JP4380286B2 - 複合コンクリート部材 - Google Patents

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Description

本発明は複合コンクリート部材に関し、詳しくは、複数のプレキャストコンクリート型
枠材とこの型枠材内に打設した現場打ちコンクリートにより一体化してなるハーフプレキ
ャスト部材であって、曲げ耐力を改善した複合コンクリート部材に関する。
近年、現場打ちコンクリートとプレキャストコンクリート部材の長所を取り入れた工法
としてハーフプレキャスト工法が注目されている。このハーフプレキャスト工法は、部材
の一部分をプレキャストコンクリートによって予め製造し、現場でこれを組み立てた後、
このプレキャストコンクリート型枠材内に現場打ちコンクリートを打ち込んで最終部材を
完成させつつ一体化する工法である。
このようなハーフプレキャスト工法によれば、熟練工を要しない,作業者が少人数で済
む,生産性が向上するといった利点がある工法として確立されてきている。また、型枠の
生産から廃棄に至る過程で、建築物のライフサイクル全体を通じたエネルギー削減を可能
とする工法の一つとも考えられる。
しかし、このハーフプレキャスト工法により形成される最終部材は、プレキャストコン
クリート型枠材と現場打ちコンクリートとからなる複合構造体であるため、両者の構造的
な一体性が確保される必要があると同時に、プレキャストコンクリート型枠材同士の接合
部における連続性が確保されなければならない。特に、プレキャストコンクリート型枠材
の長さには限度があるので、梁などの長尺物にあっては型枠材間に接合部が生じることに
なる。したがって、この接合部の影響によって曲げ耐力・変形性状等が損なわれることの
ないもの、すなわち、現場打ちコンクリートによって形成した現場打ち一体部材と同等以
上の曲げ耐力・変形性状を有する連続性を備えたものとなるよう設計する必要がある。
従来、中間に材軸直交方向の接合部を有するハーフプレキャスト工法により形成する複
合コンクリート部材にあって、前記接合部における曲げ耐力の向上を図ったものとして、
例えば特開平5ー321324号に係る発明では、上面開口の樋状をなすプレキャストコ
ンクリート部材の一端又は両端の底壁を切り欠いて下端主筋を露出させ、部材の一端又は
両端から突出する前記下端主筋同士を前記切欠部内でオーバーラップさせ、又は前記切欠
部内に露出した前記両下端主筋に跨がるように連結筋を配筋し、樋状部内にコンクリート
を打設して連結するようにしたハーフプレキャスト製の梁が開示している。
また、特開平11−61979号に係る発明では、プレキャスト埋設型枠部材同士のジ
ョイント位置と現場打ちコンクリートの打継目を10cm以上離れるように施工するプレ
キャスト型枠工法による鉄筋コンクリート構造物の構築方法が提案され、更に、特開20
00ー141328号に係る発明では、プレキャスト型枠部材の端部打継ぎ部分に透水性
の土砂流出防止シートを接着してコンクリートを打設し、付着力向上のための凹凸を付け
るようにするしたプレキャストコンクリート部材継目用の型枠工法が提案されている。
特開平5ー321324号公報 特開平11−61979号公報 特開2000−141328号公報
しかし、これらの各提案は接合部の構造あるいは接合面の構造に工夫を加えることによ
って、前記接合部に補強を講じたものにすぎず、広くいろいろな用途に使えるようにする
ための曲げ耐力・変形性状改善に関する提案は何ら開示されていない。すなわち、中間に
接合部を有するハーフプレキャスト工法で形成する複合コンクリート部材にあって、該部
材の曲げ耐力を向上せしめるためには、鉛直荷重に対する複合部材の一体性を検証しなが
ら、この一体性を確保するための接合部の位置,接合部の間隔,接合面直交鉄筋などに関
する汎用的な曲げ耐力改善手段の開発が要求されるが、上記従来の提案にはこれらの点に
ついては何ら開示されていない。
一般に、プレキャストコンクリート部材の材軸直交接合部における設計では、接合部の
各状態における曲げ強度Mまたはせん断強度Qが、設計用曲げモーメントMdまたは設計
用せん断力Qdを上回ることを確認しなければならない。設計用曲げモーメントMdまた
は設計用せん断力Qdは、作用する応力と許容される変形に応じて接合要素の応力伝達の
種類を決定し、鉄筋に作用する軸力の伝達は直接継手もしくは間接継手から選択すること
が必要である(日本建築学会「現場打ち同等型プレキャスト鉄筋コンクリート構造設計指
針(案)・同解説2002」)。
本発明は、ハーフプレキャスト製の複合コンクリート部材にあって、鉛直荷重に対する
一体性を確保するための接合部の位置,接合部の間隔,接合面直交鉄筋の大きさなどにつ
いて種々実験を重ね、この実験から知得した結果に基づいてなされたものであり、現場打
ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力,変形性状を有する複合コンクリート部材を提供するこ
とを目的としたものである。
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、長手方向に沿って平行に延
びる組立筋を複数段埋設してなる一対のプレキャストコンクリート型枠材を左右に離間し
て配設するとゝもに、これらと同一構成の型枠材を接合部を介して長手方向に複数組配設
し、全長にわたって配設した主筋と現場打ちコンクリートにより連結して一体化するハー
フプレキャスト部材であって、該部材の曲げ応力によって部材断面に形成される左右のせ
ん断領域において、そのスパン長さ方向のほゞ中央に前記接合部を設けたことを特徴とす
る複合コンクリート部材である。
また、本願の請求項2に係る発明は、長手方向に沿って平行に延びる組立筋を複数段埋
設してなる一対のプレキャストコンクリート型枠材を左右に離間して配設するとゝもに、
これらと同一構成の型枠材を接合部を介して長手方向に複数組配設し、全長にわたって配
設した主筋と現場打ちコンクリートにより連結して一体化するハーフプレキャスト部材で
あって、前記組立筋の圧縮縁に対する断面一次モーメントの合計に対しこれと同等以上と
なるように径を定めた補強筋を前記接合部を跨いで引張主筋位置に配設して連結したこと
を特徴とする複合コンクリート部材である。
更に、本願の請求項3に係る発明は、前記請求項1又は2記載の複合コンクリート部材
にあって、前記接合部の間隔が、前記現場打ちコンクリートに使用する粗骨材の最大寸法
の1.3倍以上2.5倍以下または30mm以上50mm以下としたことを特徴とするも
のである。
また、本願の請求項4に係る発明は、前記請求項1〜3に係る発明において、前記複合
コンクリート部材が梁又は基礎梁であることを特徴とするものである。
本発明に係る複合コンクリート部材は、ハーフプレキャスト工法により形成することが
できるので、熟練工を要しない,作業者が少人数で済む,生産性が向上するといった利点
があるとゝもに、請求項1に係る発明によれば、ハーフプレキャスト型枠材同士の接続が
容易であり、しかも現場打ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力を有する複合コンクリート部
材を得ることができる。
また、請求項2に係る発明によれば、ハーフプレキャスト型枠材同士を連結する接合部
が部材のどの位置にあっても、現場打ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力・変形性状を有す
る複合コンクリート部材を得ることができるとゝもに、請求項1に係る複合コンクリート
部材と比較してより一層大きな曲げ耐力を有する複合コンクリート部材を得ることができ
る。
さらに、請求項3に係る発明によれば、ハーフプレキャスト型枠材間の接合部における
端面間にも現場打ちコンクリートが十分に充填されることになる。したがって、型枠材端
面の表面性状の影響を直接受けることがなく、この接合部分が断面欠損になるといった虞
がないとゝもに、接合部に設置する型枠の小型化が図られ作業能率が向上する。また、接
合部の間隔を容易に決めることができるので、ハーフプレキャスト型枠材同士の接続が容
易に行え、複合コンクリート部材の製造が容易である。
また、請求項4に係る発明によれば、現場打ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力および変
形性状を備えた梁又は基礎梁を得ることができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図において、1はハー
フプレキャスト構造体からなる複合コンクリート部材で、図1,図2に示すように、所定
間隔をおいて対向して立設した左右一対の横長方形状の版状体からなるプレキャストコン
クリート型枠材2,2と、その一端にこれらと同一構成としたプレキャストコンクリート
型枠材2,2を所定の間隔Dをおいて長手方向に配設するとゝもに、その内部に全長にわ
たって配設した上端主筋3a及び下端主筋3bと、この上・下端両主筋3a,3bを内部
にそれぞれ配筋した場打ちコンクリート4とにより、接合部5を介して一体化した構成の
もの(以下、ハーフプレキャスト部材と言う)である。
前記プレキャストコンクリート型枠材2の内部には、水平方向に平行に延び且つ多段に
配設した複数本の組立筋6,6と、該組立筋6,6に溶接または結束して固定した垂直方
向に延びる複数本の肋筋7,7がそれぞれ埋設されている。この各肋筋7は略C字形状と
したもので、前記左右一対のプレキャストコンクリート型枠材2,2を対向して配置した
ときに、各型枠材2,2の内側面にあってその上・下端近傍から互いに相手方の型枠材2
に向かって突出する上・下の水平折曲部8a,8bと、相手方の型枠材2の内側面と対峙
する上・下の垂直折曲部9a,9bとを夫々備えている。
また、前記現場打ちコンクリート4の内部には、上記のように、前記ハーフプレキャス
ト部材1の全長にわたって水平方向に延びる複数本の上端主筋(圧縮側主筋)3a,3a
と、これと同数の下端主筋(引張側主筋)3b,3bがそれぞれ埋設されており、前記上
端主筋3aは前記肋筋7の上方の水平折曲部8aと、また下端主筋3bは下方の水平折曲
部8bとそれぞれ溶接または結束によって固定されている。
ここで、前記接合部5の間隔Dは、前記現場打ちコンクリート4に使用する粗骨材の最
大寸法の1.3倍以上2.5倍以下、または30mm以上50mm以下とした。その理由
は、前記プレキャスト型枠材2,2の端面が直接接触する状態で突き合わせた場合には、
該プレキャスト型枠材2,2の端面の表面性状の影響を直接受け、この部分が断面欠損に
なるためで、接合部5の前記間隔Dを粗骨材の最大寸法以上とすれば、プレキャスト型枠
材2,2の端面間に十分にコンクリートが充填されることになる。一方、過大な間隔幅を
設けると、図3に示すように、現場打ちコンクリート4を打設する際、前記接合部5に配
される側枠板B1,1自体が大きくなって作業上好ましくない。なお、図3においてB2
は底枠板である。
基本的には、現場打ちコンクリート一体部材(以下、現場打ち一体部材と言う)と同等
の接合強度であれば良く、過大な接合手段を施すことはコスト面から望ましいとは云えな
い。そこで、後打ちされるコンクリートがそのままウエットジョイントとして機能するよ
うな間隔を設けることが最も望ましいものとなる。したがって、粗骨材の最大寸法が例え
ば20mmの場合には接合部3の前記間隔Dを30〜50mmとする。実際には、粗骨材
最大寸法に応じてその1.3倍以上から2.5倍以下に設定すれば良い。
また、前記接合部5を設ける位置は、図4(a)(b)に示すような載荷荷重が掛かる
場所に使用するハーフプレキャスト部材1にあっては、該ハーフプレキャスト部材1の曲
げ応力によって部材断面に形成されるせん断領域Y、或いは、図4(c)に示すような載
荷荷重が掛かる場所に使用するハーフプレキャスト部材1にあっては、該ハーフプレキャ
スト部材1の曲げ応力によって部材断面に形成される中央の曲げ領域Cの中心から外れた
位置にそれぞれ設けることが必要である。より好ましくは、前記せん断領域Yにあっては
そのスパン長さ方向の中央に、また中央の曲げ領域Cにあっては終極曲げモーメントとな
る中心から外れた位置にそれぞれ設ける。
その理由は、上記せん断領域Yにあってそのスパン長さ方向の中央に接合部5を設けた
ハーフプレキャスト部材1では現場打ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力を示し、また、中
央の曲げ領域Cにあって終極曲げモーメントとなる中心位置から外れた位置に接合部5を
設けたハーフプレキャスト部材1では、現場打ち一体部材と同様の一体的な変形特性を示
すことがその根拠である。また、せん断力が作用する構造形式では接合部による一体性へ
の影響がなく、終局時の破壊強度もそのせん断力比によって若干異なるものの、現場打ち
一体部材とほゞ同じであることもその根拠の一つである。
上記のように、ハーフプレキャスト部材1において、せん断力に対して接合部の影響は
ないが、曲げに対してはその接合部がどの位置にあるかによりその影響が顕著に現れる。
すなわち、接合部を曲げ領域Cの中心に設けた場合には、欠損断面の曲げ降伏強度に達す
るとたわみ形状がV字形状となる。したがって、ハーフプレキャスト部材にあって、その
曲げ耐力を現場打ち一体部材と同等のものとするためにはその接合部を終極曲げモーメン
トとなる位置から外れた位置に形成する必要がある。
しかし、前記接合部5を曲げ領域Cの中心に設けた場合でも、図5,図6に示すような
構造とすることにより、現場打ち一体部材とほゞ同等の曲げ耐力を確保できるハーフプレ
キャスト部材1を得ることができる。すなわち、同図において、10は前記接合部5に埋
設した補強筋で、前記組立筋6,6の圧縮縁に対する断面一次モーメントの合計以上の断
面一次モーメントとなる大きさの径を有していて、前記下端主筋3b,3bに沿い且つ前
記接合部5を跨いで配設されており、下端主筋3bや前記肋筋7の下方の水平折曲部8b
と溶接又は結束などによって固定されている。
ここで、前記補強筋10は、前記接合部5の中心の軸長両側に所定の定着長で設けるこ
とが望ましい。すなわち、「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(日本建築学会、
1999)の第16条で規定される付着定着長さの算定式から、断面一次モーメントが一致す
るよう設定されたものである。したがって、断面や鉄筋径が異なればこれに従って定着長
を計算すれば良い。また、前記補強筋10はプレキャスト型枠材2を互いに突き合わせ、
現場打ちコンクリート4を打設する前であれば容易に設置可能である。
つぎに、本発明に係るハーフプレキャスト部材1の前記接合部5の位置,該接合部5の
間隔D,接合面直交補強筋10の大きさに関する上記の限定理由を実験結果に基づいて以
下に説明する。実験に供したハーフプレキャスト部材(hPCa)は、図1及び図2に示すよ
うに、厚さ300 mm,高さ 800mm,長さ7000mmである。また、上端主筋3a及び下端
主筋3bにはSD 295のD 22を、組立筋6及び肋筋7にはそれぞれSD 295のD 10を用い、こ
れを 200mmピッチで配した(以上、鋼材記号はJIS G 3112による)。
主筋比は0.38%,肋筋比は0.24%である。なお、前記肋筋7の上・下の水平折
曲部8a,8bの現場打ちコンクリート4への定着はJASS 5に準拠し、上・下の垂直折曲
部9a,9bの長さを8Dとして定着した。また、前記ハーフプレキャスト部材(hPCa)
の比較対象として、図7に示すように、在来工法による現場打ち一体試験体(RC)を同
材料・同寸法で製作した。
表1にプレキャストコンクリート型枠材2と現場打ちコンクリート4の配合及び強度を
示す。また、表2に各試験体の接合部の位置,接合部の間隔,接合面直交鉄筋(補強筋)
についてその一覧表を示す。

Figure 0004380286

Figure 0004380286
図4(c)に曲げ試験の載荷方法を示す。載荷は数段階に分け、載荷最大荷重階を増大
させながら載荷と除荷を繰り返し、最終的に試験体が破壊に至るまで継続した。また、ゲ
ージ及び変位計を用いて、試験体表面,鉄筋のひずみ,荷重,ひび割れ幅,曲率(曲げス
パン内の中央位置,材軸方向300mm長さとし、試験体上部と下部の圧縮ひずみと引張
ひずみの絶対量の和を上下変位測定間距離で除したもの)を測定し、試験荷重に対するこ
れら変位量の変化から、現場打ち一体部材(RC)を基礎としたハーフプレキャスト部材
(hPCa)の一体性を評価した。
表3は各試験体の試験結果である。この表3から明らかなように、接合部(継ぎ目)を
有しないものは、ハーフプレキャスト部材(hPCa)でも場所打ち一体部材(RC)とほぼ
同等の曲げ耐力を示している。しかし、接合部5を載荷点中央に設けた場合や或いはこの
接合部5をウエッジジョイントとした場合には、ハーフプレキャスト部材(hPCa)は現場
打ち一体部材(RC)の曲げ耐力の60〜70%の曲げ耐力しか示さない。
しかし、接合部5が載荷点中央にあっても、組立筋6の圧縮縁に対し断面一次モーメン
トが一致するよう、引張主筋3b位置に補強筋(SD 295のD 16) 10を配置して連結した
場合には、現場打ち一体部材(RC)とほぼ同等の曲げ耐力を示している。また、前記ハ
ーフプレキャスト部材(hPCa)の曲げ応力によって部材断面に形成されるせん断領域にお
いて、そのスパン長さ方向の中央に所定間隔の接合部5を設けた場合にも現場打ち一体部
材(RC)とほぼ同等の曲げ耐力を示している。なお、本試験例では、粗骨材最大寸法が
20mmであるため、接合部の間隔を30〜50mmとした。

Figure 0004380286
次ぎに、本発明では、ハーフプレキャスト部材(hPCa)の一体性の指標として、「ばら
つき性」と「類似性」を導入する。「ばらつき性」とは試験体の局所的な変形状態のばら
つき比較を評価するもので、次式(1)
(Amax−Amin)/2Aave・・・(1)
但し、Amax,Amin,Aaveは計測対象Aの最大値,最小値,平均値を示す。
で表され、ばらつき係数として評価される。
また「類似性」とは、ハーフプレキャスト部材(hPCa)の現場打ち一体部材(RC)に
対する一体性を評価するもので、次式(2)
Aave−pca/Aave−rc・・・(2)
但し、Aave-pca,Aave-rcはハーフプレキャスト部材と現場打ち一体部材の
計測対象Aの平均値を示す。
で表され、類似係数として評価される。
ひびわれ,変位,歪み等の各計測対象について、上記式(1)(2)で求められるばら
つき係数と類似係数を導入することにより、強度や変形に係わる現場打ち同等型ハーフプ
レキャスト部材(hPCa)の一体性を評価できる。
図8は曲げ応力下でのハーフプレキャスト部材(hPCa)の一体性を評価するために、荷
重に関する類似係数と、総ひび割れ幅に関するばらつき係数とを導入し評価した結果であ
る。現場打ち一体部材(RC)のばらつき係数は、載荷ステップ都度に10%以内である
一方、ハーフプレキャスト部材(hPCa)では、試験体表面の圧縮歪みが3000μmを超える
第5ステップ以降、顕著に大きくなる。しかしながら、強度特性(荷重とたわみ量)に関
する類似係数はその影響を受けないことが明らかとなった。
以上のことから、組立鉄筋6の圧縮縁に対し断面一次モーメントが一致するように、引
張側主筋(下端主筋)3b位置に補強筋10を配設して連結した場合のハーフプレキャス
ト部材(hPCa)は、曲げ耐力が現場打ち一体部材(RC)とほぼ同等であることに加え、
鉛直荷重に対する変形特性も現場打ち一体部材とほぼ同等とみなせることが判明した。
ところで、ハーフプレキャスト部材(hPCa)の曲げ応力によって部材断面に形成される
左右のせん断領域において、そのスパン長さ方向の中央に所定間隔の接合部5を設けた場
合にも、現場打ち一体部材(RC)とほぼ同等の曲げ耐力を示すとした根拠を明らかにす
るため、曲げ試験時の変形特性についてハーフプレキャスト部材(hPCa)の場合と場所打
ち一体部材(RC)の場合で比較を行った。
図9は、試験体圧壊時における試験体表面歪み,鉄筋歪み,総ひび割れ幅および曲率に
関して、ハーフプレキャスト部材(hPCa)と場所打ち一体部材(RC)との関係を、接合
部5の位置についてまとめたものである。この結果によれば、曲げ応力が作用する条件下
で、接合部5の位置を終局曲げモーメントとなる位置(中心)からずらすことで、場所打
ち一体部材(RC)と同様、一体的な変形特性が得られることが分かる。
また、これとは別に、図4(a)(b)に示すように、せん断スパン比を1.0ないし
0.5としたせん断試験を行った。この結果を表4に示す。この結果によれば、せん断力
が作用する構造形式では接合部5による一体性への影響がなく、終局時の破壊強度もその
せん断比によって若干異なるものの、ほぼ場所打ち一体部材(RC)と同様となることが
分かる。

Figure 0004380286
つぎに、前記補強筋10の直径について図5を参照しつつ更に詳述すると、本試験体で
補強筋10は引張主筋3b位置にD16のものが2本設けられている。また、組立筋6はD
16のものが左右上下かぶり45mmの間で177.5 mmの間隔をおいて計5本設けてある。し
たがって、曲げ載荷面である圧縮縁からの距離を考え、夫々の断面一次モーメントは、
補強筋10では、
755×AD16× 2= 755×198.6 × 2=299,886mm3
組立筋6では、
(45 +222.5 + 400+577.5 +755)×AD10× 2=2000×71.33 ×2 =285,320 mm3
但し、198.6 及び71.33 はAD16及びAD10の公称断面積を示す。
となる。したがって、補強筋10の断面一次モーメントは各組立筋6の断面一次モーメン
トの合計よりも大きいので、充分な補強効果が得られる。
本発明に係る複合コンクリート部材の一部切欠き斜視図である。 同部材における接合部の断面拡大図である。 製造方法を示す要部の平面図(a)と正面図(b)である。 載荷試験方法を示す説明図である。 接合部の他実施形態を示す断面拡大図である。 同接合部における配筋状態を示す一部切欠き斜視図である。 試験体に用いた現場打ちコンクリート部材の断面拡大図である。 試験体に用いたハーフプレキャスト部材の類似係数とばらつき係数の関係を示すグラフである。 本実施例における曲げ応力に対する接合部の位置と変形特性の関係についての試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 複合コンクリート部材
2 プレキャストコンクリート型枠材
3a 上端主筋
3b 下端主筋
4 現場打ちコンクリート
5 接合部
6 組立筋
7 肋筋
8a 上方の水平折曲部
8b 下方の水平折曲部
9a 上方の垂直折曲部
9b 下方の垂直折曲部
10 補強筋
Y せん断領域

Claims (4)

  1. 長手方向に沿って平行に延びる組立筋を複数段埋設してなる一対のプレキャストコンク
    リート型枠材を左右に離間して配設するとゝもに、これらと同一構成の型枠材を接合部を
    介して長手方向に複数組配設し、全長にわたって配設した主筋と現場打ちコンクリートに
    より連結して一体化するハーフプレキャスト部材であって、該部材の曲げ応力によって部
    材断面に形成される左右のせん断領域において、そのスパン長さ方向のほゞ中央に前記接
    合部を設けたことを特徴とする複合コンクリート部材。
  2. 長手方向に沿って平行に延びる組立筋を複数段埋設してなる一対のプレキャストコンク
    リート型枠材を左右に離間して配設するとゝもに、これらと同一構成の型枠材を接合部を
    介して長手方向に複数組配設し、全長にわたって配設した主筋と現場打ちコンクリートに
    より連結して一体化するハーフプレキャスト部材であって、前記組立筋の圧縮縁に対する
    断面一次モーメントの合計に対しこれと同等以上となるように径を定めた補強筋を前記接
    合部を跨いで引張主筋位置に配設して連結したことを特徴とする複合コンクリート部材。
  3. 前記接合部の間隔が、前記現場打ちコンクリートに使用する粗骨材の最大寸法の1.3
    倍以上2.5倍以下または30mm以上50mm以下としたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の複合コンクリート部材。
  4. 前記複合コンクリート部材が梁又は基礎梁であることを特徴とする請求項1〜3のうち
    いずれか一つに記載の複合コンクリート部材。
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