JP4380921B2 - 2つのドラムの間で薄い金属ストリップを連続鋳造する設備の側壁をドラムの平面部に押圧する装置 - Google Patents
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Description
本発明は、金属の連続鋳造に関する。より具体的には、本発明は「ツインロール式鋳造機」と呼ばれるタイプの、溶解金属から直接、薄い金属ストリップを鋳造する鋳造機に関する。
【0002】
通常、これらの鋳造機は、円筒状の側面が、得ようとする金属ストリップの厚さに応じた最小限の距離をおいて隣り合うように配置された、水平軸を持つ2つのロールを備える。そして、それらの鋳造機では、「側壁」と呼ばれる、剛性金属ベースプレートの上に取り付けられた、ロールの両端の平面部に接した耐熱性物質の2枚の板によって、鋳造スペースが横方向に定められている。ロールの円筒部分の表面は、熱伝導率の高い金属(銅や銅合金)でできており、内面から強力冷却される。
【0003】
これらの側壁はそれぞれ、通常、少なくとも鋳造スペースから溶解金属が流出しないようにするのに十分な力で側壁をロールに押圧する、複数の部材を使用したアセンブリによって、所定の位置に保持されている。これらの部材はフレーム上に取り付けられており、側壁が固定されたベースプレートの後面部に固定され、スラストばね、制御シリンダー、またはばね付勢のロッドと制御シリンダーの組み合わせの上に固定された、剛性ロッドを備える。これらのスラスト部材は、例えば3つあり、以下のように配置されている。一つは、側壁の縦方向で見た中央面と、その下部で、ニップに近いレベル、つまりロールが互いに最も近接している部分において動作を行う。他の2つのスラスト部材は、側壁の上部で、側壁の縦方向で見た中央面を挟んで左右対称の点において動作を行う。従って、そのスラストの力は側壁全体にわたって分配され、側壁がロールの両端に押圧されている部分全体に、溶解金属が鋳造スペースから流出しないようにするのに十分なストレスが働くようになっている。しかし、側壁の、ロールとこすり合わされる部分が急速に摩耗し、鋳造稼動期間が大幅に制限される恐れがあることから、このストレスが強すぎないようにしなければならない。JP−A−04322849とEP−A1−0 698 433は、この従来の技術の代表的なものである。スラスト部材、フレームと側壁への接続方法は、全てこれに同じである。
【0004】
溶解金属が高温(スチールの場合は摂氏1500度から1550度)であることから、側壁を支える部材は、集中した熱のストレスにさらされることになる。従って、支持部材の変形や膨張を抑制するために、内面で水を循環させることによって少なくともベースプレートを冷却する必要がある。しかし、膨張を完全になくすことは不可能であり、微少な膨張でさえも、スラスト部材の操作を妨害する可能性があることが経験からわかっている。これは特に、これらのスラスト部材が、ばね付勢のロッドよりも強力である制御シリンダーから成り、従って、その力が主に働く側壁における点の位置の変化を抑えることがより困難である場合にいえることである。スラスト部材が吸収せざるを得ないこれらの膨張は、スラスト部材が受信する情報と、側壁に伝える動作を変造し、また、スラスト部材にダメージを与える一因とさえなる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、側壁をロールの両端面につけて支え、スラスト部材が、高温にさらされる装置の部材の微分膨張によって妨害されることなく、動作を行うことができるような装置の設計を提供するところにある。
【0006】
この目的を達成するために、本発明の主題は、水平軸を持つ、冷却された2つの回転するロールの間で薄い金属ストリップを連続鋳造するために、ロールの平面部に対して鋳造機の側壁を押圧する装置にあり、一定の位置に固定されたフレームに接続された3つのスラスト部材を備え、該3つのスラスト部材の動作は、その前面に側壁が固定されているベースプレートの後面部より、または、側壁の後部より加えられ、前記動作は、前記ベースプレートまたは側壁に各前記スラスト部材を接続する手段を通じて行われ、前記第1スラスト部材を接続する手段は、前記スラスト部材と、ベースプレートまたは側壁の間で、ロールの平面部の面に平行な水平方向と、ロールの平面部の面に平行な垂直方向の両方向において、相対的な並進動作を行えるようにし、前記第2スラスト部材を接続する手段は、前記スラスト部材と、ベースプレートまたは側壁の間で、ロールの平面部の面に平行な水平方向において、相対的な並進動作を行えるようにし、前記第3スラスト部材を接続する手段は、前記スラスト部材と、ベースプレートまたは側壁の間で、相対的な並進動作を行えないようにすることを特徴とする装置を主題とする。
【0007】
できれば、第1スラスト部材は、ベースプレートまたは側壁の下部において動作を行うと同時に、第2、第3スラスト部材は、ベースプレートまたは側壁の上部において動作を行うのが望ましい。
【0008】
以下に説明されるように、本発明は、側壁を支えるベースプレート(もしくは支持用のベースプレートが使用されていない場合は、側壁そのもの)を、3つのスラスト部材に接続する一方で、3つのうち2つの接続は固定されたポイントから、側壁が押圧されているロールの平面部に平行な面内において移動できるようにしたものである。このようにして、ベースプレートまたは側壁は、スラスト部材の動作を妨害することなく自由に膨張することができ、側壁の様々な部分とその支持手段との連結が強固に保たれる。更に、下部のシリンダーの動作は上部の2つのシリンダーの動作から独立しており、上部の2つのシリンダーの動作は互いに独立している。
【0009】
本発明によるツインロール式鋳造機の側壁を押圧する装置の一例を、添付された一枚の概略透視図に基づいて以下に説明することにより、本発明をより明確にする。
【0010】
耐熱性物質からなる側壁1は、以下に述べられる装置によって、金属のベースプレート2に固定されており、鋳造ロール(輪郭3と3’が点線で示されている)の端部の平面に押圧されている。側壁1とベースプレート2は非常に概略的に描かれており、これらの綿密な組立て方は、本発明においては重要ではない。残りの説明は、方向0xと0zがそれぞれ、ロールの平面部の面もしくは側壁1によって定義される平面上の水平方向と垂直方向であり、方向0yが、前記平面に垂直な水平方向であり従ってロールの軸とは平行である、座標系0xyzに基づいてなされる。
【0011】
本発明による側壁1を押圧する装置は、固定されたフレーム3を備える。このフレーム3は、鋳造稼動の開始前に側壁1を位置づけたり、鋳造稼動の終了後に側壁1を取り除いたりする時に、必要に応じてフレームをロールの近くや遠くに移動することを可能とする、可動式のトロリー(図示されていない)の上に固定されている。フレーム3とベースプレート2は、3つの制御シリンダー4、5、6によって接続されている。第1スラスト部材としての第1シリンダー4は、側壁1の縦方向の中央面とその下方部で、ニップ7に近いレベルにおいて動作を行う。第2スラスト部材としての第2シリンダー5と、第3スラスト部材としての第3シリンダー6は、側壁1の上部で、側壁の縦方向の中央面を挟んで、前記平面上の左右対称の点において(図示されている例においては)動作を行う。これらのシリンダー4、5、6は、既知の方法においては、各可動式ロッドの動きと、同じロッドにかかる力を統制して、ロールから近づけたり遠ざけたりするための計算手段を備える装置(図示されていない)によって制御されている。従来にあるように、シリンダー4、5、6は、ロールに対し側壁1を押圧する間に、前記可動式ロッド8、9、10によって吸収される力の強度に応じて、この目的のために設計されたセンサーが集めた情報を使用して制御するようにしてもよい。
【0012】
本発明によると、フレーム3、シリンダー4、5、6、ベースプレート2を接続する装置は、ここに含まれる各種部材が、様々なレベルの自由度を持つことができるように組み立てられている。
【0013】
第1シリンダー4は、固定ロッド11を通じて、フレーム3に接続されている。これは、固定ロッド11がフレーム3との接続点の周りを空中の全方向に自由に回転できるようにするボールジョイント12を使って、フレーム3に連結されている。第1シリンダー4の可動式ロッド8は、ベースプレート2にじかに接続されており、この接続もまた、可動式ロッド8がベースプレート2との連結点14の周りを空中の全方向に自由に回転できるようにするボールジョイント13を使ってなされている。ベースプレート2とフレーム3とをこのように連結したことで、特にベースプレート2の膨張や変形に応じて、第1シリンダー4の操作を妨害することなしに、接続点14は0xと0zの方向に空間を自由に動くことができる。更には、可動式ロッド8によって吸収された力は、常に縦方向の軸に沿って方向づけられることになる。接続点14が動いた場合は、0y軸上の接続点14の位置を制御するために、第1シリンダー4を制御する装置が可動式ロッド8を前後に動かすようにするだけで良い。既知の制御装置に関しては、可動式ロッド8によって吸収された力を定数値に維持する制御点が、この前方への動作または後方への動作を、特別な条件を追加することなしに自動的に実行できるようにする。
【0014】
第2シリンダー5は、固定ロッド15を通じてフレーム3に接続されている。固定ロッド15は、フレーム3との接続点の周りを空間の全方向に自由に回転できるようにするボールジョイント16を使って、フレーム3に接続されている。可動式ロッド9の一端は、ボールジョイント18を通じて剛性ロッド17の一端に接続されている。剛性ロッド17は、フレーム3に固定されている滑り路19上をスライドする。この滑り路19は、ロッド17が方向0yにのみ動くようにする機能を持つ。剛性ロッド17のもう一端は、別の剛性ロッド20の一端に、ボールジョイント21を使って固定されている。この剛性ロッド20のもう一端はベースプレート2に固定され、方向0xに水平に向けられている滑り路22に挿入されている。その機能は、特にベースプレート2の膨張と変形に応じて、ベースプレート2と剛性ロッド20の、方向0xのみへの相対的な動作を可能にするものである。
【0015】
第3シリンダー6は、固定ロッド23を通じてフレーム3に接続されている。固定ロッド23は、フレーム3との接続点の周りを空間の全方向に自由に回転できるようにするボールジョイント24を使って、フレーム3に接続されている。可動式ロッド10の一端は、ボールジョイント26を通じて剛性ロッド25の一端に接続されている。剛性ロッド25は、フレーム3に固定されている滑り路27上をスライドする。この滑り路27は、剛性ロッド25が方向0yにのみ動くようにする機能を持つ。剛性ロッド25のもう一端は、ボールジョイント28を通じてベースプレート2に接続されている。これは、ロッド25がベースプレート2との接続点の周りを自由に回転できるようにするが、ベースプレート2に対するいかなる平行移動の動きもできないようにする。従って、シリンダー4、5、6の可動式ロッド8、9、10の所定の位置に対し、この接続点は、空間に一定に固定されている、ベースプレート2上の唯一の点からなる。支持装置の各種ボールジョイントと滑り路が可能にする動きにより、ベースプレート2上のその他の全ての点は、ベースプレート2の膨張に応じて0xz平面上で自由に動くことができる。0y方向に成分を持つ、側壁1とベースプレート2の移動と変形は、シリンダー4、5、6の可動式ロッド8、9、10の動作によって吸収または補償される。
【0016】
本発明は、ベースプレート2上の様々な点に与えられた空間の様々な次元における自由な動作の可能性が、3つのシリンダー4、5、6の振る舞いのそれぞれに独立に影響を与えるという事実をその理由とする。下部のシリンダー4は、上部のシリンダー5、6による動作における変動から自動的に影響を受けることはなく、その逆もまた同様である。また、左上部のシリンダー5は、右上部のシリンダー6による動作における変動、特に、0x方向への膨張から自動的に影響を受けることはない。本発明の構成は、一方で側壁1とそのベースプレート2、もう一方でその応用装置、によって形成されたシステムの平衡状態を達成できるようにしたものである。
【0017】
別の構成として、シリンダー4、5、6をフレーム3に接続しているボールジョイント12、16、24を、前記フレーム3上に直接取り付けるのではなく、対応するシリンダーを後方に動くようにするばね付勢装置によって、フレーム3から離して取り付けても良い。これにより、0y方向の側壁1の位置における変動が吸収される可能性は高まり、この可能性によって、例えば、ロールと側壁1の間に固体化された金属が進入するといった、突然の変形作用に対し、より素早く反応できるようにする応用装置の操作上の柔軟度が取り入れられる。
【0018】
滑り路19と27が存在することで、シリンダー5、6の可動式ロッド9、10上で起こる変動作用が、0yに沿ってのみ方向づけられ、シリンダー5、6をフレーム3に接続する固定ロッド15、23上で起こる変動作用についても同様のことがいえることから、原則として、上部のシリンダー5、6の側面に位置するボールジョイント16、18、24、26は、本発明の実施に絶対的に必要なものではない。一方でロッド9と17を、他方でロッド10と25を結合して接続を極めて強力にし、また、シリンダー5、6をフレーム3に接続しているボールジョイント16と24を省略することは、本発明の範囲から外れるものではない。しかし、ボールジョイント16、18、24、26の存在が、シリンダー5、6がダメージを受ける可能性を制限し、その操作をより信頼性の高いものにすることにより、鋳造機がその環境の高温効果でわずかに変形した場合の安全性を高めるのである。
【0019】
また、制御シリンダー4、5、6を、外部からスレーブされたり制御されることなしに自由に操作するばね付勢装置によって置き換えても良い。そうすれば、0y方向の側壁1の位置は、フレーム3を位置づけする手段のサポートを持つだけの操作者によって操作できる。
【0020】
上記したように、鋳造機に更なる修正が加えられても良い。特に、側壁1が十分な機械的強度と高熱における剛性を持つ限り、ベースプレート2を省略して、スラスト部材を側壁1の後部にじかに接続するということも考えられる。更に、第1スラスト部材(0xと0zの方向への自由度を持つもの)の接続手段を、上記され図示されたように側壁1の底部に位置づけるのではなく、第2、第3スラスト部材の接続手段のうち、任意の一つとその位置を交換することによって、上部に位置づけることも考えられる。しかし、鋳造機の対称軸上に、0zに沿った動作ができるようにした接続を配置することで、装置の操作がより満足のゆくものになることから、上記の図示された構成が望ましいといえる。更に、ベースプレートを取り付ける際に、上部の2つの固定された接続部が容易に同時アクセスできるため、この2つにベースプレートを取り付け、そして、下部のスラスト部材をベースプレートに接続することから始め、装置を分解する際には逆の操作を行うのが容易であることから、この構成を持つ鋳造機が人間工学的には適当である。
【0021】
本発明は、例えば、スチール、ステンレススチールと他の鉄合金、又は銅でできた小片など、全てのタイプの薄い金属ストリップを鋳造する、ツインロール式鋳造機に応用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるツインロール式鋳造機の側壁を押圧する装置の一例を示す、概略透視図。
Claims (9)
- 水平軸を持つ、冷却された2つの回転するロールの間で薄い金属ストリップを連続鋳造するための、鋳造機の側壁(1)を前記ロールの平面部に対抗して押圧する装置であって、一定の位置に固定されたフレーム(3)に接続された3つのスラスト部材を備え、該3つのスラスト部材の動作は、側壁(1)がその前面部に固定されているベースプレート(2)後面部に、または、側壁(1)の後部に加えられ、前記動作は、ロールの軸に平行なほぼ水平方向(0y)に方向づけられており、各前記スラスト部材を前記ベースプレートに接続する手段を通じて行われ、第1スラスト部材を接続する前記手段は、前記スラスト部材と、ベースプレート(2)または側壁(1)の間で、ロールの平面部の面に平行な水平方向(0x)と、ロールの平面部の面に平行な垂直方向(0z)の両方向において、相対的な並進動作を行えるようにし、第2スラスト部材を接続する前記手段は、前記スラスト部材と、ベースプレート(2)または側壁(1)の間で、ロールの平面部の面に平行な水平方向(0x)において、相対的な自由並進動作を行えるようにし、第3スラスト部材を接続する前記手段は、前記スラスト部材と、ベースプレート(2)または側壁(1)の間で、相対的な並進動作を行えないようにすることを特徴とする装置。
- 前記第1スラスト部材を接続する手段は、前記スラスト部材の一部を形成する可動ロッド(8)が差し込まれたボールジョイント(13)からなり、この可動ロッドはまた、ボールジョイント(12)によってもフレーム(3)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記第2スラスト部材を接続する手段は、ベースプレート(2)または側壁(1)に固定され、前記水平方向(0x)に沿って水平に方向づけられている滑り路(22)と、その一端は前記滑り路(22)に差し込まれており、もう一端はボールジョイント(21)によって、前記第2スラスト部材の一部を形成もしくは第2スラスト部材に接続されている剛性ロッド(17)に接続されている剛性ロッド(20)と、前記水平方向(0y)に方向づけられ、前記剛性ロッド(17)が前記水平方向(0y)に沿ってのみ動くようにする滑り路(19)を貫く前記剛性ロッド(17)からなることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
- 前記第3スラスト部材を接続する手段は、ベースプレート(2)または側壁(1)に固定されているボールジョイント(28)と、前記第3スラスト部材の一部を形成、もしくは第3スラストに接続されている剛性ロッド(25)からなり、前記剛性ロッド(25)は、前記水平方向(0y)に沿って方向づけられ、前記剛性ロッド(25)が前記水平方向(0y)に沿ってのみ動くようにする滑り路(27)を貫いていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
- 前記第2、第3スラスト部材は、ボールジョイント(18、26)を通じ、前記剛性ロッド(17、25)に接続されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
- 前記第2、第3スラスト部材は、ボールジョイント(12、16)を通じ、前記フレーム(3)に接続されていることを特徴とする、請求項3と4に記載の装置。
- 第1スラスト部材は、ベースプレート(2)または側壁(1)の下部において動作を行うと同時に、第2、第3スラスト部材は、ベースプレート(2)または側壁(1)の上部において動作を行うことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記スラスト部材は制御されたシリンダー(4、5、6)であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
- 前記シリンダー(4、5、6)は、ボールジョイントと、対応するシリンダーが後ろ方向に動くようにするばね付勢装置を通じて前記フレーム(3)に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
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