しかしながら、特許文献1(特開平6−44397号公報)の装置によって読み込まれる1次元コードと2次元コードは全く別の領域に記録されたものであり、同一の情報記録領域に1次元コードと2次元コードを混在させて記録するような記録方式は知られていない。しかも、この装置では、2次元の桝目のパターンが、バーコードと全く同じパターンになった場合に、その情報が2次元コードか1次元コードかを見分けることはできない。見分けるためには、バーコードと全く同じ配置にならないようなフォーマット(書式)を持つ2次元コードを採用しなければならず、2次元コードのフォーマット(書式)が極めて制約される。
そこで、この発明の課題は、冗長性の高い1次元のバーコードの利点と、高密度な記録が可能である2次元の桝目配置の情報記録との利点を併せ持つデジタル情報記録担体を提供することにある。
また、次のような観点から、課題がある。
(a)セグメント化について
大容量のデータを記録しようとする場合には、管理などの面からブロック毎に区切って記録することが一般的に行われている。このようなブロック単位で情報を記録する場合は、どのようにしてブロックを区切り、あるいは同定するかという技術が重要となる。
本発明に関係するような2次元的な情報記録の場合には、例えば多段型のバーコードの例があげられる。多段型バーコードのうち、コード49やコード16Kはバーコードを重ねて、その間を横線で区切っている。またPDF417(2次元バーコード)のように、段ごとに異なるサブセットを用いて段を区別する方式も知られている。
また、例えばバーコードを並べて順に読むことによりデータが得られるといった、複数のシンボルを並べて1つの情報を表すという技術も、ブロック単位の分割の一種とみなすことができる。
本出願人は先に、特願平6−070911号においてブロック単位での符号化を行う技術を開示し、さらに特願平6−185858号において矩形のウインドウを仮想的に設定することにより画像データをブロック単位で読み出す技術を開示している。これらの例では、ブロック間に区切り線は存在せず、また符号化に同一のサブセットを用いているが、同じ値を示す桝目が一定個数以上連続しないように記録を行い、桝目の境界を認識してブロック単位で読み出すようにしている。
このように2次元のマトリクスを並べてデジタル情報を記録する場合に、先に従来技術として示したブロック単位の符号化例をあてはめようとすると、いくつかの問題点がある。
まず、区切り線を設ける方式の場合、区切り線を読取装置で認識するためにはある程度の幅が必要となる。データを高密度に記録しようとして桝目を小さくしようとすればするほど、記録面中に区切り線の占める割合が増加し、記憶効率が悪くなる。特に、コード49やコード16Kでは区切り線が記録面の端から端までの長さをもつため、記録面中に占める割合は無視できないものとなる。
また、シンボル(バーコード)を並べる方式の場合にも、同様にシンボル間の静寂領域の部分がデータ記録に使用できないことが問題となる。
また、符号化に用いるサブセットをブロックごとに変えたり(PDF417の例)、読み取りが簡単なサブセットを選択したり(本出願人の先に提案した技術の例)する場合は、ブロックの間に区切り線や静寂領域などの読み取りのための制御情報を必要としない。しかしながら、符号化時にデータの1ビットを1つの桝目の白黒に単純に置き換えることができないため、やはり記憶効率が落ちるという問題がある。
そこで、この発明の課題は、所定のパターンに同期して表される領域であるセグメントの組み合わせとして情報記録領域を設定することにより、記録面を効率的に使用できるデジタル情報記録方法を提供することにある。
また、情報記録領域を自由な形状に設定することが可能なデジタル情報記録方法を提供することにある。
(b)デジタル情報解読方法および解読装置について
2次元的に記録された情報を画像情報として読み取る場合、情報記録領域が大きくなり、読取装置のメモリ装置に一度に取り込むことができない場合がある。また、2次元の桝目配置のデジタル記録方式で記録された大きな情報記録領域の全体を、CCDカメラなどを用いて読み込んだ場合には、1つの桝目に対応するCCDの素子の数が少なくなり、正しく情報を読み取ることができなくなるという問題がある。
CCDカメラなどを用いて2次元的に記録された情報を読み取る場合に、光学系を用いて画像を拡大する技術は既に知られている。例えば特開平5−94561号公報では、バーコードなどのシンボルを光学系を用いて適正倍率にまで拡大して読み取る方式が開示されている。しかしながら、この技術は拡大された後も記録面の全体像がイメージセンサ上に存在することを前提としている(但し、バーコードに関しては、シンボルの全体像がイメージセンサ上に展開できなくとも、公知のバーコード自動復元機能を用いることにより、バーコード情報の読み出しが可能であることを示唆している。)。
そこで、この発明のさらなる課題は、上記デジタル情報記録方法によって記録された記録情報を、セグメント単位で簡便に読み出すことができるデジタル情報解読方法および解読装置を提供することにある。
(c)記録面の余白部の利用について
(i)枠情報の設定について
特開平03−038791号公報には、情報記録領域の少なくとも2辺に隣接して、黒枡目を用いた位置決め境界を設ける技術が開示されている。
しかしながら、このように情報記録領域の辺に沿って黒桝目を用いて位置決め境界を設けると、少なくとも辺の長さ分の桝目を位置決め境界として用いる必要がある。
特に情報記録領域の辺に沿って一定のパターン(特定パターン)を配置する場合は、情報記録領域の外側にさらに位置決め境界を設ける方式と、情報記録領域内の特定パターンと重ならない部分にのみに位置決め境界を設ける方式とが考えられる。前者の方式は後者の方式に比して位置決め境界を構成するのに必要な桝目の数が多くなり、後者の方が記憶効率的に有利である。しかし、後者の方式は、位置決め境界と特定パターンとが接するため、特定パターンの探索が困難になる恐れがある。
そこで、この発明のさらなる課題は、情報記録領域の辺に沿って特定パターンを配置する場合に、記録面内で情報記録領域の範囲を判別するための枠情報を設けることができる上、読み取り時に情報記録領域の辺に沿った特定パターンの探索が容易になるようなデジタル情報記録方法を提供することにある。
(ii)可読文字等の設定について
特開平03−038791号公報には、機械が読み取ることができるだけではなく、人間が目で見て読み取ることのできるシンボルを記録面に記録する例が示されている。人間が読み取ることのできる情報の例としては、アルファベットや数字、あるいはモールスコードなどが示されている。但し、人間が読むことが可能であるという以外に、どのような目的で使用可能かは記されていない。
しかしながら、この例を見る限りにおいては、シンボルに含まれている情報は、人間が読むことが可能である情報(主としてアナログ情報をデジタルで表現したもの)のみであり、人間が読むことができる情報と読取装置が認識可能なデジタル情報を1つのシンボル中に混在させる技術を開示しているとは言い難い。
そこで、この発明のさらなる課題は、記録面をセグメント単位で分割する際に、セグメントおよび特定パターンとして使用されない領域を利用して、読み取りに有用な情報や人間に認識可能な情報などを含ませることができるデジタル情報記録方法を提供することにある。
(iii)記録面の上下左右を判別するための情報の設定について
また、この発明の課題は、情報記録領域をセグメント単位で分割する際に、セグメントおよび特定パターンとして使用されない領域を利用して、人間が目視により、あるいは読取装置内部で上下左右表裏を判別することができる情報を含ませるようなデジタル情報記録方法を提供することにある。
(iv)静寂領域およびクロック情報の設定について
また、この発明の課題は、記録面をセグメント単位で分割する際に、セグメントおよび特定パターンとして使用されない領域を利用して、記録面中から所定の位置に配置された特定パターンを抽出することがより容易となる情報を含ませるようなデジタル情報記録方法を提供することにある。
(d)インデックス情報について
複数のセグメントを組み合わせて情報記録領域を構成する場合に、セグメントの配列状態、あるいはセグメント内に記録されているデータのフォーマットなどの、付加的な情報を、データのインデックス情報というものとする。
特開平2−173879号公報には、ビットに対応する網目の数8個に対して1本のフォーマットマークを設けることにより、主走査方向のデータサイズに関する情報を表す技術が開示されている。これにより、主走査方向のデータの幅が記録媒体によって異なる場合にもデータの読み取りを行うことができる。
このように、本来の記録情報を読み取る前に、データの配置に関する情報を知ることにより、効率的な読み取りを行うことが可能である。
複数のセグメントを組み合わせて情報記録領域を構成する場合も同様に、本来の記録情報を読み取る前に、情報記録領域が幾つのセグメントから構成されているか、あるいはセグメントがどのように配置されているか(縦×横のセグメントの個数など)を知ることにより、効率的な読み取りが可能となる。
また、本来の記録情報を読み取る前に、情報記録領域に記録されているデータの長さや、データに対して誤り訂正コードが付加されていたりインターリーブが行われていたりする場合にはその種類、などの情報を先に知ることにより、効率的な読み取りが可能となる。
なお、特開平02−244293号公報には、重要な情報を比較的汚れの影響を受けにくい基体中央部に記録するという技術が開示されている。しかし、この技術は、確かに汚れの影響を受けにくいという効果は奏するが、インデックス情報などのように他の情報に先行して情報を読み出したい場合には、有利とは言えない。
そこで、この発明のさらなる課題は、本来の記録情報を読み取る前に、セグメントあるいはセグメント内に記録された記録情報に関するインデックス情報を、容易に得ることができるようなデジタル情報記録方法を提供することにある。また、1箇所のインデックス情報が潰れてしまったような場合であっても、支障なくインデックス情報を得ることができるデジタル情報記録方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のデジタル情報記録担体は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、それぞれビットに対応し複数行かつ複数列に行列状に並ぶ平行四辺形の桝目が、区切り線を引くことなく設定され、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能な明又は暗のマークが上記各桝目を単位として記録すべきデジタル情報に応じて付与されて、上記記録すべきデジタル情報が2次元パターンとして記録されたデジタル情報記録担体であって、
上記記録面内での位置を示すように特定の形状に連結した複数の枡目に上記マークを所定のパターンで付してなる特定パターンが、上記情報記録領域内に行方向および列方向に複数互いに離間して配置されるとともに、
上記複数の特定パターンの位置に対応し、かつ上記情報記録領域の最外周の一辺に沿った平行四辺形領域に、上記枡目単位でバーおよびスペースを構成した1次元フォーマットをもつバーコードが記録されていることを特徴としている。
なお、「平行四辺形」とは正方形、長方形を含む概念である。
この発明のデジタル情報記録担体では、上記情報記録領域の最外周の一辺に沿った平行四辺形領域に、上記枡目単位でバーおよびスペースを構成した1次元フォーマットをもつバーコードが記録されている。上記2次元パターンと上記バーコードはともに上記枡目を単位としているので、印刷時に同じ印刷制御方法が適用され得る。また、読み取り時に、同一の解読装置を用いて、両方の情報を解読することが可能となる。また、このデジタル情報記録担体では、情報記録領域に行方向および列方向に複数の特定パターンを互いに離間して配置しているので、読み取り時に、上記複数の特定パターンに基づいて情報記録領域内の各枡目の位置を正確に求めることができ、読み取り精度を高めることが可能となる。しかも、このデジタル情報記録担体では、上記バーコードが記録された上記平行四辺形領域は、上記情報記録領域の最外周の一辺に沿った領域であるから、読み取り時に容易に見つけることができる。しかも、上記バーコードが記録された上記平行四辺形領域は、上記複数の特定パターンの位置に対応して配置されているので、読み取り時に、上記複数の特定パターンの位置に基づいて、バーコード部分を取り出すことができる。取り込んだ画像情報からバーコード部分を取り出すことができれば、上記バーコード部分については1次元の走査によって解読することができる。
また、上記バーコードを構成するバーとスペースは、複数の桝目を用いて構成されるので、桝目1個が1つの値を表すパターンに比して冗長度が大きい。したがって、上記情報記録領域に読取誤りが起こりにくい部分(バーコード部分)を形成することができる。このように読取誤りが起こりにくい部分は、インデックス情報などの重要な情報を記録するのに適している。
一実施形態のデジタル情報記録担体では、
行方向または列方向に並ぶ上記特定パターンが、上記情報記録領域の上記一辺に関して上記情報記録領域の外部にはみ出す位置に配置され、
上記情報記録領域の上記一辺と上記はみ出した特定パターンの互いに対向する辺とに囲まれた余白部に、上記バーコードが記録された上記平行四辺形領域が配置されていることを特徴とする。
また、一実施形態のデジタル情報記録担体では、上記バーコードが記録された上記平行四辺形領域の4つの頂点の位置が、上記複数の特定パターンのうちの4つの特定パターンの位置にそれぞれ対応していることを特徴とする。
また、一実施形態のデジタル情報記録担体は、上記バーコードを構成するバーの長手方向が上記情報記録領域の最外周の上記一辺に対して垂直であることを特徴とする。
また、一実施形態のデジタル情報記録担体では、上記バーコードを構成するバーおよびスペースは、上記桝目が並ぶ列方向に関して複数の桝目分の長さをもち、上記桝目が並ぶ行方向に沿って複数並べられることを特徴とする。
また、一実施形態のデジタル情報記録担体では、上記行列状に並ぶ上記桝目は、4行以上、かつ4列以上並べられることを特徴とする。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、上記記録面内での位置を示すように特定の形状に連結した複数の枡目に上記マークを所定のパターンで付してなる特定パターンと、縦方向および横方向に複数の枡目を矩形状に連結してなり、縦方向および横方向に上記特定パターンの寸法よりも大きい寸法を持つ矩形ブロックとを設定し、上記特定パターンを上記矩形ブロックに枡目単位で重ね又は外接させて配置したセグメントを設定し、上記記録面上に上記セグメントを複数隙間なく配列して、上記2次元パターンを表現すべき情報記録領域を設定し、上記記録すべきデジタル情報を上記セグメントの数に応じて分割して単位情報を作成し、この単位情報をそれぞれ上記セグメントに対応させて割り当て、上記セグメント内で上記特定パターンが占める枡目以外の枡目に、上記単位情報を記録することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、記録すべきデジタル情報をセグメントの数に応じて分割して単位情報を作成し、この単位情報をそれぞれ上記セグメントに対応させて割り当てて記録するので、デジタル情報をセグメント単位で管理することが可能となる。例えば、特定のセグメントに記録された情報を読み誤った場合、そのセグメントのみについて再度読み取りを行うことが可能となる。あるいは、読取誤りの影響を1つのセグメントのみに留めることが可能となる。
また、特定パターンを小さく設定することによって、区切り線などを用いる場合に比して情報記録領域を効率的に利用することが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記各セグメント内で、上記特定パターンを縦方向および横方向の少なくとも一方向に分割して分割パターンを作成し、この各分割パターンを上記矩形ブロックの四隅に内接する位置に配置して、上記セグメントを配列したとき、4つの矩形ブロックが頂点を突き合わせて隣接する境界点上で、上記隣接する矩形ブロックに配置された分割パターンによって上記特定パターンが合成されるようにしたことを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法によれば、結果として、セグメントの構成要素である矩形ブロックの頂点に特定パターンが配置される。したがって、記録された情報を読み取るときに、矩形ブロックの頂点に相当する位置に配置された隣り合う4つの特定パターンによって規定される範囲を、一のセグメントとして取り出すことが可能となる。また、上記4つの特定パターンの位置を基準として、上記セグメント内の各枡目の位置を求めることが可能となる。このようにした場合、1つの特定パターンの位置を基準とする場合に比して、読み取り精度が高まる。また、上記セグメント内の任意の桝目のデータも、同じ4つの特定パターンの組の位置情報を用いて読み出すことができる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域の外周に沿って存在するセグメントに、このセグメントの上記外周側に配置された分割パターンと組み合わせられることにより上記特定パターンを合成し得る分割パターンを、外接させて付加することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の外周に沿って存在するセグメントに、このセグメントの上記外周側に配置された分割パターンと組み合わせられることにより上記特定パターンを合成し得る分割パターンを、外接させて付加するので、上記セグメントの上記外周側に特定パターンが完全な態様で配置されることになる。したがって、上記情報記録領域の外周に沿って存在するセグメントについても、セグメントの四隅に合成される4つの特定パターンの位置を基準として、上記セグメント内の各枡目の位置を正確に求めることが可能となる。したがって、読み取り精度が高まる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記各セグメントに、割り当てられた単位情報の順番を表す番号情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記各セグメントに、割り当てられた単位情報の順番を表す番号情報を記録するので、記録された情報を読み取るときに、この番号情報に基づいて、記録段階で単位情報を記録した順序と同じ順序で各セグメントから単位情報を読み取ることが可能となる。したがって、元のデジタル情報が容易に復元される。結果として、記録段階で情報記録領域を自由な形状に設定することが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記各セグメントに、そのセグメントに隣接するセグメントが存在するか否かを表す隣接情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記各セグメントに、そのセグメントに隣接するセグメントが存在するか否かを表す隣接情報を記録するので、記録された情報を読み取るときに、この隣接情報に基づいて、一のセグメントに隣接するセグメントがあるかないかを確かめながら、順次各セグメントを読み取ることが可能となる。結果として、記録段階で情報記録領域を自由な形状に設定することが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、セグメントを並べるべき方向および数を含む所定の配列ルールに従って、上記セグメントを配列することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、セグメントを並べるべき方向および数を含む所定の配列ルールに従って、上記セグメントを配列するので、記録された情報を読み取るときに、この配列ルールに基づいて、記録段階で単位情報を記録した順序と同じ順序で各セグメントから単位情報を読み取ることが可能となる。したがって、元のデジタル情報が容易に復元される。
ここで、上記配列ルールとは、各セグメント毎に並べ方を指示するものではなく、セグメントを並べるべき方向および数を含む上位概念を指示するものである。例えば、情報記録領域を正方形に設定するとか、セグメントを横方向に10個並べたら、その行に隣接する次の行に並べるなどのルールが考えられる。
また、この発明のデジタル情報解読方法は、上記デジタル情報記録方法により記録された記録情報を読み取るデジタル情報解読方法であって、上記記録面における上記情報記録領域の隅に相当する部分を認識する工程と、上記情報記録領域の上記隅に存在する矩形ブロックの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターンを認識する工程と、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定される一のセグメント内で、上記特定パターンが占める枡目以外の枡目が表すパターンを復号してこのセグメントに割り当てられた単位情報を読み取る工程と、上記一の矩形ブロックに隣接する矩形ブロックの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターンを検出する工程と、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定される上記一のセグメントに隣接するセグメント内で、上記特定パターンが占める枡目以外の枡目に付されたパターンを復号してこのセグメントに割り当てられた上記単位情報を読み取る工程と、上記一のセグメントから読み取った単位情報と、上記一のセグメントに隣接するセグメントから読み取った単位情報とを連結する工程とを有することを特徴としている。
この発明のデジタル情報解読方法によれば、上記デジタル情報記録方法により記録された記録情報が簡単に復元される。特に、セグメント単位で読み取りを行うので、情報記録領域全体を読み取って復号する場合に比して読み取り精度が高まる。また、セグメント単位で読み取りを行うので、解読時に画像情報を記憶するのに必要なメモリ容量が1セグメント分で済むという利点がある。1つのセグメントについての解読が終われば、その結果を出力し、画像メモリには次のセグメントについての画像情報を記憶(上書き)させれば良いからである。逆に言えば、画像メモリ容量が一定であっても、広面積の情報記録領域に記録されたデジタル情報を読み取ることができる。なお、情報記録領域全体を一度に画像情報として読み取る場合は、情報記録領域全体の画像情報に相当するメモリ容量を要する。
また、読取誤りの検出/誤り訂正などの処理をセグメント単位で行なうことが可能である。この場合、セグメント単位でチェックサムやCRCといった余剰ビットを付加する。また、バースト誤りを分散させるためのシャッフリング処理をセグメント単位で行うことが可能である。
また、読取誤りが発生した場合、対象セグメントのみを再度読み取る処理が可能である。また、再読み取りの際にはCCDカメラの倍率を上げるといった読取装置における処理や、読取画像の解析手法としてより高精度なものを用いるといった解析時の処理において、最初に行った手法と別の手法を用いた再読み取りを行うことができる。この際、最初に行う読み取りには高速処理の期待できるものを用い、再読み取りには、時間がかかるがより高精度なものを用いると、全体として高速かつ確実な読み取りを行うことができる。
また、この発明のデジタル情報解読装置は、上記デジタル情報記録方法によって記録された記録情報を読み取るデジタル情報解読装置であって、上記記録面に対向して、上記記録面に記録された2次元パターンのうち対向した部分を表す画像情報を出力する読取手段と、上記記録面と読取手段とを相対的に移動させて、この読取手段が出力する画像情報に基づいて、上記記録面における上記情報記録領域の隅に相当する部分を認識した後、上記情報記録領域の上記隅に存在する矩形ブロックの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターンを認識し、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定される一のセグメント内で、上記特定パターンが占める枡目以外の枡目が表すパターンを復号してこのセグメントに割り当てられた単位情報を読み取り、続いて、上記読取手段を走査して上記記録面における読取範囲を変更して、上記一の矩形ブロックに隣接する矩形ブロックの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターンを検出し、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定される上記一のセグメントに隣接するセグメント内で、上記特定パターンが占める枡目以外の枡目に付されたパターンを復号してこのセグメントに割り当てられた上記単位情報を読み取り、上記一のセグメントから読み取った単位情報と、上記一のセグメントに隣接するセグメントから読み取った単位情報とを連結する制御を行う制御手段を備えたことを特徴としている。
この発明のデジタル情報解読装置によれば、上記デジタル情報記録方法を実施することができ、したがって、上記デジタル情報記録方法の作用効果を奏することができる。
また、一実施形態のデジタル情報解読装置は、上記読取手段は、上記記録面に記録された2次元パターンを上記画像情報に変換する倍率を設定し得る光学系を備え、上記制御手段は、上記記録面における上記情報記録領域の隅に相当する部分を認識する工程と、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定されるセグメントから単位情報を読み取る工程との間で、少なくとも上記光学系の倍率を変更する制御を行うことを特徴としている。
この一実施形態の情報解読装置では、制御手段は、記録面における情報記録領域の隅に相当する部分を認識する工程と、上記情報記録領域のうち上記4つの特定パターンによって規定されるセグメントから単位情報を読み取る工程との間で、少なくとも上記光学系の倍率を変更する制御を行うので、光学的読取手段が取り込む画像情報の精度を上記各工程に適したレベルに設定することが可能となる。
すなわち、前者の工程では、情報記録領域全体が視野に入る程度の荒い精度で画像情報を取り込み、情報記録領域の隅に相当する部分を認識し、後者の工程では、さらに光学系の倍率を上げてセグメント内の各枡目に付されたマークを検出できる画像精度に調整し、上記4つの特定パターンによって規定されるセグメントから単位情報を読み取るといった処理が可能となる。この結果、読み取りが高速に行われるとともに、さらに読み取り精度が高まる。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた略矩形状の情報記録領域に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、上記記録面内での位置を示すように特定の形状に連結した複数の枡目に上記マークを所定のパターンで付してなる特定パターンを、上記情報記録領域内に行方向および列方向に所定の間隔を持たせて複数平行に配置するとともに、行方向または列方向に並ぶ上記特定パターンを、上記情報記録領域の少なくとも1辺に関して上記情報記録領域の外部にはみ出す位置に配置することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、行方向または列方向に並ぶ特定パターンを、情報記録領域の少なくとも1辺に関して外部にはみ出す位置に配置しているので、読み取り時に、上記はみ出す位置に配置した特定パターンを見つけることが容易になる。例えば、上記情報記録領域の上記辺に沿って探索を行い、「黒」情報が得られたならば、その「黒」を特定パターンの一部と考えて、特定パターンを認識することができる。したがって、上記はみ出す位置に配置した特定パターンが容易に認識される。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域の辺と上記はみ出した特定パターンの対向する辺とに囲まれた湾状領域に、上記特定パターンに対する外接線に沿って延びる枠パターンを、上記はみ出した特定パターンの対向する辺に対して1枡目分の隙間をもって配置することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の辺と上記はみ出した特定パターンの対向する辺とに囲まれた湾状領域に、上記特定パターンに対する外接線に沿って延びる枠パターンを配置しているので、読み取り時に、記録面における上記情報記録領域の範囲が容易に検出される。また、上記枠パターンを、上記はみ出した特定パターンの対向する辺に対して少なくとも1枡目分の隙間をもって配置しているので、上記はみ出した特定パターンの探索が妨げられることはない。例えば、上記枠パターンと特定パターンのはみ出した部分が「黒」であるものとすると、情報記録領域の上記辺に沿って探索を行ったとき、黒情報と白情報が切り替わるたびに、特定パターン、1枡目分の隙間、枠パターン、1枡目分の隙間、特定パターンが順に現れたと考えることができる。したがって、上記はみ出す位置に配置した特定パターンの探索が妨げられることはなく、特定パターンの探索は容易に行われる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記湾状領域に、上記情報記録領域の上記辺に沿った方向に関して、交互に異なるマークが付されたクロッキングパターンを配置することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記湾状領域に、上記情報記録領域の上記辺に沿った方向に関して、交互に異なるマークが付されたクロッキングパターンを配置するので、読み取り時に、上記情報記録領域の上記辺からはみ出した一の特定パターンから別の特定パターンを見つけることが容易になる。また、上記クロッキングパターンに基づいて、上記情報記録領域内の各枡目の位置を正確に求めることが可能となる。
なお、一般に、ある特定パターンの位置に基づいて同じ行または列に属する隣の特定パターンを見つけるためには、特定パターンから桝目の大きさに関する情報を得て、既知の桝目分だけ離れた位置に隣の特定パターンが存在することを推測する手法が取られる。しかしながら、この手法では、離れた位置を予測するため、探索に伴ってずれが生じる可能性がある。これに対して、クロッキングパターンをたどって順次補正を行いながら隣の特定パターンを探せば、隣の特定パターンの予想位置を正確に設定することができ、隣の特定パターンを容易に見つけることができる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域の外周に沿って存在するセグメントのうち上記情報記録領域の隅に存在するセグメントとそれ以外のセグメントとで、上記情報記録領域の辺と上記付加された分割パターンとに囲まれた湾状領域におけるパターンの有無を変更し、または上記湾状領域に互いに異なるパターンを配置することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の外周に沿って存在するセグメントのうち上記情報記録領域の隅に存在するセグメントとそれ以外のセグメントとで、上記情報記録領域の辺と上記付加された分割パターンとに囲まれた湾状領域におけるパターンの有無を変更し、または上記湾状領域に互いに異なるパターンを配置するので、読み取り時に、上記情報記録領域の隅に存在するセグメントが簡単に認識される。
なお、セグメントが情報記録領域の隅に存在するか否かは、記録されたデジタル情報をセグメント単位で読み出す場合に、終了条件の判定基準となり得る。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、上記情報記録領域の一部に、人間がそのまま理解し得る文字または記号を上記枡目単位で表現することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、情報記録領域の一部に、人間がそのまま理解し得る文字または記号を上記枡目単位で表現するので、1つの情報記録領域に、人間が直接理解し得る情報と直接には理解し得ないデジタル情報とが同時に記録され得る。また、読み取り時に、同一の解読装置を用いて、両方の情報を読み取り、各情報がどのようなパターンで構成されているかを知ることができる。
なお、人間がそのまま理解し得る文字または記号としては、例えば、スキャナへの挿入方向の指示のような読み取り時に必要な情報、記録されたデジタル情報の内容に関する情報(ファイル名など)などが考えられる。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、上記記録面内での位置を示すように特定の形状に連結した複数の枡目に上記マークを所定のパターンで付してなる特定パターンを、上記情報記録領域内に配置するとともに、上記情報記録領域のうち上記特定パターンを配置した領域を除く領域の一部に、人間が視覚で認識可能な文字または記号を上記枡目単位で表現することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、情報記録領域に特定パターンを配置しているので、読み取り時に、この特定パターンに基づいて情報記録領域内の各枡目の位置を正確に求めることができ、読み取り精度を高めることが可能となる。しかも、上記と同様に、1つの情報記録領域に、人間が直接理解し得る情報と直接には理解し得ないデジタル情報とが同時に記録され得る。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面内に設けられた情報記録領域に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、上記記録面内での位置を示すように特定の形状に連結した複数の枡目に上記マークを所定のパターンで付してなる特定パターンを、上記情報記録領域内に配置するとともに、上記情報記録領域のうち上記特定パターンを配置した領域を除く領域の一部に、上記記録面の上下左右および表裏を表すパターンを配置することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域のうち上記特定パターンを配置した領域を除く領域の一部に、上記記録面の上下左右を表すパターンを配置するので、読み取り時に、この特定パターンに基づいて情報記録領域内の各枡目の位置を正確に求めることができ、読み取り精度を高めることが可能となる。しかも、上記情報記録領域のうち上記特定パターンを配置した領域を除く領域の一部に、記録面の上下左右および表裏を表すパターンを配置するので、読み取り時に、記録面の上下左右および表裏が容易に判別される。
例えばCCDカメラなどを用いて記録面を光学的に読み取る場合に、どのような方向から読み込んだとしても、上記パターンに基づいて解読装置の処理によって記録面の上下左右および表裏が判別される。特に、上記上下左右および表裏を表すパターンを人間がそのまま理解し得るものとすると、人間が目視により記録面の上下左右および表裏を判別することが可能となる。したがって、紙送り式のスキャナを用いて記録面を光学的に読み取る場合であっても、正しい向きでスキャナに挿入することができる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域の辺と上記付加された分割パターンとに囲まれた湾状領域に、上記セグメントの配列状態、上記情報記録領域に記録されたデジタル情報のサイズ、上記セグメント内に記録された単位情報についての符号化方式および誤り訂正方式のうちの少なくとも一つを表すインデックス情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の辺と上記付加された分割パターンとに囲まれた湾状領域にインデックス情報を記録するので、読み取り時に、セグメントに記録された情報を読み取るのに先立って上記インデックス情報を読み取ることにより、効率的な読み取りが可能となる。例えば、読み取り時に、インデックス情報として情報記録領域に記録されたデジタルのサイズを事前に知ることにより、解読に必要なメモリバッファを確保することができる。また、セグメントの配列状態、例えばセグメントの数、縦×横の個数を事前に知ることにより、効率的な読み取りが可能となる。
また、データに付加された誤り訂正方式(コード)やインターリーブ方式を記録担体毎に記録できるので、記録担体毎に異なる誤り訂正方式やインターリーブ方式を用いたとしても、読み取り時に混乱が生じない。上記記録されたインデックス情報によって、誤り訂正方式(コード)やインターリーブ方式を事前に知ることができるからである。
また、上記インデックス情報を上記湾状領域に記録し、情報記録領域のセグメント内に記録しないので、上記インデックス情報を記録することによって上記情報記録領域に記録し得る情報量が低下することはない。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域内の特定の位置に存在するセグメントに、上記セグメントの配列状態、上記情報記録領域に記録されたデジタル情報のサイズ、上記セグメント内に記録された単位情報についての符号化方式および誤り訂正方式のうちの少なくとも一つを表すインデックス情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域内の特定の位置に存在するセグメントに、セグメントの配列状態等を表すインデックス情報を記録するので、読み取り時に、そのセグメントを最初に読み取ることにより、他の位置に存在するセグメントの配列状態等を知ることができる。したがって、効率的な読み取りが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域を略矩形状に設定し、上記情報記録領域の四隅に存在するセグメントに上記インデックス情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の四隅に存在するセグメントに上記インデックス情報を記録する。情報記録領域の四隅に存在するセグメントは他の位置に存在するセグメントよりも容易に見つけることができるものであるから、上記インデックス情報は上記他の位置に存在するセグメントについての読み取りに先立って容易に取得される。したがって、効率的な読み取りが可能となる。
また、別の局面では、この発明のデジタル情報記録方法は、平面状の記録面に、ビットに対応する行列状の桝目を仮想的に設定し、上記各桝目に記録すべきデジタル情報に応じた光学的に認識可能なマークを付与して、上記記録すべきデジタル情報を2次元パターンとして記録するデジタル情報記録方法であって、複数連結した枡目からなる矩形の小ブロックを設定し、上記記録面上に上記小ブロックを複数隙間なく配列して、上記2次元パターンを表現すべき情報記録領域を設定し、上記記録すべきデジタル情報を上記小ブロックの数に応じて分割して単位情報を作成し、この単位情報をそれぞれ上記小ブロックに対応させて割り当てて記録するデジタル情報記録方法において、上記情報記録領域内の特定の位置に存在する小ブロックに、上記小ブロックの配列状態、上記情報記録領域に記録されたデジタル情報のサイズ、上記小ブロック内に記録された単位情報についての符号化方式および誤り訂正方式のうちの少なくとも一つを表すインデックス情報を記録することを特徴としている。
この発明のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域内の特定の位置に存在する小ブロックに、小ブロックの配列状態等を表すインデックス情報を記録するので、読み取り時に、その小ブロックを最初に読み取ることにより、他の位置に存在する小ブロックの配列状態等を知ることができる。したがって、効率的な読み取りが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、上記情報記録領域を略矩形状に設定し、上記情報記録領域の四隅に存在する小ブロックに上記インデックス情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、上記情報記録領域の四隅に存在する小ブロックに上記インデックス情報を記録する。情報記録領域の四隅に存在する小ブロックは他の位置に存在する小ブロックよりも容易に見つけることができるものであるから、上記インデックス情報は上記他の位置に存在する小ブロックについての読み取りに先立って容易に取得される。したがって、効率的な読み取りが可能となる。
また、一実施形態のデジタル情報記録方法は、複数の上記湾状領域、上記セグメントまたは上記小ブロックにそれぞれ同一のインデックス情報を記録することを特徴としている。
この一実施形態のデジタル情報記録方法では、複数の上記湾状領域、上記セグメントまたは上記小ブロックにそれぞれ同一のインデックス情報を記録するので、読み取り時に、1箇所に記録されたインデックス情報を読み誤っても、別の箇所から正しいインデックス情報を読み出すことが可能となる。
例えば、情報記録領域の四隅に存在する4つのセグメントに同一のインデックス情報が記録されている場合を考える。通常は左上隅のセグメントのインデックス情報を使用するが、左上隅の特定パターンが潰れるなどして左上隅のセグメントを認識できない場合がある。そのような場合には、右上隅のセグメントを読み出すことによりインデックス情報を得ることができる。また、右上隅のセグメントから得たインデックス情報より横方向に並べられたセグメントの個数を得ることができれば、左上隅の特定パターンを補完して、左上隅のセグメントを改めて読み出すこともできる。
以下、この発明を実施例により詳細に説明する。
(1)デジタル情報記録担体の基本構成について
図1はこの発明を利用する分野のデジタル情報記録担体の態様を示し、図2はこの記録担体を模式的に示している。
このデジタル情報記録担体の記録面20には、デジタル情報のビットに対応する行列状の正方形の桝目が仮想的に設定され、上記各桝目には、光学的に認識可能なマークとして“0”を表す白(明)または“1”を表す黒(暗)が付されている(なお、黒は便宜上ハッチングを施して表している。)。これにより、記録面20にデジタル情報が2次元パターンとして記録されている。
上記記録面20内で、実際に情報が記録されている情報記録領域23内には、本来の記録情報を表す領域21の隙間に、特定の形状に連結した複数の枡目に特定のパターンで白黒を付してなる特定パターン22が複数配置されている。この例では、矩形の情報記録領域23内に、縦4×横3の合計12個の特定パターン22が縦横一定間隔で行列状に配置されている。図2によって良く分かるように、特定パターン22の配列で最上段、最下段、左列、右列に属する10個の特定パターン22は情報記録領域23の外周に沿って配置され、残りの2個の特定パターン22は情報記録領域23の外周から離間した内部(中央部近傍)に配置されている。なお、この例では、特定パターン22として図7に示す特定パターン22Bが採用されている(特定パターン自体については後に詳述する)。
このように、情報記録領域23の外周から離間した内部に特定パターン22が配置されている場合、記録されているデジタル情報を読み取るとき、記録面20に多少歪みがあったとしても、デジタル情報を正確に読み取ることができる。
例えば、図3(b)に示すように、従来の如く情報記録領域23の外周に沿ってクロッキング情報31を設けただけでは、記録面20に歪みが生じた場合、情報記録領域23の外周から離間した内部で、例えば第5行第4列目の枡目の情報を読み取る予定が、誤って第6行第5列目の枡目の情報を読み取ることがある。これに対して、上述の如く情報記録領域23の外周から離間した内部に特定パターン22が配置されている場合、図3(a)に示すように、記録面20に歪みが生じたとしても、その歪みに応じて、特定パターン22が例えば本来の位置53から位置54へ移動する。したがって、ある桝目(本来は位置55に存在する)の情報を読み出す場合に、近傍の特定パターン22の移動量51(図中、矢印で示す)に基づいて、その桝目の実際の位置56を知ることができる。したがって、その枡目に記録されている情報を正確に読み取ることができる。
ここで問題となるのは、読み取るべき桝目の移動量52と、その近傍の特定パターン22の移動量51との差である。この差が大きい(例えばこの差が1桝目分を超える場合)には読み取り誤りが生じてしまうが、特定パターン22,22間の間隔を狭くして、読み取るべき桝目と特定パターンとを接近させることにより、そのような読み取り誤りを低減することができる。
逆にいえば、特定パターン22の移動量に基づいて、読み取るべき桝目の位置ずれを修正できる程度に、特定パターン22,22間の間隔を狭く設定すべきである。しかし、あまりに特定パターン22,22間の間隔を狭くしすぎると、情報記録領域23に占める特定パターン22の数が多くなり過ぎて、記録できる情報量が少なくなる。したがって、その両方の観点から、特定パターン22,22間の間隔は適当な値に設定される。
この情報記録担体から例えばラインセンサやCCDカメラを用いて情報を読み取ろうとする場合、ラインセンサの両端やCCDカメラの視野の周辺部は歪みが生じやすい傾向にある。このような場合、図4に示すように、特定パターンを情報記録領域23の周辺部に高密度に配置する。つまり、読取装置の特性に応じて、比較的大きな読み取り歪みの生じやすいところに特定パターン22を高密度に配置するのである。これにより、読み取り誤りを低減することができる。
また逆に、図5に示すように、情報記録領域23の内部に特定パターン22が配置され、かつ情報記録領域23の周囲にクロッキング情報31が設けられる場合は、特定パターン22はクロッキング情報31の補完的な役割が期待されている。したがって、クロッキング情報31のみに基づく読み取りでは誤りを生じやすい部分、すなわち情報記録領域23の中央部に特定パターン22を高密度に配置するのが望ましい。
これらの場合に、特定パターン22,22間の縦方向の間隔と横方向の間隔は同じであっても異なっていても良い。
但し、情報記録領域23内で特定パターン22,22間の間隔を変える場合には、読み取りを行うとき、特定パターン22の配置を予め知っておくか、または、読み取り処理の最初の段階で知り得るようにしておく必要がある。特定パターン22の配置を読み取り処理の最初の段階で知るためには、例えば最上段の特定パターン22の配置は決まっており、最上段の特定パターン22近傍の枡目から特定パターン22の配置についての情報を読み出せるようにしておけば良い。
なお、解読装置が予め特定パターン22の配置を知っているような場合には、特定パターン22が情報記録領域23の外周に接している必要はなく、特定パターン22が格子状に並んでいる必要もない。特定パターン22を自由に配置することができる。
(2)特定パターンの好ましい例について
特定パターン22が好ましいものであるために具備すべき条件として、次の(ア)〜(オ)が挙げられる。すなわち、
(ア)情報記録領域23内で見つけることが容易な特徴(特定の白黒パターン)を持つこと、
(イ)構成する桝目の数が比較的少ないこと、
(ウ)近傍に同一又は類似のパターンが本来の記録情報として現れた場合に、その現れたパターンと重なりにくいこと、
(エ)印刷時の汚れやインクのにじみなどの影響を受けにくいこと、
(オ)見つけるためのアルゴリズムが簡単であること
である。
図6は特定パターン22の好ましい例22Aを示している。この特定パターン22Aは、白が付された2行×2列の4個の枡目からなる中央閉領域44と、その周囲を環状に取り囲む黒が付された12個の枡目からなる環状部45とで構成されている。全体として4行×4列の合計16個の桝目を含む正方形のブロックとなっている。
図7は特定パターン22の好ましい別の例22Bを示している。この特定パターン22Bは、黒が付された1個の枡目からなる中心部41と、その周囲を環状に取り囲む白が付された8個の枡目からなる第1環状部42と、さらにその周囲を環状に取り囲む黒が付された16個の枡目からなる第2環状部43とで構成されている。全体として5行×5列の合計25個の枡目を含む正方形のブロックとなっている。
図8(a)〜(g)は特定パターン22の多様な例22C〜22Iを示している。
同図(a)に示す特定パターン22Cは、黒が付された1個の枡目からなる中心部と、その周囲を環状に取り囲む白が付された8個の枡目からなる環状部とで構成されている。全体として3行×3列の合計9個の枡目を含む正方形のブロックとなっている。
また、同図(b)に示す特定パターン22Dは、5行×5列の合計25個の枡目を含む正方形のブロックであり、ブロック内の枡目には黒と白とが交互に付されて市松模様をなしている。
また、同図(c)に示す特定パターン22Eは、5行×5列の合計25個の枡目を含む正方形のブロックであり、ブロック内の対角線上の枡目に黒が付されてX字状の模様をなしている。
また、同図(d)に示す特定パターン22Fは、白が付された3行×3列の9個の枡目からなる中央閉領域と、その周囲を環状に取り囲む黒が付された16個の枡目からなる環状部とで構成されている。全体として5行×5列の合計25個の枡目を含む正方形のブロックとなっている。
また、同図(e)に示す特定パターン22Gは、同図(c)に示した特定パターン22Eにおいて、上下左右の各辺中央の枡目を除去したものである。
また、同図(f)に示す特定パターン22Hは、5行×7列の合計35個の枡目を含む正方形のブロックであり、ブロック内で黒が付された枡目がS字状の模様をなしている。
また、同図(g)に示す特定パターン22Iは、白が付された1個の枡目からなる中心部と、その周囲を環状に取り囲む黒が付された8個の枡目からなる環状部とで構成されている。全体として3行×3列の合計9個の枡目を含む正方形のブロックとなっている。
このように特定パターン22としては多様なものを採用し得るが、図6,図7に示した特定パターン22A,22Bが他の特定パターン22C〜22Iよりも好ましい。その理由を、上記各条件(ア)〜(オ)に関連して、次に説明する。
(ア)第1に、情報記録領域23中から特定パターン22A,22Bを抽出することが比較的容易であるという利点がある。図8(b)のような市松模様の特定パターン22Dは、情報記録領域23中に埋没してしまって見つけられないのに対し、特定パターン22A,22Bは例えば肉眼でもその存在が分かる。特に、特定パターン22A,22Bが格子状に配置されていることが予め分かっているような場合には、さらに容易に見つけることができる。
(イ)第2に、特定パターン22A,22Bを構成する桝目の数が特定パターン22Aでは16個、特定パターン22Bでは25個と比較的少ないという利点がある。
(ウ)第3に、特定パターン22A,22Bの近傍に同一のパターンが本来の記録情報として現れた場合に、特定パターン22A又は22Bとそのパターンとが重なりにくいという利点がある。
図9は図8(b)で示した市松模様の特定パターン22Dを用いた場合に、その近傍に同一のパターンが本来の記録情報として現れた例を示している。この特定パターン22Dの場合、縦方向に1桝目、横方向に1桝目ずれた位置に同一のパターンが出現する可能性がある。桝目の1辺の長さ1として計算すると、特定パターン22Dとその同一パターンとの最小の距離は21/2となる。
これに対して、図10は特定パターン22Aを用いた場合に、その近傍に同一のパターンが本来の記録情報として現れた例を示している。この特定パターン22Aの場合、縦または横に3桝目ずれた位置にしか同一のパターンは現れ得ない。また、図11は特定パターン22Bを用いた場合に、その近傍に同一のパターンが本来の記録情報として現れた例を示している。この特定パターン22Bの場合、縦または横に4桝目ずれた位置にしか同一のパターンは現れ得ない。このように、特定パターン22A,22Bは、その近傍に同一又は類似のパターンが本来の記録情報として現れたとしても比較的重なり方が少なく、ある程度互いに位置がずれた状態となる。このことから、特定パターン22A,22Bは、読取装置にとって本来の記録情報と見分けることが比較的容易なパターンであるということが言える。
なお、特定パターン22とこれに同一のパターンとが重なった場合の対処は、後述する解読方法の項で詳しく説明する。
(エ)第4に、特定パターン22A,22Bは、汚れやインクのにじみなどの影響を受けにくいという利点がある。
一般的に言って、紙への印刷ではインクのにじみにより黒桝目が広がり、白枡目が侵食される傾向にある。例えば図8(g)に示した特定パターン22Iでは、1個の白桝目が黒桝目に取り囲まれているが、白桝目がつぶれる傾向にある。図12に示すように、インクのにじみの影響を、黒桝目47の各辺が1.4倍に広がると仮定して計算してみると、特定パターン22Iの中央の白桝目46の面積は正常時の36%にすぎなくなる。
これに対して、特定パターン22Aでは、図13に示すように、中央閉領域(4個の白桝目)44の面積は正常時の64%を確保できる。また、特定パターン22Bでは、図14に示すように、第1環状部(8個の白枡目)42の面積は正常時の60%を確保できる。また、特定パターン22Aの場合、図15に示すように、汚れなどによって中央閉領域44を構成する4個の白桝目のうちの1個が全くつぶれてしまった(黒桝目に変わってしまった)ときでも、「黒枠に囲まれた白の閉領域」という特徴が保持されているため、この特徴を利用した読取方法を採用することによって、汚れの影響を回避することができる。
(オ)第5に、特定パターン22A,22Bは、読み取りアルゴリズムが簡単であるという利点がある。
一般的な読み取りアルゴリズムとしては、記録面から桝目の大きさを決めて切り出し、切り出した各枡目の値(この例では白か黒)を調べる方法が用いられる。したがって、特定パターン22を認識する場合も、その特定パターン22を構成する桝目を切り出し、その特定パターン22に含まれる全ての枡目の値を調べる方法が考えられる。
これに対して、桝目単位の切り出しを行なうことなしに特定パターン22を調べる方法も考えられる。例えば図7に示した特定パターン22Bの場合は、まず中心部(黒枡目)41が白枡目に囲まれた閉領域を構成しており、かつ第1環状部(白枡目)42が黒枡目に取り囲まれた閉領域を構成しているかどうかを調べることにより見つけることができる。また、図6に示した特定パターン22Aの場合は、中央閉領域44が4桝目分の面積をもっているかを調べることにより見つけることができる。いずれも読み取った部分が特定パターン22A,22Bの特徴に合致しているか否か、換言すれば特定パターンの必要条件を満たすか否かを調べるにすぎず、各枡目の値を調べるわけではない。しかしながら、実用上はこの方法で十分であり、仮に別のパターンを特定パターンと誤認識したとしても、例えば特定パターンを全て抽出した後に各特定パターンが格子状に並んでいるかなどのチェックを行なうことによって、誤認識したものを無視することができる。また、その際に誤認識の可能性が高いと思われる特定パターンに対してのみ、より高精度なチェックを行うこともできる。このように特定パターン22A,22Bは簡単なアルゴリズムによって認識することができる。
このように特定パターン22A,22Bは他の特定パターンに比して有利な点が多く、好ましいパターンであると言える。
(3)特定パターンの認識について
図16は、図7に示した特定パターン22Bを認識するための処理フローの一例を示している。
認識処理は、読取装置から読み込んだビットマップデータに対して行うものとする。
まず、情報記録領域23内で特定パターン22Bが予め定められた配置に従って配置されている場合に、ビットマップデータの中で特定パターン22Bが現れるべき位置を予測して(S61)、ビットマップデータの中で探索の基準となる位置Pを定める(S62)。基準位置Pのドットが黒であるかどうかを調べる(S63)。そのドットが黒である場合には、そのドットが中心部41を構成すると想定してステップS66へ進む。
一方、S63で基準位置Pのドットが黒でない場合は、基準位置Pから一定の範囲内で次の探索位置を決定し(S64)、再びその探索位置のドットが黒であるかどうかを調べる。但し、基準位置Pから一定の範囲内を全て探索したが、特定パターン22Bの中心部41に相当する黒ドットを見つけることができなかった場合(S65)には、探索が失敗した(S76)ものとして処理を終了する。
ステップS66では、基準位置Pのドットに対して上下左右及び斜め方向に連結している黒ドットを再帰的に探す。そして、連結された黒ドットの数が一定範囲内の数であるか否かを判断する(S67)。連結された黒ドットの数が一定個数を上回っている場合は、黒ドットの連結された領域が閉じていないか、あるいは閉じていても中心部41としては面積が大き過ぎると判断する。また、連結された黒ドットの数が一定個数に満たない場合は、中心部41ではなく単なるノイズであると判断する。これらの、連結された黒ドットの数が一定範囲内にない場合は、S64に戻って処理をやり直す。
一方、連結された黒ドットの数が一定範囲内の数である場合(S67)は、S68に進んで、黒ドットの連結された領域の幅及び高さが一定の範囲内にあるかを調べて、その領域の形状に関するチェックを行う。連結された領域の幅とは連結された領域のX座標の最大値から最小値を引いたもの、連結された領域の高さとは同じくY座標に最大値から最小値を引いたものとして表される。黒ドットの連結された領域の幅及び高さが一定の範囲内にない場合は、S64に戻って処理をやり直す。
一方、黒ドットの連結された領域の幅及び高さが一定の範囲内にある場合(S68)は、その黒ドットの連結された領域が中心部41であると判断してS69へ進む。
次に、S69では第1環状部42に関するチェックを開始する。中心部41であると判断した黒ドットの連結された領域の最底面にある黒ドット(Y座標の一番小さいもの)を1個選択する(S69)。そして、図17中に矢印で示すように、その領域41から下へ向かって探索を行い、白ドット(第1環状部41を構成する白ドットと考えられる)の次に現れる黒ドット(第2環状部42を構成する黒ドットと考えられる)を探す(S70)。白ドットの領域に入って一定距離以内に次の黒ドットが見つからなかった場合は、その白ドットの領域が特定パターン22Bの第1環状部42ではないと判断して(S71)、S64に戻って処理をやり直す。一方、白ドットの領域に入って一定距離以内に次の黒ドットが見つかった場合(S71)は、その黒ドットが特定パターン22Bの第2環状部43を構成していると考える。そして、図17中に矢印で示すように、第2環状部43と思われる領域の内周、すなわち黒ドットと白ドットとの境界に沿って左手法(左手を壁につけながら迷路の壁をたどる方法)により、一周する(S72)。一定のステップ以内で一周できなかった場合は、白ドットの領域が閉じていないか、あるいは閉じていても大き過ぎると判断する(S73)。また、左手法による一周が反時計廻りに行われた場合は、白ドットの領域が閉じているのではなく、図18に示すように、何らかの黒ドットの閉領域を探索していると考えられる(S74)。これらの場合はS64に戻って処理をやり直す。そして、上記ステップS61〜S74をすべてクリアすることによって、特定パターン22Bを認識することができる(S75)。
このように、特定パターン22Bは簡単なアルゴリズムによって認識することができる。
図19は、図6に示した特定パターン22Aを認識するための処理フローの一例を示している。
まず、情報記録領域23内で特定パターン22Aが予め定められた配置に従って配置されている場合に、ビットマップデータの中で特定パターン22Aが現れるべき位置を予測して(S41)、ビットマップデータの中で探索の基準となる位置Pを定める(S42)。基準位置Pのドットが白であるかどうかを調べる(S43)。そのドットが白である場合には、そのドットが中央閉領域44を構成すると想定してステップS46へ進む。
一方、S43で基準位置Pのドットが白でない場合は、基準位置Pから一定の範囲内で次の探索位置を決定し(S44)、再びその探索位置のドットが白であるかどうかを調べる。基準位置Pから一定の範囲内を全て探索したが、特定パターン22Aの中央閉領域44に相当する白ドットを見つけることができなかった場合(S45)には、探索が失敗した(S50)ものとして処理を終了する。
ステップS46では、基準位置Pの白ドットに対して上下左右及び斜め方向に連結している白ドットを再帰的に探す。そして、連結された白ドットの数が一定範囲内の数であるか否かを判断する(S47)。連結された白ドットの数が一定個数を上回っている場合は、白ドットの連結された領域が閉じていないか、あるいは閉じていても中央閉領域44としては面積が大き過ぎると判断する。また、連結された白ドットの数が一定個数に満たない場合は、中央閉領域44ではなく単なるノイズであると判断する。これらの、連結された白ドットの数が一定範囲内にない場合は、S44に戻って処理をやり直す。また、白ドットの連結された領域の幅及び高さが一定範囲内にあるかを調べてその領域の形状に関するチェックを行う。白ドットの連結された領域の幅及び高さが一定範囲内にない場合は、S44に戻って処理をやり直す(S48)。そして、上記ステップS41〜S48をすべてクリアすることによって、特定パターン22Aを認識することができる(S49)。
このように、特定パターン22Aは簡単なアルゴリズムによって認識することができる。
図16,図19に示した処理フローは、特定パターン22A,22Bを構成する必要条件のいくつかをチェックしているにすぎないが、実用上はほとんど問題なく特定パターン22A,22Bを認識することができる。しかも効率的である。
(4)枡目の形状について
ところで、これまで情報記録領域23を構成する桝目の形状を正方形として説明したが、桝目の形状は正方形に限られるものではない。
後述するように、記録情報を読取装置から読み取ってビットマップデータを構成してそのビットマップデータを解析するような読み取り方法を用いる場合には、1個の桝目がビットマップ上で4×4または3×3ドット程度以上の広がりを持つ必要がある。このような場合は、枡目の形状を正方形とすることによって、そのビットマップの解析にとって最も小面積の桝目を実現することができる。したがって正方形の枡目が有利である。
しかしながら、それはビットマップデータ上の話であり、例えば主走査方向200dpiのラインセンサをもつスキャナであって紙送りモータの速度を調節することにより副走査方向400dpiを実現しているようなものを用いる場合には、ビットマップ上で正方形の桝目として読み取ることができるように、記録但体上で縦対横の比率が1対2であるような長方形の桝目を用いた方が有利である。
また、枡目の形状として、例えば平行四辺形のように辺が直交しないもの、を採用することもできる。図20は、記録面20に平行四辺形を桝目として情報記録領域73を構成し、この情報記録領域73内に一定間隔で特定パターン72を配置した例を示している。特定パターン72としては図7の特定パターン22Bを一方向に変形して平行四辺形としたものを用いている。71は本来の記録情報を表す枡目を示している。
(5)記録情報のマッピングについて
図1に示したデジタル情報記録担体を例として、情報記録領域23に記録情報をマッピングする仕方を、特定パターン22の配置と関係させて説明する。
図1のデジタル情報記録担体では、情報記録領域23は仮想的に設定された横35×縦50=1750個の桝目を備えている。情報記録領域23内には、12個(横方向3個×縦方向4個)の特定パターン22,22,…が横15桝目おき、かつ縦15桝目おきに配置されている。既に述べたように、特定パターン22の配列で最上段、最下段、左列、右列に属する10個の特定パターン22は情報記録領域23の外周に沿って配置され、残りの2個の特定パターン22は情報記録領域23の外周から離間した内部(中央部近傍)に配置されている。特に、特定パターン22の配列中で四隅に存するものは情報記録領域23の四隅に配置されている。各特定パターン22は25個(横5×縦5)の桝目によって構成されているので、情報記録領域23全体の桝目1750個のうち特定パターンに用いられる桝目の数は300個である。したがって、残り1450個の桝目21が本来の記録情報を表すために用いられ、1450ビットの情報(21450通りの情報)を表すことが可能である。
図22は、図1に示した情報記録領域23の一部(上部)に相当する横35×縦20の桝目の部分23Aを示している。この情報記録領域23Aには、6個(横方向3個×縦方向2個)の特定パターン22が、横15桝目おき、かつ縦15桝目おきに配置されている。情報記録領域23Aの桝目700個のうち特定パターン22に用いられる桝目の数は150個であり、残り550個の桝目21が本来の記録情報を表すために用いられている。本来の記録情報を表す枡目21にはアドレス番地1,2,…,550(簡単のため一部の番地のみ示す)が付されている。アドレス番地は、左上隅の特定パターン22に接する第1行の左端の枡目から右へ向かって1番地から10番地、さらに最上段中央の特定パターン22を越えて11番地から20番地となっている。第2行〜第5行まで同様に番地付けがなされ、第5行の右端の特定パターンに接する枡目が100番地となっている。第6行〜第15行までは、各行左端の枡目から右へ向かって1ずつ番地が増加している。第16行から第20行までは、第1行〜第5行までと同様に、中央の特定パターン22を越えて番地付けがなされている。このようにして、行の中央に特定パターン22が配置されているときはその特定パターン22を越えて番地付けがなされている。アドレス番地1の桝目に記録情報の1番目のビット情報が対応し、ビット情報の値が“1”の場合は黒、“0”の場合には白がその桝目に付される。以下同様に記録情報が記録され、この結果、情報記録領域23Aの550個の桝目21に550ビットのデジタル情報がマッピングされ得る。
なお、図22ではビット情報の並びとして各行ごとに左から右へと並べてあるが、ビット情報をどのように桝目21にマッピングするかに関しては、この例に拘束されず自由に行うことができる。
(6)デジタル情報記録装置の構成および基本動作について
図21はこの発明を実施するためのデジタル情報記録装置の概略構成を示している。この装置は、入力手段としての入力装置82と、パターン生成手段としての情報記録装置81と、印刷手段としての印刷装置83を備えている。入力装置82は、例えばキーボード、データベースなどによって構成され、各種データを読み込むことができる。情報記録装置81は、入力部84と、データ変換部85と、出力部86と、データ変換(コード化)アルゴリズム87とを備えている。入力部84は、入力装置82からのデータを入力情報として受けとり、データ変換部85へ渡す。データ変換部85は、入力部84から受け取った入力情報を、データ変換(コード化)アルゴリズム87に基づいて、この発明の表現形式(フォーマット)に変換し、出力情報として出力部86へ渡す。
出力部86は、データ変換部85から受け取った出力情報を印刷装置83へ出力する。なお、一般的には、印刷装置83に渡される出力情報はビットイメージである。印刷装置83は、必要な印刷精度に応じて例えばドットプリンタ、レーザープリンタなどによって構成されている。
この情報記録装置は、図23に示すフローにしたがって、記録すべき各種データを記録担体の記録面20に記録することができる。
(i)まず、入力装置82が各種データを読み込み(S01)、読み込んだデータを情報記録装置81の入力部84へ渡す。
(ii)情報記録装置81では入力部84を介してデータを受けたデータ変換部85が、データ変換(コード化)アルゴリズム86に基づいて次の処理を行う。
まずデータの大きさに合わせて情報記録領域23の大きさを決定する(S02)。情報記録領域23の大きさは、記録情報と、付加される特定パターン22の数によって決まる。情報記録領域23の横幅を一定の大きさにするとか、情報記録領域23の形状を正方形にするなどの制約が加わる場合もある。なお、予め記録情報の大きさが決まっている場合には、この工程は必要ない。
情報記録領域23内の予め定められた位置に特定パターン22を配置する(S03)。この配置としては、例えば縦10桝目おき、横15桝目おきに特定パターン22が現れるような格子状の配置を採用する。
情報記録領域23内で本来の記録情報を表す桝目21に対して、予め定められたマッピングに従ってデータのビット情報を配する(S04)。このマッピングとしては、例えば図22を用いて既に説明したようなマッピングを採用する。
(iii)そして、情報記録装置81の出力部86から渡された記録情報を、印刷装置83が記録面20に印刷する(S05)。
このように、このデジタル情報記録装置によれば、記録担体の記録面20にデジタル情報を記録することができる。
(7)特定パターンの探索と特定パターンを利用した情報の読み取りについて
図1に示したようなデジタル情報記録担体に記録された記録情報を解読する方法について説明する。
記録情報は読取装置によって読み取られて、図24に示すように、記録情報に対応した白黒の画素からなるビットマップデータが得られる。なお、図24では、簡単のため図1の記録面20上の要素と対応する要素に同一の符号を用い、さらに各特定パターン22を区別するためにa00〜a44の番号を用いている。解読はこのビットマップデータに対して行うものとする。
(i)まず、特定パターンを探索する。
まず、ビットマップデータの中から情報記録領域23に相当する矩形領域を判別し、その四隅を調べる。この例では、四隅に特定パターンa00,a04,a40,a44が配置されているため、その四隅の特定パターンa00,a04,a40,a44を検出する。
各特定パターン22は、図7に示した特定パターン22Bであって横5×縦5の桝目によって構成されていることが予め分かっているため、四隅の特定パターンa00,a04,a40,a44を分析することにより情報記録領域23に仮想的に設定された桝目のおよその大きさを知ることができる。
続いて、情報記録領域23の四辺に沿って配置された特定パターン22を探索する。情報記録領域23の上辺に沿った特定パターン22の探索を例にとると、まず左上隅の特定パターンa00の隣の特定パターンa01を探し、順次右へ向かってa02,a03と探していく。例えば特定パターンa01を探す場合、情報記録領域23内に特定パターンが横15桝目ピッチで現れることが予め分かっているため、a00からa04の方向に向かって15桝目分進んだ位置に特定パターンa01が現れることが予想される。そこで、その予想位置近傍を調べて、特定パターン22と一致する形状(パターン)を探す。この操作を繰り返すことにより、情報記録領域23の上辺に沿った特定パターン22を順次見つけることができる。同様にして、情報記録領域23の他の三辺に沿った特定パターン22も順次見つけることができる。
情報記録領域23の四辺に隣接していない中央部近傍の特定パターンa11〜a13,a21〜a23,a31〜a33は、情報記録領域23内に特定パターンが格子状に並んでいることを利用して位置を予想し、予想位置近傍を調べて、特定パターンと一致する形状を探すことによって見つけることができる。
ここで、中央部近傍の特定パターンa11〜a13,a21〜a23,a31〜a33を探索する方法として次の2通りの方法が考えられる。
第1の探索法は、図25に示すように、左右の対応する特定パターン22同士を結ぶ直線と上下の対応する特定パターン22同士を結ぶ直線との交点を求め、この交点の位置から中央部近傍の特定パターン22を探す方法である。すなわち、左辺に沿った特定パターンa10,a20,a30と右辺に沿った特定パターンa14,a24,a34とを対応させて直線で結ぶとともに、上辺に沿った特定パターンa01,a02,a03と下辺に沿った特定パターンa41,a42,a43とを対応させて直線で結び、これらの直線の交点b11〜b13,b21〜b23,b31〜b33を求める。この交点b11〜b13,b21〜b23,b31〜b33付近に特定パターンa11〜a13,a21〜a23,a31〜a33が現れると予想する。そして、予想位置近傍を調べて、特定パターン22と一致する形状を探す方法である。例えば、特定パターンa12を探す場合には、a10,a14を結ぶ直線と、a02,a42を結ぶ直線との交点b12を予想位置として設定し、その位置近傍を調べて特定パターンa12を見つける。
第2の探索法は、図26に示すように、既知の隣り合う3つの特定パターン22を利用して近傍の特定パターン22の位置を予想する方法である。一般に図27に示すように、3つの座標c00,c01,c10が既知であれば、その3つの座標と平行四辺形を構成するもう1つの座標c11は、3つの座標c00,c01,c10からベクトルの合成を用いて求めることができる(ベクトルc00→c01とベクトルc00→c10を合成したものがベクトルc00→c11と等しい。)。したがって、例えば特定パターンa00,a01,a10の座標を利用して特定パターンa11の位置を予想し、その予想位置近傍を調べて、特定パターンと一致する形状を探す。この新たに得た特定パターンa11の座標と特定パターンa01,a02の座標を利用して特定パターンa12の探索を行う。このようにして、逐次的に中央部近傍の特定パターンa11〜a13,a21〜a23,a31〜a33を探すことができる。
記録面20の歪みは、図3(b)に示したように記録面20内で連続的に変化する。したがって、予想位置については、隣接する特定パターン22の位置情報を利用して近傍の特定パターンの位置を決定する第2の探索方法の方が、全体的に探索する第1の探索方法に比して精度が高いと考えられる。しかし、第2の探索法では、一旦特定パターンの位置を誤ってしまうと、その誤差が次の隣接する特定パターンの予想位置を計算する際に反映されてしまう。これに対して、第1の探索法ではそのようなことがない。結局、どちらの探索法が有利であるかは一概に言い切ることができない。
(ii)次に、探索した特定パターン22の位置(位置情報)を求める。
図28は、図7に示した特定パターン22Bを読み取って得られたビットマップデータを例示している。この特定パターン22Bの位置は中心部41の位置によって示すことができ、中心部41の位置はその重心の位置によって代表させることが望ましい。
図28のビットマップデータにおける中心部41の重心位置は、中心部41を構成する全ての黒ビットの位置を調べてそれらを平均すれば求めことができる。平均によって重心位置を求める場合、平均に用いるサンプルの数が多ければ多いほど正しい重心位置が求められる。特定パターン22Bは上下左右に対して対称な形状をしているため、第1環状部42の重心位置も中心部41の重心位置と一致するはずである。そのため、図28のビットマップデータにおいて、中心部41を構成する全ての黒ビットの位置と、第1環状部42を構成する全ての白ビットの位置とをそれぞれ平均することによって、中心部41の重心位置を精度良く求めることができる。なお、さらに第2環状部43の情報を利用することも考えられるが、第2環状部43の外側に隣接する本来の記録情報を表す桝目の値が黒の場合、第2環状部43の枡目と本来の記録情報を表す領域21との境界を見分けることが難しいため、第2環状部43の情報を利用することはあまり実用的でない。
図6に示した特定パターン22Aに関しても、中央閉領域44を構成する全ての白ビットの位置を平均することによってその重心位置を求めることができる。但し、この重心位置は、その中央閉領域44を構成する4つの桝目の真中の位置を表しており、いずれかの桝目を代表する点ではないことに注意する。
(iii)次に、本来の記録情報を表す桝目21の値を得る。
その方法を図29を用いて説明する。図29は、情報記録領域23のうち隣り合う4個の特定パターン22を含む領域(M行N列の桝目を含む領域)を模式的に示している。記録面20全体に対して図3(b)に示したような不均一な歪みが生じた場合であっても、このように隣接する4個の特定パターンに囲まれた小さな領域に対して生じる歪みはほぼ比例的な歪みに近似される。
図29において、左上(0行0列目)の特定パターン22の位置をP00、右上(0行N列目)の特定パターン22の位置をP0N、左下(M行0列目)の特定パターン22の位置をPM0、右下(M行N列目)の特定パターン22の位置をPMNとし、これら4個の特定パターン22に囲まれた領域内のm行n列目(m,nは任意の整数)の桝目の位置をPmnとする。
P
00とP
0Nとをn:(N−n)に内分した点をP
0n、P
M0とP
MNとをn:(N−n)に内分した点をP
Mn、P
00とP
M0とをm:(M−m)に内分した点をP
m0、P
0NとP
MNとをm:(M−m)に内分した点をP
mNとすると、求める桝目P
mnの位置は、P
0nとP
Mnとを結ぶ直線L1と、P
m0とP
mNとを結ぶ直線L2との交点として表される。直線L1と直線L2との交点P
mnは、直線L1をm:(M−m)に内部した点または直線L2をn:(N−n)に内分した点としても表される。上記4個の特定パターン22の位置P
00,P
0N,P
M0,P
MNを用いて、これら4個の特定パターン22に囲まれた領域内の枡目の位置P
mnを表すと、
となる。
なお、隣り合う4個の特定パターン22の位置P00,P0N,PM0,PMNから比例的に本来の記録情報を表す桝目の位置Pmnを求めるという観点からいえば、内分点に限らず、外分点を使用することも可能である。したがって、図30に示すように、目的の枡目Pmnを囲む4個の特定パターン22のうちいずれかの特定パターン(×を付したもの)が見つからない場合であっても、例えば右隣の4個の特定パターン22の組を用いて、同じく比例分割(外分)を用いた手法により目的の桝目の位置Pmnを求めることができる。
また、4個の特定パターン22として必ずしも隣り合うものを選択する必要はない。図31に示すように、隣り合う4個の特定パターンのうちいずれかの特定パターン(×を付したもの)が見つからない場合には、例えば上下に隣り合い、左右に離間した4個の特定パターン22の組を用いて、同様の比例分割処理が可能である。
さらに、この4個の特定パターンから任意の桝目の位置を求める手法は、情報記録領域が矩形である場合だけでなく、例えば平行四辺形である場合(図20)にも適用することができる。
このようにして目的の枡目の位置Pmnを求めて、求めた枡目の値を得ることができる。
(8)デジタル情報解読装置の構成および基本動作について
図32はこの発明の一実施例のデジタル情報解読装置の概略構成を示している。この装置は、読取手段としての読取装置92と、情報解読手段としての情報解読装置91と、出力手段としての出力装置93を備えている。読取装置92は、必要な読み取り精度に応じて、例えばイメージスキャナ、CCD(チヤージ・カップルド・デバイス)カメラなどによって構成され、紙などの記録面20に印刷された記録情報を読み取ることができる。
情報解読装置91は、入力部94と、データ変換部95と、出力部96と、データ変換(解読)アルゴリズム97とを備えている。入力部94は、読取装置92からのデータを入力情報として受けとり、データ変換部95へ渡す。なお、一般的には、読取装置92から入力部94に渡される入力情報はビットイメージである。データ変換部95は、入力部94から受け取った入力情報を、データ変換(解読)アルゴリズム97に基づいて解読し、出力情報として出力部96へ渡す。出力部96は、データ変換部95から受け取った出力情報を出力装置93へ出力する。出力装置93は、例えばディスプレイ、データベースなどによって構成され、読み取った情報を表示または格納する。
ここで、図23中のデータ変換(コード化)アルゴリズム87と、図32中のデータ変換(解読)アルゴリズム97とは、互いに逆の変換を行う。したがって、図23の記録装置によって記録面20に印刷された記録情報を図32の解読装置によって読み取ることができ、元のデータと同じものを得ることができる。
この情報解読装置は、図33に示すフローにしたがって、記録担体の記録面20に記録された情報を読み出すことができる。なお、ここでは、図1に示したように、情報記録領域23内に特定パターン22が一定間隔で格子状に配置され、かつ情報記録領域23の四隅に特定パターン22が配置されている記録情報を解読するものとする。
(i)まず、読取装置92が記録担体の記録面20に記録された情報を読み取り(S11)、情報解読装置91の入力部94へ渡す。
(ii)情報解読装置91では入力部94を介してデータを受けたデータ変換部95が、データ変換(解読)アルゴリズム96に基づいて次の処理を行う。
まず、情報記録領域23内の四隅に配置された特定パターン22を抽出する(S12)。
次に、四隅の特定パターン22の情報をもとに、1つの桝目の大きさを決定する(S13)。
次に、予め定められた配置情報をもとに、残りの特定パターンを抽出する(S14)。ここで、予め定められた配置情報とは、例えば縦10桝目おき、横15桝目おきに特定パターンが現われるように格子状に配置されているなどの、特定パターン22の配置についての情報である。
次に、抽出された特定パターンの位置についての情報(位置情報)をもとに、本来の記録情報を表す桝目21の位置を決める(S15)。
次に、予め定められたマッピングに従って、そのような桝目21に記録された情報を読み出す(S16)。ここで、予め定められたマッピングとは、例えば図24を用いて既に説明したような、各枡目21とビット情報と対応づけのことである。
(iii)そして、情報記録装置91の出力部96から渡された出力情報を、出力装置93が出力する(S17)。
このように、このデジタル情報解読装置によれば、記録担体の記録面20に記録されたデジタル情報を解読することができる。
(9)情報記録領域の四隅の特定パターンについて
この発明では、情報記録領域23内に特定パターン22を複数配置しているが、情報記録領域23の四隅に配置された特定パターン22はその他の特定パターンよりも重要な意味をもっている。
(i)図33の処理フローで示した情報解読方法では、S12に示した通り、情報記録領域23の四隅の特定パターン22をその他の特定パターンに先行して探索している。これは、四隅の特定パターン22がその他の特定パターンに比して見つけやすいという理由のほかに、四隅の特定パターン22をまず見つけることによって、記録面20内で情報記録領域23が占める範囲を決めることができるという理由がある。
すなわち、情報記録領域23の四隅に特定パターン22が存在することによって、読み取り時に記録面20内で情報記録領域23が占める範囲を容易に認識する(いわゆる切り出す)ことが可能である。例えば、図1の例で、情報記録領域23を構成する桝目が全て白であったとしても、四隅に特定パターン22が存在することによって、情報記録領域23が占める範囲を容易に判別することができる。情報記録領域23を構成する桝目が全て黒であったとしても同様である。なお、特定パターンが全て白の桝目で構成されているような場合は考えないものとする。これに対して、情報記録領域23の四隅に特定パターン22が存在しない場合には、情報記録領域23内の白と情報記録領域23外の白とを区別することができない。情報記録領域23の外周に沿った桝目に全て白が付されたような場合もあるからである。
(ii)図34は記録情報を構成するビットマップデータから情報記録領域23の四隅の特定パターン22を探す方法を模式的に示している。左上隅の特定パターン22を探す場合、ビットマップデータの左上隅から、斜め方向(図中に矢印で示す)にスキャンを行う。情報記録領域23の外側は白ビットで構成されているとすれば、斜め方向のスキャンで最初に黒ビットが現われるのは、左上隅の特定パターン22を構成する黒ビットである。これにより、左上隅の特定パターン22を見つけることができる。もちろん、情報記録領域23の右上隅、左下隅、右下隅の特定パターン22も、それぞれビットマップデータの右上隅、左下隅、右下隅から斜め方向にスキャンすることによって、同様に見つけることができる。
(10)セグメントについて
情報記録領域をセグメントに分割して、セグメント単位で情報を記録することが有益である場合が多い。
図35は、この発明の一実施例のデジタル情報記録方法で設定するセグメントGを示している。このセグメントGは、矩形ブロック21に特定パターン22(以下、図7に示した特定パターン22Bを意味するものとする。)を枡目単位で重ねて配置して構成されている。詳しくは、矩形ブロック21は、縦方向および横方向に特定パターン22の寸法よりも大きい寸法を持ち、縦25桝目×横25桝目=625枡目によって構成されている。特定パターン22は、縦方向および横方向にそれぞれ2分割、計4分割され、4つの分割パターン22a,22b,22c,22dとして矩形ブロック21の四隅に内接する位置に配置されている。この特定パターン22によって25桝目(左上隅で9桝目、右上隅で6桝目、左下隅で6桝目、右下隅で4桝目)が占められるため、本来記録すべきデジタル情報を記録できる枡目は600桝目となっている。なお、桝目を区切る点線および実線は仮想的なものである。また、図35では便宜上、矩形ブロック21の外部に各分割パターン22a,22b,22c,22dを補完する部分を付加して、特定パターン22を合成した態様を示している。
図36に示すように、記録面20上に上記セグメントGを複数隙間なく配列して、情報記録領域23を設定する。この例では縦3個×横3個、計9個のセグメントGを配列して情報記録領域23を構成している。各分割パターンを矩形ブロック21の四隅に配置したことから、このようにセグメントGを配列したとき、4つの矩形ブロック21(セグメントG)が頂点を突き合わせて隣接する境界点上で、隣接する矩形ブロック21に配置された分割パターンによって特定パターン22が合成される。また、記情報記録領域23の外周に沿って存在するセグメントGに、その外周側に特定パターン22を合成するように、各分割パターン22a,22b,22c,22dを補完する部分を外接させて付加している。
このように、セグメントGの四隅に特定パターン22が配置した場合、情報記録領域23の四隅に特定パターン22が配置されるので、読み取り時に、情報記録領域23の範囲を認識する容易さなどで有利となる。ただし、必ずしも特定パターン22が情報記録領域23の四隅に存在する必要はない。図37に示すように、各セグメントGの中央に特定パターン22を配置しても良い。このようにセグメントGの配列と特定パターン22の配置とが同期していれば、セグメントG単位での情報記録が可能である。
セグメント化のメリットとしては、次の点が挙げられる。
(i)処理をセグメントG単位で行なうことができるため、効率的な読取処理が可能である。また読取装置のメモリバッファ容量が少ない場合には、(読み取り→復号処理)を逐次的に繰り返すことで対応することができる。つまり、メモリバッファの節約を図ることができる。
(ii)読取誤りの検出/誤り訂正などの処理をセグメントG単位で行なうことが可能である。この場合、セグメントG単位でチェックサムやCRCといった余剰ビットを付加する。また、バースト誤りを分散させるためのシャッフリング処理をセグメントG単位で行うことが可能である。
(iii)読取誤りが発生した場合、対象セグメントGのみを再度読み取る処理が可能である。また、再読み取りの際にはCCDカメラの倍率を上げるといった読取装置における処理や、読取画像の解析手法としてより高精度なものを用いるといった解析時の処理において、最初に行った手法と別の手法を用いた再読み取りを行うことができる。この際、最初に行う読み取りには高速処理の期待できるものを用い、再読み取りには、時間がかかるがより高精度なものを用いると、全体として高速かつ確実な読み取りを行うことができる。
(iv)情報記録領域23の形状を自由に設定することができる。すなわち、セグメントGを隙間なく並べてゆく限り、縦横にそれぞれいくつのセグメントGを配列するかを自由に設定することができる。縦長、横長などの長方形状に配列可能であるのみならず、図38に示すように矩形の隅が欠けたような形状、極端には図39に示すような複雑な配列が可能である。
ここで、特に図39に示すような複雑な配列を採用する場合には、各セグメントGに上下左右に隣接するセグメントGが存在するか否かを表す隣接情報や、各セグメントGに割り当てられた単位情報の順番を表す番号情報を記録しておくと、読み取り時に便利である。例えば、図40は、図39に示すように配列した各セグメントGに、隣接情報としての「配置」と、番号情報としての「番号」を記録した様子を示している。「配置」の項目は、あるセグメントGの「右・下・左・下」に隣接するセグメントGが存在するか否かを4ビットの情報として表している。4ビットのうち上位ビットから順に「右・下・左・上」に対応し、各ビットの値1は「存在する」、値0は「存在しない」を表している。「番号」の項目は、情報記録領域23内の8つのセグメントGに割り当てられた単位情報が、元のデジタル情報においてどのような順番に並んでいるのかを示している。このようにした場合、読み取り時に、この「配置」や「番号」に基づいて、一のセグメントGに隣接するセグメントGがあるかないかを確かめながら、記録段階で単位情報を記録した順序と同じ順序で各セグメントGから単位情報を読み取ることができる。
図41は、記録すべきデジタル情報を情報記録領域23にセグメント単位で記録する仕方を示している。
この例では、情報記録領域23は縦2個×横3個のセグメントG1,…,G6によって構成されているものとする。
まず、記録すべきデジタル情報DをセグメントGの数に応じて一定の長さごとに区切って、単位情報としての単位データ112(D1,…,D6)を作成する。各単位データ112には、必要に応じて付加情報データ113を付け加える。付加情報データとしては、チェックサムやCRCなどの誤り検出あるいは誤り訂正のデータ、セグメントGの「配置」や「番号」を表すデータなどが考えられる。
次に、単位データ112に付加情報データ113を付け加えたもの(これも「単位データ」と呼ぶ。)111を、各セグメントGに対応させて割り当てて(マッピング)、そのセグメントG内で特定パターン22が占める枡目以外の枡目に記録する。
この例では、D1を含む第1の単位データ111を左上隅のセグメントG1に割り当てる。同様に、それぞれD2,…,D6を含む第2,…,第6の単位データを、セグメントG2,…,G6に割り当てる。各セグメントG内では、図43に示すように、単位データ111を矩形ブロック21のうち特定パターン22が占める枡目以外の枡目に割り当てて記録する。この例では、第1行の左から右、第2行の左から右というようにマッピングを行っている。
情報記録領域23に記録された情報を読み取る場合は、記録する場合と逆の工程によって、セグメント単位で読み取ることができる。
(11)セグメントGのレイアウトについて
記録面22にセグメントGを並べて情報記録領域23を構成する場合、セグメントGを並べるべき方向および数を含む所定の配列ルールに従って配列するのが望ましい。
ここで、上記配列ルールとは、各セグメントG毎に並べ方を指示するものではなく、セグメントGを並べるべき方向および数を含む上位概念を指示するものである。
例えば16個のセグメントG1,…,G16を配列する場合、図44(a)に示すように正方形にレイアウトする例、同図(b)に示すように横方向のセグメント数を2個として長方形にレイアウトする例、同図(c)に示すように縦方向のセグメント数を2個として縦長の長方形にレイアウトする例が考えられる。この図44(a),(b),(c)のいずれの例においても、セグメントGはまず右から左へ並んでおり、右から左へ並んだものが上から下へと並んでいる。レイアウトが変わってもこのような配置ルールが変わらないならば、既に説明したような「番号」情報をセグメントG内に持たなくとも、読み取り時に、この配列ルールに基づいて、記録段階で単位情報を記録した順序と同じ順序で各セグメントGから単位情報を読み取ることができる。したがって、元のデジタル情報を容易に復元することができる。
(12)セグメント単位での読み取りを行う解読装置について
図45は一実施例のデジタル情報解読装置の概略構成を示している。この情報解読装置は、図32に示した情報解読装置の構成要素に加えて、制御手段の一部を構成する読取装置制御装置98を備えている。この読取装置制御装置98は、データ変換部95で得た情報に基づいて、記録面20から適切な画像情報を得るために、読取装置92と記録面20との相対位置を変更する。
この情報解読装置は、図46に示すフローに従って、記録面の情報記録領域23に記録された情報をセグメント単位で読み出すことができる。
この例では、図42に示すように、情報記録領域23が縦3個×横2個のセグメントGの配列からなる場合について説明する。
(i)まず、読み取り部分を記録面20の左上部分に設定して(S21)、記録面20を読み取って画像情報を生成する(S22)。この処理は、データ変換部95からの指示に応じて読取装置制御装置98が読取装置92の動作を制御することにより行う。続いて、この画像情報中に情報記録領域23の左上隅に配置された特定パターン22があるかを調べる(S23)。もし、読み取った画像情報の中に左上隅の特定パターン22がなければ、読み取り部分を順次変更して、左上隅の特定パターン22が見つかるまで探索を続ける(S24)。読み取り部分の変更は、例えば図34に示したスキャンラインの移動に準じて変えていけばよい。
(ii)次に、見つかった左上隅の特定パターン22の情報をもとに、1つの桝目の大きさを決定する(S25)。1つの桝目の大きさがわかれば、例えば縦20桝目間隔、横20桝目間隔で特定パターン22が現れるといった予め定められた配置情報に従って、情報記録領域23の左上隅に存在するセグメントGの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターン22を見つける(S26)。すなわち、既知の特定パターン22に対して「右隣の特定パターン22」と、「下隣の特定パターン22」と、「この下隣の特定パターン22の右隣に位置する特定パターン22」とを抽出する。これにより左上隅のセグメントGを特定することができる。そして、この4つの特定パターン22が含まれるような範囲の画像情報を生成する(S27)。この処理は、データ変換部95からの指示に応じて読取装置制御装置98が読取装置92の動作を制御することにより行う。
(iii)次に、上記4つの特定パターン22によって規定される左上隅のセグメントG内で、上記特定パターン22が占める枡目以外の枡目が表すパターンを復号してこのセグメントGに割り当てられた単位情報を読み取る。
詳しくは、上記4つの特定パターン22の位置情報をもとに、セグメントG内の各桝目の位置を決める(S28)。続いて、図43に示したような予め定められたマッピングに従って、各桝目に記録された情報を読み取る(S29)。そして、読み取った1つのセグメントG分の情報を出力する(S30)。
(iv)次に、上記左上隅のセグメントGに隣接するセグメントGにおいて左上隅となる特定パターン22を設定する(S32)。この例では、左上隅のセグメントGの右上隅の特定パターン22を、右に隣接するセグメントGの左上隅の特定パターン22として設定する。そして、この隣接するセグメントGの頂点に相当する位置に配置された4つの特定パターン22を検出し(S26)、図47に示すように、画像情報の取り込み範囲I1をこの4つの特定パターン22が含まれるようにI2に変更する(S27)。この後、左上隅のセグメントGについての読み取りと同様に、このセグメントGについての読み取りを行い(S28,S29)、読み取った情報を出力する(S30)。この情報は、既に読み取った情報に対して連結される。
(v)このようにして、図47に示したように、画像情報の取り込み範囲を、I1からI2、さらにはI3というように、順次隣接する4つの特定パターン22を含む範囲に変更しながら、第1行について左から右に向かって各セグメントGについての読み取りを行う。第1行が終了したら、第2行について再び左から右に向かって各セグメントについての読み取りを行う。そして、情報記録領域23を構成する全てのセグメントGについての読み取りが完了した時点(S30)で読み取り処理を終了する。
このようにした場合、セグメントG単位で読み取りを行うので、情報記録領域23全体を読み取って復号する場合に比して読み取り精度を高めることができる。また、解読時に画像情報を記憶するのに必要なメモリ容量が1セグメントG分で済むという利点がある。1つのセグメントGについての解読が終われば、その結果を出力し、画像メモリには次のセグメントGについての画像情報を記憶(上書き)させれば良いからである。逆に言えば、画像メモリ容量が一定であっても、広面積の情報記録領域23に記録されたデジタル情報を読み取ることができる。
なお、画像情報の取り込み範囲を変更する仕方は図47に示したものに限られない。例えば図48に示すように、まず第1行分のセグメントGの画像情報I1を一度に取り込み、次に第2行分の画像情報I2、第3行分の画像情報I3というように、各行毎に画像情報を取り込んでも良い。これは、読取装置92(イメージセンサ)としてラインスキャナを使用した場合に実施できる技術である。ラインスキャナを使用した場合、情報記録領域23が縦または横にどんなに長くとも、セグメントGが並ぶ行単位での解読を行うことができる。ただし、画像情報の取り込み範囲が一部重なっていることから、セグメントGが並ぶ行単位での解読を行う場合、情報解読装置91の内部で重なった部分の画像情報を覚えておいたり、読取装置制御装置98を用いて情報記録領域23を巻き戻したりする必要がある。一の画像情報と次の画像情報とが重なった部分を調整するためである。
また、画像情報の取り込みの範囲を変更するために記録面と読取手段とを相対的に移動するに際して、必ずしもモータなどを用いた物理的な移動を行う必要はなく、鏡の角度を変えることによって画像情報の取り込み範囲を変更するといった光学的なもの、画像情報の必要な範囲だけを順次メモリに蓄えながら解読を行うといったソフトウェア的なもの、も相対的な移動の範疇に含まれる。
実際には、情報記録領域23の左上隅を見つける際に必要な画像情報の精度は、セグメントG内の各桝目の情報を読み出す際に必要な画像情報の精度ほど、精密さを要求されない。例えば、1桝目が1ドットに相当する程度の粗い画像情報であっても、情報記録領域23の左上隅を見つけることは可能である。むしろ、このような粗い画像情報に設定すれば、情報記録領域23全体を把握でき、情報記録領域23の左上隅を容易に見つけることができるという利点がある。
そこで、図50に示すように、読取装置92に、イメージセンサ133に加えて、光学系として、記録面20に記録された2次元パターンを画像情報に変換する倍率を可変できるズームアップ装置132を備えるのが望ましい。このようにした場合、図49に示すように、情報記録領域23の左上隅を見つける際の画像情報の精度と、情報記録領域23の各桝目の情報を読み出す際の画像情報の精度とを変更することができる。すなわち、情報記録領域23の左上隅を見つける際は、同図(a)に示すように情報記録領域23全体が入っている範囲Iを得る。これにより、情報記録領域23全体を把握して、情報記録領域23の左上隅を容易に見つけることができる。一方、セグメントGの頂点に配置された4つの特定パターン22を見つけ、情報記録領域23の各桝目の情報を読み出す際は、同図(b)に示すように情報記録領域23の左上隅を拡大した範囲I#を得る。これにより、特定パターン22から桝目の大きさの情報を得て、セグメントGを決定し、セグメントG内の各桝目の情報を読み出すことができる。
なお、セグメントGの頂点に配置された4つの特定パターン22を見つける工程で、ズームアップ装置132の倍率を別途設定しても良い。なぜならば、図17に示したような手法で特定パターンの探索を行う場合には、単に特定パターンの特徴を検証しているだけなので、1つ1つの桝目のマークの値を評価する場合ほどの画像情報の精度がなくとも、特定パターンを検出することが可能だからである。これにより、セグメントGの頂点に配置された4つの特定パターン22を容易に見つけることができる。
また、取り込んだ画像情報に対して、ソフトウェア的に精度を変えて調べることはよく行われる方法である。例えば、図34に示したスキャンラインを1本おきに設定して探索を行うことは、情報記録領域23の四隅を見つける際の画像情報の精度をソフトウェア的に下げたことに相当する。このようにスキャンラインを少なくすることにより、四隅を見つけるための処理時間を短縮することができる。
(13)セグメントを組み合わせた時に生じる余白部について
図42に示すように、情報記録領域23の各辺から特定パターン22がはみ出している場合は、情報記録領域23の四辺に沿って、情報記録領域23の辺と上記はみ出した特定パターン22の対向する辺とに囲まれた湾状領域(ハッチングで示す。以下「余白部」という。)27が生じる。この余白部27をどのように利用するかが問題となる。
ここで、余白部27は情報記録領域23が次のような態様で構成された場合にも生ずることを述べておく。
例えば、図51に示すように、矩形ブロック21の右下隅に、特定パターン22を分割せずそのまま内接させて配置することによりセグメントGを設定し、図52に示すように、このセグメントGを矩形状に並べて情報記録領域23を構成する。そして、情報記録領域23の上辺、左辺に沿って存在する各セグメントGの四隅に特定パターン22が配置されるように、情報記録領域23の上辺、左辺に沿って特定パターン22を外接させて付加する。読み取り時の便宜のためである。なお、図51のセグメントGには、この付加した特定パターン22を併せて示している。このようにした場合、情報記録領域23の上辺、左辺に沿って余白部27が生ずる。
また、図53に示すように、特定パターン22を2分割して、分割パターン22e,22fとして矩形ブロック21の左下隅、右下隅に配置することによりセグメントGを設定する。このセグメントGを矩形状に並べて情報記録領域23を構成する。そして、情報記録領域23の上辺に沿って存在する各セグメントGの四隅に特定パターン22が配置されるように、情報記録領域23の上辺に沿って特定パターン22を外接させて付加する。結果として、各セグメントGの頂点に接する位置に特定パターン22が配置された状態となる。このようにした場合、情報記録領域23の上辺、左辺、右辺に沿って余白部27が生ずる。
さて、特定パターン22の位置に基づいて外分点を算出する手法等を用いることにより、情報記録領域23に記録すべきデータを余白部27の桝目に入れることも可能である(既述)。但し、大部分のデータはセグメントG内に記録されるので、余白部27にデータを入れる場合には特別な処理が必要となる。
逆に、余白部27にデータを入れなかった場合には、余白部27を他の用途に用いることができる。次に、余白部27をどのように利用できるかについて説明する。
(i)静寂領域として残す。
静寂領域とは、白桝目(場合によっては黒桝目)のみによって構成される領域のことである。
余白部27に静寂領域を設定することのメリットは、情報記録領域23の辺に沿って配置された特定パターン(以下「外周特定パターン」という。)22を探索する際に、その外周特定パターンを容易に見つけることができる点にある。
既に図11を用いて、特定パターン22の近傍に同一あるいは類似のパターンが出現する危険性について述べたが、図42に示した態様(情報記録領域23の四辺に生じたもの)の余白部27に、図54に示すようにデータを入れた場合、情報記録領域23の上部中央近傍に見られるように、外周特定パターン22の近傍に同一あるいは類似のパターン22#が出現する場合がある。このため、読み取り時に、このパターン22#が本来の外周特定パターン22と誤認識されるおそれがある。先に読取方法について説明したごとく、外周特定パターン22の探索は、情報記録領域23内部に配置された特定パターン22の探索に先立って行われるため、このような誤認識の影響は大きい。
これに対して、図42に示した態様(情報記録領域23の四辺に生じたもの)の余白部27に、図55に示すように静寂領域28を設定すれば、情報記録領域23の各辺で外周特定パターン22を容易に見つけることができる。つまり、図56に示すように、外周特定パターン22に対して情報記録領域23の辺に沿って最も近傍に同一のパターン22#が出現したとしても、斜め下方に3枡目分だけ重なった位置にしか出現し得ず、このパターン22#を外周特定パターン22であると誤認識する可能性は少ない。したがって、外周特定パターン22の探索を容易に行うことができる。
また、図52に示した態様(情報記録領域23の上辺と左辺に集中的に生じたもの)の余白部27に、図58に示すように静寂領域28を設定した場合、情報記録領域23の上辺と左辺に関しては、外周特定パターン22を図55の場合よりもさらに容易に見つけることができる。この理由は、図57に示すように、外周特定パターン22に対して情報記録領域23の辺に沿って最も近傍に同一のパターン22#が出現したとしても、斜め下方に枡目が重ならない位置にしか出現し得ないからである。図11に示したように外周特定パターン22と同一のパターンが辺方向に対して並ぶことはおろか、図56に示した位置に外周特定パターン22と同一あるいは類似のパターン22#が出現することもない。したがって、情報記録領域23の上辺および左辺に限って言えば、情報記録領域23の四辺に静寂領域28を設ける場合(図55)よりもさらに容易に外周特定パターン22を探索することができる。但し、情報記録領域23の下辺および右辺においては、余白部にデータをいれた場合(図54)と同様に、誤認識の問題が起こるおそれがある。
なお、図55に示したように情報記録領域23の上下左右の辺に均等に静寂領域28を設定する方式と、図58に示したように情報記録領域23の上辺と左辺(あるいは下辺と右辺)のみに集中して静寂領域28を設定する方式との、どちらが有利であるかは、探索方法全体の中で評価されるべきであり、一概に優劣を言い切ることはできない。
(ii)クロッキング情報を入れる。
クロッキング情報は、情報記録領域23の辺に沿った方向に関して、交互に白黒が付されたクロッキングパターンとして設定する。
例えば、図59に示すように、余白部27が横27桝目×縦5桝目からなり、その下辺は情報記録領域に接しているものとする。この余白部27に、図60(a)に示すように、中央の行に黒桝目と白桝目とを交互に並べてクロッキングパターンを設定する。
既に、外周特定パターン22の探索方法として、既知の外周特定パターン22に基づいて一定の桝目分進んだ位置に次の外周特定パターン22の出現を予測する方法について説明した。この探索方法を採用する場合、余白部27にクロッキング情報を入れることにより、外周特定パターン22の探索をより容易に行うことができる。つまり、既知の特定パターン22に基づいていきなり次の特定パターン22の出現位置を予測すると誤ってしまうような場合でも、クロッキングパターンをたどって誤差を修正しながら次の外周特定パターン22を探せば、正確に次の外周特定パターン22を見つけることができる。
また、情報記録領域23が大容量データを含む場合、情報記録領域23の中央近傍の情報を読み出すときは、情報記録領域23の周辺のクロッキング情報を用いた読み取りよりも特定パターン22を用いた読み取りの方が歪みに強いことを既に述べたが、情報記録領域23の周辺近傍部分の読み取りに関しては、クロッキング情報を用いた方が有利である。したがって、特定パターン22とクロッキング情報とを併用することにより、より高精度な読み取りを行うことができる。
なお、図60(b)に示すように、クロッキングパターンの位置を、余白部27の中央の行ではなく、余白部27の端に沿った位置としても良い。また、クロッキングパターンの大きさや形状も、1桝目を単位とする方式に限られるものではなく、複数の桝目を単位とする方式も考えられる。例えば図60(c)に示すように、情報記録領域23の辺に垂直な方向に複数の枡目を連結してなるバーによってクロッキングパターンを構成しても良い。
(iii)枠情報を入れる。
枠情報は、図62に示すように、情報記録領域23の辺からはみ出した外周特定パターン22に対する外接線(図示せず)に沿って延びる枠パターン29Aとして設定する。枠パターン29Aは、この例では黒枡目が連結した棒状のものとし、外周特定パターン22の対向する辺に対して1枡目分の隙間をもって配置する。
このようにした場合、読み取り時に、記録面における情報記録領域23の範囲を容易に検出することができる。また、上記枠パターン23を、外周特定パターン22の対向する辺に対して1枡目分の隙間をもって配置しているので、外周特定パターン22の探索が妨げられることはない。すなわち、情報記録領域23の辺に沿って探索を行ったとき、黒と白とが切り替わるたびに、外周特定パターン22、1枡目分の隙間、枠パターン29A、1枡目分の隙間、外周特定パターン22が順に現れたと考えることができ、外周特定パターン22を容易に見つけることができる。これに対して、図61に示すように、枠パターン29を外周特定パターン22に連結してしまうと、そのような利点は無くなる。
なお、図60(b)に示したクロッキングパターンは、外周特定パターン22の外接線に沿っている(接している)ので、枠パターンとして有効である。
(iv)隅の特定パターンあるいは隅のセグメントであるか否かを表す情報を入れる。
情報記録領域23の四隅に配置された特定パターン22を探索する場合、図63(a)に示すように別の外周特定パターン22を隅の特定パターン22であると誤認識したり、図63(b)に示すように類似のパターン22#を隅の特定パターン22であると誤認識したり、さらには図63(c)に示すように情報記録領域23外の汚れ22Xなどを隅の特定パターン22であると誤認識したりすることがある。このような誤認識を防ぐために、余白部に、四隅の特定パターン22と他の外周特定パターン22とを区別する、あるいは四隅のセグメントと他のセグメントとを区別する情報を記録することは有効な対策である。
例えば、図62の実施例を変形して、図64に示すように、四隅のセグメントGとそれ以外のセグメントGとで、余白部27におけるパターン29Aの有無を変える手段が考えられる。これによって、読み取り時に、隅のセグメントGあるいは隅の特定パターン22であるか否かを容易に知ることができる。すなわち、外周特定パターン22の探索において、まず四隅の特定パターン22を見つけてから、四隅の特定パターン22に挟まれた外周特定パターン22を探す方法について既に説明したが、四隅の特定パターン22のうちの1つをまず見つけて、外周特定パターン22を順次探索しながら別の隅の特定パターン22まで至る方法が考えられる。このような場合には、四隅のセグメントを他のセグメントと区別することによって、四隅の特定パターン22に至ったことを容易に知ることができる。なお、簡単のため、図64では情報記録領域23内に記録された本来のデータを省略している。
同様に、図47や図48に示したような、画像情報の取り込みの範囲を変更する場合にも、取り込み範囲が四隅のセグメント(図47)や最下段の行(図48)に至ったことを容易に知ることができる。
もちろん、図64のような枠パターン29Aを用いた方法でなくとも良い。四隅のセグメントGとそれ以外のセグメントGとで、余白部27のパターンを明確に区別できるならば、余白部27に設定する情報は何でも良い。
(v)インデックス情報を入れる。
インデックス情報とは、セグメントの数(縦×横あるいは総数)、情報記録領域に記録されたデジタルデータのサイズ、データの変調方式、チェックサム、誤り訂正方式、データが使用可能なアプリケーション種別など、情報記録領域に記録されたデータを実際に読み出す前に知っていれば便利な情報をいう。これらの情報を余白部27に対して記録すると有利である。
インデックス情報の記録方法については、セグメント内の他の記録情報と同様に1桝目を1ビットに割り当てる記録方法によって記録することもできるし、全く別の記録方法を用いて記録することもできる。
図65は、いわゆるバーコード技術を用いて、余白部27にインデックス情報を記録した例を示している。符号化方法としてITF(インターリーブド2・オブ5)を用いている。ITFは、2本の太いバー(またはスペース)と3本の細いバー(またはスペース)とで1つの数字(十進数)を表し、1桁目の数字をバーのみで構成し、2桁目の数字を前述のバーに噛み合うスペースで構成することによって2桁の数字を5本のバーと5本のスペースとで表している。
1つの余白部27の大きさが27枡目×5桝目であるものとして、2桁の十進数の数字「38」をコーディングする場合を考えてみる。図66は十進数の数字0,…,9をコーディングする際のモジュール構成を表しており、1が太バー、0が細バーにそれぞれ対応する。この表を用いると、「太太細細細」と並ぶ黒バーと、この黒バーに噛み合う「太細細太細」と並ぶスペースによって「38」を表現することができる。細バーを1桝目幅、太バーを3桝目幅とすれば、1シンボルを18桝目幅で表すことが可能であり、4桝目幅のスタートシンボル、5桝目幅のストップシンボルを加えて、2桁の数字(十進数)を27桝目幅で表すことができる。なお、バーの高さは余白部27の高さである5桝目幅とする。
図67は、図65のバーコード記録データを白黒反転させて余白部27に挿入した例を示している。この例のように特定パターン22の周囲が黒桝目で構成されている場合には、バーコード記録データを白黒反転させた方が特定パターン22とバーコード記録データとを区別しやすい。なお、スタートシンボルやストップシンボルは実際のバーコードにおいて記録領域を限定するために必要な情報であるが、この例では余白部27が特定パターン22に挟まれて記録領域が限定されているため、スタートシンボルやストップシンボルを省略することができる。
このようにして、同一の記録面に、1次元コードとしてのバーコードと、各枡目にマークを付与してなる2次元パターンとを枡目単位で記録することができる。両者はともに枡目を単位としているので、印刷時に同じ印刷制御方法を適用できる。また、読み取り時に、同一の解読装置を用いて、両方の情報を解読することができる。また、取り込んだ画像情報からバーコード部分を取り出すことができれば、上記バーコード部分については1次元の走査によって解読することができる。また、上記バーコードを構成するバーとスペースは、複数の桝目を用いて構成されるので、桝目1個が1つの値を表すパターンに比して冗長度が大きい。したがって、記録面内に読取誤りが起こりにくい部分(バーコード部分)を形成することができる。また、当然ながら、ITF以外のバーコード技術を採用することもできる。
バーコード以外の別の記録方法を使用してインデックス情報を表す方法としては、図68(a)に示すようにバーの数や位置の太さによってなんらかの情報を表す、あるいは図68(b)に示すように、複数連結した黒桝目の配置によってなんらかの情報を表すなどの方法が考えられる。
バーコードやその他の方法により、セグメントG内の他の記録情報と異なる記録方式によってインデックス情報を記録する利点は、内部のデータが読めないような場合でもインデックス情報のみを読み出すことができる点にある。例えば、セグメントG内の桝目単位のレベルでは情報を読み出すことはできなくとも、インデックス情報のバー単位のレベルでは情報を読み出すことが可能な場合が考えられる。
なお、余白部27の利用について挙げた例では、桝目を単位として書き込む利用方法のみを説明してきたが、図69に示すように、桝目を単位としない記述も可能である。但し、桝目を単位として記述を行った場合には、セグメント内の記録情報を読み取る方法と同じ方法を用いて読み取りを行える利点がある。
インデックス情報は重要な情報であるため、1箇所がつぶれても大丈夫なように、複数箇所に繰り返して記録することもまた重要な技術である。
(vi)天地左右表裏識別マークあるいは可読文字等を入れる。
ラインセンサを用いたスキャナに記録担体を差し込む際に、人間が記録担体の方向を認識することが可能な天地左右表裏の識別マーク、あるいはCCDカメラなどで取り込んだ画像の方向を読取装置が認識可能な天地左右表裏の識別マークを余白部27に組み込むことができる。
図58で示したように、情報記録領域23の上辺と左辺に余白部を集中させて静寂領域28を設定した場合、上下左右の識別は人間にとっても機械にとっても容易である。
図70(a),(b)は矢印状のパターンを余白部27に記録することにより、人間に上方向を認識させる例を示している。また、図71(a)は、余白部27に文字を表すパターンを枡目単位で設けることにより、天地左右表裏を人間に認識させる例を示している。文字または記号を用いることにより、人間がそのままその内容(例えばインデックス情報の一部)を理解できるようにすることができる。図71(b)の例は、「書院(SHOIN)」という名称のワードプロセッサに組み込まれた読取装置によって解読可能であることを示している。
上記各例は、余白部27に桝目単位で情報を書き込む方法を採用しているので、セグメント内の記録情報を読み取る方法と同じ方法を用いてその情報内容を読み取ることができる。人間がそのまま理解することができる文字等の情報は、パターンマッチングなどの手法を用いることにより、機械が認識することも可能である。
なお、図72に示すように、天地左右表裏識別マークあるいは可読文字等を桝目を単位とせずに入れても良い。このようにした場合、読取装置には解読できないが桝目単位で記録するよりも多くの情報を記録することができる。一方、機密性の保持のために、人間には読めないが、読取装置には天地左右表裏を識別できるマークを記録することもできる。
(14)特定位置に存在するセグメントの利用について
同様に、情報記録領域23内の特定位置に存在するセグメントGに、天地左右表裏を識別するための情報を記録することができる。例えば左上隅のセグメントGをダミーセグメントとして用いて、図73(a)に示すように特定の模様を入れたり、図73(b)に示すように上方向を表す矢印を入れたり、図73(c)に示すように可読文字を入れたりすることが可能である。この場合、読み取り時に、ダミーセグメントのデータは無視する。但し、図74に示すように、ダミーセグメントの例えば下半分には有効なデータが入っているといった使い方は可能である。もちろん、複数のセグメントGをこのようなダミーセグメントとして用いてもよい。また、セグメントGを縦横の配列に並べるために、データが不足した場合にはパディングのためのセグメントが用いられることがあるが、そのパディング用セグメントをダミーセグメントとして用いることも可能である。
また、情報記録領域23内の特定位置に存在するセグメントGに、上に述べたようなインデックス情報を記録することもできる。
この場合、インデックス情報と一般のデータとで、同じ符号化方法および同じ読み取りアルゴリズムを用いることができる。読み取りアルゴリズムにおいて、まず四隅の特定パターン22を調べるような場合には、四隅に配置されたセグメントGにインデックス情報を記録することが有利である。なぜなら、四隅の特定パターン22を見つければ、情報記録領域23全体に配置された他の特定パターン22すべてを探索しなくとも、四隅の特定パターン22と、それらが属する各セグメントの残りの3個の特定パターン22とは簡単に見つけることができる。そのため、四隅のセグメントGは容易に確定でき、四隅のセグメントGの情報は他のセグメントに含まれる情報よりも先行して読み出すことが可能となる。例えば図75に示すように、情報記録領域23の左上隅に存在するセグメントGにインデックス情報を記録することが望ましい。
また、インデックス情報は重要であるので、冗長度を上げるために、複数のセグメントGに同一のインデックス情報を記録しても良い。例えば図76に示すように、情報記録領域23の四隅に存在するセグメントGに同一のインデックス情報を記録した場合、その四隅のセグメントGのうち、たとえ1つのセグメントGのインデックス情報を読み損なったとしても、他の3つのセグメントのインデックス情報により正しいインデックス情報を得ることができる。さらに、情報記録領域23の大きさに応じて、インデックス情報を含むセグメントの数を増減しても良い。例えば、図77に示すように、情報記録領域23の大きさがそれほど大きくない場合は、四隅に存在するセグメントGの全てにインデックス情報を記録するのではなく、左上隅と右下隅に存在するセグメントGのみにインデックス情報を記録しても良い。この場合、読み取り時に、四隅のセグメントGのうち右上隅、左下隅のセグメントGもインデックス情報を含むセグメントと考えて、左上隅、右下隅のセグメントGと同様に読み取りを行う。そして、四隅のセグメントGのうちインデックス情報として解読できる情報が含まれていた左上隅と右下隅のセグメントGの内容のみをインデックス情報とみなし、右上隅と左下隅のセグメントの内容はデータと見なす。
上記各例は、インデックス情報は単一のセグメントGに収めるものとしているが、複数のセグメントGに異なるインデックス情報を入れて、インデックス情報の情報量を増やす方法も考えられる。例えば図76に示した四隅のセグメントGにそれぞれ異なるインデックス情報を記録しても良い。また、図78(a)に示すように、左上隅のセグメントG1とその右に隣接する3つのセグメントG2,G3,G4とにまたがってインデックス情報を記録しても良いし、図78(b)に示すように、左上隅G1のセグメントG1とそれに隣接する3つのセグメントG2,G6,G7にまたがってインデックス情報を記録しても良い。
(15)一般的な情報記録領域の四隅にインデックス情報を記録する例について
記録面内に設定された情報記録領域の四隅にインデックス情報を記録する方法は、上記セグメントGを用いて情報記録領域を構成した場合に限られず、矩形状の情報記録領域について広く適用することができる。例えば、本出願人が先に特願平6−70911号で提案したような、複数連結した枡目からなる小ブロックを設定し、記録面上に上記小ブロックを複数隙間なく配列して情報記録領域を構成した場合にも適用することができる。
この記録方法では、例えば図80に示すように、縦4個×横4個、計16個の枡目が正方形に連結している小ブロックWを設定し、図79に示すように、この小ブロックWを記録面20に横方向、縦方向に行列状に並べることによって矩形の情報記録領域23を構成する(なお、図79中の小ブロックW間の境界線は仮想的なものである)。ここで、各枡目に白と黒のマーク(値)が付与されることにより小ブロックWがとりうるパターンのうち、縦方向と横方向のいずれについても同じ値が連続する個数が3個以下であるパターンのみを指定パターンとして採用する。このとき、小ブロックWのとりうる指定パターンの数は22,874通りであり、小ブロック1個を14ビット(16,384通り)の値と対応させることが可能である。そして、記録すべきデジタル情報を小ブロックWの数に応じて分割して単位情報を作成し、この単位情報をそれぞれ小ブロックWに対応させて割り当てて記録する。このような指定パターンを採用することにより、情報記録領域23全体で同じ値の桝目が連続する個数が、縦方向に関しても横方向に関しても、必ず6個以下となり、読取エラーが生ずるのを防止している。
図79に示す例では、左上隅の小ブロックに、記録面20の天地左右を一意的に決める目的、および、桝目の大きさを識別するクロッキング情報を得る目的で、市松模様をなす制御パターンW1(図81参照)を割り当てている。なお、上記指定パターンとして、この制御パターンW1と、制御パターンW1を回転させたときにできるパターン(図82参照)とを採用しないものとしておく。この制御パターンW1は白枡目と黒枡目とが交互に配置されたパターンであるから、記録面20内でこの制御パターンW1を見つけることにより、桝目の大きさを識別することができる。また、この制御パターンW1を見つけることによって記録面20の天地左右を一意的に識別することができる。
このような情報記録方法によって記録された情報を読み取る場合、図83に示すように、記録面20に記録された記録情報を読み取って画像情報に変換し(S11)、情報記録領域23の四隅のパターンを識別することによって制御パターンW1を見つける(S12,S13)。この制御パターンW1によって天地左右とクロッキング情報を得て(S14,S15)、それに基づいて情報記録領域23から小ブロックWを切り出し(S16)、小ブロック毎に記録された情報(指定パターン)を元のデータを変換する(S17)ことによって、記録情報を解読する(S18,S19)。ステップS13で制御パターンW1を見つけることができない場合は読み取りエラーであるとして処理する(S20)。このようにして、四隅の小ブロックに配置された制御パターンW1を見つけることにより、効率よく読み取りを行うことができる。
また、既に説明したようなセグメントを用いた情報記録方法の場合と同様に、情報記録領域23内の特定の位置に存在する小ブロックに、インデックス情報を記録することができる。ここでは、インデックス情報は、小ブロックの数(縦×横あるいは総数)、データサイズ、データの変調方法、チェックサム、誤り訂正手法、データが使用可能なアプリケーション種別などを含むものとする。
例えば、図79の例で右上隅に存在する小ブロックWにインデックス情報を記録しておく。このようにした場合、読み取り時に、記録面20から制御パターンW1を見つけた後、右上隅の小ブロックWを切り出し、この小ブロックWが示す指定パターンを調べることにより、上記インデックス情報を得ることができる。小ブロックWの切り出しは、端から順に行われるため、四隅の小ブロックWの切り出しは他の小ブロックの切り出しよりも先行して行うことが可能であり、情報を先行して読み出すことができる。なお、この例では、1つの小ブロックに記録できるインデックス情報は14ビット以内に限られる。
また、インデックス情報の冗長度を上げるために、複数の小ブロックに同一のインデックス情報を繰り返し記録したり、複数の小ブロックにまたがって14ビットを越えるインデックス情報を記録することもできる。
また、小ブロックWを並べて情報記録領域を構成する場合、既に説明したようなセグメントを用いた情報記録方法の場合と同様に、小ブロックWを並べるべき方向および数を含む所定の配列ルールに従って配列することができる。これにより、読み取り時に、この配列ルールに基づいて、元のデジタル情報を容易に復元することができる。