は未分解ガスの反応又は分解の確実性を上げる効果を有する。
本発明に係るガス反応装置のうち、前記反応室の内部と前記反応室外側の所定の場所の電極に接続し電力を供給する高圧交流電源を備えて成るガス反応装置に関する構成例を図3によって説明する。
図3は、放電に誘電体バリア放電を利用するガス反応装置であって、外部と内部電極を備えるガス反応装置である。このガス反応装置は、材質がパイレックス(登録商標)ガラス管製の反応室11と反応室12が直列連通的に接続され、反応室のガス導入口13と反応室のガス回収口14をもつ。
図3で、反応室11は、YAGパルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発する導電性ターゲット又は非導電性ターゲットであるターゲット15を備え、ターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームを発生させるためにYAGパルスレーザービームbをターゲットに照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)を備えている。
図3で反応室11は、反応室の内部の所定の領域にガス放電を発生させる手段として反応室の外周の所定の部分を覆う外部電極35と反応室内の管軸線上で所定の位置と長さをもつ内部電極36と、これらの外部・内部電極に電気的に接続する高圧交流電源22hを備えている。ターゲットが導電性の場合は、ターゲットはアース端子34に電気的に接続される。
図3の反応室12においても、同様の手段と電気的接続を備えている。
図3に示すガス反応装置はガス供給手段24とガス回収手段26を備えている。ガス供給手段はガス導入弁25を介して反応室のガス導入口13に接続していて、ガス回収手段はガス回収弁27を介して反応室のガス回収口14に接続している。ガス回収手段は反応室内を低真空にする真空ポンプ機構を備えている。
図3に示すガス反応装置を操作の面から具体的に説明する。先ずターゲット15が、反応対象ガスの反応や分解に対応して所定の材質が選択される。ガス供給手段24は反応対象ガスを供給できる条件にある。室温下で次の操作を行う。ガス導入弁25を閉じ、ガス回収手段内の真空ポンプ機構を作動させ、ガス回収弁27を開いて反応室内を減圧した後、ガス導入弁を開いて反応室内を反応対象ガスの流れで満たす。ガス導入弁とガス回収弁を所定の開度に調節する操作によって、所定の低真空圧と所定の平均流速を保ち、常温の反応対象ガスをガス導入口13からガス回収口14の向きに流しながら、高圧交流電源22hから外部電極35と内部電極36に所定の交流電圧を印加し、外部電極と内部電極の配置位置に対応する反応室内に反応対象ガスの放電域を発生させる。
パルスレーザービームを照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)によって、YAGパルスレーザービームbをターゲットに反復照射すると、ターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームが繰り返し噴出し、反応対象ガスとパルスレーザーアブレーションプリュームは混合体となって放電域を流れながら、反応室内で反応対象ガスの反応が促進される。反応室11で未反応の反応対象ガスは反応室12で反応するチャンスが得られる。反応後のガスはガス回収弁を通ってガス回収手段に回収される。
図3に示すガス反応装置も、強誘電体粒体ペレットの充てんも電離活性種としての希ガスのいずれも使用せずに、常温・低真空下の反応室内にパルスレーザーアブレーションプリュームと対象ガスの混合体を流すことにより、桁違いに低い圧力損失で反応対象ガスの反応を強力に促進できるが、このガス反応装置はバリア放電を用いるので、パルスレーザーアブレーションプリュームと対象ガスの混合体に対する高電圧超短パルス放電を応用できる利点を有する。
本発明に係るガス反応装置のうち、前記電磁波放射体に接続し電力を供給する高周波電源を備えて成ることを特徴とするガス反応装置に関する構成例を図4によって説明する。
図4に示す請求項1のガス反応装置は、放電を高周波誘導結合によって発生させる無電極ガス反応装置であって、材質がパイレックス(登録商標)ガラス管製の反応室11と反応室のガス導入口13と反応室のガス回収口14をもつ。
図4で、反応室11は、YAGパルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発する導電性ターゲット又は非導電性ターゲットであるターゲット15を備え、ターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームを発生させるためにYAGパルスレーザービームbをターゲットに照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)を備えている。
図4で反応室11は、反応室の内部の所定の領域にガス放電を発生させる手段として、反応室の外周に巻かれたコイル(電磁波放射体)40と、コイルに接続する高周波電源22eを備えている。ターゲットが導電性の場合は、ターゲットはアース端子34に電気的に接続される。
図4に示すガス反応装置はガス供給手段24とガス回収手段26を備えている。ガス供給手段はガス導入弁25を介して反応室のガス導入口13に接続し、ガス回収手段はガス回収弁27を介して反応室のガス回収口14に接続している。ガス回収手段は反応室内を低真空にする真空ポンプ機構を備えている。
図4に示すガス反応装置を操作の面から説明する。先ずターゲット15が、反応対象ガスの反応や分解に対応して所定の材質が選択される。ガス供給手段24は反応対象ガスを供給できる条件にある。室温下で次の操作を行う。ガス導入弁25を閉じ、ガス回収手段内の真空ポンプ機構を作動させ、ガス回収弁27を開いて反応室内を減圧した後、ガス導入弁を開いて反応室内を反応対象ガスの流れで満たす。ガス導入弁とガス回収弁を所定の開度に調節する操作によって、所定の低真空圧(例えば300Pa)、所定の平均流速を保ち、常温の反応対象ガスをガス導入口13からガス回収口14の向きに流しながら、高周波電源22eからコイル(電磁波放射体)40を介して高周波電力を供給し、コイルの位置に対応する反応室内に反応対象ガスの放電域を発生させる。
パルスレーザービームを照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置16、光伝送ファイバー17、YAGパルスレーザービームエキスパンダー18、集光レンズ19)によって、YAGパルスレーザービームbをターゲット15に反復照射すると、ターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームが繰り返し噴出し、反応対象ガスとパルスレーザーアブレーションプリュームは混合体となって放電域を流れながら、反応室内で反応対象ガスの反応が促進され、反応後のガスはガス回収弁を通ってガス回収手段に回収される。
図4に示すガス反応装置構成においても、触媒、強誘電体粒体の充てんペレット、電離活性種としての希ガスのいずれも使用せずに、常温・低真空下の反応室内にパルスレーザーアブレーションプリュームと対象ガスの混合体を流すことにより、従来の低温プラズマ反応装置に比較し、桁違いに低い圧力損失で反応対象ガスの反応を強力に促進できる。かつこのガス反応装置では反応室内に電極が存在しないという利点がある。
さらに、本発明に係るガス反応装置は、反応室が環状空間をなす環状反応室型ガス反応装置であって図5の構成例で説明する。
図5の上側はガス反応装置の平面図K1であり、図5の下側はガス反応装置のA〜A’断面図K2である。
図5の平面図K1と断面図K2によって反応室11を具体的に説明する。反応室は、密閉されたハウジング50の内部にあって、軸O〜O’ の周りに回転できるローター51の外周面と密閉されたハウジングの内周面との間の環状空間である。反応室は、その底面内で、軸O〜O’を横切る直径線上互いに反対側の所定の位置にガス導入口13とガス回収口14を有する。
図5のガス反応装置は、密閉されたハウジングの外部からの動力伝達手段である磁気継手52によってローターを回転駆動する動力回転機構53を備えている。
反応室の内部に、正負一対の内部負電極・内部正電極の電極間にガス放電を発生させるため、正負一対の内部負電極・内部正電極3組と、これら3組の電極のそれぞれに電気的に接続する直流電源22aを3個を備えている。正負一対の内部負電極と内部正電極の相対的位置関係は、反応室内で回転流動するガス流の平均速度の向きに関して、内部負電極が内部正電極の上流側に配置されることを条件に、内部負電極20、内部正電極21が配置される。
さらに反応室の内部に、パルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発するターゲット3個を備えている。これら3個のターゲットは、所定の電圧を取り出せるそれぞれの電圧端子23接続されている。
各ターゲットにパルスレーザービームを照射する手段(すなわちYAGパルスレーザー装置、光伝送ファイバー、YAGパルスレーザービームエキスパンダー)は、図5のガス反応装置に備わっているが、それらを図示することは、図の煩雑を避けるために省略し、集光レンズ19を通って3個のターゲットを照射しているパルスレーザービームを示す矢印付き破線bによってパルスレーザービームの照射手段を代表させている。
ガス導入口13の上流側には管路を通じガス導入弁25を介して反応室に反応対象ガスを供給するガス供給手段24を備えている。ガス回収口14の下流側には管路を通じガス回収弁27を介して反応室から反応後のガスを回収するガス回収手段26を備えている。またガス回収手段は反応室内を低真空にする真空ポンプ機構を備えている。
また図5のガス反応装置には、図示していないが、ガスの状態に関する圧力、温度、ローターの回転速度、トータル回転数などは測定できるものとする。
ガス反応装置をさらに、図5のガス反応装置を操作の面から具体的に説明する。先ず反応対象ガスに対応して選択し材質のターゲットをセットする。ガス導入弁とガス回収弁を閉じてガス回収手段に備わっている真空ポンプ機構を作動し、次いでガス回収弁を開いて反応室内を所定の真空状態にしたのちガス回収弁を閉じる。次いでガス導入弁を開いてガス供給手段から反応対象ガスを反応室内に所定の低真空圧に到達するまで導入して、ガス導入弁を閉じる。反応室内は常温で所定の低真空圧の反応対象ガスで満たされた閉鎖空間となる。
ローターを所定の回転数で回転させる。ローターの回転の向きは、図5の平面図K1のローターに記された矢印の向きである。反応対象ガスは回転するローターによって反応室内を攪拌されながら回流する。
3個の直流電源から、一対の内部負電極・内部正電極3組のそれぞれに所定の電圧を印加し、3個のターゲットにYAGパルスレーザービームを照射すると、3個のターゲットからパルスレーザーアブレーションプリュームが噴出する。このアブレーションプリュームがトリガーになって、反応対象ガスとパルスレーザーアブレーションプリュームとの混合体の流れに浸っている3組の内部負電極・内部正電極の間で放電が起きる。YAGパルスレーザービームの照射の反復操作を行うと、放電は生起・消滅を繰り返し、反応室内では反応対象ガスの反応が強力に促進される。所定の時間経過後、ローターの回転を止め、ガス回収弁を開いて反応生成ガスを含む反応室内のガスをガス回収手段によって回収する。
図5のガス反応装置は 触媒、強誘電体粒体の充てんペレット、電離活性種としての希ガスのいずれも使用せずに常温・低真空下で、強力に反応対象ガスの反応を促進する効果を有する。図5のガス反応装置の構成は、初めに反応室に導入された反応対象ガスが非常に高い頻度でパルスレーザーアブレーションプリュームと放電とが重なっている領域を高い頻度で繰り返し通過させることが可能であるため反応促進の効果が著しく大である。
図5の環状型ガス反応装置では放電方式に直流放電方式を採用しているけれども、環状型ガス反応装置にバリア放電方式又は高周波誘導結合による無電極放電方式を採用して行うことは当業者なら同様に適宜行えることは言うまでもない。
パルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスを放電空間で混在させるというガス反応に関する新規な手段が、対象ガスの反応促進に著しい効果を生むという事実を、発明者らが行った実験結果例によって次に示す。
まず使用した実験装置の概要を記す。陰・陽電極間間隔が10cmの陰・陽電極、およびYAGパルスレーザービームの集光照射を受けてアブレーションプリュームを発する金属のターゲット(陰・陽電極間の陰極に近い位置に配置、所定の電圧印加)がセットされているガラス製反応管(内径2.4cm、内容積54cm)を用いた。陰・陽電極への電力供給に使用した電源は、最大1kV、最大100mAの直流電源であり、過渡放電回路のコンデンサー容量は10μFである。また使用したYAGパルスレーザーは、波長532nm、パルス幅約10ns、1パルスの光エネルギー最大200mJのものである。
二酸化炭素ガスと水蒸気からメタノールとアセトアルデヒドが合成された実験結果例を述べる。真空(0.2Pa以下)に引いた反応管内に、管内温度25℃の条件下で、二酸化炭素ガスを分圧150Paまで導入し、次いで水蒸気を分圧300Paまで導入し、陰・陽電極間に電圧900Vを印加し、YAGパルスレーザービーム(80mJ)をターゲット(材質;Mg)に照射すると、陰・陽電極間放電が起き消滅する。YAGパルスレーザービームの照射を100回繰り返えす操作により、同回数の放電の生起・消滅が繰り返されたのち、直ちに反応管内のメタノールとアセトアルデヒドを測定した結果は
(メタノールmol数)/(初めの二酸化炭素mol数)=0.21
(ホルムアルデヒドmol数)/(初めの二酸化炭素mol数)=0.25
であった。二酸化炭素ガスと水蒸気からメタノールとアセトアルデヒドが容易に合成できたことは、進歩性が高くかつパルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスとを放電領域において混在させるという手段の有望性を示している。
メタンガスと二酸化炭素ガスの混合ガスの分解実験結果例を述べる。真空(0.2Pa以下)に引いた反応管内に、管内温度25℃の条件下で、メタンガスを分圧200Paまで導入し、次いで二酸化炭素ガスも分圧200Paまで導入し、陰・陽電極間に電圧900Vを印加し、YAGパルスレーザービーム(100mJ)をターゲット(材質;Sn)に照射すると、陰・陽電極間放電が起き消滅する。YAGパルスレーザービームの照射を100回繰り返えす操作により、同回数の放電の生起・消滅が繰り返されたのち、直ちに反応管内の水素と一酸化炭素を測定した結果は
(水素mol数)/(初めのメタンと二酸化炭素の合計mol数)=0.28
(一酸化炭素mol数)/(初めのメタンと二酸化炭素の合計mol数)=0.50
であった。
メタンガス分解の実験結果例を述べる。真空(0.2Pa以下)に引いた反応管内に水蒸気を導入して300Pa、25℃とし、陰・陽電極間に電圧600Vを印加し、YAGパルスレーザービーム(70mJ)をターゲット(材質;Mg)に照射すると、陰・陽電極間に放電が起き消滅する。YAGパルスレーザービームの照射を200回繰り返えす操作により、同回数の放電の生起・消滅が繰り返されたのち、直ちに反応管内の水素量を測定した結果は
(水素mol数)/(初めのメタンmol数)=0.53
であった。
二酸化炭素分解の実験結果例を述べる。真空(0.2Pa以下)に引いた反応管内に二酸化炭素を導入して300Pa、35℃とし、陰・陽電極間に電圧900Vを印加し、YAGパルスレーザービーム(80mJ)をターゲット(材質;Mg)に照射すると、陰・陽電極間に放電が起き消滅する。YAGパルスレーザービームの照射を100回繰り返えす操作により、同回数の放電の生起・消滅が繰り返されたのち、直ちに反応管内の水素量を測定した結果は
(一酸化炭素mol数)/(初めの二酸化炭素mol数)=0.74
であった。二酸化炭素をガス放電によって分解する研究は従来行われているが、二酸化炭素ガス単味のみでこれほど高効率に分解できた例はない。
水蒸気分解の実験結果例を述べる。真空(0.2Pa以下)に引いた反応管内に水蒸気を導入して300Pa、30℃とし、陰・陽電極間に電圧800Vを印加し、YAGパルスレーザービーム(70mJ)をターゲット(材質;Mg)に照射すると、陰・陽電極間に放電が起き消滅する。YAGパルスレーザービームの照射を200回繰り返えす操作により、同回数の放電の生起・消滅が繰り返されたのち、直ちに反応管内の水素量を測定した結果は
(水素mol数)/(初めの水蒸気mol数)=0.68
であった。この結果は従来の放電による水蒸気分解に比較し効率がよい。
ターゲットの材質の違いが反応に与える影響に関する例として、メタンと水蒸気からメタノールを合成する実験によれば、ターゲット材質がMgよりもCu−Zn合金のほうが、反応効率が高い傾向を示し、Znはその中間であった。
以上に述べたパルスレーザーアブレーションプリュームの反応促進に係る実験結果を技術的基礎とすることにより、反応室内に、チタン酸バリウムなど強誘電体ペレットを充てんすることも、触媒を組み込むことも、希ガスを混入することも不要とする本発明のガス反応装置を構成することに矛盾はない。
また本発明の反応室内では、電極間の距離が100mmのオーダーに設定できるので、従来の反応室のように1mmオーダーの空隙や狭隙ではなく、反応室内のガス通過断面径を100mmのオーダーに取れるため、気流の圧力損失は従来の装置に比べ桁違いに小さいから、気流速度を数10m/sにまで設定でき、反応室内のガス圧が数百パスカル程度の低真空下という条件であっても、パルスレーザーアブレーションプリュームの強力な反応促進効果が見込めるので、大量処理に向いた汎用のガス反応装置を提供することが可能である。
本発明のガス反応装置は、大気汚染対策技術分野において、窒素酸化物の無害化に利用されたり、地球温暖化対策技術分野において、炭酸ガスの分解・固定化、温暖化ガス(C2F6, CF4, NF3等)の分解に利用されたり、エネルギー対策技術分野において、天然ガス改質による水素製造技術に利用されたり、ガス化学合成技術分野において薬品・試薬製造、非化学量論的化学種の製造に利用される。汎用のガス反応装置として産業上の利用可能性は大きいものがある。
ガス反応装置の構成例を示す図である。 還流手段を備えるガス反応装置の構成例を示す図である。 外部と内部電極を備えるガス反応装置の構成例を示す図である。 無電極ガス反応装置の構成例を示す図である。 環状型ガス反応装置の構成例を示す図である。
符号の説明
11 反応室
12 反応室
13 ガス導入口
14 ガス回収口
15 ターゲット
16 YAGパルスレーザー装置
17 光伝送ファイバー
18 YAGパルスレーザービームエキスパンダー
19 集光レンズ
20 内部負電極
21 内部正電極
22a 直流電源
23 導電性ターゲットに所定の電圧を印加するための電圧端子
24 ガス供給手段
25 ガス導入弁
26 ガス回収手段
27 ガス回収弁
28 差圧検出式制御機構
29 流量調節弁
30 ガス回収手段側還流管
31 ガス回収手段側還流弁
32 ガス供給手段側還流弁
33 ガス供給手段側還流管
34 アース端子
35 外部電極
36 内部電極
22h 高圧交流電源
40 コイル(電磁波放射体)
22e 高周波電源
K1 環状反応室型ガス反応装置の平面図
K2 環状反応室型ガス反応装置のA〜A’断面図
50 密閉されたハウジング
51 ローター
52 磁気継手
53 動力回転機構(部分)

Claims (9)

  1. 反応室において、パルスレーザービームの照射を受けたターゲットが発するパルスレーザーアブレーションプリュームと反応対象ガスを、放電空間中において、反応させるように構成したガス反応装置であって、ガス反応装置は、ガス供給手段、反応室ガス導入口、ガス回収口、パルスレーザービームの照射を受けてアブレーションプリュームを発生させるターゲットを有する反応室、直流電源、レーザー照射装置、ガス回収手段からなり、
    前記ガス導入口は、ガス供給手段に接続するガス導入弁を有し、
    前記ガス回収口は、ガス回収手段に接続するガス回収弁を有し、
    前記ガス回収手段は前記反応室内を低真空に減圧する手段を有し、
    前記反応室内の所定の場所には、
    一対の反応室内部負電極と反応室内部正電極が、ガス流に対して、内部負電極が内部正電極の上流側に位置する条件である組み合わせの少なくとも1組を有し、
    一対の反応室内部負電極と反応室内部正電極に電力を供給する直流電源を有し、
    さらに、ターゲットにパルスレーザービームを照射する手段を有することを特徴とするガス反応装置。
  2. 前記パルスレーザービームが、YAGレーザーである請求項1に記載したガス反応装置。
  3. 前記ターゲットが非導電性である請求項1又は請求項2に記載したガス反応装置。
  4. 前記ターゲットが導電性であり、この導電性ターゲットに所定の直流電圧を印加する請求項1又は請求項2に記載したガス反応装置。
  5. 反応室の内部の所定の場所の内部電極と、反応室の外側の所定の場所の外部電極に接続し電力を供給する高圧交流電源を設けた請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載されたガス反応装置。
  6. 反応室内の前記ターゲットに対してパルスレーザービームを導く手段を備えて成る請求項1又は請求項2に記載したガス反応装置。
  7. 反応室の周囲にコイル状の電磁波放射体及び電磁波放射体に接続し電力を供給する高周波電源を設けた請求項1ないし請求項5のいずれかひとつに記載されたガス反応装置。
  8. ガス回収手段が回収した回収ガスを前記ガス回収手段から、ガス供給手段に還流する還流手段を備えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載されたガス反応装置。
  9. 反応室が環状空間であり、密閉されたハウジングと前記密閉されたハウジングの内部に存在し動力伝達手段を介して回転駆動されるローターとによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のガス反応装置。

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