JP4383034B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速耐久性とロードノイズ性能とを向上しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の高速道路網の整備化や自動車の高出力化、静粛化に伴い、空気入りタイヤにおいても、さらなる高速耐久性能の向上やロードノイズ性能が求められている。図10には、従来の空気入りタイヤaのトレッド部の一例を示す。空気入りタイヤaは、タイヤ骨格をなすトロイド状のカーカスbと、その外側に配されたスチールコードよりなる複数枚のベルトプライc1、c2を重ねた強靱なベルト層cと、このベルト層cの外側に配されかつバンドコードをタイヤ赤道に対して実質的に平行に配列したバンド層fとが設けられている。
【0003】
バンド層fのバンドコードには、従来、ナイロン等の比較的低弾性の有機繊維コードが用いられていた。しかし、ベルト層cに対する拘束力の不足から、近年では、バンドコードにアラミドやポリエチレンナフタレート(以下、単に「PEN」ということがある。)等の高弾性の有機繊維コードを使用し、ベルト層cをより強固に締め付けすることが行われている(例えば下記特許文献1参照)。タイヤの高速走行時には、ベルト層cの両端部がタイヤ半径方向外側にせり上がるいわゆるリフティングが生じ、これが大きくなるとベルト層とトレッドゴムとが剥離する。バンド層fは、前記リフティングを抑制して高速耐久性を高める他、トレッド部の剛性を高め約250Hz付近のロードノイズ(車内騒音)を低減しうることが判明している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−144814
【0005】
また高速走行時、ベルト層cは、その中央部に比べて両端部がより大きくせり上がる。このため、バンド層fは、ベルト層cのほぼ全域を覆ういわゆるフルバンドプライf1と、ベルト層cの端部領域のみを覆うエッジバンドプライf2とを組み合わせ、ベルト層cの両端部に相対的に大きな締付力を与える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高弾性の有機繊維コードを用いて上述のようなバンド層fを形成すると、図11に誇張して示すように、エッジバンドプライf2の内端部Eの近傍を起点として、タイヤ加硫成形時に、ベルト層cがタイヤ半径方向の内方に折れ曲がる変形が生じやすい。このようなタイヤは、接地圧が不均一となり、操縦安定性の低下と偏摩耗をもたらす欠点がある。一方、バンド層fからエッジバンドプライf2を取り除き、フルバンドプライf2だけでバンド層fを構成すると、ベルト層cの両端部への締付力が低下する。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ベルト層のタイヤ半径方向外側に、高モジュラスの有機繊維からなるバンドコードを用いた1枚のフルバンドプライのみからなるバンド層を設けるとともに、少なくとも1枚のベルトプライのタイヤ軸方向の両端部に、ゴム中に短繊維を実質的にタイヤ周方向に平行に配向させた短繊維入りゴムシートを配することを基本として、ベルト層の変形などを抑制しつつ高速耐久性をより一層向上しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内部に配されしかも複数枚のベルトプライからなるベルト層とを具えた空気入りタイヤであって、
前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、バンドコードをタイヤ赤道に対して実質的に平行に配列したバンドプライからなるバンド層が配されるとともに、
前記バンドプライが、前記ベルト層の実質的全幅を覆う1枚のフルバンドプライのみからなり、しかも前記バンドコードが、2%モジュラスが10000(N/mm2 )以上の有機繊維からなる。
【0009】
また請求項1に係る発明は、前記ベルト層が、タイヤ半径方向内側に配された内のベルトプライと、その外側に配されかつ前記内のベルトプライよりも小巾の外のベルトプライとからなり
かつ前記内のベルトプライのタイヤ軸方向の両端部に、ゴム中に短繊維を実質的にタイヤ周方向に平行に配向させた短繊維入りゴムシートに配するとともに
該内のベルトプライのタイヤ半径方向外側面に隣接する外片のタイヤ軸方向の長さが10〜50mm、この外片のタイヤ軸方向の内端が前記外のベルトプライのタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ軸方向内方に5〜15mmを隔てることを特徴としている。
【0010】
また請求項2に係る発明は、前記短繊維入りゴムシートが、前記ベルトプライのタイヤ半径方向外側面に隣接する前記外片と、前記ベルトプライのタイヤ半径方向の内側面に隣接する内片と、これらを継ぐ継ぎ片とを一体に具える断面略横U字状をなすことを特徴とする
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記短繊維入りゴムシートが、前記外片と,内片とがベルトプライと10〜50mmの重なり幅を有することを特徴とする。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記フルバンドプライは、そのタイヤ軸方向の外端が、タイヤ軸方向の幅が最も広いベルトプライの外端からタイヤ軸方向内側に10mm以内の領域にあることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には本実施形態の空気入りタイヤの断面図を示し、左半分は右半分とほぼ対称に現れる。図において本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とを具えた乗用車用のラジアルタイヤが例示される。
【0014】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば75゜〜90゜の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aで構成されている。カーカスコードは、本例ではポリエステルコードが採用される。ただし、これ以外にもナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードや必要によりスチールコードをも採用できる。
【0015】
前記カーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aからのびて前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを一体に有する。また前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス8が配される。これは、ビード部4の曲げ剛性を高めるのに役立つ。ビードエーペックスゴム8のゴム硬さは、例えばJISデュロメータA硬さで65〜90度程度、より好ましくは70〜90度とすることが望ましい。また前記折返し部6bは、そのタイヤ半径方向の外端部をタイヤ軸方向最外側の総巾位置Mよりもタイヤ半径方向外側に位置させている。これにより、カーカスプライ6Aは、いわゆるハイターンアップ構造となり、タイヤの横剛性を向上し操縦安定性を高めうる。
【0016】
前記ベルト層7は、本例ではタイヤ半径方向内側に配された内のベルトプライ7Aと、その外側に配されかつ前記内のベルトプライ7Aよりも小巾の外のベルトプライ7Bとから構成される。各ベルトプライ7A、7Bは、それぞれの幅中心線をタイヤ赤道Cに揃えて配置される。また各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードをタイヤ赤道に対して例えば10〜45°の小角度で傾けて配列したプライからなり、前記ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。前記ベルトコードは、本例ではスチールコードが採用される。ただし、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維コードも必要に応じて用いうる。
【0017】
ベルト層7のタイヤ半径方向外側にはバンド層9が配置される。
該バンド層9は、バンドコードをタイヤ赤道に対して実質的に平行に配列されたバンドプライ9Aにより構成される。「タイヤ赤道に対して実質的に平行」とは、バンドコードとタイヤ赤道とのなす角度が5゜以下である場合を含む。本例のバンドプライ9Aは、ベルト層7の実質的全幅を覆う1枚のフルバンドプライのみからなる。「ベルト層の実質的全域」とは、図2に部分的に拡大して示すように、バンドプライ9Aのタイヤ軸方向の外端9eが、タイヤ軸方向の幅が最も広いベルトプライ7Aの外端7Aeからタイヤ軸方向内側に10mm以内の領域Pにあれば足りる。特に好ましくは、バンドプライ9Aの外端9eと前記ベルトプライの外端7Aeとを位置ずれさせ、前記外端9eを前記領域P内に含ませるのが良い。これにより、広い範囲でベルトプライに締付力を付与しつつバンドプライ9Aの外端9eと、ベルトプライ7Aの外端7Aeとが整一することによる大きな剛性段差が生じるのを防ぎ、この部分が損傷の起点となるのを効果的に防止できる。
【0018】
前記バンドコードには、2%モジュラスが10000(N/mm2 )以上の有機繊維コードが用いられる。具体的には、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、芳香族ポリアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)等の高モジュラスの有機繊維コードを用いるのが好適である。このような高モジュラスの有機繊維コードをバンドコードとして使用することにより、トレッド部2の剛性を高め、ベルト層7のリフティングとロードノイズの発生を抑制する。
【0019】
バンドコードの2%モジュラスが10000(N/mm2 )未満になると、1枚のフルバンドプライでは、ベルト層7への締付力が不足しやすくさらなる高速耐久性の向上が期待できない。逆にバンドコードの2%モジュラスが大きすぎても伸びが極端に小さくなり、疲労耐久性が悪化する傾向がある。このような観点より、バンドコードには、2%モジュラスが10000〜15000(N/mm2 )、さらに好ましくは11000〜13000(N/mm2 )のものを採用するのが望ましい。
【0020】
またバンド層9は、ベルト層7の両端部のみを覆う従来のエッジバンドプライを含んでいない。これにより、エッジバンドプライによってベルト層7の両端部へ過度の締付力が作用するのを防ぎ、ひいてはベルト層7のいびつな変形を防止できる。なおバンド層9を2枚のフルバンドプライで構成することも考えられるが、この場合には、トレッド重量が増すため高速耐久性に不利に働きやすく、またクラウン部の剛性を過度に高めて振動吸収性や乗り心地の悪化などを招きやすくなるため好ましくない。
【0021】
そして本発明の空気入りタイヤ1では、少なくとも1枚のベルトプライ7A及び/又は7Bのタイヤ軸方向の両端部に、短繊維入りゴムシート10を隣接させて配したことを特徴事項の一つとしている。前記短繊維入りゴムシート10は、図3に示すように、ゴムG中に短繊維Fが実質的にタイヤ周方向Aに平行に配向されて一体化している。このような短繊維入りゴムシート10は、短繊維Fとゴムとを混練し、これを例えば成形ダイを具えた押出機を用いてシート状に連続して押出すことにより、短繊維Fを押出し方向に配向させて成形される。そして、この短繊維Fの配向方向をタイヤ周方向Aに沿わせて使用される。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では短繊維入りゴムシート10は、ベルトプライ7A及び7B各々に隣接して配される。また本例の短繊維入りゴムシート10は、ベルトプライのタイヤ半径方向の内側面に隣接する内片10iと、ベルトプライのタイヤ半径方向外側面に隣接する外片10oと、これらを継ぐ継ぎ片10cとを一体に具える断面略横U字状に配されたものが例示される。これにより、ベルトプライ7A、7Bは、いずれもその外端部が短繊維入りゴムシート10でカバリングされる。
【0023】
短繊維入りゴムシート10は、タイヤ周方向Aに対する弾性率が短繊維Fによって高められる。本実施形態の短繊維入りゴムシート10は、タイヤ周方向Aの弾性率は、タイヤ軸方向Bの弾性率の15ないし25倍の異方性を持つ。ベルトプライ7A又は7Bには、このような短繊維入りゴムシート10が隣接し、とりわけ本例のようにベルトプライの外端部がカバリングされるときには、高速走行時のベルトプライの外端部のタイヤ周方向への伸びは勿論、タイヤ半径方向への変形が抑制される。また、このような短繊維入りゴムシート10は、バンドコードを用いたバンド層に比べるとベルト層7への締付力が小さいため、従来のようなベルト層7の折れ曲がり変形などを防止し成形不良などを減じ得る。このように本発明の空気入りタイヤ1では、バンド層9によるベルト層7の外端部への締付力の不足を、短繊維入りゴムシート10をベルトプライの外端部に隣接して配することにより補い、成形不良を減じつつ高速耐久性を高めることができる。
【0024】
前記短繊維入りゴムシート10は、例えば成形時の厚さt(図3に示す)が0.5〜1.5mm程度のものが好ましい。厚さtが大きすぎると、短繊維の配向度が低下しやすく、逆に小さすぎると短繊維FとゴムGとの界面からクラック等が生じやすく、耐久性に劣る傾向がある。また短繊維Fとしては、特に限定はされないが、例えばナイロン、レーヨン、ポリエステル、ビニロン、芳香族ポリアミド、セルロース樹脂、結晶性ポリブタジエン、木綿糸といった各種の有機材料からなる短繊維を用いるのが好適である。また短繊維入りゴムシート10を構成するゴム基材は、例えば天然ゴム又は/及びジエン系合成ゴムの1種又は2種以上のゴムをブレンドして適宜採用でき、前記短繊維の他、充填材、補強材、加硫促進剤など適宜の配合剤を添加しうるのは言うまでもない。
【0025】
また短繊維Fは、その平均径が例えば1μm〜0.1mm、さらに好ましくは5〜20μmであり、かつ平均長が例えば20μm〜2mm、さらに好ましくは100〜800μmであるものが好ましい。短繊維Fの平均径又は平均長が前記値よりも小であるとゴムの弾性率を高める効果が相対的に劣る一方、前記値をこえて大きくなると短繊維入りゴムシート10の耐疲労性が悪化するためである。なお本明細書において「短繊維が実質的にタイヤ周方向に配向された」とは、配合された90%以上の短繊維の長手方向の傾きがタイヤ周方向に対して0〜20°の小角度範囲内であれば足りる。
【0026】
また短繊維Fは、ゴム基材100重量部中に5〜20重量部、好ましくは10〜18重量部混入するのが望ましい。前記短繊維がゴム基材100重量部中に5重量部未満しか配合されていないと、短繊維による周方向の補強効果が得られ難くなる。逆に短繊維が20重量部を超えて配合されるとゴム基材とのなじみが悪くなりゴムとの接着性や加硫後の耐久性などが低下する傾向がある。
【0027】
また図5に模式的に示すように、短繊維入りゴムシート10とベルトプライ7A又は7Bとのタイヤ軸方向の重なり長さL1は、例えば10〜50mmとすることが望ましい。前記長さL1が小さすぎると、ベルトプライ7A又は7Bの外端部への拘束力が不足しやすく、逆に大きすぎると、ショルダ部だけを拘束するという利点が損なわれ好ましくない。特に好ましくは前記長さL1を12〜20mmとするのが望ましい。本例では、内、外のベルトプライ7A、7Bに配された短繊維入りゴムシート10A、10Bは、いずれも外片10o、内片10iの前記長さL1を10〜50mmの範囲で設定している。
【0028】
また少なくとも内のベルトプライ7Aに配された短繊維入りゴムシート10Aは、外片10oのタイヤ軸方向の内端10eが外のベルトプライ7Bのタイヤ軸方向の外端7Beよりもタイヤ軸方向内方に5〜15mmの距離L2を隔てるものを例示する。これにより、各ベルトプライと短繊維入りゴムシート10との各端部が整一するのを防ぎ、耐久性の悪化をより効果的に防止する。
【0029】
また短繊維入りゴムシート10は、図6、図7に示すように、少なくとも1枚のベルトプライ7A又は7Bに配することでも良い。さらに図8に示すように、2枚のベルトプライ7A、7Bをともに包み込むように形成することもできる。さらに図9に示すように、短繊維入りゴムシート10を横U字状ではなく、シート状として用いても良い。
【0030】
【実施例】
タイヤサイズが195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを表1に示す仕様にて試作するとともに(実施例1〜3、比較例1、2)、高速耐久性、ロードノイズ、ベルト層の変形についてテストした。なおバンドコードには、いずれもPENを用いた。なお表1中、「FB」はフルバンドプライ、「EB」はエッジバンドプライを意味している。またバンドプライの構造及び短繊維入りゴムシートの配設構造以外には実質的に同一の構造を採用した。また短繊維入りゴムシートはアラミド短繊維(平均径10μm、平均長500μm)を天然ゴムを主体とするゴム基材100重量部に対して12重量部配合し、厚さ0.7mmで成形した。テスト方法は次の通りである。
【0031】
<高速耐久性>
供試タイヤを15×6JJのリムにリム組みし、内圧260kPaを充填して3時間以上放置後、内圧を260kPaに再調整した。そして、速度40km/Hから10分づつ中断することなく試験速度を10km/Hごとに上昇させてドラム試験機で走行させるとともに、タイヤが損傷することなく走行し得た最高速度を測定した。評価は、比較例1の速度を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
【0032】
<ロードノイズ性能>
各試供タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(200kPa)にて国産FF乗用車(排気量2000cm3 )の全輪に装着し、スムース路面を速度50km/hにて走行させ、運転席左耳許位置にて1/3オクターブの250Hzバンドの騒音レベル(dB)を測定し、比較例1を100とした指数で表示している。数値が大きいほどロードノイズが小さく良好であることを示す。
【0033】
<ベルト層の変形>
前記加硫成形後、タイヤを解体し、ベルト層の変形を調べた。
テスト結果などを表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004383034
【0035】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて高速耐久性とロードノイズ性能とをほぼ同程度まで向上しており、しかもベルト層の変形は生じていないことも確認できた。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤは、高弾性の有機繊維コードからなる1枚のフルバンドプライと、ベルトプライの外端部に隣接して配された短繊維入りゴムシートとの組み合わせによって、ベルト層の折れ曲がりなどを招くことなく高速耐久性とロードノイズ性能とをバランス良く向上しうる。
【0037】
また請求項2記載の発明のように、短繊維入りゴムシートは、断面略横U字状をなすことにより、ベルトプライの外端部をより確実に拘束でき、さらに耐久性を向上できる。また請求項3ないし4記載の発明のように、短繊維入りゴムシートのベルトプライとの重なり幅や、その外端とベルトプライの外端の位置などを規制したときには、ベルト層の端部での損傷の発生を防止し、さらに高速耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す空気入りタイヤの断面図である。
【図2】その部分拡大図である。
【図3】短繊維入りゴムシートの一例を示す斜視図である。
【図4】ベルト層の端部の部分拡大図である。
【図5】その模式図である。
【図6】本発明の他の形態を示すベルト層の端部の部分拡大図である。
【図7】本発明の他の形態を示すベルト層の端部の部分拡大図である。
【図8】本発明の他の形態を示すベルト層の端部の部分拡大図である。
【図9】本発明の他の形態を示すベルト層の端部の部分拡大図である。
【図10】従来の空気入りタイヤのトレッド部の部分断面図である。
【図11】従来の空気入りタイヤのトレッド部の部分断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
7 ベルト層
7A 内のベルトプライ
7B 外のベルトプライ
8 ビードエーペックスゴム
9 バンド層
9A バンドプライ
10 短繊維入りゴムシート
10i 内片
10o 外片
10c 継ぎ片

Claims (4)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内部に配されしかも複数枚のベルトプライからなるベルト層とを具えた空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、バンドコードをタイヤ赤道に対して実質的に平行に配列したバンドプライからなるバンド層が配されるとともに、
    前記バンドプライが、前記ベルト層の実質的全幅を覆う1枚のフルバンドプライのみからなり、しかも前記バンドコードが、2%モジュラスが10000(N/mm2 )以上の有機繊維からなり、
    前記ベルト層は、タイヤ半径方向内側に配された内のベルトプライと、その外側に配されかつ前記内のベルトプライよりも小巾の外のベルトプライとからなり、
    かつ前記内のベルトプライのタイヤ軸方向の両端部に、ゴム中に短繊維を実質的にタイヤ周方向に平行に配向させた短繊維入りゴムシートに配するとともに、
    該内のベルトプライのタイヤ半径方向外側面に隣接する外片のタイヤ軸方向の長さが10〜50mm、この外片のタイヤ軸方向の内端が前記外のベルトプライのタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ軸方向内方に5〜15mmを隔てることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記短繊維入りゴムシートは、前記ベルトプライのタイヤ半径方向外側面に隣接する前記外片と、前記ベルトプライのタイヤ半径方向の内側面に隣接する内片と、これらを継ぐ継ぎ片とを一体に具える断面略横U字状をなすことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記短繊維入りゴムシートは、前記外片と,内片とがベルトプライと10〜50mmの重なり幅を有することを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記フルバンドプライは、そのタイヤ軸方向の外端が、タイヤ軸方向の幅が最も広いベルトプライの外端からタイヤ軸方向内側に10mm以内の領域にあることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ
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