JP5401259B2 - 建築板の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、建築板の基材の表面に紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂などを塗布し、硬化させることで、表面に強靱なトップコート層を形成することが行われている。
たとえば、特許文献1には、目止め処理された無機質窯業系基材の少なくとも一面に、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂塗料の被膜層を一種又は複数種設け、更にその表面に10μ〜300μの膜厚の紫外線硬化型超高硬度クリヤー塗膜層を設けた無機質窯業系化粧板が記載されている。特許文献1の建築板は、基材の表面に紫外線硬化樹脂によりトップコート層が形成され、深みのある鏡面仕上がりとなり、意匠性に優れてる。
表面のトップクリヤー層を少なくすればある程度の不燃性を有することができるが、トップクリヤー層による深みのある鏡面仕上がりが得られず、意匠性が低くなってしまう。
なお、基材は、木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板、スラグ石膏板などの窯業系サイディングボードや、金属系サイディングボード、ALCボードなどである。
耐火剤は、臭素化合物、リン化合物などの有機系化合物や、アンチモン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、膨潤性化合物などの無機系化合物である。臭素化合物としては、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレンなどがある。リン化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステルや、トリスジクロロプロピルホスフェートなどのハロゲン化リン酸エステルや、赤リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどがある。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダなどがある。膨潤性化合物とは、SiO2、MGO、Al2O3を主成分とするものであり、カオリン属、スクメタイト属、バーミキュライト属、雲母属などの鉱物などであり、膨潤性の高い、スクメタイト属のモンモリロナイト、バーミキュライト、雲母属の膨潤性マイカなどがある。水系塗料と紫外線硬化型クリヤー塗料において、これらの耐火剤は、1種類のみ含有されても良いが、2種類以上含有されていても良い。
含侵シーラー、水系塗料、溶剤系クリヤー塗料は、フローコーター、スプレー、ロールコーターなどの従来の塗装装置により塗布し、ドライヤーなどの従来の乾燥装置により乾燥させ、塗膜を形成することができる。溶剤系紫外線硬化型クリヤー塗料も、フローコーター、スプレー、ロールコーターなどの従来の塗装装置により塗布することができるが、溶剤系紫外線硬化型クリヤー塗料は紫外線が照射されないと硬化しないため、スプレーブースで飛散したミストが硬化せず、作業環境が悪化する懸念があるので、スプレーではなく、フローコーターやロールコーターにより塗布することが好ましい。
本発明においては、耐火剤を有する水系塗料と紫外線硬化型クリヤー塗料を塗布、硬化して、耐火剤を有する水系塗膜とトップクリヤー塗膜を形成する。すなわち、2つの塗膜が耐火剤を有するように塗装する。トップクリヤー塗膜のみに耐火剤を含有させることもできるが、耐火剤が多いと、ドライヤーで乾燥中に塗膜にクラックが生じたり、塗膜が弱く、脆弱になり、機械的な物性が著しく低下する。そのため、本発明では、水系塗膜とトップクリヤー塗膜が耐火剤を有するよう、水系塗膜は、耐火剤を固形分対比で10〜50質量%含有する水系塗料を塗布、硬化することにより形成し、トップクリヤー塗膜は、耐火剤を固形分対比で5〜20質量%含有する紫外線硬化型クリヤー塗料を、塗布、硬化することにより形成する。それにより、得られた建築板は、物性に優れるとともに、不燃性にも優れる。
また、本発明においては、含侵シーラーが塗布された基材の表面に水系塗料を塗布し、水系塗膜を形成するので、該水系塗膜の密着が良くなる。なお、含侵シーラーとして、溶剤系塗料と水系塗料のどちらも使用することができるが、水系塗料を使用すると、有機固形分を少なくでき、得られる建築板の不燃性が良くなるので、好ましい。
更に、本発明においては、水系塗膜の上にクリヤー塗膜を形成し、該クリヤー塗膜の上にトップクリヤー塗膜を形成するが、クリヤー塗膜を溶剤系塗料により形成している。それは、溶剤系塗料は、水系塗料に比べてレベリング性に優れ、より平滑な塗装表面を形成することが可能となり、表面状態がより鏡面に近いイメージのものができて、意匠性に優れるためである。また、水系塗料により形成された水系塗膜の上に、溶剤系塗料によりクリヤー塗膜を形成し、更にその上に、紫外線硬化型クリヤー塗料によりトップクリヤー塗膜を形成するので、各塗膜は密着性も優れる。更に、溶剤系塗料として、規制の対象となっているトルエンとキシレンを含有しない塗料を使用することが好ましい。
実施例1〜6の塗装板では、トップクリヤー塗膜は高硬度で形成されており、クラックは確認されず、深みのある鏡面仕上げであった。また、コーンカロリーメーターによる総発熱量は、8MJ/m2より小さく、不燃性も十分に備えていた。更に、実施例5、6においては、カラークリヤー塗膜により自然なグラデーションの風合いが形成されていることが確認された。
一方、比較例1、2の塗装板では、トップクリヤー塗膜は高硬度で形成されており、クラックは確認されず、深みのある鏡面仕上がりであったが、コーンカロリーメーターによる総発熱量が8MJ/m2より大きく、不燃性を有していなかった。比較例3の塗装板では、トップクリヤー塗膜が高硬度で形成されておらず、クラックが確認された。また、コーンカロリーメーターによる総発熱量が8MJ/m2より大きく、不燃性も有していなかった。
Claims (4)
- 基材の表面に含侵シーラーを塗布する工程と、該含侵シーラーが塗布された基材の上に水系塗膜を形成する工程と、該水系塗膜の上にクリヤー塗膜を形成する工程と、該クリヤー塗膜の上にトップクリヤー塗膜を形成する工程とからなり、
基材を、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、ALCボードのいずれかとし、
水系塗膜を形成する工程は、アクリルエマルションを主成分とし、耐火剤を固形分対比で10〜50質量%含有する水系塗料を、含侵シーラーが塗布された基材の表面に塗布し、硬化することからなり、
クリヤー塗膜を形成する工程は、アクリル樹脂を主成分とする溶剤系クリヤー塗料を、水系塗膜の上に塗布し、硬化することからなり、
トップクリヤー塗膜を形成する工程は、アクリル樹脂を主成分とし、耐火剤を固形分対比で5〜20質量%含有する紫外線硬化型クリヤー塗料を、クリヤー塗膜の上に塗布し、紫外線を照射して硬化することからなる
ことを特徴とする建築板の製造方法。 - 前記水系塗料の量を4〜15g/尺2とし、
前記溶剤系クリヤー塗料の量を4〜10g/尺 2 とし、
前記紫外線硬化型クリヤー塗料の量を3〜13g/尺2とする
ことを特徴とする請求項1に記載の建築板の製造方法。 - 前記基材は、表面に凹凸模様を有し、
前記溶剤系クリヤー塗料として、顔料を含有するカラークリヤー塗料を用いて、乾燥までの間に、基材の凸部頂部から凹部に該カラークリヤー塗料をたれ込ませ、自然なグラデーションの風合いを表現したクリヤー塗膜を形成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築板の製造方法。 - 前記カラークリヤー塗料の塗布を、板の表面温度が10〜40℃の状態で行う
ことを特徴とする請求項3に記載の建築板の製造方法。
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