JP4377429B2 - 弾性支承体およびそれを使用した弾性支承装置 - Google Patents
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Description
前記の弾性支承体36は、弾性支承体36の外側にせん断変形拘束壁を設けたり、内側あるいは内蔵するようにせん断変形拘束用突起を設けて、前記弾性層39のせん断変形を拘束するようにして使用され、弾性層39に上部構造物からの上下の荷重および上部構造物の撓みによる微小回転を許容するように単純化し、高支圧荷重を負担可能にした弾性支承体である。
なお、前記の弾性支承体の場合には、弾性層の厚みが半径方向でほぼ一定であるので、弾性層周縁部の局部応力が大きくなると共に歪が大きくなり、弾性層周縁部と、鋼製上鋼板および鋼製下鋼板との接着界面が剥離する恐れがあるため、鋼製上鋼板および鋼製下鋼板との接着界面を粗面にするなど複雑な構造にして対応すると、加工コストが高くなるという問題がある。
前記の問題を解決する手段として、耐圧補強鋼板40を取り除くことについて検討したところ、より弾性層40の厚みが薄くなる分、弾性層の半径方向外側よりの部分の局部応力が大きくなると共に歪が大きくなり、弾性層40の半径方向外側よりの部分が変形しづらくなるので、桁の撓みに対する回転支承作用(回転性)が低下するという新たな問題が生じるようになった。
本発明は、前記の問題を有利に解決し、耐圧補強鋼板40を使用しない場合でも、弾性層の半径方向外側よりの部分の局部応力を小さくすると共に歪を小さくして、桁の撓みに対する回転支承作用(回転性)を柔軟に許容する弾性支承体およびそのような弾性支承体を備えた弾性支承装置を提供することを主目的とする。
また、本発明は、前記の問題を有利に解決し、弾性層の周縁部の歪を低減した弾性支承体およびそれを備えた弾性支承装置を提供することを目的とする。
第2発明では、第1発明の弾性支承体において、対向する前記環状溝間に固着された弾性層が、中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みの小さい応力緩和層として機能していることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明の弾性支承体において、間隔をおいて対向する環状溝の底部が、半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、前記環状溝内に設けられている弾性層の厚みが半径方向外側に向かって厚くなるようにされていることを特徴とする。
第4発明では、桁の撓みによる微小回転を許容するように支承するための弾性支承体において、間隔をおいて対向する上鋼板の下面と下鋼板の上面に環状段部が設けられ、前記上鋼板と下鋼板の間に弾性層が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層の厚みよりも半径方向外側よりに対向する前記環状段部間の弾性層の厚みを厚くして、その外側よりの環状段部間の弾性層を中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みを小さくして、桁の撓みに対し、半径方向中央部よりの弾性層よりも前記環状段部間の弾性層の変形を容易にし、対向する前記環状段部の底部が、半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、前記環状段部内に設けられている弾性層の厚みが半径方向外側に向かって厚くなるようにされていることを特徴とする弾性支承体。
第5発明では、第4発明の弾性支承体において、対向する前記環状段部間に固着された弾性層が、中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みの小さい応力緩和層として機能していることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の弾性支承体において、前記上鋼板または前記下鋼板のいずれか一方の鋼板の中央部に、弾性層のせん断変形を拘束するためのせん断変形拘束用突起が設けられ、そのせん断変形拘束用突起は他方の鋼板の中央部に設けた貫通孔に嵌合されていることを特徴とする。
第7発明の弾性支承装置においては、第1発明〜第6発明のいずれかの弾性支承体を備えていることを特徴とする。
第2発明によると、弾性層における半径方向外周側よりの環状溝間の部分が、中央側よりの平坦面間よりも肉厚の厚い厚肉部とされているので、上部構造物を弾性的に支持している状態では、上鋼板または下鋼板から受ける荷重による弾性層の歪のうち、半径方向中央側よりの平坦面間の歪よりも、半径方向外周側よりの環状溝間の部分の歪を小さくすることができると共に、弾性層周縁部の局部応力を緩和することができ、そのため、上鋼板および下鋼板と弾性層の外周側より部分との接着界面に作用する剥離力を低減することができ、弾性支承体の耐久性を向上させることができる効果が得られる。
また、環状溝における外周側の縦方向の壁面により、上鋼板または下鋼板における半径方向外側に向かう剥離力に対して抵抗することができる。
また、第4発明によると、桁の撓みによる微小回転を許容するように支承するための弾性支承体において、間隔をおいて対向する上鋼板の下面と下鋼板の上面に環状段部が設けられ、前記上鋼板と下鋼板の間に弾性層が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層の厚みよりも半径方向外側よりに対向する前記環状段部間の弾性層の厚みを厚くして、その外側よりの環状段部間の弾性層を中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みを小さくして、桁の撓みに対し、半径方向中央部よりの弾性層よりも前記環状段部間の弾性層の変形を容易にし、対向する前記環状段部の底部が、半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、前記環状段部内に設けられている弾性層の厚みが半径方向外側に向かって厚くなるようにされているので、桁の撓みに対し、前記環状段部間の弾性層の変形により柔軟に許容することができる。
第5発明によると、弾性層における半径方向外周側よりの環状段部間の部分が、中央側より平坦面間よりも厚肉の厚い厚肉部とされているので、上部構造物を弾性的に支持している状態では、上鋼板または下鋼板から受ける荷重による弾性層の歪のうち、半径方向中央側よりの平坦面間の歪よりも、半径方向外周側よりの環状段部間の部分の歪を小さくすることができると共に、弾性層周縁部の局部応力を緩和することができ、そのため、上鋼板および下鋼板と弾性層の外周側より部分との接着界面に作用する剥離力を低減することができ、弾性支承体の耐久性を向上させることができる効果が得られる。
また、第3発明または第4発明によると、半径方向において、環状溝内または段部内の底部は半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、環状溝内または段部内に設けられている弾性層は半径方向外側に向かって漸次弾性層が厚くされているので、確実に半径方向外側に向かって応力および歪を緩和することができ、そのため、弾性層周縁部の局部応力を緩和することができ、また桁の撓みに対して弾性支承体の環状溝内または段部内の半径方向外側よりの歪みを小さくして、桁の撓みに対し、前記環状溝間または環状段部間の弾性層の変形により柔軟に許容することができる。
また、第3発明または第4発明によると、対向する環状溝または環状段部の半径方向外側において、上鋼板と下鋼板との対向面は半径方向外側に向かって漸次離反するような傾斜面とされているので、傾斜面間により半径方向外側に向かって広がる領域を形成することができ、そのため、圧縮荷重等を受けた弾性層の逃げ変形領域を容易に形成できると共に、この部分に膨出した場合の弾性層の局部応力および歪を緩和することができる。
また、第6発明によると、上鋼板の中央部または下鋼板の中央部のいずれか一方に他方の鋼板に向かって突出するせん断変形拘束用突起を設けられ、前記せん断変形拘束用突起を他方の鋼板に嵌合されているので、弾性層のせん断変形を容易に拘束することができる。
また、第7発明によると、第1発明から第6発明のいずれかの効果のある弾性支承装置とすることができる。
すなわち、前記形態の弾性支承体1は、間隔をおいて対向する上鋼板2の下面と下鋼板3の上面に環状溝10,11が設けられ、前記上鋼板2と下鋼板3の間に弾性層4が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層4Bの厚みよりも半径方向外側寄りに対向する前記環状溝10,11間の弾性層4Aの厚みが厚くされて、その外側よりの弾性層4Aを中央部寄りの弾性層4Bよりも変形しやすくして、桁の撓みに対する回転支承作用を向上させた弾性支承体1A(1)である。
このような形態では、弾性層4における半径方向外周側よりの環状段部底部12,13間の部分が、中央側よりの平坦面間よりも肉厚の厚い厚肉部とされているので、上部構造物7を弾性的に支持している状態では、上鋼板2または下鋼板3から受ける荷重による弾性層4の歪のうち、半径方向中央側よりの平坦面8,9間の弾性層4Bの歪よりも、半径方向外周側よりの環状段部底部12,13間の部分の単位厚さ当りの歪を小さくすることができると共に、弾性層4周縁部の局部応力を緩和することができ、そのため、上鋼板2および下鋼板3と弾性層4の外周側より部分との接着界面に作用する剥離力を低減することができ、弾性支承体1Dの耐久性を向上させることができる効果が得られる。
また、この形態では、対向する環状溝10,11の半径方向外側において、上鋼板2と下鋼板3との対向面は半径方向外側に向かって漸次離反するような傾斜面21,22とされている。このようにすると、傾斜面21,22間により半径方向外側に向かって広がる解放空間を形成することができ、そのため、圧縮荷重等を受けた弾性層4の逃げ変形空間を容易に形成できると共に、この部分に膨出した場合の弾性層4の局部応力および歪を緩和することができる。
この形態の弾性支承体1D(1)は、間隔をおいて対向する上鋼板2の下面と下鋼板3の上面に環状段部19,20が設けられ、前記上鋼板2と下鋼板3の間に弾性層4が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層4の厚みよりも半径方向外側よりに対向する前記環状段部19,20間の弾性層4の厚みを厚くして、弾性層4の中央部よりも外側よりの弾性層4を変形しやすくして、桁の撓みに対する回転支承作用を向上させた弾性支承体である。
(1)従来、弾性層4内に設けられている鋼板などの硬質板を埋め込み配置する形態では、硬質板の上下に弾性層を配置する形態となり、弾性層の材料が多く必要になるが、本発明実施形態の場合は、硬質板を省略し、弾性層の厚み寸法を小さくしているので、弾性層の材料を少なくし、かつ装置の上下方向の小型化も可能になり安価な装置とすることができる。
(2)ベースプレートとしての下鋼板3にせん断変形拘束用突起5を設けている形態であるので、せん断変形拘束壁を、弾性支承体の外側に設ける場合に比べて、装置が小型化され、安価な弾性支承装置とすることができる。
(3)弾性層4は、半径方向外側またはその近傍が、中央側よりも肉厚の厚い厚肉部とされている形態では、半径方向外側の弾性層4の局部応力を低減させて緩和することができ、弾性層周縁部と上鋼板2または下鋼板3との剥離を確実に防止することができる。
(4)せん断変形拘束用突起5が弾性支承体1(1A,1E)の内部に内臓されているので、せん断力変形拘束用突起5が腐食する恐れがなく、耐候性を向上させることができる。
(5)弾性層4は、上鋼板2および下鋼板3と一体に設けられているので、弾性支承体1(1A〜1E)を加硫一体成型するための金型内側の形状が、シンプルになるので、金型製作費用が安価になると共に、弾性支承体1(1A〜1E)の製造コストを低減することができる。
1A 弾性支承体
1B 弾性支承体
1C 弾性支承体
1D 弾性支承体
1E 弾性支承体
2 上鋼板
3 下鋼板
4 弾性層
5 せん断変形拘束用突起
6 雄ねじ部
7 上部構造物
7a 鋼製桁
8 平坦面(上鋼板側)
9 平坦面(下鋼板側)
10 環状溝(上鋼板側)
10A 縦壁面(上鋼板側)
11 環状溝(下鋼板側)
11A 縦壁面(下鋼板側)
12 底部(上鋼板側)
12A 縦壁面
13 底部(下鋼板側)
14 縦壁面
15 側部溝
16 被覆層
17 傾斜面(上鋼板側)
18 傾斜面(下鋼板側)
19 環状段部
20 環状段部
21 傾斜面(上鋼板側)
22 傾斜面(下鋼板側)
23 固定式弾性支承装置
24 下部構造物
25 アンカーボルト
26 雌ねじ付きボルト
27 環状膨出部
28 上沓
29 ソールプレート
30 下フランジ
31 セットボルト
32 凹溝
33 滑り支承材
34 滑り板
35 可動式弾性支承装置
36 弾性支承体
37 上部鋼板
38 下部鋼板
39 弾性層
40 耐圧補強鋼板
41 すべり支承材
Claims (7)
- 桁の撓みによる微小回転を許容するように支承するための弾性支承体において、間隔をおいて対向する上鋼板の下面と下鋼板の上面に環状溝が設けられ、前記上鋼板と下鋼板の間に弾性層が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層の厚みよりも半径方向外側寄りに対向する前記環状溝間の弾性層の厚みが厚くされて、その外側よりの環状溝間の弾性層を中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みを小さくして、桁の撓みに対し、半径方向中央部よりの弾性層よりも前記環状溝間の弾性層の変形を容易にしたことを特徴とする弾性支承体。
- 対向する前記環状溝間に固着された弾性層が、中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みの小さい応力緩和層として機能していることを特徴とする請求項1に記載の弾性支承体。
- 間隔をおいて対向する環状溝の底部が、半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、前記環状溝内に設けられている弾性層の厚みが半径方向外側に向かって厚くなるようにされていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性支承体。
- 桁の撓みによる微小回転を許容するように支承するための弾性支承体において、間隔をおいて対向する上鋼板の下面と下鋼板の上面に環状段部が設けられ、前記上鋼板と下鋼板の間に弾性層が一体に固着され、半径方向中央部よりの弾性層の厚みよりも半径方向外側よりに対向する前記環状段部間の弾性層の厚みを厚くして、その外側よりの環状段部間の弾性層を中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みを小さくして、桁の撓みに対し、半径方向中央部よりの弾性層よりも前記環状段部間の弾性層の変形を容易にし、対向する前記環状段部の底部が、半径方向外側に向かって離反するような傾斜面とされ、前記環状段部内に設けられている弾性層の厚みが半径方向外側に向かって厚くなるようにされていることを特徴とする弾性支承体。
- 対向する前記環状段部間に固着された弾性層が、中央部寄りの弾性層よりも単位厚さ当りの歪みの小さい応力緩和層として機能していることを特徴とする請求項4に記載の弾性支承体。
- 前記上鋼板または前記下鋼板のいずれか一方の鋼板の中央部に、弾性層のせん断変形を拘束するためのせん断変形拘束用突起が設けられ、そのせん断変形拘束用突起は他方の鋼板の中央部に設けた貫通孔に嵌合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の弾性支承体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の弾性支承体を備えていることを特徴とする弾性支承装置。
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