JP4377745B2 - 電子内視鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、固体撮像素子を備え、さまざまな処置具と共に使用可能な電子内視鏡に関する。
内視鏡は、周知の通り、直接目視できない生体内等を観察することができ、医療分野を中心に診断、治療に広く使用されている。そして、被写体像をCCD等の固体撮像素子によって電気信号に変換し、モニタにて観察可能とした電子内視鏡が普及している。さらに近年、被写体の詳細な観察をすべく、ズーム光学系を採用した電子内視鏡や、多画素な固体撮像素子を用いた高解像内視鏡が普及してきている。
前者のズーム光学系を採用した電子内視鏡は、先端部の構成の大型化や操作性の悪化は許されないといった制約から複雑な構成は採用できず、1つのレンズ群を移動させ、視野角を変化させる変倍ズーム光学系が一般的である。
また、特開2000−330019号公報に示されるような変倍ズーム光学系では、図11に示すように物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群91と、明るさ絞りSと、正の屈折力を有する第2レンズ群92と、負の屈折力を有する第3レンズ群93とから構成され、変倍に際し、第1レンズ群91と第3レンズ群93は不動であり、第2レンズ群92が物像間距離を変化させない光軸上の異なる2点に移動することを特徴としている。なお、Gはフィルタ類を示す。
これによると、変倍時に物像間距離が変化しない小型で高性能な2焦点タイプの内視鏡対物変倍光学系を得ることができ、ズーム光学系による被写体の詳細な観察ができるといった効果がある。
また、後者の多画素な固体撮像素子を用いた高解像内視鏡では、従来よりも多画素な固体撮像素子を用いることで、被写体をより高解像に撮像することができるため、被写体の詳細な観察が可能になるといった効果がある。
特開2000−330019号公報
上記特開2000−330019号公報に示されるような変倍ズーム光学系を用いた内視鏡では、被写体の詳細観察をする際に撮像光学系内のレンズを移動させることによって画角を変化させ、倍率を変化させるため、倍率を上げるためには、画角を狭くする必要がある。
一方、チャンネル先端開口より突出した処置具が、固体撮像素子を含む撮像光学系によって撮像されるためには、撮像光学系の画角と、撮像光学系と処置具との距離により決定し、撮像光学系と処置具が近ければ近いほど、また、撮像光学系の画角が広ければ広いほど、処置具は撮像光学系に早く撮像される。
被写体を詳細に観察するために近接し、さらに倍率を上げ画角を狭くした場合、チャンネル先端開口から突出させた処置具が撮像光学系で撮像されにくくなり、被写体の詳細観察をしながら処置具での処置といった作業は困難になるといった課題がある。
また、単焦点光学系を用いた内視鏡で高精細に観察するために、多画素の固体撮像素子を用いた場合では、一般的に画素数が多ければ多いほど光学系の被写界深度は狭くなるため、被写体の詳細観察をすべく、最近接時に高い解像力が得られるように光学系を調整すると、遠点の被写界深度が足りず内視鏡として実用的な被写界深度を得ることが出来ないといった課題がある。
例えば、100万画素以上のモザイクフィルタ方式の固体撮像素子を用いた撮像光学系の場合、被写界深度を広げるためにはFnoを大きくする必要があるが、Fnoを大きくし過ぎると光の回折により像のコントラストが低下するため、単焦点光学系では最近接時における高い解像度と実用的な被写界深度の確保との両立が難しい。
(発明の目的)
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、実用的な被写界深度が得られ、かつ、被写体の詳細観察をしながら処置具での処置が可能な電子内視鏡及び電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
本発明の電子内視鏡は、
被写体の光学像を結ぶ単焦点の対物光学系と、前記対物光学系の結像する位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子と、を有する撮像ユニットと、
挿通された処置具を前記対物光学系と略平行に進退可能とする処置具挿通チャンネルと、
を具備し、
前記撮像ユニットは、
同じ幅の白と黒の帯の被写体を、前記対物光学系を介して撮像し、得られる画像信号から輝度信号を生成した場合における前記白の被写体に対する輝度信号の最大値をImax、前記黒の被写体に対する輝度信号の最小値をIminとし、コントラストIを
I=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義した際に、
前記対物光学系の先端レンズ面の先端からの距離が50mmの位置において、0.5mmピッチの白黒ペアの帯の被写体を、上記コントラストIが10%以上となる解像力で識別可能であるとともに、
前記対物光学系の先端レンズ面の先端からの距離が所定の距離の位置において、35μmピッチの白黒ペアの帯の被写体を、上記コントラストIが10%以上となる解像力で識別可能であるという条件のもとに、
前記所定の距離をdとした際、
前記対物光学系の先端レンズ面での光線高をLh、当該先端レンズ面と略同一平面の前記チャンネルの先端開口面の半径をR、前記対物光学系の光軸と前記先端開口の中心との距離をD、前記対物光学系による前記固体撮像素子に結像可能な画角をθとし、前記チャンネルの先端開口面から前記処置具が突出した際の前記チャンネルの先端開口面から当該処置具先端までの突出量であって前記撮像ユニットの視野内に入る最小限の突出量をHallとした場合、
Hall=(D−Lh+R)×tan(90°−θ/2)≦d
を満たすことを特徴とする。
また、本発明の電子内視鏡システムは、前記電子内視鏡と、前記固体撮像素子からの画像信号をモニタに表示するための映像信号に変換する画像処理装置と、を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、被写体の詳細観察が可能で、かつ、被写体の詳細観察をしながら処置具での処置が可能な電子内視鏡及び電子内視鏡システムを提供することができる。
また、本発明によれば、対物光学系として単焦点光学系を採用しているために、変倍光学系や可変焦点光学系と比較して簡単な構造で実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1ないし図6は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの概略の構成を示す構成図、図2は撮像ユニットの断面図、図3は本実施例の電子内視鏡の挿入部先端の先端面を正面から見た正面図、図4は図3におけるA−A線の概略断面図、図5は処置具チャンネルに処置具を挿入し、先端開口から処置具を突出させたときの断面図、図6は本実施例の作用の説明図を示す。
図1に示すように電子内視鏡システム1は、本実施例の電子内視鏡2と、この電子内視鏡2の照明光を供給する光源装置3と、電子内視鏡2に内蔵した撮像手段に対する信号処理を行う画像処理装置(信号処理装置)4と、画像処理装置4から出力される標準的な映像信号が入力されることにより、内視鏡画像を表示するハイビジョンTV(HDTVと略記)方式に対応したモニタ5とから構成される。
本実施例の電子内視鏡2は、被検体に挿入される細長の挿入部7と、この挿入部7の後端に設けられ、術者等の操作者が把持して操作を行う操作部8と、この操作部8から延出されたケーブル部9とを有する。
挿入部7は、その先端に硬質の先端部11が設けられ、この先端部11には後述する撮像ユニットなどが設けられている。
挿入部7内には照明光を伝送するライトガイド14が挿通されており、このライトガイド14の後端側はケーブル部9を経てその端部に設けたライトガイドコネクタ15に至る。このライトガイドコネクタ15を光源装置3に接続することにより、光源装置3からライトガイド14の後端面には、照明光が供給される。
光源装置3から供給された照明光は、ライトガイド14により伝送され、先端部11に固定された先端面からさらにこの先端面に対向して照明窓に取り付けた照明レンズ16a、16b(図3参照)を経て前方に出射され、体腔内の患部等の被写体を照明する。
先端部11には、照明窓に隣接して観察窓(撮像窓)が設けてあり、この撮像窓には、照明された被写体の光学像を結ぶ対物レンズ系(対物光学系)17と、この対物レンズ系17の結像位置にその受光面(光電変換面)が配置された固体撮像素子としての例えば電荷結像素子(CCDと略記)18とを備えた撮像ユニット19が配置されている。
撮像ユニット19には、信号ケーブル21の一端が接続され、挿入部7内に挿通された信号ケーブル21はさらにケーブル部9内を挿通されてその後端の信号コネクタ22にその他端が接続されている。
この信号コネクタ22を、画像処理装置4に接続することにより、画像処理装置4のCCD駆動部23からのCCD駆動信号によりCCD18は駆動され、CCD18は光電変換した画像信号(撮像信号)を出力する。
この撮像信号は、画像処理装置4内で信号処理されてモニタ5には、内視鏡画像が表示される。
また、挿入部7内には様々な処置具を挿通可能とするチャンネル25が設けてある。このチャンネル25は、先端部11において開口するチャンネル先端開口(先端開口或いは鉗子口ともいう)26と、操作部8の前端付近の処置具挿入口27と、先端開口26と、処置具挿入口27とを接続するチャンネルチューブ25aとからなる。
そして、この処置具挿入口27から処置具28を挿入することにより、この処置具28の先端側を先端開口26から突出させ、患部組織を採取したり、切除などの処置を行うことができるようにしている。
また、本実施例においては、患部組織等の検査対象或いは処置対象とする被写体と共に、先端開口26から突出される処置具28の先端側を撮像ユニット19の視野内に入れてこの突出する処置具28をモニタ5の表示面に表示し、処置等を円滑に行うことができるようにしている。
本実施例では、CCD18は、補色のモザイクカラーフィルタを備えたモザイクカラーフィルタ方式のCCDであり、画素ピッチは2.5μmであり、モニタ表示に有効な画素数は、81万画素、CCD受光面上の最大像高は1.3mmのものを採用している。
上記撮像ユニット19は、最大画角138°の単焦点の対物レンズ系17が用いられており、対物レンズ系17は、光の回折限界を超えないようにFno(Fナンバ)10.0となるように設定されている。また、物体距離4.2mm時に最高の解像力が得られるようにピント調整が行なわれている。
本実施例で用いている対物レンズ系17のレンズデータを以下に示す。ここで、Flは、対物レンズ系17の焦点距離、Raはレンズの曲率半径、Daは面間隔、Neは水銀e線(波長546.07nm)に対する屈折率、Vdはアッベ数である。
Fl=1.33785mm
面No. Ra Da Ne Vd
1 ∞ 0.40 1.77067 71.7
2 0.977 0.57
3 ∞ 0.40 1.52498 59.9
4 ∞ 0.84
5 ∞(絞り) 0.03
6 ∞ 1.90 1.81078 40.9
7 −2.192 0.10
8 3.168 1.68 1.51825 64.1
9 −1.676 0.39 1.93429 18.9
10 −5.048 0.10
11 ∞ 0.60 1.51965 75.0
12 ∞ 1.16
13 ∞ 1.00 1.51825 64.1
14 ∞ 0.03 1.5119 64.1
15 ∞ 1.00 1.61379 50.2
16 ∞ 0.00
撮像ユニット19の構成について、図2を用いて説明する。
対物レンズ系17を構成する複数のレンズは、適正な面間隔と各レンズの芯出しが行なわれるように、レンズ枠31とスペーサ32a、32bを用いて保持、固定されている。CCD18は、CCDチップ18aとCCD基板18bとCCD駆動用部品18cと封止ガラス18dとで構成されている。
CCDチップ18aには、CCD基板18bがワイヤボンディング等により電気的に接続されており、また接着剤等により機械的に固定されている。CCD基板18b上にはカップリングコンデンサや、電流増幅用のトランジスタ等のCCD駆動用部品18cが半田付けされている。CCDチップ18aの受光面には、受光面を保護するための封止ガラス18dが光学接着剤等にて接着固定されている。
レンズ枠31は、対物レンズ系17の光軸方向に平行移動可能なように、CCD枠33と嵌合しており、前記対物レンズ系17の光軸と、前記CCD18の受光面が垂直となるように、CCD枠33にCCD18が接着固定されている。
CCD基板18bには信号ケーブル21の信号線を半田付けするためのランド(図示せず)が設けられており、信号ケーブル21の信号線が半田付けされている。CCD枠33からCCD18をへて、信号ケーブル21のCCD基板18bとの接続部にかけて、機械的に保護するようにCCD保護枠34が配置されている。
このCCD保護枠34には、CCDチップ18aの背面部付近に、切り欠き部が設けられており、この切り欠き部から挿入するように熱伝導性の良い、例えばアルミニウム合金や、銅合金で形成された放熱部材35が配置されている。この放熱部材35には、熱伝導性の良い金属を導体とした、放熱用ケーブル36が半田付けや接着剤等で機械的に接続されている。
CCD保護枠34内部には、封止樹脂が充填され、熱収縮性のあるチューブ37にてCCD18周辺は封止される。放熱用ケーブル36は、熱容量の大きい部材、例えば挿入部7の先端部11に半田付けされている。信号ケーブル21は、複数の同軸線と複数の単線とをより合わせた上に、フッ素樹脂製のテープを巻き、その上に、一括シールドとして銅線が巻きつけられ、さらにその上にフッ素樹脂製のテープが巻かれて、その上にテフロン(R)系のシースで覆われている。
挿入部7の先端部11は、図3に示されるように、先端レンズの外径がφ2.8mmである対物レンズ系17を含む撮像ユニット19と、チャンネル先端開口26と、対物レンズ系17の外表面に送水、送気して付着した汚物を除去する送気送水ノズル39と、光源装置3に接続されたライトガイド14により伝送(導光)された光により被写体を照明するための照明レンズ16a、16bとが配設されている。
撮像ユニット19は、被写体を撮像し、モニタ5に表示したときのモニタ5上の上下方向が、図3に示す挿入部7の先端部11の上下方向と一致するように、先端部11に取り付けられている。また、本実施例におけるチャンネルチューブ25aは、例えばテフロン(R)製の内径2.8mmのチューブを用いている。
図4に示すように、対物レンズ系17の光軸Oと、(チャンネルチューブ25aの先端が接続された)先端開口26は、平行に配置されており、本実施例においては、対物レンズ系17の中心(光軸O)と先端開口26の中心軸の距離Dは、6mmに設定している。この先端開口26の半径Rの2倍は、チャンネルチューブ25aの内径と同じ2.8mmである。
図1に示すように光源装置3は、ランプ40を有し、このランプ40の照明光は、絞り駆動部41により駆動される絞り42の開口により透過光量が調整された後、集光レンズ43を経てライトガイドコネクタ15におけるライトガイド14の入射端面に入射される。そして、上述のようにライトガイド14の先端からさらに照明レンズ16a、16bを経て被写体側に照明光が出射される。
なお、ライトガイド14は、挿入部7内において、2本に分岐され、図3に示すように先端部11では2箇所に配置された照明レンズ16a、16bから照明光がそれぞれ出射される。
図1に示すように画像処理装置4には、CCD18からの画像信号が入力されるCDS回路44を有し、このCDS回路44により信号成分が抽出された後、A/D変換器45によりデジタル信号に変換される。
このA/D変換器45により変換されたデジタルの画像信号は、輝度信号と色信号からなる映像信号を生成する信号変換部46に入力される。この信号変換部46により、生成された映像信号は、γ補正等、様々なの画像処理を行う画像処理部47に入力される。この画像処理部47の出力信号はD/A変換器48に入力され、アナログのHDTV方式に対応した映像信号に変換された後、モニタ5に出力される。
また、信号変換部46からの輝度信号は、調光信号を生成する自動調光部49に入力され、この自動調光部49により自動調光信号が生成される。この自動調光信号は、光源装置3の絞り駆動部41に入力され、絞り42の開口量を自動調整する。
この自動調光部49は、例えば処置具の反射光量や色によって、処置具が撮像ユニット19の視野内に入ったこと(換言するとCCD18の受光面上に処置具の画像が結像されること)を検出する処置具検出部49aを内蔵している。
また、この自動調光部49は、この処置具検出部49aの出力信号は、調光するための輝度を検出する輝度検出部49bと、この輝度検出部49bからの出力信号から自動調光信号を生成する調光信号生成部49cとを有する。
上記輝度検出部49bは、処置具検出部49aにて処置具を検出した場合には、処置具の像が結像される領域付近におけるピーク輝度(光量)や、この領域付近での平均輝度(光量)を検出する。
また、この輝度検出部49bは、処置具検出部49aにて処置具が検出されない場合には、画面全体でのピーク輝度や平均輝度を検出する。
また調光信号生成部49cは、輝度検出部49bからのピーク輝度や平均輝度の信号により適正な明るさの信号が得られるように光源装置3の照明光量を調整する自動調光信号を生成し、光源装置3の絞り駆動部41に出力する。
本実施例の電子内視鏡2は、上述したレンズデータに示す単焦点の対物レンズ系17及びCCD18による撮像ユニット19により、従来例における50μm程度のピッチの白黒を識別可能な解像力よりも高い35μmピッチの白黒を識別可能とする解像力を確保する(条件を満たす)と共に、従来例と同等の遠景側を観察するのに必要とされる解像力を確保していることを特徴とする。
そして、撮像ユニット19のCCD18は、このような解像力に対応した画像信号を出力するため、その画像信号に対して標準的な映像信号を生成する信号処理を行い、モニタ5の表示面に表示した場合には、その表示画像により、35μmピッチの白黒を識別することが可能となる。
なお、遠景側を観察するのに必要とされる解像力は、撮像ユニット19から例えば50mm程度離れた位置において0.5mmピッチの白黒を識別することが可能とされる解像力であり、この解像力を遠景用解像力ともいう。また、上記35μmピッチの白黒を識別可能とする解像力を近接側詳細解像力ともいう。
また、本実施例では、チャンネル25内に挿通した処置具28の先端側を先端開口26から突出した場合、上記35μmピッチの白黒を識別可能とする解像力が得られる物体距離において、処置具28の先端側が撮像ユニット19の視野内に入る、換言するとCCD18の受光面に処置具28の先端側の像が結像されるようにしている。
このような構成による本実施例の作用を以下に説明する。
図1に示すように電子内視鏡2のライトガイドコネクタ15を光源装置3に接続し、また信号コネクタ22を画像処理装置4に接続する。また、この画像処理装置4の映像出力単にモニタ5のケーブルを接続して、内視鏡検査を行える状態にする。
そして、図示しない電源スイッチをONにして、光源装置3からの照明光をライトガイド14に供給し、ライトガイド14を介して照明光を照明レンズ16a、16bから出射し、撮像ユニット19により撮像する被写体を照明できる状態にする。また、撮像ユニット19のCCD18により撮像した画像が、画像処理装置4を介してモニタ5に表示される状態になる。
次に、電子内視鏡2の挿入部7を患者の体腔内に挿入し、挿入部7の先端部11を体腔内における患部等の内視鏡検査を行おうとする部位の被写体を観察できる状態にする。
この場合、先端部11に設けた撮像ユニット19における対物レンズ系17は、被写体をCCD18の受光面上に結像する。CCD18の受光面上に結像された像は、光電変換されて画像信号に変換される。この画像信号は、信号ケーブル21、信号コネクタ22を介して、画像処理装置4のCDS回路44に入力される。この画像信号には、信号成分以外のリセットノイズ等を含む波形であり、CDS回路44により、信号成分が抽出されたベースバンドの信号になる。
このCDS回路44の出力信号は、A/D変換器45に入力され、A/D変換器45は、アナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された画像信号は、信号変換部46により映像信号に変換される。
この場合、本実施例ではCCD18として補色のモザイクカラーフィルタを採用しているので、この信号変換部46は、例えば隣接する4種類のカラーフィルタの画素の信号出力から平均をとった輝度信号や、各色の画素信号出力の差分により得られる色差信号といった映像信号に変換される。
この映像信号は、画像処理部47によりモニタ表示に適切なコントラスト調整や色調整、表示サイズ調整等が行なわれる。
その後、D/A変換器48によりモニタ5に表示可能なアナログのHDTV方式に対応した映像信号に変換される。モニタ5は、入力されるHDTV方式の映像信号に対応したCCD18による撮像された被写体の画像をモニタ画面5aに表示する。
次に、図6を参照して撮像ユニット19により白黒ペアの帯が35μmピッチの被写体等を撮像したときの作用について説明する。
図6は本実施例の電子内視鏡2の挿入部7を体腔内に挿入し、先端部11に設けた撮像ユニット19により、体腔内の処置対象部位側を撮像すると共に、処置具28を先端開口26から突出させて処置を行う場合の概略図を示す。
この場合、処置がし易い条件としては、遠景の部分に対しても適度の解像力で撮像(観察)でき、しかも処置対象とする患部等に対しては、詳細に観察できることが望まれると共に、先端開口26から突出される処置具28の先端側も詳細に観察できることが望まれる。
本実施例においては、以下のようにしてこれらを満たすようにしている。まず、説明をより明確にするために以下のように輝度コントラストGを定義する。
同じ幅の白と黒の帯(ストライブ)の被写体を対物レンズ系17により、CCD18受光面上に結像させた際に、前記白の被写体による輝度の最大値をGmax、前記黒の被写体による輝度の最小値をGminとし、輝度コントラストG=(Gmax−Gmin)/(Gmax+Gmin)と定義する。
このように輝度コントラストGを定義した場合、前記のように構成された撮像ユニット19では、最高の解像力が得られる物体距離4.2mmの時に、白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像した際、CCD受光面上に結像された白の帯と黒の帯の輝度コントラストGは、14.5%となる。
上記対物レンズ系17によってCCD18の受光面上に結像したピッチ35μmの白黒ペアの帯の被写体の像は、白帯が結像された画素から出力される画像信号と、黒帯が結像された画素から出力される画像信号の差は、略14.5%となる。
前記画像信号は、CDS回路44、A/D変換器45、信号変換部46を介して、画像処理部47に入力され、例えば、モニタ5に適したガンマ処理やノイズを除去するローパスフィルタ処理等が施される。
そして、前記白の被写体により得られた輝度信号の最大値をImax、前記黒の被写体により得られた輝度信号の最小値をIminとし、コントラストIをI=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義した場合、(上記白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像した際には)コントラストIが10%以上になるように出力される。以上により、撮像ユニット19で撮像された35μmピッチの白黒ペアの帯は、モニタ5上で白黒ペアの帯として視認可能となる。
図6においては、最高の解像力が得られる物体距離4.2mmをd1として、その位置に35μmピッチの白黒ペアの帯(ストライプ)S1を配置した場合には、CCD18により光電変換され、例えば信号変換部46から出力される映像信号を形成する輝度信号におけるコントラストIが上記のように10%以上になることにより、35μmピッチの白黒ペアの帯をモニタ5上で視認できることになる。
また、上記35μmピッチの白黒ペアの帯をモニタ5上で視認できる状態において、物体距離50mmの位置に白黒ペアの帯が0.5mmの被写体を置いて、この撮像ユニット19にて撮像した場合、CCD受光面上に結像された白の帯と黒の帯の輝度コントラストGは、25%となる。
同様にCCD18の受光面上に結像されたピッチ0.5mmの白黒ペアの帯の被写体の像は、光電変換されて白帯が結像された画素から出力される画像信号と、黒帯が結像された画素から出力される画像信号との差は略25%となり、画像処理装置4により白帯と黒帯のコントラストIが10%以上となるようにしてモニタ5に出力される。以上により、撮像ユニット19により撮像された距離50mmに配置した0.5mmピッチの白黒ペアの帯は、モニタ5上で白黒ペアの帯として視認可能となる。
図6においては、物体距離d2として50mmの位置に0.5mmピッチの白黒ペアの帯(ストライプ)S2を配置した様子を示し、この場合にも信号変換部46の輝度信号には、白と黒とのコントラストIが10%以上となり、モニタ5上では白黒ペアの帯を視認することができる。
次に、チャンネル25に処置具を挿入して処置する場合について説明する。操作者は、操作部8付近に設けられた処置具挿入口27に、使用する処置具を挿入する。処置具挿入口27から挿入された処置具は、挿入部7内のチャンネルチューブ25aのチャンネル25内を通り、挿入部7の先端部11に誘導される。操作者が更にその処置具28を深部側に挿入すると、先端部11のチャンネル先端開口26より処置具28の先端が突出する。 突出した処置具28が撮像ユニット19によって撮像されるために必要な条件は、挿入部7の先端部11の先端面からの処置具28の最小の突出量Hminとして、図5に示すように、処置具28が最も撮像ユニット19側にシフトしている場合、撮像ユニット19の先端レンズ面での光線高Lh=1.2mm、先端開口26の半径R=1.4mm、撮像ユニット19の画角θ=138°、撮像ユニット19の光軸Oと先端開口26の中心との距離D=6mmとから、以下の式1に示すように導出される。
Hmin=(D−Lh−R)×tan(90°−θ/2)= 1.38mm (式1)
一方、処置具28が最も撮像ユニット19より離れた方向に位置した場合に、処置具28が突出されて、処置具28の先端全体が撮像ユニット19によって撮像されるために必要な条件は、挿入部7の先端部11の先端面からの処置具28の突出量Hallとして、式2に示すように導出される。
Hall=(D−Lh+R)×tan(90°−θ/2)= 2.45mm (式2)
式1,式2に示されるように、処置具28は、先端部11の先端面からの突出量が1.38mm以上から撮像ユニット19の視野内に入り始め、2.45mm突出された時に、処置具28の先端のほぼ全体が視野内に入る。
以上により、本実施例における撮像ユニット19の最高解像力が得られる物体距離4.2mmにおいては、処置具28の先端側は、確実に撮像ユニット19の視野内に入り、モニタ4上でも視認可能となる。
図6においても、チャンネルの先端開口26から処置具28を突出した様子を示し、撮像ユニット19の視野内に処置具28の先端が入った後、さらに前方に突出させることにより処置具28の先端は最大解像力の物体距離の状態になる。
このため、処置具28により処置を行おうとする患部等の被写体を高詳細に観察できると共に、その付近に突出された処置具28の先端の状態も高詳細に観察でき、処置がし易い。またこの状態においても、遠景側に対しては遠景用解像力を確保できているので、処置しようとする部位の周囲の広範囲の状態の把握もでき、処置をより円滑に行うことができる。
次に、自動調光の機能について説明する。
自動調光部49は、処置具28が撮像ユニット19の視野内に入っていない場合は、輝度検出部49bにより、画面全体の明るさ(具体的にはピーク輝度或いは平均輝度)を検知し、調光信号発生部49cに出力する。この調光信号発生部49cは、画面が暗いときは光源装置3に増光するように制御信号、具体的には自動調光信号を出力する。また、画面が明るすぎる場合は減光するように光源装置3を制御する制御信号としての自動調光信号を出力する。
この自動調光信号により、光源装置3内の絞り駆動部41は、絞り42を駆動し、ランプ40から絞り42を経てライトガイド14の後端に入射される照明光量を調整する。 次に撮像ユニット19による内視鏡検査により、患部等の被写体に対して治療のための組織採取や病変部の切除するために処置具28が使用された場合における自動調光の作用について説明する。
処置具28をチャンネル25に挿入して処置具28を挿入部7の先端部11の先端開口26を経てその先端面から突出させることにより、撮像ユニット19の視野内に処置具が入ることになる。
この場合は、例えば処置具28の色や、処置具28の反射光等から、処置具検出部49aは処置具28が視野内に入ったことを検知し、前記処置具28を中心とした一定の領域のピーク輝度や平均輝度による明るさを検知する。前記処置具28付近の明るさが明るすぎる場合は光源装置3を減光し、暗すぎる場合は光源装置3を増光するよう、調光信号発生部49cは制御信号としての自動調光信号を出力する。
そして、自動調光信号により、光源装置3内の絞り駆動部41は、絞り42を駆動し、ランプ40から絞り42を経てライトガイド14の後端に入射される照明光量を調整する。この自動調光信号により、処置具28が撮像ユニット19における視野内に入る領域付近の明るさを観察に適した明るさとなるように自動調光できる。
次に、撮像ユニット19に配置した放熱部材35、並びに放熱用ケーブル36の作用について説明する。
CCD18を駆動すると、CCDチップ18aや、電流アンプ等のCCD駆動用部品18cが発熱する。一般に、画素数が多くなるほど駆動周波数が高くなり、消費電力も増えCCDは発熱する。放熱部材35は、CCDチップ18a及びCCD基板18bに隣接して配置されているため、CCD18の熱は放熱部材35に伝導し、その後放熱用ケーブル36に伝導する。さらに放熱用ケーブル36が接続されている挿入部7の先端部材に熱が伝わり、CCD18で発生する熱は放熱され、CCDチップ18aの極度の発熱を防ぐことができる。
また、信号ケーブル21は、一括シールドとシースの間にテープが巻かれているため、例えば信号ケーブル21に捻れの機械的ストレスがかかった際に、シースの捻れと一括シールドとのねじれ方の違いによる一括シールドとシース間での摩擦や、シースによる一括シールドへの引張り力が、一括シールドとシース間のテープにより緩和されるために、捻れ耐性がアップするといった効果がある。
本実施例は以下の効果を有する。
本実施例では、撮像ユニット19を構成する対物光学系として単焦点光学系を採用しているために、変倍光学系や可変焦点光学系と比較して簡単な構造にできる。
従来の電子内視鏡で用いられていた単焦点光学系を採用した撮像ユニットの解像力が50μm程度の白黒ペアの帯の被写体を認識できるレベルであったのに対して、前述のように、本実施例における撮像ユニット19によれば、より高解像となる35μmの白黒ペアの帯の被写体を認識することができるようになる。
また、前記撮像ユニット19の前記最高解像力が得られる距離において、チャンネル25の先端開口26から突出される処置具28の先端側が、モニタ5上で視認可能であるため、従来のズーム光学系を用いた内視鏡では非常に行いにくい詳細観察をしながら処置を行うような作業が可能となる。例えば、大腸のピットパターンといったような被写体の詳細な観察を行ないながら、処置具28による処置を行なうことが可能であるという効果が得られる。
また、最高解像力が得られる距離が4.2mm程度であるため、本実施例においては、その距離よりもかなり手前の物体距離において、処置具28の先端側を視野内に入れることができ、さらに前方側に突出させることにより最高解像力が得られる距離に達する状態になる。従って、本実施例では、最高解像力が得られる距離においては処置具28の先端側を視野内に十分に入れることができ、処置具28の操作が比較的容易になるといった効果も得られる。
さらに、物体距離50mmにおいても、従来の内視鏡と同等の白黒ペアの帯が0.5mmの被写体をモニタ5上で視認可能であるため、遠景から近景まで、煩雑な操作を必要とせずに観察可能となる。
さらに、処置具28が挿入されてその先端がモニタ5に表示される状態になると、処置具28付近の明るさが最適となるように光源装置3による照明光量を制御する為、処置しがしやすくなる。
ここで、本実施例では、CCD18の画素ピッチを2.5μm、有効画素数を81万画素とし、撮像ユニット19の最大画角を138°、最高の解像力が得られる距離を4.2mmとし、撮像ユニット19の光軸Oと先端開口26中心との距離を6mmとしたが、これに限ったものではない。
例えば、白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像したときに、前記白の被写体を撮像した画素から得られる出力信号と、前記黒の被写体を撮像した画素から得られる出力信号の差が10%以上となるように、画素ピッチ、有効画素数、最大画角等を変更し、かつ、前記35μmの被写体を撮像したときに出力信号の差が10%以上となる物体距離において、処置具が観察可能となるように、最大画角、及び撮像ユニット19の光軸Oと先端開口26中心との距離を変更しても、ほぼ同様の効果が得られる。
また、上述の説明ではCCD18の有効画素数は、81万画素としたが、モザイクカラーフィルタ方式の場合には、85万画素程度でも同様の効果が得られ、この場合には最高の解像力が得られる距離をさらに大きくすることができるという効果が得られる。
一方、85万画素より大きい画素の場合には、実用的な被写界深度を得ることができず、最高解像力を得ようとすると遠点の深度が足りなくなり、遠点の深度を確保すると最高の解像力が白黒ペアの帯のピッチが40μm以上になってしまう。
また、本実施例では、補色のモザイクフィルタ方式のカラーCCDを用いて説明したが、これに限ったものではなく、電子内視鏡では、照明光として切替式等の三原色の光を用い、順次照射した三原色の光と同期してモノクロ(白黒)のCCDにて被写体像を取り込んで画像処理装置にてカラー化する方式が用いられる場合があるが、この方式においても上記条件を満たすことで、同様の効果を得ることができる。
この方式の場合、有効画素数35万画素程度のCCD出力信号としてR信号、G信号、B信号を得ることができ、輝度信号を生成せずにモニタ5に出力することも可能であるが、この場合には、最も輝度の高いG信号を輝度信号とみなせば良い。
画角は、周囲の観察性を考慮した一般的な内視鏡で用いられる100°以上の画角が好ましく、画角がより広い方が、処置具検出距離が短くなるといった効果がある。
また、本実施例の画像処理装置4及び、モニタ5は、HDTV方式の映像信号に対応したもので説明したが、これに限ったものではなく、例えばSVGAやXGAといった高解像のモニタに対応した表示方式を用いても良い。
さらに、本実施例の撮像ユニット19では、CCD18の熱を放熱する手段として放熱部材35と放熱用ケーブル36により挿入部7の先端部材への放熱を開示しているが、放熱部材35に放熱用ケーブル36を設けず、放熱部材に対向する部分に挿入部7の先端部材の熱伝導性の良い部分を近接させ、熱伝導性の良い封止樹脂等を介して、放熱する構造でも良い。
また、放熱用ケーブル36として、信号ケーブル21の一部を用いても良い。例えば信号ケーブル21内に、駆動に使用しないダミーケーブルを設けても良いし、信号ケーブル21の電磁遮蔽を目的とした外部シールドを用いても良い。また、放熱部材35を設けずに、放熱用ケーブル36の導体部分をCCDチップ18a付近に導電性の良い封止樹脂にて固定することでも、同様の放熱効果が得られる。
また、CCDチップ18a内部の出力段を、外部アンプとしてCCD基板18b上に配置し、CCDチップ18aの消費電力を、外部基板上の部品に配分することにより、CCDチップ18aの発熱を押さえることも有効である。
次に本発明の実施例2を図7ないし図10を参照して説明する。図7は、実施例2の電子内視鏡における挿入部の先端部11の先端面を正面から見た正面図、図8は図7におけるB−B線断面図、9は処置具を先端部から突出させたときのモニタ表示映像を示し、図10は変形例における表示エリアの例を示す。
本実施例は、基本的な構成は、実施例1と同じであり、CCDの有効画素数及び対物レンズ系と、撮像ユニットと処置具チャンネルの位置関係が異なる。以下、相違点に重点をおいて説明する。
本実施例は、以下の構成である。
本実施例における電子内視鏡の先端部11には、図7或いは図8に示す対物レンズ系72及びCCD73を備えた撮像ユニット19Bが採用されている。
このCCD73は、画素ピッチ3.3μmでモニタ表示に有効な画素数は40万画素、CCD受光面上の最大像高は約1.29mmのものが採用されている。
また、撮像ユニット19Bは、最大画角160°の単焦点光学系の対物レンズ系72は、最前面にメニスカス形状をしたレンズが配置され、光の回折限界を超えないようにFno9.18となるように設定されている。また、物体距離2.95mm時に最高の解像力が得られるようにピント調整が行なわれている。
本実施例で用いられている対物レンズ系72のレンズデータを、以下に示す。
Fl=1.13723mm
面No. Ra Da Ne Vd
1 8.200 0.35 1.88815 40.8
2 0.910 0.66
3 ∞ 0.40 1.52498 59.9
4 ∞ 0.28
5 6.994 1.91 1.77621 49.6
6 −2.210 0.03
7 ∞(絞り) 0.03
8 ∞ 0.60 1.51965 75.0
9 ∞ 1.01
10 3.288 1.35 1.73234 54.7
11 −1.630 0.35 1.93429 18.9
12 −5.110 0.53
13 ∞ 0.03
14 ∞ 1.00 1.51825 64.1
15 ∞ 0.01 1.51193 63.0
16 ∞ 1.00 1.61379 50.2
17 ∞ 0.00
挿入部の先端部11は、図7に示すように、先端レンズの外径がφ2.8mmで、形状がメニスカスである対物レンズ系72を含む撮像ユニット19Bと、チャンネル先端開口26Bと、対物レンズ系72先端表面に送水、送気して付着した汚物を除去する送気送水ノズル39と、光源装置4に接続された図示しないライトガイドを通過した光により被写体を照明するための照明レンズ16a、16bが配設されている。
撮像ユニット19Bは、被写体を撮像しモニタ5に表示したときのモニタ5上の上下方向が、図7に示す挿入部先端の上下方向と一致するように、挿入部先端に取り付けられている。内径φ2.8mmの処置具チャンネル25は、撮像ユニット19Bに対し、水平方向から若干ずれた左斜め下方向に配置されており、図7に示すように、先端部11の上下方向をY軸、左右方向をX軸とすると、処置具チャンネル25の中心軸と、撮像ユニット19Bの光軸Oを結ぶ直線は、前記X軸に対しαの角度を成している。
図8に示すように、対物レンズ系72の光軸Oと、先端開口26Bは平行に配置されており、本実施例においては、対物レンズ系72の中心(光軸O)と先端開口26Bの中心軸の距離Dは、6mmとしている。
次に本実施例の作用を説明する。
まず、撮像ユニット19Bにより白黒ペアの帯が35μmピッチの被写体を撮像したときの作用について説明する。
前記のように構成された撮像ユニット19Bでは、最高の解像力が得られる物体距離2.95mmの時に、白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像した際、CCD受光面上に結像された白の帯と、黒の帯のコントラストGは、11.5%となる。
前記対物レンズ系72によってCCD73の受光面上に結像されたピッチ35μmの白黒ペアの帯の被写体の像は、光電変換される。そして、白帯が結像された画素から出力される画像信号と、黒帯が結像された画素から出力される画像信号の差は、略11.5%となる。
この画像信号は、CDS回路44、A/D変換器45、信号変換部46を介して、画像処理部47に入力され、例えば、モニタに適したガンマ処理や、電気的なマスク処理等が施され、白帯と黒帯のコントラストIが、10%以上になるようにしてモニタ5に出力される。
以上により、撮像ユニット19Bで撮像された35μmピッチの白黒ペアの帯は、モニタ上で白黒ペアの帯として視認可能となる。
また、物体距離50mmの位置に白黒ペアの帯が0.5mmの被写体を置いて、本実施例における撮像ユニット19Bにて撮像した場合は、CCD73受光面上に結像された白の帯と、黒の帯のコントラストGは、19.3%となる。
同様にCCD73の受光面に結像されたピッチ0.5mmの白黒ペアの帯の被写体は、光電変換されて、白帯が結像された画素から出力される画像信号と、黒帯が結像された画素から出力される画像信号の差は、略19.3%となり、画像処理装置4により白帯と黒帯のコントラストIが10%以上となるようにしてモニタ5に出力される。
以上により、撮像ユニット19Bで撮像された距離50mmに配置された0.5mmピッチの白黒ペアの帯は、モニタ5上で白黒の帯として視認可能となる。
前記電気的なマスク処理は、モニタ5の表示画面内に、図9に示すように縦横比が1:1.2の八角形の表示エリア5bを作成し、この八角形の表示エリア5b内に撮像ユニット19Bで撮像した被写体を表示させる。
前記電気的なマスク処理によって得られた表示エリア5b上の画角は、図9で示すような横長の表示エリアの場合、対角方向のP点が最も大きい画角(θmax)となる。対物レンズ系72の画角160°が前記最大画角θmaxと一致するように、マスク処理は施されている。一方、マスク処理により、モニタ画面上で最も画角が狭くなるのは上下方向で、ついで左右方向の画角が狭くなる。
また、前記最大対角となるP点は、P点と画面中心を結んだ直線と、モニタ画面上の水平方向とから成す角度がαとなるように設定されており、さらに、撮像ユニット19Bは、図7に示すように挿入部の先端部11のX軸方向とモニタ水平方向が一致するように配置されている為、X軸に対し角度αの位置に配置されている処置具チャンネル25の先端開口26Bから突出させた処置具28は、図9に示すように、モニタ5上の概略で言うと水平方向、より厳密に言うと水平方向より少し下側となる左下のP点付近より表示エリア5b内に表示される。
本実施例における、挿入部の先端部11の先端開口26Bより突出させた処置具28が、撮像ユニット19Bによって撮像されるために必要な条件は、先端部11の先端面からの処置具28の最小の突出量Hminとして、処置具28が最も撮像ユニット19B側にシフトしている場合、撮像ユニット19Bの先端レンズ面での光線高Lh=1.31mm、先端開口26Bの半径R=2.8mm、撮像ユニット19Bの画角θ=160°、撮像ユニット19Bの光軸Oとチャンネル25との距離D=6mmとから、式3に示すように導出される。
Hmin=(D−Lh−R)×tan(90°−θ/2)=0.58mm (式3)
一方、処置具28が最も撮像ユニット19Bより離れた方向に位置して場合に、処置具28が突出されて、処置具28の先端全体が撮像ユニット19Bによって撮像されるために必要な条件は、先端部11の先端面からの処置具28の突出量Hallとして、式4に示すように導出される。
Hall=(D−Lh+R)×tan(90°−θ/2)=1.07mm (式4)
式3,式4に示されるように、処置具28は、先端部11の先端面からの突出量が0.58mm以上から撮像ユニット19Bの視野内に入り始め、1.07mmより突出された時に、処置具28の先端のほぼ全体が視野内に入る。
以上から、本実施例における撮像ユニット19Bの最高解像力が得られる2.95mmにおいては、処置具28の先端側は撮像ユニット19Bの視野内に入り、モニタ5上でも視認可能となる。
本実施例は、以下の効果を有する。
本実施例は、撮像ユニット19Bを構成する対物光学系として単焦点光学系を採用しているために、変倍光学系や可変焦点光学系と比較して簡単な構造で実現できる。
本実施例は、最高解像力が得られる距離が2.95mmと近い為、モニタ上の表示倍率が大きくなる為、被写体が観察しやすくなる。
ここで、本実施例では、CCD73の画素ピッチを3.3μm、有効画素数を40万画素とし、撮像ユニット19Bの最大画角を160°、最高の解像力が得られる距離を2.95mmとし、撮像ユニット19Bの光軸Oと先端開口26中心との距離を6mmとしたが、これに限ったものではない。
例えば、白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像したときに、前記白の被写体を撮像した画素から得られる出力信号と、前記黒の被写体を撮像した画素から得られる出力信号の差が10%以上となるように、画素ピッチ、有効画素数、最大画角等を変更し、かつ、前記35μmの被写体を撮像したときに出力信号の差が10%以上となる物体距離において、処置具が観察可能となるように、最大画角、及び撮像ユニット19の光軸Oと先端開口26中心との距離を変更しても、ほぼ同様の効果が得られる。
また、本実施例では、有効画素数を40万画素としたが、モザイクカラーフィルタ方式の場合では25万画素程度でも同様の効果が得られ、この場合は、最高の解像力が得られる距離をさらに大きくし、モニタ5上の表示倍率を大きくすることができるという効果が得られる。一方、25万画素未満の画素数では、最高の解像力が得られる距離が2mm前後となり、処置性が低下する可能性がある。
また、本実施例でも、照明光として切替式等の三原色の光を用い、順次照射した三原色の光と同期してモノクロ(白黒)のCCDにて被写体を取り込んで画像処理装置にてカラー化する方式を採用することができ、この場合、有効画素数10万画素程度のCCDを用いた場合に、モザイクフィルタ方式の25万画素と同等の効果が得られる。
なお、本実施例においては、図9に示すようにモニタ画面5aの表示エリア5bとして、垂直方向(縦方向)よりも水平方向の表示サイズが長くした横長で八角形としていたが、図10に示す変形例の表示エリア5bのように水平方向により広くなるように円形にマスク処理し、縦方向にはマスク処理しないような場合にも、適用することができる。つまり、このような場合にも、表示エリアサイズ(表示エリア)の広い概略水平方向から突出された処置具の先端が表示エリア5b内に現れるようにしても良い。
また、より一般的に、表示エリアにおける表示エリアが広い(或いは大きい)方向に対応するように先端開口を配置することにより、この先端開口から突出された処置具28が表示エリアが広い方向に表示されるようにしても良い。
なお、表示エリアが広い方向とは、観察画像の視野方向に制限が与えられている場合における制限の少ない(視野が広い)方向であり、例えばモニタ上の略垂直方向に対応して観察画像の視野に制限が与えられている場合には、略水平方向に近い方向に対応するようにチャンネルの先端開口が配置されていれば良い。
また、本実施例の画像処理装置4及び、モニタ5は、HDTV方式の映像信号に対応したもので説明したが、これに限ったものではなく、例えば、NTSC方式や、PAL方式といった映像信号に対応したものでも良い。また、VGA方式や、SVGA方式のものを用いても良い。
なお、上述した実施例等を部分的に変形したり、組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
[付記]
1.処置具を挿通するチャンネルと、被写体の光学像を結ぶ単焦点の対物光学系と、前記対物光学系の結像する位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とを挿入部に有する電子内視鏡において、
同じ幅の白と黒の帯の被写体を、前記対物光学系を介して撮像し、得られる画像信号から輝度信号を生成した場合における前記白の被写体に対する輝度信号の最大値をImax、前記黒の被写体に対する輝度信号の最小値をIminとし、コントラストIをI=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義した際に、
挿入部の先端からの距離が50mmの位置における白黒ペアの帯のピッチが0.5mmの被写体を撮像した際に上記によって定義されるコントラストIが10%以上となるような画像信号を出力し、
前記白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像した際に、上記によって定義されるコントラストIが10%以上となるような画像信号を出力することを特徴とする電子内視鏡。
2.付記1において、前記白黒ペアの帯のピッチが35μmの被写体を撮像した際に、前記コントラストIが10%以上となる条件を満たす物体距離以下の距離において、前記チャンネルに挿通してその先端開口から突出した処置具の先端側を前記固体撮像素子の受光面に結像可能とする。
3.細長の挿入部内に処置具を挿通するチャンネルを有し、前記挿入部の先端部に被写体の光学像を結ぶ単焦点の対物光学系と、前記対物光学系の結像する位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子とからなる撮像装置を有する電子内視鏡において、
同じ幅の白と黒の被写体を、前記対物光学系を介して前記固体撮像素子の受光面に結像し、前記固体撮像素子の出力信号に対する標準的な映像信号における輝度情報として、前記白の被写体に対する輝度情報の最大値をImax、前記黒の被写体に対する輝度情報の最小値をIminとし、コントラストIをI=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義した際に、
前記撮像装置における最も解像力が高い距離近傍に白黒ペアのピッチが35μmの被写体を配置して撮像した際に、コントラストIが10%以上となる第1の条件を満たすと共に、
前記先端部からの距離が50mmの位置に配置した白黒ペアのピッチが0.5mmの被写体に対しても前記コントラストIが10%以上となる第2の条件とを同時に満たす撮像装置を具備したことを特徴とする電子内視鏡。
4.付記3において、前記チャンネル内に挿通した処置具の先端側を前記先端部において開口するチャンネル先端開口から突出した場合、前記処置具の先端側の像を前記固体撮像素子の受光面に結像する。
体腔内に挿入部を挿入して患部等の被写体を高精細に観察できる状態で撮像することができると共に、遠景側に対しても必要とされる解像力を確保できるようにしているので、チャンネル内に挿通した処置具の先端側をチャンネルの先端開口から突出させて治療のための処置を行うことを円滑に行うことができる。
本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの概略の構成を示す構成図。 実施例1の電子内視鏡における撮像ユニットの断面図。 実施例1における挿入部の先端部の先端面を正面から見た外観図。 図3におけるA−A線の概略断面図。 図4において、チャンネル内に挿通した処置具を先端開口から突出させた状態等を示す概略断面図。 実施例1の概略作用の説明図。 本発明の実施例2における挿入部の先端部の先端面を正面から見た外観図。 図7におけるB−B線の概略断面図。 実施例2におけるチャンネル内に挿通した処置具を先端部から突出させたときのモニタ表示映像を示す図。 変形例における内視鏡の表示エリアを示す図。 従来の内視鏡対物変倍光学系を示すレンズ構成図である。
符号の説明
1…内視鏡システム
2…電子内視鏡
3…光源装置
4…画像処理装置
5…モニタ
7…挿入部
8…操作部
9…ケーブル部
11…先端部
12…湾曲部
14…ライトガイド
15…ライトガイドコネクタ
16a、16b…照明レンズ
17…対物レンズ系
18…CCD
19…撮像ユニット
21…信号ケーブル
22…信号コネクタ
25…チャンネル
26…チャンネル先端開口
27…処置具挿入口
28…処置具
31…レンズ枠
33…CCD枠
35…放熱部材
40…ランプ
41…絞り駆動部
42…絞り
44…CDS回路
45…A/D変換器
46…信号変換部
47…画像処理部
48…D/A変換器
49…自動調光部
49a…処置具検出部
49b…輝度検出部
49c…調光信号生成部
代理人 弁理士 伊藤 進

Claims (6)

  1. 被写体の光学像を結ぶ単焦点の対物光学系と、前記対物光学系の結像する位置に受光面が配置され、この受光面に結像された光学像を光電変換する固体撮像素子と、を有する撮像ユニットと、
    挿通された処置具を前記対物光学系と略平行に進退可能とする処置具挿通チャンネルと、
    を具備し、
    前記撮像ユニットは、
    同じ幅の白と黒の帯の被写体を、前記対物光学系を介して撮像し、得られる画像信号から輝度信号を生成した場合における前記白の被写体に対する輝度信号の最大値をImax、前記黒の被写体に対する輝度信号の最小値をIminとし、コントラストIを
    I=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)と定義した際に、
    前記対物光学系の先端レンズ面の先端からの距離が50mmの位置において、0.5mmピッチの白黒ペアの帯の被写体を、上記コントラストIが10%以上となる解像力で識別可能であるとともに、
    前記対物光学系の先端レンズ面の先端からの距離が所定の距離の位置において、35μmピッチの白黒ペアの帯の被写体を、上記コントラストIが10%以上となる解像力で識別可能であるという条件のもとに、
    前記所定の距離をdとした際、
    前記対物光学系の先端レンズ面での光線高をLh、当該先端レンズ面と略同一平面の前記チャンネルの先端開口面の半径をR、前記対物光学系の光軸と前記先端開口の中心との距離をD、前記対物光学系による前記固体撮像素子に結像可能な画角をθとし、前記チャンネルの先端開口面から前記処置具が突出した際の前記チャンネルの先端開口面から当該処置具先端までの突出量であって前記撮像ユニットの視野内に入る最小限の突出量をHallとした場合、
    Hall=(D−Lh+R)×tan(90°−θ/2)≦d
    を満たすことを特徴とする電子内視鏡。
  2. 前記撮像ユニットの視野角は、100°以上で、前記固体撮像素子は、モニタ表示に有効な画素数が25万画素以上、85万画素以下のモザイクカラーフィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡。
  3. 前記撮像ユニットの視野角は、100°以上で、前記固体撮像素子は、モニタ表示に有効な画素数が10万画素以上、35万画素以下の白黒の固体撮像素子を有することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡。
  4. 請求項1−3のいずれか一項に記載の電子内視鏡と、
    前記固体撮像素子からの画像信号をモニタに表示するための映像信号に変換する画像処理装置と、
    を具備したことを特徴とする電子内視鏡システム。
  5. 前記チャンネルの先端開口は、前記モニタ上における前記固体撮像素子により撮像された光学像を表示する表示エリアにおける表示エリアの広い方向に対応するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡システム。
  6. さらに前記被写体を照明する照明光を発生する照明光発生手段を備え、
    前記照明光発生手段は、
    前記処置具が前記モニタ上に表示されることを検出する処置具検出手段と、
    前記処置具付近の輝度を検出する輝度検出手段と、
    前記処置具付近の明るさを適正な明るさとなるよう照明光を制御する制御手段と、
    を具備したことを特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡システム。
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