JP4379845B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機に関し、例えば、パチンコ遊技機等の遊技機であって、特に、遊技制御を司る遊技用演算処理装置の改造等の不正行為防止を意図した遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ遊技機等のように、射幸心を煽るおそれのある遊技機を市場に投入するに際は、所定の法律等(例えば、風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律等)に則した性能基準を満たしているかの検査を第三者機関で受け、所定の基準(例えば、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」に定められ基準)を充足している場合に限り、販売許可を取得し、市場への投入が可能になっており、遊技店では上記のような所定の基準を満たした遊技機を設置してはじめて営業が可能になる。
【0003】
ところで、遊技店に設置された遊技機の中には不正に改造された遊技機の存在が指摘されており、社会問題ともなっているが、今日では遊技機製造業者の努力もあって、稚拙な不正行為(例えば、磁石などを使った行為)は相当少なくなってきているものの、技術力と組織力を背景にした犯罪者集団による不正行為、例えば、遊技機の遊技制御を管理する遊技制御基板に備えられているプログラムROM(遊技プログラムが格納されたROM)の改造ROM(大当りが出現しやすいように改造したもの;裏ROMともいう)を製作し、その改造ROMを正規のプログラムROMと交換するといった行為は、完全に一掃されていないのが実情である。
【0004】
かかる背景から、プログラムROMをCPUや周辺回路と一緒に1チップ化してROM交換を行えないようにした遊技用チップの提案が行われている。これによれば、プログラムROMが単独で基板上に存在しないため、裏ROMを製造したり交換したりすることが物理的に不可能になる。しかしながら、このように1チップ化した遊技用チップであっても、完全に不正が行えないとの断言はできない。例えば、1チップ化したCPU自体をそっくり真似て偽造(不正な遊技プログラムを内蔵)された場合、その偽造チップを遊技制御基板に取り付けるという行為は可能だからである。
【0005】
そこで、上記1チップ化した遊技用演算処理装置のそれぞれに、チップ固有の識別情報(チップID)を書き込み、このチップIDを遊技機の外部から読み出して確認できるようにした改良技術が提案されている。この改良技術によれば、遊技店に納入した遊技機のチップIDを記録しておき、事後、適宜に当該遊技機の遊技用演算処理装置からチップIDを読み出して、記録しておいたチップIDと照合をとることにより、偽造チップであるか否かの判定(遊技用演算処理装置の真贋判定)を行うことができ、上記の不正行為、すなわち、偽造チップの遊技制御基板への取り付け行為を見抜くことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の改良技術にあっては、1チップ化した遊技用演算処理装置に固有のチップIDを書き込み、このチップIDによって遊技用演算処理装置それぞれの固体識別を行っているが、チップIDそれ自体が漏洩した場合、その漏洩チップIDを書き込んだ偽造チップ(偽造された遊技用演算処理装置)の製造が可能であり、正規チップが偽造チップに交換されてしまった場合は、やはり不正を見抜くことができないという問題点がある。
【0007】
このことについて具体的に説明する。図14は、パチンコ遊技機の裏機構図である。遊技盤301の裏面には、当該パチンコ遊技機の遊技制御を司る遊技制御ユニット302及びその他のユニット類(不図示)が着脱可能に取り付けられており、遊技制御ユニット302の内部には遊技制御基板303が収容され、この遊技制御基板303に、遊技用演算処理装置304やその他の周辺回路(不図示)が実装されている。遊技用演算処理装置304は、前述のとおり、プログラムROMをCPUや周辺回路と一緒に1チップ化してROM交換を行えないように構成されたものであり、且つ、チップ固有の識別情報(チップID)が書き込まれたものである。
【0008】
今、遊技店に納入した遊技機の正規チップ(遊技用演算処理装置304)のチップIDを便宜的に“XXXX”とする。当該遊技機の製造業者又は当該遊技店の管理者は、そのチップID(“XXXX”)を台帳等に記録管理する。しかる後、定期的ないしは不定期に当該遊技機の外部からチップIDを読み出し、記録されているチップIDと照合して、その集合結果が一致(“XXXX”)している限り、遊技用演算処理装置304の不正交換が行われていないと判断して営業を継続することとなるが、もし、何らかの手段によってチップIDが盗み読みされ、そのチップID(“XXXX”)を書き込んだ偽造チップと交換されていたとしても、上記照合結果は常に“一致”となるから、当該遊技機の製造業者又は当該遊技店の管理者は、その不正行為にまったく気が付かない。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、遊技用演算処理装置に書き込まれたチップIDによる固体識別に加え、さらに、当該遊技用演算処理装置を実装した遊技制御基板を収容する収容ボックスに割り当てられた識別情報と上記チップIDとの対応関係を管理することによって、遊技用演算処理装置の不正交換等の行為が行われたことを発見しやすくすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、
所定の情報が記録され、非接触での読み出しが可能な記録媒体と、
該記録媒体及び前記遊技用演算処理装置を実装した遊技制御基板と、
該遊技制御基板を収納する遊技制御基板収納ボックスと、を備える遊技機において、
前記遊技用演算処理装置は、当該遊技用演算処理装置に固有のチップIDを記憶する演算処理装置固有情報記憶手段を有し、
前記記録媒体には、当該記録媒体の内部に前記遊技用演算処理装置に記憶されたチップIDと関連付けられた固有のパッケージIDが、目視では読取不能に記録され、
前記遊技制御基板収納ボックスは、
内部に前記パッケージIDが記録された前記記録媒体が、前記遊技制御基板と前記遊技用演算処理装置に跨って貼着された状態の遊技制御基板を収納し、
該遊技制御基板を収納した状態において、前記パッケージIDと関連付けて管理される当該遊技制御基板収納ボックスに固有のユニットIDが、目視では読取不能なステルスバーコードにて印刷され、
前記遊技用演算処理装置を前記遊技制御基板から取り外した場合、または、前記記録媒体を前記遊技用演算処理装置から分離させた場合に、前記記録媒体に記録された記録情報が読み出し不能状態になることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、例えば、パチンコ遊技を行うための遊技装置を例にして、図面を参照しながら説明する。
<全体概念図>
図1及び図2は、本発明に係る実施の形態の全体概念を示す図であり、遊技用演算処理装置にチップ固有の識別情報(チップID)を書き込み(第1工程)、基板に実装して(第2工程)、ユニット化し(第3工程)、さらに、遊技盤に取り付けて(第4工程)、ホール等に納入するまでの流れを簡略化して示した図である。
【0012】
各工程ごとに説明すると、まず、第1工程では、
(1)チップID生成装置PC1を用いてそれぞれの遊技用演算処理装置1に固有のチップID(演算処理装置固有非明示情報に相当)を生成し、そのチップID(図では便宜的に“CHP12345”)を遊技用演算処理装置1に書き込んで、
(2)第2工程に渡すと共に、
(3)情報管理サーバPC2にそのチップID(“CHP12345”)を登録する。
次に、第2工程では、チップID(“CHP12345”)が書き込まれた遊技用演算処理装置1を受け取り、
(4)その遊技用演算処理装置1及びその他の周辺回路を基板(遊技制御基板)2に実装して、
(5)第3工程に渡す。
【0013】
第3工程では、遊技用演算処理装置1及びその他の周辺回路を実装した遊技制御基板2を受け取り、
(6)その遊技制御基板2をユニット(遊技制御ユニット)3に収容すると共に、
(7)ユニットID生成装置PC3を用いてそれぞれの遊技制御ユニット3(遊技制御基板収納ボックス)に固有のユニットID(収納ボックス固有情報に相当)を生成し、そのユニットID(図では便宜的に“UNT12345”)を印刷したシール4(表示手段)を遊技制御ユニット3に貼り付けて、
(8)第4工程に渡し、さらに、
(9)情報管理サーバPC2にそのユニットID(“UNT12345”)とチップID(“CHP12345”)とを関連付けて登録する。
この段階において、情報管理サーバPC2には、それぞれの遊技制御ユニット3について、そのユニットIDと、当該ユニット3に実装された遊技用演算処理装置1のチップIDとの情報対(例えば、“CHP12345”と“UNT12345”)が登録されており、情報管理サーバPC2は、各遊技制御ユニット3ごとに、
(10)それぞれの情報対を収めた可搬型記録媒体(図ではフロッピーディスク)5を生成し、
(11)対応する遊技制御ユニット3と一緒に第4工程に渡す。
【0014】
第4工程では、第3工程からの遊技制御ユニット3と、当該遊技制御ユニット3に対応した情報対を収めた可搬型記録媒体5とを受け取り、遊技制御ユニット3を遊技盤6に取り付けるなどして遊技盤6の組み立てを行うと共に、さらに、可搬型記録媒体5に収められた情報対をデータベースシステムPC4のデータベーステーブル7に登録し、
(12)完成した遊技盤6をホール等に納入する。
【0015】
このような全体概念によれば、遊技用演算処理装置1に固有のチップIDを書き込み、且つ、その遊技用演算処理装置1を収めた遊技制御ユニット3にも固有のユニットIDを印刷したシール4を貼り付けてホールに納入することができるうえ、さらに、これらのチップIDとユニットIDの情報対を、第4工程を行う遊技盤製造業者のデータベースシステムPC4で登録管理しているので、例えば、納入先のホール等でチップIDとユニットIDを読み出し、その情報をデータベースシステムPC4に問い合わせる(13)ことにより、納入時点における登録情報との照合を取り、遊技用演算処理装置1と遊技制御ユニット3との組み合わせの正当性を検査して回答する(14)ことができる。
【0016】
例えば、納入先で読み取ったチップIDが“CHP12345”で、ユニットIDが“UNT12345”の場合、これらの情報対(“CHP12345”と“UNT12345”)はデータベースシステムPC4のデータベーステーブル7に登録されているので、データベースシステムPC4からの回答は、納入時点における遊技用演算処理装置1と遊技制御ユニット3との組み合わせ通りであることを示すOKであり、この場合、遊技用演算処理装置1の不正交換が行われていないことを知ることができる。
【0017】
これに対して、問い合わせのあった情報対の一方または双方がデータベーステーブル7に登録されていない場合、データベースシステムPC4からの回答は、納入途中ないしホールへの設置後に遊技用演算処理装置1または遊技制御ユニット3それ自体が不正に交換された可能性があることを示すNGとなり、この場合、問い合わせ元のホール等では、当該遊技機を使用中止にするなどして所要の対策を講じ、営業上等の不利益を未然に防止することができる。
【0018】
なお、以上の概念説明において、PC1〜PC4は各々独立した装置(例えば、スタンドアロン型のコンピュータシステム)であってもよいが、各々をネットワークで接続してもよく、あるいは、工程の分け方によっては全ての装置または一部の装置を一つにまとめてもよい。
また、遊技制御ユニット3と情報対との対応関係を正しく取ることができるのであれば、情報対を可搬型記録媒体5に収めずにネットワーク等を介して直接PC2からPC4へ転送してもよい。
【0019】
また、ユニットIDをシール4に印刷し、そのシール4を遊技制御ユニット3に貼り付けているが、これに限らず、例えば、ユニットIDを直接的に遊技制御ユニット3の表面に印刷(または刻印)してもよい。あるいは、シール4や遊技制御ユニット3への印刷は、目視可能な状態で行ってもよいが、例えば、赤外線などの光線を当てたときに浮かび上がって見えるような特殊な印刷方法によって行ってもよい。ユニットIDの存在を秘匿化し、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0020】
また、情報対は、遊技用演算処理装置1に書き込まれたチップIDとユニットIDとの組み合わせを基本とするが、これに限らず、例えば、チップIDに関連付けられたパッケージ識別情報(以下「パッケージID」という。)を印刷したシールを遊技用演算処理装置1の表面に貼り付け、このパッケージID(演算処理装置固有明示情報に相当)とユニットIDとを上記情報対としてデータベースシステムPC4で管理してもよい。
あるいは、これらの情報対に、さらに、遊技盤等の識別情報などを加えて関連付けしてもよい。このようにすると、遊技盤と遊技制御基板を設置するのはメーカに限らないため、必ずしも対応関係どおりに設置されるかどうか保証されず、特に、各固有情報の漏出回避策が講じられている場合は、かかる保証は殊更困難であるが、上記のように、遊技盤等の識別情報を利用するようにすれば、第三者に対して容易に正しい組み合わせを知らせることができ、設置作業の確実性を向上させることができる。たとえば、遊技盤と遊技用演算処理装置の正しい対応関係を表示するために、同一の番号(または記号列もしくは文字列)を用いたり、同色の色情報を用いたり、または、一方の固有情報が明示されている場合に当該固有情報を他方に表示したりしてもよい。
なお、遊技盤等の識別情報としては、たとえば、関連付け用の専用ID、製造工程で用いられる工程管理用ID、遊技盤を構成する部品のID(表示制御装置の製造管理番号など)、組合証紙の番号等を流用することができる。ちなみに、現在、板替え(遊技機枠をそのままにして遊技盤のみを交換すること)が一般的であるため、遊技機枠と遊技盤とが一対一に対応していないが、今後、遊技機枠と遊技盤との対応関係が保証されことになれば、上記遊技盤等の識別情報を、そのまま遊技機の固有情報として取り扱うことができる。
【0021】
また、上記のユニットIDやパッケージIDを非接触の記録媒体に書き込んでもよい。この種の記録媒体としては、例えば、電波や磁気によって情報を読み取ることができるものが知られており、これらの記録媒体を使用すれば、所定の読み取り装置を用いない限り、情報の不正入手が不可能となり、セキュリティ性を向上できるし、さらに、遊技制御ユニット3を開けた場合や遊技用演算処理装置1を基板2から取り外した場合に記録媒体が破壊されるようにしておけば、たとえ所定の読み取り装置を用いたとしても情報を不正に入手できなくなるので、セキュリティ性の点で好ましいものとすることができる。
なお、以上の説明では、チップIDやユニットIDおよびパッケージIDなどを、遊技用演算処理装置1や遊技制御ユニット3それ自体の不正交換判定に利用しているが、これらのID情報は、他の用途、たとえば、遊技機の商品管理やユーザサポートあるいは中古遊技機市場での流通管理、廃棄処理ルートの管理、廃棄部品の不正流用追跡調査等にも利用できることはもちろんである。
図3は、破壊型記録媒体の使用例を示す図である。図において、遊技制御ユニット3に収容された基板2には遊技用演算処理装置1が実装されており、この遊技用演算処理装置1には破壊型の記録媒体8が貼着されている。記録媒体8の両端は基板2の表面に貼着されており、遊技用演算処理装置1を基板2から取り外す際に、その取り外し時の外力等によって記録媒体8が破壊し、記録情報の読み出し不能状態となるようにしている。ただし、記録情報を読み出し不能状態とするための工夫は、かかる“破壊”に限らず、また、その読み出し不能状態へのきっかけも“外力”のみに限らない。要は、遊技用演算処理装置1を基板2から取り外した際、または、記録媒体8を遊技用演算処理装置1から分離させた際に、記録媒体8の記録情報が読み出し不能状態になればよい。したがって、たとえば、破壊時には記録媒体8の記録情報が永久に失われるから、情報の保全性を図ることができる。なお、記録媒体8は、電波や磁気によって情報を読み出すタイプのものに限定されない。目視可能に情報を表示する、例えば、シールタイプのようなものであってもよい。また、上記“破壊”は必ずしも記録媒体8の物理的破壊を意味しない。要は、その記録情報の読み出し(または表示情報の目視読み取り)を阻害できればよく、あるいは、封印シールのように一度はがすとその痕跡を残すようなものであってもよい。また、剥離時に印刷文字が可読不能になるようなシール(たとえば、きれいにはがれないシール)を使用してもよい。この種のシールは特に後述のバーコードを使用した場合に有効である。バーコードの一部が可読不可になると、バーコードの情報を機械的に読みとれなくなるからである。
【0022】
次に、本発明の実際の遊技装置への適用をパチンコ遊技機を例にして説明する。
<パチンコ遊技機の外観構成>
図4は、遊技装置10の正面構成図である。遊技装置10は、パチンコ遊技機(以下「遊技機」と省略する。)11と、この遊技機11に併設される球貸機12とにより構成されている。球貸機12は、赤外線受光窓13やプリペイドカードの挿入口14およびプリペイドカードの未使用金額や不正状態を表示するための表示窓15などを有し、プリペイドカードの残高範囲内で遊技機11へ球貸しを行う。
【0023】
遊技機11は、額縁状の前面枠16および前面ガラスを支持する金枠17ならびに遊技領域が形成された遊技盤18を有すると共に、その下に中間パネル19や操作パネル20などを有している。中間パネル19には賞球や貸球を受けるための上皿21が取り付けられており、操作パネル20には球発射用の操作ハンドル22、球貯留皿23および灰皿24などが取り付けられている。なお、上皿21には上皿21の球を球貯留皿23に移すために両者を接続する通路を開閉するための開閉レバー21a、プリペイドカードの未使用金額を表示する残高表示器21b、球貸機12に対して所定数量の球貸を要求する際に操作される球貸スイッチ21c、球貸可能状態を表示する球貸可能表示器21dおよびプリペイドカードの返却(球貸機12からの排出)を要求する際に操作される返却スイッチ21eなどが設けられており、球貯留皿23には貯留球を外部下方に抜くための球抜きレバー23aが設けられている。
【0024】
遊技盤18には前面の略円形領域をガイドレール25で取り囲んだ遊技領域が形成されており、この遊技領域には、複数の識別情報(いわゆる特別図柄;以下「特図」という)を複数列で変動表示する特図表示装置26、大入賞口を有する特別変動入賞装置27、特図始動口28、複数の一般入賞口29、風車と呼ばれる複数の打球方向変換部材30、左右のサイドランプ31、アウト穴32などが備えられているほか、特図表示装置26の上部に複数の一般入賞口29の一つが配置され、その下に特図の始動記憶数を表示するための4個の特図始動記憶表示器33が設けられている。さらに、上述の各入賞口、すなわち、特図始動口28、一般入賞口29および特別変動入賞装置27には図示しない入賞スイッチが設けられており、各入賞口への入賞球を検出する。なお、遊技盤18の遊技領域には図示を略しているが天釘やヨロイ釘などと呼ばれる多数の障害釘が設けられていると共に、その他の各種装飾ランプやLEDなども設けられている。
【0025】
図5は、遊技装置10の裏機構を示す図である。遊技機11の裏面に向かって左側には遊技制御ユニット101(図1及び図2の遊技制御ユニット4に相当)が設けられており、その下側には音制御ユニット102と排出制御ユニット103が設けられ、さらにその下側には発射機構ユニット104と発射制御ユニット105が設けられている。また、裏機構の中央部付近には装飾制御ユニット106と表示制御ユニット107が設けられており、その下側には電源供給ユニット108が設けられている。これらのユニットはいずれも中身が透けて見えるケース内に、各々の制御機能を実現するための制御基板を実装してユニット化したものであるが、特に役物遊技に必要な各種制御を行う遊技制御ユニット101については、一般にそのユニット全体を指して“基板”と呼ぶことが多いので、本明細書においても単に“基板”と略称する場合は、遊技制御ユニット101の全体を指すものとする。
【0026】
遊技機11の裏機構の上部付近から右側端部付近を経由して下部付近に至る経路上には、貯留タンク109、横方向の誘導路110、屈曲接続ユニット111、排出ユニット112、縦方向の誘導路113、入賞球集合棚(他の部材に隠れて見えない)、入賞球流下樋(同様に見えない)および球排出口114が順番に設けられている。貯留タンク109は排出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク109の球数不足は不図示の補給センサによって検出され、不足のときはホールの島設備から球が補給されるようになっている。貯留タンク109に貯留された球は誘導路110と屈曲接続ユニット111によって排出ユニット112に導かれ、排出ユニット112は導かれた球を所定の球排出指令信号(排出制御ユニット103からの信号)に従って遊技機11の前面に設けられた上皿21へと排出する。
【0027】
排出ユニット112は例えば2条の排出通路を有し、各通路に設けられた不図示のソレノイドを上記球排出指令信号に従って駆動して賞球用の球排出と球貸し用の球排出を行い、且つ、各通路から排出された排出球を不図示のセンサで検出して排出制御ユニット103に通知するとともに、さらに、賞球用の球排出数(賞球払い出し数)を専用のセンサ112eで検出して遊技制御ユニット101に通知する。
【0028】
遊技盤18の各入賞口に入った球(入賞球)ならびにアウト穴32に入った球(アウト球)は、遊技盤18の裏面に設けられた不図示の入賞球集合棚に集められ、同じく不図示の入賞球流下樋を介して球排出口114からホールの島設備に戻されるようになっており、同様に、排出ユニット112の上流側に待機中の球も遊技店の営業終了時等に不図示の球抜きソレノイドを駆動することによって球排出口114から島設備に戻されるようになっている。なお、排出ユニット112の上流側に待機球が有るかどうかは、屈曲接続ユニット111の内部に設けられた半端センサ111aによって検出されるようになっている。
【0029】
117は基枠体(遊技枠ともいう)である。この基枠体117は合成樹脂製の一体成型品で形成されており、遊技機11の前面枠16の裏側に固定された金属フレーム119に着脱可能に取り付けられている。そして、この基枠体117に上記各構成品のうちのいくつかの構成品、すなわち、排出制御ユニット103、発射機構ユニット104、発射制御ユニット105、貯留タンク109、誘導路110、屈曲接続ユニット111、排出ユニット112、誘導路113、入賞球集合棚(不図示)、入賞球流下樋(不図示)および球排出口114などが着脱可能に取り付けられていると共に、球貸し機接続ユニット121やセンサケーブル接続ユニット122および遊技店用第1ケーブル接続ユニット123なども着脱可能に取り付けられている。
【0030】
金属フレーム119には遊技盤収納部120が形成されており、この遊技盤収納部120には遊技盤18が着脱可能に取り付けられている。そして、遊技盤18の裏側には上記各構成品のうち基枠体117に取り付けられた構成品以外のもの、すなわち、遊技制御ユニット101、音制御ユニット102、装飾制御ユニット106、表示制御ユニット107および電源供給ユニット108などが着脱可能に取り付けられているとともに、遊技店用第2ケーブル接続ユニット124や検査用ケーブル接続ユニット125なども着脱可能に取り付けられている。
【0031】
<遊技制御ユニット101の内部ブロック構成とその動作>
図6は、遊技制御ユニット101の電気的構成を示すブロック図である。遊技制御ユニット101は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うアミューズメントチップ(遊技用演算処理装置200;図1及び図2の遊技用演算処理装置1に相当)と、高精度な発振周波数を分周して所定のクロック信号CLKを発生する発振器131と、各種センサ信号を入力する入力インターフェース133と、各種駆動信号を出力する出力インターフェース134と、外部の情報管理装置(例えば球貸機12や後述の検査端末101g;図9(b)参照)との間のデータ接続を行う外部通信端子138とを含んで構成されている。
【0032】
入力インターフェース133は、遊技盤18に設けられた各入賞センサ、すなわち、特図始動スイッチ139や入賞スイッチ140、継続スイッチ141およびカウントスイッチ142からの信号を選択的に取り込んで遊技用演算処理装置200の外部バスインターフェース204(図7参照)に入力するものであり、その選択動作は遊技用演算処理装置200からのチップセレクト信号CS0〜CS7(図7参照)に従って行われる。なお、入賞スイッチ140を表す矩形状図形の中に記載した“1〜n”は、この入賞スイッチ140がn個設けられていることを表している。但し、nは一般入賞口の数である。
【0033】
出力インターフェース134は、遊技用演算処理装置200の外部バスインターフェース204(図7参照)から取り出された信号を、例えば、外部情報端子143(図5の遊技店用第1ケーブル接続ユニット123および第2ケーブル接続ユニット124ならびに検査用ケーブル接続ユニット125に相当)を介してホールコンピュータ(不図示)に出力したり、また、大入賞口ソレノイド144や、表示制御ユニット107、排出制御ユニット103、装飾制御ユニット106および音制御ユニット102などに選択的に出力したりするものであり、その選択動作は入力インターフェース133と同様に遊技用演算処理装置200からのチップセレクト信号CS0〜CS7(図7参照)に従って行われる。
【0034】
<遊技用演算チップの内部ブロック構成とその動作>
図7は、遊技用演算処理装置200の内部構成を示すブロック図である。遊技用演算処理装置200は共通の半導体基板上に所要の電子回路を集積してワンチップ化し、パッケージングして製造されたアミューズメントチップである。なお、単に「遊技用演算チップ」または「遊技用チップ」と呼ばれることもある。
【0035】
図示の遊技用演算処理装置200は、特に限定しないが、遊技制御を行う遊技ブロック200Aと、情報管理を行う管理ブロック200Bとに区分されており、各ブロックごとに以下に説明する様々な構成要素を実装する。
まず、遊技ブロック200Aは、CPUコア201やプログラムROM202およびユーザーワークRAM203といった構成要素を含むとともに、外部バスインターフェース204、クロックジェネレータ205、リセットコントローラ206、アドレスデコーダ207、入出力制御回路208、乱数生成回路209、ユーザー定期リセット発生回路210およびアトリビュートレジスタ211などの構成要素を含み、さらに、これらの構成要素間を接続するためのCPUバス212を含む。
【0036】
CPUコア201は、図示は略すが、各種のレジスタ群、算術・論理演算ユニット(ALU:Arithmetic
and Logic Unit)、命令レジスタ(IR:Instruction Register)、デコーダ、プログラムカウンタ(PC:Program Counter)、スタックポインタ(SP:Stack Pointer)、これらを結ぶデータバス、アドレスバスおよび各種の制御部などをコア内に含み、例えば、Z80アーキテクチャなどの汎用CPUコアが用いられる。
プログラムROM202は、データの書き込み回数が1回だけの不揮発性半導体メモリ(例えば、ワンタイムPROM)であり、その記憶内容は遊技プログラムおよびチェックコードなどである。なお、チェックコードとは遊技プログラムを所定の符号化アルゴリズムで符号化する際に生成されるデータのことである。
ユーザーワークRAM203は、CPUコア201の主記憶に相当し、例えば、SRAM等の高速半導体デバイスで構成され、遊技ブロック200Aにおける遊技プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。
【0037】
外部バスインターフェース204は、図6の入力インターフェース133や出力インターフェース134との間で、複数ビット(例えば、16ビット)の外部アドレス信号A0〜A15、複数ビット(例えば、8ビット)の外部データ信号D0〜D7、メモリリクエスト信号MREQ、入出力リクエスト信号IORQ、メモリ書込み信号WR、メモリ読み出し信号RDおよびモード信号MODEなどの信号インターフェース処理を行うものである。
例えば、MODE信号をアクティブにした状態で、外部アドレス信号A0〜A15を順次にインクリメントしながら、外部データ信号D0〜D7を外から加えると、プログラムROM202への書き込みモードとなって遊技機のメーカあるいは第三者機関による遊技プログラムの書き込みが可能になる。但し、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込みが終了すると、後述のハードウェアパラメータROM214(図ではハードウェアを“HW”と略記している)の所定領域に書込終了コードが記録されるようになっており、ハードウェアパラメータROM214に書込終了コードが記録されている場合には、プログラムROM202への遊技プログラムの書き込みができないようになっている。
【0038】
また、MREQ信号またはIOREQ信号をアクティブにした状態でWR信号をアクティブにすると、所定の外部I/Oに外部データ信号D0〜D7を書き込むことができ、RD信号をアクティブにすると、所定の外部I/Oから外部データ信号D0〜D7を取り込むことができるようになっている。なお、所定の外部I/Oとは、図6の入力インターフェース133の各ポートまたは出力インターフェース134の各ポートのうち、チップセレクト信号CS0〜CS7の状態とWR信号またはRD信号の状態に応じて選択される一つの要素のことである。
【0039】
クロックジェネレータ205は外部(図6の発振器131)からのクロック信号CLKを基に内部クロック信号iCLKを発生してCPUコア201やユーザー定期リセット発生回路210などの各ブロックに供給する。
リセットコントローラ206はCPUコア201のリセット端子に加えるCPUリセット信号CPU_RSTを発生するものであり、このCPUリセット信号CPU_RSTは、電源投入時に外部(図6の電源供給ユニット108)から入力するパワーオンリセット信号PWR_RSTに同期し、さらに、電源投入後にユーザー定期リセット発生回路210から周期的に入力するユーザー定期リセット信号USR_RSTにも同期する。
アドレスデコーダ207はCPUバス212のアドレスバスの情報をデコードし、そのデコード結果に応じたI/Oリソース選択用の内部信号を発生する。
【0040】
入出力制御回路208はアドレスデコーダ207からのI/Oリソース選択用内部信号に基づいてチップセレクト信号CS0〜CS7のアクティブ/インアクティブ状態をコントロールし、図6の入力インターフェース133のポートの一つ、または、出力インターフェース134のポートの一つ、もしくは、サウンドジェネレータ135を選択する。
乱数生成回路209は、遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や停止時の図柄の決定等に使用)を生成するもので、例えば、一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法あるいはM系列法等)を利用する。
ユーザー定期リセット発生回路210は、CPUコア201に対するユーザー定期リセット信号USR_RSTを発生するもので、その発生間隔(ユーザー定期リセット間隔)は、アトリビュートレジスタ211に設定された値で決められる。
【0041】
アトリビュートレジスタ211は、ユーザー定期リセット間隔などのハードウェアパラメータ設定値を保持するもので、アトリビュートレジスタ211の出力ポートは少なくともユーザー定期リセット発生回路210に接続され、入力ポートは管理バス221を介して管理ブロック200Bに接続されている。アトリビュートレジスタ211へのユーザー定期リセット間隔設定値の書き込みは、管理バス221を介して管理ブロック200Bから行われるようになっており、その設定タイミングは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット(パワーオンリセットと同義語)時である。
【0042】
CPUバス212は、図示は略すがデータバス、アドレスバスおよびコントロールバスを含み、CPUコア201と周辺回路、すなわち、プログラムROM202、ユーザーワークRAM203、外部バスインターフェース204、クロックジェネレータ205、リセットコントローラ206、アドレスデコーダ207および乱数生成回路209との間を接続するとともに、管理ブロック200Bの一部の構成要素(ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214およびバスモニタ回路216)にも接続されている。
【0043】
次に、遊技用演算処理装置200における情報管理を行う管理ブロック200Bの構成を説明する。管理ブロック200Bは、ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214、管理用ワークRAM215、バスモニタ回路216、セキュリティメモリ217(演算処理装置固有非明示情報、演算処理装置固有情報記憶手段)、IDプロパティRAM218、制御回路219、外部通信制御回路220(演算処理装置固有情報出力手段)および管理バス221を含むとともに、遊技ブロック200Aから延びるCPUバス212の一部を含んで構成されており、CPUバス212は、ブートROM213、ハードウェアパラメータROM214およびバスモニタ回路216に接続されている。
【0044】
ブートROM213はブートプログラムや管理ブロックの自己診断プログラムを格納しており、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時(正確には、システムリセット直後に実行される管理ブロック200Bの初期化処理の正常完了後に)、このブートプログラムが立ち上がって、遊技プログラムの正当性判定処理を行い、遊技プログラムの正当性が確認(言い換えれば改竄された遊技プログラムでないことが確認)された場合に遊技プログラムのスタートアドレス(CPUコア201のアドレス空間内における所定アドレス;一般に当該アドレス空間の先頭番地0000h;実際にはCPUコア201のプログラムカウンタの値を0に戻す)に処理を渡すようになっている。
【0045】
ハードウェアパラメータROM214は所定の書込終了コードを格納するとともに、システムリセット時に遊技ブロック200Aのアトリビュートレジスタ211などにセットするためのハードウェアパラメータ設定情報を格納している。書込終了コードとは、先にも述べたとおり、プログラムROM202に遊技プログラムを書き込んだことを明示する情報である。また、ハードウェアパラメータ設定情報とは、CPUコア201の動作速度(いわゆるクロックスピード)、プログラムROM202やユーザーワークRAM203の使用アドレス範囲(アドレス上下限値)、チップセレクト信号CS0〜CS7の使用用途(入力用/出力用)およびユーザー定期リセット間隔の設定値などである。
【0046】
これらのハードウェアパラメータは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時にCPUバス212、バスモニタ回路216を介して管理ブロック200Bの制御回路219に読み込まれ、遊技制御に必要なハードウェアパラメータ設定値として各部にセットされるようになっており、例えば、ユーザー定期リセット間隔の設定値は、管理バス221を介して遊技ブロック200Aのアトリビュートレジスタ211にセットされるようになっている。
【0047】
管理用ワークRAM215は、バスモニタ回路216を介して読み込まれた遊技ブロック200Aの情報(プログラムROM202の記憶内容やユーザーワークRAM203の記憶内容など)を一時的に保持するための記憶領域である。
バスモニタ回路216は、CPUバス212の状態監視を行い、CPUバス212がCPUコア201によって使用されていないとき(例えば、遊技用演算処理装置200のシステムリセット期間やユーザーワークRAM203のリフレッシュ期間)に、必要に応じてCPUバス212を介して遊技ブロック200AのプログラムROM202やユーザーワークRAM203などをアクセスし、所要のデータ(遊技プログラムやユーザーワークRAM203の内容など)を管理ブロック200Bに取り込む。
【0048】
セキュリティメモリ217は、遊技用演算処理装置200の個体識別情報、すなわち、あらかじめチップメーカ(その遊技用演算処理装置200の製造者)によって割り当てられたユニークな“チップID”(少なくとも遊技用演算処理装置200の全製造個体の中でユニークなチップIDであること)を書き換え不能な状態で格納しており、さらに、このチップIDに加えて、遊技種別コード、ランクコード、メーカコード、機種コードおよび検査番号などの情報を書き換え不能に格納している。なお、遊技種別コードとはパチンコ機や回胴式遊技機等を区別するための情報であり、例えば、パチンコ機の場合は“P”、回胴式遊技機の場合は“G”を表す情報である。また、ランクコードとは遊技機の機種ランクコード(第1種、第2種、第3種または他種を区別するためのコード)を表す情報であり、メーカコードとは当該遊技機またはアミューズメントチップの製造者を識別するためのメーカID(またはメーカ番号)を表す情報であり、機種コードとはメーカが設定する当該遊技機の製品コードを表す情報であり、検査番号(または検定コード)とは第三者機関による検査に合格した遊技機に付与される番号を表す情報である。
【0049】
IDプロパティRAM218は、セキュリティメモリ217の記憶内容のうち少なくともチップIDをコピーして揮発的に記憶するとともに、ブート処理の中で行われる遊技プログラムの正当性判定処理の結果情報を記憶し、且つ、その記憶内容を電源オンの期間中保持する。なお、上記情報記憶のタイミングは、遊技用演算処理装置200のシステムリセット時であり、例えば、システムリセット直後に管理ブロック200Bで実行される初期化処理の中で情報記憶が行われる。
【0050】
制御回路219は所定のシーケンスを実行して、管理ブロック200Bの動作を制御するもので、例えば、システムリセット時に(正確にはシステムリセット直後に管理ブロック200Bで実行される初期化処理で)セキュリティメモリ217に保持されているチップIDをIDプロパティRAM218にコピーして記憶させたり、遊技中にバスモニタ回路216を介してCPUコア201のバス解放期間を検出し、同期間中に遊技ブロック200AのプログラムROM202の内容(特に遊技プログラム)やユーザーワークRAM203の内容を読み出して管理用ワークRAM215に書き込んだりするほか、球貸機12やその他の検査装置(例えば、後述の検査端末101g;図9(b)参照)からの情報要求指令に応答して管理用ワークRAM201の記憶内容やIDプロパティRAM218の記憶内容(特にチップIDや遊技プログラムの正当性判定結果情報)を外部に転送するために、外部通信制御回路220の不図示の通信バッファに設定したりする。
【0051】
外部通信制御回路220は外部通信端子138(図6参照)を介して行われる球貸機12やその他の検査装置(例えば、後述の検査端末101g;図9(b)参照)と遊技用演算処理装置200との間の通信を制御するもので、例えば、後述の検査端末101gからの管理情報要求に応答して、不図示の通信バッファの内容、すなわち、管理用ワークRAM215の記憶内容やIDプロパティRAM218の記憶内容(特にチップIDや遊技プログラムの正当性判定結果情報)を読み出し、その読み出した情報を要求元の検査端末101gに送信するという制御を行ったりする。
【0052】
<遊技用演算処理装置200の状態遷移>
図8は、遊技用演算処理装置200の動作状態遷移図である。図において、230〜233は状態、234〜243は遷移線である。まず、電源投入によってシステムリセットが発生(遷移線234)すると、管理ブロック200Bで初期化処理を実行し(状態230)、その結果がNG(遷移線235)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線236、237)であれば、管理ブロック200Bをアイドル状態(遷移線238:管理情報要求の待ち受け状態)にするとともに、ブートROM213に格納されているブートプログラムをCPUコア201で実行する(状態232)。
【0053】
そして、ブート結果がNG(遷移線241)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線242)であれば、ブートリセット(遊技プログラムのスタートアドレス発生)を発生してプログラムROM202に格納されている遊技プログラムをCPUコア201で実行し(状態233)、以降、ユーザー定期リセット信号USR_RSTが発生(遷移線243)する度に遊技プログラムを繰り返す。
【0054】
ここで、状態231に入力する遷移線239は、球貸機12や後述の検査端末101gからの管理情報要求を表し、状態231から出力する遷移線240は、要求元(球貸機12や後述の検査端末101g)への管理情報応答を表す。例えば、後述の検査端末101gからの管理情報要求であれば、遊技プログラムの正当性判定結果情報とチップIDを管理情報応答として要求元(検査端末101g)に返送する。
【0055】
<遊技制御ユニット101の外観構成とそのチップIDの読み出し>
図9は、遊技制御ユニット101の外観構成を示す図である。遊技制御ユニット101は、透明なケース101a(遊技制御基板収納ボックス)で覆われた遊技制御基板101bの端子形成部分101cをケース101aから引き出した状態で組み立てられている。ケース101aは、遊技制御基板101bを収納した状態で透明な裏板(図示略)により閉鎖されているが、この閉鎖は特殊な“かしめ機構”により数回だけ解除(ケース101aを開けて遊技制御基板101bに手を触れることができる状態にすること)できるようになっており、かつ、その“かしめ機構”は閉鎖解除の度に所定の破壊状態を示す破壊表示部分をn個備え(nの数は上記許容された解除回数に対応する)、破壊箇所の数を調べることにより、何回ケース101aを開けたか目視確認できるようになっている。
また、端子形成部分101cには、遊技機12の各部に接続するための端子群が設けられているほか、検査端端子101dが設けられており、この検査端子101dに、専用ケーブル101fを介して所定の検査端末101g(演算処理装置固有情報読み取り手段)を接続することにより、検査端末101gのディスプレイ101hに遊技用演算処理装置200のチップIDを読み出して確認できるようになっている。
【0056】
ケース101aのよく見える面には、遊技制御ユニット101の固有識別情報であるユニットIDを印刷したラベル101eが貼付(貼付面はケース101aの表面でもよいが内面の方がユニットIDの不正書き換え等を防止できるので好ましい)されており、このユニットIDは、遊技制御ユニット101の組み立て時にメーカによって割り当てられたユニークな値を持っている(図1の第3工程参照)。ユニットIDは、その遊技制御ユニット101に実装された遊技用演算処理装置200のチップIDとの対応関係がとられており、且つ、その対応関係情報が当該メーカによって厳重に記録管理されている(図1の情報管理サーバPC2及び図2のデータベースシステムPC4参照)。例えば、ある遊技制御ユニット101に貼付されたラベル101eに“UNT12345”というユニットIDが印刷されていたとし、さらに、当該遊技制御ユニット101に実装された遊技用演算処理装置200のチップIDを“CHP12345”とすると、これらの対応関係(“UNT12345”←→ “CHP12345”)は当該メーカによって記録管理されており、もし、遊技店で読み出されたチップIDとユニットIDとの対応関係が上記記録管理されているものと異なっていた場合に、遊技用演算処理装置200または遊技制御基板101bが不正交換された可能性のあることを知ることができるようになっている。
【0057】
すなわち、図10に示すように、ホール等でチップID(“CHP12345”)とユニットID(“UNT12345”)を読み出し、この情報をメーカのサポート部署に問い合わせる。当該部署の担当者は情報データベース(図2のデータベースシステムPC4参照)を検索して該当する情報対(“UNT12345”←→ “CHP12345”)が記録されているか否かを調べ(244)、該当する情報対が記録されていない場合は遊技用演算処理装置200が不正に交換された可能性があることを問い合わせ元に通知(245の“NG”)する一方、該当する情報対が記録されている場合はその可能性がないことを問い合わせ元に通知する(245の“OK”)。問い合わせ元のホール等はこれらの通知に応じて、不正可能性台の使用禁止等の対策(246)や正常台を営業に使用する(247)等の処置を講じる。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、出荷段階のチップIDとユニットIDとの情報対をデータベースで管理し、以降にその情報対をホール等から問い合わせできるように構成したため、例えば、チップIDが漏洩して、その漏洩チップIDを書き込んだ改造チップが不正に組み込まれた場合でも、漏洩チップIDと対を成すユニットIDが知られない限り、データベースに問い合わすという簡単な手続きを踏むだけで、当該不正行為を確実に発見することができる。
【0059】
なお、上記実施の形態では、ユニットIDを印刷したシール101eを遊技制御ユニット101の表面または内面に貼り付けており、ユニットIDは目視確認できるようになっているが、セキュリティの観点からは、このユニットIDの存在を秘匿化しまたは直読できなくすることが望ましい。例えば、図11(a)に示すように、遊技制御ユニットのケース249の表面または内面にバーコード方式のユニットID250(表示手段)を印刷してもよい。少なくとも、コードの仕組みを知らなければユニットIDを読み取ることができない。あるいは、図11(b)に示すように、特殊な光線を当てなければ見えないような、いわゆるステルスバーコード方式でユニットID251(表示手段)を印刷してもよい。ユニットIDの存在そのものを秘匿化することができる。
【0060】
または、上記の情報対は、チップIDとユニットIDの関係のみならず、例えば、図12に示すように、遊技用演算処理装置200のパッケージID(便宜的に“PKG12345”)を印刷したシール248(表示手段)を遊技用演算処理装置200の表面に貼り付け、このパッケージIDと遊技用演算処理装置200に書き込まれたチップIDとを関連付けると共に、パッケージIDとユニットIDとを関連付けしてもよい。
【0061】
すなわち、図13は、前述の図1の一部を変更した図であり、第1工程でチップIDが書き込まれた遊技用演算処理装置200に、遊技用演算処理装置200ごとのパッケージIDを印刷したシール248を貼り付ける工程(第1A工程)を追加したものである。
【0062】
この図において、PC1AはパッケージID(“PKG12345”)の生成とシール印刷を行う装置である。PC2はチップID(“CHP12345”)、パッケージID(“PKG12345”)及びユニットID(“UNT12345”)を関連付けして記録管理すると共に、その関連情報(“CHP12345”/“PKG12345”/“UNT12345”)を可搬型記録媒体5Aに収めて後工程(第4工程)に渡す。または、チップID(“CHP12345”)とパッケージID(“PKG12345”)とを関連付けし、その関連付け情報(第1の関連付け情報)をユニットID(“UNT12345”)に関連付けてもよい。この場合、可搬型記録媒体5Aには、第1の関連付け情報とユニットIDとを関連付けした第2の関連付け情報のみが収められて後工程(第4工程)に渡される。
【0063】
なお、パッケージIDはシールへの印刷のみならず、遊技用演算処理装置200の表面への直接的印刷ないしは刻印でもよい。通常はパッケージIDを用いて遊技用演算処理装置200の固体識別を行い、特別な場合(不正の疑いを持った場合など)にのみチップIDを読み出してパッケージIDやユニットIDとの対応関係を調べることができる。したがって、最も保全を要するチップIDの読み取り(取り扱い)を必要最小限にして、チップIDの予期しない漏洩を防止することができる。または、上記のパッケージIDの代わりに、遊技用演算処理装置200の表面に印刷または刻印されるユニーク情報を利用することも可能である。一般に遊技用演算処理装置200のような半導体集積装置では、製造番号やシリアル番号などのユニーク情報をパッケージ表面に印刷しまたは刻印して出荷されるからである。
また、本発明は、チップIDを内蔵しない(または内蔵してもそのチップIDを外部に読み出すための手段を備えない)通常の遊技用演算処理装置に対しても適用可能である。遊技用演算処理装置のパッケージID(または製造番号やシリアル番号などのユニーク情報)と、その遊技用演算処理装置を収納する遊技制御基板収納ボックスのユニットIDとを関連付けることにより、この関連付け情報を用いて、少なくとも遊技用演算処理装置と、その遊技用演算処理装置を収納する遊技制御基板収納ボックスとの対応関係を簡易的に管理することができるからである。
【0064】
本発明の実施の形態は、上記のような実施の形態に限らず、以下に述べるような各種の変形実施が可能である。本発明は実施の形態のような例のパチンコ遊技機に限らず、他の遊技機であってもよいことはいうまでもない。例えば、他の機種タイプのパチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機等にも適用することができる。さらに、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、所定の情報が記録され、非接触での読み出しが可能な記録媒体と、該記録媒体及び前記遊技用演算処理装置を実装した遊技制御基板と、該遊技制御基板を収納する遊技制御基板収納ボックスと、を備える遊技機において、前記遊技用演算処理装置は、当該遊技用演算処理装置に固有のチップIDを記憶する演算処理装置固有情報記憶手段を有し、前記記録媒体には、当該記録媒体の内部に前記遊技用演算処理装置に記憶されたチップIDと関連付けられた固有のパッケージIDが、目視では読取不能に記録され、前記遊技制御基板収納ボックスは、内部に前記パッケージIDが記録された前記記録媒体が、前記遊技制御基板と前記遊技用演算処理装置に跨って貼着された状態の遊技制御基板を収納し、該遊技制御基板を収納した状態において、前記パッケージIDと関連付けて管理される当該遊技制御基板収納ボックスに固有のユニットIDが、目視では読取不能なステルスバーコードにて印刷され、前記遊技用演算処理装置を前記遊技制御基板から取り外した場合、または、前記記録媒体を前記遊技用演算処理装置から分離させた場合に、前記記録媒体に記録された記録情報が読み出し不能状態になるので、破壊時には記録媒体の記録情報が永久に失われるから、情報の保全性を図ることができる。
また、前記固有のチップIDと、前記固有のパッケージIDとが関連付けられ、例えば遊技用演算処理装置の不正交換が行われた場合に、この関連づけが失われる。したがって、双方の対応関係を管理することで、遊技用演算処理装置の不正交換等の行為を容易に発見することができる。
さらに、前記パッケージIDと関連付けて管理される当該遊技制御基板収納ボックスに固有のユニットIDは目視では読取不能なステルスバーコードであるので、収納ボックス固有情報(ユニットID)の読み取りを困難にして、秘匿性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態の全体概念を示す図(1/2)である。
【図2】 本発明に係る実施の形態の全体概念を示す図(2/2)である。
【図3】 破壊型記録媒体の使用例を示す図である。
【図4】 遊技装置10の正面構成図である。
【図5】 遊技装置10の裏機構を示す図である。
【図6】 遊技制御ユニット101の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】 遊技用演算処理装置200の内部構成を示すブロック図である。
【図8】 遊技用演算処理装置200の動作状態遷移図である。
【図9】 遊技制御ユニット101の外観構成を示す図である。
【図10】 遊技用演算処理装置200または遊技制御基板101bの不正交換判定のタイムチャートである。
【図11】 遊技制御ユニットのケース249にバーコード方式のユニットID250を印刷した状態図である。
【図12】 パッケージIDを印刷したシール248を遊技用演算処理装置200の表面に貼り付けた状態図である。
【図13】 遊技用演算処理装置200ごとのパッケージIDを印刷したシール248を貼り付ける工程(第1A工程)を追加した図である。
【図14】 パチンコ遊技機の裏機構図である。
【符号の説明】
1 遊技用演算処理装置
2 遊技制御基板
3 遊技制御ユニット(遊技制御基板収納ボックス)
4 シール(表示手段)
11 遊技機
18 遊技盤
101a ケース(遊技制御基板収納ボックス)
101g 検査端末(演算処理装置固有情報読み取り手段)
200 遊技用演算処理装置
217 セキュリティメモリ(演算処理装置固有非明示情報、
演算処理装置固有情報記憶手段)
220 外部通信制御回路(演算処理装置固有情報出力手段)
248 シール(表示手段)
250 ユニットID(表示手段)
251 ユニットID(表示手段)
Claims (1)
- 遊技機の遊技制御を行う遊技用演算処理装置と、
所定の情報が記録され、非接触での読み出しが可能な記録媒体と、
該記録媒体及び前記遊技用演算処理装置を実装した遊技制御基板と、
該遊技制御基板を収納する遊技制御基板収納ボックスと、を備える遊技機において、
前記遊技用演算処理装置は、当該遊技用演算処理装置に固有のチップIDを記憶する演算処理装置固有情報記憶手段を有し、
前記記録媒体には、当該記録媒体の内部に前記遊技用演算処理装置に記憶されたチップIDと関連付けられた固有のパッケージIDが、目視では読取不能に記録され、
前記遊技制御基板収納ボックスは、
内部に前記パッケージIDが記録された前記記録媒体が、前記遊技制御基板と前記遊技用演算処理装置に跨って貼着された状態の遊技制御基板を収納し、
該遊技制御基板を収納した状態において、前記パッケージIDと関連付けて管理される当該遊技制御基板収納ボックスに固有のユニットIDが、目視では読取不能なステルスバーコードにて印刷され、
前記遊技用演算処理装置を前記遊技制御基板から取り外した場合、または、前記記録媒体を前記遊技用演算処理装置から分離させた場合に、前記記録媒体に記録された記録情報が読み出し不能状態になることを特徴とする遊技機。
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