JP4021204B2 - 無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染防止方法 - Google Patents

無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染防止方法 Download PDF

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【0001】
【発明の技術分野】
本件発明は、無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材および、基材の汚染方法に関し、さらに詳しくは、基材表面に塗布形成されると、不燃性を有し耐汚染性に優れた無機建材、とくに不燃性が求められ、コンロなどの火気を取扱う部位で好適に使用され、火災の延焼防止が可能であるような内装壁材(とくにキッチンパネル)が得られる無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材、および基材の汚染防止方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、家具・内装品や建築物内装材などから揮散されるVOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)など、各種化学物質によるシックハウスの問題が指摘されている。
これに対して、例えば、基材の表面に塗布される塗料としてシーラーおよび/または下塗塗料から上塗り塗料まで、全て水系塗料を用いれば、VOC対策もでき、環境汚染の恐れも著しく低減できる可能性がある。
【0003】
しかしながらこれまでのところ、シーラーおよび/または下塗塗料から上塗り塗料まで、全て水系塗料を用いることにより、仕上がり外観に優れ、表面の耐汚染性等の点で充分な塗膜は得られていない。
なお、▲1▼:特公平3−2828号公報には、セメント系材料をその表面から、珪酸アルカリを1〜30重量%と固形分として1〜30重量%となる量のポリマー水性エマルジョンを含有する水性処理液で含浸処理した後、得られた処理物を乾燥するセメント系材料表面層の強化方法が記載され、該セメント表面層の強化方法によれば、セメント系材料の表面から内部深くまで強度が高く、耐水性、耐透水性、耐候性等が改良された表面層を形成で、セメント系材料の表面からの劣化を防止できる旨記載されている。
【0004】
しかしながら該塗膜では、仕上がり外観、表面の耐汚染性の点で充分でない。このため、本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、基材の表面に、水ガラス系塗料組成物または無機系水性エマルジョン塗料組成物(ロ)から形成された、無機系シーラー塗膜および/または該組成物(ロ)から形成された無機系下塗塗膜(A)と、
該塗膜(A)表面に形成された、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物成分を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜(B)と、
からなる無機系複合塗膜が形成されているか、あるいは、
基材の表面に、水ガラス系塗料組成物または自己乳化型ポリイソシアネート組成物(イ)から形成されたシーラー塗膜(C)と、
該塗膜(C)表面に、水ガラス系塗料組成物または無機系水性エマルジョン塗料組成物(ロ)から形成された無機系下塗塗膜(A1)と、
該塗膜(A1)表面に形成された、上記無機系上塗り塗膜(B)と、
からなる無機系複合塗膜が形成されていると、
これら複合塗膜は、仕上がり外観に優れ、塗膜表面の耐汚染性に優れ、シックハウスの問題もなく環境に優しく、さらに不燃性に優れ、コンロなどの火気を取扱う部位で好適に使用でき、これらの複合塗膜を例えば内装壁材の表面に設けると、火災の延焼防止が可能であるような無機系複合塗膜を備えた内装壁材(とくにキッチンパネル)が得られることなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、無機建材、特に、キッチンパネル等の内装壁材に、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与し、コンロ火災等の延焼を防止できる複合塗膜あるいは該塗膜で被覆された基材(塗膜付き内装壁材)並びにそれらの形成方法を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、特に、不燃性を有し、しかも仕上り外観、耐汚染性に優れているような複合塗膜あるいは該塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、VOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)などの各種化学物質によるシックハウスの問題もなく、環境汚染の恐れもないような塗膜および塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る第1の無機系複合塗膜(層)は、
(A)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系シーラー塗膜(層)および/または該組成物から形成された無機系下塗塗膜(層)と、該塗膜(A)表面に形成された、
(B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜(層)
とからなることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る第2の無機系複合塗膜(層)は、
(C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成されたシーラー塗膜(層)と、該塗膜(C)表面に形成された、
(A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系下塗塗膜(層)と、該塗膜(A1)表面に形成された、
(B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応じてこれと 共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機
系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗塗膜
とからなることを特徴としている。
【0009】
上記第1、第2の無機系複合塗膜(層)は、好ましくは基材表面に形成され、その場合、第1の無機系複合塗膜(層)は、基材/(A)/(B)の順序となるように設けられ、また第2の無機系複合塗膜(層)は、基材/(C)/(A1)/(B)の順序となるように設けられる。
上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物が、さらに、シリコーン変性(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0010】
本発明においては、上記水ガラス系塗料組成物(a1)が、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケートおよびアンモニウムシリケートからなる群から選ばれた少なくとも1種の水ガラスを含む水系塗料であることが好ましい。
本発明においては、上記自己乳化型ポリイソシアネート組成物(c1)が、親水性に変性されたポリイソシアネートで化学的に組み込まれたエチレンオキサイドユニットを有するポリエーテル鎖を含有する自己乳化型ポリイソシアネートであることが好ましい。
【0011】
本発明においては、上記無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)が、オルガノアルコキシシランまたはその縮合物またはポリオルガノアルコキシシラン(シラノール基を含む)またはオルガノアルキルシリケートまたはその縮合物またはポリオルガノアルキルシリケートを含む重合性化合物のエマルジョンであることが好ましい。
【0012】
本発明においては、上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物が、溶剤を含まない無溶剤型であることが好ましい。
本発明に係る不燃性建材は、建材の表面が、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆されたことを特徴としている。
本発明に係る不燃性無機化粧板は、無機化粧板の表面が、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆されたことを特徴としている。
【0013】
本発明に係る不燃性金属化粧板は、金属化粧板の表面が、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆されたことを特徴としている。
本発明に係る基材の汚染防止方法は、基材表面を、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆することを特徴としている。
本発明によれば、無機建材、特に、キッチンパネル等の内装壁材に代表される各種基材表面に塗布形成されることにより、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与し、コンロ火災等の延焼を防止できる複合塗膜あるいは該塗膜で被覆された基材(塗膜付き内装壁材)並びにそれらの形成方法を提供することができる。
【0014】
本発明によれば、特に、不燃性を有し、しかも仕上り外観、耐汚染性に優れているような複合塗膜あるいは該塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、VOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)など、種々の化学物質によるシックハウスの問題が生じないなど、環境汚染の恐れもないような塗膜および塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供することができる。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る無機系複合塗膜、その形成法、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染防止方法について、具体的に説明する。
<無機系複合塗膜>
本発明に係る第1の無機系複合塗膜(層)は、そのままでも不燃性、耐汚染性などの求められる種々の用途に基材なしでも使用しうるが、好ましくは基材表面に下記(A)層/(B)層の順で形成される。
【0016】
この第1の複合塗膜は、
(A)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系シーラー塗膜(層)および/または無機系下
塗塗膜(層)と、該塗膜(A)表面に形成された、
(B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物成分を含有する活性エネルギー線重合性無
機系硬化性塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜(層)
とからなっている。
【0017】
特に本発明の好ましい態様を示す第2の無機系複合塗膜(層)は、上記第1の複合塗膜と同様に、そのままでも不燃性、耐汚染性などの求められる種々の用途に基材なしでも使用しうるが、好ましくは基材表面に下記(C)層/(A1)層/(B)層の順で形成される。
この第2の複合塗膜は、
(C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成されたシーラー塗膜と、該塗膜(C)表面に形成された、
(A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系下塗塗膜と、該塗膜(A1)表面に形成さ
れた、
(B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機
系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗塗膜
とからなっている。
【0018】
すなわち、第2の複合塗膜は、(好ましくは基材表面に)予め(C)層を形成した後で、第1の複合塗膜を形成したもので、第1の複合塗膜における(A)層は第2の複合塗膜では(A1)層に限定されている。
第1の複合塗膜では、基材表面に、まずシーラー塗膜と下塗塗膜の両者がこの順序で設けられる場合、何れか一方が(a1)水ガラス系塗料組成物から形成され、他方が(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成されていてもよく、両方が(a1)水ガラス系塗料組成物あるいは(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成されていてもよい。
【0019】
また、第1の複合塗膜では、基材表面に、シーラー塗膜と下塗塗膜の何れか一方のみが上塗り塗装に先立って設けられる場合、当該シーラー塗膜あるいは下塗塗膜は、(a1)水ガラス系塗料組成物と(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物の何れから形成されていてもよい。
これらの(不燃性)無機系複合塗膜を構成している各層(塗膜)の厚さは、特に限定されないが、例えば、無機系シーラー塗膜(層)は、5〜20μm(厚)であり、無機系下塗塗膜(層)は、50〜100μm(厚)であり、無機系上塗り塗膜(層)は、5〜100μm(厚)である。
[基材]
このような(不燃性)無機系複合塗膜が基材表面に設けられる場合、基材としては、その材質は、無機物でも有機物でもよく、台所周りなどに耐火性(不燃性)を付与する点からは無機系のものが好ましい。
【0020】
このような基材として、具体的には、金属例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、亜鉛など;各種ガラス質;陶器;磁器;コンクリート;石材などのセラミック;天然板、合板等の木質板;各種プラスチック板;珪酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)等の無機質板;及びそれらの組み合わせが挙げられる。
これらの中でも無機物、例えば、コンクリート、セラミック、珪酸カルシウムが密着性の点、耐久性の点、不燃性の点で好ましい。
【0021】
また、このような有機系あるいは無機系材質、特に無機系資材からなる基材としては、屋内台所のコンロ周辺あるいは屋内暖炉周辺に用いられる壁材、天井材などの建築資材;ガードレールやフェンスなどの道路関連資材;屋根材、胴縁、雨戸、雨樋、外壁材などの建築資材;自動車外装材等の自動車部品;エアコン室外機などの家電製品;などのように、屋外用途で使用される金属部材などが好適に挙げられる。
[水ガラス系塗料組成物(a1)及びその塗膜]
水ガラス系塗料組成物(a1)は、基材表面あるいはシーラー塗膜表面に塗付され、無機系シーラー塗膜(層)および/または無機系下塗塗膜(層)となるが、
この水ガラス系塗料組成物(a1)は、例えば、特開平7−34029号公報、特公平3−2828号公報などにも記載されているように、一般式「M2O・nSiO2」[Mは、アルカリ金属またはアンモニウム(NH4)であり、Na、K、Li、Cs、NH4、好ましくはNa、K、Li、NH4を示し、これらアルカリ金属等は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。n(モル比)は、通常2.0〜4.1の数。]で表される水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液である。
【0022】
このようなアルカリ金属ケイ酸塩として、具体的には、例えば、ケイ酸カリウム(カリウムシリケート)、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ、ナトリウムシリケート)、ケイ酸リチウム(リチウムシリケート)、ケイ酸セシウム、ケイ酸アンモニウム(アンモニウムシリケート)などが挙げられ、これらのうちでは、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケートおよびアンモニウムシリケートが好ましい。これらのアルカリケイ酸塩は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
該水ガラス系塗料組成物(a1)には、任意成分として、下記のような成分が含まれていてもよい。
すなわち、石英粉、天然石粉、ケイ砂、粘土、アスベスト、パーライト、活性化シラス、カーボンファイバー、ガラスファイバー等の骨材や無機充填材;
酸化チタン、シリカ、亜鉛華等の無機顔料;
得られる塗膜の耐クラック性に寄与するフェノール樹脂の初期縮合物であるレゾール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、エポキシ樹脂等の樹脂(好ましくはこれらの樹脂エマルジョン);
得られる塗膜の耐クラック性に寄与するSBR、NBR、クロロプレンゴム、天然ゴム等のゴム(好ましくはこれらのゴムラテックス);
上記水ガラス用の後述する硬化剤;
粘度調整用の界面活性剤;
粘度調整用の増粘剤例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の有機系増粘剤、あるいはベントナイト、アエロジル等の無機系増粘剤;
その他、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、密着改良剤、分散剤などが含まれていてもよい。
【0024】
本発明では特に必要としないが、上記水ガラス用硬化剤としては、従来より公知のものが挙げられる。例えば、亜鉛末などの金属やカルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価金属の酸化物(金属酸化物)、同金属の水酸化物(金属水酸化物)、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸(テイカ(株)製)、リン酸亜鉛などの2〜3価金属のリン酸塩、同金属のホウ酸塩、ケイフッ化ナトリウム、フエロシリコン、炭酸エチレン、グリオキザール、多糖類のプルランなどを必要により使用してもよい。
【0025】
上記水ガラス系物質は、「ケイ酸ソーダ1号、2号、3号、4号」等の商品名で、日本化学工業(株)などより上市されている。
また、上記樹脂エマルジョン、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂エマルジョンなどとしては、例えば、「モビニール」(クラリアントポリマー社製)より上市されているものを使用できる。
【0026】
このような水ガラス系塗料組成物(a1)からなる塗膜を形成するには、基材表面、あるいは後述する無機系水性エマルジョン塗料組成物製塗膜(a2)表面に、該水ガラス系塗料組成物(a1)を1〜数回、刷毛塗り、流し塗り、回転塗布、スプレー塗布、浸漬塗布などの公知の方法にて塗布し、常温下に自然乾燥させるか、または、60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で10〜20分間程度、加熱乾燥等すればよい。
【0027】
得られた乾燥・硬化塗膜(a1)の膜厚は、特に限定されないが、例えば、30〜100μm(厚)、好ましくは50〜80μm(厚)である。
このように乾燥・硬化した、水ガラス系塗料組成物(a1)からなる塗膜は基材との密着性および該水ガラス系塗料組成物(a1)からなる層の表面に設けられる上塗り層との密着性に優れ、耐水性、耐熱性等に優れている。
【0028】
なお、上記のように(a1)水ガラス系塗料組成物を乾燥させると、水ガラス系塗料組成物(a1)中の金属イオン(M+)と硬化剤とが反応して水不溶性化合物となり、また水ガラス系塗料組成物(a1)中に「Si(O-−M+4+4H2O→M++Si(OH)2- 6+2OH-」の反応で生じた水酸化物イオン「Si(OH)2- 6」は、脱水・自己縮合してシロキサン結合「−(Si−O)n − 」を形成して高分子膜を形成し、硬化しているものと考えられる。
[無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)及びその塗膜]
無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)は、基材表面に塗布され無機系シーラー塗膜(層)となり、あるいは水ガラス系塗膜(a1)表面に塗付され、無機系下塗塗膜(層)となるが、
該無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)は、水に不溶〜難溶性の樹脂(あるいは樹脂形成成分)好ましくは無機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)を水中に分散させ、必要により任意成分として、顔料等を加えてなる塗料であって、該塗料組成物に配合可能な上記任意成分として、油脂、その他の樹脂、可塑剤、ガゼイン、澱粉等の保護コロイド、乳化剤、溶剤(例:C1〜C5程度のアルコール系溶剤)、顔料特に無機系顔料などが挙げられる。
【0029】
上記必須成分の樹脂あるいは樹脂形成成分(モノマー、オリゴマー、未硬化ポリマー等)としては、該樹脂あるいは樹脂形成成分を含む塗料を塗装硬化させて得られる塗膜の種類、性質等に着目すると、無機系樹脂、有機系樹脂、有機無機複合系樹脂、あるいはこれらの樹脂形成成分であるモノマー、オリゴマー、未硬化反応性ポリマー等(以下、樹脂形成成分も含めて樹脂とも言う。)が挙げられ、特に無機系樹脂あるいは樹脂形成成分を用いると、得られる塗膜の不燃性が向上する傾向がある。また、無機系樹脂あるいは無機系樹脂形成成分と、有機系樹脂あるいは有機系樹脂形成成分とを併用すると、耐クラック性などの点で好ましい。
【0030】
無機系樹脂あるいは樹脂形成成分としては、オルガノアルコキシシラン、その低次の縮合物、またはその高次の縮重合物であるポリオルガノアルコキシシラン(シラノール基を含む)を含むか、またはオルガノアルキルシリケート、その低次の縮合物、またはその高次の縮重合物であるポリオルガノアルキルシリケートを含む重合性化合物が好ましい。
【0031】
上記オルガノアルコキシシランあるいはオルガノアルキルシリケートとしては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
(R3 O)4-b −Si−(R4b ・・・・・(2)
式(2)中、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数1〜4のアシル基からなる群より選択された1価の炭化水素基を表す。
【0032】
4は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数2〜11のエポキシアルキル基、炭素数2〜11のアルケニル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数1〜5のアミノアルキル基、炭素数1〜5のメルカプトアルキル基、炭素数1〜5のハロアルキル基からなる群より選択された1価の炭化水素基を表し、好ましくはR4は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基の何れかを表す。
【0033】
3及び/又はR4が複数存在する場合には、同一であっても異なっていてもよい。
また、bは、0〜2の整数を表す。なお、上記式(2)中、b=0の場合はオルガノアルキルシリケートに相当する。また、b=1〜2の場合はオルガノアルコキシシランに相当する。
【0034】
上記オルガノアルコキシシランまたはオルガノアルキルシリケート(2)として、具体的には、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケート等のテトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン等の他に、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
これらオルガノアルコキシシランまたはオルガノアルキルシリケート(2)はシランカップリング剤としても機能する。
上記オルガノアルコキシシランまたはオルガノアルキルシリケート(2)モノマーは、加水分解縮重合され、数平均分子量Mn100〜3000程度の「(低次の)縮合物」として塗料中に配合されてもよく、また、数平均分子量Mn3000を超え〜20000の高次の縮重合物であるポリオルガノアルコキシシラン(シラノール基を含有)またはポリオルガノアルキルシリケートとして塗料中に配合されていてもよい。
【0036】
なお、上記オルガノアルコキシシランまたはオルガノアルキルシリケート(2)は、加水分解されると、「H2O+R3 O−Si≡」→「R3OH+HO−Si≡」となり、また隣接する「HO−Si≡」間で脱水重縮合が生じて「≡Si−OH+HO−Si≡」→「≡Si−O−Si≡+H2O(水)」となり、シロキサン結合が形成されていくものと考えられる。
【0037】
これら樹脂あるいは樹脂形成成分は、この塗料中に、通常、10〜80重量%、好ましくは30〜70重量%となるような量で用いられる。
有機系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル(veova)共重合体などが挙げられる。
【0038】
これらの有機系樹脂あるいは樹脂形成成分としては、例えば、「モビニールDM−765」(ヘキスト合成(株)、樹脂エマルジョン)として上市されているものが使用できる。
このように樹脂(あるいは樹脂形成成分)として、無機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)と有機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)とを併用する場合には、両者の合計100重量部中に、無機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)は通常、30〜99重量部、好ましくは50〜95重量部、特に好ましくは60〜90重量部の量で、有機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)は残部量すなわち、通常1〜70重量部、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部の量で用いられることが望ましい。
【0039】
このような有機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)と上記無機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)とを、好ましくは上記量で併用すると、基材および上塗り層との密着性、耐クラック性等に優れる傾向がある。
このような無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)からなる塗膜を形成するには、該無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)を基材表面あるいは前記水ガラス系塗料組成物製塗膜(a1)表面に、1〜数回、刷毛塗りを行うなど上記と同様にして塗布し、常温下に自然乾燥させるか、または、60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で10〜20分間程度、加熱乾燥等すればよい。
【0040】
得られた乾燥・硬化塗膜(a2)の膜厚は、特に限定されないが、例えば、30〜100μm(厚)、好ましくは50〜80μm(厚)である。
このように乾燥・硬化した、無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)からなる塗膜は基材との密着性および該無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)からなる層の表面に設けられる上塗り層との密着性に優れ、耐水性、耐熱性等に優れている。
【0041】
[シーラーおよびシーラーから形成された塗膜(層)(C)]
特に、本発明の好ましい態様を示す第2の無機系複合塗膜では、上記基材の表面には、予め、(C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成されたシーラー塗膜が形成される。
このシーラーとしては、好ましくは特開平6−92756号公報の「0008」〜「0023」、「0028」〜「0029」の各欄に記載の下地処理剤が基材や後続の塗膜(層)との付着性に優れ、大気汚染防止性、塗装作業性、耐凍結融解性、得られる無機系複合塗膜の仕上がり外観、塗装安全性などの点で好適に用いられる。
【0042】
すなわち、シーラー(C)としては、乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーに、水を添加し希釈してなる下地処理剤が好ましい。
この下地処理剤(シーラー)には、乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマー100重量部に対して水は、好ましくは50〜700重量部の量で用いることが粘度が適正で塗装性に優れ、基材への含浸、浸透性が良好で、基材表層を強化でき、硬化時間も適切で望ましい。また、この下地処理剤は、調製後8時間以内、好ましくは3時間以内に塗布することが上記諸性能発揮上好ましい。すなわち、下地処理剤は調製後、該プレポリマー中のイソシアネート基と、水との反応が開始し、水性ポリウレタン分散液(ウレタンエマルジョン)となるが、そのポリウレタンの分子量が増大するに連れて、基材への下地処理剤の含浸性が低下して、基材表面のみで硬化膜を形成してしまい、充分に、基材表層を強化できなくなるおそれがあるためである。
【0043】
乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーとしては、親水的に変性されたポリイソシアネートであって、化学的に組み込まれたエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル鎖を含有するポリイソシアネートが好ましい。
この乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーの調製に供されるイソシアネートとしては、公知のヘキサメチレンジイソシアネート〔HMD1〕、トリス(6−イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート〔HDIトリマー〕、及びポリメチレンポリフェニルイソシアネート〔MDI〕等が挙げられる。
【0044】
一方、乳化性親水基を形成するには、高級アルコールにエチレンオキシドを付加して得られる非イオン界面活性剤で、その一般式は、RO(CH2CH2O)nH(Rは、アルキル基である)で示されるポリエチレングリコールエーテル等が使用される。
このポリエチレングリコールエーテルには、自己乳化性があるためイソシアネートとの重合反応物は、水による乳化希釈が可能となる。
【0045】
乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーの製造方法は、特開昭62−185707号公報、特公平4−15270号公報などによって公知であり、この特開昭62−185707号公報には、水性ポリウレタン分散液(ウレタンエマルジョン)の連続的製造方法などが開示されているが、この水性ポリウレタン分散液製造過程における「中間製品」である乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーは、多孔性無機質材に対し含浸、浸透性がよく、材の表層を強化することができ、さらに、水で希釈可能な為、各種材に適した水希釈で塗布量調整が可能であり、本発明ではシーラー(C)として好適に使用される。
【0046】
このような乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマー、例えば、エチレンオキシド変性HDI系イソシアネートプレポリマーは、イソシアヌレート環を有するヘキサメチレンジイソシアネート重合体に、上記ポリエチレングリコールを加えて昇温し、加熱(例:70℃)下に数時間反応させることにより得られる。基材の表面に含浸、浸透した乳化性親水基含有イソシアネートプレポリマーは従来、公知の溶剤系イソシアネートプレポリマーと同様、水分と反応し尿素結合ができ、これにより基材の表層は樹脂化され強化され、そのシーラー塗膜(C)表面に形成される(A)特に(A1)との付着性が良く、経時での水侵入や凍結溶解による剥離などが生じ難い。
【0047】
塗装方法としては、従来より公知の刷毛塗り、スプレー塗り、スポンジロールコーター塗り等が利用できる。
乾燥方法としては、常温(自然)乾燥、加熱乾燥等を採用でき、基材にシーラー(下地処理剤)を塗布する前に、基材をプレヒートして下地処理剤を塗布し乾燥を促進しても良く、基材に下地処理剤を塗布後、加熱乾燥しても良い。又、その両方でも良く常温のまま乾燥しても良い。
【0048】
なお、そのシーラー塗膜(C)の膜厚は、上記の通りである。
次いで、このシーラー塗膜(層)(C)の上に、第2の無機系複合塗膜では、上記塗料(層)(A)のうちで、(A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系下塗塗膜(層)が形成され、以下、第1の無機系複合塗膜と同様である。
【0049】
[活性エネルギー線重合性無機系塗料組成物および
該塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜(層)(B)]
活性エネルギー線重合性無機系塗料組成物は、上記シーラーあるいは下塗層(A)の表面に塗布されるが、該活性エネルギー線硬化性組成物には、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)および必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物成分(b2)が含有されている。
活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1))
活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)としては、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカが用いられる。
【0050】
このような活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)は、例えば、原料の未処理コロイダルシリカ中の末端水酸基(−OH)と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和モノマーとを、必要により触媒、溶剤あるいは分散媒などの存在下に、温度20〜90℃で、常圧下で、0.5〜10時間程度反応させて得られる。
【0051】
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物などが挙げられる。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物としては、従来より公知のものを広く使用でき、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0052】
ここで上記不飽和モノマーが、例えば、(メタ)アクリル酸である場合は、エステル化反応が生じて活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)が得られる。
また、上記不飽和モノマーがγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど、(メタ)アクリロイルオキシ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物(モノマー)であるときは、未処理コロイダルシリカの水酸基(−OH)と該モノマーのアルコキシ基との間で加水分解縮合(脱アルコール)が生じて、コロイダルシリカにUV反応基が導入された活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)が得られる。
【0053】
上記(メタ)アクリル酸、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のモノマー量が上記範囲にあると、得られる活性エネルギー線硬化性組成物は造膜性が良好で、該組成物からなる塗膜は白化せず優れた性能の塗膜を形成できる。
上記原料シリカ粒子としては、特に限定されないが、例えば、特開平9−157315号公報などにも記載されているような、その一次粒径が1〜200ミリミクロン、好ましくは5〜80ミリミクロンのものが分散状態の安定性、得られる塗膜の透明性などの点から望ましい。
【0054】
上記コロイダルシリカと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応に用いられる上記エステル化触媒としては必要により従来より公知のものが用いられる。
また上記コロイダルシリカとγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等との加水分解縮合反応に用いられる加水分解縮合用触媒としては、H2Oなどが挙げられる。
【0055】
上記活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)調製の際には、溶剤あるいは分散媒としては、従来より公知のものを用いることができ、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコールなどの多価アルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの多価アルコール誘導体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどのアクリレート類および一般有機溶剤類が挙げられる。
【0056】
これらのうちでは、炭素数が1〜4のアルコール類を用いることがシックハウス問題などの環境対策上好ましい。
溶媒あるいは分散媒は、通常、上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和脂肪酸によるエステル化処理をされていない“未処理”コロイダルシリカ(固形分)100重量部に対し、100〜900重量部の量で用いられる。
【0057】
該溶剤あるいは分散媒が、上記量で用いられると、被膜の平滑性および均一性に優れ、被膜の膜厚が適度となり、耐擦傷性、耐候性などがバランス良く良好となる。
本発明では、上記活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)としては、上市されているものを使用してもよく、例えば、「UVHC−8558」(コロイダルシリカをγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで処理したもの、GE東芝シリコーン(株)製)等が挙げられる。
【0058】
なお、本発明では、該活性エネルギー線硬化性組成物には、溶剤、さらには有機溶剤、特にVOC対策上問題となるような有機溶剤(例:ホルムアルデヒド等)は含有されていないことが、得られる塗膜のシックハウス対策、塗装作業上の安全性、環境対策などの点から好ましい。
これら未処理コロイダルシリカとしては、酸性または塩基性の何れの形態で上市されているものも使用できる。
【0059】
上記のようにして得られた活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)は硬化被膜の耐擦傷性および表面硬度を著しく改良する。
また、活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)(固形分)は、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部中に、通常、5〜30重量部、好ましくは10〜20重量部の量で用いられることが望ましい。
【0060】
この活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)量が上記範囲にあると、(硬化皮膜の耐擦傷性が良好となり、しかも硬化皮膜にクラックの発生が生じにくく、シーラー塗膜あるいは下塗層との密着性に優れる傾向がある。
本発明においては、この活性エネルギー線硬化性組成物には、上記活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)と共に、上記ラジカル重合性化合物成分(b2)が含まれていてもよい。
【0061】
このようなラジカル重合性化合物成分(b2)としては、例えば、
リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート及びβ−メチルグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する不飽和単量体;
スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;
その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルステアレート、アクリルアセテート、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、ハロゲン含有ビニル単量体、シリコーン変性(メタ)アクリレートなどのケイ素含有ビニル単量体、エチレンなどを挙げることができる。これらは、1種単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0062】
これらのラジカル重合性化合物成分(b2)は、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部中に、通常、0〜90重量部、好ましくは75〜85重量部の量で用いられる。
また、本発明では、上記ラジカル重合性化合物成分(b2)に代えて、この成分(b2)同士を1種または2種以上ラジカル重合させた、シリコーン変性(メタ)アクリレート樹脂などのポリマーを用いてもよい。
【0063】
このようなシリコーン変性(メタ)アクリレート樹脂などのポリマー、あるいは上記その他のモノマーなどを配合すると、耐汚染性が良好となる傾向がある。また、このような活性エネルギー線硬化性組成物には、通常の活性エネルギー線硬化性組成物に配合されるような成分、例えば、光重合開始剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、防曇剤、密着改良剤などの添加剤、顔料特に無機系顔料などを添加してもよい。
【0064】
光重合開始剤としては、例えば、紫外線硬化に使用される公知のものが使用でき、具体的には、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジエトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグルオキシレート、4,4´−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾインパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシサイドなどのアシルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0065】
該光重合開始剤は、上記成分(b1)と(b2)の合計量100重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましくは、2〜5重量部の量で用いられると、硬化性が良好となり、硬化被膜の黄帯色などへの着色もなく、耐候性、耐熱性、耐汚染性などにも優れる傾向がある。
また、上記紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではなく、該活性エネルギー線硬化性組成物中に均一に溶解し、かつその耐候性が良好なものであれば使用することができるが、該組成物に対する良好な溶解性、硬化阻害という観点からは特開平9−157315号公報等に記載の従来より公知のものを広く使用できる。
【0066】
該紫外線吸収剤のうちでは、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、または、安息香酸フェニル系から誘導された化合物で、その最大吸収波長が240〜380nmの範囲である紫外線吸収剤が好ましい。
該紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(数平均分子量約300)の縮合物、エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N´−(4−イソドデシルフェニル)−(シュウ酸アニリド)、および、エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N´−(2−エチルフェニル)−(シュウ酸アニリド)等が挙げられる。
【0067】
このような紫外線吸収剤は、該活性エネルギー線硬化性組成物中に、通常、0.1〜4重量%の量で、また含まれる成分(b1)と(b2)の合計100重量部に対して、0.1〜4重量部、好ましくは0.5〜2重量部の量で用いられる。上記量で紫外線吸収剤を用いると、耐候性改善効果、架橋硬化被膜の硬化性に優れ、耐擦傷性が良好となる。
【0068】
この活性エネルギー線硬化性組成物を塗布する方法としては、上記シーラーあるいは下塗塗料の場合と同様の方法を採用できる。
またこの活性エネルギー線硬化性組成物からなる未硬化塗膜の厚みは、この塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させうる限り特に限定されないが、該未硬化の活性エネルギー線硬化性塗膜の膜厚としては、好ましくは2〜300μm、さらに好ましくは2〜50μmである。上記範囲の厚みでは、内部の硬化が十分に行われる。
【0069】
なお、活性エネルギー線としては、紫外線、X線及び電子線等が挙げられ、安価な装置が使用できるという点で、紫外線が好ましい。
紫外線照射にて硬化させる場合には、各種光源を使用することができ、例えば低圧〜高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアークランプ等が挙げられる。
【0070】
電子線照射により硬化させる場合には、種々の照射装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型等が挙げられ、電子線としては50〜1000eV、好ましくは100〜300eVのエネルギーを持つものが好ましい。
このように活性エネルギー線を照射すると、該活性エネルギー線硬化性組成物中に含まれている(メタ)アクリロイルオキシ基含有活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分、ラジカル重合性化合物成分(b2)は、炭素−炭素二重結合部位でラジカル重合して短時間に硬化塗膜を形成する。
【0071】
得られたこの硬化塗膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、5〜100μm(厚)、好ましくは20〜80μm(厚)である。
<塗膜付き基材(不燃性基材)及びその用途等>
本発明に係る不燃性基材は、前記基材の表面が、上記の無機系複合塗膜で被覆されていることを特徴としている。
【0072】
上記基材としては、建築建材、無機化粧板、金属化粧板など、前述したような各種基材が挙げられる。
このような本発明に係る不燃性基材によれば、不燃性耐汚染性無機建材、特に、キッチンパネル等の内装壁材に、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与し、コンロ火災等の延焼を防止できる。このような塗膜付き基材は、不燃性を有し、しかも仕上り外観、耐汚染性に優れている。また、このような不燃性基材は、建築物内装材、特に台所用壁材などとして好適に用いられる。また該不燃性基材を台所壁材などとして用いた場合にも、VOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)や、有害な化学物質が塗膜内部からほとんど揮散されないか、揮散されるとしても極微量しか揮散される恐れがなく、該VOCなどによる環境汚染(特に室内汚染)の恐れもなく、従ってシックハウス症候群の問題も生じない。
【0073】
また、本発明に係る基材の汚染防止方法は、基材表面を、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆することを特徴としている。
このような方法で基材表面を被覆する場合には、塗装時に用いられる塗料が何れも上記のように水系シーラー、水系下塗塗料または無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物などであり、有機溶剤吸引の恐れもほとんどなく、作業者にとって安全性が高く、また得られる塗膜は、上記のように基材への密着性に優れ、硬度、表面平滑性、仕上がり外観、耐汚染性、不燃性などにもバランス良く優れる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、無機建材、特に、台所、暖炉等の火気を取扱う箇所に用いられる、キッチンパネル等の内装壁材に、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与することにより、コンロなどの加熱機器が火元となるような火災の延焼防止ができる内装壁材(不燃性耐汚染性無機建材)を提供することができる。
【0075】
本発明においては、基材表面には、シーラーあるいは下塗から上塗りまで全て無機系塗料を塗設しており、得られる塗膜は、不燃性に優れている。
しかも本発明では、上塗り塗料としては、活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化型塗料)好ましくは無溶剤型のものを使用しており、作業者や周囲環境への安全性に優れ、得られる塗膜は、仕上り外観、耐汚染性等にもバランス良く優れている。
【0076】
さらにまた、本発明では、塗膜形成の際に、水系塗料、無溶剤型紫外線硬化塗料を用いており、塗膜より放出(揮散)されるVOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)や、化学物質による汚染の恐れもなく、得られた塗膜、塗膜付き基材などによりシックハウスなどの問題を引き起こす恐れもない。
【0077】
【実施例】
以下、本発明について、実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例、比較例により何等、制限されるものではない。
以下の実施例、比較例などで用いる各主成分は、以下の通り。
(1)リチウムシリケート
本荘化成(株)製。
(2)モビニールDM−765
ヘキスト合成(株)製、スチレン変性アクリルエマルション。
(3)チタン白 R−5N
本荘化成(株)製、無機系顔料(チタン白)。
(4)ハイビゾールL含浸シーラー
中国塗料(株)製、自己乳化型ポリイソシアネート。
(5)スノーテックス30
日産化学(株)、コロイダルシリカ水溶液。
(6)XW501(A)−01
JSR(株)、ポリシロキサンハイブリットポリマー。
【0078】
硬化剤は、カルボン酸誘導体と錫化合物の混合物を使用。
(7)DSR−58
ロームアンドハウス(株)、アクリルエマルション。
(8)UVHC−8558
GE東芝シリコーン(株)製、紫外線硬化型コロイダルシリカ(無機成分)。
(9)紫光UV―6640
日本合成(株)製、ウレタンアクリレート。
(10)UVS−520
大竹化学(株)製、ポリシロキサン変性ウレタンアクリレート(低汚染成分)。
(11)UV―55
大竹化学(株)製、ウレタンアクリレート。
(12)アロニックスM―400
東亜合成(株)、多官能モノマー。
(13)ビスコート260
大坂有機(株)製、2官能モノマー。
(14)イルガキュアー184
チバスペシャリティケミカル(株)製、光開始剤。
(15)ヴァイキュアー55
アクゾノーベル(株)製、光開始剤。
(16)アルカリシーラーNY−2
中国塗料(株)製、1液ウレタン塗料。
(17)EPコートNo.300−30エナメル
中国塗料(株)製、2液ウレタン塗料。
(18)EPコートNo.300−70クリヤ
中国塗料(株)製、2液ウレタン塗料。
(19)オーレックスNo.230―6
中国塗料(株)製、紫外線硬化型塗料。
【0079】
【実施例1】
下記の要領で、基材表面に下記配合組成のシーラー及び下塗を塗装した後、次いで下記配合組成の上塗塗装を行い、図1に模式的に示すような層構成の複合塗膜を、基材表面に形成した。
Figure 0004021204
<塗装工程>
(イ)シーラー塗装
基材としての珪酸カルシウム板(縦:60cm×横30cm×厚0.6cm、アサノ社製を40〜50℃の温度にプレヒートした後、上記シーラーを水で50%希釈してスポンジロールコーター(SRC)にて、40〜50g/m2の量で塗装した後、80℃の熱風にて15分間乾燥した。(乾燥膜厚:15μm)
(ロ)下塗塗装
次いで、上記シーラー塗装面上に、上記下塗塗量をロールコーターにて10g/m2の量で塗装した後、さらにフローコーター(FC)にて150g/m2の量で塗装した。次いで、80℃の温度の熱風にて20分間乾燥させた。(乾燥膜厚:85μm)
(ハ)上塗塗装
次いで、上記下塗塗装面上に、上記上塗塗料をスポンジロールコーター(SRC)にて30〜40g/m2の量で塗装した後、80W/cmの高圧水銀ランプ1灯を3m/分の速度で移動させながら3秒間照射して、硬化させた(乾燥膜厚:35μm)。
<評価方法>
(a)不燃性:建築基準法第2条第9号 「4.10.1」に規定する不燃性試験による。
【0080】
総発熱量 :8MJ/m2以下
最高発熱速度:200kW/m2以下(10秒以上継続して)
外観:防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がないこと
(b)VOC:FLEC法により捕集し測定。
【0081】
TVOCの厚生省指針は400μg/m3以下。
(c)低汚染性:油性黒インキで線を引き、柔らかい布で拭き取る。軽くこすり取れる場合は、再度同一箇所に線を引き拭き取るという操作を拭き取れ難くなるまで繰り返し、その回数を調べる。拭き取り回数が20回以上あれば、低汚染性が高いと評価できる。
<結果>
(a)不燃性: 総発熱量 :3.2MJ/m2
最高発熱速度:54.4kW/m2
外観:防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴はない。
(b)VOC: TVOC 約300μg/m3
(c)低汚染性:拭き取り回数 50回
結果を併せて表1に示す。
【0082】
【実施例2】
下記の要領で、基材表面に下記配合組成のシーラーを塗装した後、下記配合組成の下塗塗装を行い、次いで下記配合組成の上塗塗装を行い、図2に模式的に示すような層構成の複合塗膜を、基材表面に形成した。
<シーラーの配合組成>
ハイビソールL含浸シーラー(中国塗料(株)製)
<下塗塗料(主剤)の配合組成>
Figure 0004021204
<塗装工程>
(イ)シーラー塗装
基材としての珪酸カルシウム板(縦:60cm×横30cm×厚0.6cm、アサノ社製を40〜50℃の温度にプレヒートした後、上記シーラーを水と1:10に混合しスプレーにて、90〜100g/m2の量で塗装した後、80℃の熱風にて15分間乾燥した。(乾燥膜厚:10μm)
(ロ)下塗塗装
次いで、上記シーラー塗装面上に、上記下塗塗料を混合比主剤:硬化剤=40:1でロールコーターにて10g/m2の量で塗装した後、さらにフローコーター(FC)にて150g/m2の量で塗装した。次いで、80℃の温度の熱風にて20分間乾燥させた。(乾燥膜厚:85μm)
(ハ)上塗塗装
次いで、上記下塗塗装面上に、上記上塗塗料をフローコーター(FC)にて70〜80g/m2の量で塗装した後、80W/cmの高圧水銀ランプ1灯を3m/分の速度で移動させながら3秒間照射して、硬化させた(乾燥膜厚:75μm)。
<評価方法>
実施例1と同様の(a)不燃性、(b)VOC、(c)低汚染性を評価する。<結果>
結果を表1に示す。
【0083】
【比較例1〜8】
実施例1において、配合組成や塗装方法などを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に塗装及び評価した。
結果を併せて表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0004021204

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1に示す各塗料の塗装順序を示す模式断面図であり、また該塗料からなる層構成の塗膜の模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2に示す各塗料の塗装順序を示す模式断面図であり、また該塗料からなる層構成の塗膜の模式断面図である。

Claims (13)

  1. (A)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系シーラー塗膜および/または無機系下塗塗膜と、該塗膜(A)表面に形成された、
    (B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜とからなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  2. (A)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系シーラー塗膜および/または無機系下塗塗膜と、該塗膜(A)表面に形成された、
    (B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および
    (b2)この成分(b1)と共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜とからなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  3. (C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成されたシーラー塗膜と、該塗膜(C)表面に形成された、
    (A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系下塗塗膜と、該塗膜(A1)表面に形成された、
    (B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗塗膜とからなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  4. (C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成されたシーラー塗膜と、該塗膜(C)表面に形成された、
    (A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された無機系下塗塗膜と、該塗膜(A1)表面に形成された、
    (B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および
    (b2)この成分(b1)と共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗塗膜とからなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  5. 上記水ガラス系塗料組成物(a1)が、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケートおよびアンモニウムシリケートからなる群から選ばれた少なくとも1種の水ガラスを含む水系塗料である請求項1〜4の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  6. 上記自己乳化型ポリイソシアネート組成物(c1)が、親水性に変性されたポリイソシアネートで化学的に組み込まれたエチレンオキサイドユニットを有するポリエーテル鎖を含有する自己乳化型ポリイソシアネートである請求項3〜5の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  7. 上記無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)が、オルガノアルコキシシランまたはその縮合物またはポリオルガノアルコキシシラン(シラノール基を含む)またはオルガノアルキルシリケートまたはその縮合物またはポリオルガノアルキルシリケートを含む重合性化合物のエマルジョンである請求項1〜6の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  8. 上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物が、さらに、シリコーン変性(メタ)アクリレートを含む請求項1〜7の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  9. 上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物が、溶剤を含まない無溶剤型である請求項1〜8の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  10. 建材の表面が、請求項1〜9の何れかに記載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性基材。
  11. 無機化粧板の表面が、請求項1〜9の何れかに記載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性無機化粧板。
  12. 金属化粧板の表面が、請求項1〜9の何れかに記載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性金属化粧板。
  13. 基材表面を、請求項1〜9の何れかに記載の無機系複合塗膜で被覆することを特徴とする基材の汚染防止方法。
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