JP4378379B2 - 防虫網 - Google Patents
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Description
これらの防虫施設に用いられる防虫網としては、一般に、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を素材としたモノフィラメント糸を、経糸及び緯糸に使用して網目が15〜30メッシュ程度の平織またはからみ織により織って得られたネット状織物等が知られている。
しかしながら、これらの防虫網は、防虫網を構成する熱可塑性樹脂のモノフィラメント糸が灰色、緑色などの中間色に着色されており、室内から防虫網を通して屋外を眺めた場合に、防虫網表面からの反射光が比較的に強くなって屋外の景色が見難くなり、一方、屋外から網戸の防虫網を通して室内を眺めた場合に、防虫網表面からの反射光が比較的に弱くなって室内が透けて見えるという問題があった。
そこで、このような問題に対処するために、例えば、(1)一面又は両面に、スパッタリング加工により、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、クロムなどの金属や合金などの被覆層を設けてなる網戸用網(例えば特許文献1参照)、(2)片面に、コーティングにより光反射層を設けてなるネット状遮光材(例えば、特許文献2参照)、(3)片面に、アルミニウム粉などの金属粉及び塩素化ポリオレフィンを含有する樹脂膜を被覆してなる防虫網(例えば、特許文献3参照)、(4)片面に、アルミニウム粉などの金属粉を含有する二液反応型硬化樹脂膜を被覆してなる防虫網(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
しかしながら、このように防虫網上にスパッタリングやコーティングなどで設けられた金属調被覆層は、耐擦傷性が不十分であって、汚れなどを拭き取る操作を繰り返し行った場合には、剥がれ落ちやすく、耐久性に劣るという問題があり、特に巻取り式網戸に用いられる防虫網においては、この耐久性が大きな問題となる。
さらに、これらの技術においては、スパッタリング工程やコーティング工程が一つ増えるため、製造コストが高くつくのを免れないという問題もある。
すなわち、本発明は、
[1]熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメントと、熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントを用い、ラッセル編みにより得られた防虫網であって、ラッセル編みの経糸にブライト色系マルチフィラメントを用いて、緯糸に黒色系マルチフィラメントを用いることによって防虫網の一方の面側に、前記ブライト色系マルチフィラメントと黒色系マルチフィラメントを露出させると共に、他方の面側に黒色系マルチフィラメントのみを露出させたことを特徴とする防虫網、
[2]熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメント及び熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントが、いずれもポリエステル樹脂製である上記[1]項に記載の防虫網、
[3]熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメント及び熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントの繊度が、いずれも30〜90デニールである上記[1]又は[2]項に記載の防虫網、
[4]網目の形状及びサイズが、一辺0.4〜1.5mmの方形状である上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の防虫網、及び
[5]巻取り式網戸に用いられる上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の防虫網、
を提供するものである。
なお、本発明でいうブライト色系とは、太陽光の反射率の高い明るい色調を指し、太陽光を反射する着色料(例えばパール顔料など)や金属・金属合金粉末などを加えないナチュラルな色調であってもよいし、パール顔料、金属や金属合金粉末などを加えて、太陽光の反射率を高めたものであってもよい。
また、本発明でいう黒色系とは、黒の他に、黒に近い、濃褐色、濃紫色、濃青色などの濃色の色調も包含する。
本発明の防虫網において用いられる熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメント及び熱可塑性樹脂製黒色マルチフィラメントの素材である熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来防虫網の繊維素材として用いられている熱可塑性樹脂の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中では巻取り式網戸に必要なしなやかさ(柔軟性)の観点からポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の防虫網に用いられる熱可塑性樹脂を素材とするブライト色系マルチフィラメントは、前記の熱可塑性樹脂、好ましくはポリエステル樹脂に、所望により難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、核剤、帯電防止剤などを添加して得られた樹脂組成物(ナチュラル系)を、従来公知の方法により紡糸して未延伸マルチフィラメントを得たのち、必要に応じ、従来公知の方法で延伸処理することにより、製造することができる。なお、この際、ブライト色を強調するために、前記樹脂組成物に、パール顔料や白色系体質顔料、さらにはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、チタンなどの金属や金属合金粉末を適宜含有させることができる。
このようにして得られたブライト色系マルチフィラメント及び黒色系マルチフィラメントは、通常モノフィラメント16〜48本程度、好ましくは24〜36本程度から構成されており、その繊度は、通風、強度、視覚効果のバランスの観点から、それぞれ通常30〜150デニール程度、好ましくは50〜80デニールである。
本発明においては、前記の熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメントと、熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントを用い、ラッセル編みを行い、一方の面側に、前記ブライト色系マルチフィラメントと黒色系マルチフィラメントを露出させると共に、他方の面側に黒色系マルチフィラメントのみを露出させてなるネット状の網を作製することにより、所望の防虫網が得られる。
前記の一方の面側に、ブライト色系マルチフィラメントと黒色系マルチフィラメントを露出させる場合、例えば経糸がブライト色系マルチフィラメントであると、緯糸が黒色系マルチフィラメントとなる。
本発明の防虫網を家屋の窓に配設する場合、黒色系マルチフィラメントのみが露出する面を室内側に向け、その反対側の面が外側になるように配設する。
このように配設することにより、室内から屋外を容易に視認できるが、屋外から室内は、太陽光の乱反射により、見え難くなる。
本発明の防虫網は、従来の防虫網のようにスパッタリングやコーティングによる被覆層を有しないため、耐擦傷性が良好で、耐久性に優れており、特に巻取り式網戸に好適に用いることができる。
また、スパッタリング工程やコーティング工程を有しないため、製造コストも低く、経済的にも有利である。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする繊度75デニールのブライト色系マルチフィラメント[東レ社製、商品名「シルックNS−92」]及びポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする繊度75デニールの黒色系マルチフィラメント[帝人社製、商品名「TFY N300S」]を用い、ラッセル編みを行い、一方の面側に、前記ブライト色系マルチフィラメントが経糸として、黒色系マルチフィラメントが横糸として露出すると共に、他方の面に、黒色系マルチフィラメントのみが露出したネット状の網からなる防虫網を作製した。網目は、一辺が14mmの正方形であった。
この防虫網を、黒色系マルチフィラメントのみが露出した面を室内側にして網戸に取付けた。室内から屋外は視認できたが、曇っているときでも、屋外から室内は、太陽光の乱反射により見えなかった。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメントと、熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントを用い、ラッセル編みにより得られた防虫網であって、ラッセル編みの経糸にブライト色系マルチフィラメントを用いて、緯糸に黒色系マルチフィラメントを用いることによって防虫網の一方の面側に、前記ブライト色系マルチフィラメントと黒色系マルチフィラメントを露出させると共に、他方の面側に黒色系マルチフィラメントのみを露出させたことを特徴とする防虫網。
- 熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメント及び熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントが、いずれもポリエステル樹脂製である請求項1に記載の防虫網。
- 熱可塑性樹脂製ブライト色系マルチフィラメント及び熱可塑性樹脂製黒色系マルチフィラメントの繊度が、いずれも30〜90デニールである請求項1又は2に記載の防虫網。
- 網目の形状及びサイズが、一辺0.4〜1.5mmの方形状である請求項1〜3のいずれかに記載の防虫網。
- 巻取り式網戸に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の防虫網。
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