JP4382297B2 - 難燃性パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防火性に優れたパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般住宅においては木造軸組構造の場合、その外壁面は、表面を吹き付けによって塗装された木やモルタルによって仕上げられるのが一般的である。この場合、モルタルの養生期間や塗料の乾燥期間が必要であり、そのためこの構法は湿式構法と呼ばれる。また、間柱に合板やパネルを釘付けし、その外側に窯業系サイディングボードを釘付けしたり、タイル等を横レールに引っかけるなどのプレハブ構法、ツーバイフォー構法と呼ばれる構法による住宅も一般的であり、これらの構法は乾式構法と呼ばれている。
【0003】
上記湿式構法においては、例えば、外壁面に吹き付けによる塗装を行った場合、近隣家屋への塗料液の飛散や塗料液中の有機溶剤の揮散による環境負荷の増大が問題となるばかりでなく、塗装仕上げによる外壁面は約10年で色調や表面樹脂層が劣化して外壁面の見栄えが悪くなり、そのため再塗装を必要とするという問題もある。また、レンガ、タイル等をモルタルを介して積み重ねたり、貼り付けたりする構法でもやはり、養生のため長い工期を要する点という問題がある。
【0004】
一方、乾式構法においては、例えば特開平5−209454号公報に開示されているような窯業系サイディングボードやタイル等を用いる場合、これらの単位面積当たりの重量は重く、設計の段階から大きな重量に耐えうる設計をしなければならない。特に木造軸組構造の家屋のうち、築後10年以降のいわゆる中古住宅の外壁の改装(リフォーム)を再塗装によらずに実施しようとして、窯業系サイディングボードやタイル等を用いようとした場合には、既存の外壁材や柱の設計強度を越えることになり、これらの大きな重量の窯業系サイディングボードやタイル等は使用できない場合が多い。窯業系サイディングボードや該タイル等を用いた家屋そのもののリフォームであっても、既存の外壁材や柱の設計荷重を越えないようにするための、既存外壁材の除去や柱の増強等の別工事を必要とすることが多く、リフォーム工事の施工上極めて不便である。
【0005】
また、窯業系サイディング材の施工では、通常3尺×6尺(約90cm×約180cm)板の大平面のパネルを釘打ちで固定していくため、重量物である該パネルの運搬や壁面での位置決め作業の際に施工者にかかる負担も大きい。
そのため、近年、軽量外壁材として、金属サイディング等の軽量サイディング材が開発されてきている。これは、表層を構成するアルミニウム等の金属薄板表面にエンボス状凹凸をつけ、その内層をウレタンフォーム等とした構造であり、これを釘打ちによって既存外壁面に取り付ける構法が採用されている(例えば、特開昭63−125770号公報を参照)。
【0006】
しかしながら、該アルミニウム表面の凹凸形状は光沢感が出過ぎるため外観の高級感に欠けることが多い。またアルミニウムは、その融点が660℃であるため、火災等によって外壁表面に裸火が激しく接するような場合、防火性の面で問題がある。
同じく軽量外壁材として、熱可塑性樹脂を主原料としてパネル状に成形したものが特開平7−217059号公報に開示されている。しかしながら熱可塑性樹脂系のサイディング材は防火性に乏しく、防火地域に指定された地区では外壁材として使用することができないといった問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、既存外壁材の除去や柱の増強等の別工事を必要とせず、一般住宅の外壁に釘やビスなどで容易に取り付け可能な重量で、且つ、防火性に優れるパネルを提供すること、更には耐候性に優れるパネルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の状況を鑑み、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)少なくともフェノール樹脂、水酸化アルミニウムとカオリンクレイからなる無機フィラー、及び無機繊維を含有するパネル成形体の表面に、防火塗材からなる層と、該層上に積層された、耐候性塗料から形成される塗膜よりなる積層構造を有し、該防火塗材からなる層、およびその層上に積層された該塗膜の厚みがそれぞれ10μm以上、500μm以下であることを特徴とするパネル、(2)前記水酸化アルミニウムと前記カオリンクレイとの混合比が、質量比で、1:9〜9:1であることを特徴とする(1)記載のパネル、(3)前記防火塗材からなる層が、防火成分を3wt%以上、60wt%以下含有することを特徴とする(1)または(2)記載のパネル、(4)外壁に取り付け可能な外壁材パネルであることを特徴とする(1)、(2)または(3)記載のパネル、(5)前記パネル中に、10wt%以上のフェノール樹脂と、30wt%以上の無機フィラーと、3wt%以上の無機繊維とが、少なくとも含有せしめられている(1)乃至(4)の何れか一つに記載のパネル、である。
【0009】
本発明は熱硬化性樹脂、無機フィラー及び無機繊維を含有するパネル成形体の最外表面上に防火塗材からなる層と耐久性に優れた塗料よりなる塗膜を積層させることによって優れた防火性能を発現することを見出したことに基づくものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のパネル成形体は、少なくとも熱硬化性樹脂、無機フィラー及び無機繊維を含有する。
本発明においてパネル成形体とは、少なくとも熱硬化性樹脂、無機フィラー及び無機繊維を含有する成形用樹脂組成物を成形することで得られる、表面に後述の防火塗材からなる層も塗膜も形成されていない状態の成形体を言う。また、本発明においては、該成形体の表面上に防火塗材からなる層を形成し、更に該層上に塗膜を積層して得られたものをパネルという。
【0011】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。中でもフェノール樹脂および不飽和ポリエステル樹脂は、良好な成形性を示すため好ましく、難燃性に優れているためフェノール樹脂は特に好ましい。
フェノール樹脂としては、レゾール系フェノール樹脂であっても、ノボラック系フェノール樹脂であっても良く、また、これらの樹脂に、必要に応じて重合度を高める目的で、レゾール型フェノール樹脂では酸触媒、ノボラック型フェノール樹脂では塩基性触媒を添加して用いても良い。本発明においては、常温で液状を示すレゾール系フェノール樹脂を無触媒で用いることが、成形加工が容易にでき、生産性の点から好ましい。
【0012】
本発明において、熱硬化性樹脂の含量は、パネルの耐久性および成形時の成形性の観点から10wt%以上が好ましく、また防火性の観点から60wt%以下が好ましく、さらに好ましくは15wt%以上、40wt%以下である。熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂を用いた場合は、該樹脂が防火性に優れることから含量を80wt%まで増やすことも可能である。
本発明のパネルは無機フィラーを含んでいることが必要である。無機フィラーとしては水酸化アルミニウム、カオリンクレイ、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム、ホウ酸亜鉛炭酸カルシウム、タルク、マイクロバルーン、硫化バリウム、無水ケイ酸、けい藻土、ガラスパウダー、マイカ、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、ゾノトライト、トバモライト、ワラストナイト、けい砂、石膏等が挙げられる。中でも水酸化アルミニウムおよびカオリンクレーは200〜600℃の範囲で吸熱作用を示し、パネル燃焼時に燃焼反応を阻害する効果を有することから好ましい。
【0013】
水酸化アルミニウムおよびカオリンクレーはそれぞれ単独で用いても良いが、水酸化アルミニウムおよびカオリンクレーを混合して用いると、燃焼反応を阻害する効果がより顕著となることから好ましい。水酸化アルミニウムとカオリンクレイの混合比は質量比で好ましくは1:9〜9:1の範囲、より好ましくは1:5〜5:1の範囲、特に好ましくは1:3〜3:1の範囲である。
無機フィラーのパネル中の含有量は30wt%以上、80wt%以下が好ましく、より好ましくは40wt%以上、70wt%以下である。
【0014】
本発明のパネルは無機繊維を含んでいることが必要である。無機繊維とはガラス繊維、金属繊維、鉱物繊維等を指し、これらを単独または混合して用いることができる。中でもガラス繊維は高い強度を持ちコスト的にも有利なため好ましい。ガラス繊維の種類としてはE−ガラス、C−ガラス、T−ガラス、AR−ガラス、D−ガラスのいずれの種類のガラスを用いても良いが、コスト面などからE−ガラスが好ましい。また無機繊維の繊維径は3〜30μm程度の繊維径のものが好ましく、より好ましくは6〜15μmである。無機繊維の繊維長は成形物の強度の観点から0.1mm以上が好ましい。
【0015】
本発明のパネル成形体の製造に用いる、少なくとも無機繊維、熱硬化性樹脂および無機フィラーを含有するパネル成形用樹脂組成物の流動性の観点から100mm以下が好ましく、より好ましくは3〜30mmである。
パネル中の無機繊維の含量としては、パネルの強度の観点から3wt%以上が好ましく、熱硬化性樹脂および無機フィラーと混合した際の流動性の観点から30wt%以下が好ましい。より好ましくは5wt%以上、20wt%以下である。
【0016】
本発明においては、さらなる難燃性、耐候性、成形時の離型性等を付与するために、上記成分の他に難燃剤、紫外線吸収剤、内部離型剤、増粘剤等の添加剤をパネル成形用樹脂組成物に加えてもよく、特に成形性を向上させるため内部離型剤を添加することが推奨される。内部離型剤の添加量は、パネル中の含量としては0.1wt%以上、10wt%以下が好ましく、より好ましくは1wt%以上、5wt%以下である。内部離型剤としては脂肪族炭化水素系のもの、高級脂肪族アルコール系のもの、脂肪酸アマイド系のもの、金属石けん系のもの、リン酸系のものなどが挙げられ、中でもステアリン酸亜鉛、中和性リン酸アルコールは離型効果が高く好ましい。
【0017】
本発明のパネル成形体は、その表面に、防火塗材からなる層と、該層上に塗膜を積層した構造を有する積層体を有している。ここでパネル成形体の表面とは、パネルの表側となる面の最外表面、またはパネルの表側と裏側の両方の面の最外表面を指す。即ち、本発明のパネルは、上記パネル成形用樹脂組成物を成形して得られたパネル成形体の表面に、防火塗材からなる層を積層し、更にその層の上に塗膜を積層して得られるものである。
【0018】
防火塗材からなる層とは防火塗材をパネル成形体の表面に、防火塗材を塗布した後乾燥させて塗膜とした層を指す。本発明において、防火塗材とはパネルを燃焼させた際の発熱量を抑制する防火成分を含有する塗材を言う。防火成分としては、ポリリン酸アンモニウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、メラミン、ペンタエリスリトル、ホウ酸亜鉛、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、トリクレジルホスフェート等が挙げられる。
【0019】
これら防火塗材の中でもポリリン酸アンモニウムを含む発泡性防火塗材は優れた防火性を発現するため本発明のパネルに好適に用いられる。塗材中の防火成分の量としては、防火成分が防火塗材からなる層の3wt%以上、60wt%以下となる量が好ましく、より好ましくは5wt%以上、40wt%以下である。なお、該防火塗材中には、通常その他の成分としてアクリルシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、無機フィラーなどが含まれる。
【0020】
本発明においては、防火塗材からなる層の厚みは10μm以上あることが必要であり、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。厚みが10μm未満では、均一な塗膜が形成されにくく、パネルの防火性能が低下する。また厚みの上限値については均一な塗装をするためには500μm以下、好ましくは300μm以下が推奨される。防火塗材からなる層は防火塗材の固形分と塗布量を調整することによって望みの厚さに形成することができる。
【0021】
なお、本発明において、総発熱量は、東洋精機(株)製のコーンカロリーメータIII装置を用い、(財)日本建築総合試験所編「防耐火性能試験・評価業務方法書」に基づいて行う燃焼試験にしたがって求めた。
また、本発明のパネルは防火塗材からなる層の上に塗膜を有している。この塗膜は、その下にある防火塗材からなる層を外部からの衝撃等から保護する保護層としての効果がある。このような効果を示す塗膜としては無機系または有機系の顔料を溶剤中に分散せてから塗布、乾燥させたもの、無機ガラスをコーティングしたもの、クリヤラッカーなどが挙げられる。
【0022】
さらに、該塗膜を形成する塗料として耐候性塗料を用いれば、該塗膜は防火塗材からなる層の保護するばかりでなく、耐候性をも有する塗膜とすることできることから好ましい。耐候性塗料としては、アクリル系、ウレタン系、アクリルシリコン系、シリコン系、フッ素樹脂系の塗料が挙げられるが、コスト面からアクリルシリコン系塗料が好ましい。
本発明においては、該塗膜の厚みは10μm以上あることが必要であり、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。厚みが10μm未満では、均一な塗膜が形成されにくく、防火塗材からなる層に対する保護性能や耐候性が低下する。また厚みの上限値については500μm以下、好ましくは300μm以下が推奨される。これらの厚みを持った層は塗料の固形分と塗布量を調整することによって形成させることができる。
【0023】
これらの層が本発明のパネル成形体上に形成されていることを確認するには、パネルをその表面に対し垂直に切断し、電子顕微鏡で500〜1000倍で観察する。また、防火塗材からなる層および該層上に積層される塗膜の厚みは、電子顕微鏡の観察でそれぞれ無作為に選んだ10箇所の測定値の最小値を厚みとする。この時、防火塗材からなる層とその上に積層している塗膜の区別がつきにくい場合は、防火塗材からなる層にのみ含まれている元素をEPMA(Electron Probe Microanalyzer)で検出し、断面における、防火塗材からなる層にのみ含まれている元素の分布を測定することによって2層の境界を判別する。例えば、ポリリン酸アンモニウムを含有する発泡性防火塗材をパネル成形体の表面に塗布して乾燥後、その上にアクリルシリコン系の耐候性塗料を塗布した場合は、EPMAによりリンの分布を測定することによって、防火塗材からなる層と塗膜との境界求め、その電子顕微鏡で500〜1000倍で観察して厚みを求めることができる。
【0024】
本発明におけるパネルとは、表面が平坦な平板、表面にパネル用成形樹脂組成物によって型取られた意匠を有するもの、または塗装によって装飾を施されたパネル状の成形体を指す。本発明によって得られるパネルは外壁材、内壁材、床材、屋根材、天井素材等の建築用素材として利用可能であるが、その耐久性、防火性、意匠性から特にリフォーム用の外壁材として好適である。このためパネルの構造を工夫してより簡易に施工でき、かつ頑健なものとすることが好ましい。
【0025】
パネルの厚みは薄すぎると燃焼後のパネルの形状保持、強度低下が顕著になるため、パネルの平均厚みは1mm以上、5mm以下とすることが推奨される。また、作業性の点から、パネル一枚の大きさを0.2m2以上、1m2以下とすることが好ましく、パネル一枚の質量は0.5kg以上、6kg以下が好ましく、パネルの上下左右部に嵌合構造を持たせることなども推奨される。なおここで嵌合構造とはパネルの一部分に凸部、別のパネルの一部分に凹部を持たせて2枚のパネルの凸部と凹部をはめ込んでパネルを継ぎ足していくことができる構造を指す。
【0026】
本発明のパネルの製造法としては、目的のパネル形状をなした上下分離可能な金型を準備し、金型に上述した成形用樹脂組成物を必要な量だけ注入し、加熱加圧し、その後金型を開き目的のパネル成形体を取り出すという通常のプレス成形法または射出成形法によりパネル成形体を製造する。この時、無機繊維よりなるシート基材を含有させるには、金型の上にシート基材をセットしてから原料を投入し加熱加圧することでシートを含有したパネル成形体を得ることができる。
【0027】
次に、パネル成形体の表面に防火塗材からなる層および該層上に積層される塗膜の形成方法を述べる。まず、パネル成形体に水、アルコール、トルエン等の溶剤に分散させた防火塗材を吹き付け塗装する、パネル成形体を水、アルコール、トルエン等の溶剤に分散させた防火塗材に浸漬する、または水、アルコール、トルエン等の溶剤に分散させた防火塗材をパネル成形体に刷毛で塗るなどの方法でパネル成形体に水、アルコール、トルエン等の溶剤に分散させた防火塗材を塗布し、その後に熱風または風乾により乾燥し、防火塗材からなる層を形成する。その後、さらにこの防火塗材からなる層の上に同様な方法で保護層形成用の塗料、耐候性塗料等を塗布して塗膜を形成し、本発明のパネルを得ることができる。
【0028】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0029】
【実施例1】
レゾール系フェノール樹脂(昭和高分子(株)製BRL−240)25.0質量部、増粘剤として水酸化カルシウム(関東化学(株)製 試薬特級)0.3質量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(関東化学(株)製 試薬一級)1.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製 ハイジライトH32)47.5質量部、カオリンクレイ(ENGELHARD社製 ASP−400P)17.5質量部、繊維長3mmのガラス繊維(日東紡績(株)製 CS−3SK)10.0質量部をオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−5)にて約1分間、混合撹拌して成形用樹脂組成物を得た。180℃に加熱した加圧プレスに装着された表面クロムメッキ仕上げの鋼製金型へ、該成形用樹脂組成物を素早くチャージし、金型を閉めて加熱加圧(1.17×107Pa)したところ、金型内形状と同型のパネル成形体を得た。平均厚みは2mmであり、単位面積当たりの質量が5kg/m2であった。
【0030】
なお、得られたパネル成形体の平均厚みは、MITUTOYO社製デジタルノギスCD−15CPで無作為に10箇所測定し、その平均値として求めた。このパネル成形体の表面に防火塗材(ゲーテハウス社製ゲーテNo.9、ポリリン酸アンモニウム27wt%含有)を乾燥後の塗膜の厚みが50μmになるよう水を溶剤として希釈して吹き付け塗装によって塗布した。更にその上に同様にして、アクリルシリコン系塗料(スズカファイン(株)製、ラフトンセラミック) を乾燥後の塗膜の厚みが50μmになるように塗布し評価用のパネルとした。
【0031】
このパネルを10cm×10cmの大きさに切り出し、東洋精機(株)のコーンカロリーメータIII装置を用い、(財)日本建築総合試験所編「防耐火性能試験・評価業務方法書」に基づいて燃焼試験を3回行ったところ総発熱量は2.1、6.0、4.1MJ/m2であった。
このパネルを10cm×10cmの大きさに切り出し、キセノン型促進耐候性試験機(Ci4000、東洋精機製作所製)にて、温度63℃、湿度50%、24時間照射、2時間毎に18分間水をスプレー、照射強度120W/m2(光源波長300-400nm)にて400時間テストしたところ外観に異常は見られなかった。
【0032】
【実施例2〜5】
防火塗材からなる層の厚みと塗膜の厚みを表1に記載のように変化させる以外は実施例1と同様にして評価用パネルを作製し試験を行った。結果を表1に示す。
【0033】
【比較例1〜2】
防火塗材からなる層の厚みまたは塗膜の厚みを10μm以下とする以外は実施例1と同様にして評価用パネルを作製し試験を行った。結果を表1に示す。比較例1では耐候性試験後にパネル表面の劣化が見られる。比較例2では総発熱量の上限値が実施例にくらべて大きい値となっている。
【0034】
【比較例3〜4】
防火塗材からなる層またはアクリルシリコン系塗料から形成された塗膜の層の1層のみとする以外は実施例1と同様にして評価用パネルを作製し試験を行った。結果を表1に示す。比較例3では耐候性試験後にパネル表面の劣化が見られる。比較例4では総発熱量の上限値が実施例にくらべて大きい値となっている。
【0035】
【比較例5】
原料中の水酸化アルミニウムとカオリンクレイの全量を炭酸カルシウムとしそれ以外は実施例1と同様にしてパネルを作製し試験を行った。結果を表1に示す。総発熱量の上限値が実施例にくらべて大きい値となっている。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
本発明によって防火性に優れた、表面劣化のない、さらには耐候性に優れたパネルを得ることができる。
Claims (5)
- 少なくともフェノール樹脂、水酸化アルミニウムとカオリンクレイからなる無機フィラー、及び無機繊維を含有するパネル成形体の表面に、防火塗材からなる層と、該層上に積層された、耐候性塗料から形成される塗膜よりなる積層構造を有し、該防火塗材からなる層、およびその層上に積層された該塗膜の厚みがそれぞれ10μm以上、500μm以下であることを特徴とするパネル。
- 前記水酸化アルミニウムと前記カオリンクレイとの混合比が、質量比で、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1記載のパネル。
- 前記防火塗材からなる層が、防火成分を3wt%以上、60wt%以下含有することを特徴とする請求項1又は2記載のパネル。
- 外壁に取り付け可能な外壁材パネルであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のパネル。
- 前記パネル中に、10wt%以上のフェノール樹脂と、30wt%以上の無機フィラーと、3wt%以上の無機繊維とが、少なくとも含有せしめられている請求項1乃至4の何れか1項に記載のパネル。
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