JP4380442B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
図11において、1はパッケージの放熱ベースとしての銅ベース、2は樹脂成形品の外囲ケース、3はAl2O3、AlNなどを材料とするセラミック板4の上下両面に銅パターン5,6を直接接合したDirect Bonding Copper基板(以下絶縁基板という)、7は絶縁基板3の銅パターン5にはんだマウント(搭載)した半導体チップ、8は銅パターン5にはんだ接合して外部に引き出した外部導出端子(リードフレーム)である。銅パターン5上には半導体チップ7の他に図示しない抵抗素子などの電子素子が搭載されることもある。半導体チップ7と銅パターン5との間を接続する導体の図示は省略する。
前記絶縁基板3は銅パターン6を銅ベース1の上面に重ね合わせてはんだ接合されている。なお、9,10,11はそれぞれ銅ベース/絶縁基板間、絶縁基板/半導体チップ間、絶縁基板/外部導出端子間の接合はんだ層を表している。
次に、前記半導体モジュールの組立工程について説明する。絶縁基板3の銅パターン5上にはんだ箔を介して(クリームはんだを塗布して)半導体チップ7を載置して加熱炉に搬入し、はんだの融点以上の温度に加熱してはんだを溶融させてはんだ接合を行う。
続いて、銅ベース1と絶縁基板3との間にはんだ箔を挟むか、クリームはんだを塗布しておき、仮組立状態で加熱炉に搬入し、はんだの融点以上の温度に加熱してはんだ付けを行う。この銅ベース1と絶縁基板3とのはんだ接合の際、先に半導体チップ7と銅パターン5との間のはんだ層10が溶融してしまわぬよう、銅ベース1と絶縁基板3との接合に用いるはんだは、半導体チップ7と銅パターン5との接合に用いるはんだ10より融点の低いものを用いる。
図12は銅ベース1と絶縁基板3をはんだ接合し、常温まで戻した状態を示す図である。図12に示すように、銅ベース1に反りが生じて銅ベース裏面中央部が凹状(半導体チップ7の搭載面の中央部が凸状)となる。この反りは銅ベース1と絶縁基板3との線膨張率差に起因する所謂バイメタル効果によって発生する。以下において、銅ベース1の絶縁基板との接合面(半導体チップの搭載面)側を表面、その反対面(半導体チップの非搭載面)側を裏面と称する。
すなわち、絶縁基板3の等価線膨張率は、セラミック単体の線膨張率(4.6E-6/K〜7.1E-6/K)に近似した値であって、銅ベース1の線膨張率(16.5E-6/K)と比べて非常に小さい。このために、前記のように仮組立体をはんだの融点以上に加熱して、銅ベース1と絶縁基板3の間をはんだ接合した後に常温まで冷却すると、銅ベース1の熱収縮量が絶縁基板3に比べて大きくなるため、その銅ベース裏面中央部が凹状となるような反りが発生する。しかも、銅ベース1に反りが生じた状態で半導体モジュールを放熱フィン12に取り付けようとすると、図12で示すように銅ベース1の裏面と放熱フィン12とが密着しないで隙間が残り、このためモジュール/放熱フィン間の伝熱性が極端に低下して所望の放熱性能が発揮できなくなるといった問題が発生する。
(1) 銅ベース1の反り発生量を見込んであらかじめ銅ベースを凸状に加工しておき、絶縁基板3との間をはんだ接合した際に発生する反り分を補償して常温に戻した状態で銅ベース1の裏面が略平坦を呈するようにする。
(2) 絶縁基板3とのはんだ接合により銅ベース1の裏面が凹状に反った状態で、この組立体を表面が銅ベースの反りと反対方向に凹状となる皿形のプレス金型の上に載せ、プレス金型に設けたヒータによりはんだが塑性変形可能な温度になるまで加熱昇温させるとともに、この昇温状態で銅ベース1に加圧力を加えてプレス金型の表面形状に押圧させて反りを矯正する方法(特許文献1)。
すなわち上記(1)の方法では、あらかじめ銅ベース1に反りを与えるため、銅ベース1の長さ寸法を大きくする必要がある。そして、発生する反り量は長さの二乗に比例して増加することから銅ベースの加工量が大きくなる。そのため、半導体装置の組立工程で銅ベース1の上に平坦な絶縁基板3を置くと、銅ベース1と絶縁基板3の間に隙間が生じてはんだ接合できないか、はんだ接合しても大きな未接合部が残り欠陥が発生してしまう。
また上記(2)の方法では、はんだ接合した基板/銅ベース組立体をプレス金型に載せた状態で、銅ベースを含めてはんだが塑性変形(クリープ変形)可能になる温度まで加熱するために、加熱後に常温まで戻す冷却過程で銅ベースが熱収縮する。そのため、皿形のプレス金型に合わせて銅ベースを加圧操作する際に、冷却過程で発生する反り量を見込んでそれ以上の逆反りを与える必要があり、銅ベースと絶縁基板の間を接合しているはんだが剥離してしまう恐れがある。
さらに、従来はパワー半導体モジュールに使用するはんだはSn-Pb系が主流であったが、最近になり環境問題からPbを含まないはんだ、例えばSn−Ag系のはんだが用いられる傾向にある。しかもSn−Ag系のはんだはSn−Pb系と比べて融点温度が高く、このために前記従来の反り矯正方法では作業に長い時間がかかってスループット性が低下する。
この発明は、前記のような従来の半導体装置の製造方法における問題点を解決して、絶縁基板直下の反りを矯正することを課題とするものである。
このようにすることにより、絶縁基板表面を均等に加圧でき、絶縁基板を直接加圧したときの集中荷重に起因する、半導体チップへの悪影響を与えることがない。また、大型の銅ベース,絶縁基板を用いる場合であっても、面状の均一な加圧により反りの矯正が可能である。
また、半導体チップをマウントした絶縁基板を放熱ベース上に載置してはんだ接合した半導体装置の組立体を、前記放熱ベース裏面の外周辺にて支持するとともに、開口部を有するケースを前記放熱ベースの外周辺に当接させて前記絶縁基板を覆い、前記組立体の前記半導体チップの搭載面側から熱を加えて前記はんだをクリープ変形し易い温度まで昇温させ、前記ケースを押下することにより前記放熱ベースをプレス変形するとともに、前記ケースとの間で密閉空間を形成し、該密閉空間内の圧力を上昇させて前記組立体に密閉空間内から密閉空間外へ向かう方向の押圧力を付勢し、該押圧力によって前記組立体を所望の形状に矯正し、前記押圧力を付勢したまま常温まで冷却する。
さらに、前記組立体への加熱は、赤外線の照射により行い、前記赤外線を部分的に遮光する遮光板により、前記半導体チップへ前記赤外線が直接照射されるのを遮るようにするとよい。このとき、前記ケースを、断熱性を有する耐熱材料にて構成する。
あるいは、前記低弾性のシール部材を前記ケースの開口端部より側壁内に形成された溝に嵌入し、該溝の底部にケース内部と連通する複数個の貫通穴を設けて、前記ケース内部の圧力を前記溝内に嵌入されたシール部材に伝達させ、前記ケースの押圧力と密閉空間内の圧力によって、前記放熱ベースと前記シール部材間の接触気密性を高めるものとする。
そして、前記放熱ベースの前記絶縁基板接合側の表面の、前記絶縁基板の外周領域に対応する個所と絶縁基板の中央近傍に対応する個所に、それぞれ50〜200μmの突起を形成するか、前記絶縁基板と前記放熱ベースを接合するはんだ内部に、該はんだの融点より50K以上融点が高く、はんだ濡れ性が良く、熱伝導率の高い材料からなり、50〜200μmの粒径を有する粒子を混入する。
放熱ベースの反りが矯正されるため、放熱ベースと放熱フィンとの熱的な接続が良好となってパワー半導体モジュールの放熱性能を向上させることができる。
(実施例1)
図1はこの発明の第1の実施例を示すものである。この図1の実施例おいて、21は堅牢な箱状のケースであり、銅ベース1を覆うように載置して密閉空間22を形成する。23は後述する加熱ガスの導入孔である。銅ベース1と絶縁基板3とが接合された組立体は、裏面支持部25に載置され、ケース21の端部24が銅ベース1に気密に接している。26a,26bは密閉空間22,銅ベース1を加熱する加熱ブロックである。
図11,9と同一の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
図12に示したように、銅ベース1上にAl2O3やAlNなどのセラミックを材料とする絶縁基板3をはんだ接合すると、銅ベース1と絶縁基板3の線膨張率が異なるため、これに起因して反りが発生する。
加熱ブロック26aは密閉空間22の内部に、加熱ブロック26bは銅ベース1の裏面近傍に設けられるが、双方を同時に用いてもよいし、いずれか一方を用いてもよい。
この加熱ブロックはブロックの周りに図示しないコイルを巻きまわし、図示しない高周波電源から前記コイルに高周波電流を供給してブロックを高周波加熱するように構成すると、加熱を管理しやすい。
加熱ブロックによる加熱で銅ベース1と絶縁基板3とを接合しているはんだ層9の温度が上昇し、絶縁基板3の外周領域のはんだ層9がクリープ変形し易い温度まで昇温したら、加熱ブロック26による加熱を停止もしくは密閉空間内温度の保温程度の加熱とする。続いて、導入孔23からあらかじめ加熱した窒素ガスを流入して密閉空間22の内部の圧力を上昇させる。
なお、導入するガスは、不活性のものであって、不燃,安価など取り扱いが容易なものであれば窒素に限るものではない。
密閉空間22の内部の圧力が上昇することにより、絶縁基板3の表面(半導体チップの搭載面)から密閉空間22の外側に向けて、即ち銅ベース1と絶縁基板の組立体を密閉空間22から押し出す方向に加圧力が作用する。密閉空間22の内部の圧力をさらに上昇させて、銅ベース1と絶縁基板の組立体を密閉空間22から押し出す方向に加圧力をさらに増大させて、この組立体が下側(半導体チップの非搭載面)に凸状となるまで変形させる。
密閉空間の内部の圧力の上昇による加圧力を銅ベース1と絶縁基板の組立体に効率よく伝達させるために、ケース21は堅牢な構造とする。また、加熱ブロック26aによる密閉空間22内の昇温を効率よく行うため、ケース21の素材に熱伝導率の小さい断熱材を選択するか、断熱構造とすることが望ましい。断熱材としてはガラス繊維と珪素系バインダーからなる耐熱積層板が好適である。
この結果、放熱フィンに組み付ける際、両者の良好な熱的接続が得られる。
なお、銅ベースの反りの矯正に必要な密閉空間内の圧力は、銅ベースの厚さや大きさによって異なる。3mm厚で120mm×120mm程度の銅ベースの場合、密閉空間の気圧を0.5MPa程度に保つことで反りの矯正を行うことができ、3mm厚で120mm×60mm程度の銅ベースの場合では、密閉空間の気圧を1MPa程度に保つことで反りの矯正を行うことができる。反りの矯正に必要な圧力は、銅ベース1の厚さや大きさに応じて適宜選択すればよい。
(実施例2)
図2は第2の実施例を示すものである。図2において、31はケース21の縁部に形成された切り欠き部であり、32は切り欠き部31に嵌合されたシール部材である。図2において切り欠き部31は断面を溝状に形成した例を示している。そのほか、図1と同一の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
図1に示した第1の実施例では、ケース21の縁部24を銅ベース1に押し付けることによって密閉空間22を形成している。そして、密閉空間22内に窒素ガスを流入させて内部の圧力を上昇させることによって、銅ベース1と絶縁基板の組立体を変形させている。
接触部分からのガスが漏洩すると、密閉空間内の圧力を所望値に保つことができず、銅ベース1を下に凸状に変形させ、この形状を保持させるに必要な加圧力を確保できなくなる。
そこで、図2に示すように、銅ベース1が大きな変形を起こしてもガスの漏洩を防止すべく、ケース21の縁部24に沿って1周する切り欠き部31を構成し、低弾性の物性を持つ材料で構成された1周する形状のシール部材32を切り欠き部31に嵌合させる。低弾性のシール部材32は例えばシリコンゴム等を成形したものを用い、銅ベース1の変形に追従して変形し、シール部材32の一部が常に銅ベース1に接触する形状とする。
切り欠き部の構成は、シール部材32の一部が常に銅ベース1に接触する形状であれば種々変形が可能であり、図2に示すように断面を31aのように矩形の断面形状としてもよいし、31bのように半円形の断面としてもよい。このように構成すると、低弾性のシール部材33の横方向に広がろうとする変形を拘束することができる。また図3(a)に示すようにシール部材32の一部をケース21に食い込ませる形状としてもよいし、同図(b)に示すように、ケース21の内壁に段差を設けてもよい。
また、剛性の高いケース21と銅ベース1は低弾性のシール部材33を介して接することになるため、銅ベース1の表面にケース21の接触痕が残ることもない。
ここで、銅ベース1が大型(3mm厚で120mm×120mm)の場合、変形量が大きいため、シール部材32の厚さ方向の変形(潰れ)だけでは密閉空間内のガスの漏洩を防止することができない。
そこで、図4に示すように、ケース21の側壁に端部24から溝33を形成し、さらに溝33の底部33aで密閉空間22に連通する複数個の貫通穴33bを設ける。溝33には上記の例と同様に、一部が常に銅ベース1に接するようにシール部材32を嵌入する。密閉空間内の高い圧力は貫通穴33bを介して溝内に伝達され、その圧力はシール部材32を溝から押し出す方向に作用する。
上記の実施例2において、密閉空間22を形成後の反りの矯正にかかるプロセスは実施例1と同様であるので説明を省略する。
(実施例3)
図5は第3の実施例を示すものである。図5において、34は銅ベースの支持部に設けたシール部材である。
裏面支持部25上にシール部材34を介して銅ベース1を載せる。銅ベース1の表面にケース21を気密に載せて密閉空間22を構成するのであるが、上記の実施例1,2と同様にケース21を銅ベース1と気密に載せてもよいが、ここでは図示のように、ケース21を裏面支持部25上に載せて密閉空間22を形成した。ケース21,裏面支持部25ともに堅牢な構成とすることができ、ケース21と裏面支持部25接触部の気密構造も強固なものを採用することができる。また、ケース21が銅ベース1に接触しないので、銅ベース1に局所的な荷重がかかることがなく、銅ベース1の表面にケース21の接触痕が残ることもない。
密閉空間22を形成後の反りの矯正にかかるプロセスは実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
(実施例4)
図6はこの発明の第4の実施例を示すものである。この図6の実施例において、35は堅牢な箱状のケースであり、36はケース35の天板である。ケース35,天板36にて絶縁基板を覆うように銅ベース1に載置して密閉空間22を形成する。23は後述する加熱ガスの導入孔である。銅ベース1と絶縁基板3とが接合された組立体は、裏面支持部25に載置される。
37は絶縁基板3を密閉空間22の外部から加熱する加熱装置である。加熱装置には赤外線加熱装置が好適であり、このため、天板36には赤外線を透過する石英ガラスを選択するとよい。図6においては、ケース35の天板36との接合部分にも切り欠き部31とシール部材32を配しており、図示しない固定手段にてケース35と天板36とを気密に固定している。あるいは、ケース35と天板36とを接着することによって気密に固定してもよい。なお、天板36に赤外線を照射することから、均一な照射の障害となる導入孔23は、ケース35の側面に設けている。
38は、遮光板である。加熱装置37からの赤外線が絶縁基板上に実装された半導体チップ等の素子に直接照射されるのを防ぐために、素子の配置に沿って遮光パターン38’が設けられている。遮光板38は、ケース35を銅ベース1上に載置したとき、遮光パターン38’が半導体チップ等の素子にできるだけ近づくようにケース35への取り付け位置が調整されている。遮光板38は、遮光パターン38’の形成が容易で加熱装置からの熱(赤外線)をさえぎり、また自身の温度上昇にも変形や溶融しない材料で形成されている。例えばセラミック板などが好適である。遮光板38はケース35に着脱自在に固定されており、絶縁基板3上の半導体チップ7や銅パターン5の配置が変更となった場合でも、遮光板の取り替えが容易である。
また、冷却ブロック39は、銅ベース1の矯正に伴う裏面形状の変形に追従すべく、銅ベースの裏面面積に対して複数の領域に分割されている。
このような反りの発生を抑制する方法に、接合時に、接合面の両側に温度差を設ける方法がある。銅ベースと絶縁基板との接合の場合、絶縁基板側から加熱を行うと共に、銅ベース側を冷却することによって、両者に140℃の温度差を与える。こうすると、銅ベースの熱膨張を抑制したまま接合が完了し、接合体を常温に戻したときに銅ベースの収縮量が少ないため、理論上反りは発生しない。
しかしながら、接合時に140℃の温度差を与えるのは困難である。
そこで、接合時に温度差を与える方法を、接合体の反りを矯正する際に適用して次の工程とした。
(2)加熱装置37により絶縁基板3側と銅ベース1との接合個所を加熱する。加熱装置37は密閉空間22の外部に設けられているため、石英ガラス36を透過して、絶縁基板3側から加熱することになる。このとき遮光板38により半導体チップ等への直接の加熱はさえぎられている。
(3)銅ベース1と絶縁基板3とを接合するはんだ層9がクリープ変形し易い温度まで加熱した時点で、ケース35により銅ベース1をプレスする。ケース35によるプレスにより、銅ベース1のケース35との当接領域はケース35の形状に変形すると共に、密閉空間22の気密度が高くなる。
(4)導入孔23からあらかじめ加熱した窒素ガスを流入して密閉空間22の内部の圧力を上昇させる。
この時、導入孔23から導入するガスをあらかじめ加熱しているのは、ガスの導入時点で、加熱によってはんだ層9がクリープ変形しやすい状態になっており、温度の低いガスの導入により密閉空間内の温度が低下してはんだ層9が硬化してしまうのを防ぐためである。図示しないが、導入孔23の前段には高圧のガスを供給できるガス源と、該ガス源と導入孔23との間の導入ガス流路にガスを加熱するためのヒータとを備えている。ガス源としては高圧のボンベやシリンダー内のガスをピストンにて圧縮したものなどを用いることができる。
密閉空間22の内部の圧力が上昇することにより、絶縁基板3の表面(半導体チップの搭載面)から密閉空間22の外側に向けて、即ち銅ベース1と絶縁基板の組立体を密閉空間22から押し出す方向に加圧力が作用する。密閉空間22の内部の圧力をさらに上昇させて、銅ベース1と絶縁基板の組立体を密閉空間22から押し出す方向に加圧力をさらに増大させて、この組立体が下側(半導体チップの非搭載面)に凸状となるまで変形させる。密閉空間の内部の圧力の上昇による加圧力を銅ベース1と絶縁基板の組立体に効率よく伝達させるために、ケース35は堅牢な構造とし、加熱装置37による昇温を効率よく行うため、熱伝導率が小さく強度の高い断熱材を適用することが望ましい。断熱材としては、ガラス繊維と珪素系バインダーからなる耐熱積層板が好適である。
また、密閉空間内部の圧力は上記のとおり1MPa程度まで上昇するため、導入気体の漏洩を防止するためにも、ケース21を所定の力で銅ベース1への押し付ける必要がある。この値も銅ベースのサイズに影響されるが、矯正を行う加工面積と反りの矯正に必要な圧力の積にさらに20Nを加えた程度の力で押圧すれば気密を維持することができる。
銅ベース1の裏面を冷却水によって急速に冷却することにより、銅ベース1と絶縁基板3との接合面と、銅ベース1との温度差を約80℃とすることができるため、はんだ層9のクリープ変形により銅ベース1および絶縁基板3の熱歪みが開放された状態を維持することができる。そのため、室温に戻したときに再び反ることはなく、銅ベース1と絶縁基板3との最初の接合時に生じた反りを矯正することができる。この結果、放熱フィンに組み付ける際、両者の良好な熱的接続を得ることができる。
ケース35は上記の(3)の工程においてプレス治具として、裏面支持部25は同じくプレス受け治具として機能する。図7の例では、ケース35は各辺の中央付近を頂点とする凸状の曲面加工が施され、裏面支持部25はこれを受けるように、各辺の中央付近を底とする凹状の曲面加工が施されている。
図8は図7の矢視正面図である。図8(a)は、前記(3)のプレス工程前の状態を示すものであり、中央部がくぼんだ形状の曲面加工が施された裏面支持部25の辺部が、銅ベース1の周辺部に当接している。図8(b)は、(3)のプレス工程後の状態を示すものである。中央部が膨らんだ形状の曲面加工が施されたケース35の辺部は、(3)のプレス工程においてプレス加工体として、銅ベース1の周辺部を押圧する。
このように、ケース35と裏面支持部25の辺部に曲面加工を施してプレス加工体とすることにより、銅ベース1の周辺部がケース35と裏面支持部25の曲面形状にしたがってわずかに下に凸状変形し、絶縁基板側は密閉空間となる。
プレス加工によって、銅ベース1を下に凸状に変形することができるため、放熱フィンに組み付ける際、両者の良好な熱的接続を得ることができる。
(実施例5)
銅ベース1と絶縁基板3とが接合された組立体を上記の実施例1〜実施例4の方法で加圧した場合、組立体の中央部付近ではんだ9が完全に溶融せず、クリープ変形しやすい温度範囲に保たれていれば反り矯正は順調に達成される。このような反りの矯正工程において、銅ベース1と絶縁基板3との間隔を所望の範囲を保つため、図9に示すように銅ベース1の絶縁基板との接合面に突起35を形成すればよい。あるいは、図10に示すようにはんだ9にあらかじめ微粒子36を混入させておけばよい。
図10において、52ははんだ9にあらかじめ混入された微粒子であり、その粒径は銅ベース1と絶縁基板3との間の所望のはんだ厚さに応じて選択され、50〜200μm程度が好適である。また、反りの矯正時にも機能させるため、銅ベース1と絶縁基板3とをはんだ接合する際に溶融してしまわないよう、該はんだの融点より50K以上融点が高い材料を選択するとよい。また、ボイドの発生を防ぐため、はんだ濡れ性の良い材料が好適であり、接合後の熱伝導の妨げにならないように熱伝導率の高い材料を選択するとよい。
また、絶縁基板としてAl2O3やAlNなどのセラミックを材料を例に説明したが、セラミック材料もこれに限るものではない。
2 樹脂成形品の外囲ケース
3 絶縁基板
4 セラミック板
5,6 銅パターン
7 半導体チップ
8 外部導出端子(リードフレーム)
9,10,11 はんだ層
12 放熱フィン
21,35 ケース
22 密閉空間
23 導入孔
24 端部
25 裏面支持部
26 加熱ブロック
31 切り欠き部
32,34 シール部材
33 溝
36 石英ガラス
37 加熱装置
38 遮光板
39 冷却ブロック
40 ばね
41 冷却ノズル
51 突起
52 微粒子
Claims (16)
- 半導体チップをマウントした絶縁基板を放熱ベース上に載置してはんだ接合した半導体装置の組立体を、前記放熱ベース裏面の外周辺にて支持するとともに、開口部を有するケースを前記放熱ベースの外周辺に押し当てて前記半導体チップ搭載面を気密に覆う密閉空間を形成し、前記組立体に熱を加えて前記はんだをクリープ変形し易い温度まで昇温させ、前記密閉空間内の圧力を上昇させて前記組立体に密閉空間内から密閉空間外へ向かう方向の押圧力を付勢し、該押圧力によって前記組立体を所望の形状に矯正し、前記押圧力を付勢したまま常温まで冷却することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 半導体チップをマウントした絶縁基板を放熱ベース上に載置してはんだ接合した半導体装置の組立体を、前記放熱ベース裏面の外周辺に当接する個所に低弾性のシール部材を設けた裏面支持部にて気密に支持し、開口部を有するケースを前記裏面支持部の外周辺に押し当てて前記半導体チップ搭載面を気密に覆う密閉空間を形成し、前記組立体に熱を加えて前記はんだをクリープ変形し易い温度まで昇温させ、前記密閉空間内の圧力を上昇させて前記組立体に密閉空間内から密閉空間外へ向かう方向の押圧力を付勢し、該押圧力によって前記組立体を所望の形状に矯正し、前記押圧力を付勢したまま常温まで冷却することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 半導体チップをマウントした絶縁基板を放熱ベース上に載置してはんだ接合した半導体装置の組立体を、前記放熱ベース裏面の外周辺にて支持するとともに、開口部を有するケースを前記放熱ベースの外周辺に当接させて前記絶縁基板を覆い、前記組立体の前記半導体チップの搭載面側から熱を加えて前記はんだをクリープ変形し易い温度まで昇温させ、前記ケースを押下することにより前記放熱ベースをプレス変形するとともに、前記ケースとの間で密閉空間を形成し、該密閉空間内の圧力を上昇させて前記組立体に密閉空間内から密閉空間外へ向かう方向の押圧力を付勢し、該押圧力によって前記組立体を所望の形状に矯正し、前記押圧力を付勢したまま常温まで冷却することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記組立体への加熱は、前記組立体の両面に温度差を設けながら行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記温度差を、前記放熱ベースの裏面に冷却ブロックを弾性的に当接させることで与えることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記押圧力によって前記組立体を所望の形状に矯正し、前記押圧力を付勢したまま、前記放熱ベースの裏面を急速に冷却することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記組立体への加熱は、赤外線の照射によるものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記赤外線を部分的に遮光する遮光板により、前記半導体チップへ前記赤外線が直接照射されるのを遮ることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項3乃至請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ケースの開口部の各辺を、各辺の中央部を頂点として放熱ベース側に凸状の弧状とし、これに対向する前記組立体の支持体の各辺の中央部を底として凹状の弧状とし、
前記プレスにより、前記放熱ベースの外周領域を前記半導体チップの非マウント面側に凸状に変形させることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ケースを、断熱性を有する耐熱材料にて構成することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ケースに設けられた気体導入孔より気体を導入して前記密閉空間内の圧力を上昇させることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ケースの開口部の端部に低弾性のシール部材を設けたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記低弾性のシール部材は、前記ケースの開口端部に形成された切り欠き部に嵌合して設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記低弾性のシール部材を前記ケースの開口端部より側壁内に形成された溝に嵌入し、該溝の底部にケース内部と連通する複数個の貫通穴を設けて、前記ケース内部の圧力を前記溝内に嵌入されたシール部材に伝達させ、前記ケースの押圧力と密閉空間内の圧力によって、前記シール部材の接触気密性を高めたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1乃至請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記放熱ベースの前記絶縁基板接合側の表面の、前記絶縁基板の外周領域に対応する個所と絶縁基板の中央近傍に対応する個所に、それぞれ50〜200μmの突起を形成したことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1乃至請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁基板と前記放熱ベースを接合するはんだ内部に、該はんだの融点より50K以上融点が高く、はんだ濡れ性が良く、熱伝導率の高い材料からなり、50〜200μmの粒径を有する粒子を混入したことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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