JP4384388B2 - 1,2−エタンジオール誘導体またはその塩を含有する切迫性尿失禁の治療薬 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2−エタンジオール誘導体またはその塩を有効成分とする切迫性尿失禁の治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
脳血管障害患者に高頻度でなんらかの排尿障害が認められることが知られている[ウロロジー(Urology)、第21巻、第315-318頁(1983年);排尿障害プラクティス、第5巻、第147-159頁(1997年)]。また、脳血管障害の発生直後には一時的に尿道閉塞などの排出障害が認められ、排尿筋の異常収縮が頻発する過活動型膀胱へと次第に移行し、膀胱容量の低下によって頻尿、夜間頻尿を主訴とした切迫性尿失禁が出現することが知られている[神経因性膀胱外来、メジカルビュー社、第76-84頁(1998年)]。このような過活動型膀胱による排尿障害は脳血管障害患者のクオリティーオブライフを低下させる一因に位置付けられている。
過活動型膀胱の発生には排尿反射を促進する上位中枢神経の機能亢進、あるいは排尿反射を抑制する上位中枢神経の機能低下が関与することが明らかとなっている[アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー (Am. J. Physiol.)、第276巻、第R935-R942頁(1999年);エクスペリメンタル・ニューロロジー(Experimental Neurology)、第163巻、第469-476頁(2000年)]。また、パーキンソン病や脊髄小脳変性症群といった神経変性疾患・神経脱髄疾患においても過活動型膀胱により排尿障害を生ずることが知られている[神経因性膀胱外来、メジカルビュー社、第85-87頁(1998年)]。
【0003】
一方、特開平3-232830、特開平4-95070に記載の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩は、脳機能改善剤として有用な化合物であり、特に、(R)−1−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール・塩酸塩(以下、T−588と称する。)は、好ましい化合物である。そして、T−588は、アミロイドβタンパク質による神経細胞死に対し保護作用を発揮すること[ソシエティ・フォー・ニューロサイエンス・アブストラクツ(SOCIETY FOR NEUROSCIENCE, Abstracts)、第24巻、パート1、第228頁(1998年)および神経成長因子の作用増強作用(国際公開WO96/12717)を発揮することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題】
過活動型膀胱による頻尿、夜間頻尿を主訴とした切迫性尿失禁の治療には排尿筋弛緩作用を有する抗コリン薬や尿道弛緩作用を有するアドレナリンアルファ型受容体拮抗薬などが用いられる。しかし、脳血管障害患者の場合、口渇,散瞳,排尿困難といった副作用の出現により、充分な治療効果を得られない症例も少なくない[ザ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジィー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス (J. Pharmacol. Exp. Ther.)、第293 巻、第921-928頁(2000年)]。それ故、過活動型膀胱に関与すると考えられる上位中枢の排尿反射調節機構に直接作用する医薬として有用な化合物が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる状況下において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、次の一般式[1]
【化2】
「式中、R1は、置換されていてもよい複素環式基を;R2は、水素原子またはヒドロキシル保護基を;R3は、水素原子または低級アルキル基を;n個のR4は、同一または異なって水素原子または低級アルキル基を;n個のR5は、同一または異なって水素原子または低級アルキル基を;R6は、置換されていてもよいアミノ基またはアンモニオ基を;およびnは、1〜6の整数を、それぞれ示す。」で表される1,2−エタンジオール誘導体またはその塩に脳血管障害により誘発した過活動型膀胱に対する改善作用を見出し、一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩が頻尿、夜間頻尿を主訴とした切迫性尿失禁の治療薬として有用であることから、本発明を完成するに至った。
以下、本発明について詳述する。
【0006】
本明細書において、特に断らない限り、各用語は、次の意味を有する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を;低級アルキル基とは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などのC1-6アルキル基を;低級アルケニル基とは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル基などのC2-6アルケニル基を;シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基などのC3-6シクロアルキル基を;低級アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ基などのC1-6アルキルオキシ基を;低級アルケニルオキシ基とは、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシおよびヘキセニルオキシ基などのC2-6アルケニルオキシ基を;低級アルキルチオ基とは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオおよびヘキシルチオなどのC1-6アルキルチオ基を;ハロ低級アルキル基とは、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、クロロエチルなどのハロゲン−C1-6アルキル基を;
【0007】
アリール基とは、フェニル、ナフチル、インダニルおよびインデニル基を;アリールオキシ基とは、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、インダニルオキシおよびインデニルオキシ基を;アル低級アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチルおよびフェネチル基などのアルC1-6アルキル基を;アル低級アルコキシ基とは、ベンジルオキシ、ジフェニルメチルオキシ、トリチルオキシなどのアルC1-6アルキル−O−基を;アル低級アルキルチオ基とは、ベンジルチオ、ジフェニルメチルチオなどのアルC1-6アルキル−S−基を;アル低級アルケニル基とは、スチリル、シンナミルなどのアルC1-6アルケニル基を;低級アルキレンジオキシ基とは、例えば、メチレンジオキシおよびエチレンジオキシ基などのC1-4アルキレンジオキシ基を;
【0008】
低級アシル基とは、ホルミル、アセチル、ブチリルおよびエチルカルボニル基などのC1-6アシル基を;アロイル基とは、ベンゾイルおよびナフチルカルボニル基などのアリールカルボニル基を;低級アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルまたはペンチルスルホニルなどのC1-6アルキルスルホニル基を;アル低級アルキルスルホニル基とは、ベンジルスルホニルなどのアルC1-6アルキル−SO2−基を;アリールスルホニル基とは、フェニルスルホニル、p-トルエンスルホニル、ナフチルスルホニル基などのアリール−SO2−基を;アリールスルホニルアミノ基とは、フェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノなどのアリール−SO2NH−基を;低級アルキルスルホニルアミノ基とは、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノなどのC1-6アルキル−SO2NH−基を;アンモニオ基とは、トリメチルアンモニオおよびトリエチルアンモニオ基などのトリ低級アルキルアンモニオ基を;
【0009】
複素環式基とは、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、モルホリル、チオモルホリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリル、キヌクリジニル、イミダゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、キノリル、キノリジニル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、プリニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、ジヒドロキノキサリル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾピロリル、2,3−4H−1−チアナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]ジオキサニル、イミダゾ[2,3−a]ピリジル、ベンゾ[b]ピペラジニル、クロメニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、イソインドリル、イソキノリル、1,3−ベンゾジオキソニルおよび1,4−ベンゾジオキサニル基などの該環を形成する異項原子として一つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい、窒素、酸素もしくは硫黄原子から選ばれる少なくとも一つ以上の異項原子を含有する5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基を;そして複素環式カルボニル基とは、複素環式−CO−基を意味する。
【0010】
R1における複素環式基の置換基としては、ハロゲン原子、置換されていてもよいアミノ、低級アルキル、アリール、アル低級アルキル、低級アルコキシ、アル低級アルコキシ、アリールオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルチオ、低級アルケニル、低級アルケニルオキシ、アル低級アルキルチオ、アル低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、低級アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノもしくは複素環式基または保護されているアミノ基、保護されていてもよいヒドロキシル基、ニトロ基、オキソ基および低級アルキレンジオキシ基などが挙げられる。
【0011】
R1の複素環式基の置換基における低級アルキル、アリール、アル低級アルキル、低級アルコキシ、アル低級アルコキシ、アリールオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルチオ、低級アルケニル、低級アルケニルオキシ、アル低級アルキルチオ、アル低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、低級アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノおよび複素環式基の置換基としては、ハロゲン原子、保護されていてもよいヒドロキシル基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいアミノ基、保護されていてもよいヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよいアリール基、ハロゲンで置換されていてもよいアロイル基、低級アルコキシ基で置換されていてもよい低級アルコキシ基、ハロ低級アルキル基、低級アシル基、アル低級アルキル基、アル低級アルケニル基、複素環式基、複素環式カルボニル基、オキソ基、低級アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基が挙げられ、これら1種以上の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
R1における置換基としてのアミノ基およびR6におけるアミノ基の置換基としては、保護されていてもよいヒドロキシル基、保護されていてもよいヒドロキシまたは保護されていてもよいカルボキシル基で置換されていてもよい低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、低級アシル基、アル低級アルキル基、複素環式基、オキソ基で置換されていてもよい複素環式カルボニル基、アダマンチル基、低級アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基が挙げられ、これら1種以上の置換基で置換されていてもよい。
【0013】
R2のヒドロキシル保護基および置換基中にあるヒドロキシル基、カルボキシル 基およびアミノ基の保護基としては、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、サードエディション(Third Edition)[セオドラ・ダブリュー・グリーン(Theodora W. Greene)(1999年)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons. Inc.)]に記載された通常のヒドロキシル基、カルボキシル基およびアミノ基の保護基が挙げられる。
特に、ヒドロキシル基の保護基としては、低級アルキル、低級アシル、テトラヒドロピラニルおよびアル低級アルキル基が挙げられる。
【0014】
一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体の塩としては、医薬として許容される塩であればよく、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸およびアスパラギン酸などのカルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩並びにナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩などが挙げられる。
【0015】
一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩において、異性体(例えば、光学異性体、幾何異性体および互変異性体など)が存在する場合、本発明は、それらすべての異性体を包含し、また、水和物、溶媒和物およびすべての結晶形を包含するものである。
【0016】
本発明の切迫性尿失禁の治療薬として好ましい一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩は、R1が、置換されていてもよいベンゾチエニル基;R2が、水素原子;R3が、水素原子;n個のR4およびn個のR5が、水素原子;R6が、置換されていてもよいアミノ基である1,2−エタンジオール誘導体またはその塩である。さらに好ましいものは、R1がベンゾチエニル基;R2が、水素原子;R3が、水素原子;n個のR4およびn個のR5が、水素原子;R6が、低級アルキル基で置換されたアミノ基である1,2−エタンジオール誘導体またはその塩である。具体的には、1−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノールまたはその塩であり、より具体的には、(R)−1−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール・塩酸塩(T−588)である。
【0017】
一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩は、特開平3-47158、特開平3-232830または特開平4-95070などに記載の方法で製造することができる。
【0018】
一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩を切迫性尿失禁の治療薬として製剤化する場合は、医薬上許容される賦形剤、担体、希釈剤および安定化剤などの製剤助剤を適宜用いて、常法により錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、注射剤または点眼剤などの製剤とすることができる。この製剤は、経口または非経口で投与することができる。また、投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状に応じて適宜選択できるが、経口投与の場合、通常成人に対して1日0.01〜500mgを1回から数回に分割して投与すればよい。
【0019】
上記の製剤において、錠剤およびカプセル剤に使用される製剤補助剤について説明する。
錠剤の形態に成形するに際に使用される製剤補助剤としては、賦形剤として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、無水第二リン酸カルシウム、アルギン酸など;結合剤として、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水、エタノールなど;崩壊剤として、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸、かんてん末、デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウムなど;崩壊抑制剤として、例えば、ステアリルアルコール、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油など;吸収促進剤として、例えば、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウムなど;吸収剤(デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、コロイド状ケイ酸などおよび滑沢剤として、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。さらに、錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、胃溶性被覆錠、腸溶性被覆錠または水溶性フィルムコーティング錠とすることができる。
また、カプセル剤は、上記で例示した各種の製剤補助剤と混合し、硬質ゼラチンカプセルまたは軟質カプセル等に充填して調製することができる。
【0020】
【実施例】
以下に一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩の過活動型膀胱に対する改善効果について説明する。
<過活動型膀胱改善作用>
(検体化合物)蒸留水に溶解させたT−588を使用した。
(試験動物)SD系雌性ラット13−14週齢
(試験方法)ラットを1.5%ハロセン吸入麻酔(フローセン、武田薬品工業製)にて導入維持し、仰臥位にて下腹部を正中切開し、膀胱を露出した。膀胱頂部に小切開を加えた後、開口部を襟状に加工したポリエチレンカテーテル(ヒビキ社製)を挿入固定し膀胱瘻を作成した。カテーテルの他端は皮下トンネルを経由し、背部小切開創より外部に誘導し固定した。カテーテルを腹直筋に固定し、腹部切開部を縫合した。膀胱瘻を作成したラットをボールマンケージ3型(夏目製作所製)内に拘束し、麻酔からの覚醒を確認した後、カテーテル先端に生理食塩液を満たしたT字管を連結した。T字管の残り2本の一方は生理食塩液を充填したシリンジに連結し、シリンジポンプ(KDサイエンティック社製)に設置した。他方は圧力トランスデューサー(グールド社製)に接続した。シリンジポンプにて連続的に0.04 mL/minの流量で生理食塩液を膀胱内に注入し、膀胱収縮を誘発させ、経時的に膀胱内圧測定を行った。膀胱内圧は増幅器(日本光電工業株式会社製)からの信号をペンレコーダー(日本電子科学株式会社製)にて記録した。各排尿毎に排尿量を計測し、生理食塩液の注入量と同量以上の場合、これを膀胱容量とした。逆に排尿量が生理食塩液の注入量に満たない場合、膀胱内の残尿をカテーテルから導出し、残尿量と排尿量の和を膀胱容量とした。排尿間隔の安定化を確認した後、3回分の排尿における平均値をラット個体の正常時膀胱容量とした。
正常時膀胱容量の測定後、ボールマンケージ3型よりラットを取り出し、1.5%ハロセン吸入麻酔にて導入維持し、Longaらの方法[ストローク (Stroke)、第20 巻、第84-91頁(1989年)]に準じ、左側中大脳動脈を永久閉塞して脳梗塞を作成した。
【0021】
即ち、麻酔ラットの頸部を正中切開し、左側総頸動脈を迷走神経から剥離露出し、内外頸動脈分岐部近傍にて外頸動脈を二重結紮後切断した。翼突口蓋動脈を結紮後、総頸動脈を二重結紮後に切断し、内外頸動脈分岐部近傍に固定用の糸をかけ、内頸動脈を杉田式クリップで挟んだ。次いで内外頸動脈分岐部近傍に小切開を加え、4-0ナイロン糸(ケイセイ医科工業株式会社製)を挿入し、杉田式クリップを外した後、外頸動脈起始部より17 mm挿入して留置固定した。なお4-0ナイロン糸は血管壁穿通防止と左側後大脳動脈からの血流遮断を目的に先端部を加熱し鈍化したものを使用した。4-0ナイロン糸留置固定後、挿入部からの血液漏洩がないことを確認し、切開部を縫合した。
【0022】
脳梗塞作成後、ラットを速やかにボールマンケージ3型に拘束し、麻酔からの覚醒を確認した後、膀胱内圧測定を再開した。脳梗塞作成から2時間後を中心に膀胱容量を3回測定し、脳梗塞時膀胱容量とした。測定直後にブラインド化した検体化合物水溶液あるいは蒸留水を経口投与し、膀胱容量を測定した。脳梗塞時膀胱容量を100%とし、検体化合物投与後の膀胱容量変化率を各時点で求めた。結果を表1および2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
以下に、製剤例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
製剤例1
成分▲1▼[T−588 50mg、乳糖20mg、コリドンCL(バスフ社製)15mg、とうもろこし澱粉25mg、アビセルPH101(旭化成社製)40mg]の混合物をポリビニルピロリドンK90の8%水溶液で練合し、60℃で乾燥した後、▲2▼成分[ポリビニルピロリドンK90 5mg、軽質無水ケイ酸18mg、ステアリン酸マグネシウム2mg]を混合し、1錠重量 175mg、直径8mmの円形錠に打錠し、T−588を50mg含有する錠剤を得る。
【0026】
製剤例2
▲1▼成分[T−588 50mg、乳糖20mg、とうもろこし澱粉53mg、コリドンCL(バスフ社製)2mg]の混合物をポリビニルピロリドンK90の8%水溶液で練合し、60℃で乾燥した後、▲2▼成分[ポリビニルピロリドンK90 5mg、アビセルPH302(旭化成社製)18mg、ステアリン酸マグネシウム2mg]を混合し、1カプセル当たり 150mgを3号ゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤を得る。
【0027】
【発明の効果】
一般式[1]の1,2−エタンジオール誘導体またはその塩は、脳梗塞により誘発された過活動型膀胱に対し改善作用を有し、中枢神経系の障害あるいは変性による各種の疾患、例えば、脳血管障害、パーキンソン病、各種ニューロパシーなどに伴う頻尿、夜間頻尿を主訴とした切迫性尿失禁の治療薬として有用である。
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