JP4384286B2 - 射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物の射出成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の射出成形は、通常はペレットを用い、これを加熱溶融し、射出成形するものであり、原料としてペレット以外の液状材料であるブラスチゾルを使用することは例外中の例外[例えば塩化ビニル樹脂プラスチゾルで発泡射出成形する技術(特開平1−110113号公報参照)]である。このようなケースは、射出成形階段で材料を加温することが許されず、室温で射出しなければならない。加熱すると可塑剤が樹脂に吸収され、流動性を失うからである。成形サイクルとしては、まず室温下で液状のプラスチゾルを金型内に射出し、射出後に金型を急速に加熱し、液状材料のゲル化、成形を促進し、成形後は変形を防止するため成形品を材料のガラス転移温度(Tg)以下まで冷却した後に脱型しなければならない。
【0003】
このように迅速な射出工程の前後に加熱、冷却を繰り返す必要があるため、高生産性が生かされていない問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、プラスチゾルの射出成形において金型を冷却しなくても脱型ができる新規な射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物の射出成形方法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ガラス転移温度が60℃以上で、(a)テトラヒドロフラン可溶分5〜96重量%およびテトラヒドロフラン不溶解分95〜4重量%からなり、かつ、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量が50,000〜9,000,000であるアクリル樹脂、または、(b)テトラヒドロフラン可溶分のみからなり、その重量平均分子量が300,000〜9,000,000であるアクリル樹脂、および(B)可塑剤、を含有してなる射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物を室温で、温度10〜100℃の金型に射出し、150〜250℃に加熱して成形し、ついで成形品を金型から冷却しないで脱型することを特徴とする射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物の射出成形方法に関する。
【0006】
削除
【0007】
本発明における前記アクリル樹脂とは、炭素数1〜8のアルキルアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルを主たる構成単量体とする重合体よりなる樹脂であって、そのガラス転移温度が60℃より高いものであり、その単量体の具体例としては、メチルメタクリレート〔ホモ重合体の場合のガラス転移温度(以下同様):105℃〕、エチルメタクリレート(65℃)、イソプロピルメタクリレート(81℃)、t−ブチルメタクリレート(107℃)などを挙げることができる。これらの単量体は、重合体を形成する全単量体を基準にして50重量%以上を占めることが必要である。50重量%を下廻ると、使用できる可塑剤の種類が限定され、かつ本発明のプラスチゾル組成物を加熱、成形して得られた成形物の強度を大きく低下させる原因となる。
【0008】
本発明の(A)成分であるアクリル樹脂は、ガラス転移温度が60℃以上のものであるが、好ましくは70℃以上、とくに好ましくは80℃以上である。ガラス転移温度が60℃を下廻るものの場合には、熱時脱型性や金型耐汚染性が悪化する傾向となる。樹脂粒子がコア−シエル構造を有する場合は、シエルを構成する重合体のガラス転移温度が60℃以上という条件を満たせば、コア重合体のガラス転移温度が例えば−20℃というように低くてもよい。
【0009】
(A)成分の1種である(a)テトラヒドロフラン可溶分5〜96重量%およびテトラヒドロフラン不溶分95〜4重量%からなるアクリル樹脂の場合には、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量が50,000〜9,000,000、好ましくは100,000〜6,000,000、とくに好ましくは500,000〜4,000,000であることが必要である。重量平均分子量が50,000以下の場合は、脱型性が悪くなるので好ましくない。9,000,000以上の場合はゲル化性が悪くなる傾向にある。また、前記テトラヒドロフラン可溶分が所定範囲外の場合には、金型を冷却しないで脱型することと最終成形物の強度とを両立させることが困難となる。
【0010】
(A)成分の1種である(b)テトラヒドロフラン可溶分のみからなるアクリル樹脂の場合には、その重量平均分子量が300,000〜9,000,000、好ましくは500,000〜9,000,000、とくに好ましくは1,000,000〜6,000,000であることが必要である。重量平均分子量が所定範囲より小さい場合には、脱型性が悪くなり、所定範囲より大きい場合にはゲル化性が悪くなる傾向がある。
【0011】
テトラヒドロフラン不溶分95〜4重量%のアクリル樹脂(a)を得るためには、多官能単量体を前記アクリル酸またはメタクリル酸のエステルと共に共重合することが必要である。この場合の多官能単量体は必要とする量のテトラヒドロフラン不溶分を形成するだけの量であればよい。好ましくは0.5〜15重量%(全単量体に対して)である。
【0012】
前記多官能単量体の例としては、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアジペート、アリルグリシジルエーテル、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレンジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0013】
また、本発明におけるアクリル樹脂を得るためには、必要に応じて構成単量体単位に、50重量%未満の第三の単量体を用いることもできる。これらの単量体の例としては、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物;(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物、エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;α−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルフマレート、モノブチルマレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0014】
これらのアクリル樹脂のなかでも、メチルメタアクリレートを50重量%以上含有するメタアクリレート系樹脂が好ましい。
【0015】
本発明のアクリル樹脂は、その平均単一粒子径が0.05〜5.0μmであることが好ましく、さらに0.3〜3.0μmであることがより好ましい。平均単一粒子径の測定方法は、樹脂粉末を水に分散し、発振周波数が50kHzの超音波振盪器に1分間かけた後、3分間静置した懸濁液を用いて遠心沈降濁度法により累積粒径分布を求め、累積値50%となる粒径をもって、平均単一粒子径とするものである。上記範囲の平均単一粒子径が好ましい理由は、可塑剤中で懸濁してプラスチゾルを形成するうえで低粘度が得られ、実用配合での自由度が広がるあるためである。
【0016】
前述のような重合体粒子を製造するためには、播種乳化重合を含む乳化重合法あるいは播種微細懸濁重合を含む微細懸濁重合法が好適である。
【0017】
乳化重合は、水を分散媒、アニオン性又はノニオン性界面活性剤を乳化剤、水溶性の過酸化物を重合開始剤として用い、冷却ジャケット付き耐圧重合器中で比較的緩徐な攪拌を行いつつ、界面活性剤の作用によって単量体を微細な液滴に乳化させ、単量体を包む界面活性剤ミセル層内で重合を進め、粒径0.05〜0.5μm程度の微小球形樹脂をラテックスとして得るものである。ラテックスから粒子をうるためには、通常噴霧乾燥が行われる。
【0018】
乳化重合法よりも更に大きい粒径を有する粒子のラテックスを得るために、予備重合したラテックスを種子として用い、乳化剤量をポリマー粒子の全表面積をカバーするのに必要な理論量の20〜60%に保ちつつ重合することにより、新たな微小粒子の生成を防ぎつつ種子粒子のみを太らせるための被覆重合を行う播種乳化重合が行われている。
【0019】
また、ペーストレジンのラテックスを得る別の方法としては、水を分散媒とし、単量体、乳化剤、油溶性の重合開始剤等の混合物を、ホモジナイザ等を用いて微細な液滴に分散させたのち重合する微細懸濁重合や、微細懸濁重合で得られた重合体の懸濁液を種子粒子として更に被覆重合を行う播種微細懸濁重合等も行われている。
【0020】
これらの乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合または播種微細懸濁重合においては、重合反応に伴う反応熱の除去や反応の場への単量体の供給を目的として攪拌機により攪拌が行われる。この攪拌は、弱すぎれば熱除去ができずに反応温度が上昇し、品質上及び安全上の問題をひき起こしたり、重合反応の場に有効に単量体が供給されずに反応が遅延することになり、逆に、強すぎれば生成、成長しつつある重合体粒子を凝集させてスケールや粗粒を生じさせたり、ラテックスの機械的安定性を損い、時としてクリーム状の内容物は蓄熱し易いため、やはり品質上及び安全上の問題を惹起する。
【0021】
乳化重合に用いられる乳化剤としては例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等のノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。乳化剤は初期添加のみの方法と、粒径の肥大化のために重合の進行に合わせて追加添加をも行う方法とがあるが、使用量は単量体100重量部に対し、0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部が更に好ましい。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、これらの開始剤又はクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシドに、酸性亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。
【0022】
播種乳化重合においては、重合器に純水、種子重合体、水溶性重合開始剤等を仕込み、重合器内の脱気あるいは必要に応じて窒素等の不活性気体による置換を行い、アクリル系単量体又はアクリル系単量体およびこれと共重合し得る単量体の混合物を仕込み、緩やかに攪拌しながら重合器内の温度を上げて重合を開始する。重合温度は、30〜80℃であることが好ましい。重合が開始されてから反応の進行に合わせて肥大化する粒子の表面を覆う以上にならない程度の量の乳化剤を水溶液にて添加することにより、重合体粒子の安定化を図る。水溶性重合開始剤と乳化剤は前記の乳化重合で用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0023】
微細懸濁重合においては、先ず水性媒体中に、アクリル系単量体又はアクリル系単量体及びこれと共重合し得る不飽和単量体の混合物、油溶性重合開始剤、乳化剤、必要に応じて高級脂肪酸等の重合助剤、その他の添加剤を加えてプレミックスし、ホモジナイザにより均質化処理して油滴の粒径調節を行う。ホモジナイザとしては、例えば、コロイドミル、振動攪拌機、二段式高圧ポンプ等を用いることができる。均質化処理した液を重合器に送り、緩やかに攪拌しながら重合器内の温度を上げて重合反応を開始し、以後所定の転化率に達するまで重合を行う。重合温度は、30〜80℃であることが好ましい。
【0024】
油溶性重合開始剤としては、例えば、アセチルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;メチルエチルケトンパーオキシド等のケトンパーオキシド;ベンゾイルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、p−クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、p−サイメンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;t−ブチルパーオキシビバレート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等のスルホニルパーオキシド等の有機過酸化物;これらの有機過酸化物とロンガリット等の還元剤を組み合わせた酸化還元型重合開始剤;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。乳化剤としては、前記の乳化重合に用いられる乳化剤と同様のものが例示される。
【0025】
播種微細懸濁重合においては、重合器に純水、粒子中に重合開始剤が残存する種子重合体等を仕込み、重合器内の脱気あるいは必要に応じて窒素等の不活性気体による置換を行い、乳化剤及びアクリル系単量体又はアクリル系単量体及びこれと共重合し得る単量体の混合物を仕込み、緩やかに攪拌しながら重合器内の温度を上げて重合を開始する。重合温度は、30〜80℃であることが好ましい。乳化剤としては、前記の乳化重合に用いられる乳化剤と同様のものが例示される。播種微細懸濁重合の場合は、重合開始剤を新たに添加する必要はない。
【0026】
乳化重合、微細懸濁重合等によって製造されたアクリル重合体粒子を含有するラテックスは、通常、窒素等の不活性気体を用いる噴霧乾燥によって乾燥されてアクリル樹脂とされる。
【0027】
本発明に用いる可塑剤としては、本発明で用いる樹脂に対応した可塑剤である。したがって、アクリル樹脂の可塑化に適した可塑剤であり、具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体、ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体、ジ−2−エチルヘキシルテトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体、ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレートなどのマレイン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸誘導体、テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸誘導体、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体、モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体、ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレートなどのオレイン酸誘導体、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体、n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルデシルフォスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体、グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤、あるいは部分水添ターフェニル、接着性可塑剤、さらにはジアリルフタレート、アクリル系モノマーやオリゴマーなどの重合性可塑剤などが挙げられるが、これらの中でブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート等のフタル酸ベンジルエステル系、トリクレジルフォスフェート、ジフェニルデシルフォスフェート等のリン酸エステル系、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート等のクエン酸エステル系、ジプロピルジベンゾエート、ジエチルジベンゾエート等のジ安息香酸エステル系、セバシン酸エステル系、ポリエステル系などが好適である。これらの可塑剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また可塑剤にゴム、樹脂などの高分子化合物を溶解させたものも任意に使用することができる。その使用量は、通常アクリル樹脂100重量部を基準として60〜140重量部、好ましくは70〜120重量部である。
【0028】
本発明に用いるアクリル樹脂プラスチゾル組成物は(A)成分のアクリル樹脂を(B)成分の可塑剤に分散、混合して調製される。混合機は特に限定されず、擂潰機、ニーダー、プラネタリーミキサー、横型パドルミキサー、バタフライミキサー、ディソルバー、インテンシブミキサーなどが用いられる。このとき、必要に応じて、顔料、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、希釈剤等が添加される。
【0029】
本発明の射出成形方法は、本発明のアクリル樹脂プラスチゾル組成物を加熱せずに室温で、温度10〜100℃の金型内に射出し、150〜250℃に加熱してプラスチゾル組成物がゲル化するに充分な時間、通常40〜120秒程度そのまゝの状態に保つことにより成形し、ついで金型を冷却することなく即ち、温度100〜180℃の金型から成形物を脱型する。従来から塩化ビニル系樹脂のプラスチゾル組成物の場合には、必ず金型を冷却した後、脱型していたのであるから、この点は大きな違いであり、工業的には極めて大きなメリットである。
【0030】
本発明の成形方法の主な利用分野としては、射出インサート成形がある。とくに被インサート物が、▲1▼耐熱性が低い、▲2▼形状が複雑、▲3▼形状が細かい(例えば多孔質)、▲4▼強度が小さい、などの場合には、高温で高粘度の溶融物を一体化するのは困難であったり、不可能であったりするので、室温でかつ低圧でプラスチゾルを射出する本発明方法は有利である。
【0031】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。メチルメタクリレート系樹脂a〜樹脂jおよびスチレン樹脂kを下記製造例の方法により調製した。
【0032】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂a)>
ステンレス製容器に、脱イオン水150重量部を入れて脱気し、メタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート100重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.0重量部、分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5重量部および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とを添加し、室温下で30分間攪拌混合した後、ホモミキサーで高剪断下にて均質処理し、ステンレス製重合容器に移送して油相の液滴径が1〜5μmの微細懸濁液を調整した。続いて重合温度65℃で5時間攪拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率92%を確認してから反応を終了させ、ラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥した。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は1.8μmであった。また、示差熱分析計で求めたガラス転移温度は105℃であった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0033】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂b)>
ステンレス製容器に脱イオン水150重量部を入れて脱気し、炭素数12のアルキル基を有するソジウムアルキルサルフェート1.2重量部、ラウリルアルコール0.8重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、メチルメタクリレート100重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.6重量部を仕込んで室温下で30分混合後、ホモジナイザで均質処理してステンレス製反応器に移送した。反応器を昇温して反応温度を65℃に維持して重合反応を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率92%を確認してから反応を終え、ラテックスを得た。同ラテックスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥した。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は0.7μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0034】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂c)>
冷媒が使用できるステンレス製反応器に脱イオン水200重量部を入れて脱気し、メチルメタクリレート100重量部、オレイン酸カリウム0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.05重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミン4酢酸0.002重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート0.05重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.15重量部とを添加し、0℃で18時間攪拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率90%を確認してから反応を終了させ、ラテックスを得た。同ラテクッスを170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥した。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は0.1μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0035】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂d)>
メタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート96重量部、テトラエチレングリコールジメタクリレート4重量部としたほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に行った。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は1.7μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0036】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂e)>
メタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート93重量部、グリシジルメタクリレート7重量部としたほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に行った。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は2.4μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0037】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂f)>
メタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート98重量部、グリシジルメタクリレート2重量部と連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン1.0重量部とを添加したほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に行った。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は1.4μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0038】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂g)>
重合用単量体としてメチルメタクリレート98重量部、メタクリル酸2重量部と連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン0.1重量部とを添加したほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に重合を行った。得られた重合体ラテックスに水酸化カリウムの5%溶液を0.5重量部添加した後、170℃の窒素気流の噴霧乾燥にて乾燥した。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は1.0μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0039】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂h)>
重合用単量体としてメチルメタクリレート98重量部、メタクリル酸2重量部と連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン1.0重量部とを添加したほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に重合を行った。得られた重合ラテックスに水酸化カリウムの5%水溶液を0.5重量部添加した後、170℃の窒素気流の噴霧乾燥にて乾燥した。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は0.6μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0040】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂i)>
メタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート88重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート12重量部としたほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に行った。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は1.4μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0041】
<メタクリレート系重合体製造例(樹脂j)>
ステンレス製重合容器にケン化度80%、重合度2000のポリビニルアルコール0.5重量%とメトキシ基含有率約29%、熱ゲル温度約52℃のメチルセルロース0.5重量%を溶解した水200重量部を添加し、室温下で攪拌しながらメタクリレート系単量体としてメチルメタクリレート100重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を更に添加し、続いて重合温度65℃で5時間攪拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率91%を確認してから反応を終了させ、スラリーを得た。
同スラリーを遠心脱水機でろ別した後、60℃の熱風循環オーブン中で24時間乾燥した。このようにして得られた重合体樹脂粒子を篩分級法により累積粒度分布曲線を求め、累積値50%を与える篩目開きとして求められた平均単一粒子径は34μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0042】
<スチレン系重合体製造例(樹脂k)>
ステンレス製容器に脱イオン水150重量部を入れて脱気し、重合用単量体としてスチレン65重量部、アクリロニトリル32重量部、メタクリル酸3重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.8重量部、分散剤として炭素数18の高級アルコール1.5重量部および重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部とを添加し、室温下で30分間攪拌混合した後、ホモミキサーの高剪断下で均質処理し、ステンレス製重合容器に移送して油相の液滴径が1〜5μmの微細懸濁液として攪拌調整した。続いて重合温度75℃で5時間攪拌下にて重合を行い、少量サンプリングした反応液の固形分濃度により重合率92%を確認してから反応を終了させ、ラテックスを得た。同ラテックスに水酸化カリウムの5%溶液を0.5重量部添加した後、170℃の窒素気流の噴霧乾燥機にて乾燥した。このようにして得られた重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は2.2μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0043】
<重合体製造例(樹脂l)>
重合用単量体としてメチルメタクリレート65重量部、n−ブチルアクリレート35重量部としたほかはメタクリレート系重合体製造例(樹脂a)と同様に行った。同重合体樹脂粒子の平均単一粒子径は2.3μmであった。その他の重合体物性は表1に示す。
【0044】
本発明の実施例および比較例に用いる重合体、可塑剤およびその他の添加剤は下記表1および表2に示す。
【0045】
実施例1〜8、比較例1〜11
表3および表5に示す種類と量(重量部数×100g)の配合成分を50リットルの同時脱泡式プラネタリーミキサーで15分間混合してプラスチゾルを調整した。縦型の射出成形機を用いて、成形物の寸法が150×200×5mmとなる割金型中に室温で射出し、続いて同金型を電熱で180℃で60秒間加熱し、次いで、特に冷却することなく、温度130〜180℃の金型から脱型して成形品を得た。また実施例の組成は表3に、その性能評価は表4に示し、比較例の組成は表5に、その性能評価は表6に示した。
【0046】
本発明における性能評価方法はつぎのとおりである。
【0047】
分子量測定方法
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン100mlに添加し、室温で24時間溶解した後、標準ポリスチレンを参照して、GPC(Gel Permeation Chromatogragh)によって測定した。
【0048】
THF可溶分および不溶解分の測定
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgを試薬のテトラヒドロフラン50mlに添加し、室温で24時間溶解した後、8000rpmの遠心分離機に10分間かけ、更にろ別した後、60℃で24時間乾燥した後に測定した重量を元の樹脂サンプルに対する重量%で表したものがテトラヒドロフラン不溶解分であり、元の樹脂サンプルに対する減少重量を%で表したものがテトラヒドロフラン可溶分である。
【0049】
(3)ゾル初期粘度(単位ポアズ)
実施例の表記載の射出成形用プラスチゾル組成物に使用する各配合成分(単位はg)を擂潰機にて室温で10分間混合し、連続して真空度−755mmHgの真空攪拌脱泡機にて15分間脱泡処理してプラスチゾルを調整した。同脱泡後に密閉容器に採取し、23℃で1時間放置した後、23℃で湿度60%の室内にて粘度測定を行った値をゾル初期粘度とした。粘度測定はBROOKFIELD粘度計のM型、ローターNo.4を用い、6rpmにて行った。500ポアズ以下が加工可能で100ポアズ以下が望ましく、50ポアズ以下が特に望ましい。
【0050】
(4)ゾル経時(単位なし)
初期粘度を測定したプラスチゾルを密栓して23℃で1週間保存し、23℃で湿度60%の室内にて初期粘度と同じ条件で粘度測定を行った。1週間後の粘度測定値を初期の測定値で除した値をゾル粘度経時変化の指数とした。実用上は2.0以下が必要条件で1.3以下が特に望ましい。
【0051】
(5)ゲル化性
(3)と同様の条件で調整したプラスチゾルを厚さ1mmの鋼板上にドクターナイフを用いて1mm厚に塗布した。同サンプルを180℃の熱風循環式オーブン中で60秒間熱処理したものを室温で放冷した後にゲル化した皮膜を25mm幅に鋼板から剥離し、得られた皮膜強度をゲル化性とした。
○:人力では皮膜の切断が困難、△:人力で容易に切断できる、×:皮膜を形成できない。
【0052】
(6)熱時脱型性
(3)と同様の条件で調整したプラスチゾルを30×100×2mmの深さの彫り込みを持つ厚さ4mmのアルミニウムプレートの溝内に流下した後、余剰分をナイフで掻き取った。同プレートを180℃の熱風循環式オーブン中で90秒間熱処理した直後、ペイントナイフを用いて型離れを調べ、熱時脱型性を評価した。
○:脱型容易、△:直後は脱型困難だが60秒後は脱型可能、×:300秒後でも脱型不能
【0053】
(7)金型汚染性
(6)の評価で成形物の脱型後に同プレートの溝内に付着した残留成形物の量により、金型汚染性を代用評価した。
○:残留付着物なし、△:残留付着物が微少あり、×:残留付着物が多い
【0054】
(8)寸法安定性
(6)の評価で脱型した成形物を室温で4時間静置した後に、型寸との寸法誤差を測定した。
○:寸法誤差0.2mm以下、△:寸法誤差0.2〜0.5mm、×:寸法誤差0.5mm以上
【0055】
(9)成形サイクル(単位:秒)
射出成形機へのプラスチゾル補給から、射出、加熱成形および脱型の後、次のバッチのプラスチゾル補給までの所要時間を10秒単位で測定した。
【0056】
(10)ブリード
(3)と同様の条件で調整したプラスチゾルを厚さ2mmのガラス板上にドクターナイフを用いて0.5mm厚に塗布し、180℃の熱風循環式オーブン中で10分間熱処理してシートを作製した。このシートを室温で1週間放置した後、シート表面ににじみ出た可塑剤を目視で調べ、シートのブリードとして評価した。
【0057】
(11)シート引張強度(単位:kg/cm2)
(10)で作製したシートを用いて、JIS K−6723に準じた方法で23℃での引張強度を測定した。
【0058】
(12)シート伸張率(単位:%)
(11)の測定と同時に破断時での伸張率を測定した。
【0059】
【表1】
熱可塑性樹脂微粒子
MMA :メチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
4EGMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
TMPT :トリメチロールプロパントリメタクリレート
ST :スチレン
AN :アクリロニトリル
VC :塩化ビニル
VAc :酢酸ビニル
*1 :塩化ビニル樹脂、ZEST P21、新第一塩ビ(株)製
*2 :塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ZEST P35J、新第一塩ビ(株)製
【0060】
【表2】
可塑剤及び添加剤
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
<評価>
実施例1〜8
本発明の要件を備えたアクリル樹脂プラスチゾル組成物であり、いずれも、優れたゾル特性および成形品特性を示し、かつ、短い成形サイクルを実現した。
比較例1
テトラヒドロフラン可溶分のみからなり、その重量平均分子量が本発明の規定より小さな樹脂bを用いると、熱時脱型性で、金型からの離脱に成形後約80秒を要し、更に金型に対する残留付着物が多く存在した。
比較例2
テトラヒドロフラン可溶分のみからなり、その重量平均分子量が本発明の規定より大きな樹脂eを用いると、ゲル化性の評価において、得られたシートがゲル化不十分で容易に人手で切断できる状態であった。
比較例3
テトラヒドロフラン不溶分9重量%含むが、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量が本発明の規定より小さな樹脂fを用いると、熱時脱型性で、金型からの離脱に成形後約100秒を要し、金型への残留付着物も少量存在し、寸法安定性も少し低下した。
比較例4
テトラヒドロフラン不溶分が2重量%という少量を含み、かつ、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量が本発明の規定より小さな樹脂hを用いると、熱時脱型性で、5分以上室温で放置しても、金型から完全に取り出すことができなかった。
比較例5
テトラヒドロフラン可溶分のみからなる樹脂iを用いると、ゲル化性の評価において、得られたシートがゲル化不十分で容易に人手で切断でき、成形サイクルテストでも200秒を超えた。
比較例6、7
塩化ビニル樹脂を用いると可塑剤を2種類で試験しても、ゲル化性テストの結果、形成した被膜が鋼板から剥せられない程脆弱な状態であった。
比較例8
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を用いると、ゲル化性テストにおいて、形成した被膜が脆弱で人力で容易に切断できた。
比較例9
比較例1に用いた樹脂の粉を実施例1の樹脂に50%置換したが比較例1の結果とほとんど同じであった。
比較例10
比較例9の置換比を実施例1に使用した樹脂を80%の割合になるように変更したが金型汚染性は比較例1と同等であった。
比較例11
スチレン主体の樹脂kを用いると、熱時脱型性や金型耐汚染性に劣り、成形シートの抗張力も低値であった。
比較例12
テトラヒドロフラン可溶分のみからなり、その重量平均分子量が本発明の規定範囲内にありながら、ガラス転移温度が規定より低い樹脂lを用いると、ゲル化性テストにおいて、形成した被膜が脆弱で鋼板から剥せられない程度であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の射出成型法が提供できたことにより、プラスチゾル成形において、金型を冷却してからでないと脱型できないという従来の欠点を改善し、金型を冷却しなくても脱型できるため、生産性の向上が極めて著しく、その産業上に与える効果は極めて顕著である。
Claims (1)
- (A)ガラス転移温度が60℃以上で、(a)テトラヒドロフラン可溶分5〜96重量%およびテトラヒドロフラン不溶解分95〜4重量%からなり、かつ、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量が50,000〜9,000,000であるアクリル樹脂、または、(b)テトラヒドロフラン可溶分のみからなり、その重量平均分子量が300,000〜9,000,000であるアクリル樹脂、および(B)可塑剤、を含有してなる射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物を室温で、温度10〜100℃の金型に射出し、150〜250℃に加熱して成形し、ついで成形品を金型から冷却しないで脱型することを特徴とする射出成形用アクリル樹脂プラスチゾル組成物の射出成形方法。ただし、テトラヒドロフラン可溶分およびテトラヒドロフラン不溶解分は次の測定法により測定するものとする。
テトラヒドロフラン可溶分および不溶解分の測定法
40℃、真空度−755mmHgで3時間の真空乾燥処理を行った樹脂サンプル500mgをテトラヒドロフラン50mlに添加し、室温で24時間溶解した後、8000rpmの遠心分離機に10分間かけ、更にろ別した後、60℃で24時間乾燥した後に測定した重量を元の樹脂サンプルに対する重量%で表したものをテトラヒドロフラン不溶解分とし、元の樹脂サンプルに対する減少重量を%で表したものをテトラヒドロフラン可溶分とする。
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