JP2003205572A - 無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染防止方法 - Google Patents

無機系複合塗膜、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染防止方法

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JP2003205572A JP2002006428A JP2002006428A JP2003205572A JP 2003205572 A JP2003205572 A JP 2003205572A JP 2002006428 A JP2002006428 A JP 2002006428A JP 2002006428 A JP2002006428 A JP 2002006428A JP 2003205572 A JP2003205572 A JP 2003205572A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 外観、耐汚染性不燃性に優れ、環境に優しい
複合塗膜を提供する。 【解決手段】(A)(a1)水ガラス系塗料組成物また
は(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成
された無機系シーラー塗膜および/または無機系下塗塗
膜と、該塗膜(A)表面に形成された、(B)(b1)
少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
る活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および
(b2)必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合
性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬
化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜とか
らなる無機系複合塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本件発明は、無機系複合塗膜、該塗
膜で被覆された基材および、基材の汚染方法に関し、さ
らに詳しくは、基材表面に塗布形成されると、不燃性を
有し耐汚染性に優れた無機建材、とくに不燃性が求めら
れ、コンロなどの火気を取扱う部位で好適に使用され、
火災の延焼防止が可能であるような内装壁材(とくにキ
ッチンパネル)が得られる無機系複合塗膜、該塗膜で被
覆された基材、および基材の汚染防止方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、家具・内装品や建築物内装
材などから揮散されるVOC(Volatile Organic Compo
unds,揮発性有機化合物)など、各種化学物質によるシ
ックハウスの問題が指摘されている。これに対して、例
えば、基材の表面に塗布される塗料としてシーラーおよ
び/または下塗塗料から上塗り塗料まで、全て水系塗料
を用いれば、VOC対策もでき、環境汚染の恐れも著し
く低減できる可能性がある。
【0003】しかしながらこれまでのところ、シーラー
および/または下塗塗料から上塗り塗料まで、全て水系
塗料を用いることにより、仕上がり外観に優れ、表面の
耐汚染性等の点で充分な塗膜は得られていない。なお、
:特公平3−2828号公報には、セメント系材料を
その表面から、珪酸アルカリを1〜30重量%と固形分
として1〜30重量%となる量のポリマー水性エマルジ
ョンを含有する水性処理液で含浸処理した後、得られた
処理物を乾燥するセメント系材料表面層の強化方法が記
載され、該セメント表面層の強化方法によれば、セメン
ト系材料の表面から内部深くまで強度が高く、耐水性、
耐透水性、耐候性等が改良された表面層を形成で、セメ
ント系材料の表面からの劣化を防止できる旨記載されて
いる。
【0004】しかしながら該塗膜では、仕上がり外観、
表面の耐汚染性の点で充分でない。このため、本発明者
らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、
基材の表面に、水ガラス系塗料組成物または無機系水性
エマルジョン塗料組成物(ロ)から形成された、無機系
シーラー塗膜および/または該組成物(ロ)から形成さ
れた無機系下塗塗膜(A)と、該塗膜(A)表面に形成
された、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ
基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成
分および必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合
性化合物成分を含有する活性エネルギー線重合性無機系
(硬化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜
(B)と、からなる無機系複合塗膜が形成されている
か、あるいは、基材の表面に、水ガラス系塗料組成物ま
たは自己乳化型ポリイソシアネート組成物(イ)から形
成されたシーラー塗膜(C)と、該塗膜(C)表面に、
水ガラス系塗料組成物または無機系水性エマルジョン塗
料組成物(ロ)から形成された無機系下塗塗膜(A1)
と、該塗膜(A1)表面に形成された、上記無機系上塗
り塗膜(B)と、からなる無機系複合塗膜が形成されて
いると、これら複合塗膜は、仕上がり外観に優れ、塗膜
表面の耐汚染性に優れ、シックハウスの問題もなく環境
に優しく、さらに不燃性に優れ、コンロなどの火気を取
扱う部位で好適に使用でき、これらの複合塗膜を例えば
内装壁材の表面に設けると、火災の延焼防止が可能であ
るような無機系複合塗膜を備えた内装壁材(とくにキッ
チンパネル)が得られることなどを見出して本発明を完
成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、無機建材、特
に、キッチンパネル等の内装壁材に、不燃性および耐汚
染性の両方の性能を付与し、コンロ火災等の延焼を防止
できる複合塗膜あるいは該塗膜で被覆された基材(塗膜
付き内装壁材)並びにそれらの形成方法を提供すること
を目的としている。
【0006】本発明は、特に、不燃性を有し、しかも仕
上り外観、耐汚染性に優れているような複合塗膜あるい
は該塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供す
ることを目的としている。また、本発明は、VOC(Vo
latile Organic Compounds,揮発性有機化合物)などの
各種化学物質によるシックハウスの問題もなく、環境汚
染の恐れもないような塗膜および塗膜付き内装壁材並び
にそれらの形成方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る第1の無機系複合塗膜
(層)は、(A)(a1)水ガラス系塗料組成物または
(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成さ
れた無機系シーラー塗膜(層)および/または該組成物
から形成された無機系下塗塗膜(層)と、該塗膜(A)
表面に形成された、(B)(b1)少なくとも1個の
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー
線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応
じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物を含有す
る活性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物
から形成された無機系上塗り塗膜(層)とからなること
を特徴としている。
【0008】本発明に係る第2の無機系複合塗膜(層)
は、(C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c
1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成され
たシーラー塗膜(層)と、該塗膜(C)表面に形成され
た、(A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a
2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された
無機系下塗塗膜(層)と、該塗膜(A1)表面に形成さ
れた、(B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリ
ロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイ
ダルシリカ成分および(b2)必要に応じてこれと共重
合しうるラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギ
ー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された
無機系上塗塗膜とからなることを特徴としている。
【0009】上記第1、第2の無機系複合塗膜(層)
は、好ましくは基材表面に形成され、その場合、第1の
無機系複合塗膜(層)は、基材/(A)/(B)の順序
となるように設けられ、また第2の無機系複合塗膜
(層)は、基材/(C)/(A1)/(B)の順序とな
るように設けられる。上記活性エネルギー線重合性無機
系(硬化性)塗料組成物が、さらに、シリコーン変性
(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0010】本発明においては、上記水ガラス系塗料組
成物(a1)が、カリウムシリケート、ナトリウムシリ
ケート、リチウムシリケートおよびアンモニウムシリケ
ートからなる群から選ばれた少なくとも1種の水ガラス
を含む水系塗料であることが好ましい。本発明において
は、上記自己乳化型ポリイソシアネート組成物(c1)
が、親水性に変性されたポリイソシアネートで化学的に
組み込まれたエチレンオキサイドユニットを有するポリ
エーテル鎖を含有する自己乳化型ポリイソシアネートで
あることが好ましい。
【0011】本発明においては、上記無機系水性エマル
ジョン塗料組成物(a2)が、オルガノアルコキシシラ
ンまたはその縮合物またはポリオルガノアルコキシシラ
ン(シラノール基を含む)またはオルガノアルキルシリ
ケートまたはその縮合物またはポリオルガノアルキルシ
リケートを含む重合性化合物のエマルジョンであること
が好ましい。
【0012】本発明においては、上記活性エネルギー線
重合性無機系(硬化性)塗料組成物が、溶剤を含まない
無溶剤型であることが好ましい。本発明に係る不燃性建
材は、建材の表面が、上記のいずれかに記載の無機系複
合塗膜で被覆されたことを特徴としている。本発明に係
る不燃性無機化粧板は、無機化粧板の表面が、上記のい
ずれかに記載の無機系複合塗膜で被覆されたことを特徴
としている。
【0013】本発明に係る不燃性金属化粧板は、金属化
粧板の表面が、上記のいずれかに記載の無機系複合塗膜
で被覆されたことを特徴としている。本発明に係る基材
の汚染防止方法は、基材表面を、上記のいずれかに記載
の無機系複合塗膜で被覆することを特徴としている。本
発明によれば、無機建材、特に、キッチンパネル等の内
装壁材に代表される各種基材表面に塗布形成されること
により、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与し、
コンロ火災等の延焼を防止できる複合塗膜あるいは該塗
膜で被覆された基材(塗膜付き内装壁材)並びにそれら
の形成方法を提供することができる。
【0014】本発明によれば、特に、不燃性を有し、し
かも仕上り外観、耐汚染性に優れているような複合塗膜
あるいは該塗膜付き内装壁材並びにそれらの形成方法を
提供することができる。また、本発明によれば、VOC
(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合物)な
ど、種々の化学物質によるシックハウスの問題が生じな
いなど、環境汚染の恐れもないような塗膜および塗膜付
き内装壁材並びにそれらの形成方法を提供することがで
きる。
【0015】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る無機系複合塗
膜、その形成法、該塗膜で被覆された基材、基材の汚染
防止方法について、具体的に説明する。<無機系複合塗膜> 本発明に係る第1の無機系複合塗膜
(層)は、そのままでも不燃性、耐汚染性などの求めら
れる種々の用途に基材なしでも使用しうるが、好ましく
は基材表面に下記(A)層/(B)層の順で形成され
る。
【0016】この第1の複合塗膜は、(A)(a1)水
ガラス系塗料組成物または(a2)無機系水性エマルジ
ョン塗料組成物から形成された無機系シーラー塗膜
(層)および/または無機系下塗塗膜(層)と、該塗膜
(A)表面に形成された、(B)(b1)少なくとも1
個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネル
ギー線重合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要
に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化合物成分
を含有する活性エネルギー線重合性無機系硬化性塗料組
成物から形成された無機系上塗り塗膜(層)とからなっ
ている。
【0017】特に本発明の好ましい態様を示す第2の無
機系複合塗膜(層)は、上記第1の複合塗膜と同様に、
そのままでも不燃性、耐汚染性などの求められる種々の
用途に基材なしでも使用しうるが、好ましくは基材表面
に下記(C)層/(A1)層/(B)層の順で形成され
る。この第2の複合塗膜は、(C)(a1)水ガラス系
塗料組成物または(c1)自己乳化型ポリイソシアネー
ト組成物から形成されたシーラー塗膜と、該塗膜(C)
表面に形成された、(A1)(a1)水ガラス系塗料組
成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物
から形成された無機系下塗塗膜と、該塗膜(A1)表面
に形成された、(B)(b1)少なくとも1個の(メ
タ)アクリロイルオキシ基を有する活性エネルギー線重
合性コロイダルシリカ成分および(b2)必要に応じて
これと共重合しうるラジカル重合性化合物を含有する活
性エネルギー線重合性無機系(硬化性)塗料組成物から
形成された無機系上塗塗膜とからなっている。
【0018】すなわち、第2の複合塗膜は、(好ましく
は基材表面に)予め(C)層を形成した後で、第1の複
合塗膜を形成したもので、第1の複合塗膜における
(A)層は第2の複合塗膜では(A1)層に限定されて
いる。第1の複合塗膜では、基材表面に、まずシーラー
塗膜と下塗塗膜の両者がこの順序で設けられる場合、何
れか一方が(a1)水ガラス系塗料組成物から形成さ
れ、他方が(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物
から形成されていてもよく、両方が(a1)水ガラス系
塗料組成物あるいは(a2)無機系水性エマルジョン塗
料組成物から形成されていてもよい。
【0019】また、第1の複合塗膜では、基材表面に、
シーラー塗膜と下塗塗膜の何れか一方のみが上塗り塗装
に先立って設けられる場合、当該シーラー塗膜あるいは
下塗塗膜は、(a1)水ガラス系塗料組成物と(a2)
無機系水性エマルジョン塗料組成物の何れから形成され
ていてもよい。これらの(不燃性)無機系複合塗膜を構
成している各層(塗膜)の厚さは、特に限定されない
が、例えば、無機系シーラー塗膜(層)は、5〜20μ
m(厚)であり、無機系下塗塗膜(層)は、50〜10
0μm(厚)であり、無機系上塗り塗膜(層)は、5〜
100μm(厚)である。[基材] このような(不燃性)無機系複合塗膜が基材表
面に設けられる場合、基材としては、その材質は、無機
物でも有機物でもよく、台所周りなどに耐火性(不燃
性)を付与する点からは無機系のものが好ましい。
【0020】このような基材として、具体的には、金属
例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、亜鉛な
ど;各種ガラス質;陶器;磁器;コンクリート;石材な
どのセラミック;天然板、合板等の木質板;各種プラス
チック板;珪酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)等
の無機質板;及びそれらの組み合わせが挙げられる。こ
れらの中でも無機物、例えば、コンクリート、セラミッ
ク、珪酸カルシウムが密着性の点、耐久性の点、不燃性
の点で好ましい。
【0021】また、このような有機系あるいは無機系材
質、特に無機系資材からなる基材としては、屋内台所の
コンロ周辺あるいは屋内暖炉周辺に用いられる壁材、天
井材などの建築資材;ガードレールやフェンスなどの道
路関連資材;屋根材、胴縁、雨戸、雨樋、外壁材などの
建築資材;自動車外装材等の自動車部品;エアコン室外
機などの家電製品;などのように、屋外用途で使用され
る金属部材などが好適に挙げられる。[水ガラス系塗料組成物(a1)及びその塗膜] 水ガラ
ス系塗料組成物(a1)は、基材表面あるいはシーラー
塗膜表面に塗付され、無機系シーラー塗膜(層)および
/または無機系下塗塗膜(層)となるが、この水ガラス
系塗料組成物(a1)は、例えば、特開平7−3402
9号公報、特公平3−2828号公報などにも記載され
ているように、一般式「M2O・nSiO2」[Mは、ア
ルカリ金属またはアンモニウム(NH4)であり、N
a、K、Li、Cs、NH4、好ましくはNa、K、L
i、NH4を示し、これらアルカリ金属等は1種または
2種以上組み合わせて用いることができる。n(モル
比)は、通常2.0〜4.1の数。]で表される水溶性
アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液である。
【0022】このようなアルカリ金属ケイ酸塩として、
具体的には、例えば、ケイ酸カリウム(カリウムシリケ
ート)、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ、ナトリウム
シリケート)、ケイ酸リチウム(リチウムシリケー
ト)、ケイ酸セシウム、ケイ酸アンモニウム(アンモニ
ウムシリケート)などが挙げられ、これらのうちでは、
カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウム
シリケートおよびアンモニウムシリケートが好ましい。
これらのアルカリケイ酸塩は1種または2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0023】該水ガラス系塗料組成物(a1)には、任
意成分として、下記のような成分が含まれていてもよ
い。すなわち、石英粉、天然石粉、ケイ砂、粘土、アス
ベスト、パーライト、活性化シラス、カーボンファイバ
ー、ガラスファイバー等の骨材や無機充填材;酸化チタ
ン、シリカ、亜鉛華等の無機顔料;得られる塗膜の耐ク
ラック性に寄与するフェノール樹脂の初期縮合物である
レゾール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、エ
ポキシ樹脂等の樹脂(好ましくはこれらの樹脂エマルジ
ョン);得られる塗膜の耐クラック性に寄与するSB
R、NBR、クロロプレンゴム、天然ゴム等のゴム(好
ましくはこれらのゴムラテックス);上記水ガラス用の
後述する硬化剤;粘度調整用の界面活性剤;粘度調整用
の増粘剤例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース等の有機系増
粘剤、あるいはベントナイト、アエロジル等の無機系増
粘剤;その他、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、レ
ベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、密着改良
剤、分散剤などが含まれていてもよい。
【0024】本発明では特に必要としないが、上記水ガ
ラス用硬化剤としては、従来より公知のものが挙げられ
る。例えば、亜鉛末などの金属やカルシウム、マグネシ
ウム、アルミニウム等の多価金属の酸化物(金属酸化
物)、同金属の水酸化物(金属水酸化物)、リン酸アル
ミニウム、トリポリリン酸(テイカ(株)製)、リン酸
亜鉛などの2〜3価金属のリン酸塩、同金属のホウ酸
塩、ケイフッ化ナトリウム、フエロシリコン、炭酸エチ
レン、グリオキザール、多糖類のプルランなどを必要に
より使用してもよい。
【0025】上記水ガラス系物質は、「ケイ酸ソーダ1
号、2号、3号、4号」等の商品名で、日本化学工業
(株)などより上市されている。また、上記樹脂エマル
ジョン、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、スチレ
ン/アクリル酸エステル共重合体樹脂エマルジョンなど
としては、例えば、「モビニール」(クラリアントポリ
マー社製)より上市されているものを使用できる。
【0026】このような水ガラス系塗料組成物(a1)
からなる塗膜を形成するには、基材表面、あるいは後述
する無機系水性エマルジョン塗料組成物製塗膜(a2)
表面に、該水ガラス系塗料組成物(a1)を1〜数回、
刷毛塗り、流し塗り、回転塗布、スプレー塗布、浸漬塗
布などの公知の方法にて塗布し、常温下に自然乾燥させ
るか、または、60〜150℃、好ましくは80〜12
0℃の温度で10〜20分間程度、加熱乾燥等すればよ
い。
【0027】得られた乾燥・硬化塗膜(a1)の膜厚
は、特に限定されないが、例えば、30〜100μm
(厚)、好ましくは50〜80μm(厚)である。この
ように乾燥・硬化した、水ガラス系塗料組成物(a1)
からなる塗膜は基材との密着性および該水ガラス系塗料
組成物(a1)からなる層の表面に設けられる上塗り層
との密着性に優れ、耐水性、耐熱性等に優れている。
【0028】なお、上記のように(a1)水ガラス系塗
料組成物を乾燥させると、水ガラス系塗料組成物(a
1)中の金属イオン(M+)と硬化剤とが反応して水不
溶性化合物となり、また水ガラス系塗料組成物(a1)
中に「Si(O-−M+4+4H2O→M++Si(O
H)2- 6+2OH-」の反応で生じた水酸化物イオン「S
i(OH)2- 6」は、脱水・自己縮合してシロキサン結
合「−(Si−O)n − 」を形成して高分子膜を形成
し、硬化しているものと考えられる。[無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)及びその
塗膜] 無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)は、
基材表面に塗布され無機系シーラー塗膜(層)となり、
あるいは水ガラス系塗膜(a1)表面に塗付され、無機
系下塗塗膜(層)となるが、該無機系水性エマルジョン
塗料組成物(a2)は、水に不溶〜難溶性の樹脂(ある
いは樹脂形成成分)好ましくは無機系樹脂(あるいは樹
脂形成成分)を水中に分散させ、必要により任意成分と
して、顔料等を加えてなる塗料であって、該塗料組成物
に配合可能な上記任意成分として、油脂、その他の樹
脂、可塑剤、ガゼイン、澱粉等の保護コロイド、乳化
剤、溶剤(例:C1〜C5程度のアルコール系溶剤)、
顔料特に無機系顔料などが挙げられる。
【0029】上記必須成分の樹脂あるいは樹脂形成成分
(モノマー、オリゴマー、未硬化ポリマー等)として
は、該樹脂あるいは樹脂形成成分を含む塗料を塗装硬化
させて得られる塗膜の種類、性質等に着目すると、無機
系樹脂、有機系樹脂、有機無機複合系樹脂、あるいはこ
れらの樹脂形成成分であるモノマー、オリゴマー、未硬
化反応性ポリマー等(以下、樹脂形成成分も含めて樹脂
とも言う。)が挙げられ、特に無機系樹脂あるいは樹脂
形成成分を用いると、得られる塗膜の不燃性が向上する
傾向がある。また、無機系樹脂あるいは無機系樹脂形成
成分と、有機系樹脂あるいは有機系樹脂形成成分とを併
用すると、耐クラック性などの点で好ましい。
【0030】無機系樹脂あるいは樹脂形成成分として
は、オルガノアルコキシシラン、その低次の縮合物、ま
たはその高次の縮重合物であるポリオルガノアルコキシ
シラン(シラノール基を含む)を含むか、またはオルガ
ノアルキルシリケート、その低次の縮合物、またはその
高次の縮重合物であるポリオルガノアルキルシリケート
を含む重合性化合物が好ましい。
【0031】上記オルガノアルコキシシランあるいはオ
ルガノアルキルシリケートとしては、例えば、下記式
(2)で表されるものが挙げられる。 (R3 O)4-b −Si−(R4b ・・・・・(2) 式(2)中、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキ
ル基、炭素数1〜4のアシル基からなる群より選択され
た1価の炭化水素基を表す。
【0032】R4は、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキ
ル基、炭素数2〜11のエポキシアルキル基、炭素数2
〜11のアルケニル基、炭素数2〜4のアシル基、炭素
数1〜5のアミノアルキル基、炭素数1〜5のメルカプ
トアルキル基、炭素数1〜5のハロアルキル基からなる
群より選択された1価の炭化水素基を表し、好ましくは
4は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10
のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基の何れか
を表す。
【0033】R3及び/又はR4が複数存在する場合に
は、同一であっても異なっていてもよい。また、bは、
0〜2の整数を表す。なお、上記式(2)中、b=0の
場合はオルガノアルキルシリケートに相当する。また、
b=1〜2の場合はオルガノアルコキシシランに相当す
る。
【0034】上記オルガノアルコキシシランまたはオル
ガノアルキルシリケート(2)として、具体的には、例
えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケー
ト、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピ
ルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi
−ブチルシリケート等のテトラアルキルシリケート;メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリsec−
オクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、
メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン等の他に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキ
シルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0035】これらオルガノアルコキシシランまたはオ
ルガノアルキルシリケート(2)はシランカップリング
剤としても機能する。上記オルガノアルコキシシランま
たはオルガノアルキルシリケート(2)モノマーは、加
水分解縮重合され、数平均分子量Mn100〜3000
程度の「(低次の)縮合物」として塗料中に配合されて
もよく、また、数平均分子量Mn3000を超え〜20
000の高次の縮重合物であるポリオルガノアルコキシ
シラン(シラノール基を含有)またはポリオルガノアル
キルシリケートとして塗料中に配合されていてもよい。
【0036】なお、上記オルガノアルコキシシランまた
はオルガノアルキルシリケート(2)は、加水分解され
ると、「H2O+R3 O−Si≡」→「R3OH+HO−
Si≡」となり、また隣接する「HO−Si≡」間で脱
水重縮合が生じて「≡Si−OH+HO−Si≡」→
「≡Si−O−Si≡+H2O(水)」となり、シロキ
サン結合が形成されていくものと考えられる。
【0037】これら樹脂あるいは樹脂形成成分は、この
塗料中に、通常、10〜80重量%、好ましくは30〜
70重量%となるような量で用いられる。有機系樹脂と
しては、酢酸ビニルの単独重合体、エチレン/塩化ビニ
ル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル/アクリル酸、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエ
ステル(veova)共重合体などが挙げられる。
【0038】これらの有機系樹脂あるいは樹脂形成成分
としては、例えば、「モビニールDM−765」(ヘキ
スト合成(株)、樹脂エマルジョン)として上市されて
いるものが使用できる。このように樹脂(あるいは樹脂
形成成分)として、無機系樹脂(あるいは樹脂形成成
分)と有機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)とを併用す
る場合には、両者の合計100重量部中に、無機系樹脂
(あるいは樹脂形成成分)は通常、30〜99重量部、
好ましくは50〜95重量部、特に好ましくは60〜9
0重量部の量で、有機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)
は残部量すなわち、通常1〜70重量部、好ましくは5
〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部の量で
用いられることが望ましい。
【0039】このような有機系樹脂(あるいは樹脂形成
成分)と上記無機系樹脂(あるいは樹脂形成成分)と
を、好ましくは上記量で併用すると、基材および上塗り
層との密着性、耐クラック性等に優れる傾向がある。こ
のような無機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)か
らなる塗膜を形成するには、該無機系水性エマルジョン
塗料組成物(a2)を基材表面あるいは前記水ガラス系
塗料組成物製塗膜(a1)表面に、1〜数回、刷毛塗り
を行うなど上記と同様にして塗布し、常温下に自然乾燥
させるか、または、60〜150℃、好ましくは80〜
120℃の温度で10〜20分間程度、加熱乾燥等すれ
ばよい。
【0040】得られた乾燥・硬化塗膜(a2)の膜厚
は、特に限定されないが、例えば、30〜100μm
(厚)、好ましくは50〜80μm(厚)である。この
ように乾燥・硬化した、無機系水性エマルジョン塗料組
成物(a2)からなる塗膜は基材との密着性および該無
機系水性エマルジョン塗料組成物(a2)からなる層の
表面に設けられる上塗り層との密着性に優れ、耐水性、
耐熱性等に優れている。
【0041】[シーラーおよびシーラーから形成された
塗膜(層)(C)]特に、本発明の好ましい態様を示す
第2の無機系複合塗膜では、上記基材の表面には、予
め、(C)(a1)水ガラス系塗料組成物または(c
1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形成され
たシーラー塗膜が形成される。このシーラーとしては、
好ましくは特開平6−92756号公報の「0008」
〜「0023」、「0028」〜「0029」の各欄に
記載の下地処理剤が基材や後続の塗膜(層)との付着性
に優れ、大気汚染防止性、塗装作業性、耐凍結融解性、
得られる無機系複合塗膜の仕上がり外観、塗装安全性な
どの点で好適に用いられる。
【0042】すなわち、シーラー(C)としては、乳化
性親水基含有イソシアネートプレポリマーに、水を添加
し希釈してなる下地処理剤が好ましい。この下地処理剤
(シーラー)には、乳化性親水基含有イソシアネートプ
レポリマー100重量部に対して水は、好ましくは50
〜700重量部の量で用いることが粘度が適正で塗装性
に優れ、基材への含浸、浸透性が良好で、基材表層を強
化でき、硬化時間も適切で望ましい。また、この下地処
理剤は、調製後8時間以内、好ましくは3時間以内に塗
布することが上記諸性能発揮上好ましい。すなわち、下
地処理剤は調製後、該プレポリマー中のイソシアネート
基と、水との反応が開始し、水性ポリウレタン分散液
(ウレタンエマルジョン)となるが、そのポリウレタン
の分子量が増大するに連れて、基材への下地処理剤の含
浸性が低下して、基材表面のみで硬化膜を形成してしま
い、充分に、基材表層を強化できなくなるおそれがある
ためである。
【0043】乳化性親水基含有イソシアネートプレポリ
マーとしては、親水的に変性されたポリイソシアネート
であって、化学的に組み込まれたエチレンオキシドユニ
ットを有するポリエーテル鎖を含有するポリイソシアネ
ートが好ましい。この乳化性親水基含有イソシアネート
プレポリマーの調製に供されるイソシアネートとして
は、公知のヘキサメチレンジイソシアネート〔HMD
1〕、トリス(6−イソシアネートヘキシル)イソシア
ヌレート〔HDIトリマー〕、及びポリメチレンポリフ
ェニルイソシアネート〔MDI〕等が挙げられる。
【0044】一方、乳化性親水基を形成するには、高級
アルコールにエチレンオキシドを付加して得られる非イ
オン界面活性剤で、その一般式は、RO(CH2CH
2O)nH(Rは、アルキル基である)で示されるポリエ
チレングリコールエーテル等が使用される。このポリエ
チレングリコールエーテルには、自己乳化性があるため
イソシアネートとの重合反応物は、水による乳化希釈が
可能となる。
【0045】乳化性親水基含有イソシアネートプレポリ
マーの製造方法は、特開昭62−185707号公報、
特公平4−15270号公報などによって公知であり、
この特開昭62−185707号公報には、水性ポリウ
レタン分散液(ウレタンエマルジョン)の連続的製造方
法などが開示されているが、この水性ポリウレタン分散
液製造過程における「中間製品」である乳化性親水基含
有イソシアネートプレポリマーは、多孔性無機質材に対
し含浸、浸透性がよく、材の表層を強化することがで
き、さらに、水で希釈可能な為、各種材に適した水希釈
で塗布量調整が可能であり、本発明ではシーラー(C)
として好適に使用される。
【0046】このような乳化性親水基含有イソシアネー
トプレポリマー、例えば、エチレンオキシド変性HDI
系イソシアネートプレポリマーは、イソシアヌレート環
を有するヘキサメチレンジイソシアネート重合体に、上
記ポリエチレングリコールを加えて昇温し、加熱(例:
70℃)下に数時間反応させることにより得られる。基
材の表面に含浸、浸透した乳化性親水基含有イソシアネ
ートプレポリマーは従来、公知の溶剤系イソシアネート
プレポリマーと同様、水分と反応し尿素結合ができ、こ
れにより基材の表層は樹脂化され強化され、そのシーラ
ー塗膜(C)表面に形成される(A)特に(A1)との
付着性が良く、経時での水侵入や凍結溶解による剥離な
どが生じ難い。
【0047】塗装方法としては、従来より公知の刷毛塗
り、スプレー塗り、スポンジロールコーター塗り等が利
用できる。乾燥方法としては、常温(自然)乾燥、加熱
乾燥等を採用でき、基材にシーラー(下地処理剤)を塗
布する前に、基材をプレヒートして下地処理剤を塗布し
乾燥を促進しても良く、基材に下地処理剤を塗布後、加
熱乾燥しても良い。又、その両方でも良く常温のまま乾
燥しても良い。
【0048】なお、そのシーラー塗膜(C)の膜厚は、
上記の通りである。次いで、このシーラー塗膜(層)
(C)の上に、第2の無機系複合塗膜では、上記塗料
(層)(A)のうちで、(A1)(a1)水ガラス系塗
料組成物または(a2)無機系水性エマルジョン塗料組
成物から形成された無機系下塗塗膜(層)が形成され、
以下、第1の無機系複合塗膜と同様である。
【0049】[活性エネルギー線重合性無機系塗料組成
物および該塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜
(層)(B)]活性エネルギー線重合性無機系塗料組成
物は、上記シーラーあるいは下塗層(A)の表面に塗布
されるが、該活性エネルギー線硬化性組成物には、少な
くとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する活
性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)お
よび必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合性化
合物成分(b2)が含有されている。 (活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b
1))活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分
(b1)としては、少なくとも1個の(メタ)アクリロ
イルオキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダ
ルシリカが用いられる。
【0050】このような活性エネルギー線重合性コロイ
ダルシリカ成分(b1)は、例えば、原料の未処理コロ
イダルシリカ中の末端水酸基(−OH)と、(メタ)ア
クリロイルオキシ基を有する不飽和モノマーとを、必要
により触媒、溶剤あるいは分散媒などの存在下に、温度
20〜90℃で、常圧下で、0.5〜10時間程度反応
させて得られる。
【0051】上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
る不飽和モノマーとしては、具体的には、例えば、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシ基とアル
コキシ基とを有するシラン化合物などが挙げられる。上
記(メタ)アクリロイルオキシ基とアルコキシ基とを有
するシラン化合物としては、従来より公知のものを広く
使用でき、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0052】ここで上記不飽和モノマーが、例えば、
(メタ)アクリル酸である場合は、エステル化反応が生
じて活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b
1)が得られる。また、上記不飽和モノマーがγ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランな
ど、(メタ)アクリロイルオキシ基とアルコキシ基とを
有するシラン化合物(モノマー)であるときは、未処理
コロイダルシリカの水酸基(−OH)と該モノマーのア
ルコキシ基との間で加水分解縮合(脱アルコール)が生
じて、コロイダルシリカにUV反応基が導入された活性
エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)が得
られる。
【0053】上記(メタ)アクリル酸、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のモノ
マー量が上記範囲にあると、得られる活性エネルギー線
硬化性組成物は造膜性が良好で、該組成物からなる塗膜
は白化せず優れた性能の塗膜を形成できる。上記原料シ
リカ粒子としては、特に限定されないが、例えば、特開
平9−157315号公報などにも記載されているよう
な、その一次粒径が1〜200ミリミクロン、好ましく
は5〜80ミリミクロンのものが分散状態の安定性、得
られる塗膜の透明性などの点から望ましい。
【0054】上記コロイダルシリカと(メタ)アクリル
酸とのエステル化反応に用いられる上記エステル化触媒
としては必要により従来より公知のものが用いられる。
また上記コロイダルシリカとγ−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルトリメトキシシラン等との加水分解縮合
反応に用いられる加水分解縮合用触媒としては、H2
などが挙げられる。
【0055】上記活性エネルギー線重合性コロイダルシ
リカ成分(b1)調製の際には、溶剤あるいは分散媒と
しては、従来より公知のものを用いることができ、例え
ば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール、n−プロパノールなどのアルコール
類、エチレングリコールなどの多価アルコール類、エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの多価アルコール
誘導体、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアク
リレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの
アクリレート類および一般有機溶剤類が挙げられる。
【0056】これらのうちでは、炭素数が1〜4のアル
コール類を用いることがシックハウス問題などの環境対
策上好ましい。溶媒あるいは分散媒は、通常、上記(メ
タ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和脂肪酸による
エステル化処理をされていない“未処理”コロイダルシ
リカ(固形分)100重量部に対し、100〜900重
量部の量で用いられる。
【0057】該溶剤あるいは分散媒が、上記量で用いら
れると、被膜の平滑性および均一性に優れ、被膜の膜厚
が適度となり、耐擦傷性、耐候性などがバランス良く良
好となる。本発明では、上記活性エネルギー線重合性コ
ロイダルシリカ成分(b1)としては、上市されている
ものを使用してもよく、例えば、「UVHC−855
8」(コロイダルシリカをγ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシランで処理したもの、GE
東芝シリコーン(株)製)等が挙げられる。
【0058】なお、本発明では、該活性エネルギー線硬
化性組成物には、溶剤、さらには有機溶剤、特にVOC
対策上問題となるような有機溶剤(例:ホルムアルデヒ
ド等)は含有されていないことが、得られる塗膜のシッ
クハウス対策、塗装作業上の安全性、環境対策などの点
から好ましい。これら未処理コロイダルシリカとして
は、酸性または塩基性の何れの形態で上市されているも
のも使用できる。
【0059】上記のようにして得られた活性エネルギー
線重合性コロイダルシリカ成分(b1)は硬化被膜の耐
擦傷性および表面硬度を著しく改良する。また、活性エ
ネルギー線重合性コロイダルシリカ成分(b1)(固形
分)は、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部中
に、通常、5〜30重量部、好ましくは10〜20重量
部の量で用いられることが望ましい。
【0060】この活性エネルギー線重合性コロイダルシ
リカ成分(b1)量が上記範囲にあると、(硬化皮膜の
耐擦傷性が良好となり、しかも硬化皮膜にクラックの発
生が生じにくく、シーラー塗膜あるいは下塗層との密着
性に優れる傾向がある。本発明においては、この活性エ
ネルギー線硬化性組成物には、上記活性エネルギー線重
合性コロイダルシリカ成分(b1)と共に、上記ラジカ
ル重合性化合物成分(b2)が含まれていてもよい。
【0061】このようなラジカル重合性化合物成分(b
2)としては、例えば、リノール酸、リノレン酸、オレ
イン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラ
コン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イ
ソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチ
ルグリシジルアクリレート及びβ−メチルグリシジルメ
タクリレート等のエポキシ基を有する不飽和単量体;ス
チレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合
物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、ビニルステアレート、アクリルアセテ
ート、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアル
キルエステル、ハロゲン含有ビニル単量体、シリコーン
変性(メタ)アクリレートなどのケイ素含有ビニル単量
体、エチレンなどを挙げることができる。これらは、1
種単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることがで
きる。
【0062】これらのラジカル重合性化合物成分(b
2)は、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部中
に、通常、0〜90重量部、好ましくは75〜85重量
部の量で用いられる。また、本発明では、上記ラジカル
重合性化合物成分(b2)に代えて、この成分(b2)
同士を1種または2種以上ラジカル重合させた、シリコ
ーン変性(メタ)アクリレート樹脂などのポリマーを用
いてもよい。
【0063】このようなシリコーン変性(メタ)アクリ
レート樹脂などのポリマー、あるいは上記その他のモノ
マーなどを配合すると、耐汚染性が良好となる傾向があ
る。また、このような活性エネルギー線硬化性組成物に
は、通常の活性エネルギー線硬化性組成物に配合される
ような成分、例えば、光重合開始剤、紫外線吸収剤、ヒ
ンダードアミン系等の光安定剤、酸化防止剤、熱重合防
止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、帯
電防止剤、防曇剤、密着改良剤などの添加剤、顔料特に
無機系顔料などを添加してもよい。
【0064】光重合開始剤としては、例えば、紫外線硬
化に使用される公知のものが使用でき、具体的には、例
えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエー
テル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイ
ソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイ
ン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフ
ェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−
ジエトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェ
ニルグリオキシレート、エチルフェニルグルオキシレー
ト、4,4´−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノ
ン)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4
−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイ
ンパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物、2,
4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキ
シサイドなどのアシルホスフィンオキサイドなどが挙げ
られる。
【0065】該光重合開始剤は、上記成分(b1)と
(b2)の合計量100重量部に対して、通常0.5〜
10重量部、好ましくは、2〜5重量部の量で用いられ
ると、硬化性が良好となり、硬化被膜の黄帯色などへの
着色もなく、耐候性、耐熱性、耐汚染性などにも優れる
傾向がある。また、上記紫外線吸収剤としては、特に限
定されるものではなく、該活性エネルギー線硬化性組成
物中に均一に溶解し、かつその耐候性が良好なものであ
れば使用することができるが、該組成物に対する良好な
溶解性、硬化阻害という観点からは特開平9−1573
15号公報等に記載の従来より公知のものを広く使用で
きる。
【0066】該紫外線吸収剤のうちでは、ベンゾフェノ
ン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、
または、安息香酸フェニル系から誘導された化合物で、
その最大吸収波長が240〜380nmの範囲である紫
外線吸収剤が好ましい。該紫外線吸収剤としては、例え
ば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロ
キシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ
フェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール
(数平均分子量約300)の縮合物、エタンジアミド−
N−(2−エトキシフェニル)−N´−(4−イソドデ
シルフェニル)−(シュウ酸アニリド)、および、エタ
ンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N´−
(2−エチルフェニル)−(シュウ酸アニリド)等が挙
げられる。
【0067】このような紫外線吸収剤は、該活性エネル
ギー線硬化性組成物中に、通常、0.1〜4重量%の量
で、また含まれる成分(b1)と(b2)の合計100
重量部に対して、0.1〜4重量部、好ましくは0.5
〜2重量部の量で用いられる。上記量で紫外線吸収剤を
用いると、耐候性改善効果、架橋硬化被膜の硬化性に優
れ、耐擦傷性が良好となる。
【0068】この活性エネルギー線硬化性組成物を塗布
する方法としては、上記シーラーあるいは下塗塗料の場
合と同様の方法を採用できる。またこの活性エネルギー
線硬化性組成物からなる未硬化塗膜の厚みは、この塗膜
に活性エネルギー線を照射し硬化させうる限り特に限定
されないが、該未硬化の活性エネルギー線硬化性塗膜の
膜厚としては、好ましくは2〜300μm、さらに好ま
しくは2〜50μmである。上記範囲の厚みでは、内部
の硬化が十分に行われる。
【0069】なお、活性エネルギー線としては、紫外
線、X線及び電子線等が挙げられ、安価な装置が使用で
きるという点で、紫外線が好ましい。紫外線照射にて硬
化させる場合には、各種光源を使用することができ、例
えば低圧〜高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノ
ンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアークランプ等
が挙げられる。
【0070】電子線照射により硬化させる場合には、種
々の照射装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシ
ン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型等が挙げられ、
電子線としては50〜1000eV、好ましくは100
〜300eVのエネルギーを持つものが好ましい。この
ように活性エネルギー線を照射すると、該活性エネルギ
ー線硬化性組成物中に含まれている(メタ)アクリロイ
ルオキシ基含有活性エネルギー線重合性コロイダルシリ
カ成分、ラジカル重合性化合物成分(b2)は、炭素−
炭素二重結合部位でラジカル重合して短時間に硬化塗膜
を形成する。
【0071】得られたこの硬化塗膜の膜厚は、特に限定
されないが、例えば、5〜100μm(厚)、好ましく
は20〜80μm(厚)である。<塗膜付き基材(不燃性基材)及びその用途等> 本発明
に係る不燃性基材は、前記基材の表面が、上記の無機系
複合塗膜で被覆されていることを特徴としている。
【0072】上記基材としては、建築建材、無機化粧
板、金属化粧板など、前述したような各種基材が挙げら
れる。このような本発明に係る不燃性基材によれば、不
燃性耐汚染性無機建材、特に、キッチンパネル等の内装
壁材に、不燃性および耐汚染性の両方の性能を付与し、
コンロ火災等の延焼を防止できる。このような塗膜付き
基材は、不燃性を有し、しかも仕上り外観、耐汚染性に
優れている。また、このような不燃性基材は、建築物内
装材、特に台所用壁材などとして好適に用いられる。ま
た該不燃性基材を台所壁材などとして用いた場合にも、
VOC(Volatile Organic Compounds,揮発性有機化合
物)や、有害な化学物質が塗膜内部からほとんど揮散さ
れないか、揮散されるとしても極微量しか揮散される恐
れがなく、該VOCなどによる環境汚染(特に室内汚
染)の恐れもなく、従ってシックハウス症候群の問題も
生じない。
【0073】また、本発明に係る基材の汚染防止方法
は、基材表面を、上記のいずれかに記載の無機系複合塗
膜で被覆することを特徴としている。このような方法で
基材表面を被覆する場合には、塗装時に用いられる塗料
が何れも上記のように水系シーラー、水系下塗塗料また
は無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物などであり、
有機溶剤吸引の恐れもほとんどなく、作業者にとって安
全性が高く、また得られる塗膜は、上記のように基材へ
の密着性に優れ、硬度、表面平滑性、仕上がり外観、耐
汚染性、不燃性などにもバランス良く優れる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、無機建材、特に、台
所、暖炉等の火気を取扱う箇所に用いられる、キッチン
パネル等の内装壁材に、不燃性および耐汚染性の両方の
性能を付与することにより、コンロなどの加熱機器が火
元となるような火災の延焼防止ができる内装壁材(不燃
性耐汚染性無機建材)を提供することができる。
【0075】本発明においては、基材表面には、シーラ
ーあるいは下塗から上塗りまで全て無機系塗料を塗設し
ており、得られる塗膜は、不燃性に優れている。しかも
本発明では、上塗り塗料としては、活性エネルギー線硬
化性組成物(紫外線硬化型塗料)好ましくは無溶剤型の
ものを使用しており、作業者や周囲環境への安全性に優
れ、得られる塗膜は、仕上り外観、耐汚染性等にもバラ
ンス良く優れている。
【0076】さらにまた、本発明では、塗膜形成の際
に、水系塗料、無溶剤型紫外線硬化塗料を用いており、
塗膜より放出(揮散)されるVOC(Volatile Organic
Compounds,揮発性有機化合物)や、化学物質による汚
染の恐れもなく、得られた塗膜、塗膜付き基材などによ
りシックハウスなどの問題を引き起こす恐れもない。
【0077】
【実施例】以下、本発明について、実施例に基づいてさ
らに具体的に説明するが、本発明は係る実施例、比較例
により何等、制限されるものではない。以下の実施例、
比較例などで用いる各主成分は、以下の通り。 (1)リチウムシリケート 本荘化成(株)製。 (2)モビニールDM−765 ヘキスト合成(株)製、スチレン変性アクリルエマルシ
ョン。 (3)チタン白 R−5N 本荘化成(株)製、無機系顔料(チタン白)。 (4)ハイビゾールL含浸シーラー 中国塗料(株)製、自己乳化型ポリイソシアネート。 (5)スノーテックス30 日産化学(株)、コロイダルシリカ水溶液。 (6)XW501(A)−01 JSR(株)、ポリシロキサンハイブリットポリマー。
【0078】硬化剤は、カルボン酸誘導体と錫化合物の
混合物を使用。 (7)DSR−58 ロームアンドハウス(株)、アクリルエマルション。 (8)UVHC−8558 GE東芝シリコーン(株)製、紫外線硬化型コロイダル
シリカ(無機成分)。 (9)紫光UV―6640 日本合成(株)製、ウレタンアクリレート。 (10)UVS−520 大竹化学(株)製、ポリシロキサン変性ウレタンアクリ
レート(低汚染成分)。 (11)UV―55 大竹化学(株)製、ウレタンアクリレート。 (12)アロニックスM―400 東亜合成(株)、多官能モノマー。 (13)ビスコート260 大坂有機(株)製、2官能モノマー。 (14)イルガキュアー184 チバスペシャリティケミカル(株)製、光開始剤。 (15)ヴァイキュアー55 アクゾノーベル(株)製、光開始剤。 (16)アルカリシーラーNY−2 中国塗料(株)製、1液ウレタン塗料。 (17)EPコートNo.300−30エナメル 中国塗料(株)製、2液ウレタン塗料。 (18)EPコートNo.300−70クリヤ 中国塗料(株)製、2液ウレタン塗料。 (19)オーレックスNo.230―6 中国塗料(株)製、紫外線硬化型塗料。
【0079】
【実施例1】下記の要領で、基材表面に下記配合組成の
シーラー及び下塗を塗装した後、次いで下記配合組成の
上塗塗装を行い、図1に模式的に示すような層構成の複
合塗膜を、基材表面に形成した。 <シーラー及び下塗の配合組成> リチウムシリケート(本荘化成(株)製) 40重量部 モビニールDM−765(ヘキスト合成(株)製) 20重量部 チタン白R−5N(堺化学(株)製) 35重量部 水 5重量部 (合計100重量部) <上塗塗料(「上塗塗料1」とも言う。)の配合組成> UVHC−8558(GE東芝シリコーン(株))60重量部 紫光UV―6640B(日本合成(株)製) 13重量部 UVS−520(大竹化学(株)製) 7重量部 ビスコート260(大阪有機(株)製) 17重量部 イルガキュアー184(チハ゛スヘ゜シャリティーケミカル(株)製) 3重量部 (合計100重量部) <塗装工程> (イ)シーラー塗装 基材としての珪酸カルシウム板(縦:60cm×横30
cm×厚0.6cm、アサノ社製を40〜50℃の温度
にプレヒートした後、上記シーラーを水で50%希釈し
てスポンジロールコーター(SRC)にて、40〜50
g/m2の量で塗装した後、80℃の熱風にて15分間乾
燥した。(乾燥膜厚:15μm) (ロ)下塗塗装 次いで、上記シーラー塗装面上に、上記下塗塗量をロー
ルコーターにて10g/m2の量で塗装した後、さらに
フローコーター(FC)にて150g/m2の量で塗装
した。次いで、80℃の温度の熱風にて20分間乾燥さ
せた。(乾燥膜厚:85μm) (ハ)上塗塗装 次いで、上記下塗塗装面上に、上記上塗塗料をスポンジ
ロールコーター(SRC)にて30〜40g/m2の量
で塗装した後、80W/cmの高圧水銀ランプ1灯を3m
/分の速度で移動させながら3秒間照射して、硬化させ
た(乾燥膜厚:35μm)。 <評価方法> (a)不燃性:建築基準法第2条第9号 「4.10.
1」に規定する不燃性試験による。
【0080】総発熱量 :8MJ/m2以下 最高発熱速度:200kW/m2以下(10秒以上継続
して) 外観:防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がな
いこと (b)VOC:FLEC法により捕集し測定。
【0081】TVOCの厚生省指針は400μg/m3
以下。 (c)低汚染性:油性黒インキで線を引き、柔らかい布
で拭き取る。軽くこすり取れる場合は、再度同一箇所に
線を引き拭き取るという操作を拭き取れ難くなるまで繰
り返し、その回数を調べる。拭き取り回数が20回以上
あれば、低汚染性が高いと評価できる。 <結果> (a)不燃性: 総発熱量 :3.2MJ/m2 最高発熱速度:54.4kW/m2 外観:防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴はない。 (b)VOC: TVOC 約300μg/m3 (c)低汚染性:拭き取り回数 50回 結果を併せて表1に示す。
【0082】
【実施例2】下記の要領で、基材表面に下記配合組成の
シーラーを塗装した後、下記配合組成の下塗塗装を行
い、次いで下記配合組成の上塗塗装を行い、図2に模式
的に示すような層構成の複合塗膜を、基材表面に形成し
た。 <シーラーの配合組成> ハイビソールL含浸シーラー(中国塗料(株)製) <下塗塗料(主剤)の配合組成> スノーテックス30(日産化学(株)) 18重量部 XW501(A)−01(JSR(株)) 18重量部 DSR−58(ロームアンドハース(株)) 18重量部 チタン白R−5N(堺化学(株)製) 20重量部 水 26重量部 (合計100重量部) <上塗塗料(「上塗塗料2」とも言う。)の配合組成> UVHC−8558(GE東芝シリコーン(株)) 15重量部 UV―55(大竹化学(株)製) 35重量部 UVS−520(大竹化学(株)製) 10重量部 ビスコート260(大阪有機(株)製) 25重量部 アロニックスM―400(東亞合成(株)製) 10重量部 イルガキュアー184(チハ゛スヘ゜シャリティーケミカル(株)製) 3重量部 ヴァイキュアー−55(アクソ゛ノーヘ゛ル(株)製) 2重量部 (合計100重量部) <塗装工程> (イ)シーラー塗装 基材としての珪酸カルシウム板(縦:60cm×横30
cm×厚0.6cm、アサノ社製を40〜50℃の温度
にプレヒートした後、上記シーラーを水と1:10に混
合しスプレーにて、90〜100g/m2の量で塗装し
た後、80℃の熱風にて15分間乾燥した。(乾燥膜厚:
10μm) (ロ)下塗塗装 次いで、上記シーラー塗装面上に、上記下塗塗料を混合
比主剤:硬化剤=40:1でロールコーターにて10g
/m2の量で塗装した後、さらにフローコーター(F
C)にて150g/m2の量で塗装した。次いで、80
℃の温度の熱風にて20分間乾燥させた。(乾燥膜厚:
85μm) (ハ)上塗塗装 次いで、上記下塗塗装面上に、上記上塗塗料をフローコ
ーター(FC)にて70〜80g/m2の量で塗装した
後、80W/cmの高圧水銀ランプ1灯を3m/分の速度
で移動させながら3秒間照射して、硬化させた(乾燥膜
厚:75μm)。 <評価方法>実施例1と同様の(a)不燃性、(b)V
OC、(c)低汚染性を評価する。 <結果>結果を表1に示す。
【0083】
【比較例1〜8】実施例1において、配合組成や塗装方
法などを表1に示すように変更した以外は、実施例1と
同様に塗装及び評価した。結果を併せて表1に示す。
【0084】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1に示す各塗料の塗装
順序を示す模式断面図であり、また該塗料からなる層構
成の塗膜の模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2に示す各塗料の塗装
順序を示す模式断面図であり、また該塗料からなる層構
成の塗膜の模式断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/30 B32B 27/30 A 33/00 33/00 C09D 1/00 C09D 1/00 1/02 1/02 4/02 4/02 5/00 5/00 D Z 5/02 5/02 175/04 175/04 175/08 175/08 183/02 183/02 183/04 183/04 183/07 183/07 (72)発明者 増 田 章 滋賀県野洲郡野洲町字三上2306番地の7 中国塗料株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB46Z BB47Z BB48Z CA34 DA06 DC02 DC31 EA05 EA13 EA21 EA39 EB01 EB22 EB38 EB43 EC03 4F100 AA00A AA00B AA00C AA03 AA03A AA20B AA40A AA40C AB01D AH06A AK25B AK51C AK52A AK54C AL08B AT00D BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10B BA10C BA10D CC00A CC00B CC00C EH46 EH462 EJ54 EJ65A GB07 GB08 HB00E JB14B JJ07 JK15 JL06 JM01A 4J038 DG131 DG271 DG281 DL021 DL031 DL081 DL101 FA211 HA441 HA451 MA08 MA10 NA05 NA15 PA07 PA17 PB05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a1)水ガラス系塗料組成物また
    は(a2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成
    された無機系シーラー塗膜および/または無機系下塗塗
    膜と、該塗膜(A)表面に形成された、(B)(b1)
    少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有す
    る活性エネルギー線重合性コロイダルシリカ成分および
    (b2)必要に応じてこれと共重合しうるラジカル重合
    性化合物を含有する活性エネルギー線重合性無機系(硬
    化性)塗料組成物から形成された無機系上塗り塗膜とか
    らなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  2. 【請求項2】(C)(a1)水ガラス系塗料組成物また
    は(c1)自己乳化型ポリイソシアネート組成物から形
    成されたシーラー塗膜と、該塗膜(C)表面に形成され
    た、(A1)(a1)水ガラス系塗料組成物または(a
    2)無機系水性エマルジョン塗料組成物から形成された
    無機系下塗塗膜と、該塗膜(A1)表面に形成された、
    (B)(b1)少なくとも1個の(メタ)アクリロイル
    オキシ基を有する活性エネルギー線重合性コロイダルシ
    リカ成分および(b2)必要に応じてこれと共重合しう
    るラジカル重合性化合物を含有する活性エネルギー線重
    合性無機系(硬化性)塗料組成物から形成された無機系
    上塗塗膜とからなることを特徴とする無機系複合塗膜。
  3. 【請求項3】上記水ガラス系塗料組成物(a1)が、カ
    リウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシ
    リケートおよびアンモニウムシリケートからなる群から
    選ばれた少なくとも1種の水ガラスを含む水系塗料であ
    る請求項1または2に記載の無機系複合塗膜。
  4. 【請求項4】上記自己乳化型ポリイソシアネート組成物
    (c1)が、親水性に変性されたポリイソシアネートで
    化学的に組み込まれたエチレンオキサイドユニットを有
    するポリエーテル鎖を含有する自己乳化型ポリイソシア
    ネートである請求項2〜3の何れかに記載の無機系複合
    塗膜。
  5. 【請求項5】上記無機系水性エマルジョン塗料組成物
    (a2)が、オルガノアルコキシシランまたはその縮合
    物またはポリオルガノアルコキシシラン(シラノール基
    を含む)またはオルガノアルキルシリケートまたはその
    縮合物またはポリオルガノアルキルシリケートを含む重
    合性化合物のエマルジョンである請求項1〜4の何れか
    に記載の無機系複合塗膜。
  6. 【請求項6】上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化
    性)塗料組成物が、さらに、シリコーン変性(メタ)ア
    クリレートを含む請求項1〜5の何れかに記載の無機系
    複合塗膜。
  7. 【請求項7】上記活性エネルギー線重合性無機系(硬化
    性)塗料組成物が、溶剤を含まない無溶剤型である請求
    項1〜6の何れかに記載の無機系複合塗膜。
  8. 【請求項8】建材の表面が、請求項1〜7の何れかに記
    載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性基材。
  9. 【請求項9】無機化粧板の表面が、請求項1〜7の何れ
    かに記載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性無機化粧
    板。
  10. 【請求項10】金属化粧板の表面が、請求項1〜7の何
    れかに記載の無機系複合塗膜で被覆された不燃性金属化
    粧板。
  11. 【請求項11】基材表面を、請求項1〜7の何れかに記
    載の無機系複合塗膜で被覆することを特徴とする基材の
    汚染防止方法。
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