JP4056149B2 - 遊技用演算処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾球遊技機(通称パチンコ遊技機)や回胴式遊技機(通称スロットル遊技機)などの遊技制御を司る遊技用演算処理装置に関し、特に法令(風営法第二十条:遊技機の規制及び認定等)の規定に反する不正な制御を排除して遊技業界全般の健全な発展に寄与する遊技用演算処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾球遊技機や回胴式遊技機など(以下、遊技機という)の遊技制御は相当複雑で、その制御手段としてマイクロコンピュータは欠かせない存在であるが、近年、マイクロコンピュータに特有の手口を用いた不正行為(例えば、“裏ロム”や“ぶら下がり基板”の組み込み)が後を絶たず、憂慮すべき社会問題となっている。
【0003】
裏ロムとは、例えば、ある手順を行うと大当たりが発生するように改竄(かいざん)された遊技プログラムを収めたROM(Read Only Memory)のことである。また、ぶら下がり基板とは、遊技機本体と遊技制御装置の間に介在して大当たりにつながる偽の始動入賞信号を発生する電子回路を搭載した基板(その多くは正規のケーブルやコネクタに似せて偽装されている)のことである。これらの不正部品が組み込まれた遊技機は、一見して普通の台と変わらないうえ、一般客が遊んでいる限り大当たりの回数や出玉数が異常に多くならないので、不正の発見は困難である。
【0004】
ところで、上記不正部品の製作には、電子回路やコンピュータ一般の高度な知識に加え、さらに、遊技機に組み込まれた遊技プログラムの子細な分析検討が欠かせない。大当たり発生の仕掛けや大当たり発生につながる適正な始動入賞信号のタイミングなど、どれをとっても遊技プログラムの制御仕様に大きく関係するからである。
【0005】
図7は、マイクロコンピュータのプログラム開発過程を大まかに示す図である。この図は、第三者機関によって発行された正当性確認情報の書込み手続きを含まない点で、遊技機の開発スタイルと若干相違するが、純粋なプログラム開発だけに注目すれば、本質的に同一である。
原始プログラムはマイクロコンピュータのアーキテクチャに対応したアセンブリ言語(あるいはC言語、パスカル言語など)で記述されたソースプログラムである。この段階のプログラムは、デバッグ性などを考慮して可読性のあるシンボリックな表現になっており、例えば、アドレスはラベルと呼ばれる文字列で表記されている。アセンブラは原始プログラムを機械語に翻訳するツールである。機械語に翻訳されたプログラムは目的プログラムとも呼ばれ、命令はコードに、アドレスは対応する記憶装置の実アドレスに置き換えられているので、そのままマイクロコンピュータで実行することができる。
【0006】
目的プログラムは、例えば、汎用のアプリケーションプログラムのようにフロッピィディスクやCD−ROMなどの可搬型記憶媒体に収めて配布されることが多いが、遊技機では、配布途中の改竄防止のためにROMに書き込まれるとともに、そのROMを遊技機内部の制御基盤に取り付けてから出荷する。また、前述の裏ロム対策として、ROMと一緒にCPUや周辺回路を一体化(ワンチップ化)することも行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般にROMに書き込まれたデータは、ICE(インサーキットエミュレータ)などのツールを使って外部から読み出すことができる。この点において、遊技用演算処理装置のROMも例外ではなく、遊技用演算処理装置のROMに書き込まれた機械語の遊技プログラムを外部から読み出し、逆アセンブル(原始プログラムへの逆翻訳)してその内容を分析するという行為自体に格別の困難性はない。
【0008】
したがって、遊技プログラムをROMに収めた弾球遊技機や回胴式遊技機は、本質的に遊技プログラムの秘匿性が低いという弱点を持つものであり、ROMまたはROMを収めた制御基板若しくは遊技機本体が不正者の手に渡った場合は、遊技プログラムの読み取りを阻止できず、結局のところ、不本意ながら前述の不正部品の製作を許してしまうという問題点を内在している。
【0009】
そこで、本発明は、遊技プログラムの秘匿性を向上して分析を不可能若しくは極めて困難にし、以って裏ロムやぶら下がり基板などの不正部品の製作を阻止して遊技業界全般の健全な発展に寄与する遊技用演算処理装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による遊技用演算処理装置は、遊技プログラムを収める不揮発性記憶手段と、
前記遊技プログラムを実行して遊技機の遊技制御を行う演算処理手段と、
前記遊技プログラムの実行に必要な作業領域を提供する揮発性記憶手段とを備えた遊技用演算処理装置において、
前記演算処理手段による前記遊技プログラムの実行に基づいて前記揮発性記憶手段に記憶される遊技情報と同一の情報を記憶可能な情報記憶手段と、
前記演算処理手段の遊技制御動作をバスの状態により監視し、非動作中に前記揮発性記憶手段に記憶された遊技情報を複写して前記情報記憶手段に記憶させる複写記憶制御手段と、
入力される遊技情報により遊技用演算処理装置の正当性を判定可能な外部装置からのメモリ内容要求指令に応答して、遊技機で不正な遊技制御が実行されているか否かを判定するために前記情報記憶手段に複写・記憶された遊技情報を前記外部装置へ転送する外部通信制御手段と、
所定のアルゴリズムで暗号化された遊技プログラムを外部から取り込む取り込み手段と、
復号化のための鍵をあらかじめ格納した格納手段と、
外部から取り込まれた遊技プログラムを前記格納手段の鍵を用いて復号化する復号化手段と、
該復号化された遊技プログラムを前記不揮発性記憶手段に書き込む書込み手段と、を備え、
前記演算処理手段は、
前記書込み手段によって不揮発性記憶手段に書き込まれた遊技プログラムを実行することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、多数のパチンコ遊技機を設置した遊技店(以下「ホール」という)を例にして図面を参照しながら説明する。
1.ホールの全体構成
図1はホールの全体構成を示すブロック図である。図1において、1はホールであり、ホール1にはCR(カードリーダ)式の遊技機10j(jはa、b…;以下同様)が多数設置されたパチンコ島11、状態変化情報記録装置JR、補助状態変化情報記録装置JRs、履歴処理装置12、カウンタ用コンピュータCC、FAX装置13、事務所用コンピュータHC、プリンタ14、通信制御装置15〜18、玉計数機19、島金庫20、監視カメラシステム21、アナウンスシステム22及び設定・検査装置23などが配置されている。なお、設定・検査装置23は、必要の都度、店内ネットワーク37に接続される。
【0012】
パチンコ島11は、情報収集BOXとも呼ばれる情報収集端末装置31a、31b(以下適宜に「情報収集端末装置31」で代表する)、遊技機10a、10b(同「遊技機10」)、カード式球貸装置32a、32b(同「カード式球貸装置32」)、球切装置33a、33b(同「球切装置33」)、パルスタンク34a、34b(同「パルスタンク34」)及びネットワーク中継装置35(例えば、ルータ)を備えている。なお、パチンコ島11はホール1に複数配置されるが、それぞれの“島”は類似(但し、島ごとに遊技機の機種が異なることが多い)する構成のため、ここでは1つのパチンコ島11について説明することにする。
【0013】
ネットワーク中継装置35は1つのパチンコ島11について、それぞれ1台ずつ配置されるが、その他の各装置(例えば、情報収集端末装置31、球切装置33、パルスタンク34)は遊技機10a、10bと同数だけ(すなわち、遊技機10と対をなして)配置されている。
【0014】
遊技機10a、10bは、遊技状態を制御する遊技制御装置41a、41b(以下適宜に「遊技制御装置41」で代表する)をそれぞれ有しており、遊技制御装置41は役物の制御を行う後述の遊技用演算処理装置(図4及び図5の演算処理装置200を参照;これは、いわゆるアミューズチップ用のICであり、その詳細は後述する)を内蔵している。遊技制御装置41は遊技制御基板やその基板を収納するケース等を含む。
【0015】
遊技機10の側方にはカード式球貸装置32が配置されており、プリペイドカード(PC)を使用した球の貸出し操作等は遊技機10から行うことが可能である。球切装置33は遊技機10の補給タンクへパチンコ島11から球を補給するもので、例えば、球が10個補給される毎に1パルスとなる信号(後述の図2に示す補給球数信号)が球切装置33から出力される。パルスタンク34は遊技機10から外部に回収された遊技終了後の球を計数するもので、パルスタンク34からは、例えば、球の10個流出(回収)ごとに1パルスとなる信号(後述の図2に示す回収球数信号)が出力される。
【0016】
情報収集端末装置31a、31bは、それぞれ、PJ1及びPJ2並びに分配回路42a、42b(以下適宜に「分配回路42」で代表する)を備えている。分配回路42は遊技機10、カード式球貸装置32、球切装置33及びパルスタンク34に接続され、これらの各装置から入出力される信号をPJ1やPJ2に分配して転送する。例えば、分配回路42は、PJ1に対して売上信号、補給球数信号、回収球数信号、大当り信号、特図回転信号、確変信号及びアミューズ通信信号を分配して転送し、PJ2に対して打止信号、金枠開閉信号、木枠開閉信号、空皿信号(遊技機10の貯留タンクにパチンコ島11から補給される球量が少なくなったことを検出する信号)、異常信号(不正な電磁波を出す等の不正な磁気力及び電磁波を検出する信号)及び電源断信号を分配して転送する。
【0017】
PJ1は売上信号、補給球数信号、回収球数信号、大当り信号、特図回転信号及び確変信号並びに遊技制御装置41から入出力されるアミューズ通信信号に基づいて、自分が受け持つ遊技機10及び遊技設備装置より出力された遊技情報と、PJ2から転送された遊技情報(状態変化情報)とを併せて演算加工し、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出する処理等を行うとともに、遊技用演算処理装置200の正当性判定(真偽判定)も行うもので、その詳細なブロック構成は後述する。
【0018】
PJ2は遊技機10及び遊技設備装置より収集した主に遊技機10を監視するための状態変化情報(例えば、金枠開放信号、空皿信号等)をPJ1へ転送する処理やPJ1から発射停止要求があった場合に遊技機10を不能動化する処理等を行う。ネットワーク中継装置35は、例えば、ルータ(Router)の機能を有し、島内ネットワーク36と店内ネットワーク37の間を中継接続する装置である。なお、島内ネットワーク36や店内ネットワーク37にはLON(米国エシャロン社によって開発されたLON(Local Operating Network:エシャロン社登録商標)が採用されている。
【0019】
パチンコ島11は店内ネットワーク37を介してJR、JRs、履歴処理装置12、CC、HC、通信制御装置15〜18及び設定・検査装置23と接続されている。島内ネットワーク36、ネットワーク中継装置35及び店内ネットワーク37は、全体としてPJ1、PJ2、JR、CC及びHCの間を接続する通信網61(「LON通信網」と言うこともある)を構成する。
【0020】
JRはホール1に1台ずつ設けられている。例えば、遊技機500台に対して1台設置されている。又は、複数階がある場合には各階毎に1台ずつ設置されることもある。JRは各パチンコ島11のPJ1から通報される遊技情報(状態変化情報)を遊技機毎に整理して記録し、JRsはJRをバックアップする。
履歴処理装置12は通信網37に接続されているPJ1、PJ2、JR、JRs等からのエラー情報を記録する装置であり、エラー履歴を事後に分析して故障の発生したノード(PJ1、PJ2、JR、JRs等が接続されたノード)を特定するためのものである。
【0021】
CCとしては、汎用のパーソナルコンピュータを使用することができる。CCは当日の遊技機10の状態変化情報をJR若しくはJRsをポーリングして収集し、状態変化を検出して表示する処理を行う。一般に状態変化情報の中で大当りや確率変動は、CCで当該事象が発生した遊技機10の詳細な遊技情報も確認したい場合が普通なので、この特定の状態変化の場合は直接に該当する遊技機10のPJ1から遊技情報を収集し、先の状態変化情報と併せて詳細な遊技情報を表示する。また、JRがトラブルを起こして情報を収集できない場合は、直ちにバックアップ用のJRsに切り替えて同様の情報収集と表示を行う。
【0022】
さらに、CCで所望の遊技機10の遊技情報を確認したい場合は、直接該当するPJ1から遊技情報を収集して表示する機能もある。CCとHCとの間は専用のネットワークケーブル62(例えば、イーサネット)で接続されており、CCで売上や機種情報及び時系列情報等の経営情報を確認したい場合は、HCから当該情報を入手して表示できるようになっている。
なお、CCにはFAX装置13が接続されており、CCで収集分析した情報を所定の印刷フォーマットに加工して外部に送信することができる。
【0023】
HCにも汎用のパーソナルコンピュータを使用することができる。HCは当日や過去分の遊技情報を元にして経営判断に資する各種情報を生成するものであり、PJ1若しくはPJ2を所定間隔毎にポーリングして遊技情報を収集し、ハードディスクなどに記録するとともに、所定のフォーマットで表示したり印刷したりできるものである。また、HCで特定の遊技機10の遊技情報を確認したい場合は、直接該当するPJ1から遊技情報を収集して表示する機能もある。さらに、HCで遊技機10の状態変化情報(リアル系の情報)を確認したい場合は、ネットワークケーブル62を介してCCから当該情報を入手して表示することもできる。なお、HCにはプリンタ14が接続されており、収集した情報を所定のフォーマットで印刷可能である。CC及びHCは遊技店1の全体的な遊技情報を管理する管理装置を構成する。
【0024】
通信制御装置15〜18は玉計数機19、島金庫20、監視カメラシステム21及びアナウンスシステム22と店内ネットワーク37との間の通信インターフェースを行う装置である。
玉計数機19は遊技者が獲得した球(例えば、景品交換のため)の計数を行い、計数値をCC及びHCに転送するとともに、当該遊技者に対して景品交換用の計数結果紙片をプリントアウトして出力する。島金庫20はホール1に設けられた両替機や現金式球貸装置等から回収した硬貨及び紙幣を収納する装置であり、現在の収納金額をHC及びCCに逐一転送する。
監視カメラシステム21はホール1内に配置された監視カメラを管理して、撮像された画像を記録するシステムであり、アナウンスシステム22はホール1内のアナウンスを手動及び自動的に行うシステムである。
【0025】
設定・検査装置23には、例えばノート型のパーソナルコンピュータを使用することができる。設定・検査装置23は必要に応じて店内ネットワーク37に接続することができ、接続時にLON通信網のアカウントを自動取得し、任意のPJ1に接続された遊技機10(の遊技制御装置41に内蔵されている遊技用演算処理装置200)をアクセスして正当性判定のための固有IDを設定することができるものである。
【0026】
既述のとおり、設定・検査装置23は“必要の都度”、店内ネットワーク37に接続される。必要の都度とは、例えば、新台に入れ替える場合であり、入れ替え後に設定・検査装置23を店内ネットワーク37に接続し、新台のPJ1を介してその台(入れ換えられた遊技機10)の遊技制御装置41に内蔵されている遊技用演算処理装置200をアクセスして正当性判定のための固有IDを設定する。
【0027】
なお、PJ1で遊技用演算処理装置200の正当性を判定する場合に、上記のような固有IDの判定に加えて、遊技プログラムを判定情報として使用してもよく、その場合には遊技用演算処理装置200に内蔵されている遊技プログラムと同一の基準遊技プログラムを設定・検査装置23からPJ1に設定する。PJ1は遊技用演算処理装置200から遊技プログラムを読み出し、設定された基準遊技プログラムと比較して正当性の判定を行う。
【0028】
但し、後の説明でも明らかになるが、本実施の形態の遊技用演算処理装置200から読み出された遊技プログラムは、所定の方式で暗号化されたものであるため、比較対照のための遊技プログラム(設定・検査装置23からPJ1に設定する遊技プログラム)も同じ方式で暗号化されたものでなければならない。かかる正当性判定の作業では両プログラムの一致性を調べ、一致しないビットが一つでもあれば故障または改竄されたプログラムであると判断するだけなので、作業者に対してプログラムの内容を全く知らしめなくても一向に構わない。
【0029】
一方、暗号化された遊技プログラムは秘匿性が相当高く、かかる正当性判定の段階で仮に当該プログラムが流出したとしても、暗号化されていない遊技プログラムに比べてその内容の分析等が極めて困難であるから、裏ロムやぶら下がり基板などの不正部品の製作を阻止できる。
【0030】
2.PJ1の構成
次に、PJ1のブロック構成について説明する。図2はPJ1のブロック図である。図2において、PJ1はCPU51、ROM52、RAM53、EEPROM54、バックアップ電源55、発振回路56、通信制御装置57、出力インターフェース(I/F)58、入力インターフェース(I/F)59及びバス60を備えている。
【0031】
CPU51はROM52に格納されている処理プログラムに基づいて自分が受け持つ遊技機10及び遊技設備装置より出力された遊技情報と、PJ2より転送された遊技情報(状態変化情報)を併せて演算加工し、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出する処理等を行うとともに、遊技用演算処理装置200の正当性判定も行う。ROM52は遊技用演算処理装置200の正当性判定を行う処理プログラムや遊技情報の収集・加工等のための処理プログラムを格納しており、RAM53はワークエリアとして用いられる。
【0032】
EEPROM54は当該PJ1に接続された遊技用演算処理装置200の固有IDを記憶する。EEPROM54への固有IDの格納手続きは、設定・検査装置23によって行われる。また、EEPROM54は状態変化情報の監視用の設定値も記憶する。この設定値はCC若しくはHCによって設定される。
バックアップ電源55はRAM53の記憶情報を停電時も保持するための電源である。発振回路56はCPU51に制御クロック信号を供給し、通信制御装置57は島内ネットワーク36を介して当該PJ1と他のネットワーク端末との間の通信制御を行う。また、通信制御装置57には装置毎に異なる監視装置IDが格納されており、監視装置IDは情報の送受信を行う際に当該PJ1を識別するために使用される。
【0033】
出力インターフェース58は遊技機10とCPU51との間の出力インターフェース処理を行うもので、出力インターフェース58から遊技機10の遊技制御装置41に対してアミューズ通信信号(例えば、プログラム要求コマンド)が出力される。
入力インターフェース59は遊技機10及び遊技設備装置(球貸装置32等)とCPU51との間の入力インターフェース処理を行うもので、アミューズ通信信号、カード式の球貸装置32Cからのカードによる売上信号、現金式の球貸装置32Gからの現金による売上信号、球切装置33からの補給球数信号、パルスタンク34からの回収球数信号、遊技制御装置41からの特図回転信号(特図の回転を知らせる信号)、大当り信号、確変信号(確率変動中及び大当り遊技中に、それを知らせる信号)がそれぞれ入力されるようになっている。
ここで、PJ1及びPJ2は、全体として、遊技機10の遊技制御装置41に含まれる遊技用演算処理装置200の固有IDを監視して当該遊技用演算処理装置200の正当性を評価する監視装置を構成する。
【0034】
3.遊技機の構成
図3は遊技機10を示す図であり、遊技機10は額縁状の前面枠71と、ガラスを支持する金枠(ガラス枠)72と、遊技領域が形成された遊技盤73と、前面表示パネル74と、前面表示パネル74の下方に設けられた操作パネル75とを有している。前面枠71は遊技機10を設置している木製の機枠(図示略)に対して上部蝶番77及び下部蝶番78によって開閉可能に支持され、金枠72は前面枠71に開閉可能に支持されている。
【0035】
表示パネル74は一端側が前面枠71に開閉可能に支持され、賞球を受ける上皿81が形成されるとともに、上皿81の球を球貯留皿(受皿ともいう)82に移すために両者を接続する通路を開閉するための開閉レバー83が設けられている。操作パネル75には、灰皿84及び前述の球貯留皿82が形成されるとともに、球貯留皿82に貯留された球を外部下方に抜くための球抜きレバー85が設けられている。また、操作パネル75の右端部側には玉発射用の操作ノブ86が設けられており、遊技機10の前面枠71の上部には大当り時に点灯又は点滅する大当り表示器87が設けられている。
【0036】
遊技盤73には前面の略円形領域をガイドレール88で取り囲んだ遊技領域が形成されており、この遊技領域には、複数の識別情報(いわゆる特別図柄;以下「特図」という)を複数列で変動表示する特図表示装置89、大入賞口を有する特別変動入賞装置90、特図始動口として機能する普通変動入賞装置91(いわゆる普電)、普通変動入賞装置91に設けられた普通図柄(いわゆる普図;以下「普図」という)を表示する普図表示装置92、スルーチャッカー形式の複数の普図始動ゲート93、複数の一般入賞口94、風車と呼ばれる複数の打球方向変換部材96、左右のサイドランプ97、98、アウト穴99などが備えられている。
【0037】
そして、普通変動入賞装置91内の入賞流路には特図始動スイッチ100が、普図始動ゲート93内の通過流路には普図始動ゲートスイッチ103が、それぞれ設けられている。また、特別変動入賞装置90の大入賞口内における継続入賞流路には継続スイッチ102が、一般入賞流路にはカウントスイッチ101がそれぞれ設けられている(上記各スイッチは図4参照)。
【0038】
特図表示装置89の上部には前述した一般入賞口94が配置され、また、4個の特図始動記憶表示器105が設けられており、普通変動入賞装置91には、4個の普図始動記憶表示器106が設けられている。普図表示装置92は、例えば、一桁の数字を表示する7セグメントの表示部を有する液晶又はLED等よりなる表示器であり、この場合、普通図柄(普図)は一桁の数字である。始動記憶表示器105、106は、特図あるいは普図の始動記憶数をそれぞれ表示するものである。
【0039】
特図始動スイッチ100は普通変動入賞装置91に玉が入賞したことを検出し、普図始動ゲートスイッチ103は普図始動ゲート93を玉が通過したことを検出し、カウントスイッチ101は特別変動入賞装置90の大入賞口に入った全ての玉を検出し、継続スイッチ102は大入賞口に入った玉のうち継続入賞(いわゆるV入賞)した玉を検出する。
なお、遊技盤73の遊技領域には、天釘やヨロイ釘などと呼ばれる多数の障害釘が設けられているが、ここでは図面の輻輳を避けるために省略している。また、遊技盤73には、その他の各種装飾ランプやLED等が設けられていてもよい。
また、遊技盤における遊技領域の種類は、いわゆる「第1種」に属するものや図柄表示装置を備えた「第3種」に属するものを含め種々のものがあるが、本発明は何れの種類にも適用できる。要は、遊技制御を司る遊技用演算処理装置200を備えるものであればよい。ちなみに、本実施の形態のものは「第1種」に属するタイプである。
【0040】
4.遊技制御装置の構成
図4は遊技制御装置41のブロック図であり、遊技制御装置41は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うマイクロコンピュータからなる遊技用演算処理装置200と、水晶の固有振動数を分周して所定のクロック信号を発生する発振器111と、このクロック信号を更に分周して所定周期(例えば、2ms周期)のパルス信号(リセット割込み信号RST)を発生する割込み信号発生回路118と、各種センサ信号を入力する入力インターフェース112と、各種駆動信号を出力する出力インターフェース113と、遊技に必要な効果音(機械音又は音声若しくはその双方)を生成するサウンドジェネレータ114と、サウンドジェネレータ114からの効果音信号を増幅して遊技機10の所定箇所に設置されたスピーカー115に出力するアンプ116と、遊技制御装置41と情報収集端末装置31j(図1の情報収集端末装置31a、31b参照)との間で信号の受け渡しを行う外部通信用端子117と、を含んで構成される。
【0041】
入力インターフェース112には、特図始動スイッチ100、カウントスイッチ101、継続スイッチ102、普図始動ゲートスイッチ103及びセーフセンサ104からの信号が入力される。セーフセンサ104は入賞した遊技球を検出する。出力インターフェース113からは、情報収集端末装置31に遊技情報を出力するための外部情報端子119、特図表示装置89の表示制御を行う表示制御装置120、特別変動入賞装置90である大入賞口を開閉駆動する大入賞口ソレノイド121、特図始動記憶表示器105、普図表示装置92、普通変動入賞装置91を駆動する普通電動役物ソレノイド122、普図始動記憶表示器106、入賞球に対応して賞球の排出を制御する賞球排出回路123、各種装飾ランプ、LED(例えばサイドランプ97、98等を含む装飾具)124に制御信号が出力される。
【0042】
5.遊技用演算処理装置200の構成
図5は遊技用演算処理装置200のブロック図である。図5において、遊技用演算処理装置200はいわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、遊技制御を行う遊技領域部200Aと情報管理を行う情報領域部200Bに区分される。
【0043】
まず、遊技領域部200AはCPUコア(演算処理手段)201、ROM(不揮発性記憶手段)202、RAM(揮発性記憶手段)203、外部バスインターフェース(I/F)204a、バス切り換え回路204b、乱数生成回路205、クロックジェネレータ206、リセット/割込制御回路207、アドレスデコーダ208、出力制御回路209及びバス210により構成される。
CPUコア201は遊技制御のための演算処理を行い、ROM202はその制御プログラム(遊技プログラム202a)を格納するとともに、所定領域に正当性確認情報を記憶している。正当性確認情報とは、遊技用演算処理装置200の正当性の簡易チェックを行う場合の情報であり、例えば、後述の書込終了コード213a、初期設定情報213b、メーカコード(遊技機の製造メーカ毎に割り振られた固有のコード)、認定コード及び固有IDを使用して所定の演算(例えば、各情報を加算演算したチェックサム、CRC等の演算)を行った結果値である。正当性確認情報は第3者機関あるいは遊技機の製造メーカがROM202に遊技プログラム202aを書き込む際に、所定の領域に書き込まれる。なお、遊技機の製造メーカが書き込む際には、その結果値だけが第3者機関から知らされる。
【0044】
遊技用演算処理装置200の簡易チェックを行う場合、遊技用演算処理装置200の電源立ち上がり時に、遊技用演算処理装置200自身が演算した演算値と、遊技プログラム202aが格納されているROM202の所定領域に予め書き込まれている正当性確認情報(すなわち、第3者機関等によって予め設定された結果値)とを比較判定することで、簡易的な遊技用演算処理装置200のチェックを可能にする構成になっている。
【0045】
RAM203は、遊技領域部200Aにおける遊技プログラム202aに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。
外部バスインターフェース204aは、メモリリクエスト信号MREQ、入出力リクエスト信号IORQ、メモリ書込み信号WR、メモリ読み出し信号RD及びモード信号MODEなどのインターフェースをとるものであり、また、バス切り換え回路204bは、16ビットのアドレス信号A0〜A15や8ビットのデータ信号D0〜D7のインターフェースをとるものである。
【0046】
例えば、MODE信号を[H]レベルにした状態で、アドレス信号A0〜A15を順次にインクリメントしながら、データ信号D0〜D7を加えると、ROM202への書き込みモードとなって遊技機の製造メーカあるいは第3者機関による遊技プログラム202aの書き込みが可能になる。なお、書き込みモードは遊技プログラムの書き込みを可能にするものであり、後述のブートプログラムを書き込みできるようにするものではない。
また、ROM202への遊技プログラム202aの書き込みが終了すると、後述のパラメータメモリ213の所定領域に書込終了コード213aが記録(例えば、所定のコード若しくは所定ビットを物理的に切断することで記録)されるようになっており、パラメータメモリ213に書込終了コード213aが記録されている場合には、ROM202への新たな遊技プログラムの書き込みができないようになっている。
【0047】
乱数生成回路205は遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や停止時の図柄の決定等に使用)を生成するもので、一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法あるいはM系列法等)を利用している。本実施の形態では、機種に関連した情報を乱数生成の際における種値として利用する。
クロックジェネレータ206は所定のクロック信号を生成する。リセット/割込制御回路207は割込み信号発生回路118からのリセット割込み信号RSTを検出してCPUコア201に知らせる。アドレスデコーダ208は内蔵デバイス及び内蔵コントロール/ステータスレジスタ群のロケーションをメモリマップドI/O方式及びI/OマップドI/O方式によりデコードする。出力制御回路209はアドレスデコーダ208からの信号制御を行って外部端子より8ビットのチップセレクト信号(CS0〜CS7)を外部に出力する。バス210はデータバス、アドレスバス及び制御バスを含むものであり、情報領域部200Bまで延びている。
【0048】
次に、遊技用演算処理装置200における情報管理を行う情報領域部200Bは、復号化・ROM書込み回路211、ROM212、パラメータメモリ(格納手段)213、バスモニタ回路214、デュアルポート(DPと略す)RAM215、セキュリティメモリ216、ステータスメモリ217、制御回路218、外部通信制御回路219、バス220、バッファ回路221及び遊技領域部200Aから延びるバス210の一部を含んで構成される。
【0049】
復号化・ROM書込み回路211は、遊技領域部200Aに設けられたROM202への遊技プログラム202aの書込みモードの際に使用されるもので、モード信号MODEが[H]レベルになっている間、バス切り換え回路204bを介してアドレス信号A0〜A15やデータ信号D0〜D7を取り込み、そのデータ信号D0〜D7に含まれる情報(暗号化生成復号キーや暗号化された遊技プログラム)を復号化処理した後、バス210を介してROM202に出力する(書き込む)というものである。この復号化・ROM書込み回路211の詳細は後述する。
【0050】
ROM212はブートプログラムを格納しており、遊技用演算処理装置200の電源オン時には、まず、ブートプログラムが立ち上がって、所定の簡易チェックを行い、正常であれば遊技プログラムの所定のアドレスに処理を渡すようになっている。パラメータメモリ213は、書込終了コード213a及び初期設定情報213b並びに固定復号キー(発明の要旨に記載の第2の鍵に相当)213cを格納している。
書込終了コード213cとは、先にも述べたとおり、ROM202に遊技プログラム202aを書き込んだことを示す情報である。また、初期設定情報213bとは、遊技機の製造メーカが遊技プログラム202aを書き込む際に、チップセレクト信号CS0〜CS7の用途(入力用/出力用)を設定するための情報であり、例えばCS0、CS1及びCS2を入力用にし、CS3、CS4、CS5、CS6及びCS7を出力用にするという情報である。また、固定復号キー213cは後述の「暗号化生成復号キー」を復号化(再生)する際のキー(鍵)となる情報であり、望ましくは、その台に固有のユニークな情報(その台固有の情報)にすべきであるが、コストとの兼ね合いで、例えば、ロット毎に固有の情報としてもよい。
【0051】
DPRAM215は、バス210を介して遊技領域部200A側のRAM203の内容を複写(コピー)して記憶するもので、遊技領域部200A側及び情報領域部200B側の双方よりアクセスが可能な構成になっている。
バスモニタ回路214は、情報領域部200B側より遊技領域部200A側のバス210の状態監視及び制御を行う。ここでの制御とは、RAM203の内容をDPRAM215に複写する際のタイミング制御や、遊技プログラム202aを外部に出力する際(遊技領域部200A側のバス210を開放してROM202から遊技プログラム202aを読み込んで情報領域部200B側より外部に出力する際)のタイミング制御である。なお、遊技プログラム202aは、後述の外部通信制御回路219で暗号化されてから出力される。
【0052】
ここで、DPRAM215へのデータアクセスについて説明する。DPRAM215には遊技領域部200Aのバス210(アドレスバス、データバス及び制御バスを含む)がバッファ回路221を介して接続されており、RAM203の所定アドレスに情報を書き込む際に、DPRAM215の同一アドレスにも同一情報が書き込まれるように複写処理が行われる。但し、制御バスのうちRD信号(読み出し制御信号)はDPRAM215に接続されない。
【0053】
なお、情報の複写という点で、RAM203とDPRAM215については情報の書き込み速度や好ましい書き込みタイミングが異なることもあるので、DPRAM215側に接続されるアドレスバス、データバス及び制御バスにバッファ回路221を設け、そのバッファ回路221をバスモニタ回路214でコントロール(例えば、RAM203のデータをプールして書き込むタイミングを遅らせるような制御)するようにし、高速動作のRAM203の内容を確実にDPRAM215に複写する(高速動作のRAM203の内容を複写すればよいので、DPRAM215への複写タイミングは遅れてもバッファに複写内容を逐次入れておくことで確実な複写が可能である)。これにより、データのビット落ち等を防いで確実にデータの複写を行う。
【0054】
セキュリティメモリ216(例えば、EEPROMで構成)には遊技用演算処理装置200の識別や正当性の判定のために使用する固有ID、メーカコード(遊技機の製造メーカコード)及び認定コード(第3者機関により検査が合格した遊技機に付与される番号で認可された遊技機の認可コードである)が書き込まれている。セキュリティメモリ216は、遊技用演算処理装置200の固有情報(ここでは固有ID)を記憶する固有情報記憶手段を構成する。
【0055】
ステータスメモリ217は、制御回路218がDPRAM215の内容を参照して遊技情報の状態変化情報を検出して書き込むための記憶領域である。DPRAM215には遊技領域部200A側のRAM203に格納されている情報と同一の情報が同一のアドレスに書き込まれるようになっており、予め遊技領域部200A側のRAM203の特定アドレスに遊技情報を書き込むようにしておけば、情報領域部200B側ではDPRAM215よりその特定アドレスから情報を取得することで状態変化情報を得ることができる。このように取り決めをしておかないと、情報領域部200B側でRAM203の情報の内容がわからないからである。
【0056】
制御回路218は情報領域部200B側を制御するもので、バッファメモリ(図では単に「メモリ」と表記してある)を有している。制御回路218は、例えば、バスモニタ回路214を介してCPUコア201の動作を監視し、非動作中に遊技領域部200AのRAM203の内容を情報領域部200BのDPRAM215へコピーする。また、外部装置であるPJ1からのメモリ内容要求指令に応答して情報領域部200BのDPRAM215の内容を外部へ転送したり、遊技プログラム要求指令に応答してバスモニタ回路214を介してROM202内の遊技プログラムを外部へ転送したりする。制御回路218のメモリは、転送時のタイミング調節のために用いられる。
【0057】
外部通信制御回路219は前述のPJ1(図2参照)との通信を行うもので、例えば、外部からの指令に基づいて演算処理装置200内に格納されている情報(例えば、状態変化情報、遊技プログラム、書込終了コード及び固有ID等)を暗号化した後、外部へ転送する等の処理を行う。
遊技用演算処理装置200では、遊技領域部200Aと情報領域部200Bがバスモニタ回路214を介して独立して動作する。すなわち、情報領域部200B側は遊技領域部200AにおけるCPUコア201の作動に関係なく(プログラム実行に関係なく)動作可能である。
【0058】
6.復号化・ROM書込み回路211の構成
図6は、復号化・ROM書込み回路211を含む要部のブロック図である。復号化・ROM書込み回路211は、キー復号回路(第1の取り込み手段、第1の復号化手段)211a、プログラム復号回路(第2の取り込み手段、第2の復号化手段)211b、プログラム書込み回路211c、生成復号キー一時記憶部211d及び遊技プログラム一時記憶部211eを備えており、前述のバス切り換え回路204b(図5参照)を介して暗号化生成復号キー(発明の要旨に記載の第1の鍵に相当)300と暗号化遊技プログラム301を取り込み、パラメータメモリ213の固定復号キー213cを用いて暗号化生成復号キー300を復号化するとともに、復号化された生成復号キーを用いて暗号化遊技プログラム301を復号化し、復号化された遊技プログラム202aをROM202に書き込むというものである。
【0059】
二つの一時記憶部(生成復号キー一時記憶部211d及び遊技プログラム一時記憶部211e)は、その名前が示すとおりデータの“一時記憶”を行うものであり、記憶期間は少なくとも復号化された遊技プログラムをROM202に書き込むまでの間、言い換えれば、復号化された遊技プログラムがROM202に書き込まれた後はその記憶データを完全に消し去るものである。これは、使用済みの遊技機10がホール1から外されて第三者の手に渡った場合でも、暗号化遊技プログラム301の復号化に用いるキーを不明にするためのセキュリティ対策である。
【0060】
なお、図では、復号化・ROM書込み回路211に取り込まれる暗号化生成復号キー300と暗号化遊技プログラム301がフロッピーディスクに収められているが、これは、何らかの記憶媒体又は通信媒体を介して取り込まれることを意味するものであって、その媒体を(フロッピーディスクに)特定するものではない。
【0061】
ここで、暗号化遊技プログラム301は、前述のプログラム開発段階における目的プログラムを所定の暗号化アルゴリズム(特に限定しないが、例えば、DES:Data Encryption Standardなど)で暗号化したものであり、また、その暗号化遊技プログラム301を復号化するための暗号化生成復号キー300も、同様のアルゴリズムで暗号化したものである。
【0062】
したがって、(1)仮に復号化・ROM書込み回路211に取り込む前の暗号化遊技プログラム301を入手したとしても、暗号化生成復号キー300を入手しなければ暗号化遊技プログラム301の解読を行えないから、また、(2)暗号化遊技プログラム301と暗号化生成復号キー300の両方を入手したとしても、暗号化生成復号キー300の復号化に必要な固定復号キー213cを入手しなければ暗号化生成復号キー300の解読を行えないから、結局、裏ロムやぶら下がり基板などの不正部品の作製を阻止して、セキュリティ性を向上できるという効果が得られる。
【0063】
これは、暗号化遊技プログラム301の復号化に必要な秘密鍵(生成復号キー)を暗号化したうえ、さらに、その暗号化生成復号キー300の復号化に必要な秘密鍵(固定復号キー213c)を演算処理装置200のパラメータメモリ213にあらかじめ書き込んだからであり、要するに、鍵を二重にして最後の鍵(固定復号キー213c)を演算処理装置200に組み込んだからであり、最後の鍵さえ第三者の手に渡らなければ暗号化遊技プログラム301を解読できないからである。
【0064】
また、本実施の形態によれば、暗号化遊技プログラム301を復号化・ROM書込み回路211で復号化してROM202に書き込むため、若し、その暗号化遊技プログラム301に改竄個所(又は配布過程でのビットエラー)がある場合は、復号化の過程で生成復号化キー300と対応しない部分が生じ、当該部分が壊れた(正常に復号化されない)ままROM202に書き込まれるから、CPUコア201で実行される遊技制御がその部分で異常動作(仕様にない動作;典型的には暴走)する結果、遊技プログラムの正当性評価(改竄若しくはバグを含むかどうかの評価)を間接的に行うことができ、正当性評価のための特別の回路を要しないというメリットも得られる。
【0065】
なお、本実施の形態では、外部から取り込んだ暗号化生成復号キー300をキー復号回路211aで復号化し、この復号化されたキーを用いて暗号化遊技プログラム301を復号化しているが、これに限らない。例えば、暗号化遊技プログラム301の復号化キー(復号化のための鍵)をあらかじめパラメータメモリ213などに記憶しておき、このキーを用いて、暗号化遊技プログラム301を復号化してもよい。
これによれば、暗号化遊技プログラム301を復号化するのに必要な鍵を内部に保持(例えば、パラメータメモリ213などに記憶)するので、仮に暗号化遊技プログラム301が第三者の手に渡っても、復号化のための鍵を入手しない限り、暗号化遊技プログラム301を復号化することができない。よって、第三者は原始プログラム(復号化された遊技プログラムと同等である)の内容が理解できないため、遊技プログラムを自分達の都合に合わせて変更することができず、その結果、遊技プログラムの改竄を防止でき、例えば、裏ロムやぶら下がり基板などの不正部品の作製を阻止することができるうえ、さらに、暗号化生成復号キー300を配布する必要がないので、セキュリティ性を向上できる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、所定のアルゴリズムで暗号化された遊技プログラムを復号化するのに必要な鍵を内部に保持するので、仮に暗号化された遊技プログラムが第三者の手に渡っても、復号化のための鍵を入手しない限り、暗号化された遊技プログラムを復号化することができない。よって、第三者は原始プログラム(復号化された遊技プログラムと同等である)の内容が理解できないため、遊技プログラムを自分達の都合に合わせて変更することができず、その結果、遊技プログラムの改竄を防止でき、例えば、裏ロムやぶら下がり基板などの不正部品の作製を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ホールの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 PJ1のブロック図である。
【図3】 遊技機の正面図である。
【図4】 遊技制御装置のブロック図である。
【図5】 遊技用演算処理装置のブロック図である。
【図6】 復号化・ROM書込み回路を含む要部のブロック図である。
【図7】 マイクロコンピュータ一般のプログラム開発段階を示す図である。
【符号の説明】
10 遊技機
200 CPUコア(演算処理手段)
202 ROM(不揮発性記憶手段)
202a 遊技プログラム
203 RAM(揮発性記憶手段)
211a キー復号回路(第1の取り込み手段、第1の復号化手段)
211b プログラム復号回路(第2の取り込み手段、第2の復号化手段)
211c プログラム書込み回路(書込み手段)
213 パラメータメモリ(格納手段)
213c 固定復号キー(第2の鍵)
300 暗号化生成復号キー(第1の鍵)
301 暗号化遊技プログラム(暗号化された遊技プログラム)
Claims (1)
- 遊技プログラムを収める不揮発性記憶手段と、
前記遊技プログラムを実行して遊技機の遊技制御を行う演算処理手段と、
前記遊技プログラムの実行に必要な作業領域を提供する揮発性記憶手段とを備えた遊技用演算処理装置において、
前記演算処理手段による前記遊技プログラムの実行に基づいて前記揮発性記憶手段に記憶される遊技情報と同一の情報を記憶可能な情報記憶手段と、
前記演算処理手段の遊技制御動作をバスの状態により監視し、非動作中に前記揮発性記憶手段に記憶された遊技情報を複写して前記情報記憶手段に記憶させる複写記憶制御手段と、
入力される遊技情報により遊技用演算処理装置の正当性を判定可能な外部装置からのメモリ内容要求指令に応答して、遊技機で不正な遊技制御が実行されているか否かを判定するために前記情報記憶手段に複写・記憶された遊技情報を前記外部装置へ転送する外部通信制御手段と、
所定のアルゴリズムで暗号化された遊技プログラムを外部から取り込む取り込み手段と、
復号化のための鍵をあらかじめ格納した格納手段と、
外部から取り込まれた遊技プログラムを前記格納手段の鍵を用いて復号化する復号化手段と、
該復号化された遊技プログラムを前記不揮発性記憶手段に書き込む書込み手段と、を備え、
前記演算処理手段は、
前記書込み手段によって不揮発性記憶手段に書き込まれた遊技プログラムを実行することを特徴とする遊技用演算処理装置。
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