JP2009083269A - 不燃化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機シーラーの塗布量や無機基板の表面状態に関係なく無機シーラー層と化粧シートとの密着性に優れた不燃化粧板を提供する。
【解決手段】無機基板の表面上に無機シーラー層が積層され、該無機シーラー層の上に接着剤層と化粧シートとが順に積層された不燃化粧板であって、該接着剤層がシリル基含有重合体を含む水性接着剤からなることを特徴とする不燃化粧板である。
【選択図】図1

Description

本発明は不燃性を有し、かつ意匠性、搬送性及び施工性に優れた不燃化粧板に関する。
従来から、プラスチックフィルムの基材に色彩や模様、もしくは凹凸等を施すことにより美観を付与した化粧シートを、無機基板に貼り合わせた化粧板は、建築物の天井、壁材等の内外装用建材又は家具等の様々な用途に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの無機基板を用いた化粧板の内、不燃性の高い化粧板は、流し台、ガスコンロ等のキッチン回りやその他の建築基準法上不燃性を要請されている建築物の各所に用いられており無機基板を用いた化粧板が不燃認定を受けることは、非常に重要である。
建築基準法では、不燃性能は、コーンカロリー試験で総発熱量が8MJ/m2以下と定められている。従って、例えば、ケイ酸カルシウム板等の無機基板に有機シーラーを施した後、接着剤を介し化粧シートを積層する場合は、この認定基準を満足するために、基材のほか、シーラー、接着剤、化粧シートの総有機質量をコントロールする必要がある。
しかし、化粧シートも紙から意匠性の高いフィルム系へ、また樹脂的にも塩化ビニル樹脂フィルムから燃焼カロリーの高い非塩化ビニル樹脂フィルムに移行する必要性がある。係る状況により化粧シート自体の発熱量が多くなるため、有機シーラーを用いて不燃性能を確保することは困難となって来ている。また、非塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートの発熱量を下げるため、シート厚みを薄くすることができるが、意匠性の低い化粧板となってしまう。
そのため、有機シーラーを無機シーラーに変更することにより、不燃性能を高める方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。有機シーラーの発熱量に相当する分の非塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートの厚みを増すことができ、また、意匠性についても塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートと同様に向上することができる。
しかしながら、無機シーラーを用いる場合は、無機基板の表面強度が高く、無機シーラーを無機基板の表層に残さず浸透させたときでは、一般のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系接着剤により密着性を確保できるが、無機基板の表層に無機シーラーが残ったときでは、密着性を確保できないという問題があった。
また、表面強度の弱い無機基板のときでは、無機シーラーの塗布量を多くする必要があり、無機基板の表層に無機シーラー層が形成されたときでは、同様に密着性を確保できないという問題があった。
特開平9−32240号公報 特開2005−30022号公報
本発明は、このような状況の下で、無機シーラーの塗布量や無機基板の表面状態に関係なく無機シーラー層と化粧シートとの密着性に優れた不燃化粧板を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、無機基板の表面上に積層された無機シーラー層と化粧シートを貼着する際に、特定の水性接着剤を用いることにより、前記課題を解決しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、無機基板の表面上に無機シーラー層が積層され、該無機シーラー層の上に接着剤層と化粧シートとが順に積層された不燃化粧板であって、該接着剤層がシリル基含有重合体を含む水性接着剤からなることを特徴とする不燃化粧板である。
本発明によれば、無機シーラーの塗布量や無機基板の表面状態に関係なく無機シーラー層と化粧シートとの密着性に優れた不燃化粧板を提供することができる。
本発明の不燃化粧板の典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の好ましい不燃化粧板1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、本発明の不燃性化粧板1は、無機基板2の表面上に無機シーラー層3が積層され、無機シーラー層3の上に接着剤層4と化粧シート5と、必要に応じて設けられる表面保護層6とが順に積層されたものである。そして、接着剤層4がシリル基含有重合体を含む水性接着剤からなることを特徴とする。また、無機シーラー層3は、無機基板2の表面上に含浸させて形成しても良い。
本発明の不燃化粧板が有する不燃性は、人的災害等の発生を抑制する見地から望まれるものである。ここで、「不燃性」とは、建築基準法第68条の26第1項の規定に基づき、同法第2条第9号及び同法施行令第108条の2第1〜3号(不燃材料)の規定に適合するものをいう。具体的には、本発明の不燃化粧板1に対して、同法第2条第9号に定める燃焼性評価試験装置を用いて、前記不燃化粧板1の時間に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、かつ加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを指す。
以下、本発明の不燃化粧板1に好ましく用いられる各部材を詳細に説明する。
[無機基板2]
無機基板2は、難燃性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、一般に不燃材として知られるケイ酸カルシウム板、石膏ボード、ロックウール、火山性ガラス複層板(JIS A5440「不燃火山性ガラス質複層板」に準拠)、石綿スレート、ダイライト、パスコボード、セメント系不燃板(軽量セメント板等)、陶磁器、硝子、金属等の板が挙げられる。なお、無機基板2は無機材料を主体とするものであるが、有機材料を含有する場合は、なるべく少ない方が不燃の点で好ましい。
上記の無機基板2のなかでも、ケイ酸カルシウム板が、基材の流通量が多く、不燃性能、低コスト、軽量、高強度等の理由で好ましく用いられる。
無機基板2の厚さは、材質にもよるが、通常2〜15mmであり、総発熱量、搬送性及び施工性の観点から、好ましくは3〜9mmである。
[無機シーラー層3]
本発明の不燃化粧板1は、無機基板2の表面の目止めによる強度アップ、接着剤層4の接着性向上のため、無機シーラー層3を無機基板2の表面上に積層する。また、無機シーラー層3は、無機基板2の表面上に含浸させて形成しても良い。有機シーラー層は、加熱により発熱するが、無機シーラー層であれば発熱しない。
無機シーラー層3を構成する無機シーラーは無機成分を主体とするものであり、水ガラス系塗料組成物が好ましい。この水ガラス系塗料組成物としては、例えば、特開平7−34029号公報、特公平3−2828号公報等にも記載されているように、一般式「M2O・nSiO2」[Mは、アルカリ金属又はアンモニウム(NH4)であり、Na、K、Li、Cs、NH4、好ましくはNa、K、Li、NH4を示し、これらアルカリ金属等は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。n(モル比)は、通常2.0〜7.5の数。]で表される水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液が挙げられる。
このようなアルカリ金属ケイ酸塩として、具体的には、例えば、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、リチウムシリケート、セシウムシリケート、アンモニウムシリケート等が挙げられ、これらのうちでは、リチウムシリケート、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート及びアンモニウムシリケートが好ましい。これらのアルカリ金属ケイ酸塩は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記該水ガラス系塗料組成物には、任意成分として、下記のような成分が含まれていても良い。すなわち、石英粉、天然石粉、ケイ砂、粘土、アスベスト、パーライト、活性化シラス、カーボンファイバー、ガラスファイバー、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウム、ゼオライト等の骨材や無機充填材;酸化チタン(チタン白)、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリナイト及び亜鉛華等の無機顔料である。また、必要に応じて、少量の有機系樹脂エマルジョンや添加剤を使用しても良いが、発熱量を下げる効果が少なくなるので2割以下、望ましくは1割以下とする。樹脂エマルジョンとしては、アクリル系、スチレン系、酢酸ビニル系、シリコーン系等が挙げられる。添加剤としては、粘度調整用の界面活性剤や分散剤、消泡剤等を使用しても良い。
上記水溶性アルカリ金属ケイ酸塩は、例えば、リチウムシリケート水溶液が商品名「リチウムシリケート45」として日産化学工業(株)により上市され、ナトリウムシリケートが「ケイ酸ソーダ1号、2号、3号、4号」等の商品名で、日本化学工業(株)等より上市されている。
無機シーラーを用いた無機シーラー層3は、無機シーラー用塗料を公知の方法にて塗布した後、常温下に自然乾燥させるか、又は、60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で5〜20分間程度、加熱乾燥等して形成すれば良い。なお、無機シーラーとして複数種の成分を用いる場合には、それらを塗料の状態で混合し使用すれば良い。ここで塗料は、無機シーラー、水及び/又は親水性有機溶剤を含むものであり、水及び/又は親水性有機溶剤にて粘度等の塗布適性を適宜調整することができる。
本発明においては、無機シーラー層3を形成する無機シーラー用塗料の塗布量は、無機基板2の状態に合わせて5〜70g/m2(固形物換算)の範囲で適宜調整することが好ましい。
無機シーラー層3は、無機基板2の表面上に含浸させて形成しても良い。無機基板2にもよるが、比重の高い表面強度のある無機基板2ならば、浸透が少なく5g/m2以上
であれば無機基板2の表面の目止めができ、接着剤層4の密着が得られる。また、比重が低く表面強度の弱い無機基板2の場合、無機シーラー層3を無機基板2の表面に浸透させて強度アップする必要があるため塗布量を多くする必要がある。この場合、少なくとも20g/m2以上、望ましくは30g/m2以上であれば、無機基板2の強度アップ
と接着剤層4の密着が得られる。塗布量が70g/m2を超えると、無機基板2の表面に無機シーラー層3のコート面が形成されてしまい、クラック等の問題や、コスト問題、乾燥の低下等が発生し、望ましくない。
[接着剤層4]
接着剤層4は、無機基板2及びその表面上に積層された無機シーラー層3と化粧シート5とを接着にて積層する層であり、シリル基含有重合体を含む水性接着剤からなることを特徴とする。無機シーラー層3の塗布量が少なく無機基板2の表面に含浸し、表面に物理凹凸がある場合は、一般のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂やアクリル系の水系エマルジョン接着剤で化粧シート5の密着性が得られるが、無機シーラー層3の塗布量が多く、無機基板2へ一部含浸し、表層に無機シーラー層3が形成された場合は、上記の水系エマルジョン接着剤では密着が得られなく、水系エマルジョン接着剤と無機シーラー層3の間で界面剥離する。
シリル基含有重合体を含む水性接着剤は、無機シーラー層3に対する接着力があり、いずれの場合でも化粧シート5の密着が得られる。このように必要十分量の無機シーラーの塗工を行うことができ加工安定性を享受し得ると共に、無機シーラーの塗工時の塗布ムラ等により部分的に密着性が悪くなるというリスクも解消できる。これに対し、一般のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系接着剤では、無機シーラーの塗布量がある特定の量を超えると密着性が急激に低下してしまい、不燃化粧板の品質を安定的に確保し得ない。
なお、水性接着剤は、有機溶剤を用いないので環境汚染への負荷が低い接着剤であるという利点もある。
水性接着剤に用いられるシリル基含有重合体としては、シリル化ウレタン重合体やシリル化(メタ)アクリル重合体等が挙げられる。それらのうち、シリル化ウレタン重合体が、無機基板2及びその表面上に積層された無機シーラー層3と化粧シート5との密着性に優れるので好ましい。
シリル化ウレタン重合体としては、例えば、アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)、第3級アミノ基及びイソシアネート反応性基を含有する化合物(A3)、ポリイソシアネート化合物(A4)、イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン化合物(A5)、及びアミン系鎖延長剤(A6)の反応により得られるアニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)が挙げられる。
ここで、アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)(以下、「ポリオール(A1)」と称する場合がある)は、分子内にアニオン性基を有しておらず、かつ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリオール(A1)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリオール(A1)としては、例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオール、ヒマシ油等が挙げられる。
上述のうち、ポリオール(A1)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを好適に用いることができる。
アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)(以下、「ポリオール(A2)」と称する場合がある)は、分子内に少なくとも1つのアニオン性基を有しており、かつ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリオール(A2)において、アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホ基を好適に用いることができ、中でもカルボキシル基が最適である。ポリオール(A2)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリオール(A2)としては、例えば、前記ポリオール(A1)にカルボキシル基が導入されたカルボキシル基含有ポリオール等が挙げられる。本発明では、ポリオール(A2)としては、アニオン性基を有する低分子量のポリオールが好ましく、ポリヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
ポリヒドロキシカルボン酸としては、特に、ジメチロールアルカン酸(なかでも、2,2−ジメチロールアルカン酸)が好適である。ジメチロールアルカン酸としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸、2,2−ジメチロールノナン酸、2,2−ジメチロールデカン酸等が挙げられる。
第3級アミノ基及びイソシアネート反応性基を含有する化合物(A3)(以下、「第3級アミノ基含有イソシアネート反応性化合物(A3)」と称する場合がある)は、分子内に少なくとも1つの第3級アミノ基を含有しており、かつ分子内に少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する化合物であれば特に制限されない。第3級アミノ基含有イソシアネート反応性化合物(A3)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
次に、ポリイソシアネート化合物(A4)(以下、「ポリイソシアネート(A4)」と称する場合がある)は、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート(A4)には、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が含まれる。ポリイソシアネート(A4)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本発明では、ポリイソシアネート(A4)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等)等も用いることができる。
また、本発明では、ポリイソシアネート(A4)とともに、ジイソチオシアネート系化合物(例えば、フェニルジイソチオシアネート等)を併用することができる。
イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン化合物(A5)(以下、「イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)」と称する場合がある)としては、分子内に少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有しており、かつ分子内に少なくとも1つのアルコキシ基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
イソシアネート反応性基としては、イソシアネート基に対して反応性を有している基であれば特に制限されず、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ヒドロキシル基等が挙げられ、第1級又は第2級アミノ基、メルカプト基が好適である。なお、イソシアネート反応性基は、1種のみであっても良く、2種以上組み合わせられていても良い。
本発明においては、イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)としては、第1級又は第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物を好適に用いることができる。
イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基等のC1-4アルコキシ基を好適に用いることができる。さらに好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(なかでもメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。このようなアルコキシ基は、通常、イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)のケイ素原子に結合しており、その数は、通常、1〜3個(好ましくは2又は3個)である。なお、アルコキシ基は単独で又は2種以上組み合わせられていても良い。すなわち、イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)のケイ素原子には、同一のアルコキシ基が結合されていても良く、異なるアルコキシ基が2種以上組み合わせられて結合されていても良い。
アミン系鎖延長剤(A6)としては、分子内に第3級アミノ基以外のアミノ基(第1級アミノ基や第2級アミノ基等)を1つ有するアミン系化合物であっても良いが、分子内に第3級アミノ基以外のアミノ基を複数有するポリアミンを好適に用いることができる。このようなポリアミンの分子内における第3級アミノ基以外のアミノ基(官能性アミノ基)の数は、少なくとも2つであれば特に制限されないが、例えば、2〜6(好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3)の範囲から選択することができる。アミン系鎖延長剤(A6)には、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、ヒドラジン及びその誘導体等が含まれる。アミン系鎖延長剤(A6)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アミン系鎖延長剤(A6)としては、エチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−メチル−シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−キシリレンジアミン等の脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族ポリアミンや、ヒドラジン、カルボジヒドラジド等のヒドラジン及びその誘導体を好適に用いることができる。
以上、詳述したアニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)、第3級アミノ基含有イソシアネート反応性化合物(A3)、及びポリイソシアネート(A4)の反応により得られるアニオン性基及び第3級アミノ基含有ウレタンプレポリマーと、イソシアネート反応性基含有アルコキシシラン(A5)との反応により、前記アニオン性基及び第3級アミノ基含有ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基が部分的にアルコキシシリル化されて得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基及び第3級アミノ基含有ウレタンプレポリマーを、さらにアミン系鎖延長剤(A6)により、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基及び第3級アミノ基含有ウレタンプレポリマー中の残存しているイソシアネート基と、前記アミン系鎖延長剤(A6)のアミノ基とを反応させて鎖延長したアルコキシシリル化アニオン性基及び第3級アミノ基含有ウレタンプレポリマーであっても良い。
本発明に係るシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤は、通常、アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)等のシリル化ウレタン重合体と、塩基性化合物(B)と、水(C)とからなっている。具体的にはシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤は、アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び水(C)の混合物であっても良く、該混合によりアニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)及び水(C)とが反応した反応生成物を含む反応組成物であっても良い。
従って、前記アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)及び水(C)とが反応した反応生成物としては、アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により中和されてアニオン性基の塩となっており、且つ末端のアルコキシシリル基が部分的に又は全体的に水(C)により加水分解されてシラノール基及び/又はシロキサン結合となっている水性シラノール化ウレタンプレポリマーが挙げられる。すなわち、本発明に係るシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤としては、前記水性シラノール化ウレタンプレポリマーを含む水性シリル化ウレタン系組成物であることが好ましい。
塩基性化合物(B)としては、塩基性無機化合物であっても良く、塩基性有機化合物であっても良い。塩基性化合物(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。塩基性無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩等のアルカリ金属化合物や、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等のアルカリ土類金属化合物の他、アンモニアを好適に用いることができる。
一方、塩基性有機化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、塩基性含窒素複素環化合物等のアミン系化合物を好適に用いることができる。脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン等のトリアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のジアルキルアミン;メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン等のモノアルキルアミン;トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリイソペンタノールアミン、トリヘキサノールアミン等のトリアルコールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミン等のジアルコールアミン;メタノールアミン、エタノールアミン等のモノアルコールアミン等の他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。芳香族アミンには、例えば、N,N−ジメチルアニリン等が含まれる。塩基性含窒素複素環化合物としては、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン等の環状アミンの他、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
本発明に係るシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤に好適に用いられる塩基性化合物(B)としては、アンモニアやアミン系化合物が挙げられる。アミン系化合物の中でも、トリアルキルアミンやトリアルコールアミン等の第三級アミン化合物が好適である。
塩基性化合物(B)の使用量としては、アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基に対して50〜120モル%(好ましくは80〜110モル%)程度の範囲から選択することができる。
また、本発明に係るシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤に好適に用いられる水(C)としては、水道水、イオン交換水や純水等を用いることができる。
水(C)の使用量としては、アニオン性基及び第3級アミノ基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して65〜900質量部(好ましくは100〜400質量部)程度の範囲から選択することができる。
本発明に係るシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤には、所望により、充填材、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤(顔料や染料等)、防かび剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、香料、各種タッキファイヤー(エマルジョンタッキファイヤー等)、カップリング剤(チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等)、光硬化触媒、乳化剤、界面活性剤、エマルジョンやラテックス、架橋剤、保湿剤、消泡剤等の各種添加剤又は成分、溶剤等が含まれていても良い。例えば、充填材としては、炭酸カルシウムや各種処理が施された炭酸カルシウム、フュームドシリカ、クレー、タルク、各種バルーン、ノイブルシリカ、カオリン、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族カルボン酸エステル等が含まれる。タッキファイヤーとしては、例えば、安定化ロジンエステル、重合ロジンエステル、テルペンフェノール、石油系樹脂等のエマルジョンタッキファイヤー等が挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ポリエチレンイミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、コロイダルシリカ等を用いることができる。
次に、接着剤層4を構成する水性接着剤に含まれるシリル基含有重合体として用いられるシリル化(メタ)アクリル重合体について説明する。このシリル化(メタ)アクリル重合体は、例えば、0.1〜5重量%の加水分解性シリル基含有重合性不飽和モノマー(a)、0.1〜10重量%のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b)、0.1〜10重量%のエポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)、及び75〜99.7重量%のその他の重合性不飽和モノマー(d)からなる重合性不飽和単量体混合物を乳化重合して得られる。
加水分解性シリル基含有重合性不飽和モノマー(a)としては、分子内にシリル基を有する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基(C1-4アルコキシシリル基等)を含有するモノマー(シリル基含有アクリル系モノマー等)が挙げられる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(b)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、α−エチルアクリル酸、β−エチルアクリル酸、β−プロピルアクリル酸、β−イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマール酸、β−カルボキシエチルアクリレート[β−CEA、ダイセルユーシービー(株)製]等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー(c)としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、β−グリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、上記のほか、例えば(3,4−エポキシクロロヘキシル)メチルメタクリレート、3−エポキシクロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等を用いることもできる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。なかでも、グリシジルメタクリレートが好ましい。ここで、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
また、その他の重合性不飽和モノマー(d)としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d−1)、スチレン系モノマー(d−2)、(メタ)アクリロニトリル(d−3)、アミド結合含有重合性不飽和モノマー(d−4)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(d−5)及び多官能ビニル基含有重合性不飽和モノマー(d−6)が挙げられる。これらの単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
乳化重合は、前記モノマー成分(a)、(b)、(c)及び(d)を水性液中で、ラジカル重合開始剤及び乳化剤の存在下、撹拌下に加熱することによって実施できる。反応温度は、例えば30〜100℃程度、反応時間は、例えば1〜10時間程度が好ましい。水と乳化剤(例えば反応性界面活性剤等)とを仕込んだ反応容器にモノマー混合液又はモノマープレ乳化液を一括添加又は暫時滴下することによって反応温度の調節を行うと良い。
ラジカル重合開始剤としては、通常アクリル樹脂の乳化重合で使用される公知の開始剤が使用できる。具体的には、水溶性のフリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素等や、これらの酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせからなるいわゆるレドックス系開始剤等が、それぞれ水溶液の形で使用される。
乳化剤としては、非反応性の一般乳化剤、反応性界面活性剤の何れも使用できる。これらのなかでも反応性界面活性剤を用いるのが接着剤の性能上有利である。
接着剤層4は、シリル基含有重合体を含む水性接着剤を、グラビアコート、バーコート、スプレーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式より塗布して形成することができる。接着剤層4は、無機基板2に無機シーラー層3を施した面に塗布しても良いし、化粧シート5の裏面に塗布しても良い。当該エマルション系接着剤の塗布量は、10〜40g/m2(固形物換算)が好ましい。10g/m2以下では、接着剤の量が少なく接着が得られない。また、接着剤の塗布量が多くなる
と、接着性能は問題ないが、不燃化粧板の有機質量が増大することになりコーンカロリー試験の性能が低下するため、接着性能が安定する20〜30g/m2(固形物換算)がより好ましい。
[化粧シート5]
化粧シート5は、本発明の不燃化粧板1に意匠性を付与するために設けられる。化粧シートとしては、通常化粧板に用いられる樹脂シート等を制限なく用いることが可能であるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系、エチレン−プロピレン系共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン系共重合体樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル変性ウレタン系樹脂、ポリエステル変性ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体変性ウレタン系樹脂等のポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂等を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を組合せて用いることができる。化粧シート5は、非塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートであることが環境重視(ダイオキシン類の発生防止等)の観点から好ましい。
また、化粧シート5としては、上記の樹脂からなる着色樹脂シートと透明樹脂シートとを貼り合わせて得られるダブリングシートを用いることもできる。この場合、着色樹脂シート、及び透明樹脂シートに用いられる樹脂は同じでも異なっていても良く、ポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができ、樹脂の組合せとしては、ポリエチレン系−ポリエチレン系、ポリエチレン系−ポリプロピレン系、ポリプロピレン系−ポリプロピレン系の組合せが好ましい。
ダブリングシートは、例えば上記樹脂からなる樹脂シートAの表面にコロナ放電処理等を施してプライマー層を設け、該樹脂シートAにベタ層及び/又は絵柄層を印刷形成した後に、上記樹脂からなる樹脂シートBを押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーション等の方法により接着・圧着させて得られる。また、樹脂シートBは、表面にエンボス加工を施しても良く、エンボス加工が施されたダブリングシートは、ダブリングエンボスシートと呼ばれる。なお、樹脂シートAは、一般に着色樹脂シートが用いられるが、無着色シートであっても良い。
上記の樹脂のなかでは、安価な点からポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が好ましく、また、意匠性の観点からダブリングシートが好ましい。
化粧シート5は、コーンカロリー試験の不燃性能を考慮すると、薄い方が好ましい。化粧シート5の厚さは、無機基板2の種類にもよるが、不燃基準を達成するには、非塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートの場合は40〜160μmが好ましく、40〜140μmがより好ましい。
[表面保護層6]
化粧シート5には、所望により、本発明の不燃化粧板に耐摩耗性、耐傷付性や耐汚染性等を付与する目的で表面保護層6を設けても良い。表面保護層6としては、例えばウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等により形成される表面保護層や、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を挙げることができる。なかでも電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層が特に好ましく、後述の形成方法により形成することができる。また、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層6を有する化粧シート5として、市販される化粧シートを用いることもできる。
[表面保護層6:電離放射線硬化性樹脂組成物]
表面保護層6に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する電離放射線硬化性樹脂と、その他の所望の成分とからなる組成物である。
表面保護層6に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良く、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用される重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。以下に代表例を記載する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、中でもラジカル重合性不飽和基を持つアクリレート系オリゴマーが好ましく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
[電離放射線硬化性樹脂組成物:シリコーン(メタ)アクリレート]
表面保護層6に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に不燃化粧板1に耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すれば良いが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
[電離放射線硬化性樹脂組成物:各種添加剤]
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでも良く、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の10〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
[表面保護層6の形成]
表面保護層6の形成に電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、まず、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、必要に応じて用いられるシリコーン(メタ)アクリレート、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して得られる、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はないが、必要に応じて溶剤を添加しても良い。
このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると、所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜10μm程度である。
次いで、上記の未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された表面保護層6には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
[製造方法]
本発明の不燃化粧板1は、例えば以下の製造方法によって製造されるが、これによって制限されるものではない。
図1に示される本発明の不燃化粧板1は以下のように製造される。
まず、表面に所望により設けられる表面保護層6を形成した化粧シート5を準備する。次に、無機基板2の表面上に、ロールコート、スポンジロールコート等で、無機シーラー層3を塗布後、加熱乾燥する。
化粧シート5の裏面にシリル基含有重合体を含む水性接着剤をロールコーター、ナイフコーター等の塗布装置で塗布する。必要に応じ、水性接着剤の面を40〜100℃の温風又は、ヒーター等の加熱装置でセミウェット状態でタックが出るレベルまで乾燥する。
無機基板2の表面上の無機シーラー層3の面に、化粧シート5に設けた接着剤層4の表面が対向するように重ね合わせ、ロールプレスでラミネート圧着し、本発明の化粧板1を得る。また、プロフィールラミネーターを使用すれば、無機基板2の側面及び裏面の端部まで化粧シートを巻き込むことができる。この場合、端部や、裏面にも、無機シーラー層3を
設ける。このような端部の化粧シートの巻込み品は、パネルとして使用できるほか、端部において、化粧シート部分の剥離が起こらないので望ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた化粧板について、総発熱量及び密着性を以下の方法で評価した。
(1)総発熱量
各実施例及び比較例で製造した化粧板を、建築基準法第2条9号に定める燃焼性評価試験装置を用いて、加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m2)を求めた。
(3)密着性
無機基板2にラミネートした化粧シート5の密着性を、化粧シート5部分のみを無機基板2から25mm巾で剥離し、剥離強度測定機で、180°方向に100mm/分で引っ張った時の強度を測定し評価した。
製造例1(化粧シートの製造)
化粧シート5としてポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ120μm)を用い、該フィルムの表面に、シリコーンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアオフセットコータ法で塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて、表面保護層6を得た。次いで、70℃で24時間の養生を行い、11枚の表面保護層付きシートを得た。
シリコーンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂含有組成物の組成内容
(1)ウレタンアクリレート(オリゴマー) 84質量部
(2)2官能シリコーンアクリレート 2質量部
(3)ワックス 5質量部
(4)シリカ 5質量部
(5)紫外線吸収剤 4質量部
製造例2(シーラー層を積層した無機基板2の製造)
市販の比重0.8、厚さ6mmのケイ酸カルシウム板及び比重1.0、厚さ6mmのケイ酸カルシウム板に、無機シーラー又は有機シーラー(イソシアネート系有機シーラー、大日本インキ化学工業製:商品名「UCシーラーW−009N」)を表1に示す塗布量(いずれも固形物換算、単位:g/m2)で塗布し、11枚のシーラー層を積層した無機基板2を得た。
塗布に当っては、無機シーラー用希釈剤である水又は有機シーラー用希釈剤で適宜希釈して塗布量を調整した。
無機シーラーは、下記の組成物を使用した。
リチウムシリケート水溶液(リチウムシリケート45:日産化学工業(株)製)
SiO2 20% (SiO2/Li2Oモル比:4.5)
シリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤は、下記の組成物を使用した。
アクアリンカーSU501A(コニシ株式会社製)
シリル化ウレタン樹脂 固形分 35%
実施例1〜4及び比較例1〜7
製造例1で得られた表面保護層6を有する化粧シート5の、表面保護層6を有さない面に、表1に示すようにシリル化ウレタン重合体を含む水性接着剤又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)系接着剤(中央理化工業製、商品名「BA−10」、塗布前にイソシアネート系硬化剤を加えた)を塗布量30g/m2(固形物換算)で塗布した後、製造例2で得られたシーラー層を積層した無機基板2のシーラー層の面にラミネートし、不燃化粧板1を得た。いずれの不燃化粧板1も、無機基板2の側面及び裏面の端部まで化粧シートが巻き込まれるように貼着した。得られた不燃化粧板1について、総発熱量及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2009083269
実施例1〜4の不燃化粧板1は、いずれも密着性が、2.0kgf/25mm巾以上であり、シリル基含有重合体を含む水性接着剤を用いることにより、無機シーラーの塗布量や無機基板の表面状態に関係なく無機シーラー層と化粧シートとの密着性に優れた不燃化粧板を得ることができた。密着性試験において界面剥離による破壊がなく、無機基板表面部での破壊又は接着剤層内での凝集破壊であったことは、密着強度が高いことを示す。
一方、比較例1〜3の不燃化粧板は、有機シーラーの塗布量を多くすることにより、密着性を2.0kgf/25mm巾以上にすることができるが、総発熱量が高く、不燃性の基準を超えてしまう。なお、比較例3の不燃化粧板の密着性試験において無機基板表面部で破壊したのは、有機シーラーの塗布量が少なかったためである。
また、比較例4〜7の不燃化粧板は、不燃性の基準以下であるものの、比重0.8のケイ酸カルシウム板においては、密着性が低く、かつ界面剥離による破壊であった。さらに比重1.0のケイ酸カルシウム板においても、無機シーラーの塗布量が多くなると密着性が著しく低くなり、かつ界面剥離による破壊であった。
本発明の不燃化粧板は、不燃性を有し、密着性に優れ、かつ意匠性、搬送性及び施工性が良好であるので建築物の天井、壁材等の内外装用建材や、家具等の様々な用途に用いることができる。特に、本発明の不燃材化粧板が有する不燃性を生かして、流し台、ガスコンロ等のキッチン周辺建材や、壁面パネル、その他の建築基準法上、不燃性を要請される建築物の各所に好適に用いることができる。
本発明の不燃化粧板の断面を示す模式図である。
符号の説明
1.不燃化粧板
2.無機基板
3.無機シーラー層
4.接着剤層
5.化粧シート
6.表面保護層

Claims (5)

  1. 無機基板の表面上に無機シーラー層が積層され、該無機シーラー層の上に接着剤層と化粧シートとが順に積層された不燃化粧板であって、該接着剤層がシリル基含有重合体を含む水性接着剤からなることを特徴とする不燃化粧板。
  2. 前記シリル基含有重合体がシリル化ウレタン重合体である請求項1に記載の不燃化粧板。
  3. 前記無機基板の側面及び裏面の端部まで前記化粧シートが巻き込まれてなる請求項1又は2に記載の不燃化粧板。
  4. 前記化粧シートが非塩化ビニル樹脂フィルム製化粧シートであり、その上に表面保護層が積層されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の不燃化粧板。
  5. 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる請求項4に記載の不燃化粧板。
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